※ 注意!
この話には 飲尿 に関する描写が含まれます。
自己責任のもと、お楽しみください。
アンバーシュタイン氏の別荘はその全てが圧巻の一語に尽きた。
大理石で内装された建物は、ローマ神殿やパンテオンなどといった太古の荘厳さを感じさせる白亜の宮廷そのものである
ギリシア式の破風や列柱があしらわれた出入り口はそこの庇ですらもが広大で、もはやどこまでが室内であるのかの境界すらつかなくスケールであった。
その庇において、私達の来訪を目ざとく見つけたワンリキーが二匹、頭に麻籠を乗せては登場して出迎える。
彼女達自身もサリーや首飾りを始めとした衣類によって装飾されていて何ともエキゾチックな雰囲気を醸している。
『ここからはこれに着替えたまえ』
言いながらワンリキーの一匹が掲げる麻籠を前に氏は桟橋の時同様、一切躊躇することなく衣類を脱ぎ始めては全裸になっていく。
その様子を横に戸惑うばかりの私の前にもワンリキーの一匹がついては、頭に乗せた麻籠を差し出してくる。
籠の中にはシルクと思しき長布が一枚、丁寧に畳まれては収められているのが分かった。
とはいえしかし、それを両手に取ったままどうやって纏うものか考えあぐねる私は再び隣のアンバーシュタイン氏を観察する。
その着付けはいたってシンプルだった。
長布を袈裟に肩から掛け、後は垂れた裾が地につかないようデタラメに腰や肩に巻き付けるといったものだ。
それに習い私もまた服を脱ぎ始めると、先ほどパートナーに指定されたキルリアが歩み出してきては、私の脱衣を手伝ってくれた。
彼女は麻籠から取り出したシルクを起用に頭の上へ乗せると、脱がした私の上着を空いた籠の中へと収めていく。
次いでジーンズも脱がし下着も剥ぎ取っては目の前にペニスが垂れるや、さりげなくも彼女はそこへ小さくキスをしてくれた。
客人への儀礼的な奉仕というよりも個人的な愛情を込めたかのようなさりげなさに、つい彼女への想いも募ってしまう。
かくして肩に掛けた長布に皮のサンダルという私達のいで立ちは、チュニクを纏う古代ローマ人の装いを思わせるそれとなった。
事実、短髪で巻き毛の氏などは目鼻の堀深さも相成って、まさにラテン人種そのものだ。
『数日間をここで過ごしてもらうにあたり、まずは施設の説明を一通りしておこうか』
氏の案内のもと建物内を進むと、先の玄関ホールよりも更に広大な一角へと出る。
広間の中央には、その中心が掘り抜かれては円環状とされた水場が湛えられており、そこには既に私たち同様の装いをした男女数人が腰かけている姿が見受けられた。
腰掛けた円環の縁から水場へと足を差し入れている者もいれば、緩やかに水源の沸き上がるその中央へと腰湯さながらに浸かる者もいてと、それぞれが歓談をしているようだった。
そんなメンバーの幾人かに私は思わぬ既知を感じては目を凝らす。
先方は気付いていないとはいえ、まじまじと他人を観察してしまう無礼を承知しながらも私は、その人物達から目を離すことができなかった。
「そんなはずはない……こんな所で鉢合うはずが」
あまりの光景につい小さく言葉を漏らす私の呟きを聞き取っては、アンバーシュタイン氏が傍らに寄ってきて演技染みた声掛けるをしてくる。
『──もしかしたら、世間ではよく知られた「有名人」を見掛けることがあるかもしれない。しかしそれは他人の空似だ。ここにそんな御仁達が居るはずもない。……そういうことにしておくんだ』
どこか警告も含んだかのような言い回しに私も我に返る。
同時にアンバーシュタイン氏が世界有数の大富豪であり、加えてこの場所がそんな氏の更にプライベートな空間であることもまた思い出した時──私は視界の先にいる著名人達が紛れもない本人であることを確信した。
そして同時に、もしあの人物達が本物であるのならばこの場所は極めて政治色の高い空間であることにも気付き戦慄すら覚える。
何故ならばいま目の前で談笑している二人など、表世界においては敵対国として対立し合う国同士の代表であるからだ。
そんな二人が同じ水場の中に沈み混んでは下卑た笑い声を交わし合う光景など、創作だとしても荒唐無稽な話であったろう。
しかもその光景の恐ろしさはそんな人物同士の邂逅だけに留まらない。
よくよく観察するに正面だって向き合う二人の間には……水場のその下には更に何者かの気配が見受けられた。
この浅い水位の中にも全身が沈み混んでしまう矮小さから、そこに居る者は明らかに子供と思しき体躯の者であり、そして時おり波立つ水面の合間から見え隠れするそれこそは──一匹のゼニガメであった。
事もあろう向かい合う二人の代表は……水場の中において、前後から四つん這いのポケモンを犯していのである。
その眺めと事実たるや、もはや悪夢のごとき光景ですらあった。
言わずもがな大変なものを目撃してしまった事実に目眩さえ覚える思いでいると、そんな私を観察しては、氏も更に自慢げに笑いをくぐもらせながら両肩をゆする。
『彼らともすぐに仲良くなれることだろう。最初はそんなもんだ、この状況にも追々慣れていけばいいさ。──それよりも長旅で疲れているんじゃないか? 再会も祝して何か飲もうじゃないか』
動揺を見透かされては氏に誘われるまま、私は壁面の一角に儲けられたカウンターまで移動する。
そこにおいてカウンターの天板に両肘をもたらせては大きくため息をつく私の前に、カウンター上を猫の如くしなやかに歩んできた小柄なグレイシアが出迎える。
首元にシャツの襟(カラー)と蝶ネクタイだけをあしらったその姿はそれだけでバーテンダーの持つフォーマルさを感じさせるようで、全裸が基本であろうポケモンのはずがそこには得も言えぬ愛嬌が醸されていた。
そんなグレイシアがグラスのステム部分を咥えてきては、カクテルグラスなど勧めてくる様子に心和んだのも束の間……すぐさまに私は驚愕に身を引くこととなる。
同様に隣でグラスを受けとる氏は天板の上に置いたグラスのステムを指々の股で挟み込んでは、プレートの上へと手の平を被せるようにしてグラスを固定する。
私にも同じように構えることを教授し、訳も分からずにそれをなぞる私の前に、あのグレイシアが再び陣取った。
後ろ足だけで身を起こすと、下腹を前へ突き出すようにしては股間をグラスの上へと誘導する。
その構えに最悪の光景を予想した次の瞬間には──
「ッ!? まさか──あぁ……!」
その悪い予感を裏切ることなく、グレイシアは私のグラスへと放尿を果たした。
しかしながら直後、それが尿道からの排泄ではないことにも私はすぐに気付く。
見ればそれはうっすらと穿たれた膣口の下端から──それこそバーテンダーがシェイカーから作り出したカクテルを注ぐかのよう、グレイシアの膣から溢れだした液体が緩やかに私のグラスを満たしていた。
目も醒めるようなマリンブルーの透明感を宿したそれを逆三角のグラスへ半分ほど注ぐと、今度は前足の蹠を膣の上に置いては自慰よろしくにそこの撹拌を始める。
陰唇の隆起も浅い子供のような膣上において、尿道を意識して刺激し続けるグレイシアは幾度となく押し殺した声を上げた。
やがて絶頂を思わせるかのよう一際大きくグレイシアが身を反らし、撹拌していた前足をどけると──今度は尿道から染み出してきた体液がグラスのブルーキュラソーへと注がれる。
明けの水辺のようカクテルグラスの中でイエローと蒼のグラデ―ションを為した液体の中にその仕上げとばかり、今度はこちらへと背を向けて尻尾をまた跳ね上げるや、雪の結晶を思わせる形の良い肛門をグレイシアは私の前に晒した。
そして四つ足の獣が見せるような排泄さながらのポーズをとるグレイシアが、その肛門がその縁を盛り上がらせた次の瞬間には──そこからは瑞々しくも艶やかなチェリーがひとつ排泄されてはカクテルに沈み、小さな気泡を水面へと発泡させた。
『排泄物などではないから安心したまえ。このグレイシア(バーテンダー)はそのように訓練されている』
同じものを同様にグレイシアへ作らせると、氏はそう語りかけてくるや規範を見せるかのようグラスのそれを煽り大きく息をついた。
躊躇なく飲み下しては満足げに鼻を鳴らすアンバーシュタイン氏を前にしては無下に断る訳にもいかず、私もまたそれに習い──手にしたグラスを一息に飲み干す。
口中に満ちるそれは紛う方なきブルーハワイのそれではあったが、それでも後味にはけっしてステンレスのシェイカーなどでは作り出せない艶かしい香りが残った。
衛生的・倫理的にもけっして許されるべきでもない斯様なグレイシアのカクテルではあったが……
存外に私は、それを美味だと感じていた。