※ 注意!
このシリーズには幼児(ポケモン)に対する
流血を伴った暴力や凌辱、虐殺、レイプ、肉体の欠損、ポケモン食、
等の残虐的な描写が含まれます。
自己責任のもと、お楽しみください。
第1話・楽園への招待
北緯18度18分・西経64度49分──その島『リトル・セント・ジャーバス島』は、東南バリヤード海に存在する諸島群の一角に在った。
そこは世界に名だたる大富豪リクシー・アンバーシュタインの所有する島であり、100エーカーのその孤島には当時、彼の別荘が建てられていた。
件の人物・アンバーシュタイン氏は投資銀行の運営により莫大な富を築き上げた大富豪であった。
先見の明に富んだ彼の投資は、後に世界的な規模へと発展する数々の企業郡を進化させるのに多大な貢献をした。
当然ながらそれに見合う報酬もまた受けた彼の総資産額はもはや、一般人には聞き覚えの無い桁数を以て数えられるほどに膨らんでは、『リクシー・アンバーシュタイ』の名を、業界では知らぬ者などいない存在に成らしめた。
そんな界隈においては活躍華々しい彼ではあったが、不思議とその名が表へと現れることは稀で、一般層において彼の存在を知る者は一握りであった。
まるで己の存在を意図的に隠しているようにすら思えるその知名度の低さは一種のミステリーであり、そして彼に纏わる代表的な噂話にはもう一つ──今回私の経験した一連の事件を裏付けるおぞましい話が存在した。
曰くそれは彼の別荘において夜な夜な乱交パーティーが行われており、その催しには世界中の名立たる盟主や大企業の代表が参加しているといった眉唾な噂である。
金融業界はおろか政財界においてもこの噂話は有名で、中には物好きの同業者や経営者といった連中が直接に氏へとイベントの、そしてその別荘への招待を求めたという寓話すら残るほどである。
とはいえ反面、私はそれら都市伝説めいたゴシップなどは有名人にありがちの荒唐無稽な作り話であると切り捨てていた。
しかしながらある時──ふとした仕事の関わりから、私は彼の所有する島の存在を知るに至る。
複数の名義人を幾人も経由させては島の現在所有者を曖昧とさせているその手法は、意図的にアンバーシュタイン氏が所得を隠そうと画策した形跡であった。
それを発見した私はこれこそが彼と関わりを持つ為の唯一の手段であると確信する。
公私に渡る事情から彼と関わりを持ちたいと考えていた私は後日、そのことをアンバーシュタイン氏本人へと突き付けることとした。
もっともその時点での私の目的は彼の秘密を暴いてやろうだとか、あまつさえそこで行われている違法行為を糾弾しようなどという道徳心や正義感などではなかった。
単に私は自身の仕事のスキルアップを目指しては、彼との個人的な接触を求めたのである。
彼の事務所へと連絡をとり、受け継いでくれた秘書の一人へと『バリヤードの父親が分かりました』とだけ伝言を頼んだ。
あれだけの人物であるのだから、正面からまともにぶつかったのでは到底相手などしてもらえない。
この場合一番有効な手段としては、先方からこちらへと興味を持ってもらい、さらには相手方からの接触を待つ方法である。
かくしてその翌日には──聡明なるアンバーシュタイン氏から私は夕食を誘われるに至った。
イタリアンレストランの個室にて対峙した彼は存外に気さくで、巷間で囁かれるような投資界のフィクサーという印象は薄かった。
その当時で64歳を数え頭髪は全て白銀に色が抜けてはいたが、肌艶の良さと精悍な体躯からはまだ50代と名乗っても通用するであろう壮健さが、私が氏に抱いた第一印象の全てだった。
通り一遍の挨拶と共に乾杯を交わし、前菜が終わって次なる料理へと変わるその合間を縫って……
『──それで、「バリヤードの父親」とはどういう意味なんだい?』
アンバーシュタイン氏は私のグラスへとワインを注ぎながらさりげなく、そしてこの邂逅の核心に触れた。
それを前に私も煙に巻くような真似などは一切せず、業務上取り扱った顧客情報の矛盾から、件の島が氏の所有であることを知り得てしまった事実を説明し、今後私以外にもこのことに気付く者が現れるであろう危険性を説いてみせた。
同時にもし今後とも同不動産を所有するにあたり絶対に足のつかない方法など私心も加えてレクチャーしていると、当初は微笑みの下にも猜疑と警戒とを漲らせた氏の視線が、徐々に和らいでは私の語る不動産テクニックに対し、感嘆しきりで聞き入るようになった。
それらを語り聞かせ、時にアンバーシュタイン氏から上がる質問へ懇切に応えながらもしかし、私は氏があの島を所有している理由やその背景には一切触れなかった。
あくまでビジネスライクに徹し、常日頃顧客に接するのと変わらない対応で彼の接待をした。
斯様な仕事の話を終えても場の和やかな雰囲気は変わらずで、結果私達は3本のワインを開けては最後には、無礼講も甚だしい気安さで語り合っては笑い合った。
おおむね好印象を与えられた実感はあった。何よりも私からがして、氏との邂逅にはある種の友情めいた感情すら抱いたものであった。
別れ際には堅く握手をし、そしてどちらともなく抱き寄せては抱擁もまた交わすとその日の初会合はお開きとなった。
そしてその日以来──私とアンバーシュタイン氏との付き合いが始まったのであった。
私は氏のビジネスパートナーとの一人として、彼の不動産管理を任されるようになった。
その間にも幾度となく食事や、互いの家に招待し合っては信頼を深め合う関係に比例して、氏はプライベートな財産の管理についても私へ一任するようなる。
当然のことながらそれに関して一々聞くようなことなどしない。
彼が望むように売買を行い、そして関係者を探し出しては斡旋する仕事をつづけること一年──奇しくも、彼との初会合を果たしあのレストランにおいては私は『不思議な誘い』を受けることとなった。
『次回の夏の休暇には予定を開けておいてくれ。……君を私の個人的な別荘へと招待したい』
その瞬間──私は今まで忘れていた、氏にまつわる噂話を思い出していた。
極力その緊張を顔に出さぬようしてその別荘について訊ねるも、アンバーシュタイン氏はイタズラを隠す子供のように破顔しては両肩を揺するばかりで一向に応えてくれようとはしなかった。
ただ一言……
『この世では……少なくともこんな都会じゃ絶対に体験できない禁忌の楽園さ』
そう鹿爪らしくはぐらかせては、さらに楽し気に微笑んでみせるのだった。
そうして数か月後──
かねてからの約束通り夏の休暇を氏の予定に合わせると、私は彼が用意した自家用ジェットに乗り込んでは目的地へと誘導された。
私が生活の拠点としている市(まち)から実に11時間……ジェットは一度、グレート・セント・ジャーバスという島へ着陸すると、そこの空港にてアンバーシュタイン氏に迎え入れられた。
旅の疲れを労いつつも、彼は更なる移動を私へと告げる。
空港最寄りの港より氏が直接運転をするクルーザーに乗り込むと、水平線へと投げた視界には小さな島影が確認できた。
「あの島が、あなたの別荘地なんですね?」
『そうさ。奇しくも私と君が出会うことの原因にもなった忌まわしい島さ』
そう言いながらも上機嫌のアンバーシュタイン氏を見ていると、既に相当量の飲酒をしていることは明らかだった。
それでも運転の手際は堂に入ったもので、30分も海上を行くとクルーザーは無事に島へと到着した。
船着き場へとクルーザーが近づいていくと、対岸には幾人かの人影が現れては忙しなく動いてやがて、係留場の桟橋へと横一列に並んだ。
さてはこの別荘地の使用人が出迎えに現れたのかとぼんやりそれを見つめていた私ではあったが、徐々にクルーザーが近づいて像がハッキリとするにつれ、そこを見つめる私の表情は困惑の物へと変わった。
一方で運転席からそんな私の反応を窺う氏は、さも愉快そうに笑ってはようやくにこの地での目的を私へと告げる。
『あそこに並んでいる者達は誰でも好きなように扱うといい……何をしようと思いのままさ』
アンバーシュタイン島へようこそ──……氏はそう告げる。
その言葉を背にしながら依然として視線を桟橋へと向け続ける私の目には、見目麗しくも幼い第一進化前のポケモン達が礼儀正しく整列しては、深々と頭を垂れているのであった。