ペニスを経て脳へと到来する未知の感覚──その衝撃のあまり、カルボウは一連の感覚を当初『快感』としては受け取ることが出来なかった。
しかしながら著しく情緒をかき乱される中においても、一際に意識が鮮明とされる瞬間が幾度かあった。
それこそはチカマルを意識するその一瞬一瞬だ。
自分の痴態がチカマルに見られているということ……事実、こんな自分を食い入るように見つめているチカマルを確認するだけでカルボウはまだ経験したことのない射精を予期しては、なおさらに強い興奮から意識を朦朧とさせた。
いつしかカルボウは、この行為へのチカマルの介入を強く望むようになる。
今カゲチヨがしてくれているような口取りをチカマルがしてくれたのならばと思うと、その妄想だけでカルボウは達してしまいそうになるのだった。
そして僥倖にもその願いは叶えられることとなる。
存分にしゃぶりつくしたカルボウのペニスをカゲチヨが解放し、腰元に屈みこんではそれを見つめていたチカマルが……不意に鼻先のそれを咥え込んだのだ。
その瞬間、抑えきれない排泄感がへその下に込み上がり、さらには肛門が胃に吸い込まれるのではないかと思われるほどに収縮しては肉体全体を痙攣させると同時──カゲチヨは咥え込むチカマルの口中において人生初となる射精を果たしていた。
カゲチヨにしゃぶられていた時には微塵として湧きおこらなかった射精の衝動は、ただ一口チカマルに咥えられただけでここに達成されてしまったのだ。
放尿とは明らかに違う、何か固形物がその形のままに尿道から排出されていく感触にもしかし、カルボウは未知の感覚に慄くよりもただそこから得られる快感に忘我した。
それは今日までの人生において比較するべきものが見当たらない部類の快感でありその衝撃は計り知れなかったが、今カルボウの心身を満たしているそれは他でもない『チカマルの中においてそれを果たせた』ことへの幸福感が大半を占めていた。
一方で……
「ッッ……んんんぅ~……ッ!」
突如として口中に湧き上がったそれを受けて衝撃に見舞われたのはチカマルだ。
元よりペニスについては排泄器官であることしか印象の無いチカマルにとって、いま咥え込んだそこからの射精など『口中において排尿をされている』事実と変わらない。
しかもそれは従来の尿とは違い酷く粘着質で、初夏に感じる草木の匂いにも似た噎せ返る生臭さをそこに湛えてもいた。
それら感触とも併せ、お世辞にも美味いとは思えぬそれではあったが……驚きこそはすれど、不思議とチカマルはそれに嫌悪を感じることは無かった。
むしろ口中において、その小振りの身を必死に跳ね上がらせながら精を撃ち出しているカルボウのペニスには愛らしさすら感じたほどだ。
そしてその想いはチカマルの行動にも反映され、あらかた射精し尽くしたペニスがその動きを緩やかにさせると、チカマルは頬を窄めては能動的に尿道に残る残滓を吸い上げるなどしてやった。
そんなチカマルからの奉仕に、カルボウは絶頂直後の鋭敏となった肉体の痛痒感と、さらにはそれを施してくれるチカマルの想いもまた感じとってはもはや、泣きじゃくるかのようなか細い声を絞り出す。
やがてはカルボウのペニスからも怒張が解け、収縮したそれが最後にチカマルの艶やかな唇を通り抜けて引き抜かれると──後には彼の精液を頬一杯に貯め込んだチカマルが残された。
その段になり、ようやく我に返ったカルボウは慌ててチカマルの正面に屈みこむと、口の中の不浄を吐き出すよう謝罪ながらに伝えた。
一方で当のチカマルはといえば、こうして額を突きわせた泣き顔のカルボウと、それを興奮と期待に満ちた表情で見守るカゲチヨを交互に見やると、やがて両手の小指を合わせては掌の杯を作り、そこへと口中の精液を吐き出していった。
数年を掛け体内の中で練り上げられてきたカルボウの初精はどこまでも純白で輝くかのような艶やかさをそこに湛えていた。
粘質も固形を見紛わんばかりの濃度であり、先に盗み見た僧正の物とは比べ物にならないほど無垢なものである事は、その知識のないチカマルにおいてでさえ分かるような気がした。
そしてそんな精液を見つめるチカマルは、それを前に次なる衝動へと駆られ、さらに肉体は脳からの意思決定を待つことなくその欲望を行動へと移す。
チカマルは手の上にあるカルボウの精液へ鼻先を近づけると……その一角を唇の先で咥え込んでは小さくすすり上げた。
思いもよらぬチカマルの行動に対しあからさまな迄に驚愕と羞恥の表情を見せるカルボウをよそに傍らのカゲチヨもまたそこへ鼻先を寄せると、チカマルの手の上から同じくにそこに盛られた精液を啜った。
改めて吟味するカルボウの精液は多少の生臭さはあってもどこか清涼感を後味に感じさせる味わいであり、舌先で撹拌しながら唾液と共に転がしていると、いつしかチカマルは口中のそれを自然と飲み下してしまうのだった。
そしてもっとそれを欲して再び手の平を見下ろせば、そこには顎を預けてきては横から精液を啜るカゲチヨと、さらには混乱と羞恥に耐えかねては自分でそれを回収しようと舌先を這わせるカルボウ達の顔が伺えた。
その中にチカマルもまた額を突き合わせると、三人は掌の精液をそれぞれに貪った。
伸ばされる舌先同士が小さなチカマルの掌において触れ合うと、いつか三人は自然と互いの唇を舐め合う行為へと移行していく。
誰のものとも区別せず舌先に触れたそれを口中へと引き込んでは蛇の交尾のよう絡み合わせ、互いの中にある精の残滓を絡めた唾液と交換をする。
いつしか三人は互いの額と鼻先を突きつけ合わせながらの口付けを、ファーストキスであることの感慨もなく粘着質に繰り返すのであった。
この日を境に、三人の遊び方とその関係性はより濃厚に、そして親密となっていく……──。
それこそは性の目覚めであると同時に、多様なる世界の在り方を幼き者達へ自覚させるにも至るのだった。