かつては争いと破壊の象徴であったサバンナのその壁──しかし今そこは、種を問わぬ大量のオスポケモン達で埋め尽くされていた。
地を這う者や足を駆使して駆ける者、さらには空を飛ぶ者に至るまで、そんなポケモン達が壁の東西に列を作っては居並ぶという異様な光景。
そしてその中心地たる壁には……──
「んお゛ッ!? ん゛おほぉッ♡ 次だれッ!? っていうかどんなチンポッ!? 太いのッ? 細いのッ? 辛いのッ? しょっぱいのぉぉぉッッ?」
ミハルが一人、斯様なポケモン達の慰み物とされてはおおよそ理性ある者の言とは思えぬ声で吼え長けていた。
そしてそんな声に応えるかのよう、カエンジシが性処理を済ませたすぐそばからゼブライカが身を乗り出してきては間髪入れずにペニスを挿入した。
馬タイプ特有の長大なサイズに加え、末広がりに先端が大きく間口を広げたペニスは到底人間には受け止めきれるものではないがしかし……
「ぎゃうぅッ♡ デカいッッ! ステキぃッ♡♡ 合格ッ! ミハルのチンポ検定満点のチンポキタぁッッ♡♡」
かれこれ10時間以上を掛け、既に数十匹のペニス挿入と膣内射精を受け止めたミハルの膣とあっては、そんなサイズであってももはやすんなりと受け入れてしまう。
あるいはそれでも本来は苦痛なのかもしれないが、とかく半狂乱となっては脳のリミッターが解かれた今とあっては、ミハルもそれを意に介しはしない。
むしろ今のミハルの身にあっては全てが正(プラス)の思考へと働いている。
痛みも苦しみも、本来なら味わうことなど叶わぬほど恥垢にまみれたペニスや各種体液の経口摂取も──今のミハルには、その全ては甘美なものとして受け入れられた。
「あーもう! ホラッ、口が開いちゃってるぅ! 誰かチンポぶち込んでザーメンだしてよぉッ♡ アタシが飢えちゃったらどうするのッ!? ザーメンご飯恵んでくださぁいッッ♡♡」
しまいには、入れ替わりの瞬間にポケモン同士がまごつこうものならば、それに対して叱責や更なるペニスへの渇望をみせるほどにまでこの時のミハルは狂っていた。
おそらくは今この瞬間、肉体を食い破られようともミハルは幸福の内に死んで行けただろう。
間違いなくただ今こそは彼女の人生における……
「サイッコぉぉ─────────ッッッッ♡♡♡♡♡」
絶頂の瞬間であった。
しかしながら幸か不幸か、その一時にも終焉が訪れる。
突如として場には地を鳴動させる破裂音が響き渡った。
それにポケモン達一同が動きを止め、さらに音の出所を確かめようと視線を巡らせるその頭上には、さながら太陽が破裂したのかと見紛わんばかりの眩い閃光が炸裂した。
もはやポケモン達の経験則には絶対当てはまらないその超異常事態に、みな向かう先なども考えずに逃げ出しては散り散りに四散していく。
そんな中においてもただ一人、事態に動揺せずにいたのはミハルだけであった。
「え? なに? チンポ抜けちゃったよッ? どこ? 早く続きしてッ! チンポぉッ!? オマンコでもアナルでも口でも鼻でもどこでもいいからブチ込んでぇッッ! 一人にしないでぇぇぇええッッ!!!!!!!!」
だた一人、多種多様の精液の海の中で叫ぶミハルへと新たな訪問者たちが駆け寄ってくる。
もはやミハルの目にはその者達こそが異形にも見えた。
そんな者達が口々に何かを叫んではミハルを取り巻いて壁や自分の体に、初めて性的交渉以外の何かを施してくれている。
ポケモン達の性処理の道具として扱われていた先ほどまでとは一変したその状況に、やがては意識が遠くなりつつあるのをミハルは感じた。
そしてヒューズが切れるかのよう──突如としてミハルの意識は暗転した。
どれくらい眠っていたものか………目覚めたミハルには何の現実感も沸かなかった。
自分が寝かされている簡素ながらも清潔なベッドと、青白い壁に天井というここは何処か病院の一室であろうことが窺えた。
状況を考えれば、あのサバンナの壁から救出されたと見るのが妥当ではあるが、それでもミハルにはその実感が沸かない。
どこかに見覚えのあるものが一つでも無いかと思い視線を巡らし続けていると──不意に寝顔を覗き込んできたヨクバリスの顔面が視界一杯に写り込んできてはそれを遮った。
その登場と、なんだか久方ぶりの邂逅のように思えてはついミハルも微笑む。
手持無沙汰にその頭を撫でてやると、ヨクバリスもまたその短い手でミハルの額を二度三度とはたいた。彼なりに気遣っているようだ。
身に覚えのあるヨクバリスに触れることでようやくにミハルもあの窮地から脱したことと……そしてあの灼熱の瞬間もまた思い出しては、少しばかり過ぎ去りしそれを惜しんでみたりもした。
常人ならば斯様に多種多様のポケモンに取り囲まれては代わる代わるにレイプされるなど一生涯のトラウマと成り得る経験ではあろうが、そこはミハルである。
「あれはあれで楽しかったなあ………♡」
思い出すだに、体の芯が湿り気を帯びては頭を痺れさせた。
しばし手の中にヨクバリスを撫でたままその回想に想いを馳せていると、
『──アラ? 目覚めたのね』
別の第三者の声が掛けられる。
低く落ち着きのある女性の声……その方向に首を向けると、そこにはちょうど入室してきた薄褐色ワイシャツにブルーのタイというレンジャー制服の女性が微笑んでいた。
改めて挨拶を交わしては互いの自己紹介をする。彼女・アメリは自身をあのサバンナエリアの保安官だと説明した。
『体に異常はないかしら? いちおう抗生物質は投与しているけど……あの状況だったからね』
「あはは………あの状況、でしたもんね」
互いに『あの状況』と言葉を濁すに至り、ミハルは笑うしかない。
もっともそんな楽天的なミハルの反応にむしろ、アメリは安堵したようでもあった。
「まぁ……いい経験したと思います。命も無事だったし」
『そう、ならいいわ。PTSDの心配もなさそうね』
それからミハルは、自分が救出された時の様子を改めてアメリより聞かされた。
当日、あの現場へと駆けつけてくれたのは地元の軍隊であったのだという。
当初はレンジャー隊が先んじては駆け付けたものの、そのあまりに多種多様なポケモンが、しかも大量に集結している状況とあっては到底自分達の手に負えぬと要請を依頼したのだそうな。
かくして現場に到着した軍は、戦車砲による空砲と閃光弾の威嚇によりポケモン達を退けては、無事にミハルの救出を果たしたそうな。
それが三日前の話である──。
「でも……運が良かったかもしれませんねアタシ。だって偶々レンジャーさん達が通りかかって通報してくれたんですから」
「──え?」
そうして会話をしていく中、ふと二人の事実確認に齟齬が生じた。
『一番最初のレンジャー達も、第三者の通報によって駆け付けたのよ?』
「え? だって……じゃあ誰がそんなことしてくれたんです? あそこにはアタシとポケモン達以外、人の姿なんかなかったですけど……」
あっけにとられる表情で互いに見つめ合ってしまう二人ではあるが、その胸中に生じる疑問はそれぞれに異なったものであった。
やがてはそんな謎の答えを擦り合わせるよう、アメリはミハルに訊ねる。
『あなた……自分からあの光景を『配信』してたんじゃなかったの?』
「………………はい?」
眉元に険を込めてはミハルの表情が一変した。その顔色は青褪めてすらいる。
『動画の視聴者から通報があったのよ。「ポケモンと交尾を敢行している配信者がいる。野生のポケモンが相手だから危険だ」……ってね』
「ち……ちょっと待ってくださいよ! いくら何でもそんなもの配信しようだなんてアタシは……──」
そこまで言って……ミハルもまた当時のことを思い出す。
クエスパトラによる輪姦が始まったあの時、壁の反対側の様子をさぐるべくにミハルはカメラを起動したスマホをヨクバリスに持たせていた。
かのヨクバリスは、長らくミハルのアシスタントとして動画撮影の手伝いなどをしていたポケモンである。
機材の扱いには長けている反面、ヨクバリスにとってカメラを渡されることは『配信を言い渡される』ことと同義なのであった。
故にあの日も、スマホを手渡された優秀なヨクバリスは──あの痴態の一部始終を撮影しては全世界に向けて配信していたのであった。
そのことに改めて気づいては然しものミハルも絶句した。
もはやデジタルタトゥーどころの騒ぎなどではない……さながら、ポケモンとの性交というジャンルにおいては、歴史の1ページを築いてしまったに等しかった。
ようやく全てが手違いによるものだということに気付き、アメリは哀れみとも同情ともつかぬ慰めをしてくれたが………むしろミハルにとっては、ポケモンにレイプされたこと以上にこの事実の方が深く胸をえぐられる思いであった。
しばし各所からの取り調べと、そして煩雑な手続きを済ませた三日後──ミハルは無事に退院を果たす。
「はぁ~……これからどうしよ? もう故郷には帰れないなぁ~……」
とはいえ今後を思いあぐね、さすがに脱力してはもうため息しか着けなくなるミハル。
そんなミハルのホットパンツの裾を傍らからヨクバリスが引いた。
そのちょっかいに無気力なジト目を向けるミハルを見上げながら、ヨクバリスは両手の人差し指と親指を輪のように繋げては放すという、『カメラ』のようなジェスチャーを向けてくる。
しばしそれを見下ろしていたミハルではあったが……やがてその口元に自嘲気な笑みが浮かんだ。
「はは………ならばもう、突き抜けちゃう?」
呟くように応えると、不思議とミハルは内に力が漲ってくるのを感じた。
「認知されちゃったってんなら、いっちょパイオニアにでもなってやりますかぁ!」
この時の彼女の胸の中には新たなる人生のビジョンが描かれつつあった。
今後はどこに行っても色眼鏡で見られてしまうと言うのなら、いっそ七色に輝いてしまえばいい。
ならば今後の旅は──
「ポケモンセックス配信の旅、始めるわよ!」
力強く宣言しては背筋を伸ばすミハルにヨクバリスも満面の笑顔で頷いた。
この瞬間よりミハルの旅は──否、その人生は大きく進路を変えることとなる。
後に数々の作品と、そして愛護団体からの訴訟を多く抱えることとなるミハルの、妖艶でかつ凄絶な人生はこれよりスタートを切った。
そしてその旅の出航とばかりに、
「とりあえず北にでも行こうか? 夏も終わるしね」
ミハルとヨクバリスは北の大地へと希望の針路を取るのであった。
【 赤道直下のW.C.・完 】