※ 注意!
この回にはレズビアン・同性愛の性的表現が多く含まれます。
借り受けたエースバーンを返すそのすがら、私は一連のゾロアークの凶状を先輩へと相談した。
もはや一人でこの問題を抱えるには、私の精神力が保たないと感じたからだ。
先輩は私の3つ歳上となるトレーナーで、過去には大きいリーグでの優勝経験もある名の知れた存在だった。
卒業校が同じだったという好(よしみ)からの知り合いで、まだ有名になる前から何かと私に気を掛けてくれていたし、その付き合いはリーグ制覇後に彼女が名声を得てからも変わらなかった。
むしろ私としては、リーグ覇者という肩書よりもそんな先輩の人間性に惹かれている部分の方が大きい。
先輩が私のことをどう思っているかは別としても、少なくとも私はこの人を実の姉のように慕っては、私生活における相談事も事あるごとにしていた。
それでも今回は……
『それは……けっこう深刻かもね』
私の話を聞き終えても、先輩は膝の上のエースバーンを撫でたまま顔を上げなかった。
エースバーンはそれが心地良いのか、それとも昨日の疲れが抜けていないのか先輩の膝の上で微睡んでいる。
『過去にポケモンが自分のトレーナーを手にかける事件も無かったわけじゃないの。──そしてそういった事件の場合、大きな原因は二つに分けられたわ』
「二つ、ですか?」
『ええ。一つはポケモンが劣悪な環境に置かれていて、そこを脱するために反逆するパターン。そしてもう一つは、ポケモンそのものに問題があるパターン……』
ポケモンにも様々な性格や嗜好というものが存在する。
例えるに他者を傷つけることが好きなポケモンは、自身ではその行為をイレギュラーなものだとは分からずに繰り返してしまうのだという。
そうなのだとしたら、私のゾロアークは間違いなく後者だった。
人もポケモンも同じなのかもしれない──そう言って先輩は、ようやく顔を上げて私を見た。
『恵まれてる環境でちゃんとした教育を受けたポケモンだって犯罪に走る場合もある。でも全てのポケモンが『問題があるから罪を犯した』のかと言えば違うわ。良識は備わっていても、一時の気の迷いで突発的にやってしまった場合だってある……』
そう言って先輩は僅かに微笑む。
『今回の件があったからって、ゾロアークを異常と決めつけるのは早いわよ? 必ず原因はあるはずだから、あの子のことは見捨てずに見てあげて』
そう締めくくられては、私は何も言い返せなくなってしまった。
正直、ゾロアークへの不信感は消えない……これこそは当事者だからこその感想だ。
もっとも先輩はそんな私の心情もまた理解しているからこそ、早まったこと──この場合は警察やポケモンセンターへの通報等の行動は慎むようにと釘を刺してくれたのだろう。
こうした問題を抱えたポケモンを有していたとあれば、それはトレーナーとしての私の名にも傷かつくこととなってしまうからだ。
結局のところ納得のいく答えには行き着けなかったが、先輩に話すことでだいぶ私の気持ちは楽になっていた。
私は先輩が好きだ──それは単なる好意や尊敬などではなく、きっと一人の女性として心惹かれているのだと思う。
決して明かすことの出来ない想いではあるけど、それを胸に秘めるからこそ彼女を崇敬していられる今の状況もまた私には心地良かった。
先輩の家を辞去し、私は帰宅を果たす。
その時にはもう、気は進まないが一度ゾロアークと話しあってみようと決めていた。
思えば私は彼女の凶状に慄くばかりで、その原因と向き合うことをしていなかったように思う。
このままでは何も変わらない……真の解決を望むのであれば、何よりもその当事者であるゾロアークと語ることこそが今できる最善の方法だと私は結論づけていた。
そう思い、家中を探すも……そのどこにもゾロアークの姿はなかった。
手持ちのモンスターボールを確認してもその中に彼女が居る様子はない。
普段は私につかず離れずで付きまとっているというのに、本当に必要な時には居ないというのだから皮肉なものである。
ゾロアークが再び私の前に姿を現したのは、それから3時間も後のことだった。
すでに夕食も終えてくつろいでいた私の前へ突如として現れたかと思うと──彼女は見下ろす私を凝視したまま、手にしていたスマホを差し出した。
見ればそれはスマホに入り込んだロトムであり、ゾロアークはまるで何かを命じるかのようそんなスマホロトムの背をデコピンで弾いた。
そんなゾロアークからの刺激に、ロトムは怯えた様子でタッチパネルのモニターを点灯させる。次いで行われたのは動画再生だ。
そしてそこに映し出された映像に──私は衝撃と恐怖から硬直し、目を見開いてはそれに見入った。
動画は、どこか一般住宅の居室内を映したものであった。
見覚えの家具の配置と種類に私は不整脈を覚える──その部屋こそは、今日の昼間に尋ねていた先輩の部屋そのものだったからだ。
「うそ……うそだよね……うそだと言ってぇ……ッ!」
口元を押さえながら映像に見入る中──祈る私をあざ笑うかのよう、目の前には最悪の光景が展開された。
固定された映像の中で、ベッドの前に歩み出してきたのはゾロアークと……そして全裸の先輩であったからだ。
表情の虚ろな先輩は、何処を見るでもなく虚空に視線を漂わせたまま、ただ茫然自失と立ち尽くしては僅かに体を右へ左へと揺らしている。
そんな先輩を支えるよう傍らのゾロアークが抱き寄せ方かと思うと、彼女はそのまま先輩の唇を奪った。
キスというよりはもう、自分の舌を相手の口中へと侵入させるといった体のそれは趣味の悪いホラーSFを思わせるグロテクスさだ。
そうして存分に先輩の口唇を蹂躙するや、ついでゾロアークは彼女の右乳房へと吸い付く。
豊満な乳房を根元から握りしめ、乳首の先へ血流と脂肪とを偏らせるとそこへ肉にでも食らいつくよう雑に牙を立てた。
しばしそうして口中に含んだそれを堪能して吐き出すと、先輩の乳房には痛々しくもゾロアークの牙の痕がリンク状に残される。
以降はベッドへと移行し、そこにおいてもゾロアークは先輩の体を蹂躙していった。
首を、二の腕を、腿を、そして尻を……両腕を掲げたまま、虚ろな視線をロトムへと投げかけたままの先輩の体には、瞬く間にゾロアークの歯跡が刻まれていく。中には鮮血すら滲ませる箇所すらあった。
そしてゾロアークの牙はついに膣へと至る。
両足を逆手に取って持ち上げるや、開かれた股の間へとゾロアークは口先を寄せる。
そこから激しく音を立てては唾液と、そして先輩からの分泌液とを撹拌しては吸い上げる激音が、まるでテレビのノイズのよう部屋中に響き渡った。
そんな暴力を一身に受ける先輩の虚ろな顔にも変化が現れる。
無表情こそは変わらぬものの、膣への刺激に対し小刻みに息を押し殺す様子が見て取れた。……こんな状況に置かれつつも、肉体は外的刺激に対して反応をしてしまうのだろう。
それが望まぬものであっても、先輩の中には罪悪感を伴った快感がその虚ろな表情の下に逆巻いているのが見てとれた。
そしてゾロアークの舌先がいっそうに動きを増し、もはやペニス同然に先輩の膣の中を往復してはその最深部──子宮にまでそれを到達させた瞬間、
『あ……あぐぅぅ……ッ!』
強制的に引き上げられるその激しい絶頂に先輩が呻きを上げた。
同時に──その目尻から溢れた涙が一滴、頬を伝わって落ちた。
──……映像はそこまでだった。
後は一切の興味を失くしたかのよう、ゾロアークは先輩を打ち捨ててはベッドから降りる。
そして録画をしているスマホロトムへと歩み寄ってくると長身を屈ませ、それを止めるべくにカメラへと右手を伸ばした。
その光景がまるで、悪魔が私の心臓を掴むために手を伸ばす妄想と重なり──私は激しい恐怖から嘔吐しては、胃の中身を部屋の中へとぶちまけてしまう。
もはや座っている体位すらも維持できなくなり、私は前方へと倒れ込みながらに気絶をした。
そうして意識が闇の中へと暗転する瞬間──何者かの腕が私の体を抱き支えてくれる。
状況からにそれはゾロアークに違いない。
全ての元凶であり、そして己の快楽を満たすためにはもはや手段を選ばぬ怪物のはずなのに──そんなモンスターの両腕は、誰よりも優しく私を包み込んでは抱き留めてくれるのだった……。