※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

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ユグドラシル

彼女は現世を眺めていた。この世界を創り出し永遠とも呼べる年月を。自らが創り出した世界に干渉する事なくただ人々とキル姫を見守る日々。

 

 

「どうしましたか?」

 

 

声をかけられ現世を眺める事をやめ声をかけた桃長髪の女性へと体を向けた。

 

 

「すこし世界を眺めていたの」

 

 

微笑みながら答えるとユグドラシルの横にティルフィングが並び現世を眺めた。

 

 

「貴女には辛い思いをさせてしまったわね」

 

「私の意思です。気にしないで下さい」

 

 

この世界はユグドラシルのマナにより成り立っている。以前ユグドラシルが内包するマナが尽きかけ終焉を迎えたこの世界はティルフィングの犠牲により再び平穏を取り戻していた。

 

 

「貴女と人々とキル姫が居たからこそまたこの世界は再び動き出す事ができたわ。本当にありがとう」

 

 

ユグドラシルの言葉に微笑みを返し二人して現世を眺めてゆく。

 

 

「ねぇ、また貴女の話を聞かせて」

 

「はい、ではお茶でも飲みながらお話をしましょうか」

 

 

シンプルな一室に置かれたテーブルの上で紅茶が湯気をたてその横に置かれた茶菓子をつまみながらユグドラシルはティルフィングの話に耳を傾けうんうんと嬉しそうに聞いてゆく。

 

 

「良いわね、とても。未来を切望する人々の熱い想い、それに応えてくれた貴女たちが居てくれたからこそこの世界は再び紡がれたの」

 

 

笑顔でそう呟くと現世を見渡せる窓へと目を向けた。

 

 

「ねぇティルフィング、私も天上世界へ行って様々な事を体験してみたいわ」

 

 

ユグドラシルの言葉にティルフィングの顔から笑顔が消え小さな咳払いの後ゆっくりと諭すように言葉を紡ぐ。

 

 

「お気持ちは分かりますが貴女が現世に降りれば力を欲する人々の争いの種となってしまうおそれがあります。それにユグドラシルはキラーズを持っていないので現世では活動する事はできません」

 

「あら、それなら大丈夫よ。私のキラーズは現世にしっかりと根付いているわ」

 

 

ユグドラシルの言うキラーズとは地上世界に根を下ろし天上世界で葉を茂らせる大樹ユグドラシルの事。ユグドラシルは世界樹ユグドラシルをキラーズとし現世に行こうと言う。

 

 

「ダメです。そんな事をすればユグドラシルが膨大な量のマナを消費してしまいます。再び世界に終焉を招くつもりですか」

 

「それも大丈夫よ。もう私はユグドラシルをキラーズとしているのだから。それに私はとても元気」

 

 

ニコニコと話すユグドラシルに思わずティルフィングは目眩を起こす。それでも説得を続けるのだがユグドラシルは首を縦に振らず。

 

 

 

「…これは言いたくなかったのですがユグドラシルが現世で何を覗いていたのかは分かっているのですけど」

 

 

ティルフィングの言葉にユグドラシルの眉が動いた。

 

 

「それは偶然よ。えぇ偶然ね」

 

「現世に降りて何がしたいのですか」

 

「それはこの目で人々の営みを見て感じてみたいの。私はずっと見守っているだけだったから」

 

「ではユグドラシルに質問です」

 

「はい、どうぞ」

 

「人間の体で条件によっては平常時の6倍に大きくなる器官は?」

 

 

ティルフィングの質問にユグドラシルは顔を真っ赤にして咳払いを一つすると返答を返した。

 

 

「おちんちんね」

 

「違います。答えは瞳孔です」

 

 

冷ややかな声色の返答に少し沈黙が流れた。

 

 

「男女、いえ、性別を問わず行われる愛を育む行為をしたいと願う事のどこが悪いのですか」

 

「そのような行為が悪い事とは言いませんが貴女には創造主という身分があります…聞いているのですか」

 

「私だってしてみたいのよ!逞しい男根に貫かれ身を焦がす快楽に溺れてみたいの!もう一人でするのは飽き飽きなのよ!」

 

「声が大きいです!ミーミル達に聞こえてしまいます!」

 

 

ティルフィングがユグドラシルの口を手で塞ぎ横目でミーミルの自室へと繋がるドアを見ても開く気配はなく安堵の息を一つ。

 

 

「ティルフィングは良いわね。そうだ、私を止めるのは良いですが揺らいでしまいそうになるかもしれません」

 

「その脅しは最悪ですね本当に。しかしユグドラシルには立場というものがあるので私は止めないわけにはいかないのです」

 

「見つけたわ!私のキラーズと適合するマスターを!」

 

 

ティルフィングが慌ててユグドラシルの手を掴もうとした時には時既に遅くユグドラシルの姿はそこには無かった。

 

うんざりした顔をしながらティルフィングは天上世界のキル姫と連絡を取り合う事に。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

この世界は一度終焉を迎えたという。その原因はこの世界を保つマナを抱擁する世界樹ユグドラシルのマナが尽き世界を保つ事ができなくなったと。

 

それに伴い様々な争いが行われ結局世界はティルフィングというキル姫に救われたと授業で聞いた。

 

 

今日世界史の授業で学んだ事を思い出しながら僕は教室の窓から聳え立つ大樹ユグドラシルを眺めていた。

 

雄大と言えるユグドラシルの幹に壮大に葉を茂らせる様を見てもあの木が枯れるだなんて想像もできない。それでも机に頬杖を付きながらユグドラシルを眺めていた。

 

 

そんな時僕の名が放送で呼ばれ職員室へと足を運ぶ事に。

 

 

「……………」

 

 

職員室へと入った瞬間に血相を変えた先生に言われ僕は理事長室へと行く事となった。

 

ここ最近何か悪さをしたのか思い出そうとするのだけど人畜無害に生きているし理事長室に呼ばれる程の悪さをした覚えもない。

 

しかしとんでもなく嫌な予感がして少し手を震わせながら理事長室のドアをノックするといつも通り甲高い理事長の返事が聞こえ「失礼します」と声をかけながら部屋の中へ。

 

 

「……………!!」

 

 

ドアを開けた瞬間に威圧を感じ思わず身体が縮こまる。キョドる目が見たのは理事長室の左右に居るキル姫達。

 

右にはブラックキラーズが、左にはエンシェントキラーズがずらりと並び僕へと視線だけを向ける。

 

これが最強と謳われるキル姫達の圧力。もう僕はその場にへたり込んでしまいそうだった。

 

 

「ふふっ、良かった」

 

 

そんな時部屋の奥から優しい声が聞こえ目だけを向けると優しく微笑む1人の女性の姿が見えた。

 

 

「大丈夫よ。そんなに緊張しなくても」

 

 

そう言いながら僕の所へと歩いてきてくれる。しかしその女性からも異質とも呼べる圧力を感じる。エンシェントキラーズやブラックキラーズとも違う強大過ぎる圧力。

 

 

もう膝が笑い耐え切れずその場へとへたり込み近づいて来る女性をただ見上げていた。

 

 

「こほん、やっと来たわね。それじゃあ説明をするわよ」

 

 

女の人の後ろを飛び回る羽虫。もといデュリン理事長が説明をしてくれた。

 

今僕の目の前に居る女性はユグドラシルという名のキル姫であり世界樹、ユグドラシルをキラーズにしたキル姫の様で。

 

 

「んで、なんでそんなキル姫が僕を尋ねて来たのさ」

 

 

僕はこのラグナロク学院の生徒であるが成績は中、見た目も中、全てが真ん中という個性のない人間だ。そんな無個性とも呼べる僕の元にこの世界そのものと呼べるキル姫が来たのか。

 

 

「それは私のキラーズがマスターのバイブスと適合したからよ」

 

「それだけで?」

 

「ええ、何か問題でもあるのでしょうか?」

 

「特には無いけど、、じゃあここに居る人達は?」

 

「私の監査役と言ったところね。私はまだキル姫になって間もないから万が一の為に呼んだの。それにまだマスターは洗礼前だから」

 

「さいですか、、」

 

 

奏官とキル姫の繋がりはキラーズとバイブスの適合のみ。そして僕はまだ学生の身でバイブスの洗礼を受けていない。

 

 

 

「…僕よりもっと良い人居たと思うんだけどな、、」

 

「いんや、適合したのがあんたって事はあんたしか居ないって事よ。学院の生徒がユグドラシルと適合するなんて私も鼻が高いわ♪」

 

 

腕を組みドヤ顔の羽虫と優しく微笑むユグドラシル。色々説明をしてもらったので状況は理解したのだけども。

 

 

「せっかくだけどお断りします」

 

 

とりあえずキッパリとお断りする事に。その瞬間その場にいた全員が僕の顔を見た。

 

 

「ちょっと待って!あんたそれ本気で言ってんの!?」

 

「本気ですけど。それにもうすぐテストだし忙しいし」

 

「ユグドラシルと居ればあんたは最強の奏官にだってなれるのよ!こんなチャンス二度と無いわ!」

 

「うーん、、惜しいなぁーテストが無かったら共鳴を受け入れるんだけどなぁー」

 

 

横目でチラチラとデュリン理事長を見ると羽虫を噛み潰した様な顔をしていた。

 

 

「良いんじゃ無い?テスト免除で」

 

「あんたねぇ、、!簡単に言ってくれるけどそんな贔屓が許されると思ってるの!?」

 

「落ち着いて下さい。チョコをあげるので」

 

 

グリードがさっと板チョコの包装を破ると荒ぶる理事長の口へと押し込んでいた。

 

 

「僕は君の意見を否定も賛成もしないけどバイブスとキラーズが繋がるには理由があるんだよ。だからその繋がりは大事にして欲しい」

 

 

そうグリードの奏官に言われて僕は少し考えてユグドラシルの方を見るとキラキラとした目を僕へと向けている事に気がつく。

 

 

「分かりましたよ。じゃあ条件として今期のテストは全部免除でお願いします」

 

「良いわよ♪その条件飲んであげる♪」

 

 

好物のチョコを食べながらご機嫌の理事長の一言により僕とユグドラシルが共に過ごす事が決まった。

 

それによりこの場は解散となり僕は学生寮の自室へユグドラシルを連れて帰って来ていた。

 

 

「狭くてごめんね。ついでに大きい部屋へ引っ越せるように交渉すれば良かった」

 

 

僕はラグナロク学院の寮に住んでいるのだが一人暮らしが想定されているワンルームだ。玄関を開けるとすぐにキッチンがありその奥にはリビング兼寝室。2人で暮らすにはちょっと狭い。

 

 

「慎ましく暮らしているのね。急に押し掛けてごめんなさい」

 

 

慎ましいの意味として必要最低限の家具しか空いてない事をいうのだろう。まぁ良いけど。

 

 

「んで、ユグはなんでここに来たのさ」

 

 

ユグドラシルの事をユグと呼ぶと一瞬きょとんとした表情を見せすぐに笑顔となり嬉しそうに話を聞かせてくれた。

 

 

「私はこの世界をずっと見守っていました。それが寂しくて世界をお任せして現世に来たのです」

 

 

世界って誰かに任せられるんだ。そう心の中でツッコミながら話を聞いてゆく。

 

 

「例えば、、テレビで料理番組を見たとしても自分のお腹は満たされないでしょ?それと同じで私も見ているだけなのが切なくて」

 

「んー分かるような分からないような?」

 

「人々の暮らしをこの目で見て感じて楽しみたいの。しばらくの間よろしくね」

 

「わーったよ」

 

「そうだ、マスターの事を私に聞かせて?あなたがどの様な人生を過ごして来たのか興味があるわ」

 

 

そんな事をキラキラとした顔で聞かれたのだけど僕が今まで過ごしてきた何事も無い平凡な人生を話すとキラキラとした顔はやがて真顔になっていった。

 

 

「きっとマスターの人生はこれから楽しくなるわ、顔をあげて」

 

「………………」

 

 

何故僕は初対面の人にこんな言葉をかけられなければならないのだろうか。

 

 

それから特に書く程でもない時間を過ごし寝る時間となった。

 

 

「僕チェアで寝るからユグベッド使いなよ」

 

「そんな悪いわよ。あなたのベッドよ、マスターが使って」

 

「良いよ良いよ。おやすみ」

 

 

二つ折りのチェアを真っ直ぐにしてそこで寝る事に。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

マスターが寝たのを見届けた後ユグドラシルはティルフィングと連絡を取り合う事に。

 

 

 

「良いわね現世って。今まで見る事しかできなかった事に触れる事ってこんなにも素晴らしい事なのね」

 

「それはよかったですね」

 

「明日が来るのが待ちきれないわ、こんな気持ちになるのは久々よ」

 

「はい、そうですか」

 

「どうしたのティルフィング?具合でも悪いの?」

 

「勝手にここを抜け出して良くそんな事が言えますね。私は現世の管理に追われているのですが」

 

「しばらくしたら戻るから、そしたら私と変わりましょう」

 

「約束ですからね、私もマスターに会いたいので」

 

「もちろんよ。それとねティルフィング」

 

「はい、どうしましたか?」

 

「年頃の男の子でも手を出してこないのね。少し、期待していたのに」

 

「その考えは改めて下さい。同人誌の読みすぎです」

 

「えぇ、そうなの?」

 

「はい、では忙しいので切りますね。ユグドラシルも早く寝て下さい」

 

 

一方的に連絡を切られ話し相手を失ったユグドラシルは少し考えた後眠りにつく事に。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

次の日朝起きて僕は学院に行こうと準備をしていた。その時モゾモゾと布団が動きユグが布団から顔を覗かせた。

 

 

「おはよーユグ」

 

「おはようマスター。良い朝ね」

 

「どしゃ降りだけどね」

 

 

僕の言葉に窓へと目を向けると大雨が風に吹かれ窓に打ち付ける光景が。それでも学院に行かないと行けないのは学生の辛いところだ。

 

 

「私も学院に行きたいわ」

 

「良いんじゃない?でも制服持ってないでしょ?」

 

「それなら大丈夫よ。昨日理事長からもらっているから」

 

 

そう言ってベッドから起きるとカバンを持って洗面所へと向かっていった。その間に僕は着替えを済ませる事に。

 

 

 

「ユグまだかかる?」

 

「ふふ、慣れない服装もたまには良いわね」

 

 

制服に着替えたユグがそう言っていた。その姿は確かに可愛いのだが何となく自分の母親が制服を着ている様な気がして色々ときびぃ。

 

 

「あー、まぁうん。行こっか」

 

 

制服を着て楽しそうなユグと共に学院へと。

 

 

学院に登校すると気が付いた変化が多々あった。それは臨時講師としてエンシェントキラーズやブラックキラーズが学院に来ている事。それとユグドラシルが降臨している事を聞き多くの生徒がユグの事を一目見ようと人だかりを使っている事。

 

幸運な事に僕の事など皆の眼中に無いようで話しかける人一人一人に丁寧に答えているユグを横目で見た後教室へと向かってゆく。

 

 

時は流れ放課後に僕とユグは家へと戻ってきていた。

 

 

「ふぅ、、慣れない事をするのはとても楽しいけれど疲れてしまうわね」

 

「お疲れ様。ご飯作るから待っててよ」

 

「私も手伝うわ。人々が料理をしているところ何度も見てきたからきっと力になれるわ」

 

「じゃあお願いするね」

 

 

キッチンへ向かう僕に少し遅れてユグが来て一緒にご飯を作る事に。

 

 

「じゃあお米研ぐからその間に野菜切ってよ」

 

「分かったわ」

 

 

お米を研ぎながら横目でユグが野菜を切る姿をみていると不慣れそうに野菜を持ち不安そうに包丁を扱う姿。

 

 

「どうしたの?」

 

「見ていた人は簡単そうにしていたのにいざこうして自分でやってみるととても難しいのね」

 

「手を切らないようにね」

 

 

それから悪戦苦闘しながら人参を切る姿を見ていた。銀杏切りを頼んだのだけど切れた人参は短冊の様。それでもお皿に移した人参に満足そうな笑みを向けている。

 

 

それからお味噌汁を作り魚を焼き炊き上がったご飯と共にテーブルへと運び二人して手を合わせた。

 

 

「美味しいわ。自分で作った料理ってこんなにも美味しいのね」

 

 

お味噌汁をすすり焼き魚の身をほぐしご飯を口に運び。その度にユグの顔は綻ぶ。

 

 

「それは何よりだよ。って本当に料理した事ないの?」

 

「そうよ、本来なら私は姿を持たないしご飯を食べるのは初めての事なの」

 

「なるほどね?」

 

 

ユグの言っている事は本当かどうか分からないけど美味しそうにご飯を食べる姿は可愛いのでよしだ。じゃなくて。

 

 

「姿を持たないってどういう事なの?」

 

「そのままの意味よ?マスターはこの世界が終焉を迎えた事は知っているかしら」

 

「うん、授業で聞いたよ」

 

「その時私はマナを失い人の姿となっていたの。この姿はその時の名残ね」

 

「なるほど?」

 

 

とりあえずよく分からなかった。

 

 

「ごちそうさま。食器は私が洗うわ」

 

「じゃあお言葉に甘えさせてもらうね」

 

 

食器を重ねシンクへと持ってゆく後ろ姿を不安気に見守っていると水を流し食器を洗い始めた。

 

そしてしばらくすると食器が割れる音とユグの悲鳴が。

 

 

「あらら、、」

 

「ごめんなさいマスター、、こんなにも洗剤は滑るのね」

 

「怪我してない?」

 

「はい、でも食器が、、」

 

 

シンクには割れてしまっている食器が多々散らばり申し訳なさそうなユグの顔。

 

 

「食器はまぁ良いよ。明日買いに行こっか」

 

 

そう言うとゆっくりと頭を下げ笑顔を向けてくれた。その後お風呂に入り就寝。

 

 

 

 

 

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「聞いてティルフィング」

 

「はい、どうしましたか?」

 

「今日ね、食器を割ってしまったの。それでお仕置きを期待したのにマスターは何もせずに寝てしまったのよ」

 

「お仕置きですか?」

 

「えぇ、ほら、悪い事をしてしまったからベッドに押し倒されると思っていたのに」

 

「そんな設定今時同人誌でもありませんよ。現実を知る事ができて良かったですね」

 

「そう、なのね、、」

 

「一つ言わせて貰いますけどそのような形で純潔を散らせても後悔しか残りません。初めては一度しかありませんのでよく考えて下さい」

 

「分かったわ」

 

「ではミーミルが起きてきたのでこのあたりで」

 

 

 

 

 

 

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次の日学院がお休みなのでお昼まで寝ようと思っていたのに学院へ行こうとユグに起こされてしまっていた。

 

 

「おはようマスター。早く学院へ行く準備をしないと間に合いませんよ」

 

「今日は土曜日だからお休みだよ、、」

 

「これが休日というものなのね。それなら食器を買いに行きませんか?」

 

「むぅ」

 

 

ユグに言われ自分が昨日言った事を思い出しのそのそと支度を。それからしばらくして僕達は家を出ていた。

 

食器を買いに行くと言っても目星がある店がある訳でもなくサフランの城下町を二人して歩んでゆく。

 

 

土曜日という事もあり街は多くの人で溢れ道行く人を店に呼び込もうと声を張り上げる店員の声を聞きながら、前と横を歩く人達にぶつからないように当てもなく歩く。

 

 

ここでもユグは目を輝かせながら人を、店を、更には街を眺めていた。

 

 

「そんなに人混みが楽しい?」

 

「何もかもが私には新鮮なの。ねぇマスター、時間があるのなら一つずつ店を見ても良いかしら?」

 

 

そう言われ断りたい気持ちを抑え一軒ずつ店を見て回ることに。この城下町には大小合わせて50は店があるだろう。まだ朝なのに今後の事を考えるとずんっと疲れる。

 

 

「行きましょうマスター」

 

 

そんな僕の気持ちを知らずに楽しそうに笑顔を浮かべ僕の前を歩む後ろ姿を見てその後に続いてゆく。

 

 

それから午前中に半分のお店を見て回り僕達はお昼ご飯を食べる為にファミレスへと来ていた。

 

やっと立ちっぱなしから席に座るともうここから動きたくなくなってしまう。

 

 

「本当に良いわね、すごく素敵だったわ。早く次のお店も見に行きましょう」

 

 

そんな疲労困憊な僕だがユグはまだ疲れておらず窓から街を眺め次に行くお店へと思いを馳せている。

 

そんなユグの足元には購入した商品が入った紙袋が多々置かれているのだが。

 

 

「ふぅ、、とりあえずご飯決めよ」

 

 

そう言ってメニュー表を渡すとまたユグは目を輝かせた。

 

 

「食べたい物を決めて頼めば良いのね。どれにしようか迷ってしまうわ」

 

 

丁寧にメニューに目を通し読み終わるとまた初めから読み始め結局ユグが注文を頼むのに20分ほど時間をかけていた。

 

 

それから届いたご飯を食べ再び僕達は街を歩きお店を周り日が暮れて少ししてから家へと帰ってきていた。

 

 

「お買い物も楽しかったわ、ありがとうマスター」

 

「喜んでくれて何よりだよ」

 

「買った物ここに置いても良いかしら?」

 

「どうぞどうぞ。お風呂入ってくるね」

 

 

紙袋から購入した物を取り出し笑顔を浮かべるユグを見た後一日中歩き回り疲れた足を引きずってシャワーを浴びユグとお風呂を交代。

 

大きなあくびをしながらユグが出てくるのを待ちしばらくするとドアが開く音がしてその方を向いた。

 

 

「なっ、、、」

 

「パジャマを買ったのだけど、、少し窮屈ね」

 

 

そう言いながら僕の方へと歩んでくる。その姿は真っ白なパジャマ姿なのだが胸がつっかえ前ボタンが留めきれず胸元がガッツリと開く。

 

そして、そして。ユグは下着を付けておらず白のパジャマには乳首が透けて見えている。

 

思わぬ姿に目を逸らすのだけどベッドへと向かい縁に座る姿を横目で見ようとしてしまう。

 

 

「どうかしたのマスター?」

 

「い、いやなんでもないよ。おやすみ」

 

 

それだけ言って僕はチェアに寝転がり布団を頭まで被り今日の疲れに身を任せ眠りへと落ちる事に。

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

「はぁ」

 

「あの、いきなり連絡をしてきて話を聞いて欲しそうにため息を吐くのやめてもらえませんか?」

 

「そんなつもりは無かったのだけど漏れていたのね。なら話を聞いてちょうだい」

 

「それでどうしたのですか?」

 

「今日マスターと街で買い物をしてパジャマを買ったのだけどサイズが少し小さくて窮屈なの。それでね、明日もお休みだから予定を決めようとしたのにマスターはもう寝てしまったのよ」

 

「あー、、確かにその姿は目を逸らしてしまうかもしれませんね」

 

「そうだ。ねぇ、ティルフィング。明日遊びに行ける様なところは何処かないかしら」

 

「少し待ってて下さいね、、、。隣町で催しがあるみたいです」

 

「ふふ、ならそこに行くわ。明日の朝にマスターに聞いてみるわね」

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

次の日、窓から差し込む陽の光で目を覚ましぼんやりとしていると布団がモゾモゾと動き少ししてユグが体を起こし僕に向かい穏やかな顔を見せてくれた。

 

 

「おはようマスター」

 

「お、おはよう、、」

 

 

ユグが肩までかかっていた布団を落とすと昨日と同じ光景が目に飛び込んでくる。胸元を隠すように長い緑髪がかかるがユグが動くたびにチラチラと透ける胸が見え隠れ。

 

 

「ねぇマスター隣町で催しが行われるみたいなの。私それを見に行ってみたいわ」

 

「分かった!行くから早く着替えて!」

 

 

悩ましい視界を塞ぐ為ユグの言う事もろくに聞かず返答をすると満足そうに笑顔を浮かべながら立ち上がり着替えるために脱衣所へと向かって行った。廊下のドアが閉まった後僕も着替える事に。

 

 

「それでさっきなんて言ってたの?」

 

 

着替えを終え朝食のパンを食べながらユグに尋ねると隣町の催しに行きたいとの答えが。

 

 

「あぁーそういえばそんな事言ってた気がする」

 

「朝ごはんを食べたら行きましょう。きっと楽しいわ」

 

 

ニコニコと言われてしまい断るわけにもいかず朝食の後隣町に行く事に。

 

 

隣町と聞き駐輪場に自転車を取りに行きスタンドを下ろした時に気が付いた。ユグが居ることに。

 

 

「どうしたのマスター?」

 

 

ユグに聞かれ5秒間考えて僕が出した結論は二人乗りをする事だった。

 

 

「ユグ後ろ乗ってよ」

 

 

自転車にまたがり荷台を指差すと僕の肩を支えに荷台へと跨った。

 

 

「自転車の二人乗りは校則違反じゃないの?」

 

「じゃあやめとく?」

 

「ふふ、もし見つかってしまったら一緒に怒られるわ」

 

 

ペダルを踏み締め寮の駐輪場から隣町に向かい走り出して行く。

 

 

 

 

 

「自転車の二人乗りは規律違反です!しかもヘルメットも被らずに乗るだなんていったい何を考えているのですか」

 

「「ごめんなさい、、」」

 

 

そして走り出して5分も経たないうちにエンシェントキラーズの一角であるネスに見つかり2人して怒られていた。

 

 

「この事は学院に報告させてもらいますからね」

 

「そこをなんとかお願いします」

 

「ダメです。私は規律に違反する行為は見逃せませんから」

 

「お願いよネス、マスターを許してあげて」

 

「いくらユグドラシルの頼みでもダメです。それよりもあなたは止めるべき立場なのですよ」

 

 

ごもっともな意見である。その後どれだけ頼み込んでもネスは首を縦に振らず学院へと戻って行った。

 

 

「よし、じゃあ行こっか」

 

 

ネスの姿が見えなくなってから僕は自転車にまたがりユグに後ろに座るようにと言う。

 

 

「本当に良いの?」

 

「一回怒られたから何回怒られても一緒だよ。どーせ明日学院に行ったら呼び出されてまた怒られるんだからさ」

 

「思っていたよりマスターは悪い子なのね」

 

「さぁ?どーだろ」

 

 

笑いながら荷台にまたがったユグと笑いながら自転車を漕ぐ僕。しばらくして僕達は隣町へとやってきていた。

 

 

「賑やかで楽しそうね」

 

 

ユグが見る景色は様々な出店が並び多くの人々が行き交う光景。耳を向けると笑い声や次の予定を話す声が聞こえてくる。

 

 

「早く行きましょ」

 

 

その様子を見て待ちきれなくなったユグに手を引かれ催しの中へと混ざり込む。

 

そしてここでもユグは一軒一軒の出店を見たいと言う。もちろん断る理由も無いのでユグの後ろをついて回ることに。

 

 

「あー疲れた、、」

 

 

半日間休まずに歩き回りようやく僕はベンチに座ることができていた。僕の隣にはユグが座り先ほど購入した焼きそばのパックを開封し割り箸をパチンっと割っているところ。

 

 

「こうしたお昼ご飯も良いわね。昨日のお店も良いけれどこっちの方が私は好きかも」

 

「お祭り気分ってやつだね」

 

「でもマスター」

 

「?」

 

「このご飯、少ししか入っていないのに昨日のお昼よりも値段が高いわ。どうしてなの?」

 

「あぁーうん、まぁ、、大人の事情ってやつかな?」

 

 

なんとも答えずらい質問をのらりくらりとかわし僕は僕で買ったたこ焼きを食べる事に。確かにたこ焼きが六個で値段が1000ゼニー近いのは高い気がしてきた。

 

 

「マスターのも美味しそうね、一つもらっても良いかしら」

 

「…うん、良いよ」

 

 

この返事の間に僕はたこ焼き一つあたりの値段を計算していた。軽く計算した結果一つあたり約166ゼニーという計算が出たのだけど可愛らしく口を開くユグの顔でプライスレスとなった。

 

 

「熱いからね」

 

 

そう言って僕はユグの口にたこ焼きを一つあーんした。

 

 

「あつっ、、けれど美味しいわ」

 

 

熱々のたこ焼きをハフハフしながら食べると笑顔を向けてくれた。

 

 

お昼ご飯を食べ終わりそれから僕達は再び屋台が並ぶ会場を歩き回りユグがしてみたいという出店を巡る。

 

 

「ふふ、また一つお土産を取ることができたわ」

 

 

ユグは器用だ。射的や輪投げ、ヨーヨー釣りであろうと難なくこなし欲しいと思った景品を手に入れ笑顔を浮かべる。

 

あっという間にユグの頭にはお面がかかり右手にはヨーヨー、左手には景品が詰め込まれ膨らんだ手提げ袋が。

 

 

「すごいねユグは」

 

「何度もお祭りを見てきたから、、ずっとやってみたくて練習していたのよ」

 

「なるほどね?」

 

 

以前ユグが言っていた現世の管理というものは結構楽なものなのかもしれない。

 

それからもう少しだけ屋台を周り日が暮れ始めた頃に僕達は街を出てサフランへと帰ろうとしていた。

 

 

自転車の前カゴに荷物を詰め込み荷台にユグを乗せて自転車を漕いでゆく。

 

 

「楽しかったわ。ねぇマスター。次のお休みはどこにいきましょう?もっとこの世界の事を見て回りたいわ」

 

「んー次の休みまで5日あるから慌てなくて良いよ」

 

「もう待ちきれないの。そうだ、学院をサボるのはどうかしら」

 

「それはちときびぃ」

 

 

ユグドラシルはこの世界の創造主だ。もっと堅苦しい人かと思っていたけどこうして一緒にすごしていても堅苦しさは無くフランクなキル姫。

 

落ち着いた雰囲気もあるけれどはしゃぐ様子は子供のようで。

 

 

そんな事を考えながら自転車を漕いでゆきサフランまで残り半分の所まで来た。その時少し離れた場所で何かの遠吠えがあがり思わず自転車を停め当たりを見渡す。

 

 

「マスター」

 

 

ユグが視線を向ける方向を見ると数匹のバイコーンの群れが。向かってくる方角からして僕達を狙っているのは間違いない。

 

 

「マスター!私に指示を!」

 

 

ユグの声が聞こえる。それでも僕は迫るバイコーンを見ていた。いや、目を離す事ができなかった。

 

バイコーンは異族と同じく人を襲い食う化け物。そんな人類の脅威が殺意を剥き出しに迫る事に怯えただ見る事しかできなかった。

 

 

『マスター!早く私に指示を!!』

 

 

ユグの叫び声が遠くに聞こえる。指示を、攻撃の指示を。そう頭の片隅では思っているのに声が出ない。頭は働くどころか恐怖に震え何も考える事ができない。

 

 

『マスター!!!』

 

 

ユグの必死の叫びでようやく僕は顔を上げ前を向いた。その時にはもう目前にバイコーンが迫る。もう何もできない、もう間に合わない。口をパクパクさせたまま僕は迫るバイコーンを見ていた。

 

 

どこからだろう?風が鳴る音が聞こえると同時に先頭を走るバイコーンが倒れた。

 

 

それに続き風が鳴る音が響くと共にバイコーンが倒れてゆく。

 

 

「まったく、ユグドラシルを従えたとはいえただの子供のようですね」

 

「仕方の無い事」(すごく怯えてる、、声をかけてあげたほうが良いのかな、、)

 

 

涙で霞む視界が見たのは馬に跨った2人のキル姫。あれは、、スイハとラストかな?それを見て僕はその場にへたり込み2人を見上げていた。

 

 

「怪我は無さそうですね。なら、少しお話をさせていただきます」

 

 

馬の背から飛び降りると僕の前へと立ち腕を組み冷めた眼差しで僕を見下ろす。

 

 

「先程の行動の意味を私が納得するように教えていただけませんか。恐怖に怯え立ちすくみ敵を目の前にしてキル姫に指示も出さず。あの無様な行動の意味を私に教えて下さい」

 

「・・・・・」

 

 

ラストの問いに答える言葉は無い。少なくとも僕は答えられる言葉を持っていない。

 

 

「別に構いませんよ。黙りを決める事を分かったうえでの問いなので。しかしあのような行動は戦場では死を意味します。それを深く心に刻んでおいて下さい」

 

 

それだけ言うとラストはスイハが乗る馬の背へと飛び乗り馬を出せと言う。

 

その指示にあわあわしたスイハが鞭を打つと馬は悲鳴と共に駆けて行った。

 

 

「ごめんね」

 

 

悲しみを隠すように俯いたユグに一言かけて僕は倒れていた自転車を起こしサドルにまたがり荷台に乗るようにと言う。少ししてからユグが荷台に乗りその後家に向かい自転車を漕いでゆく。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

「ねぇティルフィング」

 

「はい、なんでしょうか」

 

「戦うという事は凄く怖い事なのね。今日ね、マスターと共にバイコーンに襲われたのだけど私、凄く怖くて震えてしまったの」

 

「ラグナロクから聞いていますよ。スイハとラストに窮地を救われたと」

 

「そうね、あの2人が私達を救ってくれた。私もあんな風に戦う事ができるのかしら」

 

「戦う事はできると思いますけど、マスターの様子はどうですか?」

 

「家に帰ってからずっとお布団に包まってるわ。きっと凄く怖かったと思うの」

 

「だと思います。今は、そっとしておいてあげて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

その日の晩僕は何度も悪夢を見て目を覚ましては寝て悪夢を見て起きるを繰り返していた。

 

夢の内容は昨日出会った魔獣、バイコーンに襲われる夢。

 

バイコーンの突進を受け倒れたところを蹄で踏みつけられ生きたまま腹を食い破られる夢。

 

そんな夢を繰り返し見て寝不足。それでも学院へ行く時間は来てしまう。

 

 

「…おはようマスター」

 

「おはようユグ」

 

 

それだけ言葉を交わしたあと各自準備を行い学院へと向かう。ユグと共に教室に入った時騒がしかった教室は一瞬静まりまた騒がしくなる。

 

そして棘のある言葉が耳に届いた。

 

 

(力の持ち腐れ、無能、役立たず、ユグドラシルを寄越せ。俺の、私の方がユグドラシルのマスターに相応しい)

 

 

散々な言われようだ。きっと昨日の事は噂となり皆の耳に届いているのだろう。

 

横目でユグを見ると怒りとも悲しみともとれる表情を浮かべていた。

 

 

僕への悪口は一日中聞こえ続けた。そのため授業のことなんて少しも頭に入らず気が付いたら授業は終わり家へと帰って来ていた。

 

 

「疲れたから寝るね。おやすみ」

 

 

それだけユグに言うとチェアに寝転がり深く布団を被った。

 

 

 

そんな生活が5日間続きようやく休みの日が来た。1週間前はあれほど休みを心待ちにしていたユグも僕の様子を見てか何も言わずにベッドに腰掛けている。

 

 

「どこか行って来なよ」

 

「マスターを置いてなんてできないわ」

 

「そう」

 

 

それだけ話して再び僕は部屋の何処かを見上げ続けていた。たった五日間の日々ですっかりと僕の心は壊れてしまったようで何もする気にもなれない。

 

そんな時ある事を思い出しユグに問う。

 

 

「ユグはさ、この世界の創造主なんでしょ」

 

「えぇ、そうよ」

 

「ならさ、なんであんなバケモンまで生み出したのさ」

 

 

僕の問いにユグは目を丸くして僕を見た。

 

 

「ユグがあんなの生み出さなければこんな目に合わなかったのに、、、!ユグがっ、、、!!」

 

 

ユグが。この続きを言ってはいけない。そう心の何処かで思っていたのに。

 

 

「ユグが僕の元に来なければこんな事にはならなかったのに!!」

 

 

僕の口は思った言葉を吐いた。

 

 

「そうよね、ごめんなさい」

 

 

すっかり悲しみに染まった顔で僕に謝った。その後の沈黙に耐えきれず僕は立ち上がり部屋を飛び出し何処かへと走り出した。

 

 

 

 

しばらく走り僕はサフランの外れの草原に来ていた。そこで地面に寝転がりただ空を見上げ後悔をしていた。

 

ユグは何も悪く無いのに酷い言葉を言ってしまった。

 

心はスッキリしないのに空は何処までも晴れ渡り青空を浮かべる。

 

 

何度目か分からないため息を吐いた時若草を踏みしめる音が聞こえこちらへと目線を向けるとキル姫と奏官の姿が。

 

 

「こんなところで何してるの?」

 

 

グリードとその奏官だ。

 

 

「ユグドラシルの姿が見えませんが彼女は何処に」

 

 

今言われたく無い言葉を言われ思わず目を逸らした。

 

 

「まぁまぁ、ちょっと隣座るね」

 

 

そう言うと奏官は僕の横に座り煙草に火を付けた。

 

 

「ちゃんと聞くから話してみなよ。言いたくなかったら無理には聞かないからさ」

 

 

空を見ながら煙草をふかす姿をしばらく見て僕は今までの出来事を2人に話してゆく。

 

 

「そうですか。あなたはこの世界が終焉を迎えた事は知っていますか」

 

「うん、それは知ってるよ」

 

「なら、この世界が終焉を迎えた理由はどうでしょう」

 

 

グリードの言葉に目が点になった。確かに授業で終焉を迎えたとは聞いたがその理由までは聞いた事がなかったから。

 

 

「知らないのも当然の事です。この事はラグナ教会の関係者しか知りませんから」

 

「…その理由って」

 

「その昔人々は異族から身を守る為にキル姫を作り出しました。伝説の武器から抽出したキラーズにユグドラシルから摘出したマナを掛け合わせ。それが私達キル姫」

 

「やがて異族は数を減らし人類は平和を取り戻しました。しかし、世界が平和になると人々はキル姫を争いの道具として利用し始めたのです」

 

「地位、富、名声、領土。何もかもを掴む為にキル姫を利用しキル姫が死ねば新たにキル姫を作る。その結果」

 

「その結果、、、?」

 

「先程話したようにキル姫はキラーズとマナを根元としています。人々はユグドラシルからマナを摘出しすぎたのです。その結果ユグドラシルがマナを失い世界を保つ事ができず世界は終焉を迎えました」

 

「終焉はユグドラシルと対になる者。終焉は世界の破滅を防ぐ為に魔獣を世界に放ち人々を減らそうとしました。今居る魔獣達はその時の生き残りです」

 

「じゃあ、、悪いのは僕達人間じゃんか、、」

 

「はい、人間は本当に愚かです。しかしユグドラシルはそんな人々を一度も見捨てる事なく見守り続けました」

 

 

グリードの話を聞き僕はユグの元へと行こうと立ち上がった。

 

 

「これあげる。ユグドラシルと仲直りしたら行って来なよ」

 

 

手渡されたのは2枚の紙切れ。よく見てみるとラグーナ島行きのチケットだ。

 

 

「気分転換になるはずだよ。学院には僕が適当に言い訳しとくからさ」

 

「ありがとございます」

 

 

ユグの元へと行こうと走り出そうとした時、奏官が立ち上がりグリードの方を向いた。

 

 

「ティル」

 

「はい、敵は数匹ですがどうしましょうか」

 

「一緒に来てって言ったら?」

 

「その命令は拒否します。必ず追い付きますので先に行って下さい」

 

「だよね。じゃあよろしく」

 

 

鞘を剣が通る鋭い音と共にグリードが魔獣へと駆けてゆく。

 

 

「走るよ!」

 

「走るって何処に!?」

 

「決まってるじゃん?」

 

 

奏官に手を引かれ僕達はユグが居るサフランへと向かう。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

「ねぇティルフィング。私、ティルフィングに言われた通り現世に行かなければ良かったわ。マスターになんで来たんだって言われてしまったの。それとね、魔獣の事も」

 

「ユグドラシル、、」

 

「ごめんなさい、私が弱いばっかりに」

 

「いえ、マスターも一時の感情を抑えられなかっただけですよ。きっとすぐ仲直りできますって」

 

「でもね、あの時のマスターの瞳は本当に悲しそうだったの。私が来たばっかりに」

 

「っ!揺らぎが!ユグドラシル!しっかりして下さい!!」

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

僕達がサフランの街へと入るとそこに普段の活気は無くその代わりにあるのは人々の悲鳴と逃げ回る姿。

 

安全であるはずのサフランの街に魔獣が出現し人々を襲っている姿があった。

 

 

「なんでこんなところに魔獣が居るの、、」

 

「揺らぎに引き寄せられてるんだ!早く原因を探さないともっと魔獣が集まってくる!」

 

「揺らぎ、、ユグだ、ユグが揺らいでるんだ、、」

 

「落ち着いて、キラーズとの繋がりを意識すればおおよその居場所は分かるから意識するんだ」

 

「・・・・やってみる」

 

 

言われた通りにバイブスを意識しユグとの繋がりを探す。

 

 

(ユグ、、ユグ・・・)

 

 

「見つけた!あそこ!」

 

 

僕が指差すのは大樹ユグドラシル。そこにユグは居る。

 

しかし僕達は既に多くの魔獣に囲まれ身動きはとれず。

 

 

その時銀髪が踊ると同時に魔獣が血飛沫をあげた。

 

 

「行って!ここは私たちが引き受ける!」

 

「ほら、早く行かないとアイツらと一緒に斬っちゃうかもね」

 

「行くよ!」

 

 

2人が作ってくれた隙間を抜け目指すはユグドラシル。

 

 

 

それにしても魔獣が多すぎる。このサフランの街はラグナ大陸で一番の大きさを誇る街なのだが街中に魔獣がひしめいている。

 

 

「それだけユグドラシルが強く揺らいでいるって事だよ。揺らぎが大きければ大きい程魔獣を呼び寄せるから」

 

「ユグは大丈夫なのかな、、」

 

「それは分からない。だけど今はユグドラシルの心配をしている場合じゃ無いよ」

 

 

建物の角から姿を見せた魔獣スケルトン。手には武器を持ちその表情は穏やかなものではない。

 

 

「退いて!」

 

 

奏官に抱き寄せられると同時に僕達がいた場所を黒い影が通りそれは槍を持ちスケルトンを貫いた。

 

 

「助かったよエンヴィ」

 

「お礼は良いです。早くユグドラシルの元へ」

 

「こっちの道はまだ魔獣の手が回っていません!遠回りになりますがこちらから行って下さい!」

 

「うん、行くよ!」

 

 

ミネルヴァが指を指す道を直走ってゆく。

 

 

 

それからしばらく走りあと少しで街を抜けるところまで来た。ユグドラシルまでもう少し。

 

 

「もしユグの揺らぎが治らなかったらどうしよう、、」

 

「その時は、、ユグドラシルが居た場所に返すしかない。でもそれをするとユグドラシルは二度とこっちに来る事はできないと思う」

 

「そんな、、」

 

「これだけの被害を出したんだ。揺らいだからだとしても心苦しいはずだよ」

 

 

振り返ると街のあちこちから煙が上がり悲鳴や怒声が。普段の日常はもう影も形もない。

 

そして、僕達の前にはオーガスケルトンの姿が。

 

 

「ちょっとヤバいね。君は先に行ってよ」

 

 

奏官の方を見ると煙草を咥え火を付けると腰に携えた鞘から剣を引き抜いていた。

 

 

「でもっ!」

 

「良いから早く!僕がなんとかするから!」

 

 

言葉の後オーガスケルトンへ向かうと繰り出された一閃を躱し胴を打つ。

 

 

「っ!僕の力じゃ無理か、、」

 

 

しかし繰り出した一閃は硬い鎧に弾かれ身を翻すがオーガスケルトンはそれを追う。その横を影が通る。

 

 

「よくぞ立ち向かった!天晴れだ」

 

 

繰り出された一閃は空を切る事無く地面へと落ちる。そこには鋭く輝く一本の刀が。

 

 

「この場は拙者が引き受けよう」

 

「クレスも居るよ〜!ラース!一緒にあいつをやっつけよう!」

 

「助かったよ。行こう!」

 

 

手を引かれその場から立ち去る。打ち合う金属音を聞きながら。

 

 

しばらく進みようやく僕達はユグドラシルが聳える広場へと来ていた。

 

 

「あと少し!あと少しで!!」

 

 

聳え立つユグドラシルの麓に居るのが微かに見える。思わず僕は走り出した。

 

 

「待て!!」

 

 

急に叫ばれ足を止めると空に群れを成すフライデビルの姿。今まさに僕達に襲いかかる寸前。

 

 

「・・・!」

 

 

群れの存在に気が付いた瞬間を合図にフライデビル達はこちらへと襲い掛かる。

 

 

「ヘーーィ!アーユーオーケー?」

 

「お姉ちゃんはいつでも行けるよー!」

 

「イェス!レディーーー」

 

「「ゴーーー!!」」

 

 

その時、空に一匹のワイバーンが舞いその背から凄まじい弾幕が張られフライデビルを撃ち落としてゆく。

 

空を見上げるとこちらに向かい親指を立てるプライドと笑顔を向けるフライシュッツの姿。

 

 

「この隙に早く!」

 

 

奏官に手を引かれ僕はついにユグの前へと来た。

 

そこに居たのは笑う事もなく怒る事もなく目を閉じ静かに佇むユグの姿。しかし空間が歪むような歪なオーラを纏う。

 

 

「ユグ!ユグッ!」

 

 

どれだけ名を呼んでもユグは眉一つ動かす事は無く。それでも名を呼び続ける。

 

 

「っ!」

 

 

ユグからの反応は無いまま。しかしユグの揺らぎに引き寄せられ麓には多くの魔獣が集い始める。

 

 

「ユグドラシルの名を呼び続けて!こっちはなんとかするから!」

 

 

人の身で一振りの剣を持ち多くの魔獣と対峙する姿を見た。

 

 

『そうです!諦めないで下さいっ!』

 

『なを呼べばきっとおまえの正義がとどくはずだ!あきらめるんじゃない!』

 

『立ち向かう勇気を、生が終わる瞬間までその名を叫べ!』

 

 

エルキュール、グラーシーザ。そして追い付いたグリードが叫ぶ。

 

 

『ユグっ!!!目を覚まして!!』

 

 

声が掠れるまで名を叫んだ。声が掠れるまでその名を叫んだ。声が出なくてもその名を叫んだ。

 

ようやく、ようやくユグは目を開け僕を見た。

 

 

「ユグ!僕に力を貸して!」

 

 

目を開けたユグに右手を伸ばす。その手を震えた手が取りやがて震えは収まった。

 

 

 

『今ここに全ての武器を携え困難に立ち向かう、そう私は貴方に誓うわ』

 

「うん、僕もユグに誓うよ。もう僕は逃げない」

 

 

『始まりの風よ!今ここに吹き荒れなさい!』

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後街に現れた魔獣の群れは全て討伐され再び街は元の平穏を取り戻していた。

 

それにはエンシェントキラーズ、ブラックキラーズの活躍があってこそ。それとユグの力。

 

オールキラーズファクター。全ての武器を携える事ができるユグの力は凄まじく多くの魔獣を討伐していた。この力こそユグが最強と呼ばれる所以だそうで。

 

 

「ユグごめんね。僕はユグに言ってはいけない事を言ってしまったよ」

 

「いいえ、私の方こそごめんなさい。マスターの辛さに気が付いていたのに私は何もできなかった」

 

「僕の方こそユグの事何も知らなかった、分かろうとしなかった」

 

「私だって勝手にマスターの元に来てしまって」

 

「あの、そろそろ本題に入ってもよろしいでしょうか」

 

 

僕達の会話を遮り優しい声が聞こえた。ユグとその方を見るとグリードではないティルフィングが。

 

 

「もう揺らぎは治った様ですね。一時はどうなる事かと思いましたけど良かったです」

 

「ティルフィングにも迷惑をかけてしまったわね、それにみんなにも。本当にごめんなさい」

 

「これに懲りたら現世に行こうと言わないで下さい。帰りますよ」

 

「そう、、ね、、」

 

 

ティルフィングの方を見ていたユグがゆっくりと振り返り僕を見た。その目は悲しそうで。

 

 

「マスター、、ここでお別れね。やっぱり私はここに居てはいけないみたい」

 

「……」

 

「そうだ。最後に握手を、してもらえないかしら」

 

 

そう言って僕の方へと歩んで来た。そんなユグにさっき貰ったチケットをチラリと見せた。

 

 

「さっき貰ったんだけど、、ユグと行きたかったよ」

 

 

ひらりと振ったチケットが何かと気が付きさっきまで悲しげだったユグの瞳が輝いたのを見た。

 

 

「それは、、私も行ってみたいわ、常夏の島へ!」

 

 

その瞬間ティルフィングがユグの手を掴もうと駆け出しティルフィングがユグを掴むより早くユグが僕の手を掴んだ。

 

 

「ティルフィング。ラグーナ島から帰ったらそっちに帰る事にするわ。それまでお願いね」

 

 

この言葉が聞こえた後何かに引っ張られるような感覚を覚えた。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「本当にもぉ、、、」

 

「まぁたまにはそんな日もあるさ」

 

「久しぶりですねティルフィング。再会を祝って皆でご飯でもどうですか?」

 

 

うんざりした顔のティルフィングに暖かな言葉がかけらるのだがティルフィングは首を横に振った。

 

 

「その提案は嬉しいのですが現世の管理を行わなければならないのです」

 

 

寂しげに皆に伝え天界へと帰ろうとした時。

 

 

 

「ティルフィング様。現世の管理ならこの専属補佐官、ミーミルにお任せ下さい」

 

「ミーミルの姉であるこの儚げ美少女、ウルズも居りますので御安心を」

 

「いえ、妹のウルズが居なくとも姉である私が居るので大丈夫です」

 

「いいえ、姉はこの私です」

 

「私です」

 

 

頭の痛くなるような連絡が天界より届き少ししてからティルフィングは皆と食事に行く事に。

 

 

「ボクの出番は無しなのか。少し寂しいのだけど」

 

「ほら、グラトニーも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

「本当に帰らなくて大丈夫なの?」

 

「えぇ、大丈夫よ。それよりも今はこの海を楽しみましょう」

 

 

ユグのワープにより僕は常夏の島、ラグーナ島へとやって来ていた。もちろんユグと一緒なのだけど本当に色んな意味でここに遊びに来て良いのか不安だ。

 

もらったチケットでホテルの一室を借りそこで水着に着替え砂浜へと来ているのだが不安や懸念が付きまとう。

 

でもそんな悩みは太陽に焼かれた砂の上を走り海へと飛び込むユグの姿を見ていると自然と無くなってゆく。気がする。

 

 

「マスター」

 

 

飛び込み浮上し笑顔で僕に向かい手を振る姿を見て僕も駆け出し海へと飛び込んでゆく。

 

 

 

「本当に海の水は塩っぱいのね。それにあんなに海が広いだなんて」

 

 

結局日が暮れるまで海で遊び呆け日が落ちた頃ホテルの部屋へと戻って来ていた。

 

海で遊んだ興奮が冷めないユグは笑顔を浮かべながら話をしてそれを聞きながら夕食を頂く。

 

 

「まだあと2日あるから飽きるまで遊べるよ」

 

 

貰ったチケットはニ泊三日。今日が終わってもまだ2日は時間がある。そういえば学院にこの事を連絡していない事に気が付き頭を抱える事になるのだけど。

 

 

「それならティルフィングに学院に伝える様に言っておくわ。ティルフィングは理事長と仲が良いから上手くやってくれるはずよ」

 

「そーだね。もしダメだったらチョコいっぱい買って持ってくよ」

 

 

そんな話でけらけらと笑いながら夕食を食べ終え今はまったりとくつろいでいた。そんな時。

 

 

「そういえばどうしてユグはこっちに来たの?」

 

 

前も聞いた気がするけどもう一度聞いてみる事に。確か人々の生活に触れてみたいって言ってた気がするけど。

 

 

「私は、、そうね、、」

 

 

しかしユグの返事は歯切れの悪いもので、しばらく僕の顔を見ようとしなかった。

 

 

「えっ、そんなに言いたくない事なの?」

 

「そんな事は無いのだけど、、そうだ。今夜は一緒に寝ましょう」

 

 

なんだかよく分からない方向へ質問を誤魔化すとユグは立ち上がりベッドの上へと行き布団を被り隙間から僕を覗く。

 

 

それを見た後部屋の電気を消しユグの横に寝転がった。

 

 

「それでなんだったの?」

 

 

暗闇に目が慣れた目でユグを見ながら聞くと諦めたように話してくれた。

 

 

「その、、私は今までずっと現世を見守っていました」

 

「うんうん?」

 

「それで、その、、私もしてみたくなったのよ」

 

「何をしてみたくなったの?」

 

 

歯切れの悪い言葉だけど話そうとしていたのでユグからの返事を待つ事に。

 

 

「その。、性行為をしてみたくなったのよ、、」

 

「え?ごめん、もう一回言って」

 

 

しばらくして言われた返事はよく聞こえなくて聞き返すとユグはしっかりと僕の顔を見つめた。

 

 

「エッチがしてみたくなったの!」

 

 

なんだろう、この世界の創造主は思っていたよりポンコツなのかもしれない。

 

 

「・・・・?」

 

「そんな顔しないで」

 

「いや、無理でしょ」

 

 

冷ややかにつっこむとユグは顔を真っ赤にして僕を見つめた。

 

 

「とりあえず話をまとめるね」

 

「えぇ」

 

「ユグはエッチがしたくてこの世界に来たと」

 

「えぇそうよ」

 

「バカなの?」

 

「私は本気よ、ずっと人々の営みを見て憧れたのだから」

 

 

ユグが来た時言っていた料理番組の話をアダルトビデオにたとえ直すと理解できないこともない。でも僕はユグの口を指でつまんでいた。

 

 

「ひゃにするのますしゃー」略(何するのマスター)

 

「当然だよね?」

 

 

それからしばらくユグの顔を睨めっこの様にして遊んだ。

 

 

「それで、マスターは私を抱いてくれるの?」

 

 

キラキラとした眼差しで問われちょっと考える事に。

 

 

ユグは世間から見れば美人と呼ばれると思う。それにスタイルも良くて抱きたくないという男は居ないだろう。

 

 

「うーん、、やめとくね」

 

 

しかし僕は断る事に。

 

 

「それは、、どうしてなの、、?」

 

「世界の創造主とするのって気が重いし。それに変な団体とか出て来そう」

 

 

そう言うとユグの体が揺らぎのオーラを纏い始めた。

 

 

「揺らいでる!揺らいでるから!!」

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

「はい」

 

「はい」

 

 

 

一悶着の後落ち着きを取り戻したユグとベッドに座っていた。

 

 

 

「その、創造主としては気が重いけどパートナーとしてなら、、」

 

「良かった。マスターならそう言ってくれると信じていたわ」

 

「ちなみにだけどユグは初めてなの?」

 

「えぇそうよ。だって私は現世に降りた事は一度も無いから。マスターはどう?」

 

「僕は経験あるよ?」

 

 

 

「・・・・え?」

 

 

 

目を点にして僕の方を見た。この目線は僕に失礼ではないのだろうか。

 

 

 

「少し、残念ね」

 

「っていうけどこの世界を見る事ができるなら知ってたんじゃないの?」

 

「そこまで個人に目を向ける事はできないの。この世界には沢山の人々が居るから」

 

「なるほど?」

 

 

よく分からないがそう言うのならそうなのだろうと結論を出しちょっとスッキリと。

 

 

「それで、マスターは私を抱いてくれるの?」

 

「うん、いいよ」

 

 

そう答えるとユグは嬉しそうな顔をしてベッドに横になり布団を肩まで被りその横に僕も寝転がった。

 

 

しんっと静まる部屋にはユグの吐息が微かに聞こえ緊張しているのが伝わる。

 

そんなユグの頭に手を伸ばしゆっくりと髪を撫でてゆく。

 

 

「緊張しなくていいよ」

 

「緊張はしていないわ。今はとても胸が高鳴っているの」

 

 

髪を撫でる手を頬に当たるとユグの高い体温がじんわりと伝わる。

 

ユグの顔に掛かる髪を流し身体を起こすとユグの顔の近くへ顔を持ってゆく。

 

 

「目を閉じて」

 

 

そう告げるとゆっくりと瞼を閉じる。でも不安からか薄らと目を開けようとする。

 

そんなユグの唇に唇を重ねた。

 

 

「ふぅ、、、」

 

 

唇を離すと共にユグの口からは安堵のため息が溢れようやく目を開けて僕を見つめてくれた。

 

 

「キスをするのって凄く素敵ね。ただ唇が触れ合っただけなのにこんなにも気分が高揚してるの」

 

「もっとする?」

 

「したいわ、お願い」

 

 

再び目を閉じる。そしてつんっと唇を尖らせキスをねだる。そんなユグが可愛くてまたキスを。

 

 

「ふふ、熱くなってきちゃった」

 

 

二回目のキスをした後ユグは掛けていた布団を跳ね除けた。それと同時に布団の中に閉じ込められていたユグの匂いがふわりとかおる。

 

目を向ければちゃんと着ていたパジャマはやや乱れなんとも情欲を誘う姿。

 

 

「ボタン外すね」

 

 

ゆっくりと頷いたのを見てから首元からボタンを一つずつ外してゆき全てのボタンが外された。

 

その姿を見るとはだけたパジャマとぼさぼさと肩から流れる髪の毛が胸を隠す姿。

 

髪を背へと流しパジャマをよけると重力に逆らい形を保つ乳房が暗闇に浮かび上がった。

 

 

「すごく素敵だよ」

 

「恥ずかしいわ、、あまり見ないで」

 

 

見た感想を告げると恥ずかしそうに顔を晒すが胸は隠そうとせず僕の視線を受け続ける。

 

少し胸を眺めたあと手を伸ばし胸へと触れた。触れた瞬間ユグはピクリと体を跳ねさせ視界を塞ぐように目を閉じた。

 

この行動は僕に身を任せたと受け取り好き放題させてもらう事に。

 

 

アンダーバストから手を這わせるようにもみほぐす。その度に柔らかな乳房に指が沈み形を変えてゆく。

 

片手で揉むのがもどかしくて僕はユグの腰の上にまたがり両手で乳房を揉む。

 

 

ふとユグの顔を見ると何度も目を開けようと瞼を動かしているけど行われている光景を見るのが恥ずかしいようで結局目は閉じられたまま。

 

それでも微かにユグの口からはため息の様な声が漏れ続けている。

 

 

「あっ」

 

「ど、どうかしたのマスター?」

 

「爪切ってないから今日はここまでで」

 

 

ようやく目を開けたユグに少し爪が伸びた指を見せた。このまま続けると傷を付けてしまいそうだと伝えるとしょんぼりした表情を。

 

 

「ごめんね、こんな事になるだなんて思ってなかったから切ってなかったんだよ」

 

「分かったわ。マスターは私の身を案じてくれるのね」

 

「痛かったら嫌だし、、ごめんね」

 

「でもマスターのはこんなにも硬くなってるわ、男の人はおちんちんがこうなると辛いのでしょ?」

 

 

跨ったからお腹に当たっているモノの事を言われちょっと困った。確かにこのまま寝るのは辛い。

 

 

「ねぇ、マスターは私の胸を触ったのだから私にも触らせて?」

 

 

ユグにそう言われてズボンを下ろそうとした時には既にユグは足元に居て脱ぐのを今か今かと待ち受けている。そんなに期待されると非常に脱ぎずらい。

 

それでもズボンと下着を脱ぎ寝転がった。

 

 

「ふふ、とても逞しいのね。こんなに上を向いてそれに、、凄く硬いわ」

 

 

恐る恐るといった感じに肉棒へ手を伸ばし優しく掴み笑顔を見せてくれた。

 

 

「ユグが思うように触ってみなよ」

 

「本当?じゃあ少しだけ、、」

 

 

股の間にちょこんと座り真剣な顔をしながら肉棒を触る姿を見ていた。

 

ゆっくりと掴んだ手を上下させたり鈴口を触ってみたりと。もどかしい感覚。

 

 

「舐めてみても良いかしら、、?見ていた人見たいに上手くできないと思うけど、、」

 

「良いよ?」

 

 

本当にユグは現世の何を見ていたのだろう。そんな疑問は鈴口に触れた唇により掠れ暖かい口内に咥え込まれ消え去った。

 

思わずユグの顔を見ると目をしっかりと閉じて口内にある肉棒を確かめるようで。たまに顔にかかる髪の毛を払いのけながらも口を離す気配は無い。

 

肝心なユグのテクニックだけど言うのであれば口に含んだまま舌で舐めてくれる。

 

まるで棒アイスを夢中に舐める様に、溶けたアイスが溢れないように舌で舐めている。

 

そんな心地良くて物足りない刺激はただ欲求を刺激する。

 

 

「・・・熱いわ、、冷房は付けてあるのに・・」

 

 

ようやくユグが口を離し僕を見つめて告げる。告げながらユグは口元に着いたよだれを舐め取った。

 

 

「熱いというよりも、、ここがすごく疼くの・・」

 

 

ユグが下腹部を撫でる。それが何を意味するのかを理解した瞬間、理性が沸騰する。

 

更に沸騰した理性で見ているユグはパジャマのズボンと下着を下ろしてゆく。

 

 

「私、、してみたいの。この逞しいおちんちんを膣に受け入れてみたいの。だめ?」

 

 

この状態で、ぐつぐつと煮える精神でこの誘いを断れる奴は居ないだろう。

 

気が付けばユグをベッドに寝かせ覆い被さっていた。

 

 

 

「挿れるよ」

 

「・・・はいっ」

 

 

そそり立つ肉棒を右手で支え膣口を探すように擦り付けてゆくとぬらぬらとした感触。そして鈴口はユグの膣口を探し当てにゅるりと這入りこむ。

 

 

「痛い?」

 

「少し、、でもお願い」

 

「ゆっくり挿れるからね」

 

 

鈴口が膣内へと入り込みきゅうっと締まる膣壁を押しのけ幹が少し埋まった時鈴口が何かに当たった。

 

これはきっとユグの初めての証。

 

消えそうな理性でユグを見上げるとゆっくりと頷くのが見えた。

 

腰に力を入れ肉棒を押し付けるとやや弾力を感じ、その弾力はやがて消え去り肉棒は勢い良く根本までユグの膣内へと収まった。

 

 

「全部這入ったよ」

 

 

根本まで這入った事を伝えるとユグはようやく目を開けて僕をみてくれた。

 

 

「マスターのが中にあるのが分かるわ、、凄く不思議な感じ、、」

 

「少しゆっくりしよっか」

 

 

繋がったままユグに体を預け何度も頭を撫でてあげる。そうしているうちに強張った足の力が抜けてゆく。

 

 

「落ち着いた?」

 

「いいえ、凄く、凄く変な気分なの。まだほんの少しだけ痛むけれど動いて欲しいの」

 

 

思いもよらない言葉にがしがしと頭を撫でたあとゆっくりと肉棒を引き抜き押し込んでゆく。

 

初めて肉棒を受け入れた膣はきつきつと締まり異物を追い出そうとする。でもそれはたっぷりと愛液に濡れている為ただ快感を与えるだけにしかならない。

 

しかし受け入れているユグはやっぱり痛むようで時折歯を食いしばる。

 

 

「無理しなくても良いよ?痛いでしょ」

 

「違うの、堪えてないと声が、声が漏れてしまいそうなの」

 

 

また思いもよらない言葉を言われ興奮が込み上げる。それでも少し意地悪をする事に。

 

 

「なら声を我慢できなくしてあげる」

 

 

股間へ右手を伸ばし結合部から溢れる愛液を指ですくうとそのままぷっくりと膨らんだクリトリスへと運び優しく触れるとユグは体をピクンと跳ねさせた。

 

 

「優しく触ってあげる」

 

 

根本まで繋がったままクリトリスを優しく円を描くように弄るとついにユグが声をあげた。

 

 

「すごい、すごく気持ちいいわ、、」

 

 

ユグの顔を見ると目はとろんとさがり口はだらしなく開き快感に溺れている。

 

そんなイヤらしい顔を見せられ我慢の限界を超える。

 

 

「ユグ、もう出すから」

 

 

クリトリスを弄る手を離しただ射精をする為にピストンを行う。ユグの返事は無いが深く頷くのを見た。

 

 

 

「出るっ、、!」

 

 

最後にユグの奥まで肉棒を突き刺し子宮目掛け精を放つ。吐精の度に痙攣する肉棒はユグの膣壁に包み込まれ最後の一滴まで奥へと精を搾り取る。

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

長い行為の余韻に浸りながらユグの頭を撫でていた。その頃には僕達がかいた汗は引き冷房に冷やされ少し寒い。だけどその分体温を感じられて。

 

 

「エッチってこんなにも幸福になれるのね。今、すごく熱いの、それは身体だけじゃなく心まで」

 

「喜んでくれて何よりだよ」

 

 

わしゃわしゃとユグの頭を撫でていると射精を終え硬さを無くした肉棒が膣からぬるりと抜け落ちた。

 

 

 

そこで僕は気が付いた。ゴムも何も付けず中に出してしまった事に。

 

その事に気が付いた瞬間色々な最悪の妄想が脳内を駆け巡る。もしユグが妊娠したら、この世界の創造主を孕ませるだなんて前代未聞だろうし間違いなく変な団体が怒り狂うだろう。

 

一時の性欲に負けヤバい事をしてしまった。ふと膣口を見ると血と混ざった精液が溢れてゆくのが見えた。

 

熱さの汗は止んだのだが代わりに嫌な汗が垂れるのを感じる。

 

 

「どうしたのマスター?」

 

「うん、ちょっと今後の事を考えてたんだ」

 

「もしかして中に出した事かしら?」

 

 

図星を突かれ返事に溜まっている僕を見てユグは笑う。

 

 

「大丈夫よ。私はキル姫の姿を模しているだけ。それに本当なら私は姿を持たないから、、」

 

 

語るユグは少し悲しそうで。

 

 

「それでもこうして交わる事の楽しさ、嬉しさ、そして気持ち良さを知る事ができて私はとても満足しているわ。ありがとうマスター」

 

 

それでも笑顔を作り僕に微笑んでくれた。

 

 

「私はマスターと過ごす常夏の日々が終われば天界へと戻るから、、それまでに沢山の思い出を作りましょう」

 

「うん、そう、だね」

 

 

優しくユグの頭を撫でた後、事後の片付けをしてユグの隣へと寝転がる。

 

 

 

「寝よっか」

 

「はい、おやすみなさいマスター。やっと隣で眠れるのね」

 

「そうだね、おやすみユグ」

 

 

この日はユグと抱き合い眠る事に。

 

 

 

 

 

次の日、気が済むまだ寝て起きて時計を見ると時刻は午前10時ちょっと。昨日一緒に寝ていたユグの姿は無く部屋を見渡すと窓際に置かれている椅子に座り窓からの景色を眺めていて。

 

 

「おはようマスター」

 

 

起きた僕に気がつくとニッコリと笑顔を見せてくれた。僕もベッドから降りてユグの元へと行き共に窓から景色を眺める。

 

窓から広がる景色はヤシの木が見えその奥に砂浜、さらに奥には永遠と続く大海原が。

 

 

「今日は何をしましょう?」

 

「んーちょっと買い物したいかな?ユグは海で遊びたい?」

 

「遊びたいのだけど、、海に入ると髪が痛むの」

 

「分かったよ。じゃあ準備して買い物行こっか」

 

 

 

それから僕達は準備をしてラグーナ島のメインストリートへと向かい買い物をする事に。

 

 

メインストリートとか言うと聞こえは良いのだがここもサフランと同じく商店街だ。

 

置かれている品々は土産物が多く思わず目を引いてしまう物も。当然ユグは目を輝かせていた。

 

 

「あの子達にもお土産を買って帰らないとね」

 

「あの子達?」

 

「えぇ、天界で一緒に現世を管理してくれている子が居るの。ミーミルとウルズ、そしてティルフィング。みんな頼りになるのよ」

 

「なるほど?」

 

 

ユグが管理をサボれている理由が分かった。

 

 

「ねぇマスター。このお土産をサフランでも見た事があるのだけど、ラベルを張り替えるだけでなんだか別物みたいに見えるわね」

 

「お、おう」

 

 

それからも散策を続けているとあっという間に陽が落ちてしまい僕達は砂浜で海に沈む夕焼けを見ていた。

 

 

「陽が沈みゆく黄昏の輝き、素敵ね」

 

 

夕焼けは波打つ水面に乱反射しながら徐々に沈みゆく。ラグナ大陸では見る事ができない圧巻の光景。

 

 

「ここもユグが管理してるんじゃないの?」

 

「そうだけどこうして潮風に吹かれ小波の音を聞いて黄昏に黄昏る事はできないわ」

 

「確かにね」

 

 

僕達が見ている間に夕焼けは水平線に沈み太陽と入れ替わり月が、星々が輝き空を彩る。

 

 

「部屋に戻ろっか」

 

「そうですね」

 

 

伸ばした左手をユグが掴み共に歩きながらホテルへと帰ってゆく。

 

それから夕ご飯に舌鼓を打ちお風呂に入り就寝前のまったりとした時間へ。

 

そして僕は今日購入した爪切りで爪を整えていた。パチンパチンと爪を切り爪切りの裏にあるヤスリで丁寧に整えて。

 

僕が爪を切っている間ユグは窓からの景色を眺めながらワインを開けている。

 

 

「飲むのは良いけど酔っ払ってウザ絡みは勘弁だよ」

 

「大丈夫よ。それにしてもワインって美味しいのね。以前フリズスキャールヴに聞いた時は半信半疑だったけど」

 

 

ガウンを着てワイングラスを持つ姿が窓ガラスに反射して写り。そんな姿が絵になる。

 

 

「そういえばお土産も沢山買ってたけどユグってお金どうしてるの?」

 

「現世の管理料金がラグナ教会から貰えるの」

 

「さいですか、、、」

 

 

なんだか凄く聞きたくない事を聞いてしまった気分だ。そんななんともいえない気分の僕など知らずユグはワインを一本開けてしまっていた。

 

 

「なんだかとても良い気分ね。日々のしがらみから逃れたような、そんな気分だわ」

 

 

いつもよりニコニコしながらユグは立ち上がりベッドに座ると僕に来いと呼ぶ。

 

呼ばれた僕は素直にベッドへと行きユグの隣へ。

 

 

「ふふ、今夜も抱いてもらえるかしら?」

 

「断ったらどうする?」

 

「そうね、、少し恥ずかしいけどマスターの事襲ってしまうかもしれないわ」

 

「恥ずかしいの使い方間違えてるよ?」

 

「そうかしら?」

 

 

ベッドに座るユグが僕を見つめている。ワインを飲んだせいなのか顔は紅潮し目は潤み色っぽい。

 

そんなユグに見つめられ鼓動が早まるのを感じた。

 

気が付けばユグは目を閉じ尖らせた唇を僕へと向けていて、そんな誘惑に勝てる訳も無く唇に唇を重ねた。

 

 

「んんっ」

 

 

キスをしながらユグの背に手を回しゆっくりとベッドへと寝かせると驚く声が。

 

それを聞きながら唇を開き舌を出しユグの唇をなぞってゆくとゆっくりとユグの唇が開いた。その隙を逃すはずはなく僕の舌はユグの歯茎を撫でる。

 

舌先に歯を感じながら舐めてゆくと口が開き舌先は更に奥へと。

 

 

口内に入り込んだ舌はユグの舌に触れ、つつき、絡み付けるように。するとユグも舌を絡めてくれた。

 

唾液と唾液が混ざり合い空いた口からは舌が絡み合う度に水音が聞こえるほどに。薄らと目を開けるとユグは目を閉じて舌の動きに集中している様。

 

舌を絡めながら左手で頭を撫でると一度ピクンと体を跳ねさせた。

 

しばらくして口を離しユグを見下ろすとそこにはとろんと目を下げこの先を期待するユグのどこか淫らな姿があった。

 

 

「エッチな顔してるよ」

 

「そうかもしれないわ。もう身体が凄く火照ってるの」

 

 

ガウンを縛る紐を解き左右に開くと赤みを浴びた柔肌とそれを引き締める黒の下着。

 

悩ましい光景にくらっとしながら右手を下着の上に伸ばした。

 

 

「すごく熱い」

 

 

キスをしただけなのに下着から高い体温を感じる。それに僅かに指先に湿り気を感じる。

 

下着の隙間に指を入れユグの蜜壺へと触れた。

 

 

「ユグのおまんこぐちょぐちょなんだけど」

 

 

指先は触れた瞬間に愛液に濡れた。

 

 

「邪魔だから脱がすね」

 

 

ユグの許可など取らず下着を両脚から抜き去る。

 

 

「恥ずかしいわ、、マスターも脱いで」

 

 

僕も同じようにガウンの前を開き下着を脱ぎユグの隣へ。

 

 

「昨日は触らなかったから、、今日は触らせてもらうね」

 

 

再び指先を蜜壺へと伸ばし膣口を何度も撫でてあげる。それだけでユグの口からは堪えきれなかった声が漏れる。

 

 

「私も、、、」

 

 

与えられる快感に負けじと手を伸ばし伸ばされた手は僕の肉棒を掴み優しく上下に扱く。

 

 

「あぁ、、このおちんちんが昨日私の中に入っていたのね」

 

「そうだよ?」

 

「こんなにも硬い、、それに・・・」

 

「それに?」

 

「もう待ちきれないの」

 

 

膣口を撫でていた手が離れた。それはユグが身体を起こしたから。

 

ユグは身体を起こし僕の上へと跨っていた。

 

 

「今夜は私がマスターを気持ち良くしてあげるわ」

 

 

肉棒を手で掴み膣口へ誘うとゆっくりと腰を下ろし膣内へと挿入してゆき根本まで咥え込むと僕に向かい笑顔を見せてくれた。

 

 

「う、動くわね」

 

 

僕の腰の上に手を起きゆっくりと腰を動かそうとする姿を見ていた。

 

それは不慣れで何度も膣から抜けてしまうのだけどそんな姿が可愛くて。

 

 

「ふふっ、難しいのね」

 

「代わろうか?」

 

「いいえ、もう少しだけ・・・」

 

 

しばらくしてコツを掴んだのか抜けそうなギリギリまで引き抜き腰を下ろし少し恥ずかしそうな顔を見せた。

 

 

「上に乗るの好きかもしれません、、」

 

「恥ずかしがらずに好きなように動いて」

 

「では遠慮なく、、」

 

 

腰の角度を変えながら中にあるものを確かめるように動きやがて自分の好きな位置を見つけたようで。

 

 

「ここ、ここ好き、、」

 

 

ユグが腰を動かす度にコリコリと何かが鈴口に当たる。その度に吐息と艶声が溢れてくる。

 

 

「くる、、何かがくるっ、、、♡」

 

 

うわ言の様に呟きながらゴリゴリと鈴口を押し付けやがてピンっと体を張りやがて崩れるように僕の元へ。

 

 

「イッちゃったね」

 

「イク?これが快感の絶頂というものなのね、、凄くクセになりそう、、」

 

 

荒く息を吐くユグが落ち着くまで頭を撫でてあげる。しばらくして落ち着いたのか照れながらキスをしてくれて。

 

 

「じゃあこのままもう一度イカせてあげる」

 

 

腰を掴み下から突き上げる様に腰を動かす。もちろんユグが好きな場所を擦るように。

 

 

「あぁ、、凄い、、すごい、、♡」

 

 

突き上げる度に淫声を呟き僕を抱きしめる。肩に回された手が強く肩を握りやがて力が抜け寄りかかる。

 

そんなユグの頭を撫でているとゆっくりと顔をあげた。

 

僕を見る顔は完全に情欲に染まり無自覚に腰を揺らす。

 

 

「まだ物足りないんだ」

 

「だって、、マスターのおちんちんが、、ずっと私の中に、、あるから、、」

 

「じゃあ抜く?」

 

「それは嫌、、もっと快感に溺れさせて、、、」

 

 

こんな誘いを断れる訳もなく少ししてから体位を変える事に。

 

 

次の体位は対面座位。この体位を選んだ理由は、、、。

 

 

「っ〜〜〜♡」

 

 

この対面座位は肉棒が奥まで届くのだ。なので腰を揺らすだけで子宮をコリコリと擦る事ができる。

 

 

「気持ち良い?」

 

「だめっ、、おかしくなるっ、、、♡」

 

「おかしくなっちゃえば?」

 

 

腰を揺り子宮をつつきながら股座に伸ばした指でクリトリスを擦るとユグは何度も痙攣しながら快感を叫んだ。

 

 

「僕もそろそろ、、、」

 

 

イク度にキツキツと締め上げる膣に射精欲が高まり揺する速度を上げてゆく。

 

 

「出してっ!このまま出してっ!!」

 

 

ほぼ半狂乱のユグにキスをして堪えていた物を吐き出す。

 

 

「出すよ」

 

 

返事は無かった。けれど返事の代わりにユグは腰を腰に押し付け肉棒が射精を行う度に精液を搾り取る様に膣壁が蠢いて。

 

この精液を搾り取られる感覚はクセになってしまいそう。

 

 

「凄く乱れてたよ」

 

「恥ずかしいわ、、」

 

 

ユグの頭を一撫でした後ゆっくりとベッドへと寝かし肉棒を引き抜くと膣口は肉棒の大きさにぽっかりと空いたまま、しばらくするとどろりと精液が垂れ流れてきた。

 

お尻の下にティッシュを引きその様子を眺める事に。

 

ユグが呼吸をする度に膣口から精液が溢れお尻をつたい落ちてゆきやがて透明な愛液が一筋、溢れた。

 

 

「はぁ、、」

 

「どうしたの?」

 

「せっかく中に出してくれたのに垂れてしまったのね」

 

「ならまた出してあげよっか?」

 

 

膣口から精液が溢れるという卑猥な光景を見て萎えていた肉棒は再びそそり立っていた。

 

 

「元気なのね、それに、、、とてもエッチ、、」

 

 

膣に夢中でまだ拭いていない肉棒はユグの愛液と精液にまみれライトに照らされてかてかと光る。そんな肉棒を見てユグはため息を溢した。

 

 

「そうだ、挿れる前にお掃除してあげるわ」

 

「お掃除?」

 

 

そんな疑問を持つ間もなく髪をかき上げながら口を肉棒へと近づけてゆきぱくりと咥えた。

 

 

前も言ったけどユグは器用だ。昨晩は棒アイスを舐めるようなフェラだったのに今日は。

 

 

「じゅるるるるっ、、、ぢゅるじゅるるるっ、、、」

 

 

肉棒を口で吸い上げながら幹に舌を絡め恥ずかしがる様子もなく僕に上目を投げて。

 

 

「ふふっ、お口の中でぴくぴくしてるわ。喜んでくれているのね」

 

 

口を離し唾液にまみれた肉棒を扱きながら僕を見上げる。そんな姿に興奮は高まってゆく。

 

 

「ねぇマスター。私お口でも飲んでみたいの」

 

「なにを、、?」

 

「マスターの精液よ。どんな味なのか興味があるの」

 

 

そう言ってユグはフェラを再開した。

 

 

「ぢゅぷ♡じゅぶ♡ぢゅぷじゅぷ〜♡れられられられるら♡」

 

 

昨日とは全く違うテクニックに思わず腰が跳ねてしまう。それに気が付きユグの籠り笑いが聞こえた。

 

 

口を動かしながら吸い上げて舌先は裏筋をつつき幹に絡み。蕩けてしまうような快感にすぐに限界へと追い込まれてゆく。

 

 

「出ちゃうっ、、、」

 

 

肉棒が震え精液が尿道を駆けユグの口内へと精を吐き出す。肉棒の脈動に合わせ吸われ頭の中が真っ白になってしまう様な快感に酔う。

 

 

「っ」

 

 

射精を終え敏感な肉棒が唇に扱かれ口から離された。その先には口内にたっぷりと精液を溜め込んだユグの顔。

 

少し考える様な顔をしながら精液を味わいやがてゴクリと飲み込んだ。

 

 

「美味しい、とは言えないけれどなんだかクセになってしまいそうね」

 

 

唇に垂れた唾液と精液が混ざった液を舐め淫蕩に微笑んだ。

 

そんな表情にまた肉棒はむくむくと立ち上がる。

 

 

「すごいわ、、次はこっちにお願いするね」

 

 

立ち唆る肉棒を見てユグはベッドへと寝転がり肉棒を受け入れる為に脚を開き膣口を露わにする。ライトに晒される膣口は新たに湧いた愛液でてろてろと輝きまるで雄を誘い込むかのよう。

 

淫らな淫穴に誘われ僕はユグへと覆い被さり肉棒を擦り付ける。

 

 

「あんっ♡クリに擦れてる♡」

 

「挿れる前にもっと擦ってあげる」

 

 

ユグの脚を持ち腰を上げ突き出されたクリトリスへ肉棒を擦り付けてゆく。裏筋が、血管がクリを擦り膣口を擦る度ユグの顔は切なく歪み唾液に塗れていた肉棒は愛液で濡れてかりと輝く。

 

 

やがて大きく腰を引き濡れそぼる膣に肉棒が這入り込ませた。

 

 

「んんっ♡硬いっ、、♡」

 

 

入り込んだ肉棒は膣壁を押しのけ膣を進みこつんと子宮へと届く。肉棒に貫かれユグは歓喜の声をあげる。

 

それと同時にきゅうきゅうと膣は肉棒を締め上げ射精へと誘う。

 

 

「ほんとにエッチになったね」

 

「そんな事ないわ、、」

 

「じゃあやめる?」

 

「いやよ、、やめないで・・」

 

 

肉棒を引き抜き鈴口が膣から抜けそうになるとユグは腰をよじり肉棒を咥え込む。

 

この世界の創造主のあまりに淫らな姿にふつふつと支配欲が込み上げる。

 

 

「じゃあどうして欲しいの?」

 

「もっと突いて♡おちんちんで気持ち良くして♡」

 

 

ピストンを待ちきれず腰を揺するユグの姿に我慢のたがが外れた。

 

 

「もう我慢しないから」

 

 

ユグの脚を肩にかけ腰を掴み引き寄せ最奥まで肉棒で突き上げる。

 

 

「それ、、すごいっ、、♡」

 

 

顔を振り髪を振り乱し淫声を叫ぶ。もっと乱れさせようとピストンを早めてゆく。

 

 

「イクイクイクっ、、!いっくっ!!」

 

 

こりこりと子宮を突く度に膣肉が締まり射精欲を高める。

 

 

 

「ユグっ、、、!」

 

「出してっ♡マスターの精液ちょうだいっ♡」

 

 

最後に子宮を一突きしそのままユグの子宮に向かい残りの欲望をぶちまけた。

 

 

「あぁ、、すごい、、出てる、、、」

 

 

最後の一滴まで絞り出し脚を下ろし息絶え絶えのユグの頭を撫でていた。

 

 

「良かった、とても良かったわマスター。ありがとう」

 

「僕の方こそありがとね」

 

「そうだ、マスターかよければこのまま繋がったままでいて欲しいのだけど」

 

「うん、良いよ。でも重くない?」

 

「いいえ、この重さはきっと私が求めていたものだから」

 

 

ユグの言葉の今は分からなかったけどキスを一つして余韻に浸っているうちに二人して眠りへと落ちてゆく。

 

 

 

 

 

何事も始まりが有れば終わりがある。

 

楽しかった常夏の日々はあっという間に最終日となり僕達が目を覚ました時にはホテルのチェックアウトギリギリの時間で。

 

 

「ユグ!時間がヤバい!!」

 

「あぁ、急いで準備をしないと、、」

 

 

昨晩にかいた汗をシャワーで流し服を着替え騒がしくホテルから出てゆきユグのワープにより学生寮へと戻って来ていた。

 

寮に戻ってからもまた荷物の片付けに追われるのだけど。

 

 

「そろそろお別れの時間ね、、名残惜しいけれど、、」

 

「・・・また会えるよね?」

 

「えぇ、私とマスターはしっかりとバイブスとキラーズで繋がっているから、この繋がりは切れる事はないわ」

 

「なら良かった」

 

「マスターが学院を卒業して洗礼を受けた時、今度は二人で旅をしましょう。この世界にはまだまだ私が見てみたい物がたくさんあるの」

 

「うん、約束だよ」

 

「それと」

 

「?」

 

「あの時私の名前を呼んでくれた事、凄く嬉しかったの。マスターの声に導かれ私は戦う覚悟ができたのよ」

 

 

そう言って僕にキスをしてくれた。

 

 

「見守っているわ、どんな時でも私はマスターの事を」

 

 

優しく微笑む顔を見た後、そこにユグの姿は無く部屋には僕一人に。だけど、自然と寂しさは感じなかった。

 

 

 

 

次の日、学院へと行くと今まで聞こえていた悪口は聞こえなくなっていた。その理由は僕がユグと街を救うために魔獣と戦ったかららしい。

 

 

「はい、お土産」

 

「おっ、気が効くじゃない。しかもこれ結構良いチョコレートね♪」

 

「いえいえ、それとテスト免除の話だけどやっぱり免除無しで」

 

「ふぅーん、どういう風の吹き回し?」

 

「ユグのマスターになるんだからちゃんとしないとってね」

 

「じゃああんたがサボった分の授業もちゃんと受けて貰うわよ」

 

「うぇ、、、」

 

 

サボった3日分の補習を受け少し帰りが遅くなったけど19時には家へと帰ってきた。

 

ご飯を食べたら勉強をしようと思いながら部屋へと入ってゆく。

 

 

「お帰りなさいマスター。遅かったのね」

 

「えぇっ!?ユグ!?」

 

「定時で管理が終わったからこっちに来たのよ。ダメだったかしら?」

 

 

少し不安気な顔で見つめるユグの前に立ちおでこにデコピンをした。

 

 

「いたっ、何をするのよ」

 

「当然だよね?」

 

 

おでこを押さえ唇を尖らせるユグを見て僕は笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ここまで目を通していただきありがとうございました!

今回は創造主ことユグドラシルの登場でした。全ての武器、オーバーキラーズを使えるという事でウコンバラサの斧を待たせオティヌス、フラベノムキラーズを付けてクエストやマルチで使用した事がある人は多いのではないのでしょうか。


この話を書いている間にファントムオブキルはサービスを終了してしまいましたが話が思い付く限り書いていきますのでどうかこれからもよろしくお願いします。

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