緩やかに覚醒をすると……私は自分の服装が気絶前とは違うことに気付いた。
ワンピースを基調に、体中にはリボンやらカーテンのレースやらといった端切れが幾重にも巻かれたりしている。
でたらめなコーディネイトながらも、これを施した人物の「少しでも私を可愛くしよう」といった気持ちが不器用なほどに伝わってくるのを感じた。
未だ朦朧とする意識の中で首だけを動かして周囲を望む。
どうやらベッドに寝かしつけられているようだった。
そしてベッド下の床には──空になったモンスターボールが幾つも散乱していた。
おそらくはボールの中のポケモンを全て野に逃がしたのだろう……もはや私には一連の奇行の犯人は分かっていた。
そしてその犯人は今、突如として私の視界の前に顔を出しては私を覗き込んだ。
ゾロアークだ。
その登場にも私はもう驚かなかった。
度重なるゾロアークの蛮行により全てを失ってしまった私にはもう、彼女のことを恐怖する理由も気概も残されてはいなかった。
私から全てを奪い去ったゾロアークの最後の目的はこの私自身への凌辱なのだろう……もう好きにすればいい。
犯すなり切り刻むなり好きにして……私は、疲れてしまった。
しばしそんな捨て鉢の私をゾロアークは見つめていた。
しかしながらその表情にあの歪んだ笑顔は見られない。むしろその顔はどこまでもあどけなくて幼く見えた。
そんな顔が野花のように素朴に微笑んだかと思うと、ゾロアークは私の唇をキスでふさいだ。
小さくついばむを何度も繰り返すそれは、無垢な少女が初めてのキスを戸惑いながらも繰り返すぎこちなさを覚えさせるようだった。
先輩をレイプした時の動画に見られたような、えげつないものを想像していた私には拍子抜けだ。
やがてゾロアークの口先は私の唇から離れ、舌先を肌の上に這わせながら下降していった。
顎の下を通り、首筋にて一度吸いつけさせ、さらに下りていく。
それが胸元へと差し掛かるとゾロアークの両手は器用に前止めのボタンを外した。
恥ずかしいくらいにボリュームの無い私の胸元を目の当たりにし、それでも大きく目を剥くゾロアーク。触れ合う体越しから打楽器さながらの鼓動を感じるに、いかに彼女が緊張と興奮とを抱いているのかが手に取るように分かった。
やがては震える口先で、そっと私の乳首の先端をゾロアークは咥え込んだ。
その吸いつけられる感覚と、舌先が乳首を転がす感触に私も思わず呻きを漏らす。
この時ばかりはゾロアークの愛撫が感情を優先させた荒いものとなった。それでもしかし、ガラス細工を扱うかのような繊細さと優しさは変わらない。
今この場に満ちているゾロアークの感情には、私への愛以外は何物も無かった。
思えばエースバーンや先輩に対して性的な接触をする時のゾロアークは、そのどの時も怒っていたように思えた。
自身の性的欲求を満たすためというよりは、私怨を晴らすための仕置きを敢行しているといった気配が強かったのだと、今のこの愛撫から私には察せられた。
やがて下降を続けていたゾロアークの舌先は、下半身におけるショーツの前で止まった。
色気も無い木綿性の無地のショーツではあるが、ゾロアークの目に映る印象はまったく違うようだ。
それを前にして興奮が極みに達するあまり、そこ一点を見つめたままもはや疾走後の犬のように舌を吐き出しては荒い呼吸を繰り返している。
存分に自身でおあずけをして気持ちを昂らせ、そこからゾロアークはゆっくりと私のショーツに鼻先を着地させる。
木綿の表面に鼻頭を埋めると、膣のクレバスの形に沿って濡れた鼻が沈んだ。そこから大きく息を吸い込んでは私の匂いを鼻腔に充満させるや──ついにゾロアークの一線は切られてしまった。
うなり声を上げては荒々しくショーツの前マチをずらすと、その下で咲いた膣の陰唇に舌先を潜り込ませる。
小陰唇と大陰唇の溝を舌先でこそぎながら丁寧に、味わうように私の膣を舐めるゾロアーク……同時に彼女もまた、自身の膣にも指を這わせては双方の愛撫を楽しんだ。
陰唇のひだを口先でくわえ、前歯でそれを咀嚼しつつも膣口へ口づけをしては吸い上げるゾロアークの愛撫に……徐々に私の体も反応し始めていた。
僅かに侵入してきたゾロアークの舌先が膣の浅い場所を何度も舐め擦る。
私の反応を窺いながらけっして一度に深くは侵入せず、徐々に幼い膣をほぐしていくその愛撫に──いつしか私は浅い絶頂を繰り返しては、止めどなく愛液の滴りを漏らし始めていた。
「んッ……んうぅ………くぅッ!」
そしてその日初めての深い絶頂に到達し、私は身を反らせてはその感覚に体を硬直させた。
へそを天に向け、色気の欠片も無いのっぺりとした腹を震わせて身悶えるそんな私の痴態を、それでもゾロアークは恍惚の表情で見守っている。
微笑みすら伺えるその表情には、真に私との今を堪能しているであろう様子が窺えた。
やがては完全に脱力して私がベッドに沈むと、ゾロアークもまた身を乗り出してきては両膝を立てたままの私の腰元へとつける。
右ひざを立て、畳んだ左足は胡坐をかくように投げ出すと、露になった自分の膣を指で愛撫し、陰唇のひだを存分に外部へと浮き上がらせる。
薔薇の花弁のようにはみ出した大小の陰唇と、充血しては屹立したクリトリス……その膣を、対照的に起伏の少ない私の膣へと重ね合わせる。
私達の陰唇同士が絡み合い、そしてクリトリス同士がその腹を合わせるや──
『きゃううぅんッ!』
揃って私達は犬のような鳴き声を上げた。
その瞬間、肉体には電流のような強い快感が走る。
私とて一人寝の夜に自身を慰める行為は幾度となくしたが、これほどまでの快感を感じたことなどは無かった。
むしろその刺激が強すぎるがゆえに、それを快感として取られないほどだった。
それでもしかしゾロアークは止まらない。
より一層に身を乗り出させると、私の体を右仰臥に寝そべらせては大きく開脚させた左足をゾロアークは担いだ。
これによって私とゾロアークの股座が噛み合うと、膣口同士の接触はより深く濃密なものとなった。
粘度の違う私とゾロアークの愛液が、彼女のストロークによって撹拌されては粘着質な水音を周囲に鳴り響かせる。
もはや極度の快感から箍の外れた私の膣などは、幾度なく放尿とも潮ともつかない体液の噴出を繰り返してはゾロアークの内腿を濡らした。
そうして私を責めつつも上背を倒すと、ゾロアークは私とのキスを望む、
互いの舌同士を絡め合い唾液を交換するディープキスのからの酸欠に、私は意識を朦朧とさせた。
上半身ではねっとりと絡ませるようなキスを交わしながらも、下半身ではゾロアークのスライドする腰元が更なる速度を得ては激しさを増す。
その動きに絶頂が近いことと、そして浅ましいほどにまでそれを早く得たいというゾロアークの気持ちとが、まるで私自身が彼女になったかのように伝わってきた。
そうして斯様な一心同体の感覚の中で一際強く疼いていた感情は──
「はぁはぁ……私のこと、好きなんだね………大好き、なんだね……」
そんな痛いくらいに不器用なゾロアークの愛に他ならなかった。
やがて最後の瞬間が訪れる──。
一際強くゾロアークが腰元を押し付け、そして彼女からも愛液の飛沫が激しく吹き上がりその熱が私の膣にも注がれた瞬間──
『んおッ……おおぉぅ……ッッ』
私達は同時に絶頂しては果てた。
直後、まるでゼンマイが切れた玩具のよう突如に脱力しては私の上に覆いかぶさってくるゾロアーク。
荒い呼吸のまま、もはや耳の先すら動かすことも出来ないといった体の彼女を私も抱きしめてやる。
そうして抱えるように彼女の巨体に腕を回し不器用に後ろ頭を撫でてやると──ゾロアークはゾロアの時に戻ったかのような甲高く甘えた声を上げた。
時を忘れて、ただ私はそんなゾロアークを抱きしめ続けた……──
抱きしめ続けている間も、ゾロアークはいたずらに私の肌や乳房に口先を吸いつけてきてはコロコロと笑った。
幸せだった……このまま永遠にこの時の中で生きられるならばどれだけ良かったことだろう。
しかし私達は──少なくとも私は責任を取らなくてはならない。
一頻り撫でていたゾロアークの額に深く口づけをして区切りをつけると私はベッドから降りた。
一糸まとわぬ姿も意に介さずにキッチンへと進んでいくと……そこにて私はキッチンナイフの一本を手に取る。
私は祈るように胸の前で握りしめたそのナイフの切っ先越しに、私はゾロアークを見た。
「私達はいろんな人たちを傷つけちゃった……その責任は取らなきゃいけない」
ゾロアークに抱かれている時に幾度となく考えたその想いを私は言葉にしていく。
「私はあなた罰しなければならない……でも、強要はしない。逃げたければ逃げてもいいよ……」
結局、私の出した結論の中では彼女を罰することなどできなかった。どんな結末を迎えてしまっても、私とって初めてパートナーだったゾロアークはやはり特別な存在だったのだ。
「私はここに残るから……あなたはもう行って」
そう言葉を紡ぎ、別れのそれを継げようとしたその時──ゾロアークが一歩前に出た。
包み込むように私の背を抱いてくれると、自らナイフの切っ先の上へと顎を乗せる。
ゾロアークの心もまた決まっていたのだ。
ここで私と共に在ること……それこそが望み……たとえそれが死に殉ずる運命であったとしても、ゾロアークは私と共に在ることを選んでくれたのだった。
その瞬間、今まで無表情を守り通してきた私の顔は途端に崩れた。
涙に泣き濡れては幾度となく嗚咽を上げた。
「ごめんね……ごめんねぇ……私が、ちゃんと愛して、あげられなかったから………ッ!」
謝る私の背をさすってくれるとさらにゾロアークは深くナイフの上に体重を掛ける。
このまま自害することは彼女にはできない。最後の瞬間は、私の手でその幕を引いてやらねばならないのだ。
「いっしょだよ……わたしも……わたしも、すぐにいくからね……ッ」
もはや泣きじゃくるあまり、傍からは何を言っているのか判断できないほどに私の声は震えた。
そうして私は強く──手の中のナイフに力を込めた。