※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

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EXAさんよりイラストを描いて頂きました!作中に一枚と後書きに一枚貼ってありますので是非目を通して下さい!


グリード イチャラブvar

 

人間とは身勝手なものだ。人間の都合で私達に大罪の力を宿し用が済めば用済みとして処分をしようとしている。

 

『対キル姫特殊制圧部隊』通称ブラックキラーズ。私達は戦乱の天上世界を暗躍した部隊であり任務は粛清を専門とするラグナ教会直属の部隊。私達が葬った人間、キル姫の数は数える事ができないほど。

 

そして、その時の罪を問われ私達に言い渡されたのは極刑。

 

大罪の力を宿した私達は平和となった世界には無用の長物。教会としても暗部であった私達には消えてもらいたいのだろう。

 

今、私は処刑人に背を押されながら絞首台へと続く階段を一歩ずつ登っていた。

 

 

大罪の力を宿したとはいえ生きている事には変わりなく傷を受ければ、呼吸を止められれば死を迎える。

 

やがて私は天井から吊るされたロープの元へと辿り着いた。

 

 

「最後に言葉があるのなら聞こう」

 

「いえ、ありません」

 

 

私へと問う処刑人にただ一言返し首を差し出すと冷たいロープの感触が首に伝わった。

 

 

私達が過去に命を奪った人もこの様な心境だったのだろう。私は目を閉じる事もなく目の前のコンクリートで作られた壁を無感情に見つめ最後の時を待った。

 

 

「すまない」そう聞こえた声をかき消す声が部屋に響いた。

 

 

「処刑なんて許される行為では無い!!!!」

 

 

扉を開け放つ音と共に聞こえた叫び声。そして階段を駆け上る足音。やがて首にかけられたロープが垂れ下がり私の肩の上に乗った。

 

 

「ラ、ラグナロク様っ!」

 

「ブラックキラーズを処刑する事は私達が許さない。異議があるなら私を納得させる言葉を用意して!」

 

 

私の処刑を間一髪で止めたのは同じラグナ教会直属の部隊エンシェントキラーズのリーダーであるラグナロクだった。エンシェントキラーズは教会の表の顔。私達ブラックキラーズは裏の顔。お互い存在を知ってはいたが関わりは無かったはずなのに。

 

 

「間に合って良かったよ」

 

「何故あなたがここに、何故止めたのですか」

 

「私には見過ごす事ができなかったの。人間の都合で産まれ人間の都合で殺されるあなた達の事が」

 

「ですが私達に居場所はありません。私に死ぬまで孤独に生きろというのですか」

 

「うんん。そんな事は私がさせない。ほら、手を取って」

 

 

真剣な眼差しで伸ばされた右手を私は掴んでいた。無感情に無機質に人を、キル姫を殺していた私もいざ死の恐怖を目の前にすると誰かに縋りたくなったようだ。

 

 

「他の仲間たちは」

 

「大丈夫だよ。みんなが助けてくれているはずだから。行こう」

 

 

こうして私は生きたまま絞首台に続く階段を自分の足で降りる事ができた。そして案内された部屋にはエンシェントキラーズとブラックキラーズの面々が揃いラグナロクは私達の前へと立った。

 

 

「ごめんなさい」

 

 

そう一言言うとラグナロクは深々と頭を下げた。その行為の意味が分からず私はただ困惑をしていた。

 

 

「本来ならキル姫に大罪を宿す行為は私が止めるべきだった。でも私にはそれができずみんなに辛い思いをさせてしまったから」

 

 

長く下げていた頭をようやく上げた時ラグナロクの目には一粒の涙が浮かんでいた。

 

 

「それで、拙者達は何を成せば良いのだ。世が平和を取り戻した今、拙者達の生きる理由は無い」

 

「私も。あのまま死なせてくれたらずっと寝れてたのに」

 

 

大罪を宿され戦闘を行う事を目的に作り出された私達にこの戦いが無用となった世界に生きる術など無い。

 

 

「安心して。ちゃんと考えてあるからさ」

 

 

ラグナロクの言葉は最初は半信半疑だった。それでも仲間達はいつの間にか生きる術を身に付けていた。

 

 

一人は武術を後世へと伝える為に。

 

一人は気ままに生きる事に。

 

一人は過去を悔やみ祈りを捧げる事に。

 

一人は妹と共に過ごし。

 

一人は世界中のグルメを満喫しに。

 

一人は楽しい事を探しに。

 

 

一人一人が目的や目標を見つけ新しい人生を歩み出してゆく。だが、私にはその一歩が踏み出せずにいた。ただ毎日を暗い部屋で過ごし私の生きる目的を見つける事ができなかった。

 

 

「ねぇグリード。一つ提案があるんだけど」

 

 

そんな私に案をくれたのはラグナロクだった。

 

 

「今期のラグナ教会の卒業者にグリードのキラーズと適合する人が居るんだ。良かったらその人と一緒に過ごしてみない?」

 

「・・・・」

 

 

私は提案を断ろうとしていた。多く存在するキル姫の中でも最強と呼ばれる私を手懐ける事ができる奏官に会えるとも思ってはいなかったし新人の奏官なら尚更だ。きっと無愛想な私に根負けし奏官を目指した事すら後悔してしまうと思い。

 

 

「分かりました。こちらからもお願いします」

 

 

なのにも関わらず私の口は意に反した言葉を口走った。この退屈な日々から抜け出したいと心の何処かで思っていたのか。あるいは、普通のキル姫の様に振る舞いたいと思ったのか。それは自分でも分からない。

 

 

「あの人だよ」

 

 

ラグナロクと共に小窓から卒業式の様子を覗きしばらく探すと私と適合したマスターを見つけた。黒の短髪で優しそうな顔をした青年。

 

私達が見ている間にも式は終わり適合したキル姫と対面する時間となった。

 

 

「いってらっしゃいグリード。この呼び方は違うね、いってらっしゃいティルフィング」

 

「・・・いってきます、ラグナロク」

 

 

伸ばされた右手を掴み握手を交わし私はマスターの元へと歩む。すでに会場には多くのキル姫が揃いマスターと対面していたのだが私が会場入りすると異質の気配を感じ取り目を私へと向ける。

 

ジリジリと敵意が籠る視線を浴びながら私はマスターの元へ。

 

 

「あなたが私と適合したマスターですね。私の名はティルフィング。よろしくお願いします」

 

「うん、今日からよろしくねティルフィング」

 

 

淡々と告げる私に笑顔で言葉を返すと手を差し出した。その手を握るとじっとりと濡れていた。

 

 

「緊張しているのですか」

 

「君みたいな可愛いキル姫と過ごせると思うと緊張もするさ。まだ何も分からないけどこれからよろしくね」

 

 

私はただマスターの顔を見ているだけなのにマスターは視線を外し頬をかく。教会から出る事となったのはそれからしばらくの時間が過ぎてからだった。

 

 

新人の奏官は生活の基盤ができるまで教会の宿舎を利用する事ができるのだが何も知らない彼は宿を取ろうとしことごとく満室と断られ野宿という選択を選び今私達は郊外にある山のふもとへと来ていた。

 

 

「ごめんね、どこの宿も空いてなかったよ」

 

「教会の宿舎を借りれる事をご存知無かったのですか」

 

「えっ、知ってるならもっと早く言ってよ、、」

 

 

時刻は午後八時を回り教会は閉館している為野宿は避けられないのだが。

 

 

「ティルフィングは野宿とかした事ある?」

 

「過去に何度か」

 

「そうなんだ。僕はキャンプとか好きでさ、良くしてたんだ」

 

「そうですか」

 

「趣味は何かある?」

 

「特に」

 

「なら今度一緒に釣りにでも行こうよ」

 

「はい」

 

「・・・・・」

 

 

ただ返事を返していると彼は次第に無言になり断りを入れてから煙草を取り出し煙を吐き出していた。

 

 

それから私達に会話は無くただ燃え盛る焚き火を囲い眺めていた。

 

 

「薪を拾ってくるね」

 

「私が行きますよ。夜間は異族が活発に動くので危険です」

 

「慣れてるから大丈夫だよ。少し待っててね」

 

 

そう言って森の中へ入って行ったマスターを見送るのだが私は気配を殺しながらマスターの後を付けてゆく。

 

 

しばらくマスターが薪を拾う様子を眺めていると漆黒に包まれた木々の間から異族が飛び出し襲いかかった。

 

悲鳴を上げながら逃げるマスターの背後へと踊り出し剣を構え異族の前へと立ち塞がる。

 

 

「私が相手になりますよ」

 

 

言葉と共に繰り出した一閃は容易く異族の首を跳ね飛ばし噴き上がる血が月明かりに輝き辺りを紅く染める。それに構わず剣を振るい次々と命を奪いやがてこの場に立っているのは私だけとなった。

 

 

「お怪我はありませんでしたか」

 

 

剣に付着した血を振り飛ばしマスターの方を向くと私の顔に向かい手が伸ばされていた。

 

 

「血が付いちゃってるよ。助けてくれてありがとう」

 

 

頬に付着していた血を拭うとズボンで拭き笑顔を見せてくれた。その笑顔に少しだけ心がザワめいた気がした。

 

 

「いえ、マスターを守る事は私の勤めですから」

 

「それでもありがとう」

 

 

それから散らばってしまった薪を拾い焚き火の元へと戻り再び焚き火を囲う。そこに会話は無く草陰で鳴く虫の音と薪が燃える音を聞いていた。

 

 

「強いんだね」

 

「私は戦う為の存在ですから」

 

「そんなこと言わないでよ」

 

「ならあなたは私に何を求めますか?キル姫を従えるという事は力を求めるという事です」

 

 

持論を話し終えマスターの顔を見ると私と目が合った。

 

 

「僕は、、君に何を求めているんだろうね?」

 

「私に聞かれても分かりません」

 

「うーーん、、なんだろ?考えた事無かったよ」

 

「ならあなたは何故奏官になろうとしたのですか」

 

「それはね、憧れだよ。僕は昔異族に襲われたところを奏官に助けてもらったんだ」

 

 

「咥え煙草でキル姫に指示をして。その姿がカッコ良くてさ」そう言いながら煙草を咥えて火を付けていた。

 

 

「ならマスターはその様になりたいのですか?煙草を咥え私に指示をして。それで満足ですか?」

 

「ん、僕にそんな事はできないよ」

 

「それは何故、憧れだったのでしょう」

 

「その人がキル姫の事をどう思ってたのかは分からないけどキル姫だって戦いたくは無いでしょ?だって戦えば怪我をしたり痛い思いをするかもしれないし」

 

「私は・・・」

 

 

何も知らないマスターに私の存在意義を真っ向から否定する言葉を投げられ言葉に詰まる。私の口から言葉が出たのはしばらくが経ってからだった。

 

 

「私は戦う為の存在ですから。それに相手の命を奪う以上リスクは付きものです」

 

「ふーん?」

 

 

間抜けな返事の後に薪がぱちりと跳ねた。

 

 

「何か方法を考えるよ」

 

 

そう言ってマスターは煙草を咥え火を付けると地面に寝転がった。

 

 

「期待はしていません」

 

「はいよ」

 

 

そう言って夜空に向かい煙を吐き出す姿を見て夜空へと視線を向け幾千の星々を眺め視線を戻すと微かにいびきが聞こえた。

 

 

 

次の日に私とマスターは教会へ任務を受けに出向いていた。しかし受付に張り出された任務の殆どは異族討伐の任務であり戦う必要の無い任務は僅か。それにあったとしても雑用が殆どであり賃金は雀の涙ほど。

 

それでもマスターは雑用を選んだ。今日の任務は教会の裏にある広場に生えた雑草むしり。

 

 

「ティルフィングはそっちの草をむしってよ。僕はこっちやるからさ」

 

「ですがそちらは日向ですよ」

 

「うん、慣れてるから大丈夫だよ」

 

 

日陰の草を私にむしらせマスターは炎天下を浴び大粒の汗を流しながら草をむしる。任務を終えた頃にはマスターの着ている服には塩が浮かび肌もすっかりと赤くなってしまっていた。

 

 

「こんな事なら帽子を被ってこれば良かったよ」

 

「私に命令を出せば良いのですよ。ただ一言マスターは私に草をむしれと命じればよいのです」

 

「それはやだよ」

 

「どうしてですか?」

 

「異族とは僕は戦えないけど草むしりなら一緒にできるじゃん」

 

「変わっていますね」

 

「そう?」

 

「自覚が無いのならこれ以上何も言いません」

 

 

次の日は引越しの手伝いに。そこでもマスターは重い荷物を率先して持ち運ぶ。

 

 

「腰が、、、」

 

 

その時腰を痛めた様で何度も腰を手で叩く姿を私は冷めた目で見ていた。

 

 

それからしばらく一緒に任務をこなしたのだが私のマスターへの印象は『愚か者』の一言だった。私という力があるにも関わらず力を使おうとせず自らを苦しめて。私には全く理解ができず質問を投げた。

 

 

「何故討伐の任務を受けないのですか」

 

「君が傷付く姿を見たくないから」

 

「私が傷を付けられる事などあり得ません」

 

「ほんとに?」

 

「はい」

 

「それでも嫌だよ」

 

 

そう言ってマスターはまた雑用の任務を受けた。その姿を見て私は『愚か者』と呟きこの言葉は誰に聞かれることも無く消えていった。

 

 

そんなある日教会へと任務を受けに行く道中で私達はラグナロクと出会った。

 

 

「久しぶりだね。元気そうで良かったよ」

 

 

私を見るなり笑顔を浮かべてくれたラグナロクに挨拶をしてしばらく会話をする事となった。

 

 

「ずっと心配してたけどもう大丈夫そうだね」

 

「どうしてそう思うのですか」

 

「だってあの頃よりティルフィングの顔が優しくなっているから。自覚は無いかな?」

 

「いえ、全くありません」

 

「あの頃は気の張った野良猫みたいな目をしていたけど今は甘えたそうな猫ちゃんみたい」

 

「その例えは私に失礼だと思わなかったのですか?」

 

「ごめんね、他にいい例えが浮かばなくてさ」

 

 

そう言ってラグナロクは笑い次はマスターへと話しかけていた。

 

 

「ティルフィングの事をよろしくね。きっと苦労も多いと思うけどさ」

 

「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」

 

「うん、じゃあ私行くね。また会える時を楽しみにしてるよ」

 

 

そう言ってラグナロクは去って行った。そして私はマスターへと質問を行う。

 

 

「私の顔、どこか変わりましたか?」

 

「んー?どーだろ?」

 

 

そう言って私の顔をジロジロと眺めやがて目を逸らした。

 

 

「どうでしたか?」

 

「良く分からないけど可愛いのは確かだよ」

 

「答えになっていませんが」

 

 

的を得ない答えにモヤモヤが残る。だけど可愛いと言われて悪い気はしない。

 

 

次の日、私はマスターに連れられて森の中にある湖に来ていた。何をするのかと問うと釣りをする様でテキパキと準備を行うマスターを眺めていた。

 

 

「これでよしっと」

 

 

餌を付けた仕掛けを湖へと投げ込むと竿先に鈴を付けて先ほど引いたレジャーシートの上に寝転がり煙草に火を付ける。

 

 

「釣りとはこうも退屈なものなのですね」

 

「そう?」

 

「全く釣れる気配がありませんが」

 

 

魚信を取るために付けられた鈴は長い事鳴る事は無く釣りがしたいと言っていたマスター本人はシートの上で寝転んでいるだけ。

 

 

「これのどこが楽しいのでしょうか」

 

「なんて言えば良いんだろ?例えば、、、」

 

 

言葉を考えしばらくして持論を展開し始めた。

 

 

「こうやって休みの日に大自然の中でのんびりと過ごすのって素敵じゃない?」

 

「確かに景色は良いですが」

 

 

木々に囲まれた湖は日々の喧騒からほど遠くしがらみなど忘れてしまう。だけど退屈な事には変わりない。暇を潰す為に景色を眺める事にも飽きてしまい何をしようかと悩み始めた頃、竿先に取り付けられた鈴がチリンとなった。

 

 

「!!」

 

 

その瞬間には寝ていたはずのマスターは竿の前に居て両手で竿を煽っていた。

 

 

「デカいよ!タモタモ!」

 

 

マスターの言う通り竿は大きく弧を描き釣り糸は縦横無尽に水中を走る。私は言われた通りにタモを構えて魚が釣り上げられる瞬間を待った。

 

 

「あっ〜〜バレた!!」

 

 

マスターの絶叫と共に弧を描いていた釣竿は真っ直ぐに立ち張り詰めていた釣り糸はだらんと垂れる。仕掛けを巻き上げて行くと何も付いてない釣り針の姿が見えた。

 

 

「あぁ〜あっ大きかったのに」

 

「逃がした魚は大きいと言いますからね」

 

「いや、マジで大きかったよ。まっ、良いけど」

 

 

そう言って再び仕掛けを湖へと投げるとシートの上に寝転がった。それから日が落ちるまで釣りを続けたのだが魚が仕掛けに食いつく事は無かった。

 

 

「楽しかったよ、また付き合ってね」

 

「それが命令であるのなら」

 

「命令はしないよ?ティルフィングが良かったらで良いからさ」

 

「分かりました」

 

「次の休みはティルフィングがしたい事をしようよ。なんでも言ってね」

 

「検討しておきます」

 

 

言葉を交わしてから宿舎へと帰り別々の部屋へと。一応同じ部屋には住んでいるのだが最低限の会話しかなく同居人の様な関係。

 

休みを終え再び任務の日々が続き後2日で休日となった時、私は休みの日にする事を考え始めていた。しかしどれだけ考えてもしたいと思う事は思い付かず頭を悩ませる。

 

 

「何を考えているの?」

 

「休日に何をしようかと思いまして」

 

「なんでも良いよ?ティルフィングがしたい事をしようよ」

 

「・・・返事は当日にさせて頂きます」

 

 

それから2日間私は何をしようかと必死に考え結局何も思い浮かばず、その事をマスターに伝えると頭を悩ませた。

 

 

「じゃあのんびり過ごそっか」

 

 

そう言われて私達は教会に併設されている喫茶店へと足を運んでいた。

 

 

「好きなの頼みなよ」

 

 

そう言われて私はメニューを見て頭を悩ませた。今まで指示に従い続けていた弊害だろう。

 

 

「どうしたの?」

 

「決まらなくて」

 

「うーん、、じゃあ僕と一緒のにする?」

 

「そうさせていただきます」

 

 

結局マスターと同じ物を頼み席につき手を合わせていた。

 

 

「苦い」

 

「ティルはブラックのコーヒー飲めないんだね」

 

「ティル、とは」

 

「ええっと、ティルフィングって呼ぶの長いからさ。嫌だった?」

 

「いえ、構いませんが急にそう呼ばれたので少し戸惑っただけです」

 

 

「良かった」そう言いながらフレッシュとシュガーを渡してくれた。それをコーヒーに混ぜてゆき味を何度も確かめながらコーヒーを啜る。

 

 

「甘党なんだね」

 

「そうでしょうか?」

 

「だってシュガー四本も入れてたよ」

 

 

そう言われてテーブルを見ると封を切ったスティックシュガーが四本置いてあった。確かに甘党なのかもしれない。

 

 

「食後にケーキは食べる?」

 

「いただきます」

 

「ほら、やっぱり甘党」

 

 

私の顔を見ながらにこにこと笑うマスターの顔が何故か恥ずかしくてそれを誤魔化す為にメニューを開き食べたいと思うケーキを探す。

 

 

そうしているうちにテーブルの上に二つのケーキが届けられた。一つはチーズケーキ。もう一つはイチゴのショートケーキ。

 

 

「マスターはショートケーキのいちごはいつ食べますか?」

 

「それは難しい質問だね。でも、最後に食べる事が多いかな?」

 

「なるほど」

 

 

考えた末にイチゴをフォークで生クリームの椅子から下ろし皿に乗せケーキからいただく事に。

 

 

「ほら、口にクリームが付いてるよ」

 

 

私の口元に伸ばされた指はクリームをすくい取りその指はマスターの口へと運ばれていた。

 

 

「今、とても恥ずかしい事をしていましたが」

 

「うん、、、ちょっとティルの顔見れない」

 

 

真っ赤に染まった横顔を見て気が付けば私は笑みを浮かべていた。

 

 

それから口にクリームが付かないようにケーキを食べ最後にイチゴを口に運ぶと甘ったるい口内がいちごの酸味で中和され程良い感じに。最後にコーヒーを飲み手を合わせた。

 

 

「次はここに行こっか」

 

 

そう言ってマスターは私の手を引き近くに合った服屋へと誘った。

 

 

「好きな服選んでよ」

 

「何故私に服を?」

 

「ティルは可愛いしスタイルも良いからどんな服が似合うのかなってさ」

 

「ん、、」

 

 

そう言われて所狭しと並ぶ服を眺めた。しかし私はこの服以外の服を着た事はなく戸惑ってしまう。

 

 

「のんびり選びなよ」

 

「あの、一緒に選んで貰ってよろしいですか」

 

 

店内にあるソファーへと座ろうとしたマスターへと声をかけると私の横へと来てくれて一緒に服を選んでくれた。

 

 

「これなんかどうかな?」

 

 

数ある服の中から衣服を選び私の体へと当てると笑顔を見せてくれた。

 

 

「試着してきます」

 

 

選んでくれた服を持ち試着室へ行き普段の服を脱ぎ真新しい服へと着替えてゆく。

 

 

「・・・」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

試着室の鏡に映る姿は秋らしいジャケットを羽織り黒のショートパンツから伸びる脚をハイヒールのロングブーツが隠す姿。ただ服を着替えただけなのに新鮮な気持ちになれた。

 

 

「どうでしょうか・・・?」

 

 

この姿をマスターへと見せると笑顔で親指を立てて見せてくれた。

 

 

「マスター、この服を買ってもよろしいですか」

 

「うん、良いよ」

 

 

再び試着室に戻り服を脱ぎ着ていた服を着て鏡を見ると鏡に映る私は笑っていた。それがおかしくてまた笑ってしまうのだけど。

 

 

それから私は買ってもらった服に着替えてマスターと共に街を歩んでいた。

 

 

「このブーツを履くと私の方が身長が高くなりますね」

 

「そう?同じぐらいじゃないかな?」

 

「なら比べてみましょう」

 

 

道の端でお互いの背を合わせ合い手で身長を測ると僅かながらマスターの身長が上回っていた。

 

 

「良かった」

 

「何がですか」

 

「負けてたら僕もブーツ履こうって思ってた」

 

 

安堵の表情を見せた後笑顔を見せてくれてその笑顔に釣られて私も笑顔を浮かべた。

 

 

 

その日から私はマスターとよく喋る様になった。以前は必要最低限の会話のみだったが些細な事からたわいの無い事まで話すようになっていた。

 

 

「本当に出会った時より明るくなったね」

 

「そうでしょうか?」

 

「うん、ラグナロクの言ってた通り気の張った野良猫だったけど今は構って欲しい猫ちゃん」

 

 

その言葉に少しムッとして思い付いた事を一つ。

 

 

「にゃーお」

 

 

右手の指を内に曲げ右頬の横に置き猫の鳴き真似をするとマスターが苦しみ始めた。

 

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「助けて、萌え死ぬ、、、」

 

 

男性とは良く分からないものだ。

 

 

それから少しして就寝時間となり別々の部屋へ。

 

私は一人ベッドに寝転がり目を閉じ眠りにつこうとしたのだが普段ならすぐに眠れるはずなのに今夜はまだ眠気が来ず眠りにつけずにいた。

 

 

(・・・・・)

 

 

眠気が来るまで今日の事を思い出してゆくと胸の奥にある衝動が沸き起こる。

 

この衝動の正体は私に宿された強欲という業。マスターを私のモノにしたいという欲望。

 

私はどんな手を使ってでもマスターを手中に収めるだろう。例え大陸中を敵に回したとしても。

 

 

沸き起こる衝動を必死に抑え込み結局寝れたのは外が白み始めた頃だった。

 

 

 

 

 

 

「おはよ」

 

 

誰かの声が聞こえ薄らと目を開けるとそこにはマスターの姿が。

 

 

「えっ、どうしてここに・・・?」

 

「いつもの時間になっても起きてこないからさ。起こしに来たんだよ」

 

 

そう言われて壁にかけられた時計を見上げると時刻は午前九時を指す。この時間は普段なら任務をこなしている時間。

 

 

「寝坊なんて珍しいね」

 

「ごめんなさいマスター、、、」

 

「いいよいいよ。今日はもうサボっちゃおっか」

 

 

「朝ごはん作るからね」そう言ってマスターは部屋を出て行った。その姿を眺め部屋を出た時小さなため息が溢れた。

 

普段の私ならあり得ない寝坊という失態。完全に緩んでしまっている気を張る為に両頬を強く叩きマスターがいるリビングへと。

 

 

「はい、カフェオレとパンで良かったかな?」

 

「いただきます」

 

 

それでもマスターを見ると気が緩んでしまう。

 

 

「今日はなにしよっか」

 

「何をしましょうか」

 

 

急な休みのためする事はなく頭を悩ませる。原因は私なのだけど。

 

 

「マスター、規則を破った私に罰を」

 

「罰?」

 

「はい、何なりとお申し付け下さい」

 

 

自らを戒める為にマスターへ提案したのだがマスターは難しい顔をする。

 

 

「そんな罰なんて、誰だって寝坊ぐらいするしさ」

 

「ですが私の気が収まりません」

 

 

それからマスターは悩みに悩みやっと罰を告げた。

 

 

「じゃあまた猫の真似をしてよ」

 

「分かりました」

 

 

昨晩の様に猫の真似をしようとするのだが待望するマスターの視線にどうも恥ずかしくなってしまう。

 

 

「ま、マスター、、」

 

「ほらほら」

 

「にゃ、、にゃあ、、」

 

 

以前とは違い私はきっと顔を真っ赤にしながら真似をしているだろう。そしてマスターはまた悶え苦しんでいた。

 

 

 

それからしばらくして私とマスターは散歩に出掛けていた。何をする訳でもなくあてがある訳でもなくただ道を歩んでゆく。

 

 

「それでさ」

 

「はい」

 

 

秋風に吹かれながらおしゃべりをしながら歩む。ただそれだけなのにこの時間がとても有意義に感じられて。

 

 

「この辺でお昼にしよっか」

 

「そうですね」

 

 

そして小高い丘の上にレジャーシートを広げて作ってくれたお弁当を食べる。昔の私が見たら鼻で笑うであろう事も今の私にはとても楽しくて。

 

 

「もうすぐ冬が来るね。僕冬は嫌いなんだよ」

 

「寒いからですか?」

 

「寒いのは良いんだけどお魚が釣れなくなるからさ」

 

「以前釣りをした時も何も釣れていませんでしたが」

 

「あの時はお魚がかかったから良いの。冬は魚信もなかったりするんだよ」

 

「なるほど」

 

 

会話を切りサンドイッチに手を伸ばそうとした時私の目はこちらに迫る異族の群れを見つけた。

 

 

「マスターお話はここまでです。異族です」

 

 

私の声にマスターの顔に緊張が走る。そんなマスターを背に置き剣を構えた。

 

 

「戦闘を行います。異議はありませんね」

 

「う、うん、、」

 

 

鋭く研ぎ澄まされた感覚を昂らせ単身で異族の群れへと飛び込む。そこにあるのは完全に、圧倒的に、そして無感情に行われる一方的な殺戮。

 

何十と群れを成す異族は全て地に伏し地面は鮮やかな朱色に染まる。

 

 

「処理、完了。お怪我はありませんでしたか?」

 

「うん、ありがとうね。やっぱり強いね」

 

「私は戦う為の存在ですから」

 

 

そう淡々と告げたのに心の奥が騒めく。マスターが好まなかった戦闘を行い嫌われてしまったのではないかと心配してしまっている自分がいる。

 

 

「あの、、、マスター、、」

 

「どうしたの?」

 

「いえ、なんでもありません」

 

 

聞けなかった、聞くのが怖かった。もしマスターに嫌われたのなら、その事実は何よりも怖い。

 

 

「帰ろっか。夕飯は何か食べたい?」

 

 

気を使い話題を変えてくれたのだろうか?マスターの真意がすごく気にかかる。

 

 

(・・・・・・)

 

 

その事に怯えながら歩んでいるとマスターが足を止めている事に気が付いた。

 

 

「おーおー派手にやってくれたねぇ」

 

 

マスターの目線の先にはキル姫を多く連れた奏官の姿が。先ほど討伐した異族は教会の依頼にあった異族なのだと納得をした。

 

 

「せっかく名声を得るチャンスだったのにどう落とし前つけてくれるんだ?あぁ?」

 

 

困惑を浮かべるマスターに難癖を付ける姿に怒りの炎がふつふつと燃え上がる。

 

 

「あーごめんね。教会には適当に言っといてよ」

 

「はぁ?それで謝ってるつもりか?地面に頭擦り付けて謝れよ」

 

 

マスターを罵倒する奏官が私に視線を向け驚いた顔をした。

 

 

「お前は、、強欲のグリードじゃねえか!そうだ、お前のグリードを俺に寄越せ。それで手打ちにしてやるよ」

 

 

(・・・・・!)

 

 

何故この男は私の事を知っているのか。ブラックキラーズは機密の部隊。存在は世に知られていないはずなのに。

 

 

「こいつはお前みたいな新人奏官が手に負えるキル姫じゃないぜ。これはお前の事を気遣っての提案だ」

 

 

その奏官が言うように私のマスターは新人だ。しかしこの奏官は胸に付けられたバッチを見る限り霊厳か煌騎か、それ以上か。

 

 

「やだよ。帰ろティル」

 

 

だがマスターはどこ吹く風。一言返し背を向けると私の手を取り帰ろうとする。

 

 

「おい!寄越せって言ってるだろ!」

 

 

伸ばされた奏官の手が私の肩を掴み引っ張った。その瞬間私の手を握っていた手が離され、鈍い音がした。

 

 

「ってぇなぁ!!」

 

 

地面に倒れ鼻を押さえる奏官が叫ぶ中マスターは煙草を咥え火を付け煙を吐き出す。

 

 

「二度とその面をみせんな」

 

 

一言告げると私の手を取り歩んでゆく。

 

 

「争いは嫌いなのではなかったのですか?」

 

「手が滑っちゃってさ」

 

「滑ってしまうような手は隠しておかないといけませんね」

 

 

私の手を握るマスターの手を解くと指を絡めるように握り直した。

 

 

 

その日の晩夕食を食べていると玄関をノックする音が。突然の来客に手を止めたマスターが玄関へと向かう。

 

 

「どうしたのラグナロク」

 

「早くこの街から出て!訳は移動しながら話すから!」

 

 

鬼気迫る声に最低限の荷物をまとめラグナロクと共に夜の街を出た。

 

 

「それでどうしたの?」

 

「君が殴った奏官は教会の上層部の息子だったんだよ。どういう経緯なのかは想像できるけど」

 

「あははは、、」

 

「笑って誤魔化さないの。明日の朝には君達を捜索する部隊が派遣されるから今のうちに逃がそうとしているのに」

 

 

唇を尖らせるラグナロクにお礼を伝えた。そして私達は馬車に乗り遠くへ、遠くへと来た。

 

 

「ここなら大丈夫だと思う。私からも説得をするからほとぼりが冷めたら迎えに来るね」

 

 

夜が明ける前にたどり着いたのはラグナ大陸最果ての土地ワスレナ。ここなら人も居らず隠れ家にするのは都合が良いだろう。

 

 

馬車に乗り去ってゆくラグナロクを見送ると太陽が登り世界を照らす。

 

 

「なんか大変な事になっちゃったね」

 

「他人事のように言いますね」

 

「そう?」

 

「そうです」

 

 

私達の前には太陽に照らされる廃屋が。

 

 

「でも楽しそうだよ」

 

「掃除から始めましょうか」

 

「そうだね」

 

 

マスターがドアノブを回すと軋みながら玄関が開き埃にまみれた室内が見え意を決して二人家の中へと飛び込み窓を開けて回る。

 

 

「逃げろ!」

 

 

二人が走り舞い上がった埃がそよぐ風に乗り部屋中に充満し慌てて逃げ出すともくもくと煙の様に埃が外へと流れてゆくのが見えた。

 

 

「埃まみれになってるよ」

 

「そういうマスターもです」

 

 

埃に汚れた姿を笑い合いしばらくてから掃除を行う事に。

 

 

 

 

新居へと移り住みしばらくが経った。埃に汚れた家は住める程には綺麗になり裏庭に畑を作り自給自足のような生活にも慣れ始めていた。

 

 

「はい、他に何か必要な物があったら教えてね」

 

「ありがとうございます」

 

「ありがとねラグナロク」

 

 

生活に必要な物はラグナロクが届けてくれたり快適とまでは言わないが不便でも無い毎日を送り。

 

 

家の側には川があり食料調達と称し毎日の様に釣りに行くマスターには困ってしまうけどそれも楽しいと思える。ただこの生活に一つだけ難点がある。それは部屋数が少なくマスターと寝床を共にしている事。

 

 

隣同士に枕を並べ眠る事はとても心地良いのだが床につく度に私の中に潜む強欲が顔を出し欲求が暴れ出す。それと同時に『対キル姫特殊制圧部隊』であった時の事を思い出しマスターは私の過去を知れば幻滅する。そう思うだけで胸がキュッと痛み眠れなくなる。

 

 

そんなある日、ラグナロクから貰った日用品をマスターと整理しているとある物を見つけお互いが顔を赤くした。

 

ラグナロクがくれた日用品の中に紛れ込んでいた物は避妊具。

 

 

「あはは、、これどうしよっか」

 

「枕元にでも置いておきますか?」

 

 

冗談を返すとマスターは恥ずかしそうに頬をかき避妊具を何処かへと持っていった。その日の晩、枕元に置かれた避妊具を見て恥ずかしい思いをする事になるのだけど。

 

 

 

「ねぇティル」

 

「はい、眠れないのですか?」

 

「うんん。ティルはさ、過去の事気にしてる?」

 

 

突然の質問に目を見開きマスターを見た。

 

 

「マスター、あなたは・・・」

 

「僕はティルの過去を全部知ってるよ。今まで黙っててごめん」

 

「何故私の過去を知っているのですか」

 

「ラグナロクが教えてくれたんだ。過去を知った上でティルフィングを幸せにして欲しいって。だから僕はティルを戦いから遠ざけようとした」

 

 

「普通の女の子みたいに過ごして欲しかった」そう言ってマスターは私の頭に手を伸ばし髪を撫でた。

 

 

「軽蔑、しますよね。幾多の命を奪ったにも関わらず死に損なった私を」

 

「そんな事しないよ。ティルがそうしたのは自分の意思じゃなく命じられたからだし。それに」

 

「それに、なんでしょうか」

 

「バイブスとキラーズが共鳴するには何か意味があるって、こうして僕達が出会えたのも何かの意味があるんだよ」

 

「・・・」

 

「僕はティルを幸せにしたい。過去の記憶は消せないかも知れないけど楽しい思い出をティルと一緒に作りたいんだ」

 

 

私は言葉が返せずマスターに背を向けた。

 

 

「ティル・・」

 

「少し待って下さい。今は、上手く話せません」

 

 

涙混じりの声に察したのか頭の横にティッシュを置き何度も何度も私の背をさすってくれた。その温もりが優しくて私が落ち着いたのはそれからしばらくが経ってからだった。

 

 

落ち着いた私はマスターの胸に顔を預け抱きつくようにしていた。

 

 

「もう大丈夫?」

 

「はい、もう泣いてなんていません」

 

「良かった」

 

 

後ろに回された手が髪を優しく撫でる。

 

 

 

「ティルって暖かいね」

 

「マスターも暖かいですよ。優しい温もり・・・」

 

 

しばらくマスターの温もりも堪能し顔を上げるとそこには私を見つめるマスターの顔。見上げたマスターの顔に押さえ付けていたはずの欲求が箍を外し私を突き動かす。

 

 

マスターの頭を抑え許可も得ずマスターの唇を奪う。

 

 

「ティル、、?」

 

「ごめんなさい、もう私には強欲を抑える事はできません。私はマスター、あなたが欲しい」

 

 

この言葉を告げる私はどんな顔をしているのだろう?きっと淫らな目をして口元を歪ませているに違いない。

 

だけどマスターは優しい笑顔を浮かべ私の唇に唇で触れた。

 

 

「僕なんかで良ければ全部ティルにあげるよ。でもね、僕もティルの事が欲しい」

 

 

言い終わると私の頭を一撫でし布団へ私を押し付け唇を重ねた。身動きを一つ取ろうとすれば押さえ付けられ強引に。

 

 

「舌入れるね」

 

 

やっと口が離されたと思ったら唇を割り歯を退けマスターの舌が口内へと入り込む。他人の舌が口の中にあるのは不思議な感覚なのだが悪い気は一つもしない。

 

入り込んだ舌に舌を絡めマスターの口から溢れた唾液と私の唾液が混ざり合い舌を絡め合う度に水音が鳴る。

 

長い口付けを終えマスターが口を離した時、マスターを布団へと押し付けその上に抱き付き見下ろす。

 

 

「次は私からさせて貰います」

 

 

一度キスをしてからマスターの口内へと舌を伸ばすとマスターも舌を伸ばし出迎えてくれて。何度も舌を絡めていると口内に溜まった唾液が重力によりマスターの口の中へと落ち、混ざり合う。

 

 

ようやく口を離し見下ろすと獣にも似た瞳と強欲を宿す瞳がぶつかり合う。

 

 

「ふふ、私が欲しいですか?」

 

「欲しいさ、ちゃんと僕のものにしないとどこかに行っちゃいそう」

 

「ならどうしますか?誓いのキスでは物足りません」

 

「ならさ」

 

 

そう言ってマスターの口が私の首筋へと吸い付き少し痛みを感じる程に首筋が吸い上げられる。そして優しくキスをするとマスターが離れた。

 

 

「こんな跡付けてたら誰もティルに手を出さないよ」

 

「そうですね。では、私も跡を付けさせてもらいます」

 

 

同じように鎖骨の少し上に唇を当て吸い上げる。何度も何度も強く吸い上げやがて口を離すとくっきりと跡が付く。

 

 

「これ程に目立つ位置に跡が付いていれば誰もマスターに手を出そうとは思いませんね」

 

 

マスターの首筋に自身が付けた跡を見て更に強欲は燃え上がる。

 

 

「次はこっちにもしないといけませんね」

 

 

伸ばされた右手はズボンを張り上げるモノをに触れ優しく撫でまわす。手が動く度にマスターの太ももが震えているのがとても愛おしい。

 

 

もう堪える事ができない欲求に動かされ気が付けばマスターのズボンと下着は私の手により脱がされていた。

 

遮るものがなくなり露わとなったソレは硬く上を向き窓から差し込む月光に照らされ先端が輝く。ソレが早く欲しくて下へ下へと下がり股座へ。

 

 

そそり立つソレにジロジロと視線を向けスンスンと鼻を鳴らし匂いを嗅ぎようやく私はソレに口を付けた。

 

 

先端から溢れる蜜を舌を出しちらちらと舐め取り根本から指で扱くと泉の様に蜜が溢れ出す。

 

次は鈴口を吸い蜜を吸い上げるとねっとりと僅かに塩っぱい味が口の中に広がり唾液と混ざり薄れゆく。

 

 

「もっとして欲しいですか?」

 

 

返事はない。だけど顔を上げると深く頷く顔が見え根本まで咥え込む。

 

 

(ん、、。)

 

 

喉奥まで咥え込むと少し苦しいのに、なのに私はそれに構わず喉奥まで咥え込み唇で、舌で、喉でソレを味わいながら水音をたて舐めてゆく。

 

 

 

「ティルっ、、」

 

 

ソレが口内で震えた時マスターの切羽詰まった声が聞こえた。それでも私は止まらない。口の動きを早め上目遣いでマスターを見上げた。

 

 

「出るっ、、!」

 

 

前髪から覗く視界の先にマスターの切ない表情を見ながら一度、二度、三度と痙攣しながら吐き出される精液を口内に受け止め長い吐精が終わると唇で扱きながらようやく口を離した。

 

 

(美味しくない)

 

 

初めて精液を口に受け止めた感想。吐精された瞬間から青臭い匂いが口いっぱいに広がり味わった事のない味がする。

 

それでもマスターの精液と思うと舌で精液を掻き回し味わいやがて飲み込んだ。

 

 

ゴクンっと喉を鳴らすとそこには何枚かのティッシュを持ったマスターの姿が。

 

 

「飲んじゃったの?」

 

「はい、ダメでしたか?」

 

「嬉しいけども、、美味しいの?」

 

「美味しいとは思えませんがマスターのなら私は受け入れますよ」

 

 

 

笑顔を見せるとマスターの唇が触れ口内へと舌が入り込み掻き回すように動きやがて離れた。

 

 

「んー?」

 

「どうしました?」

 

「どんな味かなって」

 

「次は口移しで飲ませましょうか?」

 

「それはやめておくよ」

 

 

わしゃわしゃと頭を撫でられた後私は優しく布団へと押し倒されていた。

 

 

「次は僕が舐めてあげるね」

 

 

言葉と共にズボンと下着が両足を抜けてゆき外気に肌が晒されそれが恥ずかしくなり布団を引っ張り胸まで被る。

 

 

「ティルは隠すんだ」

 

「今日は恥ずかしいので」

 

 

頭を撫でるとマスターは布団の中へと潜り込み両脚を広げて秘部へと顔を近づけた。

 

マスターが呼吸をする度に熱い吐息がかかりそれだけで腰が跳ねてしまいそうになりスンスンと匂いを嗅がれ恥ずかしさで顔が熱くなる。

 

匂いを嗅ぐのをやめてもらおうと抗議の声を上げようとしたのだが私の口から漏れたのは甘い声だった。

 

柔らかく温かい舌が秘部をなぞる様に進みその度に声が漏れ腰が跳ねる。それを楽しむかの様にマスターの舌は秘部を這いまわってゆく。

 

やがてマスターの舌先がクリトリスに触れると全身に快感が駆け巡り思わず大きな声を出した。

 

 

「ここ気持ち良いんだ」

 

「そんなことっ、ありませんっ、、♡」

 

 

何故か漏れた拒絶の言葉を無視しマスターの舌は執拗にクリトリスを舐める。舌が動く度に与えられる快感は恐怖を覚えるほど。しかし、それはまだ始まりに過ぎなかった。

 

硬い何かが二つ触れたとおもったらそれは皮を剥きクリトリスを露出させ剥き出しとなったクリトリスに舌が触れた。

 

 

「〜〜〜っ♡」

 

 

舌先でつつかれざらざらとした舌で舐められあげく唇で吸われ、次々と訪れる快感に脚を閉じ逃げようとするのに脚はただマスターの頭を挟むだけで快感から逃れられる事はできず。

 

 

「マスタっ、、!何かキちゃいます、、、♡」

 

 

風船の様に膨らんだ快感はちゅっとクリトリスを吸われた瞬間に弾け頭の中が真っ白になりガクガクと全身が震える。

 

虚な瞳が見たのは優しく微笑むマスターの顔。

 

 

「すごい声出してたよ」

 

「・・・知りませんっ」

 

 

プイッと顔を晒すと枕元を漁る音が聞こえ目を向けると避妊具に手を伸ばす姿。

 

連なった避妊具を一つ外すと封を切り中身をソレへと被せてゆくと私が見ているうちにソレは緑色に包まれていた。

 

 

「挿れるよ」

 

「・・・はい」

 

 

私に覆い被さり入り口を探すソレが何度も擦り付けられた後ようやく先端が入り口を見つけゆっくりと中へと。

 

 

(・・・・・・♡)

 

 

ソレが中を進む度に全神経が集中しじんわりとした快感を味わいコツンと奥に当たった瞬間全身が跳ねた。

 

 

「痛かった?大丈夫?」

 

「いえ、その、気持ち良くて、、」

 

 

恥ずかしくて顔を逸らすと頭を撫でられマスターを見る。そうするとキスをされた。

 

 

「こうしながらキスするのなんか良いね」

 

「分かる気がします。なんだかとても・・・」

 

「とても?」

 

「とても好きです、、」

 

 

またキスをされた。そして私の口内で舌を絡め合い吐息を漏らす。そうしていると無意識に中がソレを締め付けてしまう。

 

 

「キスするとティルのおまんこ締め付けてくるんだけど」

 

「恥ずかしいです、、」

 

「キスされるの好きだったり」

 

「好き、です」

 

 

ただキスをするのも好きだけどこうして繋がりながらするキスは癖になってしまいそう。

 

その証拠に離された口を見つめてしまっていた。

 

 

「もっと?」

 

 

問いかけに返事はせずその代わりに唇を奪うと中でピクリと動いたのを感じた。

 

 

「マスターもキスをすると跳ねてしまってますよ」

 

「だって嬉しいから」

 

 

この言葉は堪らなく嬉しかった。

 

 

それからもキスを重ね続け気が付いた時にはマスターが僅かに動くだけでも敏感に快感に反応し腰をくねらせ甘い声を出す程に。

 

 

「もう我慢できない、、動くね」

 

 

ゆっくりと引き抜かれたソレがゆっくりと奥へと進む。その度に私が声を上げると腰を動かすペースが早まりさらに声が漏れる。

 

 

「ティル、、」

 

 

切ない声と共にソレは中で膨らみ脈動するのを感じた。避妊具越しではあるけれど私の中で果ててくれた。この事実がとても嬉しい。

 

 

私を抱き締めながら荒く呼吸をするマスターを抱きしめた。

 

 

「私の中、気持ちよかったですか?」

 

「うん、、ティルはどうだった?」

 

「気持ち良くてまだ中に居て欲しいです」

 

 

男性器というものは射精を終えると萎えるものだと聞いた事があるのだがマスターのソレは射精をしても硬さを保ち中を圧迫する。

 

 

「まだ射精したりないのですか?」

 

「そうみたい」

 

「避妊具を変えましょうか」

 

 

ゆっくりと引き抜かれたソレを見ると先端に精液が溜まり垂れ下がる姿。もしあれが避妊具の中ではなく私の中へと注がれたのなら。なんてそんな想像をしてしまう。

 

 

「どうしたの?」

 

「いえ、次は私が付けてあげますからね」

 

 

避妊具が入った箱に手を伸ばし連なった避妊具を一つ外すと封を切り先端へと被せくるくると巻きつけてゆく。

 

 

「次は私にさせて下さい」

 

 

マスターに寝転がってもらいそそり立つソレに跨ると右手で入り口へと導くとゆっくりと腰を落とす。

 

 

(。。。。っ♡)

 

 

熱く硬いソレを奥まで受け入れ歓喜の声を漏らす。それと同時に快感で顔をしかめるマスターの顔を見て気分は最高潮へ。

 

 

「ふふ、挿れただけでその様な顔をしているのならすぐに射精してしまいそうですね」

 

 

問いかけに返事はなくただ耐えるマスターを見て自然と腰が動いてしまう。きっとこの体位が一番私の性に合っている。その証拠に挿れてまだ間もないのに快感が膨らみ弾けようとしている。

 

 

「っ、、♡」

 

 

たった一度マスターが腰を動かし別のリズムで奥を突かれた瞬間に膨らんだ快感が弾け立ち膝のバランスが取れなくなりマスターの方へと倒れ込む。

 

 

「イッちゃったんだ」

 

「違います、ただバランスを崩しただけっ、、♡」

 

 

言おうとしていた言葉は奥を突き上げられ淫声へと変わった。

 

 

「ならイクって言わせる」

 

「マスッ、、タ、、♡ダメで、、すっ♡」

 

 

下から奥を突き上げられ与えられる快感に理性は完全に蕩け私の口は淫声を叫び快感の強さを伝え。

 

 

「イッくっっ、、、♡」

 

 

やがて弾けた快感は羞恥を振り切り絶頂を叫ぶ。

 

 

「ダッ、、、イッたばっか、、♡」

 

 

絶頂を迎え敏感となった中をソレが力強く進み奥を押し上げ再び絶頂を迎え意識は散り散りに。それでもまだマスターは突き上げるのをやめない。

 

 

「イッちゃっ、、、、♡」

 

 

何度目かの絶頂を迎えようやくマスターは腰の動きを止め私を見てくれた。

 

 

「マスター、、私に構わず、、」

 

「もう大丈夫だよ。ティルがすごく気持ちよさそうだったから」

 

 

大きく息を吐きぼんやりと意識を取り戻すと中で跳ねるソレに気が付いた。

 

 

「良かったです」

 

「ん?」

 

「私だけでなくマスターも気持ち良くなる事ができて」

 

 

笑顔を浮かべマスターへキスをして行為の余韻に浸っているとぬるりと柔らかくなったソレが中から抜け落ちていった。

 

 

「このまま寝よっか」

 

「片付けをしないといけませんよ。私がするのでマスターはそのまま寝転がっていて下さい」

 

 

もう少しだけ体温を楽しんだ後私はソレの元へ。しっかりと付いていたはずの避妊具は取れかけだらりと垂れる。それを丁寧に外し根元を縛りぬめるそれをティッシュで拭いた後自身の性器を拭く。その時ベッタリと濡れてしまったティッシュを見て少しだけ笑った。

 

 

「寝ましょうか。何時に起きますか?」

 

「ありがとね。ん、、気が済むまで寝よっか、おいで」

 

 

差し出された腕を枕にマスターの隣に寝転がり温もりに包まれながら目を閉じる。幸せ、そう思いながら。

 

 

 

 

 

私が目を覚ますとまだ外は暗くマスターは眠ったまま。もう一度眠ろうと思いマスターに抱きついた時、絡めようとした脚が何か硬いものに触れた。

 

それはなんだろうと疑問に思い手で触れるとそれは男性器だという事に気が付いた。俗に言う朝立ちという現象なのだろう。

 

 

何度も手で撫でていると眠気は消え別の欲求が姿を現した。気が付けば欲求に従いマスターを起こさない様にズボンと下着を下ろし男性器を露わにしゆっくりと手を動かしてゆく。

 

 

(・・・・♡)

 

 

手に伝わる熱さ。扱く度に伝わる脈動。それらは私の気持ちを昂らせ手の動きを早めてゆくと握る手の中がぬめりくちゅくちゅと水音が鳴った。

 

それを聞き根本から指先で扱きあげ先端から蜜を溢れされると指先ですくい口へと運ぶ。すると避妊具の匂いに混ざり蒸れた匂いがした。

 

 

・・・マスターはまだ眠っている。それならと布団の中へと潜り込みソレの元へと。

 

ソレの匂いを嗅ぐと避妊具の匂いと蒸れた匂いがする。それでもすんすんと匂いを嗅ぐと気分が高まり髪を耳にかけ舌なめずりをし、喉奥まで咥え込んだ。

 

 

「あむっ、、♡ちゅるじゅる、、♡じゆ、、じゅるじゅる、、、♡、、、」

 

 

咥えた瞬間から匂いはいっそう濃く香り少しだけ変な味が舌に絡む。それでも夢中に舐めている私がいた。

 

 

「んっ♡っはぁ、、。♡んんっ♡」

 

 

気が付けばおしゃぶりをしながら自分の性器へと手を伸ばし一人弄り。指先がクリトリスを押し潰す度に声がもれおしゃぶりに集中できなくなる。それでもおしゃぶりと一人弄りで興奮は高まり続けてゆく。

 

 

「あっ、、、イクっ、、、」

 

 

与え続けていた快感は弾け息を詰まらせながら絶頂を味わい少し余韻に浸ってからおしゃぶりを再開しようとした。

 

 

「えっと、、、なにしてるの?で良いのかな?」

 

「えっ、何故、、、」

 

「そりゃフェラされてたら起きるよ。おいで」

 

「・・・・・・」

 

 

おいでと言われたのに私はあまりの羞恥でその場から動く事ができずマスターの横に寝転がったのはしばらくが経ってからだった。

 

 

「朝からどうしたの?」

 

「マスターのが脚に当たり我慢できなくて、、」

 

「それでフェラしてたんだ」

 

「はい、、それと、、」

 

「それと?」

 

「一人でもしてしまいました、、」

 

 

そう告げるとマスターの手が布団を跳ね除けズボンと下着を脱がした。そして私の両足を広げ性器を見下ろす。

 

 

「お尻の方まで愛液垂れてるよ。ティルって実はエッチだったり?」

 

「・・・」

 

 

窓からは薄日が差し込み性器を照らす。マスターに私の性器が隠す事なく目に晒されている。

 

 

「我慢できないから挿れるね」

 

 

脚を広げたまま避妊具を取るとソレに被せ中へと這入り込ませた。

 

 

「・・・♡」

 

 

行為の余韻に浸り結局昼まで寝る事となったのだけど。

 

 

 

マスターと行為をしてから何かが変わった。それは強欲の業を宿しているという事もあると思うがマスターを私だけのものにしたいという欲望。

 

今は人里離れた土地で生活をしているからマスターが他の女性に目移りする事はないが。

 

 

「もうすぐ捜索も終わりそうだから少ししたらこっちに戻って来れるよ」

 

「ありがとね。ほんと助かるよ」

 

 

生活品を運んできてくれるラグナロクが現在マスターが関われる唯一の女性。世間話を行なっているだけなのに、マスターの横に居るのにも関わらずラグナロクを排除したいと思ってしまう。

 

 

「ふふ、じゃあお邪魔虫はそろそろ戻るね。二人を出会わせる事ができて良かったよ。またね」

 

 

馬車に乗り込み笑顔でそう言うと教会へと向かい馬車を走らせた。それを見送り荷物を解いてゆく。

 

 

「あはは、、」

 

 

荷物の中には避妊具の箱が。以前は一箱だった避妊具は二箱あり合計2ダースとなった。

 

 

「こんなに使い切れるかな?」

 

「マスター次第ですよ」

 

 

一箱持ち私はマスターを寝室へと誘う。

 

 

「マスターは向こうに帰りたいと思いますか?」

 

 

行為が終わり尋ねるとマスターは少し悩んだ顔をし、しばらくすると答えを返した。

 

 

「ここの生活も気に入ってるしここに住みたいと思ってるよ。ティルは?」

 

「私もここでの生活は気に入っています。それに、ここにいれば私はマスターを独占できますから」

 

 

そう言うとマスターに頭を撫でられ、その後避妊具の封が一つ切られた。

 

 

マスターと肌を重ねる快感は行為を重ねる毎に増してゆきいつしか私は行為に夢中になっていた。

 

 

「マスター、今夜も」

 

「本当にエッチになっちゃったね」

 

「好きな人としたいと思うのは自然な事だと思いますけど」

 

 

少しだけツンとしてマスターを見ると伸ばされた手が頭を撫でゆっくりと布団へと押し倒された。

 

 

「そうだ、一緒に舐めない?」

 

「一緒にですか?」

 

「うん、69って言うんだけど」

 

 

マスターに言われるがままにマスターの上に乗りマスターの顔を跨ぐ。

 

 

(…恥ずかしい)

 

 

まだ日は落ちてなくマスターの目には私の性器が晒されている。それはとても恥ずかしいのに。

 

 

「っ、、広げないで、、下さいっ、、、」

 

 

それだけでも恥ずかしいのにマスターの指が性器を開く。あまりの羞恥に顔が熱くなる。きっと顔を真っ赤にしているだろう。

 

 

「見てるだけで濡れてきてるんだけど」

 

「マスターのだって、、、」

 

 

羞恥で細めた目が見たのは瞬く間に隆起するソレ。脈打ち震え存在を主張する。

 

ソレを見ただけで羞恥を上回る欲望が沸々と顔を出し垂れ下がる髪を耳にかけ咥えようと口を近づけた。

 

 

「んんんっ♡」

 

 

しかし咥えようとした口はクリトリスを舐められた快感を漏らすのみ。それでも咥えるのだが気が付けば快感に負け口を離してしまう。

 

 

「それっ、、気持ちいいっ、、♡」

 

 

垂れた愛液と共にクリトリスを舌で押し潰されにゅるりと伝わる快感にただ喘ぐ事しかできず。それでもたまに手でソレを扱くのだがその手も止まってしまう。

 

 

「イ、クッ♡」

 

 

腰をヒクつかせながら絶頂を叫び荒く息をしながらそれを扱く。それもまた止まってしまう。

 

 

「〜〜〜〜っ♡」

 

 

マスターのザラついた舌が中へと入り込み水を舐める様に舐め始めた。もう私にソレに触れる余裕は無い。ただ与えられる快感を貪り卑猥な声を漏らす。

 

 

「イッ、、、♡」

 

 

また絶頂を迎えた。

 

 

「・・・」

 

 

マスターの顔から腰を落としようやく快感から逃げ出し避妊具の箱へと手を伸ばすのだが箱の中に避妊具は無い。

 

 

「避妊具無くなってしまいましたね」

 

 

空になっている箱から手を退けてマスターの上へと。

 

 

「無いのなら付けずに挿れるしかありませんね」

 

 

少し腰を上げ勃つソレを入り口へと導くと一気に根元まで腰を下ろし咥え込む。

 

 

「ん〜〜〜っ♡♡」

 

 

避妊具を付けて無いソレは私の中にすっかりと馴染む。動かずに腰を下ろしていると鈴口から裏筋、硬さ、熱さ、脈動まで感じられる。そして何よりも避妊具を付けていないという事実が快感を掻き立てる。

 

 

「マスター分かりますか?」

 

「うん、、、」

 

「ふふ、このまま果ててしまいますか?」

 

 

マスターを見下ろし僅かに腰を動かすとぐちゅりと水音が鳴る。

 

 

「ヤバい、、めっちゃ気持ちいい、、」

 

 

快感に耐えるマスターの表情は私の加虐心を煽り。もう私は止まらない。

 

 

「良いのですよ、このまま中で果てても」

 

 

甘美な言葉を囁き腰を動かすと射精に耐える様に手を何度も開き握る姿。しかし本人の意思とは別にソレは射精を行おうと中でピクンピクンと跳ねる。

 

 

「ティルっ、、、」

 

「このまま、、中に、、♡」

 

 

抜けそうになるまで腰を浮かし一気に鈴口を子宮に押し付ける。その瞬間にビクンとソレが跳ね射精が行われた。

 

何度も跳ねながらソレは子宮に精を放つ。びゅるりと熱い精液が迸る度に今まで感じた事がない満足感と征服感に苛まれ快感を増幅させうっとりと顔を歪ませてしまう。

 

 

「ふふ、マスターの精液沢山出てますよ。中出し、気持ち良かったですか?」

 

 

脈動が止むまで腰を揺り射精を終えるとマスターの胸へ顔を預けた。

 

 

「すごく気持ち良かったよ。それに」

 

「それに?」

 

「もう一回しよっか」

 

 

くるりと体勢が変えられ次は私がマスターに見下ろされる。

 

 

「また中に出すからね」

 

 

そうして言われた言葉にゾクゾクと背筋が震え期待してしまう自分がいた。

 

 

(・・・・♡)

 

 

マスターに覆い被さられ両手は片手ずつ握られ身動きを取る事はできず。もう逃げられない。

 

 

精液と愛液が混ざり合い腰が動かされる度に結合部からはいやらしい水音が響く。その音すら興奮を高めてくれる。そして何よりもキスをしながら繋がれている事が何よりも嬉しい。

 

 

「出るよ、、」

 

 

舌を絡め合ったまま子宮にマスターの精液を受け止めて幸福感にどうにかなってしまいそう。

 

しばらく余韻に浸りぼんやりとしているとマスターがキスをしてくれた。

 

 

「大好きだよティル」

 

「私も大好きですマスター」

 

 

マスターの口へキスを返した。

 

 

 

 

 

それから数日が経った日の朝、いつものように私はマスターより先に目を覚ましまだ寝ているマスターの寝顔を見ていた。

 

穏やかな顔で眠りたまに口元をもごもごとさせる寝顔を眺め、朝食を作る為に寝床を離れてゆく。

 

 

家の裏にあるマスターが捕まえてきた鶏小屋から卵を二つほど拝借しキッチンへ行き暖めたフライパンの上にベーコンを置き油が跳ねるまで焼きその上に卵を割りとろりと落とし蓋をして。その後食パンをトースターへと。

 

 

「おはよー」

 

「おはようございます。もうすぐ朝食ができますからね」

 

「うん。ありがと」

 

 

ラグナ教会上層部の息子の怒りを買いラグナ大陸最果ての土地、ワスレナでの逃走生活にも慣れこうしてマスターと2人だけの生活を楽しんでいた。

 

 

「朝ごはん食べたら何しよっか?」

 

「予定はありませんね。少しキッチンは掃除したいですけど」

 

「じゃあキッチン掃除したら釣りに行こうよ」

 

「そうですね。お供します」

 

 

朝食を食べた後の予定が決まったがのんびりとトーストを食べコーヒーを飲む。こうして時間に、誰かに縛られる事のない生活は良いものだ。

 

 

「「ご馳走様でした」」

 

「食器をお願いしても良いですか?私はコンロ周りを掃除したいので」

 

「了解だよ」

 

 

窓を開け新鮮な空気を取り込みながらコンロ周りをタオルで拭いてゆく。気を付けて使っていても汚れてしまうコンロはどうにかならないのだろうか。

 

 

「食器終わったよ。ティルはまだかかる?」

 

「もう少しで終わるので煙草でも吸ってきて下さい」

 

「ん、ありがとね」

 

 

テーブルの上に置いてある煙草とライターを持ち外へとゆくマスターの後ろ姿を見送り後少しで取れそうな汚れを拭いてゆき、ようやくコンロは綺麗になった。

 

 

「終わりましたよ。釣りに行きましょうか」

 

 

玄関の前で喫煙をするマスターの元へと行くとそこにマスターの姿は無かった。

 

 

「マスター?」

 

 

名を呼びながら家の周りを探しても、彼が良く行く釣り場を見てもそこにマスターの姿は無い。

 

その事に慌てながらキラーズを意識し繋がるバイブスの位置を探るとマスターのキラーズは西へと移動している事が分かった。それも歩く速度では無く馬の様に速い速度で。

 

ふと、あの時私を欲しがった奏官の事が脳裏をよぎり追跡を開始する。バイブスが進む方向からして目的地はラグナ大陸中央に位置する都市、サフラン。

 

 

荒れ果てた荒野を走りワスレナを抜け慣らされた土道を走りクレナイを抜け私の足はサフランを囲う様に建てられた城壁の関所の前で止まった。

 

足を止めた理由として関所を守る番人の姿があったから。

 

 

「ここを通りたいのですが」

 

「通行手形の提示をお願いします」

 

「…手形は持っていません」

 

「ならここを通す訳には行きません」

 

 

サフランへと入るにはこの関所を抜かなければならない。しかし通行手形を持たない私は門前払いを受けここで地団駄を踏む事に。

 

 

見上げる城門は高く飛び上がり超える事はできない。城門を砕く事は可能だがそれをすれば捕まる事は目に見えている。過去の私なら躊躇わず番人を殺し侵入したのだが今の私は違う。策を、何か策を考えろ。

 

 

焦る気持ちを殺し心を落ち着かせ冷静に物事を考える。すると馬車を引いた村人が遠くに見えた。きっとサフランへ物品を卸に来た商人であろう。

 

 

「すいません、お願いがあるのですが…」

 

 

村人の元へと行き話しかけた。その理由は馬車の荷台に私を隠して関所を通ってくれないか、と。

 

しかし、私の話を聞いた村人は首を横に振り関所へと行ってしまった。

 

 

当然の選択だ。見ず知らずの私の願いを聞く義理もないし、見つかればあの村人も共犯とみなされ罰を受ける事になるのだから。

 

 

関所を見ると先ほどの村人が検査され荷台も調べられているのが見えた。

 

 

「・・・・」

 

 

こうしている間にもマスターのバイブスは移動しサフラン中央へ向かうのを感じる。教会の内部へと逃げられれば捜索は不可能になる。やはりこの番人を殺し無理矢理に進むしかないのか。

 

腰に携えた鞘から伸びる剣の柄を掴もうとした時、数匹の異族が姿を見せ番人へと襲いかかるのを見た。

 

 

「ひぃっ!!」

 

 

番人とはいえ人間に変わりはなく異族に抗う術はない。悲鳴を上げながら逃げ惑いやがて追い詰められていた。

 

 

「く、来るなぁ!!」

 

 

城壁に身を寄せ武器を向けるが異族はげたげたと笑いながら番人へと迫り、1匹の異族が剣を振り上げた瞬間、繰り出した一閃が異族の腕を落とし、けたたましい鳴き声と共に視線と敵意が私へと向く。

 

 

「私から提案があります。私を通してもらえるのなら助けますが。断ると言うなら異族に喰われている間に通ります。どちらを選びますか」

 

「通す!通すから助けてくれ!」

 

「言質は取りましたので」

 

 

二歩踏み出し繰り出した一閃は異族をまとめて切り裂き亡骸へと変える。

 

 

「では、私はこれで失礼します」

 

 

腰を抜かしへたり込んだ番人へ頭を下げサフランへと向かい駆けてゆく。

 

 

バイブスとの繋がりを頼りに街を走りたどり着いたのはラグナ教会。既にマスターは教会内部へと連れ去られた後。

 

こうなってしまうと私に手の出し様は無い。恨めしく教会を睨み再び策を練る。

 

 

「グリードですよ、、ね?」

 

 

ふと名を呼ばれ振り返るとそこにはエンシェントキラーズの1人、ミネルヴァの姿が。私の顔を見る顔は戸惑いが見える。

 

 

「なぜここに?ワスレナに身を隠していると聞いていましたが・・」

 

「実は、、」

 

 

事情を説明すると目を見開き頷いてくれた。

 

 

「分かりました。私にできる事ならお手伝いさせてもらいます」

 

「ありがとうございます」

 

「時間がありません、歩きながら説明をさせて貰いますね」

 

 

ミネルヴァに案内され、来たのは教会の裏にある入り口。ミネルヴァがドアノブを回すとドアが開き廊下を進んでゆく。

 

 

「ラグナロクは居ないのでしょうか」

 

「ラグナロクは今別件でクレナイの方へと行っているのですよ。きっとラグナロクの留守を狙いグリードのマスターを誘拐したのだと思います」

 

「何故その様な回りくどい事を?私が狙いなのであれば私を狙えば良いのに」

 

「私には分かりませんがきっと2人の繋がりが目的なのでしょう」

 

「繋がり、ですか?」

 

「はい、2人はバイブスとキラーズで繋がっているので主従関係があります。なのでグリードのマスターが手中にあればマスターを通しグリードに指示を送る事ができる」

 

「なるほど」

 

「仮説なので真意は本人に聞かなければ分かりませんが」

 

「誰か居るのか?」

 

 

私たちの声に混ざり誰か男の声がし、同時にその方を向くと此方へと向かって来る様な足音が聞こえ顔を見合わせた。

 

 

(グリード、この道をまっすぐに進み左に曲がると中庭へと出ます。中庭を抜ければ目的の場所はすぐそばです。後はバイブスとの繋がりを頼りに探して下さい。ニケ)

 

 

ミネルヴァが呼ぶと肩に留まっていた梟が声の方へと飛んでゆく。

 

 

「あぁごめんなさい。私の相棒のニケが逃げてしまい探していたのです」

 

「ミネルヴァ様でしたか」

 

 

見回りの男と話しながら背にある手が行けとジェスチャーを送り足音を消しながら廊下を進んでゆく。

 

 

しばらく歩きドアを開けるとミネルヴァが言っていた通り中庭へと出た。花壇があり何本か木が茂りベンチが置かれている。ここは職員の休憩所としても使われているのだろう。

 

中庭中央に伸びるタイルで作られた道を進み中庭中央まで足を進めた時、何かの気配を感じ取り鞘より剣を引き抜いた。

 

 

「良くぞ気が付きました。流石元ブラックキラーズと言ったところ」

 

「青龍、偃月刀、、!あなたが私のマスターを連れ去ったで間違いないでしょうか」

 

 

私の前に立ちはだかるキル姫に見覚えがある。あの時、息子が連れていたキル姫の1人。

 

 

「他のキル姫はどうしたのですか」

 

「他の兵は主君を否定しましたので私が追放しました。主に義を尽くせぬ兵など無用」

 

「それは良い心がけですね。それで、マスターを攫いなんの用でしょうか」

 

「グリードへの要件は二つ。主君がお前の力を欲している事と私がお前の力量を試してみたく。主君は我が隊へお前を入隊させたがっている。ブラックキラーズという前歴は良いが力無き者を隊へと入れたところでなんの役にもたたない」

 

「勝手に話を進めないでもらえますか。私はマスターにしか仕えるつもりはありませんし、コソ泥に仕える気はありません」

 

 

軽蔑する目線で青龍偃月刀を見下すと今まで見ていた姿が消え、瞬間、肩を掠め槍が通り殺意が宿る目線が下から覗き込む。

 

 

「霊厳だか天帝だか知りませんがマスターを私から奪った罪、その身に刻みます」

 

 

槍の柄を掴み脇腹に切先を突き刺そうと剣を振るうと視線がぐらりと揺れた。足払い、そう理解し受け身を取るべく槍を握る手を離し地面を叩こうとする。

 

 

「がはっ」

 

 

地面に着地する前に蹴り上げられ身体は宙へ浮かび視線は構えられた矛先を見た。

 

突き出された矛先に剣先を当て軌道を逸らしながら着地と同時に右足を振り抜き青龍偃月刀の左頬に一撃。

 

 

「良い蹴りだ。そして素晴らしい判断力」

 

「それはお互い様です。少し認識を変えないといけませんね」

 

 

奏官のランクなど所詮は飾りだと思っていたが仕えるキル姫と戦い認識は変わった。

 

 

「少し、昔を思い出そうと思います」

 

 

私の過去、対キル姫制圧特殊部隊であった頃、強欲の業のままに剣を払った日々の事を。

 

 

「私はアナタの全てを奪う。その命も、アナタの奏官の命も。私のマスターを攫った罪はお前達の命で償わせる」

 

「ならば私はお前を屈服させ支配下に置く。そして、我が主の名を天下へ轟かせよう!」

 

「「覚悟!」」

 

 

怒声と共に繰り出された喉笛を狙う一突き。その槍の軌道は振り下ろした一太刀により地面へと刺さり驚く顔は蹴り上げられ宙を向き胸部を蹴り倒し地面へ這いつくばらせる。

 

 

「つ、強い、、、」

 

「遺言はそれでよろしいですね。では、さようなら」

 

 

足の下で踠く哀れなキル姫の命を奪うべく振り上げた剣の切先を向け振り下ろした。

 

 

「ティル!!」

 

 

喉を裂く寸前に名を呼ばれ前を向くとそこにはマスターが息を切らしながら走る姿が。

 

 

「間に合って良かった、、青龍を殺さないで」

 

「それは何故?マスターを攫った罪を償わせる必要があります」

 

「そんな事しなくて良いよ。ほら、足を退けて」

 

「それが命令であるのなら」

 

「命令なんてしないよ。お願いはしてるけど」

 

 

彼の言葉に少し考え足を退け彼の前へと立つと青龍偃月刀は上半身を起こし項垂れた表情を見せた。

 

 

「無事で良かった」

 

「遅かったですねラグナロク」

 

「ミネルヴァに呼ばれて急いで帰って来たんだよ。じゃあこの問題を解決しよっか」

 

 

ラグナロクの目線の先には中庭へ繋がるもう一つのドアからミネルヴァに連れられ歩く男の姿が写る。

 

 

「ゼン上奏官。誘拐の罪とキルオーダー第一条に則りバイブスの剥奪とキル姫の回収をさせてもらいます」

 

「そんな法律あったんだ?」

 

「キルオーダー。学校で学ばなかったのですか?」

 

「ん?忘れたよ」

 

 

呑気な彼とは違い青龍偃月刀とその奏官は酷く項垂れラグナロクの言葉を待っていた。

 

 

「本来なら死罪だけど2人の功績を考慮しての決断よ。祭司の元へと連れて行くね」

 

 

2人の手に手錠をかけ何処かへと連れて行こうとする。

 

 

「ティルはさ、あの2人に怒ってる?」

 

「怒ってないといえば嘘になりますが」

 

「だよね、許しちゃって良いかな?」

 

「…お好きにどうぞ」

 

 

心底呑気な彼はラグナロクを止め2人を許せと交渉を始め、その様子をため息混ざりに冷めた目で見ていた。

 

 

「あんな人だからグリードとバイブスが繋がったのですね」

 

「そうかもしれませんね」

 

 

私と真逆の彼だからこそ私は安心してマスターの側に居る事ができる。私という力を彼なら世の為に使える。

 

冷めた眼差しに気がつけば微笑みが混ざっていた。

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

それから少しして私たちは以前住んでいた寮へと戻って来ていた。一ヶ月振りに帰った住居はあの時のままで。

 

 

今、私はマスターと買って来たご飯をテーブルを挟み食べていた。

 

 

「良く2人を許す気になれましたね」

 

「せっかくバイブスとキラーズが繋がって一緒に居たのに引き離されるって可哀想じゃん?」

 

「私はマスターと引き離されたのですが」

 

「返す言葉がありません、、」

 

「本当に呑気でお人好しですね」

 

「そうかな?」

 

「そうです」

 

 

苦笑いを浮かべる彼へ一目向けて食べ終わったトレーをゴミ袋へと入れそのままお風呂場へ。服を脱ぎ洗濯機へと投げ込み熱いシャワーを頭から浴び身体中に付いた汗と汚れを流し落としてゆく。

 

 

「お風呂お先にいただきました」

 

「じゃあ交代ね」

 

 

お風呂場へとゆくマスターを見送り冷蔵庫からジュースを取り出すと開栓し飲みながら椅子に座りマスターが戻ってくるのを待っていた。

 

ここはワスレナとは違い耳を澄ませると他の部屋に住む奏官とキル姫の話し声が聞こえてくる。

 

 

「お待たせ。ひさびさに自宅のお風呂に入ったよ」

 

「そうですね。向こうの家はどうしますか?」

 

「んー?どうしよっか?」

 

「選択はお任せしますが、早くしないと小屋の鶏が餓死してしまいますよ」

 

「それは可哀想だ。明日にでも行こうか」

 

 

明日の予定が決まるとマスターは私の隣に座った。

 

 

「助けに来てくれてありがと」

 

「いえ、私は当然の事をしただけです。奪われたなら奪い返すまでですから」

 

「あはは。誘拐された時怖かったけどティルのキラーズが近づいてくるのが分かったから怖くなかったよ。やっぱり強いね」

 

「相手が誰であろうと負ける訳にはいきませんからね。ですがもう誘拐されないで下さい」

 

「僕だって誘拐されたくないよ。それに僕はティルから離れる気は無いし離すつもりもないしさ」

 

「ふふっ。今日はどう寝ますか?」

 

「じゃあ僕の部屋おいでよ」

 

「そうさせてもらいます」

 

 

私の飲みかけのペットボトルを取るとマスターは自室へと向かう。その後をついて行く。

 

 

「うーん」

 

「どうしましたか?」

 

「向こうのほうが広いね」

 

 

マスターの言う通り部屋にあるのはシングルのベッド。向こうは布団を2枚並べていた。

 

 

「でも狭いほうがくっつけるね」

 

 

ふと手が引かれそのままベッドへと押し倒されていた。

 

 

掴んだままの両手は頭の上で手首を握られ動かす事はできず身体にマスターの重みと体温を感じていた。

 

 

「ふふっ、もう硬くしているのですね」

 

 

2枚のズボン越しの恥骨にマスターの硬いモノが当たる。発情した印を押し付けられ少し気分が昂る。

 

 

「ずっと会いたかったし3日もしてないしさ」

 

「毎日してましたからね。んっ」

 

 

恥骨を撫でるように擦り付けられ思わず小さな声が漏れ、その口はマスターの口に塞がれていた。

 

 

「ん、。、んんっ、、、」

 

 

普段の優しいキスとは違う強引に求めるようなキスにどんどん欲情が湧き上がり口が離れた頃にはすっかりとその気になっていた。

 

 

「今日は強引ですね」

 

「そんな気分だからね。嫌だった?」

 

「ん、、」

 

 

ふと聞かれて返答に困る。いつものように優しいのも良いけど強引にされるのも嫌いではなさそうだったから。

 

なんて言葉を返そうか悩んでいるとするりとマスターの右手が下着の中へと滑り込んだ。

 

 

「もうぐちょぐちょじゃん」

 

 

彼の言う通り私の秘部は愛液で濡れ指先が膣内へと入り込んでいた。

 

 

「そんな、、いきなりっ、、♡」

 

 

上げる抗議の声は快感により色が混ざり抗議の意味を成さず。気がつけばズボンと下着は抜き取られ床へと落とされていて。

 

 

「エッチな音してるよ」

 

「いやぁ、、っ♡」

 

 

マスターの手が秘部を掻き回す度に水音が響き羞恥と快感で頭がふわふわする。

 

 

「そこ、、きもちいいっ、、♡」

 

 

腰ががくがくと震えながらも掻き回しやすい様に脚を開き。後少しで絶頂へ達する瞬間にマスターの指は掻き回すのをやめ止まってしまう。

 

 

「・・・?」

 

 

イケそうでイケずもどかしい視線を投げ掛けると笑う顔がそこにあった。

 

 

「どうしたの?」

 

(イキたいです、、)

 

 

羞恥を堪えながら呟くと指先は秘部を掻き回し快感を与えてくれて。

 

 

「あぁ、、イクっぅ、、♡」

 

 

お預けされた快感が訪れ腰を跳ねさせ久し振りの絶頂の快感が全身を焦がす。

 

 

「やぁっ、、♡」

 

 

余韻に浸る間もなくマスターの指は秘部を掻き回し二度目の絶頂へと導かれ、ようやくマスターの手が秘部から離れた時には心地よい疲れと全身を震わせる快感の余韻。

 

 

「すごく気持ち良さそうな顔してたよ」

 

「…恥ずかしいので見ないで下さい。次は、私がしますからね」

 

 

マスターが履いているズボンを下着ごと引き抜き股座へ顔を埋めると先走った液で濡れるソレが目の前に。

 

 

「ん、硬い♡」

 

 

右手で触れたソレは硬く熱を持ち、親指で根本からしごくと先走りの液がとろりと溢れた。

 

 

「・・・♡」

 

 

口に咥えた瞬間ぴくんと跳ねるソレを愛おしく思いながら舌に絡むとろとろの液を味わう様に舐め取りじゅじゅりとすする。

 

 

「はぁっ、、気持ち良いですか、、?」

 

「うん、、ヤバいかも、、」

 

「ふふっこんなに溜まってますからね♡」

 

 

ソレの下にある玉へ手を伸ばしさするとずっしりとした重み。

 

 

「・・一回お願いしていい?」

 

 

遠慮気味に言われた言葉に返事をしてマスターの願いを聞く事に。

 

 

「こうへすか?」

 

「それしながら喋らないで・・・」

 

 

マスターの願いとは玉を舐めて欲しいとの事。

 

言われた通りに玉を口に含み舌で転がし上目で見上げると快感に悶えるマスターの顔が。

 

それを見て私はソレに手を伸ばした。

 

 

「っ!それ、、ヤバいって、、」

 

 

先ほどまで咥えていた唾液塗れのソレを手で扱きながら玉をしゃぶるとソレは手の中でぴくぴくと跳ね、両脚を何度も曲げたり伸ばしたり。快感に耐える姿に心の奥から加虐心が燃え上がる。

 

 

「あっ、」

 

 

ソレが手の中で硬さを増し射精へ備えた時、私は手と口を離し快感を止められ間抜けた顔をしているマスターを見下ろす。

 

 

「射精ならこっちに射精てもらいます♡」

 

 

股座から抜け出しマスターの腰の上へとゆき、硬く勃つそれを掴むと秘部へと導き一気に腰を下ろした。

 

 

「んんんっ♡気持ちいっ、、♡」

 

 

指が届かない深いところにまでソレは届き圧迫感と快感がお腹から頭へと駆け巡り甘い声が無意識に溢れ、無意識に腰を小刻みに上下させていて。

 

 

「エッチな顔してるよ、」

 

「そう言うマスターは我慢できない、って顔をしていますね。このまま私の中で果てますか?」

 

「もう少しだけ我慢する、。おいで」

 

 

腰の上に座る私は引き寄せられマスターに抱きしめられ唇を奪われていた。

 

 

「んっ、、♡それ、、♡」

 

 

唇を重ねながら舌を絡み合わせ快感が欲しくなった時にずんっと下から突き上げられ口の中に淫声が溢れた。

 

 

「ふぅ、、きゅーけー」

 

 

少し動くとマスターは動きを止めて私の頭を撫でキスをしてくれて。

 

 

「ん、、」

 

 

それがもどかしく腰を揺らそうとすると腰はマスターの両手に掴まれて動かす事はできず。

 

 

「もう少し我慢してね?」

 

 

掴んだ腰を腰に引き寄せ根本まで挿入すると腰の手を離し背中に回しぎゅっと抱きしめてくれた。

 

 

「こうやって繋がってるの好きなんだよ。なんか落ち着く」

 

「そう言ってますが私の膣内で跳ねてますよ?」

 

「だってティルのおまんこが締め付けてくるから」

 

「好きな人のが膣内にあれば求めるのは当然だと思います」

 

「言い方」

 

 

笑いながら私の頭を撫でて。その後にその手は結合部へと伸びてゆく。

 

 

「っ、、♡」

 

 

マスターの指はクリトリスを弄り、弄る指の動きに合わせ腰が突き上げられて。気持ち良い場所を同時に攻められ快感は絶頂へと変わろうとする。

 

 

「ティルっ、、」

 

「マスターきて、、いくっ♡」

 

 

切ない声を聞きながら絶頂を迎え、同時に私の膣内にマスターの体温が広がってゆく。

 

 

「あっ、、まだ出てる、、」

 

 

ソレは何度も精液を噴き上げ子宮の中はマスターの精液で満たされた。

 

 

「ふふっ沢山射精ましたね♡」

 

「溜まってたからね。それに久しぶりだったし」

 

「もう満足しましたか?」

 

「いや、まだだよ。ティルは?」

 

「射精しても硬いのが膣内にあるのに満足なんてできませんっ、、♡」

 

 

私の言葉は突き上げられて淫声に変えられていた。

 

 

「すごい音してる、、」

 

「いやぁ、、♡」

 

 

マスターが突き上げる度に愛液と混ざった精液がぬちゅぬちゅと水音を立て耳に届く。それはとても恥ずかしいのに。

 

 

「次は私が射精させますからね♡」

 

 

マスターの手を解き腰に座りなおすと腰を上下させて同じ音を立てながら鈴口をこりこりと気持ち良い場所に擦り付けていた。

 

 

「ここ、、きもちいいっ、、♡」

 

 

目を閉じて感覚だけで腰を振り無我夢中に快感を貪って。

 

 

「ティル、、出るって、、」

 

 

返事の代わりに腰のストロークを早め答えた。

 

 

「でるっ、、!」

 

 

マスターに射精させた満足感と子宮に噴き上がる精液の感覚で絶頂を迎えバランスを崩しそのままマスターの胸元へと倒れ込んだ。

 

 

「すごく気持ちよかったよ」

 

 

何度も頭を撫でられながら至福の余韻に浸り、しばらくマスターの胸元から動けずにいた。

 

 

「んっ」

 

 

頭を撫でられている内に膣内にあったソレは硬さを無くしぬるんっと抜け落ち、膣奥に溜まっていた精液がとろりと溢れ出すのを感じた。

 

 

「シャワー浴びましょうか」

 

「そうだね」

 

 

起き上がると膣口から溢れた精液は太ももを伝いながら落ちてゆく。そしてまだ寝転がるマスターを見下ろす。

 

 

「やっぱりシャワーは後にしましょう」

 

 

髪を掻き上げ耳にかけ私の口は精液と愛液に濡れたソレを咥えた。

 

 

「テ、ティル?」

 

 

驚くマスターの声を聞きながら根本まで咥え舐め取るように口をしぼませ舌を絡め。

 

 

「ふふっ次は後ろからお願いしますね♡」

 

 

口の中で硬さを取り戻したソレにキスをしてベッドの上に四つん這いになるとベッドが軋み腰が持たれた。

 

 

「挿入るね」

 

 

鈴口で膣口を何度も擦った後、膣口を押し広げながらソレが入ってきた。

 

 

「ああっ、、すごい、、♡」

 

 

ソレは深く入り込み子宮を押し上げ強い快感を与えてくれる。

 

 

「奥好きなの?」

 

「好きです、、♡もっと、、して、下さいっ、、♡」

 

 

おねだりの後腰が打ち付けられあまりの快感に淫声を叫ぶ。

 

 

「この体位好きなんだ」

 

「はい、、好きです、、」

 

「動物の交尾みたいだよ」

 

 

確かにこの体勢は街中でたまに見る盛る猫の様。そんな獣と同じ体勢で行為をしている事が更なる興奮を呼ぶ。

 

 

「あぁっ、、♡」

 

 

快感で上半身を支える手が力を失い顔は枕へと落ち。それでもマスターは腰の動きをやめる事はない。

 

 

「いくっ、、いく、いっちゃ、、、♡」

 

 

与えられた快感が弾け絶頂を迎えると同時にソレは引き抜かれぼんやりとする目線の先にソレがあり先端を咥えた。

 

 

「出るよっ」

 

 

マスターが数回扱くと口の中に吐精され精液の味が口いっぱいに広がって。舌に絡ませ味わった後にごくりと飲み込んだ。

 

 

「なぜ口に出したのですか?」

 

「飲んでもらいたかったからさ」

 

「私は膣内に欲しかったです」

 

「言ってよ」

 

 

ちょっと笑いながら誤魔化すように頭を撫でられて。それで機嫌が治ってしまう。

 

 

「シャワー浴びよっか」

 

「そうですね」

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

シャワーを浴び終わりベランダで煙草を吸うマスターの隣で夜の街を見ていた。

 

 

「どうしたの?」

 

「まだ起きている人がいるのですね。部屋に電気が付いています」

 

「ほんとだ。ティルの声聞こえてたんじゃない?」

 

「かもしれませんね。次は窓を開けてしますか?」

 

 

そう言うと困った顔をしたマスターを見て微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで目を通していただきありがとうございました!

前半はシリアス、後半はイチャラブに仕上げましたがどうでしたでしょうか?


以前投下した陵辱と読み比べて頂けたら幸いです。
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