『──そんなの、マスカーニャは最初っからお前にベタ惚れだったじゃん。本当に気付いてなかったの?』
「そ、そう……なのか?」
後日、友人のトトとの話である。
マスカーニャと一線を越えてしまった翌日、色々なことを誰かと話したくなって僕はトトの元を訪れていた。
そのなかでマスカーニャとセックスをしてしまったことを打ち明ける傍ら、もしかしたら一方的に性欲のはけ口にしてしまったのではないかと危惧する僕に対し返されたのが冒頭の言葉である。
聞くだにそんなマスカーニャの兆候はニャローテ時代から見えていたそうな。
傍から見れば丸分かりのニャローテからのアプローチを、僕だけが鈍感にも気付かずにスルーし続けてたのだという。
……そう言えば確かに、ポケモンウォッシュのたびにやたらと股間を洗うように要求されていたこともまた思い出す。
ともあれ今の子供然とした容姿のニャローテでは振り向いてもらえないと、マスカーニャは血の滲むような努力の末に、同期の中でも一番乗りで最終進化にまで到達したのであった。
今さらながらそうまでして慕われていたにも拘らず、ずいぶんと邪険に扱ってしまったものだと後悔もしきり……。
かくしてマスカーニャに進化したはいいものの、当の想い人はというとそんな乙女心(……♂であるが)に気付かぬ朴念仁ぶり。
想いは募るに募り、そしてある時それが発露した事件こそがあの『ゴミあさり』であった。
その後も下着盗難などが続き、その話がトトの耳に入るやトトは一計を案じる。それこそが、あのポケモンセックスの動画送信であった。
「あんなもの、どこで手に入れたんだ?」
『ウェインこそ知らないのか? 一時期すごい注目されてたんだぞ、あのサーナイト』
セックスの手際についてはマスカーニャが本番の際に困らぬ様、ウェーニバルが指導をしてサポしたらしい。
ふと部屋の隅に目を走らせれば、その視線の先にはマスカーニャと談笑しているウェーニバルの姿が見えた。
……今度は指先を繋げて作った輪の中に、もう片手の指を何度も出し入れするジェスチャーを見せている様も確認し、またロクでもないことを教えようとしてるのではないかと気が気で無い。
こうして何だ彼んだはあったものの、あとは知っての通り僕達は一線を越えて今に至るというわけであった。
トトの家を辞去し、マスカーニャと歩きながら僕はチラリと隣を見遣る。
いつかと同じようにマスカーニャは僕を見下ろしていて、互いの視線が合うと思わず僕達は笑ってしまうのだった。
「お前、いつも僕を見てるな」
そんな軽口を叩くと、さらにマスカーニャは嬉しそうに笑う。
この一時を幸せに思うと同時、まるで白昼夢のように今後の僕達にはどんな未来が待っているのかにも思いが及んだ。
ポケモンと人間、さらには同性であることの弊害──思い付く限り、僕達の未来には明るい要素などは無いように思えた。
それでもしかし、そんな未来などはどこまでも他人事のように感じられては、一向に僕を不安にさせることはなかった。
なぜならば、これからはどんな時でも隣にマスカーニャがいてくれるという事実が、どこまでも僕を気楽にしてくれるからだった。
「これから一緒に何したい?」
ふとそんなことをマスカーニャにも尋ねてみる。
それを受けてマスカーニャはその一瞬目を見張っては鼻を鳴らし、次いで僕の体に身を寄せた。
そうして僕の股間をまさぐってくるそのデリカシーの無さに──……
僕はコイツのド頭へとゲンコツをひとつ見舞ってやるのだった。
【 三擦り半のマス☆カーニャ・完 】