イーブイがその『特性』に気付いたのは、彼が『リーフィア』へと進化を果たした後であった。
『特性』とは一概に言っても、それは種族由来のものではない。
リーフィアはオスでありながらも、その内に秘めた性別は『メス』であった。
この事を知っているのは姉弟の中でもイーブイとそしてニンフィアだけである。
とはいえ、もとよりイーブイはそんなリーフィアのジェンダーなど気にはしなかった。
形はどうであれリーフィアは大切な家族であったし、むしろ男だらけの姉弟の中で女子の感覚を共有できるリーフィアの存在は純粋に嬉しかった。
一方でもう一人の理解者であるニンフィアがそれを知る理由こそは、彼こそがリーフィアのジェンダーを目覚めさせてしまった一因となっていたからだ。
進化を果たした頃のニンフィアは、ことあるごとに己のリボンを兄弟達に巻き付けては遊んでいた。
そんな折、ニンフィアのリボンを身に纏ったリーフィアはふと鏡に映った自身の姿に見惚れた。
今まで感じたこともないようなときめきと充足感を覚えた彼は、その時初めて自分が『メス』であることを自覚する。……その瞬間こそがリーフィアの目覚めと同時に苦悩の日々の始まりとなった。
以来、ニンフィアはそんなリーフィアの良き相談役であると同時に密かなコーディネイターとなっては彼女を支えている。
やがてはそのことを姉であるイーブイにも打ち明けてからは、密かな3人だけの女子会を楽しむ間柄となったのである。
……ちなみに、そうまでして協力をしてくれているニンフィアはその体も中味も歴としたオスだった。
むしろ苦悩する兄弟を放っておけない男気溢れる性分の持ち主であったりする。
閑話休題──
ともあれ、そんなリーフィアからイーブイへとなされた今日の相談とは……
「私、おねえちゃんみたいにエッチがしてみたい。……チンチンでエッチされたい」
「………はあ?」
そんな荒唐無稽なものであった。
リーフィアのことをよく理解しているつもりのイーブイであってさえ流石に聞き返さずにはいられない。
そうして脳の処理が追い付いていない状態にも関わらず、
「頼むよ、ねえちゃん! リーフィアを本当の女の子にしてくれよ!」
その横からは、畳み掛けるように付き添いで来ていたニンフィアもまた懇願してくる。
「ちょっと待ってよアンタら。アタシとエッチしたいっていうんじゃないの?」
「違うの。おねえちゃんみたいに私もその……女の子としてチンチンを入れて欲しいの」
「でも……さすがにそれは無理よ。アタシにはチンチンなんて無いし、アンタにもその……女の子の穴は付いてないしね」
困惑しつつもようやくリーフィアの望みを理解したイーブイはしかし、理解したがゆえにそれを受けいれられない現実を言い諭した。
しかしながらリーフィアからは、意外にも肯定的な答えが返ってきた。
「それに関しては方法があるの。おねえちゃん……ちょっといい?」
言いながら歩み出ると、ニンフィアは立ち上がり、前足をイーブイの肩にかけてはそこから彼女の唇を奪った。
小首をかしげてはマズル同士を互い違いに吸い付けるキスに加え、そこからさらに舌が侵入してきてはイーブイの舌とも絡み合う。
突然のディープキスに戸惑っていると刹那、イーブイは不思議な感覚に囚われた。
突如として鼻腔内に……否、脳内へ直接注がれるかのよう新緑と花々の香りが満ちた。
尚もそれが続きしばしすると、今度は自分の体から新緑の目が芽吹き始めるのを感じる。
事実、若芽は前足の先や腹部、さらには確認は出来なくても頭部にも鬣のようにそれらが萌え始めているのが感じられた。
そしてその変化はついに、今回のイベントで一番重要な部分にも表れる。
突如としてクリトリスに瞬間的な痒みを感じると同時、そこの部分一か所が肥大化していく感覚に見舞われた。
「んんッ? んんん~~~~ッッ!?」
依然として唇を塞がれたまま、それでも目を剥いて己の体を見降ろす先には──恥丘を埋める勢いで生い茂った様々な種類の草花達の姿が見えていた。
ようやくにニンフィアの唇が離れると、改めてイーブイは自分自身の確認をする。
ふと覗き込んだ鏡に映る自分の姿は──リーフィアによく似た草系ポケモンの姿であった。
「なッ……ナニコレ!? アタシ、リーフィアになっちゃったの!?」
「正確にはちょっと違うよ。おねえちゃんは今、『私』になってるの」
驚きつつも己の両頬に手を添えては鏡を覗き込むイーブイへとリーフィアも解説を付け加える。
彼の話を統合するにイーブイは今、リーフィアの『りょくかさいぼう』の効果によって感覚を共有している状態なのだという。
その証拠にとリーフィアが自身の頬をつねってみせると、その感覚はイーブイにも伝わっていた。
そしてようやくこの段に至り、リーフィアのやりたいことをイーブイもまた理解する。
「──ということは、この状態でアタシがエッチすればいい訳ね?」
「そうなの! ……お願いしちゃダメ?」
上目遣いに尋ねてくるリーフィアの視線は怖気つつもしかし、真剣そのものだ。
この提案をすることだって勇気が要ったであろう。そんな弟の健気さを想うと、イーブイとしては何としてでもその本懐を果たさせてやりたくなった。
「もちろん! 断る理由なんて無いよ。それで相手は誰がいいの?」
そう答えながらもしかし、イーブイにはリーフィアの答えは分かっている。
期せずして二人の視線は──傍らのニンフィアへと集中した。
そしてこのことはもう二匹の間では事前に話し合いが済んでいたのであろう。ニンフィアもまた臆することなく一歩前に出ると……
「オレが、リーフィアの初めての男になる!」
ふりふりリボンの最も女の子らしい容姿を持つニンフィアは、この兄弟の中でも最も男らしくそう申し出た。
同時にその股間からは傍目からも分かるほどの硬度を保ったペニスが屹立していた。
ならばもう言葉は必要無いと、イーブイは仰向けに寝そべる。
そして同じくに右隣へ添い寝をしてくるリーフィアの前足を取ってやると、
「いい思い出になるといいね……リーフィア」
「……うん! ありがとう、おねえちゃんッ」
微笑みかけるイーブイに対し、リーフィアもまた感極まっては涙を笑顔の中にほころばせた。
そうして二人が待ち受ける中、ニンフィアは正常位にイーブイへ乗り上げると──その膣へと挿入を果たす。
『んあッ! ああ……ッ‼』
期せずしてニンフィアとイーブイは同じ声を上げた。
肉体の同期は正常に機能しているようだ──今までの真似事でしかなかった代替行為(アナルセックス)とは全く違う膣の感覚にリーフィアは息を飲む。
一方でイーブイを介しているとはいえ、そんなニンフィアとのセックスを感慨深く思っているのはニンフィアもまた同様らしく、
「痛くないか? オレのチンコ……気持ちいい?」
ニンフィアもまた使い慣れた筈であろうイーブイの膣にも拘らず、いつも以上に興奮している様子がペニスを通じる脈動からも強く伝わってくるのが分かった。
「大丈夫だよニンフィア。すごく、気持ちいいよ♡」
そう言って感無量の境地から涙目で微笑むリーフィアの笑顔にさらにニンフィアは発奮させられる。
力強くリーフィアの名を呼ぶと、思いの限りのピストンをニンフィアは展開していく。
「リーフィア、リーフィアッ、リーフィア!」
「あぁ、ニンフィア♡ 素敵……いっぱい愛して♡」
もはやもうイーブイのことなどすっかり忘れては当人同士だけの世界に入っているこの状況は、完全にリーフィアとニンフィアによる交尾そのものだ。
体を貸しているイーブイはそんな様子を微笑ましくと思うと同時、本懐を果たせた二匹のことを羨ましくも思うのだった。
やがてそんな蜜月にも最後の瞬間が訪れる。
ピストンを続けていたニンフィアが呼吸の感覚を短く、そして不規則なものとした。射精が近いのだ。
「あ、ああ……オレ、イクよ。ゴメン、もうダメ……!」
「いいよ、ニンフィア……私の中で出して。いっぱいニンフィアの種ちょうだい♡」
「あああ……リーフィアぁぁ……ッッ!」
息が詰まるほどにニンフィアはイーブイを抱きしめる。
そして次の瞬間──ニンフィアはイーブイの……リーフィアの膣(なか)で果てた。
同時にその絶頂はリーフィアにも伝わり、
「あぁ……嬉しい♡ ニンフィアの種がお腹に入ってきてるのが分かる……赤ちゃんを作る部屋に届いてるのが分かるよぉ……ッ♡」
リーフィアもまた、涙ながらに受け止めてはそれの余韻に浸るのだった。
■ ■ ■
互いの前足を結びあっては眠るリーフィアをニンフィアを見下ろしながら、そっとイーブイは二匹の額にキスをする。
そうして自身の体もまた改めて見下ろすと──全身から芽吹いていたリーフィアの『りょくかさいぼう』の植物達は残らず枯れ落ちていた。
「やれやれ、気合い入れてくれちゃって……本当に妊娠しちゃいそう」
呟きながら自身のお腹をさすると、ふとイーブイの脳裏にもとある人物の顔が浮かんだ。
今回リーフィアの相談に対して全面的に協力した理由は、何も姉弟であることの義務感だけではない。
ある意味では現在、イーブイもまた同じような状況にあったことからもリーフィアに感情移入せずにはいられなかったのだ。
イーブイもまたポケモンならざる恋をしていた。そして同時に苦悩もまた抱いている。
はたして自分の時は、この問題にどのような解決を結ぶことが出来るのだろうか……そう考えてはふと月夜を見上げた。
満点の星空から降りそそぐ月光の眺めは、おそらく意中の人もまた何処かで望んでいるはずだ。
もしこの輝くような月世界を同じくに見上げているのだとしたら──その人にもまた自分のことを想っていて欲しいと、イーブイは願わずにはいられなかった。