※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

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ミネルヴァ

 

僕の元にはミネルヴァというキル姫が居る。彼女のキラーズはギリシャ神、アテナの持つ槍でありそれを引き継ぐミネルヴァは高い知能を持つキル姫だ。

 

戦乱の時代はエンシェントキラーズと呼ばれる隊の一員であったがラグナ大陸に平和が訪れエンシェントキラーズは解散し、たまたまミネルヴァが持つキラーズと僕のバイブスが適合し一緒に居るのだけど。

 

 

(今日も遅い、、。)

 

 

世界が平和となった今、キル姫も人と変わらない生活を送っている。ミネルヴァはウエディングプランナーとして働き多忙な日々を過ごす。

 

それは良いのだけど時計が指す時刻はもう20時を回っているというのに一向に帰ってくる気配が無い。

 

 

「ただいま帰りました。すっかり遅くなってしまい申し訳ありません」

 

 

20時半になる前に玄関が開きミネルヴァの声がした。出迎えに行くと疲れた顔のミネルヴァが。

 

 

「お疲れ様。ご飯できてるよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

靴を脱いでいるミネルヴァを見た後キッチンに戻り冷えてしまった料理を温め直しテーブルへと運んでゆき一緒にご飯を食べてゆく。

 

 

「いただきます」

 

「いただきます。って待っていてくれたのですか?」

 

「うん。一緒に食べた方が美味しいじゃん。それにニケの分もあるよ」

 

「そうですけど私を待たなくても大丈夫ですよ。じゃないとマスターがご飯を食べるのが遅くなってしまいます」

 

「気にしてないよ」

 

 

僕とミネルヴァは共鳴こそしているものの一緒に過ごすのはこの家に居る間だけ。僕も奏官としてラグナ教会で働いているのでミネルヴァとは同居人と言った方が近い関係。

 

 

「ごちそうさまでした。食器洗っておきますよ」

 

「やるから先にお風呂入ってきなよ。疲れてるでしょ?」

 

「ん、、じゃあお言葉に甘えさせて貰いますね」

 

 

食器を流し台へと置き浴室へと向かうミネルヴァを目線で見送った後スポンジを水で濡らし洗剤を垂らし洗ってゆく。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

服を脱ぎ頭から熱いシャワーを浴びながら今日お客様に言われた事を思い出していた。

 

 

「あなたは人を好きになった事があるの?」

 

 

言われた言葉は言われた時から何度も私の頭の中をぐるぐる回り思考の邪魔をしていた。

 

お客様に言われた通り私は人を好きになった事は無い。人々を異族の脅威から守る為日夜戦いに明け暮れていた私に恋愛をする時間も無かったしそんな事にうつつを抜かす暇さえも無かった。

 

平和となった今も毎日を仕事に追われ恋愛をする余裕は無いのだけど。

 

 

シャワーを止め手にシャンプーを取り頭を洗ってゆく。

 

 

身近な男性として同じ職場で働く男性、それとマスターが居るのだがどうしても恋愛対象としてピンっと来ない。職場の人は同僚としか思えないしマスターは同居人。それ以上でもそれ以下でも無い。

 

実際のところマスターのバイブスと繋がっている。だからといってマスターの事を好きになる訳でもない。

 

バイブスとキラーズは所詮繋がっているだけ。

 

 

頭からシャワーを浴び泡を流し洗顔をしボディータオルにボディーソープを取り泡立て身体を洗ってゆく。

 

 

(恋愛かぁ、、、)

 

 

何度も頭の中を回り続ける言葉はシャワーで身体に付いた泡を流しても流れる事なく頭の中で回り続けていた。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

食器を洗い終え椅子に座りのんびりしているとドライヤーを使う音が聞こえしばらくしてパジャマ姿のミネルヴァがリビングへと来てくれた。

 

 

「はい、お茶」

 

「ありがとうございます」

 

 

コップに淹れたお茶を渡すと椅子に座り飲んでいた。

 

 

「仕事忙しそうだね」

 

「そうですね、、でもやり甲斐のある仕事なのですよ」

 

「だと思うよ。人の幸せを願う仕事だもんね」

 

「打ち合わせは疲れてしまいますけど式を挙げ笑顔のカップルを見るとこっちまで笑顔になってしまうのですよね」

 

 

そう笑顔で話すミネルヴァ。だけど目にはクマができていた。

 

 

「早く寝なよ。クマできてるよ」

 

「そうしたいところなのですが煮詰めておきたい案があるのです」

 

「うーん、、、じゃあマッサージしてあげるよ」

 

「ん、、ありがとうございます」

 

 

椅子に座るミネルヴァの背後に立ち両肩を揉みほぐしてあげる。指先から手のひら全体に力を入れながら凝ってしまっている肩を揉みほぐしてゆく。

 

しばらく揉んでいると強張った筋肉がほぐれ柔らかくなり最後に肩を手で叩きマッサージは終了となった。

 

 

「ありがとうございます。おかげで仕事に集中できそうです」

 

「あまり根を詰めたらダメだよ?」

 

「分かっていますよ」

 

 

僕に向かい頭を下げ自室へとミネルヴァは入っていった。それを見届けた後お風呂に入る事に。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

机に資料を広げ席に着いた時小さなため息が出た。嫌な事があった訳でもなく辛い事があった訳でもないのに。

 

 

(よし、やろう)

 

 

ため息を吐いた意味を考える事をやめ資料へと向き合ってゆく。

 

今私が考えを練っているのは式の打ち合わせの数を減らすという事だ。結婚式というものは式を行うまでに何度も打ち合わせを行なう必要がありこれはお客様の負担になっていると考えてだ。

 

 

打ち合わせを短略化する為にはどうすれば良いのか。一番簡単なのは手順を必要最低限に減らす消去法なのだけど。それとも打ち合わせの時間を増やし一度に多くの事を決めてしまうか。

 

資料と一緒に置いたノートの上をペンを持つ手が行ったり来たり。上手く事柄が纏まらず遂にはペンを置き椅子に深く背を持たれた。

 

 

(はぁ)

 

 

またため息を吐いてしまった。それにマッサージをしてもらい解消した肩こりが再発し頭を悩ませ匙を投げ眠る事に。

 

 

「ニケ、おやすみ」

 

 

相棒である梟のニケに挨拶をした後ベッドに潜り込み目を閉じるのだが課題とあの時言われた事が脳裏にチラつき結局眠れたのはベッドに入ってからしばらくが経ってからだった。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

「おはようミネルヴァ、ニケ」

 

「おはようございますマスター」

 

「朝食の準備できてるよ。飲み物はコーヒーで良かった?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

ミネルヴァが席に座るのを見届けた後コップにインスタントコーヒーを入れお湯を入れミネルヴァの前に。

 

その後自分の分を作り席へと座る。

 

 

「「いただきます」」

 

 

コーヒーを飲みながらカリカリに焼かれたトーストをのんびりと食べてゆく。そんな僕とは対照的にミネルヴァは急ぐ様にトーストを食べコーヒーを飲み終えると席を立った。

 

 

「私はもう行きますね。ごちそうさまでした」

 

「うん。気を付けていってらっしゃい。あっお弁当あるよ」

 

 

席を立ち玄関から出てゆくミネルヴァを見送った後席に戻りトーストを食べ終え片付けをしてから仕事場である教会へと向かってゆく。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

職場に付き朝礼を済ませた後支度を整え時計を見る。時刻は午前9時になろうとしている。もうすぐ今日一人目のお客様が来る時間だ。

 

鏡を見て失礼がないかチェックをし資料を再確認していると私を呼ぶ声が聞こえお客様を出迎えに行く。

 

 

「おはようございます。本日はよろしくお願いしますね」

 

 

出迎えたのは芭蕉扇とそのマスター。世界が平和となった今こうして奏官と添い遂げるキル姫も多くなっていた。

 

早速二人を席へと案内しプランを練ってゆく。

 

 

「それで、どの様な結婚式をお望みでしょうか?」

 

「そうね。この天界一高貴なこの芭蕉扇と伴侶となるマスターの式よ。もちろん盛大に行なうに決まっているわ!ねっあなた」

 

「あはは。芭蕉扇が望む様な式を行なってくれないかな?」

 

「分かりました。ではこの様なプランはどうでしょうか?」

 

 

数ある資料の中から一番派手なプランを選び二人へとパンフレットを渡すと芭蕉扇が私の手から奪い取る様に取り読み更けてゆく。

 

 

「このプランはダメね。お金はいくらでも出すからもっと派手なプランを出しなさい」

 

 

読んだ資料を私に向かい投げ返し傲慢な目線を私へと向ける。苦笑いを浮かべそうなのを堪え笑顔で対応を行なってゆく。

 

 

「それでは一からプランを考えましょう。そうすればきっと二人に相応しい式を挙げる事ができますよ」

 

「なら案を出しなさい。もし私が少しでも気に食わなければ吹き飛ばしてあげるわよ」

 

 

芭蕉扇の雰囲気が変わった。それは彼女は冗談では無く本気でそう思っていると悟らせる。しかし過去に神々を相手に戦った私にとってそんなプレッシャーは無いに等しい。

 

 

「はい。では幾つか案をご紹介致しますね」

 

 

思いつく限りの派手なプランを案内してゆくと芭蕉扇の顔に笑顔が浮かんだ。

 

 

「良いわ!良いわね!そのプラン私達にピッタリよ!ねっ、あなた」

 

「良いと思うけど派手過ぎないかな?」

 

「私達の結婚式よ!?私はこの世界の人全てを呼んでも良いとすら思っているわ!そして私達の晴れ姿を目に焼き付けさせるのよ!」

 

「このプランにしよっか」

 

 

ヒートアップしそうな芭蕉扇をマスターが宥めると機嫌が良さそうに笑顔を浮かべながら打ち合わせを行なう事ができた。

 

しばらくして芭蕉扇がトイレにと席を立った時部屋には私と芭蕉扇のマスターの二人となった。その時私は質問をしていた。

 

 

「マスターさん。一つだけ質問をしても宜しいでしょうか?」

 

「どうしたんですかプランナーさん?」

 

「いえ、これはプランナーとしてでは無く一人のキル姫としての質問なのですが。宜しいでしょうか?」

 

 

首を縦に振ってくれたのでたった一つの質問を行っていた。

 

 

「マスターさんは芭蕉扇の何処に惹かれたのですか?」

 

「芭蕉扇はね。人前ではあぁだけど二人になるとすごく甘えてきてくれるんだ。それに家事も全てこなしてくれて凄く家庭的っていうか。惹かれたのはギャップかな」

 

「なるほど。ありがとうございます」

 

 

「プランナーさんは…」そう言いかけた時部屋に芭蕉扇が戻ってきた。

 

「お待たせ。あなた。私の伴侶に変な事してないでしょうね?」

 

「いえ、決してその様な事はありません。このミネルヴァの槍に誓いましょう」

 

「なら良いわ。それに私のマスターが他の女に目移りするだなんてあり得ない話だわ」

 

「はい。それで新郎新婦の登場なのですが空中ブランコを利用して何てどうでしょうか?」

 

 

それからも二人との打ち合わせは続き結局昼過ぎまでかかってしまっていた。それでも二人は終始笑顔を浮かべ結婚式へと思いを馳せていた。

 

 

「ありがとうございました。次の打ち合わせは一週間後となります」

 

「分かったわ。また楽しい時間を楽しみにしているわよ」

 

 

部屋を出た二人について行き建物を出た二人の姿が見えなくなるまで見送り部屋に戻るとマスターから貰ったお弁当を食べる事に。

 

少し遅めのお昼ご飯だが次の打ち合わせが控えている以上のんびりとしている暇など無い。手早くお弁当をかき込み次の打ち合わせへの段取りをしてゆく。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

その頃僕は教会より与えられた仕事をこなしていた。主な仕事として過去に異族やカミノツカイの被害を受けた村や町の復興や稀に現れる異族の出現情報の確認や報告。そして任務として教会に案件を出すのが僕の仕事だ。

 

 

今日も地方から届いた異族の情報をまとめ案件として提出していた。

 

 

「お疲れ様。一緒にお昼どうかな?」

 

 

僕に声をかけてくれたのはラグナロクだった。エンシェントキラーズのリーダーであり解散した今はラグナ教会のトップとして世界の平和の為に尽力を尽くすキル姫。

 

もちろん誘いを断る事なくお昼に同席する事に。

 

 

「ミネルヴァの様子はどうかな?元気にしてる?」

 

 

喋りながらお昼ご飯を食べているのだがその話題は隊員であったミネルヴァの事が殆どであった。エンシェントキラーズが解散したのは僕が生まれる前と聞いているが離れた後もやはり心配なのだろう。

 

 

「うん、元気だよ。最近仕事が忙しいからあまり話す時間は無いけどね」

 

「ならよかった。少し前までは毎月手紙をくれてたんだけど来なくて心配だったんだ」

 

「あまり無理はしてほしく無いんだけど仕事の事を話してくれてる時のミネルヴァが凄く楽しそうでさ」

 

「あの子は聞き上手だし話上手だから向いてる仕事だもんね。そうだ。それと君にお願いがあって」

 

 

ラグナロクの相談とは地方の村に行き異族の被害を確認し報告書を作るというもの。

 

 

「もちろん私も同行するし君を危険な目に合わせるつもりは無いわ。その代わり三泊四日の出張になってしまうけど」

 

「ん、。ミネルヴァに相談してからでも良いかな?」

 

「それはもちろんだよ。本当なら君とミネルヴァに行ってもらうのが一番なんだけど戦いから離れたミネルヴァをこっちに呼ぶのは少し気が重くて」

 

「明日にでも返事をするよ」

 

 

それから少しおしゃべりをした後午後の業務へと取り掛かってゆく。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

昼食を食べ少し眠くなったのを濃いめのコーヒーで誤魔化し次のお客様の元へ。

 

 

「こんにちわ。本日はよろしくお願いしますね」

 

「よろしくお願いします」

 

 

本日二組目のお客様は奏官とミストルティンとその娘さんの三名。ただ、ミストルティンは獣刻されているが。

 

 

「ではどの様な結婚式をお考えですか?」

 

「えっと、こじんまりと僕達三人で式を挙げたいのですが」

 

「はい、それならこの様なプランはどうでしょうか?」

 

 

いくつかのパンフレットを渡すと奏官と一緒にミストルティンが目を通してゆく。

 

 

「ねーあれはー?」

 

 

そんな時娘さんが私の肩に停まるニケを指差しキラキラした眼差しを向けた。

 

 

「この子はニケと言います。とても聡い子なのですよ」

 

 

肩からテーブルへ飛び降りたニケが娘さんの方へと行くと恐る恐る手を伸ばしニケの頭に触れてゆく。

 

 

「ごめんなさい、、ダメですよ」

 

 

ミストルティンに諭されても娘さんはニケの頭を撫でていた。

 

 

「ニケなら大丈夫ですよ。希望に合うプランは見つかりましたか?」

 

「これなんてどうかな?」

 

「マスター様が望むのなら私は全てを受け入れます、、」

 

「そうじゃなくて三人の式なんだから君の意見も教えて欲しいな」

 

「私は、、、」

 

「お子様は私とニケで観ていますのでごゆっくり決めて下さいね。ほら、お菓子が欲しい子こっちにおいで」

 

 

カバンからお菓子を取り出し見せると目を輝かせ私の方へと来てくれた。

 

 

「おいしー♪」

 

 

笑顔でお菓子を食べる娘さんを見守っていると声がかかり席へと戻る。

 

 

「あの、フォトウエディングプランにしたいのですが」

 

「分かりました。それなら打ち合わせに時間をかける事なく式をする事ができますよ。それに費用の方も抑える事ができますし」

 

 

フォトウエディングのパンフレットを選び二人へと渡すと笑顔を浮かべながらパンフレットを覗いている。

 

 

「じゃあこれにしよっか。ミストルティンは良いかな?」

 

「はい♪」

 

「ごめん、ちょっと会社から電話」

 

 

そう言って席を立った奏官を見届けて私はまた同じ質問をしていた。

 

 

「あの、ミストルティン」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「ミストルティンは奏官さんの何処が好きなのですか?もしよろしければ教えて頂きませんか?」

 

「マスター様はとても優しくて頼りになって私を日陰から救ってくれたとても素晴らしいお方なのです、、本当に私なんかがこんな幸せになって良いのか不安になってしまう程、、」

 

 

控えめな物言いなのだが奏官の事を話している間ミストルティンはずっと笑顔を浮かべていた。

 

 

「ごめんね」

 

「お帰りなさいマスター様」

 

 

しばらくして電話を終え席へと戻った奏官を交え話を煮詰めてゆく。

 

 

「そうだ。これは私からの提案なのですがどうでしょうか?」

 

 

私の出した提案を聞いた三人は満開の笑顔を浮かべ賛同してくれた。そんな三人の姿を見ていると私まで笑顔になってしまう。

 

 

それからしばらく打ち合わせをした後三人を見送りに建物の外まで来ていた。

 

 

「本日はありがとうございました。次の打ち合わせは、、五日後になりますのでよろしくお願いします」

 

 

私にお礼を言い去ってゆく三人の姿が見えなくなるまで見送った後建物へと戻り資料をまとめてゆく。見上げた時計が指す時間は16時になろうとしていた。

 

 

(ふむ、、)

 

 

昨日の夜打ち合わせの短略化をしようとしていたがそれは無理だという事に気が付いた。

 

ミストルティン達の様にシンプルな式だとしても三回は打ち合わせを行わなければならないし芭蕉扇達の様な派手な式ならば何度打ち合わせを行えば良いのか想像もできないほど。

 

 

とりあえずある程度までミストルティン達の式の案を煮詰めた後芭蕉扇達の式の案を考える事に。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

(遅い、、、)

 

 

夕ご飯を作り終わりしばらくテレビを見て時間を潰しやっと見上げた時計は20時を過ぎていた。今日もミネルヴァの帰りは遅い。

 

何をしようか悩むのだが何も思いつかず退屈に囲まれながらミネルヴァの帰りを待っていた。

 

 

「ただいま帰りました」

 

「おかえりミネルヴァ」

 

 

やっと聞こえたドアが開く音とミネルヴァの声。僕が玄関まで迎えに行くと靴を脱いだミネルヴァが廊下を歩いていた。

 

 

「ご飯の準備するよ」

 

 

すっかり冷めてしまった料理を温め直しテーブルへと運んでゆく。

 

 

「「いただきます」」

 

 

そして二人同時に夕ご飯を食べてゆく。

 

 

「今日ラグナロクに会って出張に行かないかと案件を持ってきてくれたんだけど行ってきても良いかな?」

 

「ラグナロクがですか?それは構いませんよ。それにマスターの仕事なので私に許可を得る必要はないんじゃ無いですか?」

 

「そうだけど一応聞いておこうと思ってさ。ミネルヴァってご飯作れるの?作れないなら作り置きをしてこうと思って」

 

「料理ならできるので大丈夫ですよ。安心して行ってきて下さいね」

 

 

にっこりとした笑顔で言ってくれた。その後ご飯を食べ終えたミネルヴァに先にお風呂に行ってもらい食器を片付け日持ちのする料理をいくつか作り冷蔵庫にしまっておく事に。

 

 

「お風呂お先でした」

 

「ん。はいお茶」

 

「ありがとうございます。そうだマスター。マスターは恋愛をした事はありますか?」

 

「そりゃああるよ?どうしてそんな事聞くの?」

 

「いえ、それと人を好きになるってどういう事なのですか?」

 

「んーっとね。好きになるっていうより好きになってる。かな?ちょっと言葉では説明できないけど」

 

「分かりました。ありがとうございます」

 

 

お茶を飲み一息付くミネルヴァを見た後僕もお風呂に入る事に。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

次の日教会でラグナロクにミネルヴァの許可を得たという話をすると今日から出張に行く事となった。

 

 

「急でごめんね。急ぎの案件だからさ」

 

「大丈夫だよ。行こっか」

 

 

馬車に乗り目指すのはラグナ大陸最果ての土地、ワスレナ。

 

 

 

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朝出社し今日の打ち合わせの時間を確認してゆく。午前に一組、午後に一組。それだけ見てから昨日の案件を煮詰めてゆく。

 

しばらくして名を呼ばれ打ち合わせへと。

 

 

「おはようございます。本日はよろしくお願いしますね」

 

 

部屋に入り私は驚いてしまった。今日のお客様は男性の方が一人にキル姫が二人だったのだから。

 

 

「ねぇねぇ結婚式って愉快なの?」

 

「ねえねえ結婚式って悲劇なのかな?」

 

「あー悪いプランナーさん。こいつらの話は無視して構わない」

 

「ひどいよマスター!」

 

「うん、ひどいねマナナン、、」

 

「あははは、、、」

 

 

思わず乾いた笑いが漏れてしまったが席に付き打ち合わせを行ってゆく。

 

 

「あの、三人で式を行うという認識でよろしいのですよね?」

 

「そうですね。他の式場をまわったのですが何処も断られてここに来たのですけど」

 

「ここなら式を挙げられるのかな?」

 

「挙げられなかったら悲劇だよ、、」

 

「「ねぇねえプランナーさん。どっちなの?」」

 

「分かったから黙ってろ。それでプランナーさん、どうなのですか?」

 

 

男の人の目を見ると縋るような眼差し。本来なら私の独断ではなく上にかけ合うべき案件なのだが通したところで断られるのは目に見えている。

 

それならばやるべき事は、、、。

 

 

「お客様。本当に結婚式を三人で挙げたいのですよね?」

 

「はい。形だけでも良いのでコイツらと」

 

 

男の目線を辿るとすがるような眼差しが二つ。

 

 

「分かりました。先に言っておきますけど三人で式を挙げる事は当館ではできません。ですが、本当に形だけでも宜しいのならお力になる事ができますよ」

 

 

その言葉に三人の顔が明るくなった。

 

 

私が提案したのはミストルティン達と同じフォトウエディング。今、式場を利用しているお客様はおらずそれも本当に形だけでいいのなら今すぐにでもできると伝えると三人は大いに喜んでくれた。

 

 

「では早速ですが衣装を選びに行きましょう」

 

 

三人を連れてレンタル用の衣装が保管している部屋へと来ると三人がポカンとした顔をしていた。

 

 

「えっ、こんなに衣装ってあんのか、、」

 

「うわーーすごくたくさんあるね♪」

 

「うん、、この中から選ぶなんてできるかな、、」

 

「まだ時間はあるのでゆっくりと選んで下さいね」

 

 

少し離れた場所で三人を見ているととても楽しそうにドレスに触れ体に合わせ笑い合っている。しばらくして選んだ衣装を持ち私のところへと来てくれた。

 

 

「では着付けをします。最初は男性の方からしますね」

 

 

男性の方と更衣室へと行きスーツを仕立ててゆく。その時また私は同じ質問をしていた。

 

 

「お二人の何処が好きなのですか?」

 

「マナナンは元気でアホで子供みたいなところでマクリルはお姉さん気質なところ、優しくて包容力があるところだよ」

 

「失礼を承知で質問させてもらいます。一人に選ぶ事はしなかったのですか?」

 

「あいつらは姉妹だからどっちかを選べば一人は置き去りになる。だからだよ。それに俺にあいつらどちらかを選ぶ事なんてできない」

 

 

そう言って左手薬指に光る指輪を見せてくれた。紅と紺が渦を巻く様な模様が特徴的だ。

 

 

「二つしても良いのだがそれだとどっちが上か下かになるから二人の色が混ざった指輪にしたんだ。決断力が無いって言ってくれるなよ」

 

 

そう言って笑う男性。その話を聞いてなんだか胸の奥が熱くなる様な感覚を覚えた。

 

 

「これで着付けは終わりです。二人のドレス姿を楽しみに待っていて下さい」

 

 

次は二人の着付けを。更衣室に三人で入り着付けてゆく。そして私は同じ質問をした。

 

 

「マナナンさんとマクリルさんは男性の何処が好きなのですか?」

 

「えっとね。料理が美味しくて優しくて三人で居ると凄く喜劇的なとこ♪」

 

「えっと。料理が美味しくて優しくて三人で居ると悲劇的な事なんて一つもないところ、、♪」

 

「「それとね、私達の帰りをずっと待ってていてくれたんだ♪」」

 

「ありがとうございます。もう着付けは終わりました。では行きましょうか」

 

 

二人を連れてドアを開くとヴァージンロードの先に待つ男性の姿。それを見た二人がヴァージンロードを走り男性へと飛び込んでゆく。

 

マナーも雰囲気も無いけれどこの形が三人にとって一番相応しいものに感じ三人の姿を写真の中へと納めてゆく。

 

 

「ありがとうございました。三人にとって特別な時間となれたのなら幸いです」

 

 

フォトウエディングを終え外まで案内すると何度も私にお礼を言いながら三人は帰って行った。

 

 

建物に戻り時計を見上げるともうすぐお昼になろうとしておりお弁当を食べようと席に着いたのだがお弁当は見当たらず。

 

 

(そうだった)

 

 

マスターが出張に行っているからお弁当は無いのだった。時計を見ると次の打ち合わせまで僅かしか時間はなくご飯を買いに行く時間なんてない。

 

 

せめて糖分だけでも摂っておこうとコーヒーにガムシロップを数個入れ飲み干し次のお客様の元へ。

 

 

「こんにちわ。本日はよろしくお願いしますね」

 

 

次のお客様は雑賀とそのマスター。席につきどの様なプランが良いのかをパンフレットを見ながら意見を聞いてゆく。

 

 

「あんまり派手なのは嫌っすね、、マスターは呼ぶ人とかいるんすか?」

 

「結構失礼な事聞くね。これでもそこそこは呼べる人いるよ?」

 

「へぇー以外っすね」

 

「そう言う雑賀は呼ぶ人いるの?」

 

「うちはまぁ呼べばそれなりには来てくれるアテはあるっす」

 

「それなら中規模のウエディングでよろしいですか?」

 

「そうだね」

 

「そーっすね」

 

「それならこの様なプランは如何でしょう?」

 

 

二人の意見を聞き合っていると思うプランのパンフレットを渡すと賛同の声が。

 

 

「あっ、ちょっと電話」

 

 

そう言ってマスターが席を立ち外へと。部屋には私と雑賀だけとなった。

 

 

「あの、雑賀。一つだけ質問をしてもよろしくですか?」

 

「良いっすよ?なんっすか?」

 

「雑賀はマスターのどの様なところが好きなのですか?」

 

 

私の質問に恥ずかしそうに頬をかいた後答えてくれた。

 

 

「マスターはうちの事を守ってくれるし素のうちも今のうちも受け止めてくれる懐の広さがあるんすよね。好きになったのはそういうところっすね」

 

「なるほど。ありがとうございます」

 

「うちも出会った時はなんとも思ってなかったんだですけどね、、」

 

 

そう言って雑賀は笑っていた。

 

しばらくして戻ったマスターを交え三人で話し合いを進めある程度目処が付くまでプランを煮詰めたところで解散となった。

 

 

「本日はありがとうございました。次の打ち合わせは一週間後となります」

 

 

お礼を言い合った後二人の姿が見えなくなるまで見送り自席に戻ると書類をまとめ家に帰る事に。会社を出る時見た時計はもうすぐ21時になろうとしていた。

 

 

「ただいま帰りました」

 

 

そう玄関を開けて言うのだが返事は返ってこず部屋の電気すら付いていない。玄関の電気を付けた時マスターは出張でいない事を思い出した。

 

 

「お腹すいたな、、」

 

 

お昼も食べておらずお腹の虫が鳴くのだが今の時間から夕ご飯を作るのは少し気が重い。それでも空腹には勝てず何かを作ろうと冷蔵庫を開けると手紙と共に並ぶタッパーが見えた。

 

 

[お疲れ様。遅くなると思ったから作り置き置いておくね。あんまり無理したらダメだよ]

 

 

手紙を読み私は無性に胸が暖かくなるのを感じていた。短い文なのにこんなにも心が暖かくなるなんて。

 

 

手紙をカバンにしまいタッパーを温め直してテーブルに置き夕食を食べてゆく。

 

そしてマスターが言っていた言葉の意味を知った。

 

 

「一緒に食べた方が美味しいじゃん」

 

 

確かにその通りだった。作ってくれたご飯は美味しいのだけどマスターと一緒に食べていた方が今よりも美味しいと思えるだろう。

 

 

「マスター、、」

 

 

呟いた言葉を聞きニケが耳を立てた。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

その頃僕はラグナロクと共に夕食を食べていた。

 

 

「どうしたの?そんなに向こうの方を見て」

 

「あっと、ミネルヴァ大丈夫かなって」

 

「心配してくれるんだね。もうミネルヴァも家に帰ってご飯を食べてるよ」

 

「だと良いけどね」

 

 

僕の見る方角は家がある方へと向く。しっかり者のミネルヴァだからそこ心配なんだけど。

 

 

「そうだ。一つ聞いて良いかな?」

 

「どうしたの?」

 

「ミネルヴァの事好きでしょ?」

 

「!?」

 

 

ラグナロクの突拍子もない質問に飲み込みかけたご飯が何処かへと入り込み盛大にむせ返った。慌てながらコップへと手を伸ばしお茶を飲みやっと落ち着いた。

 

 

「えっと、、」

 

「そんなに驚かなくても良いじゃない。君とミネルヴァはバイブスで繋がっているんだし」

 

「そうだけども」

 

「バイブスとキラーズが繋がるのはお互いが惹かれ合うという事よ。だからと言って好きになる訳じゃないんだけど意識ぐらいはしてるよね?」

 

「まぁ、、意識して無いって言ったら嘘になるけど、、ってラグナロク楽しそうだね」

 

「ふふっ、仲間には幸せになってもらいたいもの。君とミネルヴァなら私は応援してあげれるよ」

 

 

いじわるな眼差しのラグナロクに思わず苦笑い。

 

 

「じゃあ早く任務を終わらせてミネルヴァのところに帰してあげないとね」

 

 

ご馳走様と呟きラグナロクは自室へと戻って行った。それを見送った後残りのご飯を食べながらミネルヴァの事を考えていた。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

夕食を食べた後食器を洗いお風呂に入りリビングでお茶を飲んでいた。マスターが出張に行くのは私が知る限りでは初めての事でこうして一人で過ごす夜は初めてだったりする。

 

静寂に包まれる部屋に聞こえるのは冷蔵庫のコンプレッサーの音とニケの羽音。

 

マスターが居ないだけでこんなに一人で過ごす夜が寂しいものだとは思ってもいなかった。

 

 

(はぁ)

 

 

ため息が一つ溢れた後眠ろうと自室へ行きベッドへと飛び込み布団の中へと潜り込む。

 

 

「マスター、、、」

 

 

私の呟きを聞きニケが短く鳴き声をあげた。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

それからあっという間に三日が過ぎ僕とラグナロクの出張が終わり僕は家に帰ってきていた。

 

 

久しぶりに家に帰るとミネルヴァらしくちゃんと部屋は片付いており夕食を作ろうと冷蔵庫を開けるとタッパーが置いてあったところに手紙が置いてあるのを見つけて読んでみる事に。

 

 

[ありがとうございました。とても助かりましたよ]

 

 

短い文であるがミネルヴァらしさを感じてニヤニヤと。それからあるものを使い料理を作ってゆく。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

夜の道を一人歩く。時刻は20時を過ぎようとしていた。ふと見上げた家の窓から明かりが漏れている事に気付き自分でもなぜだか分からないけど早足に家へと向かい走ってゆく。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

「ただいま帰りました。お帰りなさいマスター」

 

「おかえりミネルヴァ。ただいま。ご飯できてるよ」

 

 

久しぶりの二人の会話。なんの変哲のない挨拶なのに二人の心は弾む。

 

 

「お疲れ様でした。何か変わった事はありましたか?」

 

「うーん。特に無かったかな?ミネルヴァは何か変わった事あった?」

 

「私も特に無かったです」

 

「ご飯用意するね」

 

「私も手伝いますね」

 

 

二人で準備をして同時に席へとついた。

 

 

「「いただきます」」

 

 

そして夕ご飯を食べてゆく。

 

 

「私、マスターの言っていた言葉の意味が分かりました」

 

「何が分かったの?」

 

「ご飯は一人より二人で食べた方が美味しいって事です。マスターの作ってくれたご飯は美味しいですけどこうして二人で食べた方が美味しいって」

 

「でしょ?こう言ってくれるならもっと凝ったものを作れば良かったよ」

 

「いえ、これだけでも充分ですよ。いつもありがとうございます」

 

 

ご飯を食べながらの会話。その時何か気まずくてお互いが目を合わせようとしない。その事にお互いが気付き声をかけた。

 

 

「マスター」

「ミネルヴァ」

 

 

お互いが同時に名を呼び少し照れ臭くなる。

 

 

「えっと、、」

 

「マスターからどうぞ言ってください」

 

「ん、なんだか照れ臭いねって」

 

「私もそう思っていました。なんだか意識してしまうというのか、、」

 

「意識?何を意識するの?」

 

「えっと、、」

 

 

言葉にしたのだが次の言葉に詰まり顔を背けようとした。その時ニケが羽ばたきマスターの頭の上に乗った。

 

 

「あっ、ダメですよニケ」

 

 

マスターの頭に溜まったニケを取ろうとミネルヴァが席を立ちマスターの元へ。その時テーブルの足に足を引っ掛けマスターへと倒れてしまう。

 

 

「大丈夫だったミネルヴァ?」

 

「は、はい、、」

 

 

マスターに抱き抱えられたミネルヴァはマスターの顔を見上げた。普段ならすぐに退くのだがそのままマスターを見上げ続けている。

 

 

「あの、、マスター、、、」

 

「ど、どうしたの?」

 

 

思わぬ体制に動揺しながらもミネルヴァの言葉を待つ。

 

 

「私、、その、マスターの事が好き、です、、」

 

「うん、僕もミネルヴァの事が好きだよ」

 

「私マスターの言葉の意味がやっと分かりました。好きになるんじゃなくて好きになっているって。私、マスターの事好きになっていました」

 

「僕も。ずっとミネルヴァの事意識してたんだけど好きって気が付いたよ」

 

 

抱きしめる腕に力が入り二人は心臓の鼓動が聞こえ合う程に体を抱き合わせ。そしてどちらとなく唇を近づけてゆく。

 

 

二人の唇が重なったのを見たニケが大きく羽を広げ伸びをした。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

ミネルヴァの唇に僕の唇が触れた。ふっくらと柔らかな唇の感触をもっと感じたくて貪る様に夢中で唇をはむ。

 

 

そんな時聞こえたニケの羽音で顔を上げると赤面し僕を見上げているミネルヴァの顔が。

 

 

「ごめん!キスしちゃった」

 

「いえ、私の方こそ、、、」

 

 

歯切れの悪い返事。だけど顔は僕を見つめたまま。そして再びどちらとも無く顔を近づけようとした時ニケが一鳴きし夕食の途中だったという事を思い出させた。

 

 

「と、とりあえずご飯食べよっか」

 

「そ、そうですね、、」

 

 

残りの夕食を食べ終えミネルヴァがお風呂に行っている間に食器を洗い片付けてゆく。

 

 

(ミネルヴァの唇柔らかかったな、、)

 

 

なんて惚けているとニケが僕の頭の上へと溜まった。

 

 

「どうしたのニケ?」

 

 

問いかけるのだが返事はない。その後頭からぴょんと跳ね蛇口の上に溜まると僕の顔をジッと見つめた。

 

まるで娘の相手を見定める親の顔様。しばらく見つめ合うと何処かへと飛んで行った。

 

 

なんて事を考えているとミネルヴァがドライヤーを使う音が。その音で全く食器を洗っていない事を思い出し手を動かしてゆく。

 

 

「お風呂お先でした」

 

「はいよ。はい、お茶」、

 

「ありがとうございます」

 

 

ミネルヴァに風呂上がりのお茶を渡した後僕もお風呂に入ってゆく。

 

 

「はい、お茶ですよ」

 

 

シャワーを浴びリビングに戻ると椅子に座るミネルヴァの姿が。お礼を言いながら対面して座り差し出されたお茶を飲んでゆく。

 

 

「今日はやる事はないの?」

 

「明日お休みなので今夜はゆっくりしようと思いまして。マスターは疲れてはいないのですか?」

 

「今日は移動だけだったし大丈夫だよ。明日は休みだし。ミネルヴァは疲れてないの?」

 

「今日は人も少なかったので大丈夫です」

 

 

それだけ話して沈黙。そしてお互いがソワソワと。

 

 

「あの、、」

「ねぇ、、」

 

 

そして再びお互いが同時に声をかけていた。

 

 

「マスターからどうぞ言って下さい」

 

「いや、ミネルヴァから言ってよ」

 

 

お互いが話す順番を譲り合った後僕のから話す事に。

 

 

「あの、ミネルヴァがよかったら一緒に寝ないかな?えっと、変な意味はないよ?」

 

「ふふ、私も同じ事を言おうとしていました。それではどちらの部屋で寝ますか?」

 

「うーん?」

 

 

僕達の住む家の間取りは均等であり部屋の大きさも同じ。そしてあるベッドはお互いにシングルのベッド。

 

 

「じゃあミネルヴァの部屋でも良いかな?」

 

「はい、構いませんよ」

 

 

立ち上がったミネルヴァの後に続き立ち上がり部屋へとゆくミネルヴァの後をついてゆく。ドアの先は今まで一度も入った事のないミネルヴァの部屋。

 

 

(・・・)

 

 

部屋に入った瞬間からミネルヴァの匂いに包まれる様な感覚。ミネルヴァ自身も香水を付けているわけではないのにミネルヴァの匂いがする。

 

 

「どうしましたか?」

 

「いや、なんでもないよ」

 

 

部屋を見渡すとベッドがあり机がありベッドの近くにある本棚にはエンシェントキラーズ達のと写真が並ぶ。同じ自宅なのになんだか他人の家に来た様な感覚。

 

 

「もう夜も遅いので寝ましょうか」

 

 

ベッドに寝転がり壁際へと寝転んだミネルヴァを見て電気を消した後横に僕も寝転がってゆく。そして一つの枕に二人頭を置き寝ようとするのだが全くと言って良いほどに眠気を感じない。

 

 

「ミネルヴァは眠たい?」

 

「いえ、まだ眠くありませんよ」

 

「良かった。僕も眠くなくて」

 

「ならお話をしませんか?」

 

 

ミネルヴァの提案に乗り些細な事を話してゆく。

 

 

「ラグナロクにさ、僕とミネルヴァはお似合いって言われたよ」

 

「あはは、、ラグナロクらしいですね。七月になれば時間もできるので会いに行って来ますね」

 

「なんで七月なの?」

 

「六月は結婚式が多いので繁忙期なのですよ。ジューンブライドって聞いた事ありませんか?」

 

「あーー聞いた事ある様な無いような?」

 

「六月に結婚式を挙げたカップルは一生涯に渡り幸せに包まれると言います。その為ですよ」

 

「なるほどね。でも幸せに過ごせるかなんて分からないじゃんか?」

 

「だからこそあやかりたいのだと思います。お正月におみくじを引き一年を占う様に。忘れてしまうけど引いたという事実があればふとした時に思い出したりしませんか?」

 

「ふむふむ?そうだ。ミネルヴァは色んなカップルを見てきてるよね?やっぱりみんな幸せそうなの?」

 

「そうですね。やっぱりみんな幸せそうです。式の大きさはそれぞれですけど幸せの大きさに変わりは無いと思います」

 

「やっぱり羨ましいって思ったりする?」

 

「そう、ですね。幸せそうに笑う二人を見ているとそう思ってしまう時があります。でも」

 

「でも?」

 

「きっと今の私はみんなと同じ笑顔を浮かべていると思います」

 

 

そう言って僕を見て笑ってくれた。その笑顔は見ている僕も胸があったかくなる様な笑顔。

 

 

「ねぇミネルヴァ」

 

「はい、なんでしょう?」

 

「頭を撫でても良いかな?」

 

「か、構いませんよ、、」

 

 

恥ずかしがるミネルヴァの頭をわしゃわしゃと撫でてあげる。ふんわりとした金髪が撫でる手によりぐしゃぐしゃになるのだがミネルヴァの顔は嬉しそう。

 

 

「こうやって頭を撫でられるのは心地いいものなのですね。少し恥ずかしいですけど、、」

 

 

恥ずかしそうに笑うミネルヴァが愛おしくて抱きしめたくなるのをグッと堪えた。

 

 

「マスター」

 

「どうしたの?」

 

「ぎゅってしてもらっても、、よろしいですか、、?」

 

 

豆電球に照らされたミネルヴァの顔を見ると瞳を潤ませ僕を見上げていた。そんなミネルヴァを抱きしめてあげる。伝わる体温と脈を打つミネルヴァの心臓の音がやけにうるさく聞こえてしまう。

 

 

「マスターもドキドキしているのですか、、?」

 

「うん。ミネルヴァもドキドキしてる?」

 

「はい、、心地良くてとても落ち着くのに、、」

 

 

ミネルヴァの顔を見ると唇を紡ぎ僕に顔を向けていた。もしこの唇に唇を重ねてしまったら一線を超えてしまいそうなのに僕はミネルヴァの唇に唇を重ねていた。

 

 

「ん、、、んん、、」

 

 

柔らかくしっとりとした唇と重ねた唇の間からミネルヴァの吐息が漏れる。

 

それがもっと聞きたくて夢中で唇を重ね合わせ気が付けばミネルヴァの唇を舌先でなぞっていた。

 

意図しない動きにミネルヴァが驚いた様な声を出した後唇を開き僕の舌を口内へと受け入れてくれた。

 

 

お互いの唾液を混ぜ合いながら舌と舌を絡め合い吐息を漏らす。気が付けばミネルヴァの頭を抱き抱え舌を伸ばしミネルヴァの口内を弄る。

 

やっと顔を離し見たミネルヴァの顔は蕩けていた。

 

 

「暑いですね、、クーラーかけているのに、、」

 

「でもこの暑さ良くない?けっこう好きかも」

 

「そうですけど、、」

 

「あはは、ねぇ。どうしよっか」

 

 

僕の言葉にミネルヴァは潤んだ瞳を僕に向けてくれた。

 

 

「マスターとなら良いですよ、、」

 

 

そう言い終わると同時に頭まで布団をかぶってしまった。

 

そんなミネルヴァが可愛くて僕も布団に潜り込みぎゅっと抱きしめていた。

 

 

布団の中でミネルヴァと抱き合い何度もキスを重ねやがて布団の中は二人の体温で蒸し風呂の様に。

 

体を起こし布団をめくり上げると篭っていた熱気が和らぎすっとした空気が入り込む。

 

だけど火照った体の熱は冷めず眼差しは蕩けたミネルヴァを刺す様に見つめる。

 

 

そして伸ばされた両手はミネルヴァの乳房へと。スエット越しに盛り上がる乳房を包み込む様に揉みしだくとツンっと立つ乳首が手のひらにコリコリと当たる。

 

見下ろすミネルヴァの顔は恥ずかしさと緊張が入り混じり年端もない少女の顔がふと女の顔を見せる。

 

それが堪らなくて手を戻しスエットの内部へと手を滑らせ直にミネルヴァの乳房へと。

 

 

「んっ、、」

 

 

スエット越しではなく直に触れたミネルヴァの乳房はしっとりと汗をかき手に吸い付く様な肌触り。それに乳房の形を変えるたびにミネルヴァの顔が表情を変える。

 

 

やがて視線に気が付いたのかぷいっと顔を背けた。

 

 

「脱がせるよ」

 

「はい、、」

 

 

おへそからスエットを捲り上げると背を上げて脱がすのを手伝いやがてミネルヴァの上半身からスエットが抜き取られ柔肌と乳房を隠す事なく曝け出す。

 

 

「綺麗だよ」

 

 

顔を羞恥で赤め両手を頭の横に置くミネルヴァの裸体は、ため息が漏れてしまうほどに美しく汚してしまうのは忍びない程。

 

それでも燃え盛る情欲に逆らう事ができずズボンと下着に手をかけるとするすると脱がし折りたたみベッドの下へと落とす。

 

 

「は、恥ずかしいです、、」

 

 

股間と乳房に手を置き羞恥に身を捩る姿は男を誘う姿にしか見えない。

 

 

「僕も脱ぐね」

 

 

そう言ってスエットを脱ぎ捨てると肌と肌を密着させる。

 

 

お互いが汗をかきぴたりと肌を合わせながら心地の良い密着感に浸りながらミネルヴァの頭をわしゃりと撫でる。それだけでミネルヴァは身を震わせた。

 

 

「どうしたの?」

 

「すごく恥ずかしくてどうにかなってしまいそうなんですよ、、ま、マスターは平気なのです、、か?」

 

「僕も恥ずかしいけど、、それよりも嬉しいかな?」

 

「それはどうしてですか、、?」

 

「好きな人とこうやってできるのって嬉しいからさ」

 

「それは、、私も同じ気持ちです、、。もう溶けてしまいそうな程恥ずかしいのにもっとマスターを感じたいと思ってしまう、、」

 

 

ミネルヴァの言葉に理性が切れた。

 

 

「ごめん、我慢できない」

 

 

力を入れ優しくミネルヴァの両足を開くと秘部に向かい沸る肉棒を当てた。

 

まだ残る理性でミネルヴァの顔を見るこくりと頷き目を瞑った。

 

 

濡れそぼる秘部に肉棒を押し当てると肉棒を支えていた手を離しミネルヴァの手を握る。そして汚れを知らぬ少女の秘部へと肉棒を押し進めてゆく。

 

 

肉棒が進むたびにミネルヴァの顔が歪み握る手に力が入る。それは膜を破る時に痛みを感じる程に強く握った。

 

 

「ミネルヴァ、、全部入ったよ」

 

「はぁぁ、、なんだか思っていたよりは痛くありませんでした」

 

「ほんと?」

 

「でもまだ動かないで下さいね?」

 

「うん、ぎゅってしよ」

 

 

玉のような汗を浮かべるミネルヴァの頭を撫でた後ぎゅっと抱き付き落ち着くのを待つ。

 

 

「こうやって繋がるのって心地良いものなのですね。なんだかすごく安心します、、」

 

「そう言ってもらえて良かったよ。痛みは治った?」

 

「まだ少しだけヒリヒリします。なのでもう少しぎゅっとしていてください」

 

 

ぎゅっと抱きしめながらミネルヴァの頭を撫でると心地良さそうに目を細めてくれる。そんなミネルヴァが愛おしくてまったりとした時間を楽しんでいた。

 

 

「ふぅ、、もう大丈夫ですよマスター」

 

「ん、じゃあゆっくり動くね」

 

 

奥まで差し込まれていた肉棒をゆっくりと引き抜き再び奥まで差し込む。

 

それだけでじゅぶじゅぶと愛液が掻き回される音が。

 

 

「ミネルヴァって濡れやすかったり?」

 

「どうなのでしょう?って恥ずかしいのでそんな事聞かないで下さいよ、、」

 

「だってすごくエッチな音がしてる」

 

 

腰を短くストロークさせると掻き回された水音が部屋に響く。その音を聞き赤面するミネルヴァがとても可愛い。

 

 

もっとミネルヴァの膣内を楽しんでいたいのだけどきつく締め上げるぬるぬるとした膣内に限界が近づいてゆく。

 

 

「ミネルヴァ、、」

 

「はいっ、、あっ、膣内はダメですよ、、」

 

 

射精の寸前に肉棒を引き抜きティッシュを何枚か取るとティッシュの中心に向かい吐精。

 

その後ミネルヴァの頭を撫でた後秘部を丁寧に拭いてあげる。

 

 

(あっ)

 

 

秘部を拭いたティッシュを見ると鮮血が混ざり処女が散った事を再確認させる。

 

 

その後服を着てミネルヴァを抱きしめながらベッドへと。

 

 

「ありがとうねミネルヴァ」

 

「いえ、次する時は避妊具を付けなければいけませんね」

 

「言い方が生々しいよ?」

 

「それと私もイッてみたいです」

 

 

少し照れながら話すミネルヴァの頭を撫でながら気が付けば眠りへと落ちてゆく。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

次の日リビングで編み物をしているミネルヴァの姿が。

 

 

「何を作っているの?」

 

「あぁ、これはニケのぬいぐるみです。こないだお客様夫婦の娘さんがニケを気に入ってくれて渡そうと思いまして」

 

 

見ると毛糸で作られたニケのぬいぐるみができあがろうとしていた。その完成度の高さは思わず拍手をしてしまう程。

 

 

「それに娘さんにはリングガールをしてもらうのでそのお礼も兼ねているのですよ」

 

「なるほどね」

 

 

ニコニコと編み物を行うミネルヴァを微笑ましくみていた。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

それからしばらくしてミネルヴァの言っていた夫婦の結婚式の日が。

 

 

ヴァージンロードを二人が歩き神前にたどり着くとドアが開き小さな箱を持った幼娘が二人を目指しヴァージンロードを駆ける。

 

 

「おとーしゃんおかーしゃんこれ!」

 

 

満開の笑顔でお父さんに箱を渡し渡された箱を開けると二つの指輪が。それぞれを交換し合い二人は誓いのキスを交わす。

 

 

幸せの笑顔を浮かべる三人の様子をフィルムが無くなるまで写真へと収めフォトウエディングは終わりを迎えた。

 

 

「ありがとうございました。とても素敵でしたよ」

 

 

本来なら写真を厳選し渡すのだがどれも素敵な写真で決める事ができず全ての写真を二人へと渡していた。そして。

 

 

「リングガールお疲れ様でした♪これは私からのプレゼントですよ」

 

 

毛糸で作ったニケのぬいぐるみを渡すととても喜んでくれた。

 

 

「ありがとうおねーしゃん♪ねぇまた来ようよ♪」

 

 

娘さんの無垢な問いに苦笑いを浮かべた後何度もお礼を言いながら帰って行った。

 

 

「ふぅ、、」

 

 

これで残るのは芭蕉扇と雑賀達の式だけだ。この先の予定は無くやっと繁忙期を終える事ができた。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

それからというもの休みの日の前の日はマスターと肌を重ね合い不慣れであった行為にも慣れお互いが気持ち良くなる方法を模索する事が多くなった。

 

 

「まふたー?どーれしゅか♡」

 

「それ、、ヤバい、、、」

 

 

男性器を手で押さえながら裏筋をぺろぺろと舐めてあげるとマスターが喜ぶという事が分かった。

 

そしてこうしてマスターが喜んでいる姿を見るとお腹の奥がきゅんっと疼き欲しくなってしまうという事も。

 

 

「っ、、出る、、!」

 

 

鈴口から迸る精液を口内で受け止める事にも慣れてきた。そして気持ち良く射精ができるように肉棒を舌で撫でてあげる。

 

 

「いつの間にかエッチになっちゃったね」

 

「そんな事ありませよ?ただマスターに気持ち良くなってもらいたくて」

 

「じゃあ僕もミネルヴァに気持ち良くなってもらうよ」

 

 

そういうとマスターは私の頭を撫でた後ベッドへと押し倒し股の間に顔を埋めた。

 

 

「〜〜〜〜っ♡」

 

 

吐息が膣口に吹きかかった後暖かく柔らかな舌が膣口をなぞりぬるりと膣内へと入り込む。

 

 

「あっ、、それ、、そこっ、、、♡」

 

 

私がマスターの感じる所が分かるようにマスターも私が感じる場所が分かっておりそこを執拗に舌でいじめてくれる。

 

 

与えられた快感が限界を迎え頭の中が弾けてしまう快感に包まれてゆく。

 

 

「ミネルヴァ、、」

 

「はい、、付けてあげますからね」

 

 

ベッドの上に置かれている避妊具を取り封を切ると聳り立つマスターの肉棒へと巻き付けてあげる。

 

そして私の膣内へと入ってきてくれる。

 

 

「んっんん〜〜〜♡」

 

 

肉棒が膣内を押し広げながら入り子宮にこつんと当たる。その感覚だけで頭がくらくらとしてしまい声が漏れる。

 

 

「気持ち良い?」

 

「はいっ、♡マスターはどうですか?」

 

「すごく気持ち良いよ」

 

「嬉しいです、、♡あっ、激しっ♡」

 

 

ずんずんと乱暴に膣内を肉棒が動き快感を与え合う。与えられる快感に声が漏れマスターの情欲が煽られさらに奥を肉棒が突き上げる。

 

 

「イッちゃ、、、♡」

 

「僕も、、、射精るっ、、!」

 

 

膣内で鼓動し吐精する肉棒を感じながら余韻に浸っているとマスターの手が伸び私の頭を撫でる。

 

 

そんな心地良くて幸せな余韻に浸りながらマスターへとキスをねだる。

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで目を通していただきありがとうございました!


今回はエンシェントキラーズよりミネルヴァの登場でした。

原作よりウエディングプランナーとして働くミネルヴァを見てそれの掘り下げとなるエピソードであり様々な恋模様を書けたと満足しています。


反省としてもう少しマスターとミネルヴァの絡みを前半に書けば良かったと思うところです。


また次回もぜひ読んでもらえると嬉しいです
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