ウーラオスの寝座となる洞穴で目覚めた少年は最初、寝ぼけまなこに傍らのウーラオスへと抱き着いては存分に甘えた。
体全体でしがみ付きウーラオスの匂いを堪能するよう、あるいは自身の匂いを擦り付けるようにして、幾度となく埋めた顔を左右に振っては押し付けた。
そんな少年の仕草を、腕の中に抱いたウーラオスもまた胸掻き毟らんばかりの母性を刺激されては同じくに抱き寄せてその背をさする。
しばしそうして幸せな一時を過ごしていた二人ではあったが……徐々に覚醒の度合いが進むにつれ、幸福に緩んでいた少年の顔には疑惑の色が滲みだした。
やがてその表情は完全に困惑のそれへと変わり、依然抱き着いたその姿勢から顔を上げ、そこに仇であるウーラオスを確認するや──発火するかのよう飛び退り、寝座の奥底へと離れるや目頭へ皺をよせては激しく威嚇した。
首をすくめ、両肩をいからせては四つん這いになって声を呻らせる様はヤマネコそのものだ。──もっともウーラオスなどには、そんな表情の少年もまた愛らしく見えてもいたが。
しばし緊張を孕んだにらみ合いの末、少年は忙しなく視線を周囲へ巡らせると自分の置かれている状況を知ろうと躍起になる。
場所は言わずもがな、ウーラオスが寝起きをしている洞穴だ。
広さ的には彼女が僅かに身を屈めて立てる程度の天井はあり、少年ならば難無く直立して行動することが可能だった。
むしろそう考えた時、この場所は少年を有利とする地の利に富んでいる。
それを理解し、彼女への再戦を挑もうと画策する少年ではあったが……途端体の力が抜けたかと思うと、意志とは別に少年は前のめりに倒れ込んだ。
その状況に困惑しては、少年も必死に体へ力を込めて立ち上がろうとするがそれも叶わない。その理由こそは極度の疲労と空腹にあった。
二日間を掛けて師の墓穴を掘った少年は寝食を忘れて作業に没頭しており、肉体は疾うに体力の限界を迎えていた訳である。
それでも意識だけは明朗としている少年はどうにかしてガス欠の体を引き起こそうと、エンストした車へ幾度となくイグニッションを試みるかのよう、瞬発的に身を引き起こしては脱力するを繰り返す。
そんな中──ふいに何かが少年へと投げつけられては、目の前にそれが転がった。
何事かと思い、寝座の薄暗がりの中に目を凝らせば──目の前にあったのは一つの木の実であった。
それこそは師が生きていた頃にも振舞われていた謂わば少年の主食であり、それを目にしなおかつ香りまで鼻腔に届くと途端に食欲が刺激されては唾液腺が崩壊する。
両の口角から滂沱となって溢れ出る唾液を抑えながら、これを放ってくれたであろう前方のウーラオスを見遣れば、そこにおいて彼女もまた同じ実を頬張っては食事をしていた。
そんな彼女を見据えたまま遂には食欲に勝てず、少年はおずおずと目の前の木の実を取ると──後は抱えたそれを無我夢中で食べた。
瞬く間にひとつを完食するとそれを見計らったようウーラオスが次の木の実を放って寄こす。
結果として計三つを食べ尽くすと次の瞬間──まるで張り詰めていた糸が切れるかのよう、少年は意識を朦朧とさせては再び前のめりに倒れ込む。
一服盛られたかにも見えるような状況ではあるが、こと少年においては極度の疲労に由来するものだ。
疲労困憊の肉体は食料の摂取後に更に、少年の意志などお構いなしの休養を敢行していた。
もはや失心さながらに意識を失った少年が次に目を覚ました時には──今度は仰向けに寝転がるウーラオスの腹の上に置かれていた。
見れば彼女もまた眠っているようで、しばし少年はその体の上からこのウーラオスを観察する。
師であったウーラオスも同じように少年のベッド代わりになってくれていたが、いま体の下に敷いている質感は全く別物であった。
彼女の方がはるかに毛並みがきめ細やかで肉体の柔らかさに富んでいた。
加えてメス特有の仄かに酸味を帯びた暖かく柔らかい体臭は、半ば強制的に少年の心を鎮静化させてしまう謎の効果もあった。
しかしながら、それでもやはり強大なその肉体を前に少年は考えあぐねてしまう。
以降、どうやってこの肉体を攻略するかだ。
はたして自分の細い手足でこの厚い肉体を貫けるものだろうか……現実は果てしなくも残酷だ。
もはや無意識に彼女の体の上に手を這わせていると不意に掌に、師の体には無かった特徴を少年は覚える。
それこそは毛並みの下に隠れた乳房の存在であった。
それが手に触れ、さらには他の筋肉には無い弾力をそこに覚えると少年は集中的にそこへ手を這わせていく。
掌の中に収めて力を込めると、脂肪質なそれはたちどころに指の間を埋め尽くしてはその形に溢れ出た。
心地良いその感触を何気なく楽しんでいた少年ではあったが、次第にそこを弄ぶ行為に夢中となっていく。
幾度となくそこをまさぐっていると、斯様な乳房の頂点には明らかに異質な硬さの乳首もまた確認できた。
そんなウーラオスの体をよじ登るようにして身を引き起こすと、少年は今しがた発見した乳首へと鼻先を寄せ、その周囲の毛並みをかき分けては、目の間に出現したそれをまじまじを見つめる。
モノクロな体色には似つかわしくもない鮮明な薄紅色のそれを目の前に、さらにはそこを突いたり、時に指先で摘まみ上げるなどして弄んでなどいると、それに反応するようウーラオスが夢うつつに小さなうめき声を上げた。
それに驚いては、彼女を刺激するような行動をとってしまった不用意を自身に咎めるがしかし──もはや少年の肉体はそんな脳からの指令を受け付けなくなっていた。
物心ついてからはポケモンしか知らない少年ではあっても、哺乳類の本能として乳房を求めてしまう強い希求心が少年の中には渦巻いていた。
ましてやまだ幼く、精神の抑制などできない少年は次の瞬間──そんな目の前に現れた乳首を、本能の赴くままに深く口中へと咥え込んでしまうのだった。
それを受け、今度は明らかにそれへ反応するようウーラオスの体が弓なりに直伸しては大きく跳ね上がる。
それでもしかし少年は彼女の乳房を弄ぶ行為をやめられなかった。
しばし吸い付けて口を離すと、周囲の毛並みが濡れそぼって倒れたことにより、唾液に濡れた乳首がより鮮明に眼前へと立ち上がった。
そこへ荒々しく掌を被せて揉みしだくと、今度は反対の乳首へと少年は強く吸い付く。
かくして口唇と掌に同時の愛撫を続ける中、不意に少年の行動は制止を余儀なくされる。
突如として背に重みが生じたかと思うや、それがウーラオスの掌が置かれたものだとたちどころに察知する。
そして乳房に向けていた視線を上げてその先を見遣れば──そこには憮然とした表情でこちらを見下ろしているウーラオスの顔が窺えた。
それを前に少年はどう身を処したものか混乱する。
今まで通りに強く威嚇して然るべきなのであろうが、この時の少年には不思議とそう言った気概の一切が失われていた。
ただ相手の出方を窺うばかりの自分に困惑しながらしばし見つめ合っていたがしかし──状況は思わぬ方向へと一変することとなる。
突如としてウーラオスは少年を抱き上げ鼻先同士を突きわせた次の瞬間、その唇を荒々しく奪っていた。
触れ合わせる程度のものなどではなく、侵入してきた舌先が小さい少年の口中を埋め尽くしては、その中にある唾液を根こそぎ奪い取るかのような蹂躙……そんな愛撫に晒されては必死に抵抗を試みようと少年も身を捩じらせるが、もはやその非力な肉体ではこの状況を覆すことは不可能であった。
なぜならばこの時のウーラオスは既に激しく発情を促されては、一切の力加減を制御出来なくなっていたからである。