覚醒を果たしたのは、幾度となく頬を撫ぜられる感触に呼び覚まされたからだった。
目覚めてもなお状況が分からずに混乱するサドラを宥めるかのよう、その顔や額を撫でる動きが強くなる。
しばしして完全に意識と記憶とが同調を果たし、そして目の前のヌメルゴンを確認すると──
『え……うわッ!?』
サドラは甲高い悲鳴を短く上げた。
気絶する直前、自分はこの房に入室してきたヌメルゴンの臭気により気絶したことを思い出す。
そしてこれこそは次なる恐怖の呼び水でしか無い。
現状は、正座然に足を崩しては座り込むヌメルゴンの膝の上、赤ん坊さながらに抱きかかえられている状況であった。
おまけに今の自分はと言えばいつの間にか全裸に身ぐるみをはがされている状態でもある。
拘束の為に緊縛していた手足の縄も解かれてはいたが、いかんせんこのヌメルゴン相手では逃げることはおろか戦うことすらもおぼつかない。
2メートル以上は優にあろうかというヌメルゴンは、その体長に合わせて体つきもどっしりと頑強そうである。
脂肪質な体型とはいえ、丸太の如き手足をもつヌメルゴンにどうやったら自分などが素手で対抗など出来ようものか……無惨に返り討ちにあっては、幼児がオモチャを壊すよう手足を折られる自分を想像してサドラは背を粟立たせた。
完全に生殺与奪がヌメルゴンの手の中にある以上、これを刺激するべきではない──そう結論づけたサドラは、ただ為されるがままヌメルゴンに我が身を委ねるのであった。
サドラが意識を取り戻してくれたのが嬉しいのか、ヌメルゴンの舌で舐める動きはより一層に強さと、そして精密さを増した。
巨大で分厚い舌先は、その先端を細く窄めてはサドラの鼻腔や耳の穴をほぐしては、
『うわ、うあああ……ッ』
そこに在る垢や不純物といったものを舐め取っているようだった。
やがてはその舌先は徐々に下方へと移行していき、次にはサドラの胸板の上を這いまわる。
そのこそばゆさに必死で声が漏れるのを耐えながら身じろぎしていると、ヌメルゴンの舌先は固く閉じられたサドラの右脇の中へと侵入する。
『ひ、ひいぃ……くすぐったいぃ……!』
そしてその下を何度もヌメルゴンの粘膜が往復しては、舌先で脇の窪みを突き上げるに至り……サドラはこれがヌメルゴンの『食事』であることにようやく気付くのであった。
動物の垢を食べる以上『肉食』には変わりないのだろうが、それにしてもこの体中を這いまわる舌の動きには嫌悪を感じずにはいられない。
それでもしかし、
──残酷に食い散らかされたり、拷問されるよりはマシか……
まだこの状況は恵まれているのだと思い直し、サドラもまた息を殺してはヌメルゴンの食事に耐える。
垢を食べる性質上、汚れの強い部分程ヌメルゴンにとっては美味らしく、念入りに両の腋を舐め尽くした後は自然とその舌先は下半身へと移行していった。
その際にサドラの体の天地をひっくり返しては、その尻を天に向けさせる。
そうしてハンバーガーでも手にするかのようサドラの腰回りを両手で包み込んで持ち上げると──彼の尻を目の前に掲げてはヌメルゴンも舌なめずりをひとつした。
この姿勢に嫌な予感を感じつつも次なるヌメルゴンのアクションを待っていると……案の定、舌先はサドラの尻の割れ目手と食い込み、さらにはその先端にてサドラの肛門を激しく穿つのであった。
『ああああッ………んくぅ……!』
今日までの数日間を風呂に入らずに過ごしてきたサドラの局部は相当に美味であったらしく、もはやヌメルゴンも口中にサドラの尻全体を咥え込んでは鼻息も荒く肛門一点を貪ることに夢中になっている。
一方で肉体の内外から侵食をされるサドラの不快感は生半ではない。
外部からとはいえ、内臓へと直接に干渉してくる刺激にサドラも身を固くするが、不思議と肛門だけはその感覚だけがぼやけては括約筋が閉められない状態にあった。
おそらくはヌメルゴンの唾液による作用なのかもしれない。
麻酔か、あるいは肉そのものを溶かす作用があるものか、肛門はサドラの意思とは別に緩く広がり始めてはヌメルゴンの太い舌先を直腸内へと迎え入れてしまう。
斯様なヌメルゴンの舌先が直腸を舐めほぐし、さらにはそこから滲み出る唾液が直腸内へと満ちてくる感覚にもサドラは目を見開いては耐える他にない。
快感とは程遠かった。
それどころか押し込まれた大量の唾液に反応してか、下腹部は下痢の症状さながらの腹痛に見舞われている次第である。
やがてはその便意も限界に達し、遂にはそれも堪えられなくなると──
『あぁ…………いやぁ……!』
次の瞬間には、サドラはヌメルゴンの口中にて泄瀉を果たしてしまうのだった。
もはや意志とは別に体外へと放出されていく感のあるそれは、強制的にヌメルゴンから吸い出されている感すらあった。
そしてその予想も外れてはいない。
傍からヌメルゴンはそれを促すべくに自身の唾液をサドラの直腸へと押し込んでいたのだ。
今もヌメルゴンからの吸い上げを相成って肛門から流動している液体の感触は、もはや排泄などではなく自身の内臓が溶かされてそれが吸い上げられているかのような感覚すら覚えるほどである。
しかしながらこの時、サドラの脳内には別の感覚もまた生じていた。
それこそは一連の排泄行為を──
『んわ、あああぁ………気持ちいいぃ……!』
サドラは快感に感じていた。
下腹の重みがことごとく体外へと排泄されて軽くなっていく感覚には、得も言えぬ爽快感がそこに伴っている。
やがてはそんなサドラをよそに腹腔の全てを吸い上げると、ようやくにヌメルゴンは口を離して小さくゲップをひとつ。
そうして改めて目の前にあるサドラの尻を見つめた後──その臀部の片方にヌメルゴンは強く口先を吸いつけるのであった。
やがては大きく音を弾けさせて口先を離すと、サドラの尻そこには巨大なキスマークが刻み込まれてはヌメルゴンにもそこへ頬ずりをする。
振り返って見やるヌメルゴンの表情はこれ以上にない慈愛に満ちたものであった。
そんなヌメルゴンの仕草に……サドラは不思議と愛情のようなものすら感じていた。
しまいには今のこの感覚と、そしてそれに付随する多幸感に心身を満たされながら──
敵対組織に捕まったのだってまんざらでもない、とすらサドラは思い始めていた。