第1話・壁尻
赤道直下となるサバンナエリアのど真ん中──そこには鉄筋コンクリート製の壁が一枚そびえ立っている。
数十年前にも遡る昔、このエリアでは紛争が多発していた。
その頃にはまだ人の往来も多かったここは度重なる内戦の果てに焦土と化し、今ではその罪と愚かさの名残に一枚の崩れかけた壁を残すばかりである。
とはいえ、そんな壁の由来などはこの物語に一切関係がない。
問題はそんなサバンナのど真ん中に立つ壁に、少女が一人嵌まり込んでは身動きが出来ない状況にこそあった。
「はぁはぁ……やっぱりだめだぁ~ッ!」
その少女ミハル・ムラサメは、数度目の脱出失敗にため息をついては大きく頭をうなだらせた。
件の壁には砲弾痕か、はたまた自然に風化して穿たれたものか、ちょうど地上から1メートルほどの位置に円周60センチほどの穴が開いていた。
この日の午前中──この壁の日陰でキャンプをしていたミハルは、出立に伴いこの壁穴に対してちょっとした横着の気を起こした。
総幅5メートルほどのこの壁を迂回するのも面倒だと感じたミハルは、そんな折に目の前にあったこの穴をショートカットに利用しようと考えたのだ。
そして軽い気持ちで上半身をくぐらせて……腹が閊えた。
最初はさして問題にも思わず、自分のずぼらさを自嘲してはそこから戻ろうと試みたが……後退するに際しては肋骨が閂となってしまって脱出不可能であった。
ならば無理にでも前進を、と挑むものの──今度は骨盤がぶつかってそれも叶わない。
まさに進退きわまったこの窮地に置かれて3時間……さすがに事の重大性を理解し始めてはミハルも顔色を青くさせた。
「もしかしてアタシ……このままここで死んじゃうんじゃ?」
その想像はけっして大げさな妄想などではない。
事実、辺鄙かつ広大なこの場所に自分以外の誰かが偶然通りかかる確率などは、それこそ天文学的な数値である。
飢えや渇き、そして熱中症などによる危険性は元より、さらには場所が場所だけに夜ともなれば野生の動物やポケモンなども現れるであろうことを考えると、そんな場所にこうも無防備でいることの恐怖を今さらながらにミハルは意識したのであった。
とはいえしかし、今の状況にまったく救いが無い訳ではない。
ミハルにはこの時、最後の『頼みの綱』があった。
それこそは……──
「ヨクバリス! ヨクバリース! いるんでしょッ? どこにいるのよぉ!」
ミハルは声の限りにその名を呼ぶ。
しばしして……遠く右端の壁の切れ目から、その反対側に居たであろうヨクバリスがひょっこりと頭を出した。
彼こそはミハルがこの壁穴にハマる直前に外へ出していたパートナーポケモンである。
……がしかし、そんなミハルの声に反応したのも一瞬で、遠目からミハルの様子を一瞥するや、またすぐに反対側へと引っ込んでしまった。
ちょうど時間帯的に、ミハルの側に太陽があることでここはちょっとした灼熱地獄と化していたことから、ヨクバリスはその下へ出ることを躊躇したのだ。
「早く出てこんかいッ!」
それを知ってか、ただでさえ余裕のないミハルの声が大きくなる。
やがては慌てて……という体で出てきてはミハルの前に進み出るヨクバリス。改めてミハルと視線を合わせると、ウィンクもひとつにおどけてみせる。
……その態度にさらにミハルの体温が上がる。
「それはそうと、もう自力じゃ無理だわコレ……ヨクバリス、反対側から私のお尻押してくれない? こうなったら多少擦りむいちゃってでもここから出なきゃヤバいわ」
ミハルの提案を受け、ヨクバリスも大げさに敬礼のひとつもするとドタドタと忙しなく壁の向こうへと走っていく。
そうして改めて反対側からミハルの尻を眼前に見据え、ヨクバリスも大きく鼻を鳴らす。
灼熱のこのエリアを横断するにあたり、ミハルの旅装はキャップにTシャツ、そしてホットパンツといういで立ちであった。
そしていま目の前には、そんな超ショートのホットパンツに内包されたミハルの尻が、新種のキノコよろしくに隙間なく壁から生えている状態である。
壁の向こうからは「押してー」というミハルの声が遠く聞こえていた。
それを皮切りに、踏ん張るミハルの臀部に両手を押し付けると──そこからヨクバリスもまた渾身の力でそれを押し出しに掛かった。
がしかし、その程度ではびくともしない。
腕力だけでは力が足りないと背後から両肩へ背負うようにして押してみたり、はたまた頭などをそこへ突き立てては穿ってもみたが、その壁の向こうからミハルの怒号が響くばかりで目の前の巨尻は一向に動くことは無かった。
しまいにはそのあまりの不動な佇まいに怒りすら覚えるヨクバリス。
この炎天下でこうまで尽力しているにもかかわらずに不備をなじってくるミハルにもしかし、その時のヨクバリスには目の前に尻こそが自分を叱責にしているように思えてならなかった。
そしてその眺めについには堪忍袋の緒が切れては、そんなミハルの尻を激しく張り倒すヨクバリス。
「き、きゃあッ!? ちょっとぉ、何してんのよアンタ!」
当然ながらそんな声を上げたのはミハルなのだが、すでにヨクバリスの目には再び顔前の尻が不平を漏らしてきたかのようにしか見えていない。
いったい何様のつもりだ? お前のケツがそんなにデカいから通れないんだろう! ──そんな怒りに任せては、その尻めがけて必殺の『タネマシンガン』をお見舞いする。
「いッ──、んぎゃああああああ‼ 何すんのよッ!?」
さらに悲鳴を上げ、必死に足をばたつかせる目の前の尻。ついにはホットパンツの両脇に手も掛けると、ヨクバリスは一気にそれを下ろしてはTバックもろともに剥ぎ取ってしまうのであった。
そうして改めて一糸まとわぬ尻を目の前にするヨクバリス。
もとよりソバカス肌であったミハルの尻は、腰の付け根から臀部の広範囲にわたって褐色の水玉が浮いている。
それを弾くかのよう、そこにヨクバリスの張り手がお見舞いされた。
再び壁の向こうからは叫び声が上がったが、目の前の無礼者へ仕置きをすることに夢中のヨクバリスにはそんなパートナーの声も遠い。
「あぎゃ! あぐぅぅッ‼ はぁはぁ……本当に、やめてえ……ッ!」
この臀部への衝撃は存外に本体へとダメージが大きく、ましてや生の肌へのそれとあっては囚人に科す鞭打ち刑と大差がない。
その仕置きに息も絶え絶えとなっては、ミハルも涙ながらに中止を懇願する始末だ。
そうして数十発目となるヨクバリスの張り手が、痛々しく幾重もの跡を残した尻へ一際強く打ち込まれると──
「あ、あああ……いやぁああああ……ッッ」
あらゆる面において限界を迎えていたミハルは激しく失禁をした。
内股に腿をよじり必死にそれを押さえようとするも、数時間にわたって排尿を我慢していたこともあってか、排出された尿は後方へと斜に打ち放たれては地表の土をえぐるほどの勢いであった。
そんなミハルの痴態を目の前にし──ヨクバリスにも新たな感情の変化が芽生え始めていた。
一方で壁の反対側では同時、突如として尻に生じた新たな感触にミハルは目を剥く。
視界が塞がれた背後──その壁の向こうでは、再びヨクバリスがミハルの尻へと何かイタズラをし始めているようではあったが、それは臀部ではなくその中心である膣への接触であった。
膣の間口を熱を持った何かが、その入り口を探すように押し付けては離れるを繰り返している。
先端にぬめりを帯びた粘膜の感触──それに対しミハルは、おおよそ最悪の事態を察しては我が感覚を疑う。
ミハルもまた経験があるその感触は、紛う方なき『セックス』のそれ──ヨクバリスは今、ミハルを犯さんと自身のペニスの先端を膣口に押し付けているのであった
「だ……ダメェ! やめて! それはダメぇぇぇぇぇッ‼」
もはや疑いようもないそれに、ミハルもまた壁の向こうのヨクバリスへと声を張り上げる……がしかし次の瞬間、膣への挿入はあっけないほどに果たされてしまった。
「いやぁぁぁああああああああッッ‼」
ミハルの悲痛な声がサバンナに響き渡る。
一方で壁の向こうでは……その尻にしがみついたヨクバリスが、いよいよ以て己が快感を貪る為の仕置きを始めようとしていた。