俺は趣味は絵を描く事だ。被写体はいつも小高い丘から望むラグナ大陸中央に聳え立つユグドラシル。
俺は何年も同じ場所から望むユグドラシルの風景をキャンバスに描き続けている。
俺は描いた絵を誰かに見せる訳でもなく何処かに飾るわけでもなくただ自分を満足させる為に絵を描く。
一度ユグドラシルの絵を描き続けているという趣旨の話を会社の同僚にした事があるのだが返ってきた言葉は。
「同じ絵を描き続けて飽きないの?」
というシンプルな疑問だった。俺はその疑問に「飽きない」とだけ答えそれから絵を描いているという事を誰かに話す事は無くなった。
今日も俺は絵の道具を持ちいつもと同じ場所にキャンバスを広げユグドラシルの絵を描こうとしていた。
「こんにちわ。絵を描こうとしているのかしら」
ふと背後から声をかけられ俺は振り返った。そこには可愛らしい少女が一人。抹茶色のクセがある髪にティアラを付け黒いドレスの様な服を着た少女。
「そうだよ」
「アナタは奏官?見たところキル姫は連れてないようだけど」
「俺は奏官じゃないよ」
「良かった。なら絵を描いているところを見ていてもいいかしら」
「どうぞどうぞ」
それだけの言葉を返し俺は鉛筆で下書きを描き始めた。真っ白なキャンバスに黒線を引き絵の骨格を描き半日の時間をかけてようやく下書きを終え振り返ると少女は静かに背後に立っていた。
「素敵な絵を描くのね」
「まだ下書きだよ。これから色を塗るんだ」
「完成が楽しみだわ」
倒木に腰を下ろした少女を横目に俺は筆を準備し絵の具をパレットへと押し出し下書きに色を付けようとしたのだがその手を止めた。
「やってみる?」
ずっと背に刺さっていたキラキラとした眼差しは俺の言葉で満開の笑顔となった。
「ギャラルに任せて」
そう言ってギャラルと名乗った少女にパレットと筆を渡し他人の色塗りを見学させてもらう事に。しかしギャラルはパレットと下書きを何度も交互に見た後、俺の顔を見た。
「この絵はこの景色を模したものよね?」
「そうだよ。ここが空、ここは湖、ここが街、真ん中がユグドラシル」
「見える風景の通りに色を塗れば良いのね」
「ギャラルが思うように塗って良いんだよ」
「それってどういう意味?」
「自分が思った通りに描けば良いって事だよ。難しく考える必要じゃなくて楽しく描く事が必要なんだ」
少し考えるような顔をして、ギャラルは癖がある笑い声を出し筆に絵の具を付け下書きに色を吹き込み始め、その様子を俺は眺めていた。
この目に映るのは絵を描く少女。筆に含んだ水が絵の具と共に垂れる事も構わずに、指に絵の具が付く事も構わずに真剣に、楽しそうに絵を描く少女の姿。
「ぬひひひっ♪絵を描くのはとても楽しいのね♪」
やがて描き上がった絵はパレットに置かれた絵の具を全て使い鮮やかに描かれた風景画。その横には満足そうに笑う少女。
「ねぇ、もう絵は描かないの?」
「もう今日は時間が遅いから、明日また描きに来る予定だよ」
「先生が嫌でないのなら明日も来て良いかしら?」
「うん、おいでよ」
また笑顔を浮かべた少女にキャンバスから外した絵を渡すと一度頭を下げ帰って行った。
次の日、俺は二人分の絵描き道具を持ちいつもと同じ場所に来ていた。少女の姿はまだ無いが二人分のキャンバスを置いて俺は一足先に自分のキャンバスに下書きを書き込んでゆく。
いつもと同じように半日の時間をかけ下書きを終えパレットに絵の具を置いてゆく。それでもまだ少女の姿は見えない。
あの年代の女の子なら絵を描く事よりも友達と遊んだり家族で出掛けたりと楽しい事が多いはずだ。そうに違いない。
自分を納得させる事を思いながら下書きに色を塗ってゆく。
………………………………………………………………
日が暮れ始める前に色を塗り終わり乾燥を待っている間に道具の片付けをしてゆく。片付けをしながら周りを見渡した自分を笑いそそくさと道具を片付け最後に絵の具が乾いた絵をキャンバスから外し丸めてカバンへと詰め込む。そして最後に一呼吸だけこの場に止まり俺は家に帰ろうとした。
「ごめんなさい!!とても遅くなってしまったわ」
一歩踏み出した時に少女の声が聞こえ息を切らせた少女がやって来た。荒く吐く息にも、身体中を流れる汗も構わずに頭を下げる姿に返事をして荷物の中から一本のお茶が入ったペットボトルを渡すと栓を開け一気に半分ほど飲み干していた。
「落ち着いた?」
「少し、、」
「せっかく来てくれたんだけどもう帰ろうと思ってたんだ。家まで送るよ」
呼吸が整いかけたギャラルにそう言うと目を丸くし泣き出してしまいそうな表情になってゆく。
「どうしたの?」
「ギャラルに帰るお家はないの。先生にお願いがあるのだけど聞いてもらえないかな、、」
彼女のお願いとはしばらく俺の家に泊めて欲しいという事だった。この年代の少女なら家族と喧嘩する事だってあるとは思うのだけど。
「うーん、、ちょっと厳しいかな、、」
「そう、、だよね、、」
「早くお家帰りなよ。送ってくからさ」
今にも泣き出してしまいそうなギャラルを家に帰るように諭すのだが首を縦に降る事はなかった。どうしようか悩んでいるとぽつりぽつりと空から雨が降り始めそれは次第に大粒の雨となり降り注ぐ。
「先生お願い、、」
「………分かったよ。家でちゃんと詳しく訳を教えてね」
雨に濡れたギャラルのお願いを断る事はできず俺はギャラルを家に連れて帰る事にした。
「まずお風呂入りなよ、寒いでしょ」
「うん、、」
「俺のスエットで良かったら使ってよ」
着替えを渡しお風呂場へと案内しドアを閉めリビングへと行き椅子に座り大きく深呼吸をし気持ちを落ち着ける。なし崩しとはいえ可愛らしい少女を家に招き入れた事にテンションは上がっている。が、手を出せば逮捕は間違いないとどこか冷静な自分もいたり。
「お風呂ありがとう。体が温まったわ」
机に頬杖を付きながらそんな事を考えているとお風呂上がりのギャラルが部屋へと。
「入ってくるね」
そう言って代わりに脱衣所へとゆき濡れた服を洗濯機に放り込み浴室で頭からシャワーを浴びさっき見たギャラルの事を思い出す。
クセのある髪は水気でしっとりと垂れ幼い顔を引き立て貸したスエットはオーバーサイズでブカブカで、そして当然なのだが男の家に女性用の下着があるはずもなく胸の膨らみと突起がスエットに浮かんでいた。
そこまで思い出して気が付いた。ギャラルは上下の下着を付けていないという事に。
「・・・・・冷て」
たちまち脳内を埋め尽くしたイケナイ煩悩を消すためにシャワーを冷水に変え頭から浴びる。俺は善意でギャラルを家に連れ帰った、決してそういう行為をする為じゃない。煩悩が浮かんだ自分を戒める為にそのまま冷水で事を済ませた。
「それで、ギャラルはどうして家出をしたの?」
「家出?ギャラルは家出なんてしていないわ」
冷水で取り戻した意識を保ったままパジャマに着替えギャラルに質問をしていた。
しかし返ってきた答えは想像と違うものだった。
「えっと?」
「話が噛み合っていないわね?」
お互いの誤解を解くためにカップラーメンを食べながら話し合う。
「俺はギャラルは学生で親と喧嘩して家出したと思ってたよ」
「ギャラルは学生ではないし元から帰る家はないわ」
「じゃあギャラルは社会人?」
「それも違うわ。私は終焉を告げるキラーズを持つキル姫、ギャラルホルンよ」
「終焉を告げるキラーズ、、、」
その言葉に聞き覚えがあった。遥か昔にこの世界は終焉を迎えようとした時現れた3人のキル姫。その後の事は思い出せないけど確かティルフィングというキル姫のおかげでこの世界は再び紡がれたと。
目の前の可愛らしい少女が世界に終焉をもたらそうとしたキル姫と言われてもいまいちピンっとこない。
「それはそうとしてギャラルがうちに来た理由が見当たらないんだけど」
とりあえず話の核心に触れた。ギャラルが終焉のキラーズという事は置いておくとして、たった一回一緒に絵を描いただけの俺を頼る理由が分からない。
「ギャラルは、、追われているの」
「追われている?誰に?」
「誰かは分からないけど多くの人がギャラルの事を追っているの。奴らに捕まれば身体中を隅々まで調べられ血を抜かれてしまうわ」
「追われているって言ってもギャラルの力があれば追い返せるでしょ?」
「追い返す事は簡単だけど攻撃すれば追跡は過激になるわ。大人しく身を隠すのが懸命なのよ」
「さいですか、、」
よく分からないが俺が面倒ごとに巻き込まれたのは確定していた。しかし終焉の力を持つギャラルを追うのは一体どんな人達なのだろうか。
「簡単にいえばギャラルは隠れる場所を探してたって事ね」
「そうなるわね。だけど先生に出会わなかったらギャラルは今頃雨夜に濡れていたわ」
「…なんで俺だったの?ギャラルはキル姫だけど俺も男だぞ」
遠回しに忠告、もとい警告をしたのだがギャラルは安心したようなため息と共に笑顔を見せた。
「ギャラルだって誰でも、誰の家でも良いって訳ではないわ。その、先生と絵を描く時間がとても楽しいものだったから」
「お、おう」
無垢な笑顔に下心を抱いていた自分が恥ずかしくなる。
「しばらくお世話になるわ。その代わりに先生のお世話は任せて」
「お世話とは?」
「ほら、この部屋をよく見て」
ギャラルに言われた通りに部屋を見渡しても特に変化を見つけることはできず。
「気が付かないの?ギャラルが片付けてあげるわ」
「あーね?」
他人から見ると俺の部屋は散らかっているらしい。しかし、何処をどう見ても絵描き道具や日用品が至る所に置いてあるようにしか見えない。
「それとご飯も作ってあげるわ。こう見えてギャラル料理は得意だから」
「なるほどね」
居候の交換条件を出され俺は頷いていた。リスクはあるがこんなに可愛らしい子が家に居てくれるのならよしだ。
「とりあえず了解。そろそろ寝ようか」
時計を見ると時刻は23時になろうとしている。たまに手に口を当てて小さなあくびをしているギャラルもそうだし俺もなんだか疲れた。
「それで、どうやって寝る?」
リビングと兼用の寝室。そこにはシングルのベッドが一つあるだけだ。
俺たちは一度顔を見合わせちょっと考えた。
「ギャラルは居候だから、床で良いわよ」
「女の子を床で寝かせられないよ」
「ギャラルはレディよ?それに床で寝るのは慣れているから」
そう言ってベッドの下に寝転がったギャラルを見て俺は考えた。
「レディも床で寝かせられないよ」
床に寝転ぶギャラルの頭と腰に手を入れ抱き上げると短い悲鳴と重みを感じそのまま持ち上げベッドへと寝かせた。
「ギャラルは大丈夫だから」
「おやすみ」
抗議の声を出すギャラルを無視し部屋の電気を消し床へと寝転がり目を閉じた。
次の日の朝、目を覚まし体を起こすと背中が痛い。理由を考えると昨晩床で寝た事を思い出しベッドへと横目を向けるとそこには布団を跳ね除け眠るギャラルの姿が。
穏やかな寝顔に笑顔をなりながらも会社へ行く準備を静かに行いいつもの時間には家を出てゆく。
………………………………………………………………
その日俺は定時に仕事を終え家へと帰っていた。普段なら帰って夕飯をどうするかとかを考えながら帰るのだが今日はギャラルの事を考えながら帰っていた。
彼女はどんな料理を作っているのか、片付けはおわったのだろうか?そんな事を考えながら帰路を歩き家へと。
「ただいま」
玄関を開け家へと帰るとまだ玄関には靴が散乱していて通路の横にあるキッチンには料理を行った形跡は無い。次にドアを開けリビング兼寝室に入ると昨日と全く変わってない部屋と穏やかに眠るギャラルの姿が。
「おーい、ギャラルー?」
寝息を立てているので生きているのは分かる。なので俺はギャラルのほっぺたをつんつんと指で触っていた。
ぷにぷにでもっちりふわふわのほっぺたを堪能していると身をよじり薄らと目を開けた。
「おはよ」
「ふぇ?・・・わぁぁぁぁ!!!?」
「おぐっ!」
驚いた反射で出されたビンタが顎をとらえ意識が飛ぶのは耐えたが視界に星が回る。そんなギリギリの視界には叩いた相手が俺だと気づき慌てたギャラルの顔。
「ごめんなさい、ごめんなさい、、ごめんな、、、さい、、、」
目に涙を溜めながら必死に謝りやがて溜まった涙が頬を伝い流れ落ちてゆく。
「ごめんなさい、、ギャラルの事嫌いにならないで、、、」
泣きながら服を掴み必死に悲願する少し異様な姿にやっと視界が落ち着き手を伸ばすと悲鳴を上げ手を防ごうと両手を突き出した。
「大丈夫、大丈夫だからね」
「ほんと、、に、、?」
「うん、本当だよ」
伸ばした手は防がれる事なくギャラルの頭に触れ落ち着くように柔らかく撫でてゆく。しばらくするとギャラルは落ち着きを取り戻し大きなため息を溢した。
「落ち着いた?」
「うん、、あの、、ありがと」
「良いよ良いよ」
流れた涙の跡を吹き鼻にティッシュを持ってゆくとちーーんっと鼻をかんだ。
「お腹空いたよ。今日のご飯は?」
「その事なんだけど、、、」
「大丈夫。察してるから」
部屋は昨日と同じままで家に入っても料理の匂いはせず更にギャラルの服は昨晩着たスエットのまま。
また少し泣きそうになっているギャラルの頭を撫でインスタントラーメンを作る事に。
「ごめんなさい、、起きようとしたのだけど起きれなくて、、」
「逃走生活してたもんね。お湯溜めるからゆっくりお風呂はいりなよ」
「うん、、」
しょんぼりとしてしまっているギャラルの頭を撫でお風呂のお湯をいれに行く事に。
「それでギャラルは俺と会う前は何をしていたの?奏官に着いていたり?」
「ギャラルにマスターは居ないわ。先生と会う前はラグナ教会の待姫ルームにいたの」
「待姫ね?えっと、キラーズが適合する奏官を待つ場所だっけ?」
「そうよ、よく知っているわね」
「多少の事なら知ってるよ、俺も教会へ出入りは仕事上する事があるから」
『教会へ』と言った瞬間ギャラルは目を大きく見開いた。その表情に疑問を持っていたのだがお湯を貯め終わった音が鳴りギャラルをお風呂へと向かわせた。
因みにだが待姫は
そんな事はどうでも良くギャラルが『教会』という単語に反応した事が気にかかる。ラグナ教会はキル姫の保護や管理を行う教会だ。
まさかギャラルを追っている人物とは教会の事なのだろうか?しかし世界が終焉と無縁の現世で教会がギャラルを追う理由が見当たらないしこの世界の管理を行うラグナ教会がたった一個人の家に匿われたギャラルを探し出せないはずがないと結論を出そうとした時、風呂場から俺を呼ぶ声が聞こえ風呂場へと向かう事に。
「どーした?」
「着る服が、、、ないの、、」
「あっ待っててね」
そう言われてクローゼットを見に行くのだが洗濯を行っておらず着る服は一着もなかった。
その事をギャラルに伝えると泣きそうな声が返ってきた。
「俺は今からトイレに行くからその間にベッドに行って布団被ってなよ」
「本当に、本気で言ってるの?」
「本気だ。それが嫌だったら洗濯機から服取り出して着るしかないよ?」
「うぅ、、分かったわ、、」
かなり嫌そうな返事を聞いた後にトイレに行きギャラルの返事を待つ。少しすると許可の声が聞こえ少し笑いながら風呂場へと。
温かいシャワーを浴びながらふと思った。寝室には裸に布団を被ったギャラルがいる事に。
「・・・冷てっ」
なんとも魅力的な煩悩を消すために今日も冷水のシャワーを浴び風呂を済ませ部屋へと。
「先生は服着てるじゃない」
「明日の作業着だよ」
部屋に戻ると布団に身をくるみ顔だけを出しているギャラルが居た。あの布団をめくれば一糸も纏わない裸体がある。思わず生唾を飲んだけどぐっと堪え床へと座った。
「何かいる物ある?明日仕事終わりに買ってくるよ」
「大丈夫よ。それにギャラルは居候だから」
「いつまで居候するか分からないんだしいいよ良いよ。欲しい物言いなよ」
そう言うと難しそうな顔をして欲しいものを教えてくれた。
「メモに書いておくね」
あれが欲しいこれが欲しいと笑顔で教えてくれてやがてメモ帳はギャラルの欲しいもので埋め尽くされていた。
「ごめんなさい、つい楽しくなってしまったわ、、この中から選別するから」
俺の手に握られていたメモ帳とペンをとるとペン先を悩ませながら選別を行ってゆく。そのメモ帳を俺は取り上げていた。
「まだ選抜が終わっていないわ」
「全部買ってくるよ。必要な物なんでしょ?」
「でもギャラルは居候だから、、」
「家の事してくれるって言ってたし報酬だと思ってよ」
ギャラルから取り上げたメモ帳を切り離し財布へとしまいながら所持金を確認し振り返ると嬉しそうなギャラルの笑顔とはらりと落ちてしまっている布団が。
「あっ・・・」
「どうしたのかしら?ってきゃぁぁぁぁっ!?」
事態を飲み込んだギャラルは悲鳴をあげながら布団を被り直しやや涙目になりながら俺を睨んでいた。
しかし俺は布団を被り直すまでしっかりとギャラルの上半身を目撃し心のキャンバスへとその姿を描き込んでいた。
「あ、ありがとうございました!」
「なんでお礼なのよ!?」
急な事態にテンパった俺はギャラルにお礼を言っていた。もちろん綺麗なツッコミが入ったのだけど。
「寝よっか」
「うぅぅ、、、」
何かを言いたげなギャラルを見て微笑み部屋の電気を消す事に。
次の日俺は仕事帰りにギャラルに頼まれた物を買いに来ていた。夕暮れ時で人で賑わう教会の城下町を歩み一つずつ物を買ってゆく。
ギャラルが欲しがった物は日用品が多くギャラル本人が使う物はほとんど無い。もう少し慣れた頃にまた聞こう。そう思いながら買い物を済ませ家へと帰る事に。
「ただいま」
そう言いながら玄関を開けると昨日玄関に散らばっていた靴は片付けられていて部屋には美味しそうな匂いが漂う。揃えられた靴に習い靴を揃え部屋に入ってゆくと廊下にあるキッチンには鍋があり中に料理が入っている。それらを見ながらリビングへと繋がるドアを開けるとベッドに座るギャラルの姿。
「おかえりなさい。どう?ギャラル頑張ったでしょ」
得意気な笑顔を見せるギャラル。確かにリビングも片付いているし洗濯物も綺麗に畳まれ置いてある。
「ありがとね。さすがギャラル」
「ご飯も作ってあるから、お腹空いてるでしょ?食べましょ」
キッチンへと行ったギャラルはお皿に料理を乗せテーブルへと運んでゆく。それを手伝いしばらくして二人してテーブルへと座る。
「いただきます」
両手を合わせおかずを一口。
「ん、美味しい」
「ぬひひひひ♪ギャラルが作ったのよ当然よね♪」
ギャラルの作った料理を食べた感想を口にすると得意気に笑いながら箸を進めあっという間に料理はお腹の中へと収まった。
「ごちそうさまでした」
「お愛想様。片付けもギャラルがするから先生はゆっくりしてて」
手際良く食器を集め流し台へと運び洗い始めた背を俺は笑顔で見つめていた。
「ギャラルは明日は何してるの?」
お風呂を上がり部屋に戻りベッドに座っているギャラルに質問をしていた。
「何をしようかしら?」
俺の質問に困った様に返事を返してくれた。家の事は今日ほとんど終わっており逃走中の為ギャラルは外出する事はできない。
そのためギャラルは暇を持て余す事になる。
「そうだ、なら絵を描くのは?道具なら全部揃ってるしさ」
そう言って部屋の片隅に片付けられている絵描き道具を見てギャラルの顔を見ると笑顔を浮かべてくれていた。
「ぬひひひひ♪そうね、絵を描くことにするわ♪」
「使い方は分かるよね?」
「えぇもちろんよ。何を画題にしようかしら?」
悩みながら部屋をぐるりと見渡し閃いた顔をしてギャラルはベッドから降りると部屋の片隅に置かれている本棚へと行き一枚の絵を取り出した。
「先生の絵を画題にさせてもらうわ」
「絵の画題が絵か。面白いね。でも俺の絵が画題ってなんだか小っ恥ずかしいよ」
「そうかしら?ギャラル、先生が描く絵好きよ」
そう言って本棚に重なる絵を取り出すと床一面に広げて見せた。
「ちゃんと絵も年代別に分けたのよ。こうやって見比べると同じ画題で描いた絵でも色々な変化が見てとれるわ。四季折々に合わせた色使いに絵を付けた時間も、ほら、このユグドラシルの影の伸び方を見ると色を塗ったのが夕方だと分かるわ。先生?」
「あはは、そんなに褒められるとちょっと恥ずかしいよ。うん、ギャラルの言う通りだよ」
ギャラルの言う通りに俺は季節、時間に合わせ描き方を変えている。見比べているとはいえ変化に気がつく観察力は流石の一言だ。
そして真剣に俺の描いた絵を見てくれたという事実はどうも恥ずかしい。
「ぬひひひひ♪ギャラルも先生みたいな絵を描けるようになるからね♪」
俺を見て笑うギャラルの顔を見ると俺まで笑顔になる。
「よし、明日からのお題も見たかったし寝よっか」
「そうね」
ベッドに寝転がったギャラルを見届け俺は床へと寝転がり目を閉じ眠気を待った。しかし窓を揺らすほどの風が吹き室内とはいえ部屋の温度は下がり肌寒さを感じ寝付くことができずにいた。
「寒い」
そう呟き起き上がり開いたままの窓際へと行きカーテンを閉め振り返ると布団から顔を覗かせ俺を見る瞳を見た。
「どうしたの?」
「ちょっと寒くてさ」
「本当だ、こんなに寒い、、」
布団を腰まで捲ったギャラルが言う。そのベッドの下に寝転がり目を瞑ろうとした俺の顔に温かな何かが触れ目を開けた。
「先生、ギャラル暖かいから一緒に寝よ?」
俺の頬に触れたのはギャラルの左手。その先を目で辿ると暗がりでも分かる心配した瞳。
「大丈夫だよ」
「それは嘘よ。先生こんなにも震えているわ。ほら、先生が来ないならギャラルが床で寝るから」
頬に触れていた手は離れ俺の右手を取る。その手に誘われ俺はベッドに居るギャラルの隣へと潜り込んだ。
「これで寒くないわ」
「うん、ありがとね」
しかしシングルのベッドは二人で寝るには狭くどうにかしてギャラルに触れないようにと体制を変えるのだが身体の何処かはギャラルに触れてしまう。モゾモゾと動けば布団から手か足が出てしまう。
「そうだ、こうすればいいのよ」
そう言ってギャラルは俺の右手を引き、伸ばすと腕を枕にし俺にひっついてくれた。
「ぬひひひひ♪なんだか落ち着く・・・」
「・・・・」
ギャラルのこの行動の真意は分からない。ただ寒がっていた俺を暖めたかっただけなのか、それとも誘っているのか。
ただ一つ分かる事はこの欲求に身を任せてはいけないという事。俺は腰をやや引き気味にして眠くなるのを待った。
次の日、仕事に行く時間に目を覚ますとそこには涎を一筋垂らし眠るギャラルの寝顔が。そんな可愛らしい姿を見て微笑み布団から出ようとする。
ギャラルを起こさないようにそっと布団をめくりベッドから出ようとした時右手が掴まれた。
(行かないで・・・)
そう囁かれた言葉。言った本人を見ると目は瞑ったままでまだ眠りの中。心苦しいが優しく手を解き俺は仕事へと行く事に。
(行ってくるね)
眠るギャラルに一声をかけ俺は仕事へと家を出てゆく。
その日の昼休みコンビニで昼飯を買い職場へと戻ると俺の机に一枚の絵が置かれていた。
その絵は所々が破れ水に濡れしわを作っているがユグドラシルの絵だという事が分かった。
しかし俺は描いた絵は必ず持ち帰る。ここで出される答えは俺以外の奴が描いたユグドラシルかギャラルが描いたユグドラシルかだ。
よく見ると水彩の絵の具は水に滲み消えてしまっているが下書きの線は残っている。この下書きは間違い無く俺が描いた絵だ。
つまりこの絵は俺の描いた下書きに色を付けたギャラルの絵。
その事に気が付いた時ふと肩を叩かれ振り返ると同僚の姿が。
「この絵お前が描いたやつだろ?さっきこれを拾って描き主を探してる人に会ったんだよ」
「それはどうも」
「お前が絵を捨てるだなんてな」
「風で飛ばされてね。探すのを諦めてたんだよ」
そんな会話をした後に同僚は自席へと戻ってゆきそれを見届けてから買ってきた飯を食うことに。しわくちゃになっている絵を見ながら。
きっとギャラルが逃走中に落としそれが周り巡り俺の元へと来た。なんて運命的な事なのだろう。そんな事を考えた事を笑い残りの飯を食い少し寝る事に。
「ただいまー」
仕事が終わり家に帰り玄関を開け挨拶をするとパタパタと足音を立てながらギャラルが走ってきた。その顔は、その身体は絵の具が所々についてしまっているが満面の笑みをしており右手には力作であるユグドラシルを描いた絵を持っている。
「おかえり先生♪早速だけどギャラルの描いた絵を見て♪」
「どれどれ?」
ギャラルの描いた絵は画面いっぱいにユグドラシルを描いた物。大きく力強く描かれたユグドラシルには大きな虹が掛かる。
「素敵な絵だよ」
「ぬひひひひ♪でしょ?先生の絵を見ていたら一枚だけ虹が掛かったユグドラシルがあったの。それを模写したんだ♪」
「その絵は確か、、去年の今頃の絵かな?色を付けてたら雨が降ってきて急いで片付けたのを覚えてるよ」
「そんなに思い出せるのね」
「うん。絵を見るとね、その時の景色とかあった出来事を思い出せるんだよ。ちょっとした時間旅行だね」
「へぇぇ、なんだか素敵ね」
そんな事を話しながらリビングへとゆくと壁の近くに立てかけられているキャンバスが見えた。
「うん、今度シート買ってくるね」
「ごめんなさい、、」
色付けに夢中だったのが見てわかるほどに絵の具が飛び散り鮮やかに床を彩っていた。俺が家で絵を描かない理由はこれの片付けが面倒だからなのだけど。
「まっ、片付けは明日やるとしてご飯にしよっか。何食べたい?買ってくるよ」
「ごめんなさい、、絵に夢中だったの、、」
「怒ってないよ?それにギャラルが楽しんでたならそれでいいからさ」
「本当に?怒ってない?」
「うん、大丈夫だよ」
そう言ってそっと手を伸ばしギャラルの頭を撫でると目を細めながら心地良さそうな顔をしてくれた。
「それじゃあ何が食べたい?」
「ギャラルは・・・」
ギャラルが食べたい物を聞いた時インターホンが鳴り来客を伝えた。
「誰だろ?見てくるね」
そう言って玄関へと行き鍵を開けドアノブを手に取った瞬間、俺の手はドアノブの回転する方向へと回された。
なんだ?そんな疑問を思う暇も無く勢い良くドアが開かれ驚いたまま見た玄関の先には長い青髪を靡かせ口に棒キャンディーを咥え不敵に笑う少女の姿が。
「ふっふーん♪キミがギャラルホルンを匿ってる人だね?悪い事言わないからさー早くギャラルホルンを私に渡しなよ♪じゃないと、、、」
「なんでケラはそんなに強引なの!?ちゃんと説明をしてって言ったじゃんか!」
青髪の少女をケラと呼んだ少女が息を切らせながら現れ俺の理解は追い付かずただ二人を眺める事しかできていなかった。
「その声は、、、!先生に手を出すのならギャラルは容赦しないわ」
ギャラルの叫び声が聞こえ顔を向けるとそこには危機迫る目をしトロンボーンの様なラッパを持った姿が。
「おーおーやる気だねぇー♪でも、ギャラルホルンがラッパを使うよりも早く私は弾丸を放てるんだけどね♪」
「いつギャラルがラッパを吹かないと攻撃できないと言ったかしら?終焉に至る門は既に開かれているわ」
前を向くと両手に構える銃を向ける少女。後ろを向くと背後に門を召喚しているギャラル。
何が何だか分からない状況に全く理解は追い付かない。
「だからぁ!!いー加減にしなさい!!」
そこに少女の叫び声が混ざり俺は考えるのをやめた。
「健康診断ん、、、?」
その後少女に怒られ項垂れるギャラルとケラウノスを尻目に少女にギャラルが逃げていた理由を教えてもらいまた俺は考えがまとまらなくなっていた。
「そうなんです。今年からキル姫も人と同じように年に一度健康診断を受けるようになったんです」
「いや、、俺は奏官じゃないから知らないんだけど、、」
ちらりと横目でギャラルを見ると今にも泣き出してしまいそうな顔をしていた。
「そうなんです?てっきりギャラルホルンのマスターだと思ってました。それでギャラルホルンが健康診断から逃げ出して、、」
「私達にギャラルホルンの捜索任務が与えられたんだ♪それでこないだギャラルホルンを見つけて追いかけたんだけどその時は逃げられちゃったけど一つの手がかりを残してたって訳♪」
「それがこの絵だよね?」
鞄に入れてあった絵を取り出し二人に見せると大きく頷いていた。
「ギャラルホルンが落とした絵を手がかりに聞き込みをしたんです。そしたら二人に辿り着きました」
「でもこの街にユグドラシルの絵を描く人なんて俺以外にも沢山いると思うぞ?一体何人に声をかけたんだ?」
「そりゃーもちろん手当たり次第にだよ♪声をかけるなんて朝飯前だしさ♪」
「お、おう、、」
とりあえずようやく話が見えてきた。しかし教会がギャラルを追う理由が、ギャラルが教会から逃げる理由が健康診断だなんていまだに信じられない。
「ギャラルは本当に健康診断が嫌で待姫ルームから逃げ出したの?」
「・・・・うん」
本人から貰えた答えに目眩がした。
「とにかく明日になったらギャラルホルンを教会に連れて行って下さいね?」
「了解です。ギャラル?俺も一緒に行くからさ」
「うん、、、」
「あっ、それとさ。キミも教会に連れてかないといけないんだー」
「どうして?」
「本当に言いづらいのですが、、教会から逃走したキル姫を匿う事は法令違反なんですよね、、なので貴方にも教会からなんらかの罰が下ると思います・・」
「oh・・・・」
やっぱり俺は面倒ごとに巻き込まれていた様で。
「逮捕までは無いと思いますけど、、」
申し訳無さそうな奏官と楽しそうなケラウノス。そしてぽろぽろと泣いているギャラル。
「まぁ、良いよ?乗り掛かった船だ。どっぷりと乗るよ」
「良い返事だね♪じゃあ私たちはそろそろ帰ろっか♪」
「そうだね、夜中に失礼しました。明日の朝に迎えに来ますのでギャラルホルンの事よろしくお願いします」
そう言って二人は帰って行った。当然部屋には俺たち二人になったのだけど。
「ほら、ティッシュ」
「・・・・・」
泣いているギャラルにティッシュを渡すと受け取らずに俺を見た。その目は捨てられる事を覚悟した子猫の様に悲しげで。
「大丈夫だからね」
ティッシュを持っていない手でギャラルの頭をわしゃわしゃと撫でてあげる。それでもまだギャラルの顔は浮かないまま。
「でも・・ギャラル先生にいっぱい迷惑かけちゃった・・嫌いに、なったよね」
「大丈夫だよ。嫌いになんてなってないからね」
また頭を撫でるとゆっくりと俺に抱きついてきた。そんなギャラルを抱きしめて落ち着くまで背中を撫でていた。
「もう大丈夫?」
「うん、先生ありがと♪」
泣き腫らした顔でとびきりの笑顔を見せてくれた。
そんな時家の電話が鳴りギャラルの頭を撫でた後電話の元へ。
………………………………………………………………
「マジか・・・」
「・・・・・・」
とりあえず俺にかかってきた電話は三件。その三件の電話により俺の人生は地獄へと突き落とされていた。その内容をまとめたいと思う。
一件目はラグナ教会。ギャラルホルン捜索に掛かった費用を払えとの事。
二件目は職場。キル姫を匿うと言う犯罪行為を犯したため懲戒免職。
三件目は俺が今住んでいるアパートの管理人から。反社会勢力に部屋を貸すわけには行かないから明日に出て行けとの事。
さらに極め付けに実家から勘当の電話がきた。
いきなり貯金と仕事と住む場所と実家を失い深くベッドに座り天を仰いだ。その横でギャラルが青ざめた顔で俺を見ていた。
「ごめん、ご飯食べる気になれないからこのまま寝るね。財布、カバンにあるから好きなの食べてきなよ」
この言葉を絞り出し俺はベッドに横になり布団を深く被ろうとしたが布団を被る事はできなかった。
「先生・・・」
見上げるとさっき枯れるほどに流したはずの涙を流しながらギャラルが俺を見ていた。
「ごめんなさい、、、ギャラルが先生のところに来たばっかりに、、、」
「・・・」
「ごめんなさい、、、ギャラルの事好きにしていいから・・ギャラルの事嫌いにならないで・・・」
布生地が落ちる音がした。見上げると服を脱ぎ今まさにブラジャーのホックを外そうとしている姿が。
「ほら、そんな事しなくて良いから」
起き上がりギャラルを抱きしめるとそのままベッドへと倒れると優しく頭を撫でてゆく。
「それしてギャラルが俺の事嫌いになったら俺はひとりぼっちになっちゃうでしょ?それに俺はそんな事望んでないよ」
「でも・・・それじゃあギャラルは・・」
「じゃあこのまま抱き枕になってよ。どうかな?」
コクリと頷くと俺の胸に顔を埋めた。その頭をよしよしと撫でてゆく。
「どうして先生はそんなにも落ち着いていられるの?」
「ギャラルが泣いているからだよ。俺まで泣いたら収拾が付かなくなるでしょ?もし俺一人だったら今頃泣き喚いてると思う」
「先生も取り乱すのね。ずっと冷静でいられると思ってたわ」
「俺だって取り乱すさ。ほら、寝よっか」
布団を首元まで掛けるとギャラルは上へと上がり俺に腕を伸ばせと言う。腕を伸ばすとその腕を枕にし笑顔を見せてくれた。
「おやすみなさい」
次の日の朝、迎えに来た二人に連れられて俺たちは教会へと来ていた。以前はなんとも思わなかった城門を通るのも今日はやけに足取りが重い。
「まずはギャラルホルンの健康診断へ同席してもらいますね。その後貴方は教会の祭司様により処分を言い渡されます」
「分かったよ」
「まぁ処分って言っても重たい処分じゃないと思うからさー?気を楽にしてくれたまえ♪」
「もう処分は受けたようなもんだし今更何が来ても驚かないよ」
俺の発言にギャラルが乾いた笑い声を漏らした。俺たちは城門を抜け教会内へと入り二人の案内を受け教会内に併設された病院へと来ていた。
「ほら手」
「うん、、」
病院を目の前にして少し震えていたギャラルに気がつき手を伸ばすとギュッと手を掴み手を引きながら病院へと入ってゆく。
「アクスレピオスー連れてきたよー♪」
ケラウノスが呼ぶと奥から金髪の女医さんが姿を見せ俺たちを一眺めしその目線はギャラルを見て止まり顔は般若の様に変わりつかつかと歩み寄ってくる。
その姿にひっ、っと短い悲鳴が聞こえ逃げ出そうとするが掴まれた手を離さずにいると女医さんは俺たちの目の前で仁王立ちをした。
「このバカっ!健康診断から逃げるだなんて何考えてんのよ!良い!?キル姫がいくら頑丈だからって病気に罹らない訳じゃないのよ。どんな病気でも早期に発見できればいくらでも治療できるんだから、その為の健康診断なのよ!」
「ご、、ごめんなさい、、、」
「分かったのなら早く上着脱いで奥の部屋に来なさい。言っておくけど次逃げたりなんてしたら飛び上がる程痛い注射を打つからね」
あまりの剣幕に隣で聞いていた俺まで縮み上がりギャラルに至っては半泣きとなっていた。それでも上着を脱ぎ奥の部屋へと進んでゆく。
「まずは採血からよ。、、怖いなら隣の奏官の手を握ってなさい」
そう言って取り出したのは採血用の注射。採血用の為針は太く皮膚を突き破る為に先端は斜めに鋭利に切り落とされている。
それを見た瞬間からギャラルは強く俺の手を握り注射の恐怖と戦おうとしていた。
「はい終わり。血液検査の結果が出るまでに他を調べるから」
それからテキパキとした検査でギャラルの健康診断は30分程で終わり健康状態に異常はないと女医さんのお墨付きを頂いていた。
「これで終わりよ。健康診断は来年もあるから次はちゃんと来ること。分かった?」
「はい、、」
少し不満気に頷くギャラルと共に病院を出て二人と合流する事に。
「お疲れ様でした。次は貴方の番ですね」
「分かってるよ」
「祭司様の元へお連れします」
そして次は俺の番だ。ギャラルを匿うという罪を犯した俺を裁く祭司の元へと行く為に教会内を歩き進んでゆく。
「・・・・・」
長い廊下を歩いている間誰一人として声を発する事はなくただ無言で歩んでゆく。この沈黙が不安と恐怖を煽り恐怖心に苛まれ嫌な汗が全身から吹き出す。
そんな時左手に何かが触りそれは俺の左手をぎゅっと掴んだ。
「ギャラルも一緒に罪を受けるから、、ねっ」
無理に笑いながら俺を見るギャラルの頭を撫で差し出してくれた手を握り直りやがて祭司がいる部屋の前へとたどり着いた。
「私達はここで待っていますので失礼のないようにお願いします」
「開けるね」
ドアにノックを2回した後ケラウノスがドアを開く。開かれたドアから部屋へと入ると窓際に一人の女性が立っていた。
その人は窓から外を眺め入って来た俺達に気がつくとゆっくりと振り返り微笑みを見せた。
「話は聞いています。ようこそ、私の元へ」
軽く会釈をする立ち振る舞いは優雅で可憐の一言。そしておっとりとした微笑みは気品さと合わさり天女を連想してしまうほど。
しかし放たれる重圧は人のものではなく只者でない事を痛い程に伝える。
「お母さん、、」
「お母さん!?」
思わず突っ込んでしまった。ラグナ教会の祭司がギャラルの母親という事に付いてなのだけど。
「・・・?」
確かに祭司はギャラルより濃い緑髪をしているが類似点はそれぐらいで親子だとは思えない。あれだ、父親の血が濃く出てるってやつか?
「ふふっ、そんなに緊張しなくて良いのですよ。貴方達の事は天界から良く見ていたわ」
「それはつまり、、?」
「自己紹介をまだしてなかったわね。私の名はユグドラシル。この世界の創造主」
ユグドラシル。それはラグナ大陸の中央に聳え立つ大樹。それと同じ名を冠する人物に疑問がまとまらない。
「私はユグドラシルと同様の存在。大樹ユグドラシルは私のもう一つの姿とも言えるわ」
「さいですか、、」
いまだに疑問はまとまらないが本人がそう言うのならそうなのだろうと結論を出し自分を納得させていた。
「まずは、、貴方に謝らないといけないわね。ギャラルホルンが迷惑をかけた事を」
「いえ、迷惑だとは思っていません」
「ふふ、慎ましいのね。それとギャラルホルンの面倒を見てくれてありがとう。とても楽しそうに絵を描いていたわ」
そこまで知っているという事はこの祭司は本当に天界から俺たちの事を見ていたのだろう。
「本当に心苦しいのだけど貴方には罰を与えなければならないわ」
話の本題を切り出すと微笑みを消し祭司は沈着な顔で俺を見た。思わず逃げ出したい衝動に駆られ後退りをするとグッと手が引かれ俺はその場に止まった。
「ギャラルも一緒に罰を受けるわ。元はと言えば全部ギャラルが悪いのだから」
声を震わせながらも堂々と俺の前に立ち祭司に立ちはだかる。その手にはラッパを持ち臨戦態勢。
「安心して。今ここに罰を宣告するわ。貴方はギャラルホルンのマスターとなり世界を巡りなさい。そして、いつかその旅路がどのようなものだったのかを私に聞かせて」
沈着が消え微笑むと同時に一陣の風が吹いた。それと同時に何かが俺の中で目を覚ました様な感覚を受ける。
「今のは一体、、、?」
「元々貴方にはギャラルホルンと適合するバイブスがあったの。それを目覚めさせたのよ。気分はどうかしら?」
「うーーん?」
今の気分、もとい俺が感じた変化はさっきよりもギャラルの事を感じる。説明しづらいのだが簡潔に説明するとギャラルとはまだ出会って1週間程しか経っていないのだけどずっと昔からギャラルと共に過ごしていたと思える。
「まだ実感しないと思うけれど時期に馴染むはずよ。後の事はドアの向こうに居る二人に聞いて。きっと詳しく教えてくれるから」
会釈を一つすると祭司は姿を消し部屋には俺とギャラルだけになっていた。
「とりあえずこれからも頼むよギャラル」
「えぇ任せて。これからもよろしくね先生♪」
顔を見合わせ笑い合い握手をし祭司に言われた通りにこれからの事をドアの前にある二人に聞く事に。
「お疲れ様でした。それではお二人に説明をさせてもらいますね」
話をまとめると俺はギャラルの奏官となった。それによって教会の宿舎が利用できるようになり住む場所は確保できた。それと異族討伐の仕事を受けれる様になり職も確保できた。
一時はどん底に落ちた俺の人生だけどなんとかリスタートできそうだ。
「引越しの手続きはこちらでしてありますのでご安心下さい。それと寮の鍵を渡しておきますね」
「ありがとう。って段取り良すぎないか?」
「こうなる事を見越してだよ♪適合するバイブスとキラーズは惹かれ合う。君たちがこうなる事は君の家に行った時から分かっていたのさ♪」
「なるほど?」
全く納得できないのだがそう言うのならそうなのだろうと半端無理やり納得し事態を飲み込む。
そして二人に案内され俺たちは新居へと来ていた。
「では、私たちはこれで失礼しますね。もし分からない事がありましたら自力でなんとかして下さいね」
「うん、色々とありがとうございました」
「じゃ、またねー♪」
深々と頭を下げ二人が見えなくなるまで見送り部屋へと入る事に。
「おー」
玄関を開け部屋に入った第一声は感動の声。新居の慣れない匂いを嗅ぎながら廊下を進むと広々としたリビングにキッチンがありリビングにある二つのドアを開けると5畳程の部屋があり簡易なベッドが置かれている。そして冷暖房も完備で家具も必要な物は置いてある。
「前住んでたところより良い場所だね。奏官ってこんな良い待遇受けてるの?」
「さぁ?ギャラルは奏官に仕えた事はないから分からないけど」
「なるほど?とりあえず荷解きしよっか」
リビングに置かれている段ボールの山。それを一つづつ開けてゆき物を部屋へと置いてゆく。
「なんか良いね。新生活が始まるって感じでさ」
「ぬひひひ♪そうね♪そうだ、先生の事マスターって呼んでも良いかしら?ほら、ギャラルはマスターのキル姫だから」
「マスターね?うーん、、まだそんな自覚も実感もわかないけど、、」
「急だもんね。じゃあマスターが慣れるまで先生って呼ぶわ」
「そうしてもらおっかな?」
そんな話をしながら荷物を片付け日が落ちる前には片付けは終わりようやく一息。
「そういえばあの部屋に絵描き道具全部置いたけどどうするの?」
「どうするの、とはどういう意味かしら?」
「いや、寝るスペースないよね?」
「それは大丈夫よ。ギャラルと先生は同じ部屋で寝るのだから」
ギャラルが言う通りに今道具置き場になっている部屋に合ったベッドはもう一つの部屋に運び込まれ置いてあったベッドと隣同士に置かれている。
確かに一緒に寝れるのだけど。
「・・・・」
「ぬひひっ♪どうしたの先生?」
この1週間で色々な事があった。ギャラルと出会い人生をどん底に落とされ再起して。波乱万丈な1週間を終えるとこんな可愛いキル姫の奏官になっていて。しかも同じ部屋で同じベッドで寝る。
ギャラルはやや幼い顔立ちだが態度は大人びており胸も小さくはなく小柄な身体は抱き心地が良くて。そんな子が俺の事を好いてくれている。
今まで騙し騙し自分を言い聞かせて来たけどそろそろ理性も限界かもしれない。
「先生?」
「あぁ、ごめん。考え事してたよ。夕ご飯何食べよっか?」
「ギャラルは・・・」
何を食べようか悩むギャラルを見て理性を落ち着かせる事に。
「「いただきます」」
結局悩んだ末に食べたいものは決まらず教会付近にあるコンビニへと行き適当に食べたい物を買って家で食べるという事になった。
「明日はギャラルがちゃんとご飯を作るからね」
「俺も手伝うよ。それよりギャラルは戦えるの?」
「戦えるわよ。待姫に居る時だって緊急時には駆り出される事もあったし。それに・・」
「それに?」
「・・・ちゃんとマスターには話しておかないとね。ギャラルの過去、私が終焉のキラーズだったと言う事を」
食べかけていた箸を止め少し悩み、やがて話を聞かせてくれた。
遥か昔にこの世界が終焉を迎えた時、ギャラルを含む3人の終焉のキラーズ達はこの世界に終焉を迎える為に殺戮の限りを尽くした。目に入る全ての生命を断ち世界すら断とうとした。
「この世界が終焉を迎えた理由。それはお母さんのマナを人々が無尽蔵に使いキル姫を作り続けマナが枯渇した事が原因なの。人々の自業自得、因果応報。様々な言い訳を大義名分としギャラル達は武器を振るったわ」
しかし終焉を防ぐ為世界中の人々、キル姫が一丸となり終焉と戦い世界は再び紡がれたと。
「あの時、世界には絶望しか無かったわ。こんな世界なら終焉を迎えても仕方ないって。でも、多くの人々が未来を切望しキル姫が応え未来を掴もうとしたわ。そして、お母さんは言ったのよ」
『もう一度この世界を、人々を信じてみよう。って』
「じゃあ今ある世界は」
「消えるはずだった世界の延長線よ。閉じられるはずだった本の次のページ。紡がれるはずが無かった物語の続き。もしまた世界が終焉を迎えるのであればギャラル達は再び世界の敵になるわ」
「・・・」
この世界の過去。そしてギャラルの過去。どれも壮大過ぎて理解は追いつかないが、一つ分かった事はギャラルは強大な力を秘めているという事。
「そんなギャラルでも注射は怖いんだ」
「なっ!そ、そんな事ないわ!もう注射なんて怖くないし・・!」
注射の話をするとムキになる姿を見て笑いながらご飯を再会させるとやや不貞腐れ気味にご飯を食べ始めた。そんな姿を見ながら笑いながらご飯を食べてゆく。
「お風呂お先にいただいたわ。先生も入ってきてよ」
「はいよ」
それからしばらくして浴室からまだ水気が残る髪を拭きながら出てきたギャラルと交代しお風呂へと入りギャラルがドライヤーを使う音を聞きながらシャワーを浴びる。俺が浴室から出た時にはもうリビングにギャラルの姿はなく部屋のドアを開けるとベッドに腰掛ける姿が見えその隣に座った。
「任務ってどうすれば良いの?」
「教会に行けば手続きができるわ。緊急時以外は教会から声がかかることは無いから先生のタイミングで任務は受ける事ができるの」
「なるほどね。じゃあ明日は休みにしよっかな」
「それはどうして?」
「今まで暦通りに働いてたから自分勝手に仕事できる事に憧れてたんだよ。それに報酬も良いって噂で聞いてたし」
そう言うとギャラルの顔付きが変わった。
「異族討伐は確かに良い報酬が貰えるわ。その分危険が伴うの、毎年何人ものキル姫や奏官が命を落としているのよ。もし先生が甘い考えのままならギャラルは他の仕事をする事を提案するわ」
「大丈夫だよ。ちゃんと気を引き締めるからね」
「まぁ、ギャラルが一緒だから大丈夫だけど」
「そういえばこないだ門を出してたけどあの門から何が出てくるの?」
「終焉を呼ぶ魔物が出てくるわ。あの時は脅しで門を出したけれど。いつかギャラルと討伐に行く時に見れるはずだわ。終焉に至る門に潜む魔物をね」
まとめるとギャラルは強い。だ。だけど幼さ故にそう見えないのだけども。
「そろそろ寝よっか。明日の事は明日考えるとしてさ」
ベッドに寝転がり布団を被ると俺の横にギャラルが来てくれて腕を差し出すとそれを枕に俺に抱きついてくる。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
………………………………………………………………
そう言って目を閉じたのは良いのだが目を瞑っても眠気はこない。それどころか目を瞑ると胸に当たるギャラルのおっぱいの感触がやたら感じられて頭は冴える一方。
「・・・・」
考えれば考えるほど意識してしまい完全に脳内は煩悩に支配され気が付けば痛い程に勃起していた。
起き上がりトイレで抜こうか。まだ残る理性でそんな事を考え起きあがろうとした時、男根に何かが触れるのを感じ動きを止めた。
それは男根に一度触れると何かを確かめるように触る。しばらく撫でたと思ったら掴んでみたり。
しばらくギャラルの手は俺の男根を興味深く触りやがて触っているものがナニかと理解したのか、すっっと手は引いていった。
とんでもなく気不味い空気が流れている気がする。ギャラルからしても隣で寝ている男が勃起してるという事態に困惑しているだろうし俺も勃起している事を知られすごく気不味い。
今起き上がりトイレに行けば確実に抜いてきたと察しられるし寝ていると思ってた人が起きればギャラルも驚くだろう。
しかし、触られた事により意識は完全に快感の方を向いてしまい収拾が付かなくなっている。
「先生?起きているの?」
「・・・・起きてるよ。寝れないの?」
ギャラルに声をかけられ返事にワンテンポ遅れたが真っ当な返事を返す事ができるあたりまだ理性は残っている様で。
「まだ眠くないの。それに、、、」
「それに?」
そう言って目を開けるとそこにはオレンジ色のライトでも分かる程に顔を紅潮させたギャラルの顔が。その顔に妙な色気を感じる。
「あの、、ごめんなさい。先生のに触れてしまったの・・」
「・・・・・」
ギャラルの言葉に返す言葉が思い付かず返事が出せない。
「男の人って、、興奮すると、その、ここが硬くなるんだよね、、?先生は、、ギャラルに興奮してるの、、?」
ギャラルに返す言葉が見つからない。ギャラルが言う通りにギャラルに欲情しているのは確かなのだがそんな事を本人に伝える事はできないし、他に言い訳は見当たらない。
気不味い沈黙が流れる中必死に言葉を探すのだけど言葉は見当たらない。
「先生っ・・・?」
「・・・あぁ、ごめんね。ギャラルの胸が当たってさ。しばらくしたら治るから大丈夫だよ」
返答を急かす言葉に返事を返すと手を伸ばしギャラルの頭を撫でた。
「ギャラルもね、先生のに触ってから、少し変、なの。身体が熱くて凄くドキドキするわ、、」
頭を撫でていた手でギャラルの頬に触れるといつも以上に体温は高く熱を感じる。
そして俺を見つめる瞳もどこか熱を帯びていた。
ふと目の前の少女が目を閉じ唇を尖らせた。火照った顔で唇を向ける。その行動の意味を理解した時、俺はその唇に唇を重ねた。もう後戻りはできない。そう心のどこかで思いながら。
(んんっ、、)
重なった二つの唇の隙間から舌を伸ばしもう一つの唇をなぞると一瞬唇を硬く紡いだがほどく様になぞってゆくと意図を理解したのかやや唇が開いた。
(んっ、、)
僅かに開いた唇の間から伸ばした舌は閉じられた歯にぶつかるがしばらくすると口が開かれギャラルの舌に触れる事ができた。
(ん…っ…んっ…)
舌を絡めると戸惑いながらも舌を絡めてくれる。やがて絡める事に夢中になったのか口は完全に開きもう戸惑いは感じられない。
やがて口を離すと少し口を開いたまま呆然と俺を見ている視線。
「ギャラルって初めて?」
あまりに慣れていない感じがして思った事を聞くと少し呆然とした後に慌てて否定された。
「ギャラルが初めてなわけないじゃない!先生以外の男の人の知り合いだっているし、、、そうよ、やりまくりだわ!」
「なんか慣れていない感じがしたからさ」
「これは演技よ、、!男の人は慣れていない方が良いって聞いたから、、!」
顔を火照りじゃない赤に染めながら否定する姿が可愛くて思わず頭を撫でてあげる。
「ギャラルは子供じゃないわ、レディなのよ!…分かったわ、ギャラルが淫乱だって事先生に教えてあげる」
布団を跳ね除け起き上がるとズボンと下着を下ろし慌てながら俺のズボンに手をかけ脱がせようとするが、緊張で手が震え何度も脱がせようとズボンに手をかけるが脱がせる事ができず顔を真っ赤に染める。
「ほら、隣おいで」
足元に居るギャラルに声をかけると少し迷いながら俺の隣に寝転がった。
「もう少し落ち着こ?」
「そんな事ないわ、、ギャラルはとても冷静よ」
「それならズボン脱がせられるでしょ?ほら、手をあげて」
ギャラルが不思議そうに両手を上げると同時にパジャマへと手を伸ばしするりと抜き去る。
一瞬脱がされた事に気が付かずきょとんとしたが外気に肌を晒した寒さと俺の視線に気が付き慌てて布団に潜り顔だけを出した。
「恥ずかしいんだ?」
「そんな事ないわ、、。その、、、ギャラルだけが裸になるのが嫌なの。先生も脱いで」
言われた通りにパジャマを上下とも脱ぎベッドの下に落とすとギャラルと同じ布団に潜り込む。
「おいで」
声をかけると戸惑いながらも普段と同じ様に俺に抱き付いてきてくれた。その体温は服越しに感じるよりも高く熱を持ちしっとりとする素肌を感じる。
「緊張してる?」
「そんな事ないわ。でも、、少しだけしているかもしれない、、」
ほんの少しだけ強がりを解いた言葉に意地悪をしたいという野心が芽生え芽生えた野心は行動へと移させる。
抱き付くギャラルの手を解き仰向けに寝てもらい布団を腰まで捲り上げた。
「きゃっ、、」
今まで肌身を隠していた布団を捲られ隠す物を失うとギャラルは両手でおっぱいを抱く様に隠しやや潤んだ瞳で俺を見上げる。
しかし、小柄な腕で隠すおっぱいは乳首こそ隠せているが胸の膨らみは弛んと腕からこぼれ落ちる。
「手をどけて?」
「う、うん、、」
呼吸をする度に揺れる手は右手、左手の順に胸から落ち腰へと。
両手が退けられるとそこには以前見た乳房が眼下に広がる。
「綺麗だよ」
「やぁっ、。、」
見られるという羞恥に耐える様に右手を挙げるとその手はギャラルの両目を覆い隠す。残された左手はぎゅっとシーツを握りしめる。
その為ギャラルの乳房は隠される事なく俺の視界に広がる。小柄な身体に不釣り合いな程にたわわに膨らんだ乳房の先端にはぷっくりと乳首が尖っている。
アンバランスな光景に思わず唾を飲み込んだ後、俺は右手を乳房へと伸ばした。
指先が触れた瞬間、一度身を跳ねさせ手のひらが乳房の形を変えると身を震わせた。片手だけで触るのがもどかしく体制を変えギャラルの胸を揉む事に。
「重くない?」
「大丈夫よ・・」
ギャラルの腰の上に馬乗りになり両手で乳房を揉みほぐす。それを幼さが残るギャラルにするのはゾクゾクと背徳感を煽る。
「ふぅ、、う、、、」
僅かに開いた口から吐息が漏れるのを聞きもっと声が出させたくなりぷっくりと尖る乳首を口に含み吸い上げ舌でころころと転がす。
「あっ、、だめっ、、」
拒絶の声が聞こえたが本人に嫌がる様子は無くさせるがままに乳首を舐められ乳房を揉まれ。ようやく口を離し顔を見るとすっかり惚けた表情に。
「経験豊富なギャラルなら次どこを触られるか分かるでしょ?」
「・・・・」
意地悪な質問をすると顔をプイッと背けた。そんな可愛らしい姿を見てギャラルの横に寝転がり下へと手を伸ばし硬く閉ざされた太腿を撫でる。
「脚広げて」
こくりと頷くと少し太腿が開きようやく俺の指はギャラルの秘部へと触れた。
そこは指先に熱を感じる程に蒸れ膣口から滲み出した愛液がとろりと垂れ落ちる。
「凄く濡れてるよ」
「汗だから、、汗なの、、!」
「へぇ?じゃあ後でお茶飲もうね」
指先に垂れる愛液を付け陰唇小帯から大陰唇へとゆっくりと指でなぞる。指が進む度にギャラルは身を捩り切なく吐息を漏らす。
さらに指を進めると柔らかな陰唇とは違い硬く尖るものに指が触れた。
「つぅ、、、♡」
そこに触れた瞬間、ギャラルは今までと違う反応をしてくれた。腰を跳ねさせ喘ぐ声を漏らした。
「ゆっくり触るからね」
未知の感覚に慣れさせる為に円を描く様に優しくクリトリスをなぞってゆく。
「っあぁ、、、それ、、気持ちいい、、、♡」
どうやら気に入ってくれたようでもっと、と、ねだる様に両脚は大きく開かれギャラルは汗ばむ程に熱をもつ。
「もっと?」
「・・・っ」
ギャラルの口から求めるのは恥ずかしいようで返事を返す事なく顔を背けた。
「じゃあもっと気持ち良くなろっか」
円を描くのをやめ指の腹で尖るクリトリスを軽く潰す様に撫でる事に。
ゆっくりと優しくたっぷりと愛液が付いた指で愛撫を行うと敏感にギャラルは反応してくれた。
「それっ、、、♡んんんんんっ、、、、♡」
快感により両目を隠していた手は剥がれ快感に惚ける表情が見れる。切なそうに目を細め口をだらしなく開け快感に蕩ける表情を。
「なにかキちゃう、、、!だめぇっ、、!!」
訪れる方快感から逃げようと身を捩るがしっかりと押さえ込まれ逃げる事はできず、ただ腕の中で快感に惚ける。
「んっ、、んんっーーーー」
両脚をばたつかせるとやがてぴんっと両脚を伸ばし硬直。やがてだらりと脚を放り出した。
「はぁ、、、、あぁ、、、」
訪れた快感にギャラルは息荒く上の空で俺を見上げとろりとした表情を見せてくれた。
「すっかり蕩けちゃったね」
そう聞いてもまだ快感の余韻に浸っているのか上の空でようやく小さく頷いてくれた。
「じゃあ・・・」
そう言うと微睡む目をすこし見開いた。
「ギャラルの舐めてあげるね」
「えっ、、?えぇっ、、、?」
大きく目を開き止めようと手を伸ばすよりも早く俺は布団の中へと潜り股ぐらに顔を埋めていた。
舐められるのを阻止する為に閉じられた脚を持ち上げ少し腰を浮かせゆっくりと左右に開くとむわっと熱気が込み上がった。
(・・・・)
熱気を顔に浴び欲求が吹き上がる。舐めるよりも今すぐに痛いほど勃起している男根をここに打ち込みたい。しかしそんな事をすれば痛いだけだろう。なるべく痛みを減らそうと念入りに愛撫をしようと思いを改める。
しかし。
「きゃっ、、、」
ならばギャラルの秘部を見ようと掛かっている布団を捲り上げると悲鳴が聞こえたがお構いなしに秘部を覗き込む。
(・・・・っ)
そこに見えたのは無毛の恥丘。その下には一度も使われた事が無いような淡いピンクの膣口。それでもシーツまで濡れてしまいそうな程に愛液を垂らし男根を受け入れる準備ができている。
思わず激る思いを堪え濡らす膣口へと顔を近づけてゆく。
「〜〜〜〜〜っ♡」
ねっとりと滑る愛液を舐め取るように膣口を舐め舌先はクリトリスをくすぐると上から布団に隠る喘ぎ声が聞こえた。それは手で陰唇を開き剥き出しになったクリトリスを舐めると更に大きくなる。
「〜〜〜〜っ♡だ、だめぇっ、、、♡」
やがて快感に堪えきれなくなり大きく腰を跳ねさせながら身体を硬直させ、ぐったりと身体を伸ばした。
「大丈夫?」
それから気が済むまでギャラルの秘部を舐めようやくギャラルの隣に行くとぐったりとしてしまっている姿があった。
「す、少し、、休ませて・・・」
それからしばらくギャラルが落ち着くまで頭を撫でてあげる事に。
「はぁ、、、先生って凄いのね」
「そうなの?」
「えぇ、ギャラルをこんなにも気持ち良くできたのは先生だけよ」
「まだ終わってないよ?」
「えっ?」
「じゃあ経験豊富なギャラルにも舐めてもらおっかな」
そう言うとギャラルは目をきょろきょろと泳がせ、やがてこくりと頷いた。
「い、良いわよ。次はギャラルが先生の事気持ち良くしてあげる…」
言葉は段々と弱気になってゆく。それはきっとギャラルが聳り立つ男根を目撃してしまったから。
不安を隠しながらギャラルは俺の股の間に収まり目の前の男根を見ていた。その目線は釘付けといったようで初めて見るであろう物への好奇心と不安が入り混じる。
「な、舐めるからね、、」
しばらくしてようやく決心が付いたのか男根へと顔を近づけ舌を伸ばしてくれた。
そこにあるのは滾り勃つ男根とそれに舌を這わせる幼顔のギャラル。目を閉じちろちろと舐めてくれる事よりも非常に危ない光景に興奮がせり立つ。
「咥えれる?」
「もちろんよ…」
舌を離し一呼吸おくと口を開け鈴口を咥え幹を少し口に含んだ。しかし、それからどうして良いのか分からずに目を開け上目遣いを向ける。
「咥えたまま舐めてみて?」
小さく頷くと再び目を閉じ口内にある物へ舌を這わせてくれた。
それは痛みと心地良さの中間。不慣れの為歯が当たる痛みと不慣れだからそこの舌使いにたまに腰が跳ねる。
「えへへ、、、♡」
腰が跳ねた事を喜び嬉しそうな含み笑いが聞こえた。そしてギャラルは舐めた時に腰が跳ねる場所を探りそこを探し当てた。
「先生はここが弱いのね♡」
ギャラルが見つけたのはカリ首と裏筋の合流地点。そこを舌先でにゅりにゅりとくすぐられ思わず声を出してしまう。俺が反応するのが嬉しいようでしばらくギャラルはそこを舐めてくれた。
やがて、疲れたのか口を離し暑そうに顔を手で仰いでいた。
「先生」
「どうしたの?」
「このままギャラルが上に乗ってあげる…っ」
ギャラルが言う上に乗るのは騎乗位の事だと思う。
「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ、、。ギャラルはレディだから、、。う、上に乗るから、、!」
そう言って男根の上に跨るとそろりそろりと腰を下ろしてゆきギャラルの蜜壺に男根の先端が触れた。
「んっ、、んんっ、、」
上を向き激る男根を入れようと何度も腰を擦り付けるのだが上手く入らず素股の様になっている。が、ギャラルのプライドを考え何も言わずねっとりと濡れてしまっている蜜壺の感触を楽しんでいた。
「っ、、」
ようやく鈴口が蜜壺の入り口へと這入った。きゅっと締まる蜜壺の感触に思わずギャラルを見上げると顔を伝い汗が落ちるのが見えた。
「ギャラル、、」
「大丈夫、大丈夫だから、、。ゆっくり挿れるから、、」
俺の腰骨を掴みながら何度も呼吸をし息を整えながら震える程に入った脚の力を抜きゆっくりと腰を落としてゆく。
「はぁっ、、あぁっ、、」
両目を硬く瞑り口をぱくぱくしながら下す腰は男根をゆっくりと咥えてゆく。その度にきゅうきゅうと男根を締める膣壁を感じやがて根本まで咥え込むと鈴口にこつんと最奥が当たるのを感じた。
「ほ、ほら。ギャラルできたでしょ、、、?」
息を乱しながらも笑顔を俺に向けてくれた。そんな健気な姿が可愛くてギャラルの肩を掴みぎゅっと引き寄せた。
「痛いでしょ?無理しなくて良かったのに」
「痛くなんてないわ、、大丈夫よ、、」
「落ち着くまで撫でてあげる」
何度も頭を撫で何度も背を撫で痛みが治るのを待っていた。やがて落ち着いたのかギャラルが俺の顔を見た。
「もう大丈夫よ。先生の事、ギャラルが気持ちよくしてあげるから、、」
ゆっくりと身体を起こすとペタンと下ろしていた腰を動かし始めた。でもそれは小刻みでゆっくりで。それでもそんな腰使いを頭を撫でながら堪能していた。
それにしてもギャラルの膣は良く締まる。身体が小さいということもあるのだろうけど男根全体を締め上げる様にきつきつで油断すれば射精させられそう。
「っ、、先生のが跳ねてるっ、、」
「気持ち良いよギャラル」
「中で良いからぁっ、中にちょうだい、、っ」
そう言って硬く膣を絞めながら腰の動きを早めた。それはきつきつと男根を締め上げ射精に導くように。
「出るよ、、!」
そんな腰使いに我慢する間もなく限界を迎え根本まで腰を下すのを合図にギャラルの膣内へと精を放った。
「はぁぁぁっ、、、」
脈動し精液を飛ばす鼓動に合わせ身を震わせ射精が止むとゆっくりと身体倒し俺の胸で荒く息を吐く。そんなギャラルが落ち着くまで頭を撫でていた。
「落ち着いた?」
「まだ少し痛む、、、余韻を感じてるわ。先生はどうだった?」
「凄く気持ちよかったよ。さすがギャラルだね」
「ぬひひひひっ、良かった、、、」
しばらくして硬さを失った男根が放った精液と共に膣から抜け落ちようやく我に返り慌ててティッシュを何枚か取ると綺麗に拭き取ってゆく。
(やっぱり…)
丸まったティッシュには暗がりでも分かるほどに精液に混ざり血の色が付く。その事をギャラルが気付く前にゴミ箱へとティッシュを放り投げた。
「シャワー浴びる?」
「今は・・先生と居たいから、、明日の朝に入るわ」
「じゃあ寝よっか」
頭を撫でると心地良さそうな顔を向けてくれて。その唇にキスをすると嬉しそうな顔を見せてくれた。
「おやすみ」
「おやすみなさい」
前よりもぎゅっと俺に抱き付くギャラルが眠りに落ちるまで優しく背を撫でてゆく。
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それからギャラルと過ごす奏官生活は順調そのものだった。祭司に言われた通りに俺たちはラグナ大陸中を旅しながら異族の討伐を行なっていた。
「終焉へ至る門を開くわ」
門を召喚し手に持つラッパを口へ運び吹き鳴らすと体の中から震える程の音と共に門が開いた。
門が開くとそこからこの世の物と思えない兵士が姿を現し異族に向かい進軍し多くの異族を倒してゆく光景にはちょっと引いたけども。
それでもギャラルと廻る旅路は楽しいもので。
「先生はどうして絵を描き始めたの?」
「えーっとね、最初は暇つぶしに始めたんだ。だけど絵を描くのが楽しくなってきてさ」
「へぇーそんな理由だったのね」
「何かを始める理由なんてなんでも良いんだよ。問題はそれを続けられるかだよ」
んんっと背を伸ばしギャラルと共に遥か先に聳え立つ大樹ユグドラシルを眺めていた。
「あっ虹がかかっているわ」
俺たちの視線の先には大樹を跨ぐ様に虹のアーチがかかっていた。
ここまで目を通していただきありがとうございました!
今回は終焉キラーズの一人、ギャラルホルンの登場でした。
大人なようで子供なギャラルホルンを楽しんでもらえたら幸いです。