※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

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フェイルノート・feat

 

退屈な毎日。とても退屈な毎日を私は過ごしていた。

 

 

来る日も来る日も魔獣と戦いそこにあるのは私の勝利と私の勇姿を見た人々の歓声。

 

初めの頃はもてはやされる事に悪い気はしなかった。だけど毎回、毎日もてはやされその事を当然と思ってしまってから急に興味を無くしてしまい歓声はただの雑音へと成り下がってしまった。

 

 

そんなある日、私の退屈を埋める事ができる人に私は出会ってしまった。

 

 

 

 

その日私はいつもの様に街へと迫る魔獣を射抜き人々の歓声をこの身に浴びていた。ふと観衆へと目線を向けると私の元に歩む一人の男の姿が。

 

 

深く帽子を被り素顔は見えないが無精髭を生やした口元を見る限り物乞いか何かだろう。そう判断し目線を逸らした。

 

 

「嬢ちゃん。あんた退屈そうな顔をしているね」

 

 

目を逸らしたにも関わらずその男は私へと話しかけた。もちろんそんな品の無い男の言葉など聞く耳すら持たず私は自宅へと帰ろうと踵を返した。

 

 

「俺ならあんたの退屈を埋める事ができるぜ」

 

 

この言葉に歩む足を止めその男に向かい振り返った。

 

 

「ほぉら。こっちを向いた」

 

 

得意気な声が聞こえイラッとし私は再び前を向き歩み出したのだが背から男の声がかかる。

 

 

「嬢ちゃん。あんたゲームは好きか?」

 

「失せなさい。私はあなたの様な品性の無い男と話なんてしたくは無いわ」

 

「トランプ、ポーカー、ブラックジャック。チェスに将棋。お前さんはどれが好きかい」

 

「良いから失せなさい!」

 

 

キラーズを意識し魔獄弓・フェイルノートを召喚し弦を引き男に向かい矢尻を向ける。

 

しかしその男はどっかりとその場に座り込むと上着の胸ポケットから未開封のトランプを一箱取り出して私に向かい見せた。

 

 

「俺と賭けをしないか?俺が勝ったら一晩お前の家に泊めてくれ。俺が負けたらその弓で俺を射れ」

 

「へぇ、お前の命を賭けるというのね。気に入ったわ、その勝負乗ってあげる」

 

 

私の言葉を聞き男の口元がニヤリと。その後トランプの封を切り交互にカードが配られてゆく。

 

 

「それで、トランプを使いなんの勝負をしようっていうのかしら」

 

「ババ抜きなんてどうだ」

 

 

軽く告げる男に私は思わず反論を返した。子供の遊びの様なゲームに自分の命を賭ける理由が考えられず。

 

 

「嬢ちゃん、勝負ってものはお題なんてなんでも良いんだよ。俺は手を抜かずババ抜きに挑むが嬢ちゃんは手を抜くつもりかい?」

 

 

話を聞いているうちにカードを配り終え二つできた束の一つをその男が手に取りペアを捨ててゆく。

 

それに少し遅れ私も束を手に取りペアを捨ててゆく。二人で行われるババ抜きの為お互いの手札の数は残り少なく一手のミスが勝敗を分けるだろう。

 

 

「嬢ちゃんから引きな」

 

「随分と余裕ね。その言葉を地獄で後悔すると良いわ」

 

 

男の手札から一枚カードを引くと蘭々とした笑顔を浮かべるジョーカーが私の手元に。

 

 

「ほぉら、嬢ちゃんの家に案内してくれ」

 

 

私の手札に合ったクイーンが引き抜かれ男は手札を地面へと落とした。落ちたカードはクイーンのペア。

 

 

「お前、、イカサマをしたわね!」

 

「っと、そう言うのなら俺がイカサマをした証拠を出してくれ。確かにこのトランプは俺が持っていた物だが俺は嬢ちゃんの前で封を切った。新品だという事は嬢ちゃんも知っているだろ?」

 

「だけど、、、っ!」

 

「往生際が悪いぜ」

 

 

怒りを宿した瞳で男を見るのだが男は何食わぬ顔で私の頭を撫で笑いながら前を歩んでゆく。その方向に私の家があると知っているかの様に。

 

 

「待ちなさいっ、、!」

 

 

早歩きで男を追い抜き結局私はこの男を自宅へと招いてしまっていた。

 

 

「良い家だな」

 

 

私の自宅を見るなり男が呟いた。

 

 

「それはどうも有難う」

 

 

玄関を開け男に入れと促すと笑いながら自宅へと入り込んでゆきリビングに置いてあるソファーへと寝転がり深く帽子を被り直した。

 

 

「俺は寝る。19時になったら飯を食わせてくれ」

 

「何様のつもり?今すぐに出て行きなさい」

 

「俺は嬢ちゃんとの勝負に勝ったんでね。なんならもうひと勝負するかい?今夜の夕食を作る人を賭けて」

 

「良いわ、その勝負乗ってあげる。次のお題は私に決めさせて貰うわよ」

 

 

ソファーの前にあるテーブルにチェスのセットを置き男を睨むと悠々と座り直し駒を並べて始めた。

 

 

「さぁ勝負よ」

 

 

男より先に駒を並べ終え男に悠然とした目線を向けた。チェスは私が最も得意とする勝負事。もう私の勝ちは決まったも当然と。

 

 

「ほぉら、チェックメイトだ」

 

 

しかし私のキングは男のポーンに取られてしまっていた。それが何を意味するのか。それは私の敗北を知らしめるものだ。

 

 

「また俺がイカサマをしたとでも喚くのかい」

 

「分かったわよ、、!私が料理を作れば良いのね!」

 

 

思いっきりテーブルを叩いた後キッチンへ行き冷蔵庫を開け放ち中を覗き込むと食材らしい食材は入っておらず。仕方なく私は買い物に出る事に。

 

 

「買い物へ行ってくるわ。言っておくけど私の家の物に指一本でも触れたら命は無いと思いなさい」

 

 

強い警告を出すのだが男はソファーに寝転がったまま右手を上げそれを返事とした。

 

 

(・・・・・)

 

 

屈辱だった。自身こそ絶対の強者であると思っていた自尊心をへし折られ。

 

屈辱だった。カコルフェの街のレディアントスターである私の輝きを霞まされて。

 

この私があんな低俗な男に二度も勝負に負け、犬の様に買い物に行かされるだなんて。今まで味わった事のない苦汁を飲まされ腑が煮え繰り返る程の怒りに打ち震える。

 

 

「フェイルノート様!魔獣が姿を見せました!」

 

 

そんな時街に魔獣が現れた事を慌てふためいた街人が私に伝えた。

 

 

「分かったわ、私が撃ち抜いてあげる。その代わりあなたはこれを買ってきなさい」

 

 

作る予定の料理の食材をメモした紙を街人に渡し私は魔獣退治へと向かう。

 

 

「目障りよ。消えなさい!」

 

 

郊外に現れた魔獣に向かい矢を放ち次々と撃ち抜きやがて静寂を取り戻した郊外に街人達の歓声が響き渡る。

 

 

「流石ですフェイルノート様」

 

「これぐらい当然よ。それと頼んだ物は準備できているのかしら?」

 

 

街人に差し出された買い物袋を受け取り自宅へと帰って行き私はキッチンに立ち調理を始めてゆく。時刻は18時。後一時間もあれば余裕を持ち料理を作る事ができると判断し。そしてキッチンから見えるソファーに寝転がるあの男の姿を一目見た後調理を開始した。

 

 

「できたわよ。勝負に負けたとはいえこの私がご飯を作ってあげたのだから光栄に思いなさい」

 

 

19時ぴったりに料理を作り終えテーブルへと運び男に声をかけた。すると男は目を覚まし大きく伸びをした後のそのそとテーブルへと座った。

 

 

「いただくぜ」

 

 

料理を箸で掴みまじまじと見た後口に運び咀嚼。そして飲み込んだ後「不味い」と私を見ながら言った。

 

 

「今、なんて言ったかしら?もう一度聞いてあげるわ。今、なんと言ったかしら」

 

「不味い」

 

 

そう言いながらも料理を食べる男に堪忍袋の尾が切れ召喚した弓に矢を引き男へと向ける。

 

 

「言わせておけば好き放題言って!この場で殺してあげる」

 

 

ギリギリと弦が張る音が部屋に響くにも関わらず男は食事を続けていた。その姿に怒りが燃え盛る。

 

 

「嬢ちゃん。俺と賭けをしないか?」

 

「・・・」

 

「嬢ちゃんの矢が俺を射抜けば嬢ちゃんの勝ちだ。その矢が俺を外せば俺の勝ちだ。そうだな、俺が勝ったらしばらくこの家に住まわせて貰おうか」

 

「抜かせっ!!」

 

 

張り詰める弦を引く右手を離すと弦の弾力により矢が放たれ一直線に男へと向かう。

 

あの男と私との距離は二メートル程。確実に射抜ける、約束された勝利に口角があがった。

 

 

「俺の勝ちだ、しばらく頼むぜ」

 

 

だが矢は男に当たる寸前で突き出された箸により軌道を逸らされ男を掠め壁に突き刺さった。

 

 

「そ、そんな、、私の矢が外れるだなんて、、」

 

 

この私が最も得意とする矢が。それもこんな近距離で外れるだなんて。あまりのショックにその場にへたり込んでしまった私に向かい「ご馳走様」と告げるとキッチンへ行き食器を洗う音が。

 

 

しばらく座り込んだまま呆然とした後溢れ出した涙が頬を伝い床へと落ちていった。

 

 

「飯、食わないのか?」

 

「私に構わないで!!」

 

 

ようやく我に返った私は立ち上がり自室へと駆け込みベッドに飛び込むとぬいぐるみを抱き寄せ大声で嗚咽を漏らした。

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

次の日、私は窓から差し込む太陽の光で目を覚ましていた。時計を見ると時刻は午前八時。非常に腹立たしい気持ちでベッドから降りリビングへと向かってゆく。

 

 

「よぅ。起きたのか」

 

 

リビングへと通じるドアを開け目に入ったのはあの男がキッチンに立つ姿。

 

 

「今朝飯を作っているから風呂にでも入って来い」

 

「早く私の家から出て行きなさい」

 

「残念だが俺は嬢ちゃんとの賭けに勝ったんでね。しばらくは居候させて貰うよ。その代わりと言っちゃなんだが朝と昼は作らせて貰おう」

 

 

私に目もくれずフライパンを見たままの男に苛立ち気分を変える為に浴室へと向かう。

 

 

昨日着たままの服を脱ぎ洗濯機へと放り込み髪留めとリボンを外し浴室へ。そしてまだ温水が出る前のシャワーを頭から浴びる。

 

 

身を引き締める冷たさに徐々に思考が落ち着き昂った気持ちが落ち着いてゆく。

 

 

「そうよ、私は強者。あんな男に負けたままでなんていられないわ」

 

 

復讐の炎で冷えたはずの体温が上がってゆく。それを冷ますために温まりかけたシャワーを冷水に変え頭を洗い身体を洗い浴室から出る。

 

 

しっかりと体に付いた水気をタオルで拭き取りドライヤーで髪の毛を乾かしパジャマに袖を通しリビングへ。

 

 

「丁度いい、今できたところだ」

 

 

男の言葉を無視し朝食が準備されているテーブルへと付き手を合わせた後箸を取り男が作った朝食を一口。

 

 

「美味しい、、、」

 

 

嫌いな奴が作った料理なのに。どんな味だろうと貶めてやろうと思っていたのに私の口からこぼれた言葉は男を褒める言葉だった。

 

 

「口に合ったようで嬉しいよ」

 

 

私の前の椅子へどっかりと座ると手を合わせた後ご飯を食べ始めていた。

 

 

「どうしたらこんなに美味しい料理が作れるのかしら」

 

「簡単さ。俺は嬢ちゃんの口に合うようにと願いを込め料理を作った」

 

「それだけなの」

 

「もちろんさ。まぁ、ある程度の料理の腕がある事が前提だがね」

 

 

ご飯を食べ終え用意してあったお茶を一口。

 

 

「そうだ、賭けをしないか?どちらが食器を洗うか」

 

「乗ったわ。それで勝負のお題は何かしら」

 

「コイントスだ。裏か表、どちらを選ぶ?」

 

「表よ」

 

 

ギロリと男を睨みながら告げると財布を取り出し中からコインを取り出すと裏、表を見せたあと握った親指の上に置いた。

 

 

「俺は裏だ」

 

 

指で弾かれたコインが回転しながら宙を舞い男の手の甲へと落ちその瞬間に左手でコインを隠した。

 

 

「・・・っ」

 

 

退けられた左手の下には裏を向くコインの姿。

 

 

「頼んだぜ嬢ちゃん」

 

 

そう言うと男はソファーへと寝転がった。その姿を歯軋りをしながら睨んだ後食器を持ちキッチンへと行き食器を洗ってゆく。

 

 

 

 

それからこの男と過ごす日々が続いた。事あるごとに男は賭けと称してゲームを行い私はそれに乗っかりことごとく敗北を重ねる日々が続いていた。

 

それでも気が付けば男が私の家に上がり込み一ヶ月が過ぎていた。以前ならやっと一ヶ月が過ぎたと思うところがもう一ヶ月が過ぎてしまった。っと思えてしまう。

 

 

「・・・・・」

 

 

確かにこの男は私を退屈から救うと言っていた。悔しいけど本当に私の生活から退屈という言葉は消えてしまっていた。

 

 

「嬢ちゃん。酒を買ってきてくれ」

 

「あら、私に頼み事をするのならその前にやる事があるわよね」

 

「そうだな。どちらが酒を買いに行くか賭けようか」

 

 

男が座るソファーの前に椅子を運び座り脚を組む。そして男が出すお題を心待ちにする。

 

 

「ババ抜きなんてどうだ」

 

「乗ったわ」

 

 

男の口角が上がったあと上着の胸ポケットからトランプを取り出し念入りにシャッフルをし私と男の分を配ってゆく。

 

そして配り終えた瞬間に束を取りペアを抜いてゆく。

 

 

「嬢ちゃんからで良いぜ」

 

「言われなくてもそうさせて貰うわよ!」

 

 

手札は私が一枚、男が二枚。確率は50%。以前の私なら男が持つ手札を吟味し選んでいたはず。だけど私は導かれるように右の手札を選び抜いた。

 

 

「私の勝ちよ。さぁ、お酒を買って来なさい」

 

 

引き抜いたカードはハートのクイーン。私が持っていたスペイドのクイーンとペアになり私の手札はゼロとなった。

 

 

「ふふふ、良いだろう。極上の酒を買ってくるさ」

 

 

深く帽子を被り男は立ち上がり部屋を出て行った。その姿が玄関を出て行き見えなくなった瞬間に私は喜びを爆発させた。

 

 

「やっと、、、!やっと勝利をこの手で掴んだわ、、、!」

 

 

もう数える事をやめてしまった程に積み重なった敗北と屈辱はこの一勝で全てが吹き飛び勝者の優越感と勝利の余韻に打ちひしがれ私は部屋の中を歌を歌いながら小躍りしてしまっていた。普段の自分なら絶対にしない幼稚な真似をしてしまう程高揚感に浮かされる。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

「っと、、邪魔をしたな」

 

 

そんな時ふと見たドアの影に男の姿が見え私は悲鳴を上げながら固まってしまった。

 

 

「財布を忘れちまってね」

 

 

ソファーの上に置かれたままの財布を拾い上げズボンのポケットへとしまい込むと男は笑いながら部屋を出て行った。

 

その場には恥ずかしさで泣きそうになっている私が残された。

 

 

それからしばらくして男は酒瓶と買い物袋をぶら下げ家に帰って来た。

 

 

「ねぇ、まだ飲まないのかしら」

 

「ふふふ、楽しみは夜に取っておくのさ。今日の晩飯は俺が作ってやろう」

 

「あら、気が利くのね」

 

「次俺に負けたらせっかくの勝利の余韻が台無しだろ」

 

「ふんっ、余計なお節介よ。もう私はお前に負ける事など無い」

 

「そこまで言うのなら今夜の晩飯を賭けてやろうか」

 

「望むところよ。それでお題は何かしら」

 

「あっち向いてホイだ」

 

 

男の出すお題は幼稚なものが多い。幼稚と言ったが勝負には変わりないし罰ゲームがついて回る以上負ける訳にはいかない。

 

 

「まずはじゃんけんからだ」

 

 

ソファーと椅子の間にテーブルを挟みじゃんけんを。そして敗者に向かい指を刺す。

 

 

「あっち向いて、、、ホイ」

 

 

右を向きながら横目で指を見ると私と同じ向きを刺す指が。

 

 

「ほぉら。俺の言った通りだろ」

 

「〜〜〜〜〜っ!!」

 

 

せっかくの勝利の余韻が吹き飛び敗者の苦汁が口の中一杯に広がる。悔しくて睨んだ目線は肩をすくめる男を刺す。

 

 

「分かったわよ!」

 

 

苛立ちながら私はキッチンへと立った。

 

 

「ほら、できたわよ」

 

 

テーブルの上に置くと寝転がっていた男が起き上がり手を合わせた後箸を掴み料理をつまみ一口。

 

 

「ふふふ」

 

「何がおかしいのよ」

 

「飯、上手くなったな」

 

「当然よ。私を甘く見ないでもらえるかしら」

 

「101敗」

 

「?」

 

「これがお前さんの負けた数だよ」

 

「〜〜〜っ!黙りなさい!」

 

 

苛立ちながらも手を合わせてご飯を一口。自分で言うのも何かもしれないけどこの男に出会う前より料理が上手になったと思う。

 

 

そして何よりも以前は一人で暮らしていた家に誰かが居てこうして誰かとご飯を食べる事は少しだけ煩わしいと思うのだがそれを超える何かが私の心を満たしてくれていた。

 

 

「ご馳走様。食器は俺が洗うよ」

 

「お願いするわ」

 

 

流し台へと食器を持ってゆくと男が受け取り手際よく洗い食器置き場へと置いてゆく。その光景を見ていると食器を洗い終えた男は冷凍庫から大きな氷の塊を取り出すと流水に晒した。

 

 

「何をしているの?」

 

「こうやって割りやすくしているのさ。見てな」

 

 

引き出しからアイスピックを取り出すと氷をカチ割りロックグラスへと。

 

 

「へぇ」

 

「楽しい夜の始まりだぜ」

 

 

大粒の氷が入れられたグラスを二つ持ちテーブルに置くと再びキッチンへと戻り酒瓶と買い物袋を持ちテーブルへと戻った。それに私も着いて行く。

 

 

「カミュのXOだ。ブランデーは飲めるか嬢ちゃん」

 

「もちろんよ。なんならどちらが先に潰れるか勝負しても良いわ」

 

「ふふふ。残念だがそれはやめておくよ。酒は心の友だ。友達にそんな事はできないし何より嬢ちゃんの勝利祝いの酒が不味くなっちまう」

 

 

男が開栓しグラスに注いでゆくと透明なグラスが琥珀色に染まり常温のブランデーに温められた氷がパキっと軋む。

 

 

「カミュのオン・ザ・ロックだ」

 

「えぇ。乾杯」

 

 

突き出されたグラスにグラスを合わせ口をつける前に中身を一回し。そして口を付けゆっくりとグラスを傾けてゆく。

 

 

「美味しい」

 

 

私の口から漏れた言葉だった。濃厚な風味が口を通り鼻から抜け爽やかな気分へ。そしてまったりとした甘みがあっさりと口に残り消えてゆく。

 

 

「これはつまみだ。少し口に入れゆっくりと飲んでみろ」

 

 

男が買い物袋から取り出したのはビターチョコレイト。それをひとかけらをとり口に運ぶと口いっぱいに苦味が広がる。その苦味がある内にグラスを傾けると苦味と甘みが調和しどちらも引き立て合う。

 

 

「ふふっ、良い飲み方ね。気に入ったわ」

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ」

 

 

からからと氷を転がしグラスを傾けると新しくブランデーを注いでいた。

 

 

「ねぇ、あなたは何者なの?どうして私に声をかけたのか教えてもらえるかしら」

 

「俺はしがない旅人とでも名乗っておこうか。俺が嬢ちゃんに声をかけたのは嬢ちゃんが退屈そうな顔をしていたからだよ」

 

「私が退屈をしているですって」

 

「そうだ、同じ事を繰り返す日々に飽き飽きした顔をしていたぜ。どうだい?今の生活は」

 

「そうね、お前の言う通り退屈とは無縁の生活をおくらせてもらっているわ」

 

「なら良かった」

 

 

カラカラと氷を回し一口。氷だけになったグラスを置くと酒瓶を差し出す男が。

 

 

「注がせてあげる」

 

 

グラスは琥珀色の液体で満たされた。

 

 

「ねぇお前はいつも帽子を被っているわね。私に素顔は見せてくれないのかしら」

 

「ふふふ、俺のお気に入りでね。人の顔だなんて見たところで得はしないぜ」

 

「見せなさい。これは命令よ」

 

 

アルコールが入りふんわりとした思考で男を睨むと肩をすくめた後ゲームを告げた。

 

 

「ならじゃんけんと行こうか嬢ちゃん。嬢ちゃんが勝ったら俺の素顔を見せよう。そして、俺が勝ったら嬢ちゃんを器に酒を飲ませて貰おうか」

 

「良いわ、乗ってあげる。行くわよ」

 

「「じゃんけん ポン」」

 

「俺の勝ちだ」

 

 

私が出したグーを虚な瞳で見た後男を見るの口角が上がっていた。

 

 

「ほらズボンと下着を脱ぎな」

 

「良いわよ。脱いであげる」

 

 

酔いで冷静さを無くした私はすんなりとズボンを脱ぎ下着を脱ぎ男の前に立った。

 

 

「そこで正座をして胸を逸らせ」

 

 

言われた通りにすると男が酒瓶を持ち私の所へと。

 

 

「俺が飲み終わるまで脚を開くんじゃないぞ」

 

 

そう言うなりとぽとぽと下腹部にできたくぼみにブランデーを注いだ。

 

 

「ほぉ、これはわかめ酒とは呼べないがまぁ良いだろう。頂くぜ」

 

 

男が顔を近づけくぼみに溜まったブランデーを啜ってゆく。その様子を私はただ眺めていた。

 

 

「ふんっ。私を杯に酒を飲もうだなんて、素面だったら絶対にさせないわ」

 

「酔っててもさせるんじゃないぞ」

 

「お前だから、、、いや、勝負に負けたから仕方なくよ!」

 

「ふふふ」

 

 

気が付けば注がれたブランデーは男が飲み干し脚を開くと残されたブランデーが性器を伝い床へと垂れ落ちてゆく。

 

 

「ねぇ、まだここに残っているのだけど」

 

 

大胆にも大きく脚を広げ煌々とライトが照らす中ブランデーが垂れる性器を見せると男はティッシュを何枚か取り私へと投げ渡した。

 

 

「ほら、なんなら拭いてやろうか」

 

「違うわ、私のここを舐めろと言っているの。もしかして理解ができなかったのかしら」

 

「毛も生えてないガキのまんこなんてしょんべん臭くて舐める気になれないね」

 

「ほんっとに減らない口ね。分かったわ、賭けをしましょう。私が勝ったら私の気が済むまでここを舐めなさい」

 

「ほぉ、なら俺が勝ったら嬢ちゃんの胸を好きな様に使わせて貰おうか」

 

「望むところよ。そうね、お題はチェスなんてどうかしら」

 

「ふふふ、その勝負乗ったぜ」

 

 

テーブルの上にチェスのセットを置き左端にブランデーの入ったグラスを置き駒を並べてゆく。

 

そしてお互いが駒を揃え終えた時一局が始まった。

 

 

「「………………」」

 

 

部屋にはグラスの中を氷が踊る音、時計が刻む秒針の音、心地良く響く駒の足跡。そして男の唸り声が響く。

 

 

「どうしたのかしら、このままゆくとチェックメイトよ」

 

 

あれ程に強い酒を浴びるように飲んだにも関わらずチェスを始めた瞬間から思考が冴え渡り次々と最善の一手を打ち男を追い詰めていた。前述の通り次の私のターンで男のキングは攻め落ちる。

 

 

「長考良いか」

 

「えぇ、構わないわ」

 

 

板に集う駒を見ても何処にも隙はない完璧な配置。既に勝利は私の手の中に落ちたも当然。腕を組み唸る男を尻目にグラスを傾け勝利の美酒に酔いしれる。

 

 

「ふふふ」

 

「あら、降参かしら?」

 

「見えたぜ嬢ちゃん」

 

 

帽子を被り直しグラスを煽ると残されたルークへと手を伸ばし進める。

 

 

「なっ!」

 

「チェックメイトだ。嬢ちゃん」

 

 

完璧な配置を突き破り男のルークは私のキングの前へと立ちキングの首を取った。

 

この私ですら見落としていた隙を男は長考の末に見つけ出し私を敗北へと追いやった。

 

 

「ふふふ。惜しかったな嬢ちゃん」

 

 

悔しさを込めた瞳は帽子から覗く男の得意気な瞳を強く睨みつける。だが男はカラカラと氷を回しグラスを煽る。

 

 

「さて、勝者の余興に付き合ってもらおうか」

 

 

再び目線を向けると帽子の間から見える男の野獣の様な瞳とぶつかった。その瞳にゾクリと背筋に寒気が走るのと同時に下腹部がきゅんっと疼いた。

 

 

「えぇ、もちろんよ。それで私の胸に何をしようっていうのかしら」

 

「辱めるんだよ。ほら、服を脱ぎソファーに寝な」

 

 

着ていたパジャマを脱ぎリビングで全裸となった私は男に言われた通りにソファーへ寝転がり男へと視線を向ける。

 

すると男はズボンと下着を脱ぎ私の元へと歩む。

 

 

「…………」

 

 

私の目線は男の下半身で存在感を放つモノに釘付けとなっていた。

 

 

「ふふふ。愉しませてもらうよ」

 

 

見ている間に男は私に馬乗りになり隆起した男根を胸に擦り始めた。

 

 

「……………」

 

 

亀頭が赤黒く輝く男根が胸を擦り乳首を擦りながら行ったり来たり。自身の胸にこんな変態的な事をさせる事もそうだが何より逞しい男根に私は視線を外す事ができずストロークする男根へ視線を向け続けていた。

 

 

「へぇ、お前はこういう事をするのが趣味なのね」

 

「おっと、勘違いしている様だが俺はボインのおっぱいの方が好きだ」

 

「悪かったわね小さくて」

 

 

プイッと顔を逸らすのだが横目で男根を見てしまう。少なくとも私が見た事がある中で一番大きくて逞しい男根。

 

あんなものが膣内に入ってきたら、子宮を力強く突き上げられたら。一度始めてしまった妄想はとどまる事を知らず膨らんでゆき膣口から愛液が溢れ垂れてしまうほど。それに気が付き顔を真っ赤に染める。

 

 

「どうした嬢ちゃん」

 

「べ、別になんでも無いわよ。早く終わらせなさい!」

 

 

再び男根に視線を戻すと亀頭から蜜が溢れ男根が進んだ胸になめくじが這った様に跡を残す。

 

 

「堪え性が無いのかしら?こんなに蜜を溢れさせて」

 

「俺も久しぶりでね。こんなまな板でも欲情するのさ」

 

「ほんっとに減らない口ね」

 

 

ムカつく事を言われ嫌味を返すのだが自然と悪い気はしない。

 

 

男根は私の乳首を擦り始めた。裏筋で乳首を押し潰すように擦られ思わず漏れてしまいそうになる声を抑えるために口をぎゅっと紡ぐ。

 

やがて腰を動かし乳首を男根全体で擦り上げた。腰を引き、突き出し男根が前後に動くと私の顔に届いてしまいそう。

 

 

ふと突き出された男根に顔を伸ばし先端に口付けを。その瞬間にピクりと男の腰が跳ねた。

 

 

「ふふっ、サービスよ」

 

 

唇に纏わり付いた我慢汁を舌で舐め取り男を見上げると完全に発情した獣の瞳と獣を待ち侘びる瞳がぶつかった。

 

 

「ねぇ、いつまで私の胸を擦っているのかしら?私はもう待ちきれないというのに」

 

 

獣を煽る言葉を放ち見上げる。

 

 

「ふふふ。ガキのまんこには俺のは大きすぎるだろ」

 

「失礼ね、これでも私はレディよ。お前のモノぐらい受け入れてみせるわ」

 

「なら次の機会にでも頼むよ。嬢ちゃん」

 

 

男の腰の動きが早くなりそれに合わせて迫る男根を口に含む。やがて亀頭がぷっくりと膨らみ脈動し私の口内へと精を放った。

 

 

「んんっ」

 

 

口内で痙攣を起こしながら勢い良く放たれる精を口内で受け止め舌に絡み付く濃い味と匂いを堪能した後ゴクリと飲み干した。

 

 

「凄く濃かったわよ。一体いつから溜めていたのかしら」

 

「さぁな」

 

 

男は私の頭を一撫ですると私の上から退き胸に付いた我慢汁をティッシュで拭いてゆく。

 

 

「まさか終わりだなんて言わないわよね?」

 

「そうだな、、なら嬢ちゃんのを舐めてやるよ」

 

 

その言葉を聞き私はソファーに座り両足を広げ男を待った。

 

 

「さぁ、私のここを舐めるのだから当然気持ち良くさせてくれるのでしょうね」

 

「ぬかせ」

 

 

男は私の股座へと跪くと開かれた脚を更に開き顔を近づけた。

 

男の呼吸が秘部にかかりそれだけで身を捩りそうになり男の髭が触れた時には腰がヒクヒクと動いた。

 

 

(〜〜〜っ♡)

 

 

そして待ち侘びた秘部へと刺激。ぬるりとした舌先が膣口を下から舐め上げクリトリスを優しく押し潰す。

 

大きく脚を広げられた事により露出したクリトリスは男の舌に絡みつかれ鋭い快感がクリトリスを伝い脳に響く。

 

 

「ダメっ、、♡それ、、ダメだってばっ、、、♡」

 

 

舌先がぴたぴたとクリトリスを叩き堪えられない快感に男の顔を掴む。それなのに舌の動きは止まらず快感が与えられ続けどんどん膨らんでゆく。

 

 

「あっ、、、イッちゃうっ、、、♡」

 

 

与えられた快感が膨らみ弾け男の顔を挟みながら絶頂へと達する。ビク、ビクと体を震わせ余韻に浸っていると男の顔が下へと動いた。

 

 

「やっ、、そこっ、、♡」

 

 

男の伸ばされた舌が膣口から膣内へと入り込み膣壁をザラついた舌が舐めてゆく。その刺激がもっと欲しくて男の顔を掴み秘部へと押し付ける。

 

すると先ほどより奥まで舌が入り込み膣壁を舐め上げられすぐに限界を迎えてしまう、

 

 

「あぁっ、、イクっ、、♡」

 

 

男の顔を抱えたまま深く達し大きく呼吸をしながら余韻に浸る。気が付けば酔いと疲れて視界が霞んでゆきいつの間にか意識を手放していた。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

次の日、目を覚ますとそこは自室のベッドだった。掛けられていた布団をめくると生まれたままの姿のまま。その事に昨晩の事を思い出し赤面してしまう。

 

 

(はぁ、)

 

 

思い出してしまったためどうしても男に会いづらい。それでもドア越しに包丁を扱う音が聞こえ上着を羽織りリビングへと。

 

 

「よぉ、今昼飯を作っているから風呂にでも入って来い」

 

「そうさせて貰うわ」

 

 

部屋中に漂う出汁の香りを嗅ぎながら私は浴室へ。

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

浴室から戻るとテーブルの上には湯気を立てる料理達が並べられておりソファーに寝転がる男の姿。

 

部屋に戻った私の姿を見ると起き上がり姿勢を直した。それを見ながら男と対面する席へと座る。

 

 

「飲んだ次の日はシジミの味噌汁に限る。飲んでみな、飛ぶぞ」

 

「いただくわ」

 

 

手を合わせた後味噌汁の入ったお椀を持ち箸で貝が口に入らないように抑えながら一口。

 

少し濃い味が口の中に広がりどんどんと意識が覚醒してゆく様な感覚。

 

 

「どうだい嬢ちゃん」

 

「えぇ、お前の言う通り確かに美味しいわ。飛びはしないけれど」

 

 

気が付けば味噌汁を飲み干し貝殻に残った身をちまちまと箸で掴み食べていた。その後白飯と目玉焼きを食べ最後に濃いお茶を飲む。

 

 

「ご馳走様。良いお昼ご飯だったわ」

 

「そう言ってもらえて嬉しいよ。さて、どちらが食器を洗うか賭けようか」

 

「望むところよ」

 

 

男がお題を告げようとした時、部屋にある電話が鳴り響きそこへと行き受話器を取った。

 

 

「悪いわね。魔獣を退治してくるわ」

 

「そうかい。なら俺が洗っておくよ」

 

 

そう言って私は魔獣が現れた場所へと向かってゆく。

 

 

 

「………………!」

 

 

魔獣の出現場所へと辿り着いた私は一瞬戦慄をした。普段なら数える程しか現れない魔獣なのだが今回は数える事が出来ないほどの群れを成し街へと襲い掛かろうとしていたのだから。

 

一度怖気付いてしまった心に喝を入れこの手に魔獄弓・フェイルノートを召喚し(私は強者)と呟く。そして魔獣の群れに向かい弦を弾き絞り矢を放つ。

 

 

「敵がどれ程強くてもどれ程数が多くても私は負ける訳にはいかないの」

 

 

大地を駆け空を舞う魔獣に向かい矢を放ち続ける。放たれる矢は確実に魔獣を撃ち抜くのだが数が多く距離は縮まるばかり。それでも懸命に矢を放ち続ける。

 

 

「あっ」

 

 

一匹の魔獣が手に持つ剣で私の矢を弾いた。それを合図に多くの魔獣が群れを成し私へと迫る。

 

その進撃はどれだけ矢を放ち続けても止まる事なく。やがて一匹の魔獣が繰り出した剣戟が私の右手を切り裂いた。

 

 

「っう」

 

 

鋭く走る痛みに悲鳴をあげ一度距離を取り直し再び矢を放とうとする。しかし痛む右手では弦を張る事はできず。

 

 

「それでも、そうだとしても私は、、、、!」

 

 

右手を使う事を諦め私は右手で矢を弦に乗せそれを噛み顔をのけ反らせ弦を引き矢を放つ。私の悪足掻きとも取れる行動は弓を弾き飛ばされるまで続いた。

 

 

「・・・・・っ」

 

 

弓を無くした私はただの娘へと成り下がりただの娘となった私は魔獣と戦う術を持たず魔獣から逃げ惑いやがて追い詰められた。

 

 

「この私が、、こんな奴らなんかに、、。」

 

 

絶対の強者であり続けた私がこんな魔獣に追い詰められるだなんて。あまりの屈辱に涙が溢れてしまう。

 

そんな私を見てゲタゲタと笑った魔獣達は手に持つ武器を私へと振るう。その先が怖くて私は目をギュッと瞑った。

 

 

「間に合って良かったぜ嬢ちゃん」

 

 

幻聴が聞こえた。こんな時に、最後の時にあの男の声が聞こえるだなんて。

 

頭がわしゃわしゃと撫でられ恐る恐る目を開けるとそこにはあの男の姿があった。

 

 

「お前!」

 

「スケルトンか、久しいね。後は俺に任せな」

 

 

男が振るった杖の魔弾をこの身に受けると傷がみるみる癒されてゆく。そして次に見たのは魔獣の群れに単身で攻め入る男の姿だった。

 

 

杖を振るい魔弾を飛ばし次々に魔獣を消し去ってゆく男に見惚れた後落ちていた弓を拾い男の背に立つ。

 

 

「背中は任せなさい」

 

「ふふふ。それは頼もしい」

 

 

男との共闘の末に私達は魔獣を退けカルコフェの街に再び安息が戻った。

 

 

「ありがとう。お前が来てくれなかったら私はきっとやられていた」

 

「俺はたまたまここを通りすがっただけさ」

 

「そう。今夜は私があなたをもてなしてあげる。先に家に帰ってなさい」

 

「楽しみにしておくよ」

 

 

家へと歩いてゆく男を見た後私はカルコフェの街へと買い物に出掛けてゆく。

 

 

 

 

「お待たせしたわね。すっかり遅くなってしまったわ」

 

 

すっかり膨らんだ買い物袋をぶら下げ家に帰るとソファーに寝転んでいた男が右手を挙げた。それを見た後お風呂へとゆきシャワーを浴びキッチンへとゆき調理を開始してゆく。

 

 

「私が作っている間にお風呂にでも入ったらどう」

 

「そうさせて貰うよ」

 

 

キッチンの横を通り過ぎて行く男に横目で見送った後調理を再開。頭の中に浮かんでいるレシピ通りに調理を進め三品程おかずを作りお味噌汁を作る。

 

 

「良い匂いだな」

 

「良いのは匂いだけじゃ無いわ。味も良いのよ」

 

「楽しみだよ」

 

 

パジャマ姿の男はソファーへと座った。そして私は出来上がった料理を大皿に盛り付けテーブルへと運んでゆく。

 

 

「さぁどうぞ。心ゆくまで私の作った料理を堪能しなさい」

 

「いただくぜ」

 

 

大皿に盛り付けられた料理を箸で掴み口へと運ぶのを見ていた。やがて男が言った言葉に私は顔を笑顔にした。

 

 

「まっ、この私が御前様の事を思って作った料理が口に合わないはずは無いわよね」

 

「嬉しいよ」

 

 

不安だった気持ちが晴れ蘭々とおかずへと箸を伸ばしてゆく。やがて盛られたおかずは全て二人のお腹の中へと収まった。

 

 

「ご馳走様。食器は俺が洗うよ」

 

「えぇ、もちろんよ」

 

 

二人で食器を下げ男が食器を洗っている間に私は今夜のお楽しみの準備に取り掛かる。

 

 

「ほら、御前様はテキーラは飲めるかしら」

 

「俺は酒はなんでも飲むぜ」

 

「良かった。今夜は私に付き合いなさい」

 

 

買ってきた酒瓶をどんっとテーブルの上に置きダブルサイズのショットグラスを二つ、そしてロックグラスを二つ置きかち割った氷がたっぷりと入ったアイスペールに粗塩とレモンとライム、そしてチェイサーの水を置きソファーに腰をかけ足を組み男が来るのを待つ。

 

 

「ふふふ。嬢ちゃんも良い事があったのかい」

 

「どうしてそう思うのかしら」

 

「その酒はドン・フリオの1942だろ。良い酒を飲む時は良い事があった時と決まっているからな」

 

「そうね。確かに良い事があったわ。ほら、レディを待たせないで」

 

 

私が座るソファーの隣を叩くとやれやれといった様子で私の横へと腰掛けた。

 

 

「まずはショットで良いかしら」

 

「ふふふ。こんな良い酒をショットでなんて飲めないよ」

 

 

男が手を伸ばし取ったのはロックグラス。そこに開封したテキーラをとくとくと注ぐ。そして私はショットグラスへと注ぐ。

 

 

「今日は私を助けてくれてありがとう」

 

 

男に向かい突き出したグラスにグラスが触れお互いが口へと運んでゆく。早々とショットを飲み干した私は再びテキーラを注ぎ指にレモンの汁をかけ塩を付け口へと運びショットを煽る。

 

 

「その飲み方はテキーラの正当法だがせっかくの豊かな風味、香りが台無しになっちまうぜ。ストレートで飲んでみな」

 

 

言われた通りにロックグラスへとテキーラを注ぎゆったりと口に運ぶ。するとショットで飲むより、塩やレモンを付けるよりもテキーラ自体の味が口一杯に広がってゆく。

 

 

「確かにこうやって飲む方が美味しいわね」

 

「飲み飽きたらチェイサーで口をゆすげ。そうすればまた風味が変わるぞ」

 

 

グラスを口に運び僅かに飲むとグラスを置いた。

 

 

部屋にグラスを置く音と氷が転がる音が響く。会話は無く静かな部屋なのにとても居心地が良く気が付けば私は隣に座る男の肩に頭を預けていた。

 

 

「もう酔ったのか」

 

「まだ飲めるわよ。でも私はもう酔っているかもしれないわ」

 

「テキーラは強い酒だからな。チェイサーを飲め」

 

「いいや、私が酔っているのはお酒じゃなく御前様によ」

 

 

こんなセリフが口から出てしまうのはきっと酔っているから。そう思いながらも恥ずかしくなり男を見る事ができず。

 

それでも私は、私の頭を撫でる手の感触で男の顔を見上げた。

 

 

「ねぇ、御前様」

 

「どうした嬢ちゃん」

 

「私は御前様の事が好き。御前様に助けられて私の心は御前様に撃ち抜かれてしまったの」

 

「ふふふ、嬢ちゃんの様な可愛い女の子にそう言って貰えて男冥利に尽きるよ」

 

「ねぇ、御前様は?御前様は私の事をどう思っているの?」

 

「俺は、、、」

 

 

そう言って男はグラスを傾け私を見た。

 

 

「そうだな。好きと聞かれれば好きと答えるし嫌いと聞かれれば違うと答えるだろう」

 

「曖昧な返事は嫌いなの。はっきりと言ってもらえるかしら」

 

「まぁなんだ、嬢ちゃんの事は好きだぜ」

 

 

言い方は気に食わなかったけれど好きと言われた事に気を良くした私は男の膝を枕にし寝転がった。

 

 

「飲まないのか」

 

「もう少しだけこのままで居させて」

 

 

寝転がり目を閉じると酔いで頭の中がふわふわと回る。そうしていると男が私の頭を撫で心地良さに目を細めてしまう。

 

 

「子供扱いしないでもらえるかしら」

 

「ふふふ、レディなら酒の席で横になったりしないぜ」

 

「今は良いのよ」

 

 

それから少しだけ膝枕を堪能し起き上がり再びグラスを傾けてゆく。そうしているうちに酒瓶は空となり残りは二人のグラスに入ったテキーラのみ。

 

 

「ねぇ御前様、私は今日凄く怖い目に遭ったの。だから今日は怖くて一人では寝れないかもしれない。だから今夜は一緒に寝てくれないかしら」

 

「レディの頼みなら断れないよ」

 

「そう、良かった」

 

 

男の言葉に安心した私はグラスを口へと運び僅かに口に含みテーブルへと戻した。

 

 

そうしているうちに二人のグラスは空となり男を自室へと招いていた。

 

ベッドの真ん中に寝転がった男にしがみ付くと優しく頭を撫でてくれる。

 

 

「ねぇ御前様」

 

「どうした嬢ちゃん」

 

「今夜は私を抱いてくれるかしら」

 

「ふふふ、途中でやめろって言わないなら抱いてやるぞ」

 

「まぁ、随分と頼もしい事を言ってくれるわね。それと同じ言葉を返してあげる。私が満足するまでやめてって言ってもやめないから」

 

 

男の体から離れると着ていたワンピースのナイトウエアを脱ぎ下着姿へと。そして男へ目線を送る。

 

 

「可愛い下着だな」

 

「御前様の為に買ってきたのよ。どうかしら」

 

 

濃い赤に黒のレースが付いた下着を身に付ける私を舐める様な視線で見た後男は「似合っているぜ」と答えた。

 

 

「ほら、御前様も」

 

 

男に脱げと言うと起き上がり着ていたスエットを上下共脱ぎベッドの下に落とした。そして私は鍛えられた男の身体に視線を奪われそして下着を膨らませるモノに釘付けとなった。

 

 

「ふふっ、もうこんなに大きくさせて余程私を抱きたかったようね」

 

「レディに誘われたら勃たせない方が失礼だろ。そう言う嬢ちゃんはどうなんだ」

 

「私は、、」

 

 

言い終わる前に男に抱き寄せられ期待の悲鳴を上げながら男の身体にしがみ付く。

 

そして男の手が下着の中へと押し入り秘部へと触れた。

 

 

「もうこんなに濡らしているぜ」

 

「それは御前様も同じでしょ」

 

 

左手を下へと伸ばし下着越しに男根へと触れた。下着越しでも熱が手に伝わりそしてとても硬い。

 

私は秘部を触られる快感も忘れて男根に夢中となり触っていた。

 

 

「脱ぐか」

 

「そうね、私も、、」

 

 

お互いが下着を脱ぎ身を隠すのはまだ付けているブラジャーと夏布団のみ。

 

だけど男が伸ばした手によりホックを外され胸を隠していたブラジャーは解かれ床へと落とされた。

 

 

「綺麗だぜ」

 

「もぉ、、恥ずかしいわよ、、」

 

 

突き刺さる様な視線に身を焼かれ胸を手で覆うのだが呆気なく手は解かれツンっと尖った乳首が視線を受ける。

 

 

「やんっ♡」

 

 

右の乳首が男の口に含まれコリコリと舌と歯に転がされ。左の胸は強く揉まれ乳首は指に挟まれる。

 

二箇所から与えられる快感に思わず声が漏れてしまう。

 

 

「感度は良いんだな」

 

「悪かったわねっ、、♡」

 

 

男の嫌味すら私を快感へ誘う言葉となり身を燃え上がらせる。やがて左胸を揉んでいた手が秘部へと伸びた。

 

 

「あぁ、、っ♡」

 

 

男のゴツゴツとした指が膣口を通り中へ。そして指先が敏感な場所を的確に攻め男に身を預けながら快感へ悶えてゆく。

 

 

「イッちゃう、、、」

 

「良いぜ」

 

「あぁっ、、イクイクイクッ♡」

 

 

身を震わせ男にしがみ付きながら一度目の絶頂感を味わい余韻に浸りながら荒く息を吐く。

 

そして見上げれば獣の瞳が情欲に燃えている様を見た。

 

 

「四つん這いになれ」

 

 

そう言われて身体を起こし四つん這いへ。お尻を高く上げ頭を下げ雄を誘う雌猫の様に。

 

 

しかし這入ってきたのは男根では無く男の指。それでも私は歓喜の声を上げ快感に打ち震える。

 

 

「あぁっ、、、イッくっ、、、♡」

 

 

ベッドに押し付けられた顔でくぐもった声で達した事を伝えるのだが男の指は止まらず快感を与え続け三度目の絶頂を迎えた時ようやく指が引き抜かれ私はべたんとベッドに身を預け荒く息を吐く。

 

 

「ふふふ、このまま寝ても良いんだぜ」

 

「はぁぁっ、、この私がこれぐらいで満足すると思って?次は私が御前様を苛めてあげる」

 

 

三度の絶頂と酔いでふらふらの体を起こし男へと視線を向ける。そして寝転がれと命令を出した。

 

 

「ふふっ本当に大きいわね」

 

 

私は男の股座に寝転がり聳り立つ男根に触れていた。下着越しに触るよりも熱が手を伝い脈動する脈にはち切れてしまいそうな硬さが手を伝い思わず太ももを擦り合わせてしまう。

 

 

「御前様は口で果てた事はあるかしら」

 

「無いな」

 

「そう。なら私の口が初めてになるわ」

 

 

ぷっくりと膨らんだ亀頭にキスをし口を広げて男根を口の中へと迎え入れてゆく。

 

男の男根はとても大きく全部口に入りきらない程。それでも喉奥まで咥え込み顔を上下させながら舌を絡め快感を与えてゆく。

 

 

「じゅる、じゅるるるるっ♡ぢゅる、ぢゅるぢゅるぢゅる〜っ♡」

 

 

裏筋からカリ首に舌を這わせぢゅるじゅると舐め上げると男の男根は口内でピクピクと脈動し太ももを震わせる。それが嬉しくて口を離し男に問いかける。

 

 

「私の口技はどうかしら」

 

「危なく射精させられるところだったよ」

 

「あら、私は射精させるまで口を離すつもりはないわ」

 

 

そう言い再び男根へと。次は咥えずにべったりと唾液で濡れた男根の側部をハーモニカを吹く様に唇を合わせてゆく。

 

ぬるぬると側部を唇が滑るたびに男根は震え快感を伝える。それでも私の口は男根を攻め立てる。

 

 

「あーーむっ♡れろれらろれれる♡れろれろれろれろ♡」

 

 

亀頭だけを口に含み裏筋に舌を這わせカリ首を舌先でちろちろとなぞる。そして男根から溢れ出した蜜を吸い上げ味わってゆく。

 

 

「くっ、、嬢ちゃん」

 

「良いわよ、射精しても」

 

 

射精を迎える為に硬さを増した男根を攻め立てる。

 

 

「じゅるじゅるじゅるっ♡ぢゅっぢゅるるるるっ♡じゅるぢゅるじゅるぢゅる♡」

 

 

やがて亀頭が膨らみ脈動と共に精が私の口内へと注ぎ込まれた。射精が終わるまで優しく口を上下させ心地良く射精ができる様に。

 

射精が終わると口内に溜まった精液を男に見せた後こくこくと飲み干した。

 

 

「ごちそうさま。どうだったかしら私の口技は」

 

「ふふふ、嬢ちゃんの事を甘く見ていたよ。いや、流石レディと言ったところか」

 

 

ふと目線を向けるとあれ程の精を口に放ったにも関わらず未だ聳り立つ男根の姿が。

 

そして私は男に寝転がれと言われベッドの上に寝転がり見上げると発情し切った男の野獣の様な瞳が。その瞳を見て愛液が膣口を伝うのを感じた。

 

 

「挿れるぜ」

 

 

男根が膣口を何度もなぞった後聳り立つ男根は膣口を押し広げながら膣内へと入り込む。

 

 

「〜〜〜〜〜〜っ♡」

 

 

男根が入り込むと共に与えられる快感に私は歓喜の声を上げた。今まで味わった事のない圧迫感と届いた事の無い場所まで届く男根に。

 

 

「ぜ、全部這入ったかしら」

 

「いや。まだ半分ってところだ」

 

 

含み笑う男と違い私は恐怖に包まれていた。まだ半分しか這入っていないのにこれ程に快感が与えられるというのに全部這入ってしまったらどうなるか検討すら付かない。

 

 

やがて男根が膣壁を押し広げながら進み子宮を小突いた。それでも男根は止まらず子宮を奥へと押し除ける。

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜♡♡♡♡」

 

 

今まで感じた事のない衝撃と快感を叩き込まれ私は半狂乱しながら快感に打ち震えた。

 

凄く、凄く気持ちが良い。男が力強く腰を押し付けるだけで達しもう何度絶頂を迎えたのか分からない程に頭の中に快感が押し寄せる。それでも。

 

 

「い、良いわよ。遠慮なんてしなくても」

 

 

男は私を気遣ってか腰のストロークは緩い。それでは男は満足しないと思いそう口走った。

 

 

「ふふふ。なら遠慮はやめさせてもらうよ」

 

 

「〜〜〜っ!?」

 

 

その瞬間、ずんっと子宮を力強く突かれ狂喜の快感が身体中を支配し、たった一突きで今まで味わった事のない絶頂感を感じさせられた。

 

 

「イクっ!イクッッ!」

 

 

部屋には私が絶頂を叫ぶ声と男の息遣いが響く。やがて男が限界を迎えたのか腰のストロークが今まで以上に早くなりずんずんと子宮へ男根が押し付けられる。

 

 

「出すぞ」

 

 

男の言葉に頷くと深く子宮を突き上げられ子宮に熱い精液が迸るのを感じた。

 

何度も何度も子宮に飛び散る精液を感じる度に絶頂を迎え男根が引き抜かれた頃には私は全身を痙攣させ動くことすらできなかった。

 

 

「俺はまだできるが嬢ちゃんはどうだい」

 

「もぉむりよっ、、」

 

 

やがて男が出した精液が逆流し膣口から垂れるとそれだけで私は身を震わせた。

 

 

「ふふふ、寝るか」

 

 

ティッシュを何枚か取り秘部を拭くと私に向かい腕を差し出した。その腕を枕に目を閉じてゆく。

 

もうこの快感から逃れられる事はできないと強く思いながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな生活が何日も続いた時私はリビングで身支度を整える男を見た。

 

 

「ねぇ、何処に行こうっていうのかしら」

 

「俺は根無草でね、また旅に出るのさ」

 

 

飄々と告げる男の前に立ち塞がりドアへと続く道を塞ぐ。

 

 

「行かせないわ。この私をこんなにも夢中にさせておいてそんな事は許さないわ」

 

「ふふふ、なら賭けようか。嬢ちゃんが勝てば俺は此処に居よう。嬢ちゃんは何を賭ける」

 

「そうね、私は私自身とこの街の人々を賭けるわ。異論は無いかしら」

 

 

私の言葉に男が含み笑う。

 

 

「お題は決めさせて貰うわ。チェスで勝負を決めましょう」

 

 

テーブルの上にチェス盤を広げ駒を並べやがて対局が始まった。

 

 

 

昼に始まったチェスは深夜まで続き夜が白み始めた頃。

 

 

 

「チェックメイト」

 

 

どちらかの声が部屋に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで目を通してもらいありがとうございました!


お気づきの方もいらしゃると思いますが今回フェイルノートの相手を務めさせてもらったのはキラーメイルのガンバンティンでした。


なぜガンバンティン?と聞かれればフェイルノートを丸め込む事ができる男がガンバンティンしか思い浮かばなかったからです。


フェイルノートがデレて堕ちてゆく姿とガンバンティンのダンディーさを感じてもらえれば幸いです。
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