アルカンへの第一印象は、『可愛い男の子』というだけの感想に尽きた。
それはけっして悪印象ではなかったがその時のガルーラには、彼へパートナーたり得る『オス』としての評価を得られなかったのだ。
しかしながらいざ共同作業を経るにつれ……そんなガルーラの印象は変わっていった。
何よりもアルカンの美点は洞察の鋭さと粘り強さだ。
決して体格や体力に恵まれない彼もしかし、様々な試練に打ち当たるたびに思考錯誤と努力を弛ませず、最後には期待通りの成果を上げた。
それを傍らで見守り続けたガルーラのアルカンへの好意は高まり、今や仕事へと邁進する彼をガルーラは認めるべき『オス』として見るようになっていた。
そして何よりも彼は、プライベートにおいても温和で紳士的であった。
仕事終わりに二人の寝室へと戻り、そこにて彼のことを聞いたり、はたまた自分のことを聞いてもらう二人の時間は何よりも大切なものとなっていた。
それはこのバイト期間中に限らず、決して長くはない自身の人生の中においても今の瞬間は何よりも尊いものに感じられた。
いっそ期限など設けずに、一生をこうしてアルカンと過ごせたらいいのに……いつしかガルーラはそんな淡い願望を胸に抱いては、やがては来るだろう終わりの瞬間もまた意識した。
そんな折り、事態は急転直下の変節を迎える。
きっかけは些細な出来事からであった。
その日、農場の大浴場が使用できないことを知らされ、待ち続けているのも退屈に感じたガルーラは自室に帰ろうと思い至る。
部屋で待っていれば、じきにアルカンもまた帰ってくることだろう。ここで再開のめどがつかない入浴を待ち続けるより、彼女にはよほどその方が建設的に思えた。
もしかしたらアルカンの方が先に戻ってきているかもと期待して入室するも、あいにくと部屋は無人だ。
そのことに僅かばかり落胆をする彼女ではあったが、同時に自分の体が汚れている事にも気付く。
他のポケモン達とは違い毛並みが少なくて短い自分の体は、発汗後の体臭が立ち上がりやすいことを知っていた。
自身では気にもならないが、もしかしたら不快なそれが発せられているかもしれない。ましてやこの体でアルカンを迎え入れることを考えると、ガルーラの焦りは顕著となる。
急ぎ水タオルを絞るとそれにてまずは自身の体を見下ろした。
そして現段階において最も匂いのきつい場所を嗅ぎ分けては、左腕を掲げ解放させた腋下へタオルを置いたその瞬間──寝室のドアが開いた。
突然のそれに驚いて視線を巡らせればそこには同じように驚愕の色を浮かべたアルカンと目が合った。
こんな状況であっても彼とまた再開できたことを嬉しく思っていると、そんなアルカンは慌てふためいた様子で部屋を出ていこうとする。
なにやら謝ってもいるようだがガルーラにはその意図が分からない。
彼女もまた待つように声掛けなどすると、それに反応して立ち止まったアルカンはようやく落ち着いたのか……小さくため息をついてはどこか安堵したかのような表情を浮かべた。
やがては部屋の中へも進んでくるとアルカンは自分のベッドに腰掛ける。
ガルーラ自身もそんな彼を待たせまいと体の清拭を続けたが、その時の彼女はいつにない親密な……否、もはや捕食者に射竦められている感覚に近い気配をアルカンから感じた。
依然として体を拭いながら彼の様子を盗み見ると、こんな自分とへ向けられているアルカンの目が座っていてしかも、そこから熱視線が放たれている様子が見て取れた。
彼自身も入浴をまだ澄ませてはいないだろういつも以上に濃い体臭に交じって、普段のアルカンからはけっして嗅ぎ取れないある種の芳香もまたそこには混じっていた。
それこそは発情に際して発せられるスメルそれであり、受動側であるメスにとってはフェロモンとして機能する芳香であった。
それを嗅ぎ取ったガルーラは途端に胎内の奥底で──子宮が蠕動するのを感じた。
それでも平静を装いながらガルーラはアルカンの前において清拭を続ける。
その中でどうにか発情のスイッチが入り切らないよう発散させられやしないかと、乳房や首筋を拭う際に力を込めて愛撫したりと間接的な自慰を試みるも……それら行為は、同時にガルーラの肉体もまた昂らせてしまう結果にしかならなかった。
むしろ憎からず思っていたアルカンを前にそのような行為をしてしまうこと自体にもまた興奮を覚えてしまうともはや、ガルーラは体の奥底からマグマさながらに沸き起こる情欲を抑えきれなくなっていた。
遂には子宮の奥底から生じた愛液が膣口から溢れ、内腿を伝う感触を覚えるともうガルーラにはそれを抑えることは叶わなかった。
アルカンに触れてもらいたい──そして、彼の子種を受けたい。
肉体は言葉以上に如実にそのことをガルーラへ伝え、そしてガルーラもまたその本能に促されるままに行動をとる。
今にも爆発しそうな感情と言葉とを辛うじて制御しながら、彼女はアルカンへと語り掛けた。
ただ一言、『触れてほしい』とだけ伝えると後は状況の流れるに任せることとした。
もはやアルカンの興奮ぶりもまたその表情や、より一層に濃くなったフェロモンから察せられることこの上なく、そんな彼を前にする心境はさながら飢えた獣の前に立つかのような、半ば恐怖にも似た感覚をガルーラに覚えさせる。
しかしながら彼女にしても今の状況は同時に、言いようもなく心躍りそして期待に胸を焦がす瞬間でもあった。
アルカンを流し目で捕らえたまま背を向けると、ガルーラは彼へ挑発するように尻を突き出しては、僅かにそれを振って自身のフェロモンもまた振りまく。
もはや見つめてくる視線が痛いほどにアルカンを感じながら、ガルーラは隠していた秘所を晒すべくゆっくりと尻尾を上げていく。
そうして完全にそれを直立させ、興奮に蒸し上がった局部をアルカンの前へ霰もなく晒した瞬間──体当たりさながらの衝撃が背後からガルーラを襲った。
見れば自身の尻元に屈みこんだアルカンが荒々しく膣口を押し開いては、文字通りそこへ舌や唇を這わせ溢れ出る愛液を貪っていた。
その感触と、遂にはヒトとポケモンとが一線を越えてしまった事実に、より一層ガルーラもまた肉体が高揚するのを感じた。
それを体現するかのよう、そして愛しき番(つがい)を放してしまわぬよう──ガルーラは立ち上げていた尻尾を巻き畳むと、それにてカルアンの頭を抱き込んではより一層深く、自身の膣へと押し付けさせてしまうのだった。