僧正から解放されるなりカゲチヨは欄干を跨いでは外へと降り、そこにてチカマル達を捜した。
しかしながら見渡すそこに彼らを発見することが叶わないと、カゲチヨは即座に山中の杉林へと駆けだす。
寺の裏手となる山林には一ヶ所だけ開けた場所があり、そこはチカマル達と自分だけの秘密の会合場所であった。
そうして瞬く間に木立の合間を駆け抜けてそこへ至ると──案の定、そこにて所在なげに立ち尽くしている二人を発見した。
先方もカゲチヨの登場に驚いたらしく、はちわせたその瞬間には目を見開いて両肩をすくめたものの、
「カゲチヨ、さっきの何だったんだ!?」
いざ面と向かうや、開口一番にチカマルとカルボウはカゲチヨの身を案じてはその言葉と共に身を寄せた。
先の、住職へと施していたフェラチオによる奉仕……それをよりにもよって親友の二人に目撃されてしまった事に、カゲチヨはどこかはにかむよう愛想笑いなど浮かべてみせる。
そうしてその理由を説明しようとして──はたとカゲチヨもまた、自分がなぜあんなことをさせられていたのか分からないことに気付いては腕組みをした。
この寺に落ち着いてから数年、気付けばカゲチヨは数々の性技を僧正から仕込まれていた。
ヒトと接したこと自体あの僧正が初めてだったことは元より、他人と暮らす集団生活の中に身を置いたことですら初めてであったカゲチヨは、今日まであの行為の意味合いや歪さに気付くことなく過ごしてきた。
ただ漠然とではあるが、あの行為が秘匿すべきものであり、軽々に人前で披露することは憚られるものであることは認識していた為、いざその意味合いを尋ねられた時、幼いカゲチヨはその答えに窮してしまったのである。
故にカゲチヨが次に取った行動は──傍らのカルボウへと、それを実践してみせるというものだった。
カルボウの腰元に屈みこむと、その股間へとカゲチヨは掌を置いた。
そこから押し付けるようにして旋回してくる手の動きに、カルボウもまた驚いては思わず腰を引く。
しかしながら……徐々にカゲチヨの体温が肌に馴染んでは、意識してペニスに彼の掌の凹凸が感じられるようになると、その未知の快感にカルボウもまた己から腰を突き出させては彼からの愛撫を受け止めていた。
湿らせた吐息を弾ませながら、僅かに開けた口唇からの垂涎も意に介さずカゲチヨの愛撫を受け続けていると、やがて次なる変化がカルボウの体には現れる。
押し付けていたカゲチヨの右手が徐々に外へと押し出されてくると、いつしかその掌の下では完全に勃起したカルボウのペニスが、押し付ける手の平の中央に腺液を滲ませていた。
そこまで刺激して、カゲチヨは一旦右手を放す。
掌の中央に漏れだしていた腺液がペニスとの間に糸を引いて滴る様に、いつしかカゲチヨの傍らで屈みこんでは眺めていたチカマルも感嘆の声を上げた。
一方でそれを施したカゲチヨなどは手慣れたもので、掌に残る斯様なカルボウの腺液へ躊躇なく舌を這わせては舐め上げてしまう。
そうして僧正以外では初めて味わう他者のペニスの味わいに表情を明るくさせると次の瞬間には──カゲチヨはカルボウのペニスを口中に咥え込んでしまうのだった。
それを受け、突如としてペニス全体を包み込んでくる粘膜の滑りと体温に驚いてカルボウも声を上げる。
海綿体に血液が充満した状態のペニスはその根元に至るまで感覚が鋭敏になっており、そこに生じたカゲチヨの口唇による刺激は、未知の衝撃を以てカルボウを感覚の荒波の中へと連れ去っていた。
そんなカルボウの敏感過ぎる反応に気遣ってか、カゲチヨもまた僧正へと奉仕していた時の様な激しい動きは抑えつつ、徐々に口中において幼いペニスを責めだしていく。
その先端がよじれては、さやのように余り皮が閉じ合わさってしまっている包皮の隙間へとカゲチヨは舌先を侵入させた。
途端に舌上に恥垢から来る鋭い塩辛さが感じられたが、友人のその味わいをカゲチヨは不快に思うことは無かった。
むしろその味をもっと堪能しようと、先端の隙間から舌を侵入させては直にカルボウの亀頭へと舌先を這わせる。
カゲチヨの唾液と口中の熱によって、今日までの数年間癒着していた亀頭と包皮とが剥されていく痛痒感に、カルボウは頭を振り上げては声を上げた。
しかしながらその感覚も痛み一辺倒ではない。
ひりつくような痛みの中においても、そこにはカルボウの『オス』を刺激せずにはいられない快感が確かに存在していた。
斯様にして『子供』から『オス』へと変貌していくカルボウのその様が面白くて、カゲチヨの奉仕にもさらに力が入る。
存分に包皮の中へと唾液を送り込むと、カゲチヨはその中へ舌全体を滑り込ませては存分にそこへ溜まった恥垢を刮ぎ、そして唾液に溶けたそれを吸い上げた。
唾液と腺液とを絡めたそれらが、カゲチヨの口中で撹拌されては粘着質な吸水音を静寂の杉林に響かせる。
しかしながらカゲチヨからのフェラチオを受け続けるカルボウにおいては、矮小な己の体と脳内に渦巻く衝撃に晒されて幾度となく体を震わせては頭もまた旋回させた。
もはや痛みとも快感ともつかない感覚の中、いつしかカルボウのペニスはカゲチヨの口中においてすっかりその包皮を剥かれ、幼くして亀頭の全体をさらけ出していた。
もはやそんな亀頭を舐め尽くしては、そこに一切の穢れが無い状態にまで磨き上げると、カゲチヨは焦らすよう存分にそれを吸い上げながらカルボウのペニスを口中から引き抜いていく。
やがては柔らか気なカゲチヨの唇からも解き放たれると、ペニスは硬直の反動から大きくその身をしならせて外部に跳ね上がるや、外気を纏う刺激を感じ取ってはカルボウもまた仔犬のように悲痛な鳴き声を上げた。
そうして屹立してはすっかり変貌を遂げたカルボウのペニスを、カゲチヨは我がことのよう自慢げにチカマルへと晒した。
包皮が剥かれたことで真っ赤に充血したカルボウの亀頭は、はち切れんばかりの膨張と様々な体液にぬらついては、もはや宝石さながらの光沢をチカマルの目に返していた。
その光景を前に、チカマルは強い喉の渇きを覚えては生唾を飲み下す。
そして誰に教わるでもなく、それを前にチカマルもまた恐々と小さく口唇を開くと──……
次の瞬間には、戸惑うことなく眼前のペニスを咥え込んだ。
カルボウの一際高い嬌声が、山林の静謐にこだました。