テレサがクローゼットから取り出したものは革製のコルセットであった。
腰の括れを矯正する為のそれは本来、胴を包み込むべく筒状に両端が開口しては下方へ狭窄する造りとなっている。
それにも拘らず、今テレサが手にしているコルセットはその細まった下辺の先端へ更に、日常生活ではまず目にすることのない『異物』が取り付けられていた。
それは下着めいた革片であり、おそらくはコルセットを胴へ巻き付けた後にこれを跨ぐことで、この革片が下穿きとなることが推測された。
しかしながら何よりも異様であったのはそんな下穿きそこに取り付けられた異物の存在にある。
下穿き部のクロッチに当たる箇所からは、人間のペニスを思わせるディルドが双頭の蛇さながら、下穿きを境にして内外に伸び出ていたからだ。
当然ながら内にこのようなものが生えてしまっていては装着など不可能とも思えるがしかし……こと女性に関してはそれも可能と言えた。
そしてその実践するかのよう、テレサはそれを身に纏っていく。
従来通りにまずはコルセットの環をくぐって腰に装着させると、そこにて革のベルトを引き絞り体躯へと密着させる。
元より痩躯のテレサにおいては斯様なコルセットの装着後もシルエットの変化はまったくといって良いほど見受けられなかった。
そして問題となる下穿き部に付属したディルドの先端を膣口に宛がうと──テレサは亀頭然としたそれをゆっくりと胎内へと挿入させていく。
このディルド付き下穿きを女性こそが装着出来る理由はここにある。
会陰上に膣口が穿たれている肉体的構造上、そこへディルドを納めることによってテレサはこの下穿きを身に纏うことが出来るのだった。
「ッ……ふッ。ん、くう………ッ」
それでもしかし、陶器製の先端が膣壁を押し分ける重さとその冷感にテレサも呼吸を詰める。
その全長からしても20㎝は下らなく、胴回りを見ても5㎝は越えようかという巨根の代物である。
そんな下手物にもしかし、前以て塗布しておいた潤滑油の助けも借りて挿入し続けていると──やがてそれらは全て、彼女の膣内へ挿入されてしまうのだった。
胎内に取り込んだ異物を馴染ませるよう深く息をつくと、改めてテレサは屈めていた背筋を伸ばした。
斯様にしても威風堂々と振る舞う彼女に連動するよう、外部へと伸び出していたディルドもまた、撓りを打たせては屹立する。
まるで元からそうであったかのような今の振る舞いそれこそは、さながらテレサから生えたぺニスが勃起を果たしているかのような眺めですらあった。
斯様にして両性具有の存在へと変貌を果たしたテレサは再びベッドへと戻りその上に両ひざをついて乗り上がる。
キングサイズのベッドの中央では、依然として巨大ディルドを胎内に納めて変質したチラチーノが、歪な彫刻然としてうち震えていた。
そんな彼女の背後に回ると、テレサは愛おし気に深く抱きしめ、マフラー然とした彼女の毛並みが生い茂る首筋へと鼻先を埋める。
しばしそうして包容し互いの体温を共有させていると自然、苦しげに痙攣と浅く小刻みな呼吸を繰り返していたチラチーノの症状もまた緩和していくのが端からも見てとれた。
事実チラチーノ自身も、依然として苦悶の名残を眉もとに残しながらも見開いていた瞼を閉じ、ようやくに呼吸を落ち着かせ
る。
この時のチラチーノにしても、よもやこれ以上の無茶や苦しみなど在り得はしないと希望的観測に傾いてもいた。
実際チラチーノの経験や知識にしてもこれ以上の責め苦などは想像すらできなかったのである。
しかしながらやはりとも言うべきか──無惨にも現実は、その上へと展開してしまう。
落ち着いたかに見えたチラチーノの瞳が一変して驚愕に見開かれた。
最初は皿のよう見開いては驚きを、そしてその後はその顔面一杯に脂汗の玉を浮き上がらせて疑惑に瞼を歪めながら背後のテレサは伺う。
限界も甚だしいチラチーノはもはや、声をして訴え掛けることもできない。
ただ歪めた瞳とかすれた笛の音のような呼吸音で今の我が身に起きている苦しみへの問いと、そしてそれへの許しを請うが……
「さぁ、チラチーノ……一緒に踊りましょう……鞭の調で」
より一層に深く抱きしめてくるテレサに連動し、肉体の痛みと苦しみはより一層に激しさを増した。
この時、テレサの股間から生え伸びたディルドは、その先端をチラチーノの肛門へと挿入していた。
ただでさえ規格外のサザンドラ・ディルドによって拡張されては肉の薄くなったチラチーノの尻へと、更なる異物の挿入をテレサは敢行したのである。
その後も身を襲う、文字通りに引き裂かれんばかりの痛みにチラチーノも抵抗を試みるも、現在の窮状に加えて背後から圧し掛かられているとあっては抗しようもない。
既にテレサからのディルドはその半分以上が肛門へとおさまり、直腸と膣壁とが挟み込むそれぞれのディルドによって磨り潰される痛みに、もはや意志とは別の生存本能に由来するくぐもった声がチラチーノの愛らしい口元からは漏れ出していた。
それこそは今現在テレサが引き裂いている内臓の破裂音が、咽頭をスピーカーとして外部へと鳴り出されているかのようですらあった。
「あと少し……もう少しで、全部入るわ……」
既に全体の2/3が収まり、その先端が結腸の突き当りに阻まれては動きを止めている様子に、このテレサにして珍しくも感情的な声を出していた。
チラチーノの直腸を圧迫するディルドの圧は同時に、テレサの胎内において突き潰さんばかりに子宮口を穿っているディルドとも連動していた。
規格外の大きさのそれを膣内に抑えるテレサもまた、チラチーノほどではないにせよそれなりの痛みと苦しみに苛まれてもいたのだ。
そしてそれ故に、同種の苦しみを介した一体感はテレサをより感情的に、そして似つかわしくもないその激情を煽ってもいた。
陶磁器のよう白く人形めいた肌には血色が赤く火照り、苦悶を眉元に刻んだ表情には作り物の王族などではない一個人としての感情が満ち満ちている。
「みんなと一緒に……壊れましょう……チラチーノ……一緒に──……いきましょう……!」
譫言のようチラチーノの耳元で囁かれていたテレサの声が、一際感情を込めて絞り出された瞬間──その願いを反映したかのよう、押しとどめられていたディルドは前進し、二人の尻と下腹とを密着させた。
それこそが外部のディルドが結腸を矯正しては侵入を果たし、そして内部においてはテレサの子宮口を貫通して無垢の胎内へと突き立った瞬間であった。
『んぅごぉぉぉおおおお……ッッッ!!!!』
期せずして二人は、獣染みた声を上げた──……。
もはや見目麗しい二人から絞り出されたとは思えぬほどに低く苦しみの滲んだ声ではあったが……その声は悲しげなほどに儚くもそして、聴く物の情感を刺激せずにはいられない響きもまた帯びていた。