背後から両膝の裏を抱え、さながら女児へ小用を促すかのような姿勢でテレサはチラチーノを誘導した。
もはや何らかの筋肉や筋が分断されているであろうチラチーノの膣口は、先にディルド3本を挿入していた時のままに開放されては、粘膜の蠢く膣壁を霰もなく外気へと晒していた。
もはや取り返しのつかないそんな己の肉体と、そして今より行われようとしている仕置きを前にチラチーノは幾度となく小首を振っては最後の許しをテレサへと懇願する。
とはいえ、ここまで膳立てをしておいて彼女がそれを止める気が無いことはチラチーノが一番理解していた。
もはやこの凶悪なディルドに貫かれてしまうのも時間の問題かと思われたその時──ゆっくりと下降していた動きがふいに停まる。
何事かと思い、背後のテレサを見上げるようにして振り返れば……そこにはどこか思案気に苦笑を帯びた彼女の顔があった。
そのまま尚も美しさを損なわない端整な鼻先を寄せてきたかと思うと、テレサの柔らかい唇はチラチーノの口元もまた塞いだ。
味わう様に上唇を食んでくるその優しい愛撫に、その一時チラチーノも全ての苦痛と不安を忘れては忘我する。
テレサは絶対的な主であると同時にしかし、最も敬愛してやまない存在でもあった。
そのテレサからの愛撫はどんな苦痛も和らげてくれる最高の媚薬であり、事実今その愛情を感じ取るチラチーノは極端なリラックス状態に陥っては全身を弛緩させ、股間からは愛液とも失禁ともつかない大量の粘液が溢れだしてはしとどにその下のディルドを濡らす。
そして斯様な状態のまま──テレサは一切の感慨も無く、一息にディルド上へとチラチーノを着地させた。
下方から内臓を圧迫してせり上がる異物感とそして数多の繊維組織が連続して引きちぎられる感触……更には例えようもない苦しみと痛みとが一度に胎内において爆発した瞬間──チラチーノはテレサの唇を振り切っては咳とも雄叫びともつかぬ声を力強くも短く発した。
平素の小さく可憐な姿からは信じられぬような野太いその声は、いかに今の衝撃が凄まじいものであったかを物語っている。
そしてテレサもまた、全体重を斯様なチラチーノの上へ圧し掛からせては更なる挿入を促した。
傍から見るチラチーノの股間はもはや元の生物的な輪郭からはかけ離れ、ディルドの形状に強制された形と相成っていた。
その様たるや件のサザンドラ・ディルドからチラチーノの両足が生えだしているといった様相(シルエット)ですらある。
そんな規格外の挿入に対し、胎内の半分以上をディルドに埋め尽くされたチラチーノのあらゆる内臓器は全て胸元に押し上げられ、その影響から開け放たれた口角からは鮮血すらにじませた泡沫が溢れだしてきては膨張の限りに張り詰めた胸元や腹部へと流れだしては伝わり落ちる。
「あと少し……もう少しよ、チラチーノ……」
そこまで為されもなおディルドの裾はチラチーノの膣(なか)に埋まり切らず、僅かに下端を覗かせていた。
それを押し込むべくさらに体重と、そして渾身の力を込めるテレサに対し、その下敷きとされているチラチーノは一杯に瞳を見開いてはその眼球が零れ落ちんほど剥き出したその視線をテレサへと向ける。
もはや完全に肺が圧迫されていることで声を上げることはおろか呼吸すらもままならないチラチーノに、この蛮行の停止させる術はただ視線においてそれを訴えかけるしかなかった。
それもしかしテレサが受け入れようはずもなく……最後の瞬間はいとも呆気なく訪れてしまう。
その瞬間、機械音の如くに鳴ったその重く乾いた響きをチラチーノは信じられぬ思いで聞いた。
おおよそ生物から奏でられるような部類の物ではないそれの正体が、骨盤が完全に左右へ分離した音だと理解した瞬間──まるで仕えていた栓が抜けたかのよう、チラチーノの体は沈み込んで、いとも容易く跨いでいたディルド全体を胎内に収めてしまった。
その最後の一押しとなる圧に押し出されるよう、チラチーノは顎を上げ鼻先を天に向けると、開け放った口中から舌を吐き出しては溢れ出る鼻血の鮮血をほうれい線の溝に伝わらせた。
その後はかすれた笛の音(ね)のようなか細い呼吸を繰り返しながら時折り来る痙攣に肉体を震えさせるチラチーノ……末広がりに拡張された肉体をベッド上において屹立させたその姿はもはや、チラチーノの皮を被せられたディルドがそこに存在しているかのような眺めですらあった。
斯様にしてもはやオブジェ然と化しては震えるばかりのチラチーノを暫し満足げに眺めた末──テレサは名残惜しげにその視線を振り切ってベッドから降りた。
そうして猫のよう足音もなく均整な歩調で進み出ると、ベッドから離れた暖炉の傍らで並び立つバリヤードとバウッツェルの前へ歩を進めた。
一連の仕置きの一部始終を目撃していた二匹は輪郭がぶれるほどに震えては辛うじてその立ち居を保っていた。
そんな二匹を前に、この地獄のような光景には似もつかぬ程に柔かげな微笑みを向けたかと思うと、テレサはその長身を折っては顔を寄せ二匹にとある指示を下す。
それを受け、一様に身を震わせては緊張の度合いを増す二匹ではあるが、特にバリヤードの動揺は殊更に激しいことこの上なかった。
よもや己の聞き違いではないかと、僭越にも尋ね返すバリヤードにもテレサはそれが聞き違いなどではないことを頷くと、よもやバリヤードの顔はこの瞬間で一度に数十年は老け込んだかのよう青白くなった。
この時テレサより命令されたことは、もはやどんな生物においても常軌を逸した行動であり、それを傍らで聞いていたバウッツェルなどは、その役割を果たすのが自分でなかったことに感謝すら覚えた。
かくして最後の仕上げともなるそれら命令を鞭役達へ伝えると、テレサは歩みだしては再びクローゼットへと向かった。
そうしてそこの両開きを開け放ち、中にある自身の芸術作品のひとつを見下ろすと──テレサは身に纏っていた衣服を滑らせるように脱ぎ棄てる。
露にされるテレサの裸体たるや、その白い肌と陶器のごとききめ細やかな光沢を返す瑞々しさはもはや、彼女自身が一個の芸術作品であるかのような神々しさを、この暖炉だけの頼りない照明が満ちる空間に燦然と輝かせるようであった。
そんな染みひとつとして見当たらない自身の肉体を扉裏の姿見に映したテレサは、その自身の肉体を上目遣いに凝視する。
袈裟に左手を右肩に掛け、そして長く均整な右腕を下腹へ巻きつけるように巡らせて自身の体を両腕で抱きすくめると、
テレサは噛み締めるよう、これが相対すること最後となる無垢な自身の肉体を──その目にしかと焼き付けるのだった。