翌日もユウキは遊びに来てくれた。
しかもリオルの住処まで訪ねてきてくれたユウキに、リオルは感極まって泣いてしまったくらいだ。
それからユウキとリオルの日々が始まった。
毎日ユウキはリオルの元へ通ってくれた。
初めて会った時にリオルがサンドイッチを夢中になって食べたのを覚えていて、その後も必ずレタスとマヨネーズのサンドイッチを作って持ってきてくれた。
ユウキと一緒の時間はいつだって瞬く間に過ぎる。
見知ったはずの野や山がまったく新しいものに思えるくらいユウキとの一時は楽しくそして嬉しいものだった。
それだけに一日の終わりにユウキと別れた後には一人寝の夜が堪えた。
この眠りにつく瞬間さえ、『ユウキが隣にいてくれたらどれだけ素晴らしいだろう?』、『ユウキと一緒に夜空の星を数えられたらどんなに楽しいだろうか』……そんなことを考えながら眠るのがリオルの日課となった。
そんな切なくも楽しい一時を過ごしたその夏の終わり──二人は森の入り口で奇妙な物をひろった。
中綴じの雑誌と思わしきそれは、自分達のよく知るマンガとは違いそのページのほとんどがカラーで、しかも紙の質も厚い。
やや化粧はケバいが、それでも人目を惹く美人の載せられた表紙に興味をかき立てられて二人はその中身を確認する。
そして開始数ページにして──二人は固まった。
見開きで二人の目に入ってきたものは女性器に挿入されたペニスの大判であり、その後も似たような写真が続く。
ポケモンの形をした棒へわざとらしく舌を絡めながらカメラ目線を送るモデルや、はたまた白濁液だらけになった顔で熱っぽい視線をこちらへと向けている女性……リオルはその内容が意味することは微塵としてわからなかったが、それでも謎の興奮に囚われてはそこから眼を離すことが出来なかった。
そんな秘密の読書会を──ユウキはやおら本を閉じては中断させてしまった。
突然のその行動と、そしてさらにはその先も見たいリオルは不満の声を上げるが一方のユウキはと言えば、その本を胸に抱いて立ち上がってしまう。
そこから一体どうするものかと見守っていると……
「リオルん家で見よう!」
鼻息も荒く、真っ赤にした面持ちで力強くユウキは言うのだった。
なるほど、そこならばゆっくりと観ることが出来る。願っても無いとリオルもまた頷く。
最近ではユウキの気持ちというか、リオルは人間の言葉が理解できるようになっていた。
もっともそれを習っている相手が子供のユウキであるから語彙のレパートリーもたいしたものではないが、それでも日常生活で意思疎通を行うには十分な学習をリオルは得ていた。
駆け足で森の中を行きながら、二人はリオルのねぐらへと飛び込む。
そうして若葉のベッドの上に二人で並ぶと、そこから熱心に拾ったエロ本を熟読し始めた。
そこに描かれていたものはめくるめく官能の世界だ。
数本のペニスと共にザーメンだらけの笑顔を向ける女性のショットや、騎乗位に繋がりつつもアナルに極太のディルドーもまた挿入しては苦し気に顔を歪めるモデル──それらの露骨なほど下品さを前に出した内容からも、この本はそういった書籍の中でもさらにマニアックな部類に入るものなのだと想像できた。
そんな本でも最後まで読み終えると、また最初のページに戻っては再び読み直す……その繰り返しを二人は夢中になっては幾度となく繰り返した。
その数度目の読書の途中、
「ねえ? リオルもこうなってるの?」
ふいに顔を上げて見つめてきたユウキはそんなことを聞いてきた。
その質問の意図が分からずに首をひねるリオルに、ユウキは今まで以上に体を寄せる。
そして伸ばされた手の平は、リオルの股間を覆うようにそこへ置かれた。
予想だにしていなかったユウキの行動に、リオルは両肩を跳ね上がらせて大げさ過ぎるくらいの反応で応える。……それ以前に、その未知の感覚はまるで自分の体ではないかのようなそれであった。
何をされたのかも分からず股間を見下ろすと、そこには依然としてユウキの手が蠢いていた。
「リオルって男の子? チンチン出せる? この本みたいなことしよ♪」
いつもの、遊びに興じる様子のユウキではあるが、その目に浮かぶ好奇の色は明らかに興奮を湛えたものだった。
自分とユウキのどっちのものとも知れない心音が、互いの皮膚越しに体を打ち合っていた。
性器をピンポイントでまさぐられるその感触についには座っていらてなくなり、リオルは寝床の上に寝そべってしまう。
両腕を掲げては仰向けに寝そべるリオルの上に重なってきては、ユウキもまたその股間をまさぐる手の動きをさらに激しくしていく。
逆手に被せた手の平を幾度となく上下にスライドさせていると、やがてユウキの手の平に小さな膨らみが感じられた。
手を離しそこを見下ろせば、さながら下着ごしに膨らむ男性器よろしくにリオルの股間がこぶ状に膨張していた。
そんなこぶの頂点には小さな穴が穿たれていて、さらにその奥底には真っ赤な突起が小さく頭を覗かせている。
「なにこれ? お菓子みたいー」
それを見つけ、ユウキは好奇心のままにそこを指で突き穿つ。
その無邪気で容赦のない責めにリオルは首を仰け反らせては身悶えた。
けっして痛みなどは無かった。むしろそれは快感ではあるのだか、いかんせん今日初めて味わうその感覚はまだリオルにはノイズ以外の何物でもない。
もっともそんなことはユウキの都合ではない。
そんなリオルの反応が面白いのか、ユウキの指先はさらのその責めに熾烈さを増していく。
ふくらみから頭を覗かせた突起の下にはさらに空間があることが察せられた。その中がどうなっているのか知りたくて、突起とポケットの隙間にどうにか指を差し込んではその内部を確認しようとした次の瞬間──
「きゃあッ? な、なに?」
突如としてふくらみの中に埋もれていた突起が伸びだしては、その全体を外部へとさらけ出した。
まるで傷の断面を思わせるような血肉の通った真っ赤な筒身……先細りの先端から溢れ出してきた透明の粘液がその背に伝っては、その剥き出された赤身をさらに鮮明に煌めかせていた。
「へぇ~……これがリオルのチンチンなんだあ……」
その様に釘付けのユウキと、一方で自分の体の変化に混乱しきりなリオル。
今日まで生きてきて、ペニスがこんな状態になったのなんて初めてのことだった。
あの突起が生殖器であることは毎度の排尿で理解はしていたが、それでもその中身がこうまで露出してしまうことなどは無かった。
はたしてこれは元通りになるものなのだろうか? ……そんな恐怖に駆られては青褪めるリオルをよそに、ユウキはと言えば対照的に大輪の笑顔を咲かせた。
そして、
「じゃあさ、この本と同じことしてみようよ? じゃあ最初はぁ……これね!」
そうして傍らにあったエロ本もまた展開させると、ユウキは開いたページをリオルへと示す。
辛うじて首を起こしてそこを見たリオルの目に入ったものは──勃起した男性器へと口に咥え込んだ女性モデルの顔のアップ。
そして次の瞬間──感じたこともない衝撃がペニスに走り、激しく肛門が収縮した。
突然のそれに驚いて自分の体を見下ろせば……──
「えへへ~♪」
自分のペニスを根元まで加えてしまったユウキが、イタズラっぽく微笑んではピースサインをこちらへと向けているのだった。