数分後──ガルーラの膣(なか)へ挿入を果たしたアルカンは死に物狂いで腰を打ち付けていた。
彼にとってはこれが初体験であり童貞喪失の瞬間でもあったが、そんな感慨に浸る余裕などありはしない。
ただペニスに纏わりつく粘膜の熱と、潤沢に分泌液を介した摩擦の快感に我を忘れては腰を突き動かし続けるばかりである。
一方で正気を失っていたのはガルーラも然りであった。
むしろ動物側の本能に近い彼女(ポケモン)こそ、この瞬間を満喫していたことだろう。
ガルーラにしてもこれが初交尾であり、しかもそれを人(ヒト)と交わしてしまうことのタブーに苛まれるかとも危惧したが、いざ始まってしまうとそんな不安の一切は頭から取り去られた。
締め付け上げるよう痙攣を繰り返す膣内も、その間口を下ろし始めては亀頭へと吸い付く子宮も、そして斯様なペニスからの快感しか享受できなくなってしまっている脳も──今現在、ガルーラの肉体はセックスの快感を感じ取ることしか出来ない機械と化していた。
そしてそれはアルカンも然りであり、ただ快感その為に腰を振り続ける人形でしかない。
その中において、一切の前置きも感慨も無くアルカンは射精を果たした。
瞬間、胎内で炸裂したその熱の放出にガルーラもまた頭を振り上げては目を剥く。
歯牙を食いしばり、口角の端から涎が零れるのも意に介さずガルーラはその感触に絶頂を迎えては打ち震えた。
ポケモン故に生殖で繁殖する道理は分かっていても、精子と卵子の結合により受精卵が作られるなどといった仕組みなどは皆目検討もつかない。
それであるにも関わらずガルーラは今、アルカンの精子が胎内を泳ぎ渡り、さらには子宮の奥底において自身の卵子へと到達するのを感じた。
無知で無垢なポケモンであるが故のその確信は、決して勘違いなどではない受精の事実そのものを本能が証明しているに他ならなかった。
かくして射精を果たしても、依然アルカンから打ち付け続けられる腰は勢いを衰えさせない。
射精直後のペニス全体に走る耐えがたい痛痒感に苛まれ続けながらも、事ここに至って生殖の本能に突き動かされるアルカンには自身を制御することなど不可能な状態にあった。
頭の中において完全に自我と本能とが分離している感があり、まるで映像作品の中において自分を演じている役者を傍観しているかのよう、アルカンは自身の意志とは別に動き続ける肉体に戸惑いを隠せない。
本能はただひたすらに、いま肉体を打ち合わせているメスを孕ませることそれだけしか行動を許してくれないのだ。
ポケモンと一線を越えてしまったタブーや、はたまた無責任に相手を妊娠させてしまうことへの倫理感も一切が取り払われた身勝手極まる生物(アルカン)は、ある種においては動物以上に下賤な存在であるのかも知れなかった。
それでもしかしただ一つハッキリしていることがあった。
それこそは……
──僕は……ガルーラが好きだ!
その想い一点である。
あるいは交尾の快感に流されては都合の良い勘違いをしているだけなのかもしれないが、それでも今のアルカンを突き動かしているのは、彼なりにガルーラへと向けられる真摯な『愛』ただ一つであった。
そんなアルカンの想いに応えるよう、胴回りへしがみ付くようにして抱きしめている彼の手の上にガルーラも掌を握り重ねては指々を絡ませる。
彼女もまたこの瞬間は間違いなくアルカンを愛していた。
種の壁も、世の倫理と禁忌も、今この瞬間の二人には関係ない──ただ本能の赴くまま二人は時を忘れて愛し合うのであった。
そうして──……ようやくに二人が理性を取り戻したのは、同時に眠りから目覚めたその時であった。
幾度となく拙い交尾を繰り返しながらいつの間にやら眠ってしまったらしい。
もはや周囲は夜の闇に閉ざされては互いの表情すら確認できない状態で、しかもこの時二人は床の上で目覚めたというのだから、いかに我を見失っていたかが窺い知れる。
そうして目覚めてもしばし、何の言葉も交わせなかった。
依然として寝そべり合う二人は、仰向けとなったアルカンの胸元にガルーラが横顔を寄せているという、事後の男女の様相そのものだ。
そこに一抹の気まずさも覚えないではなかったが、それ以上に今の二人には謎の達成感と幸福感とが心を満たしていた。
それでも何か声を掛けねばとアルカンは思うのだが──そう都合もよく気のきいたセリフなどは頭に浮かんでこない。
そもそもピロートークがこなせるほど器用な性格ではない。だから今は心に思い浮かぶままの気持ちを伝えることにした。
「……──ガルーラ」
その名を囁いては彼女の意識を向けさせる。
暗がりであってもその眼差しがまっすぐに自分へと注がれてくるのが分かった。
そうして見つめ合っていると、このまま恥ずかしくなって何も喋れなくなってしまうと自覚したアルカンは畳みかけるようにそれを伝える。
「大好きだよ、これからもよろしくね」
あまりにも口早に、そして感慨も無く言ってしまったように気がして申し訳なくすら思うアルカンではあったが──そんな想いはしっかりと彼女へ伝わっていた。
ガルーラはアゴを上げて身を伸ばしてくると、依然横たわる姿勢のままアルカンの唇を奪う。
最初は触れ合わせるようなキッスで始まり、それがガルーラからの声なき返事であることを察してはアルカンもまた安堵と愛情に心を満たされる。
しかし……それが新たなスイッチとなってしまった。
言わずもがな今ようやくにファーストキスを交わした二人ではあったが、その互いの唇に感じられた感触へ、たちどころに心を奪われた。
どちらともなく再びキスなど交わすと、舌同士を絡め合う濃厚なそれへと展開していく。
以降は、互いのそんな舌の感触と唾液の味わいを貪り合うのに躍起となった。
斯様にして獣染みた抱擁を交わしていると若い二人の肉体は熱を帯び始めては再び、互いの体液と快感とを激しく交換し合う行為に没頭していく。
かくして結ばれてしまったヒトとポケモンは──この日を境に残る日数のこと如くを、場所や時間を問わぬ交尾の数々へと費やしていくこととなるのだった。