※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

33 / 44
グランテピエ

町が燃えている。僕がさっきまで過ごしていた日常は異形の侵略者により呆気なく崩れ去ろうとしていた。

 

このラグナ大陸に潜む化け物、異族。人間を捕食し日常を脅かす捕食者。人間は異族に対抗する事はできず一度異族が現れれば命が無事である事を神に祈るしかない。僕もその1人だった。

 

 

僕が住む町に異族が現れた時、僕は姉に手を引かれながら町を逃げ回った。だけど、幼い2人は異族に追い付かれ喰われる寸前。

 

 

「逃げて!!〇〇は生きて!」

 

「そんなの嫌だよ!!お姉ちゃんも!」

 

「私は大丈夫だから」

 

 

姉は走るのをやめ1人異族の前へと立ち塞がった。その行動が何を意味するのか幼い僕でも嫌というほどに分かる。

 

 

「早く逃げて!!!!」

 

 

僕は逃げた。姉の悲鳴が聞こえない様に耳を塞ぎ涙で霞む視界の中を闇雲に。

 

そして僕は小さな小屋の中へと逃げ込んだ。全身を汗が伝い呼吸は荒く心臓は張り裂けそうに脈を打ち。それでも異族に見つからないように物陰に身を潜め神に祈りながら。

 

だが、この世に神など居ないと言わんばかりに小屋のドアを打ち破ろうと異族はドアを叩いた。

 

 

「あ、、ああっ、、」

 

 

視線の先にはへし曲げられたドアの隙間から覗く異族の顔。僕と目が合うとけたたましく鳴き声を上げドアを破壊しようとする。

 

 

「たぁっ!!」

 

 

その時、力強い女の人の声が聞こえドアの前に居た異族は姿を消した。

 

 

「もう大丈夫だよ、私達が来たから。みんなっ!」

 

「分かってるわ、グランお姉様」

 

「君の事は守るからね。絶対のぜーったいだよ」

 

 

この声が誰のものかは分からない。だけどこの人達が来てくれたから助かる。そう安心したのは覚えている。

 

 

キラープリンセス、通称キル姫。人類が異族に対抗する手段として生み出した兵器。

 

この町に異族が現れた事をキル姫を管理するラグナ教会が知り4人のキル姫が派遣されていた。4人は異族を軽々と殲滅させ小屋の前に。

 

 

「みんなは他に生存者が居ないか探してきて。私はこの子を保護するから」

 

「分かったわ」

 

「ほら、もう大丈夫だよ」

 

 

へし曲げられたドアが開き1人の女の人が笑顔を見せてくれた。水色の長髪を靡かせルビーの様に煌めく赤い瞳、少し大人びたキル姫。

 

 

「私は先駆者グランテピエ。ごめんね、来るのが遅くなっちゃった。立てる、かな?」

 

 

黒いグローブを付けた手を伸ばし、その手を握り僕はようやく立ち上がった。

 

 

「君は教会に連れて行くね。そしたらもう安全だから」

 

「……お姉ちゃん」

 

「えっ?」

 

「お姉ちゃんが僕を、、!探しに行かなくちゃ」

 

 

握った手を離し小屋の外へと歩こうとするが膝が震えその場に座り込んだ。

 

 

「私も付いていくよ。歩けないなら、ほら」

 

 

僕の目の前に来ると屈み背を向けてくれた。僕はその背におぶさり小屋を出た。

 

そこに広がるのは変わり果てた日常。僕が住んでいる町は災害に遭った様に崩れていた。

 

家屋は倒壊し火の手が上がり、地獄絵図の中をおぶさりながら進んでゆく。

 

 

「報告するわ。この町の生存者はグランお姉様が背負っている子供だけのようね」

 

「ヘレナも探したのだが、、なんせこの有様だ」

 

「うぅ、、私達が来るのが遅かったからだよね、、」

 

「うんん、まだこの子のお姉さんが見つかってないよ」

 

「いえ、そんな事はないわ。私達が探したのよ。それにグラウのレーダーだって」

 

「ソロモン、それ以上の発言は流石のヘレナも苦笑いだぞ」

 

「でも!」

 

「じゃあみんなは先に戻って教会に報告してくれないかな?私はこの子とお姉さんを探すから。安心して?私は諦めたりしないからね」

 

 

そう言ってグランテピエは僕を背負ったまま町中を探してくれた。それは太陽が沈んでも、また太陽が昇っても。居ないと分かっているのにグランテピエは捜索を続けてくれた。

 

 

「もう良いよ。もう、、お姉ちゃんは居ないんだ、、」

 

「それで本当に良いの?君は諦める事ができたのかな?」

 

「それは・・・」

 

「君が後悔をしないのなら私は捜索をやめるよ。後悔は先には来ない。絶対に後からやってくるから。私は君が後悔しないようにしてあげたいからさ」

 

「あ、ありがとう、、」

 

 

その日のお昼頃、焼け焦げたお姉ちゃんが履いていた靴が見つかった。その意味を理解し僕はグランテピエの背を降り靴にすがり付き泣いた。

 

 

「・・・ちゃんとお別れはできたかな」

 

「うん、、」

 

「偉い偉い。よしよーし」

 

 

泣きじゃくる僕が泣き止むまで抱きしめてくれていた。

 

 

「もう大丈夫だよ」

 

 

そう言ってもグランテピエは僕を離す事なく抱きしめていた。

 

 

「ごめんね、私も妹が居るから、、君と重ねちゃった」

 

 

身体を離すと瞳から垂れる一筋の涙を指で拭い笑顔を見せてくれた。

 

 

「よーし、じゃあ教会に行こっか。教会なら安全だよ。ほら」

 

 

僕はグランテピエにおんぶしてもらい教会へと連れて行ってもらった。その時にいろんな事を話していた。グランテピエはディスラプターズというチームのリーダーだという事や妹のアルマスの事。この世界は終焉を迎えようとしている事。

 

 

「よし、じゃあここまでだね」

 

「うん、ありがとうございました」

 

「もし、もしだよ?君に異族と戦う意志があるのなら私の名前を呼んでね。胸の高鳴りを感じるでしょ?」

 

「う、うん」

 

 

グランテピエに言われた通りに胸の奥がトキメクような、騒めくような気がする。

 

 

「これはキラーズとバイブスが繋がる前兆。だけど、まだ君は幼いから」

 

 

そう言って僕の頭を撫でてくれた。

 

 

「また会えるよねお姉ちゃん」

 

「うん、約束だよ。私はまた君に会いに来る。絶対のぜーったいだよ」

 

 

そう言ってグランテピエは僕に笑顔を見せてくれた後、背を向け歩き出した。

 

 

「またね、お姉ちゃん」

 

 

去ってゆくグランテピエの背を見えなくなるまで見送りようやく僕は教会へと入ろうとした。

 

 

「えっ?」

 

 

僕は確かに教会のドアを開こうとしたのだが僕の手はドアに触れる事はなかった。それどころか空間が、全てが歪んでいっているような気がする。

 

 

「な、何がどうなっているの、、?」

 

 

目まぐるしく世界が揺れ動くような。例える事ができない現象が起こりやがて目を開けているのにも関わらず視界が消えてゆき最後に誰か女の人の声が頭の中に聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(おい、起きろ!授業中だぞ!)

 

「ふぇ?」

 

(怒られるって!)

 

 

僕は隣の席の人に肩を揺らされ目を覚まし、眠た眼で起こしてくれた人を見るとその人は忙しなく指を前に向かって指していた。

 

 

「前ってこと?あたーーっ!!」

 

「授業中に私語は慎む様にと何度も言っているわ」

 

 

前を向くと同時に頭に教科書の角が当てられ頭をさすりながら見るとそこにはフラガラッハ先生の姿が。

 

 

「ごめんなさいフラガラッハ先生」

 

「それと居眠りも禁止よ。美しい私からつい目を逸らしたくなるのは分かるけれど」

 

「ごめんなさい。美しいフラガラッハ先生に見惚れていたらつい瞼が重くなっちゃって」

 

「あぁこの美貌を持つ私が教壇に立つ事が罪なのね」

 

「せんせー早く授業を続けて下さーい」

 

「私の美しい授業を熱望する生徒に応えない訳にはいかないわ。それがどれ程に罪な事だと分かっていても」

 

「せんせー決めポーズよりも授業をお願いします」

 

 

僕のせいで調子が上がったフラガラッハ先生は美しいポーズを惜しむ事なく見せてくれた。その為、授業は中断しているのだけど。

 

 

「あら、もう終わりの時間ね。次はテストだから今回の授業の復習をしっかりとしておいてね」

 

 

チャイムが鳴りフラガラッハ先生は荷物を片付け頭を下げると教室を出て行ってしまった。

 

 

「おい、お前が寝てたからだぞ」

 

「あはは、、ごめんなさい」

 

 

隣の人に小言を言われ謝りほっと一息。

 

 

「それにしても良く寝てたな。寝るの遅かったのか?」

 

「いつも通り10時には寝たんだけど、、暖かいからかな?」

 

 

季節は冬を過ぎ春へと。教室の窓から外を見ると桜が蕾を付けているのが見える。

 

 

「もうすぐ卒業だしちゃんとしてろよ」

 

「うん、ありがとね」

 

 

友達に言われ次の授業の準備をしてゆくのだけどさっき見ていた夢が頭から離れず手が動かない。

 

あれは夢だったのだろうか?それにしてもリアルだったし目を覚ましたのにまだ鮮明に覚えている。

 

しかし、僕には姉は居ない。

 

 

「ねぇ、見た夢ってこんなに覚えているものなの?」

 

「何の話だ?」

 

「なんかさっき見てた夢をまだ覚えてるんだよ。夢にしてはリアルだったし」

 

「あー?とりあえずお前は帰ったらすぐ寝ろ」

 

「ふむ」

 

 

痛い子を見る様な目で見られただけで僕が望んだ返事はもらえなかった。僕も夢の話をされたらそうなるだろうと思い納得のいかない納得をする事に。

 

 

それから少しの時が流れ僕はラグナ教会の奏官試験に受かり奏官証明書をもらう事ができた。

 

 

「はい、これが君の証明書だよ」

 

「ありがとうございます」

 

「それと後で君のバイブスと適合したキル姫と会ってもらうから少し待っててね」

 

 

そう学院長を務めるラグナロクに言われてその場で待つ事に。

 

 

「よっ、お前も受かったんだな」

 

「うん、君も受かってて良かったよ」

 

 

席が隣だった人もこの場に居てキル姫が来るまでの間おしゃべりを。たわいのない話だったり将来の事だったり。

 

 

「それで、お前は何で奏官目指したんだ?」

 

「それは、、なんでだろ?」

 

「俺に聞くなよ」

 

 

そう言われてみれば僕が奏官を目指した理由って何なのだろう?世界の平和の為?お金を稼ぐ為?そんな理由じゃなかった気がする。

 

 

「お前、、そんな心構えで奏官やってたら死ぬぞ」

 

「僕もそんな気がしてきた、、」

 

 

実際のところ奏官になったから異族と戦わなければいけないという訳では無い。キル姫と飲食店を営んだり教会の事務員をしている人も居るし。

 

 

「じゃあ君はどうして奏官になったの?」

 

「俺は昔奏官に助けてもらった事があるんだ。その人みたいになりたくて」

 

「良い理由だと思うよ」

 

「あんたが私のマスターな訳?絶・頼りにならなさそう」

 

 

僕たちの会話を遮り青髪の女の子が入ってきた。

 

 

「あぁ?もう一回言ってみろ」

 

「何回でも言ってあげるわよ。頼りなさそうなマスターって」

 

「よし、表でろ」

 

「2人とも喧嘩はダメだよ」

 

「「だってこいつが!」」

 

 

今にも殴り合いそうな2人の間に入った水色髪を腰まで伸ばして耳の上に黒いリボンを付ける大人な女の子。2人の間へと入ると手を2人の頭に乗せよしよしと撫ぜている。

 

 

「お、お姉ちゃんっ、、絶・恥ずかしいってば、、」

 

「ちょ、、誰だ!?」

 

「私はグランテピエ。アルマスのお姉ちゃんだよ。そして」

 

 

グランテピエと名乗った人は僕の方を向き一呼吸置いた。

 

 

「マスター君のキル姫、だよ♪」

 

 

大人な顔立ちは笑うと子供の様に無邪気で可愛らしい。

 

 

「今日からよろしくねグランテピエ」

 

「うん、よろしくねマスター君」

 

 

2人の頭から手を離すと僕に向かい手を伸ばしてくれた。僕は伸ばされた黒いグローブを付ける手を握り握手を交わす。

 

 

「それと私の妹をよろしくね。すぐ意地を張ったり頑固だけど優しい子だから」

 

「分かった。ならそいつを頼む。気が抜けた奴だが根はいい奴だと思う」

 

「「・・・・」」

 

 

2人に言われて僕とアルマスは困り顔をしていた。それから少しおしゃべりをして新人奏官が借りれる教会の寮へと来ていた。

 

 

「ふぅ、なんだか新生活が始まるって気分だね♪」

 

 

グランテピエが言う様に新しい環境で新しい場所。全てが新しく新鮮で胸が高鳴る。

 

 

「じゃあ、、何からしよっか?」

 

「そうだね、、必要な物から揃えよっか」

 

 

部屋を一通り見たグランテピエが言う。生活に最低限の家具は置いてあるのだけど必要品は一つも置いていなかった。

 

そんな訳で僕はグランテピエに手を引かれサフランの街の商店街へと来ていた。

 

 

「こんなに賑わっているんだね」

 

「はぐれたらダメだよ?迷子にならないようにね」

 

 

平日のお昼時にもかかわらず商店街は多くの人で賑わいごった返す。そんな街をグランテピエと歩んでいた。

 

 

「何を買おっか?」

 

「一応買う物はメモしてあるけど。マスター君は嫌いな食べ物ってあるかな?」

 

「特にないよ、なんでも食べれる」

 

「じゃあ今夜は私がご飯を作ってあげるね。何をつくろっかなー」

 

 

取り出したメモ用紙を指に挟み笑顔を向けてくれた。

 

 

「いつのまにメモしたの?」

 

「部屋を見ている時だよ?ほら、ちゃんとメモしておかないと買い忘れしたり余計な物まで買っちゃうじゃん」

 

「しっかり者なんだね。僕はいつも余計な物まで買っちゃうよ」

 

「マスター君は奏官になったばっかりだし、しっかり私がサポートしないとね♪」

 

 

そんなグランテピエに手を引かれ量販店へと入ってゆく。

 

 

「うわ、、」

 

 

入り口から入るとすぐに高く積まれた商品の山がありその間を人々が売り物を見ながら歩む姿が。この光景を例えるならジャングル探検だろう。

 

 

「ほーら、こっち、だぞ」

 

 

こんな商品のジャングルの中でもグランテピエは迷う事なく買う予定の商品を探し出しカゴへと入れてゆく。

 

 

「マスター君はパジャマどれが良いかな?」

 

「んー寝心地が良さそうなのかな?」

 

「じゃあこれかな?」

 

 

黒のスエットを棚から取ると僕の身体に合わせサイズを測り笑顔でカゴの中へ。

 

 

「グランテピエもパジャマ買うよね?」

 

「うん。どれにしよっかなー?」

 

「僕が選んで良い?」

 

「良いよー?」

 

「じゃあこれで」

 

 

僕が選んだのは薄緑色のスエット。グランテピエがしてくれた様に身体に合わせサイズを測りカゴの中へ。

 

 

「あとは何を買う?」

 

「えっとね、洗剤と石鹸と食材とぐらいかな?マスター君は欲しい物あるかな?」

 

「んー?」

 

 

そう聞かれ考えるけど特に欲しい物は思い浮かばず何も買わない事に。それから買い物を続け日が傾き始めた頃、買い物を終えて寮へと帰ろうとしていた。

 

 

「ふぅ、たくさん買ったね」

 

 

2人の手に買い物袋を2つづつぶら下げて帰ってゆく。

 

 

「マスター君疲れたでしょ?私がやるから椅子に座ってて良いからね」

 

「大丈夫だよ。何か手伝うよ」

 

「お姉さんに任せて?家事は得意だから、ね」

 

 

結局僕は椅子に誘導され家事を行うグランテピエの姿を見ていた。家事は得意と言ったように手際良く動いている。

 

お米を炊きその間に買ってきた物を配置してそれが終わるとおかずを作り始めて。時間を無駄にする事なく動いている。

 

ここまで手際が良いと僕のやる事は無く椅子に座りながらグランテピエの姿を見ている事しかできなかった。

 

 

「お待たせ。お腹空いてるかな?」

 

「空いてるよ。ありがとね」

 

 

気づけばテーブルの上にはご飯が並べられていて手を合わせていた。

 

 

「ほーら、ほっぺにご飯粒つけてるぞ」

 

「ほえ?」

 

「そっちじゃなくて」

 

 

僕が右頬を触るとグランテピエの手が左頬に伸び付いていた米粒を取るとそのまま口へと運んだ。

 

その様子を恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら見ていた。

 

 

「どうかした?」

 

「い、いえ、ナンデモアリマセン、、」

 

 

そんな僕とは違いグランテピエは不思議そうな顔をしながらご飯を食べていた。

 

それからご飯を食べ終わり食器を片付け洗おうとした時また僕はグランテピエに止められていた。

 

 

「私が洗うから良いよ♪マスター君はゆっくりしててね」

 

「でもこれぐらいさせてよ。ほら、グランテピエこそゆっくりしてなって」

 

 

グランテピエに椅子に座ってもらいテーブルの上にお茶を置くと困った顔をみせた。

 

 

「もう、、じゃあお言葉に甘えさせてもらおっかな?」

 

「うん、甘えててよ」

 

 

結局泡で手を滑らせお皿を割って余計な心配をかけたのは内緒。

 

 

グランテピエと出会ってから八時間ほどが経ちなんと無くグランテピエの事が分かってきた気がする。彼女の事を一言で言うのなら『姉』であると。

 

身の回りの事はほとんどしてくれて僕の事を気にかけてくれる。僕に姉は居ないから姉という存在へ幻想を持ちすぎかも知れないけどグランテピエは理想の姉であろう。

 

 

「じゃあマスター君おやすみ。もし何かあったら私に言ってね?」

 

「うん、おやすみ。大丈夫だよ」

 

 

寝る挨拶をして各自自室へと入り僕はベッドへと寝転がった。

 

 

(グランテピエか)

 

 

寝転がりながら僕の元へと来てくれたグランテピエの事を考えていた。グランテピエは容姿端麗であり大人なお姉さん。それに比べて僕は10代半端の新米奏官。そう思えば子供扱いされるのは仕方のない事かも知れない。

 

それにしても。

 

 

(・・・・)

 

 

あんまり女性と過ごした事のない僕は女性と同じ部屋で暮らす事にドキドキとしていた。世間一般的に見てもグランテピエは可愛いと言われると思うし僕も可愛いと思う。

 

それに湯上がりに暑そうに髪を上げる姿とパジャマに透けるキャミソールは目に焼き付いている。

 

何が言いたいのかというとムラムラしているのだ。

 

しかし、これから共に過ごすグランテピエをオカズにするのは抵抗感があり明日顔を合わせた時気不味いのは分かりきっている。

 

 

(よし、落ち着け、グランテピエはやめよう。とりあえず準備だ)

 

 

『致す』為の準備をしようとティッシュ箱に手を伸ばすともう開封されていて一枚のティッシュが伸びていた。神の様な気遣いにグランテピエで抜かなければ失礼という謎の結論をだしパジャマ姿から妄想を初め『致した』。

 

 

 

次の日、僕はドアをノックする音で目を覚まし寝ぼけながら返事をしていた。

 

 

「マスター君おはよー。朝食の準備ができたから早くおいで」

 

「・・・はーいちょっと待っててね」

 

 

まだ寝ぼけている頭は女の人に起こされた事に混乱し声の主がグランテピエだという事を認識するのにちょっとかかったけどベッドから起き上がりリビングへ行こうとする。

 

 

(やべっ)

 

 

なのだけどズボンを押し上げる朝立ちにリビングへと行けなくなっていた。普通に考えてこんな姿を見られたくはないしグランテピエも見たくはないだろう。しかし呼ばれている以上リビングへ行かなければならない。

 

焦る気持ちとは裏腹にズボンを押し上げるモノは萎える気配がない。

 

 

「マスター君ー?大丈夫?」

 

「だ、大丈夫だよ!すぐ行くから!」

 

 

2回目の僕を呼ぶ声が聞こえ部屋を出ない訳には行かなくなり覚悟を決めドアを開けリビングへ。

 

 

「おはよ♪朝食はパンとコーヒーで良かったかな?」

 

「お、おはよ、、」

 

 

リビングへと入ると黒いTシャツ姿でコーヒーを飲む姿が見えた。少しオーバーサイズのTシャツはグランテピエの腰まで隠し生足が椅子から床へ向かい伸び灰色のソックスが足を包む。

 

もしかしてズボンを履いていない?もう少し角度がズレたら下着が見える。

一度始まった妄想は膨らむばかりで股間は朝立ちとは違う勃ち方をし始めた。

 

 

「マスター君?どうかした?」

 

「えっ?あっ、、いや、、。まだちょっと寝ぼけてるみたい」

 

「あはは、マスター君は朝弱いんだね。大丈夫だよ、いつでも朝ごはん食べれるようにしておくからね」

 

 

飲みかけたコーヒーカップを机に置くと立ち上がりキッチンへ。

 

立ち上がった瞬間、僕はひらりと舞い上がったTシャツの奥を凝視した。そこには白のストライプが入ったホットパンツがちらり。

 

 

残念を通り越し悔しさが渦巻く中、食パンをトースターに入れ焼き上がるまでにコーヒーを淹れカウンターへと置いていた。

 

 

「マスター君、食パンはマーガリン?それともジャム?」

 

「まーがりんでお願いします」

 

 

チンっと音がするとトーストを取り出しカリカリとマーガリンを塗りお皿に乗せると先ほどカウンターに置いたコーヒーと共に僕の前に置いてくれた。その後、フレッシュとシュガーが届けられた。

 

 

「いただきます」

 

「はい、どうぞ。食べながらで良いから私の話を聞いてね。マスター君はどうするつもりかな?私と異族討伐に出る?それとも教会の事務仕事をしたいのかな?」

 

「ん、、グランテピエはどうしたい?」

 

「私はマスター君の意思に従うよ。選ぶのは私じゃなくてマスター君だから、ね」

 

「僕は・・・」

 

「返事は今じゃなくて良いよ、今日の夜にまでにくれれば良いから。それまでにちゃんと考えて答えを出してね」

 

「うん、分かったよ」

 

 

そんな話をしながら朝食を食べ残りのコーヒーを飲みながら考えていた。確かに教会の事務員となれば生活は安定するし身を危険に晒す事は無い。

 

異族討伐の任務を受ければいつ死ぬかは分からないが、その分高い報酬が貰える。

 

 

「あのさ」

 

「どうしたの?」

 

「グランテピエって強いの?」

 

 

僕の素朴な疑問である。姉成分はかなり強いが戦闘力はどうなのかと。

 

 

「うーん、、これでも私はキル姫だよ?異族とだって戦えるし魔獣だって。でもこれは戦う私を見ないと分からないか」

 

 

そう言って悩む顔をし何かを閃いたような笑顔を見せた。

 

 

「朝ごはんを食べたら任務を受けてみよっか」

 

「大丈夫なの?」

 

「難易度の低い任務を選ぶし、マスター君の事は私が必ず守るからね。絶対のぜーったいだよ」

 

 

ルビーの様に輝く瞳を見るとグランテピエとなら大丈夫という安心感が湧いてくる。そのため僕は返事をして残りのコーヒーを飲み干した。

 

 

「じゃあ行こうか。忘れ物はないかなー?」

 

「大丈夫だよ」

 

 

いつのまにか部屋着から戦闘服に着替えていたグランテピエ。ラフな格好から着替えただけなのに勇ましさが段違いだ。

 

 

「どうかしたのかな?」

 

「うんん。行こっか」

 

 

グランテピエと並んで歩き任務を受けに教会へ。

 

任務を受ける手順として教会前の掲示板に張り出されている依頼票を読み任務を選び気に止まった依頼表を受け付けに渡すと受けられる様で。

 

 

「どれにしよっかなー?」

 

 

現在の時刻は午前10時をちょっとすぎた頃。その為残っている任務票は難易度が極めて高いか極めて低いかの両極端となっている。ちなみに任務報酬は異族の討伐数と種類による様だ。

 

 

「初めてだしこれにしよっか」

 

 

グランテピエが持ってきたのはサフラン郊外に現れた異族二匹の討伐。この場所はここからでも歩いても30分程で着く距離だ。

 

グランテピエが持ってきてくれた案件を受注し2人で異族出現地まで向かう事に。

 

 

「奏官って何をしていれば良いの?」

 

「どういう事かな?」

 

「えっと、僕たち人間は異族と戦えないからグランテピエが戦っている時に何をしていれば良いのって」

 

「私への指示と状況判断と伝達。それと周囲の警戒かな?手配書は正確な情報が書かれているけど過去の情報だから場が変わっている事があるの。マスター君は戦況を判断しながら私のサポートだね」

 

「難しそうだね、、」

 

「だからこうやって難易度の低い任務を受けて場慣れしていくんだよ。私も戦闘に集中しないとだから気が回らない時もあるかもしれないしさ」

 

「二人三脚って事だね?」

 

「そういう事だね♪マスター君と私の連携がちゃんとできていればどんな任務もこなせるから、ね」

 

「まだ不慣れだけど頑張ってみるよ」

 

 

それからしばらく歩き異族出現地の近くまで来ていた。

 

 

「よし、そろそろ準備だね。マスター君地図は見れるかな?」

 

「うん、大丈夫」

 

 

地図を地面に広げ歩いて来た方角と照らし合わせ大体の位置を出す。見上げると笑顔のグランテピエ。

 

 

「うん、合ってるよ♪ここから異族出現地まで後5分くらいだけどマスター君はどう私に指示を出す、かな?」

 

 

ルビーの様な瞳は僕を真っ直ぐに見据える。敵は少数だとはいえ命掛けの任務には変わりは無い事を諭すよう。

 

 

「ん、、まずは周囲の見渡してもらって依頼書通りなのかを確認。それから、、」

 

「それから?」

 

「異族を見つけたら速やかに叩いてもらう」

 

「あはは、だいたい合ってるよ。えらいえらい」

 

 

褒めてもらえたけどなんだか微妙な褒められ方をしている。

 

 

「戦闘スタイルは奏官とキル姫によって異なるから明確な答えは無いけど。私達も私達に合ったスタイルを見つけようね」

 

「うん。そうだ、グランテピエは武器は何を使うの?」

 

「私は槍、だよ。待っててね今出すから」

 

 

槍を出す?カタツムリか何かかと思っていると既にグランテピエの手には黒い槍が握られていた。

 

 

「どうやって出したの?」

 

「この槍は私の神器だからキラーズと結びついているの。私が意識すれば幻出するんだ」

 

「さいですか、、」

 

 

考えても理解はできそうに無いので考えるのをやめる事に。

 

 

「じゃあグランテピエの戦闘スタイルはどうなの?」

 

「私は1対1の戦いが好きかな?だけど複数が相手でも負けないよ♪」

 

「なるほど?」

 

「じゃあマスター君、本番に行ってみようか。もう少し話してたかったんだけど、、」

 

 

グランテピエが僕から視線を外し槍を構え向こうを向いた。その先にはこちらへ迫る二匹の異族の姿。

 

 

「迂闊だったね。匂いで私達に気がついたんだ」

 

 

叫び声を上げながら迫る異形の捕食者に背筋にゾクゾクと寒気が起きる。だけど、槍を構えるグランテピエの後ろ姿を見ていると不安は消えてゆく。

 

 

(相手は二匹、武器は剣。戦型種。いける)

 

「?」

 

 

ふと前から小声が聞こえその後すぐに大地を蹴りグランテピエは走り出し迫る異族の前へと立つ。

 

 

「すごい、、」

 

 

グランテピエの戦い方は凄いの一言だった。異族は剣を使用していたのだけど槍というリーチを活かし迫る異族の首元へ穂先を突き刺し遠心力で喉元を裂く。

 

返す穂先は空を滑り異族の喉を掻っ切り血飛沫があがる。

 

瞬く間に二匹の異族を蹴散らし振り返ったその顔はお酒を飲んだ様に赤らみ何処かエッチな表情を浮かべていた。

 

 

「お疲れ様。強いんだね」

 

「お姉さん強いんだよー?じゃあ帰ろっか」

 

 

最後に辺りを見渡し僕達は教会へ任務完了の報告をしに行く事に。

 

 

「お疲れ様でした。こちらが今回の任務の報酬となります」

 

 

教会の受付に任務完了の報告をするとお金が貰えた。今回の任務、異族二匹討伐で三万ゼニーだ。

 

 

「よし、じゃあ買い出しにいこっか。たくさん歩いたからお腹空いたでしょ?」

 

「うん、いこっか」

 

 

報酬を財布に入れて笑顔のグランテピエと共にスーパーへ。

 

 

グランテピエが闘う姿を見て分かった事がある。彼女は強い、と。武器を持つ異族二匹を相手にしてもグランテピエは傷一つ付ける事なく倒し疲れた素振りすらない。彼女とならどんな敵が相手でも無事でいられる気すらする。

 

とんとんとまな板の上の食材を切り分ける姿を見ながらそんな事を思っていた。

 

 

「グランテピエ」

 

「どうしたの?もうすぐご飯できるからね」

 

「僕も手伝うよ。グランテピエも疲れたでしょ?」

 

「私なら大丈夫だよ♪それより私への答えは見つかったかな?」

 

「もう見つかったよ。だから手伝うね」

 

「うん♪じゃあお湯を沸かしてもらおっかなー?」

 

 

グランテピエの指示を受けながら料理を手伝いしばらくして僕達は料理が並んだテーブルへと座っていた。

 

 

「「いただきます」」

 

 

挨拶をしてから無言でご飯を食べ、しばらくがした時グランテピエが口を開いた。

 

 

「マスター君の答え、聞かせてくれるかな」

 

「うん、僕はグランテピエと異族討伐に行きたい。まだ頼りない僕だけど着いてきてくれるかな、、?」

 

「うん、私こそよろしくね。一緒に頑張ろマスター君♪」

 

 

テーブル越しに見せてくれた無邪気な笑顔に僕まで笑顔になってしまう。

 

 

 

その次の日から僕とグランテピエの異族を討伐する毎日が始まった。最初は二匹の異族討伐だった任務を三匹、四匹と数を増やし近場だけではなく遠征に出たりと。

 

その頃にはすっかりと任務にも慣れ一人前の奏官に近づけたと思っていた。

 

 

「ふぅ、討伐完了だね♪」

 

「ありがとうグランテピエ。帰ろっか」

 

「その前に、だぞ」

 

 

討伐完了後のフィールドを見渡し打ち損じが無いかを確認。おおよそ5分フィールドを監視し帰路へと。

 

その後一緒にご飯を作りテーブルを囲む。出会った最初の頃はグランテピエに頼りっきりだったけど今では少しは自立できてると思う。

 

 

「どうかしたマスター君?」

 

「んーん?なんでもないよ?」

 

「ほーら、ご飯粒が頬っぺたに付いてるぞ」

 

 

僕が米粒を取る前にグランテピエの指は米粒を取りそれをグランテピエは口に運んだ。その姿にまた赤面をするのだけど。

 

 

「僕ってそんなに子供かな?」

 

「そんな事ないよ?出会った時に比べたらマスター君はしっかり者になったし。あはは、私がお世話を焼きたがるからかな?」

 

「嬉しいけど、、」

 

「けどなーぁに?ご飯食べながら頬っぺたにご飯粒付けてるようじゃまだまだ子供だぞ」

 

 

そう言ってグランテピエは僕のおでこに指を当てると笑顔を見せた。きっと僕はグランテピエに敵うことは無いっとこの時思った。

 

 

「さっ、明日に備えて片付けて寝るよ」

 

 

自分の食べた食器を持ってゆく姿を見て残っているご飯を慌てるように食べ始めた。

 

 

それからしばらくしてシャワーを浴びリビングでお茶を飲んでいるとグランテピエが戻ってきた。

 

 

「ふぅさっぱりした。はい、お茶ってもう飲んでるね」

 

「あ、ありがとう、、」

 

 

そこにはドライヤーをかけ終わり暑そうに手で顔を仰ぐ姿。それは良いのだが白いパジャマに黒のキャミソールが透けて見えるのがなんとも目のやり場を困らせる。

 

 

「もう暑くなってきたから水筒持って行かないとね。熱中症は怖いから気を付けないと」

 

「明日塩飴でも買う?」

 

「そだね♪備えあれば憂いなし。だぞ♪」

 

笑いながら席へと座るとお茶を飲みながらにこにこと僕を見つめてくれる。

 

 

「どうしたの?」

 

「んーんー。私とマスター君って何処かで会った事あったっけ?」

 

「無いはずだよ?教会で出会ったのが初めてだと思う」

 

「そうだよね。なんだかマスター君を一目見た時から何処かで会ったような気がしてたからさ」

 

「思い違いじゃないかな?それかバイブスとキラーズが繋がったからそう思ったのかも?」

 

「なのかな?さてと」

 

 

そう言ってグランテピエはキッチンへとコップを置きに行くと冷蔵庫を開け何かを取り出し戻ってきた。

 

それをテーブルの上に置くとプルタブを起こし心地良い開栓音を響かせると口へと運び盛大なため息をこぼした。

 

 

「お酒飲むんだね」

 

「たまにね。明日の任務に支障がない程度にだよ」

 

「僕にもちょうだいよ」

 

「ダメだよ。マスター君はまだ未成年だから。もう少ししたら一緒に飲もっか」

 

「それ後四年ぐらいあるんだけど、。って目の前で飲まれたら飲んでみたくなるよ」

 

「じゃあ、、一口だけ飲んでみよっか♪」

 

 

そう言ってグランテピエは笑顔で缶を僕に向かい差し出した。そこには手に握られ水滴が滴る缶。水滴により書かれたレモン酎ハイの文字がぼやけるが問題はそこではない。

 

笑顔で差し出された缶を受け取らない訳にもいかず僕は受け取り、唾を飲み込んでから缶に口を付け一口飲んだ。

 

 

初めて酎ハイを飲んだ感想は思っていたよりもお酒感は無い。甘酸っぱいレモンのジュースが少し飲み辛くなった感じ。

 

 

「あはは。マスター君顔真っ赤だよ?お酒弱いんだ?」

 

「そうかもね?」

 

 

缶を返すとグランテピエはそのまま口に運び笑顔を見せてくれた。僕が顔を赤くしている意味なんて知らないように。

 

 

 

「さっ、そろそろ寝るよ。明日も任務頑張ろうね♪」

 

 

缶を傾け飲み干すとそのまま流し台へと行き缶を流し笑顔を見せてくれた。

 

 

「うん、おやすみ」

 

「おやすみなさいマスター君」

 

 

その日の晩、グランテピエと間接キスをした事をオカズにしたのは言う必要もないだろう。

 

 

僕とグランテピエは仲は良いと思う。任務の行き帰りはもちろん家でも会話が続き喧嘩なんてした事は無かった。

 

でも、たまに壁を感じる事がある。それは僕だけかもしれないけど。

 

 

「どうしたのマスター君?」

 

「うんん、僕も手伝うよ?」

 

「ふふ、気持ちは嬉しいけど私がやるから大丈夫だよ?マスター君は休んでてよ」

 

「大丈夫だからさ」

 

 

グランテピエはお姉さん気質だ。僕の事を弟の様に接し自分で全てをやろうとする。たまには頼ってもらいたいのだけど。

 

 

「ほら、グランテピエに教えてもらったから料理も作れるし家事だってできるよ。座っててよ」

 

「でも私はマスター君のお姉さんだから。私がしっかりしないとね」

 

 

任務で戦闘を行うのはグランテピエだ。今日も10を超える異族を1人で倒し長距離から帰ってきた。それでもグランテピエは家事を行うと言い1人キッチンへと立ち料理をしながら家事を行い手伝いはいらないと言う。

 

 

「じゃあ、洗濯物僕が干すよ。その間グランテピエは料理をお願い」

 

「ん、、分かったよ。もうすぐ洗濯機終わるから終わったらお願いしよっかな」

 

 

そう言った時電子音が聞こえ洗濯が完了した事を伝える。僕はすぐに取りに行き洗濯物をかごに詰めリビングに干そうとする。

 

 

「・・・」

 

 

その時、グランテピエの下着を干す事となり目のやり場に困る事になった。思わず下着とグランテピエを見比べ邪な妄想まで。

 

黒のレースが付いた下着を無心で干し、全ての洗濯物を干し終わる頃にはグランテピエは料理をテーブルに並べていた。

 

 

「「いただきます」」

 

「マスター君ありがとね。おかげでご飯作るのに専念できたよ」

 

「僕にできることなら頼ってよ。僕だってグランテピエの力になりたい」

 

「ありがとね。そうだね、じゃあ・・私もマスター君に頼っちゃおっかな♪」

 

 

少し照れ臭そうに笑うグランテピエが可愛かった。その日から家事は分担制となりグランテピエの負担は減った、と思う。

 

 

「どうしてマスター君は奏官になろうと思ったの?」

 

「なんでだろう?気がついたら奏官になろうとしてたよ」

 

「なにそれー?でもマスター君が奏官にならなかったら私たちは出会えなかったね。そうだ、こないだ読んだ雑誌に書いてあったんだけど仲良くなれるおまじないやってみる?」

 

「おまじない?」

 

「そう。どう?やってみない?」

 

 

テーブルを挟み酎ハイを飲むグランテピエと話している時にそんな事を言われなんとなくその提案になっていた。

 

 

「じゃあ手を出して」

 

「こう?」

 

「うん、それは三つあるんだけど、最初は握手だよ♪」

 

 

そう言うと僕が伸ばしていた手はグランテピエの手に包まれた。戦場で長槍を振り回す手は柔らかくて温かくて、普通の女の子みたいな手。

 

 

「じゃあ次は、、」

 

 

手を解くと椅子から立ち僕の横へ。そして僕に立てと言う。

 

 

「次は、ハグ、だよ♪」

 

 

僕の脇腹に両手を回し上目遣いで僕を見上げた。その視線に、これからされる事に心臓の鼓動が早まり、ズボンがナニに押し上げられるがグランテピエはお構いなしに身体を密着してくれた。

 

 

「緊張してるの?凄く心臓がドクドクしてるぞ」

 

「う、うん、、」

 

「次で最後だよ」

 

 

そう言ってグランテピエは身体を離すと上目遣いの瞳を閉じ唇を尖らせた。

 

 

「ほら、女の子を待たせる男の子は嫌われるぞ」

 

 

この言葉でグランテピエの言葉の意味を理解し油の切れたロボットの様にぎこちなくグランテピエの唇へと目を瞑り顔を近づけた。

 

 

「そこは鼻だよ?ほら」

 

 

僕の唇は鼻に触れた様で。その後グランテピエに顔を抑えられ唇に唇が一瞬触れ、すぐに離された。

 

 

「ふふっ。これで私とマスター君、仲良くなれたかな?」

 

 

微笑むグランテピエに僕は赤面しながら俯く事しかできなかった。その日の晩、僕はアホみたいに『致した』。ファーストキスがこんな形だったけど後悔は無い。

 

 

奏官業とは、任務を受けなければその日は休みとなる。僕とグランテピエは最近任務を受けてばっかりだったのでグランテピエの一言で旅行の計画を立てていた

 

 

「任務ばっかりだと疲れちゃうからね。たまには羽を伸ばそっか」

 

 

本日の任務の帰りに任務の完了報告をした後に教会に寄り旅行のパンフレットを何枚か貰いご飯の後に2人して読みふけていた。

 

 

「クレナイの方って観光地になってるんだね。知らなかったよ」

 

「サフランと違って自然もたくさん残ってるしたまには都会から離れるのも良いかなって」

 

 

旅行先はクレナイに決まり次は旅館を探す事に。パンフレットを見るがどの旅館も同じ様な感じでメインは温泉の様だ。さりげなく混浴の温泉がある旅館を探すのだがその様なものは無くちょっとがっかり。

 

 

「マスター君は行きたい旅館見たかったかな?」

 

「んーどこも一緒みたいだしサフランに近い所で良いかな?」

 

「じゃあこの旅館にしよっか。サフランから近いし部屋からの景色も良さそうだしさ」

 

 

旅館が決まると早速グランテピエは旅館へと電話をかけ部屋を予約していた。流石の段取りの良さである。

 

 

「旅館でご飯も食べれるし持ち物は着替えぐらいかな?」

 

「そうだね?2人分の着替えが入るカバンってあった?」

 

「無かったと思う。じゃあ買いに行くぞ♪」

 

 

旅行先も決まりテンション高めなグランテピエは椅子から立ち上がると笑顔で僕へと手を伸ばす。その手を取り立ち上がり量販店へ買い物へ行く事に。

 

 

「カバンは背負える方が良いよね。私とマスター君1人一つにしよっか?」

 

「そうだね?」

 

「ついでに水筒も買わないと」

 

「塩飴も買おっか」

 

 

そんな事を話しながら店内をうろうろと。ここに初めて来た時は迷子になりそうになったけどグランテピエと何回も来ているから迷子になる事はなく店内を歩き回る事ができている。

 

 

「それと、、後いるものは」

 

 

いつのまにか書いていたメモを見ながら買い物をしてるグランテピエの後ろを歩いていた時に僕の目は棚に陳列されているコンドームを見つけた。

 

コンドームといえば避妊具であり性行為の時に使うものだ。

 

 

「・・・」

 

 

前を歩くグランテピエの背中とコンドームを交互に見ていたが、身近な女性であり姉と慕うグランテピエとするなんて。したくないと言えば嘘になるけども。

 

 

「何を見ているの、かな?」

 

「えっ?いや、えっと、、。そう!怪我した時の為に絆創膏を見てたんだよ!うん!」

 

「確かにそうだね♪じゃあ一箱買っておこっか♪」

 

 

コンドームが置いてある棚の二つ上の棚に合った絆創膏を咄嗟に見つけ出し手に取るとカゴの中へと。グランテピエが振り向いた後、一瞬だけ名残惜しむ目線をコンドームに向けた後グランテピエの背中を追いかけてゆく。

 

 

「何見てるの?」

 

 

僕が追い付いた時にはグランテピエは棚を見ていてその視線を辿るとシリコン素材のリストバンドが多々並んでいた。

 

 

「お揃いでどうかな?って思ってさ」

 

「買お買お!何色にしよっかな?」

 

 

グランテピエの思わぬ提案にテンションは上がり色とりどりのリストバンドを物色。

 

 

「じゃあこの色にしよっか♪」

 

 

濃い青色のリストバンドを二つカゴに入れてレジへと向かってゆく。

 

 

 

「ふぅ、さっぱりした♪」

 

 

その日の晩、お風呂上がりにお茶を飲んでいるとシャワーを浴び終えたグランテピエがリビングへと戻ってきた。

 

 

「・・・」

 

 

のは良いのだが黒のキャミソール一枚着ただけで室内をうろつくのはやめてもらいたい。

 

 

「お茶は飲んでるね?」

 

 

そう言って冷蔵庫へと行くと缶酎ハイを一缶持って僕の前へと座りぷしゅっと開栓。

 

 

「旅行楽しみだね♪」

 

「そうだね。グランテピエはこの世界を回った事はあるの?」

 

「あるよー?私は昔、ディスラプターズってチームのリーダーだったんだ。その時、世界の安寧を守る為にこの世界を飛び回ってたんだから」

 

「だからそんなに強いんだ」

 

「ふふ、そうかもね」

 

 

そうは言っても目の前でキャミソール姿で酎ハイを飲む姿を見ると強そうには見えない。

 

 

「そうだ、この世界がもっと平和になったら旅をしようよ。この世界にはまだ私も見た事がない事が沢山あるから」

 

「うん良いよ。旅、かぁ」

 

 

まだ知らない事に思いを馳せようとするのだけど目の前のキャミソールの膨らみから目が離せそうにない。

 

 

「じゃあ今日も仲良くなれるおまじない、しよっか」

 

 

酎ハイを一口飲むと立ち上がり僕の方へと来た。その時、キャミソールの裾から黒い下着がちらりと。

 

 

「どうしたの?」

 

「い、いえ、ナンデモアリマセン。。」

 

 

完全に挙動不審となりながら仲良くなれるおまじないをしていた。

 

 

グランテピエとのおまじないが終わった後少しお喋りをして各自部屋へと戻り、寝る為にベッドへと寝転がりグランテピエの事を考えていた。っても性的な意味なのだけど。

 

僕は女性と関わりが無く、いえば耐性がない。日常会話ぐらいなら良いのだけどグランテピエがキスやハグをしてくれる度にクラクラしている。それにあんな姿で歩き回られたら意識しないのは無理だ。

 

なんて自分に言い訳をしながらグランテピエの体温や胸の柔らかさを思い出しながら『致した』。

 

 

次の日、グランテピエの声で目を覚まし時計を見ると午前9時を時計の短針が指す。寝坊。そう思い布団を跳ね除け慌てながらリビングへと飛び出した。

 

 

「ごめん!寝坊しちゃった」

 

 

頭を下げるとくすくすと笑う声が。

 

 

「ほーら。今日は任務じゃ無くて私と旅行に行く日、だぞ」

 

 

おでこをつんっと指でつつき和やかに笑うグランテピエ。その姿はいつもと違う。

 

 

「お出かけ用に買っちゃった。どう、かな?」

 

 

黒のトップスにジーンズ生地のミニスカート姿。スカートはダブルのベルトで締まり少し動くとおへそがちらり。

 

 

「すごく、、可愛いよ」

 

 

月並みの感想しか言えなかったけどグランテピエは喜んでくれた。

 

 

「朝ごはん食べて少しゆっくりしたら行こっか」

 

 

その姿のままキッチンへと行くとコーヒーを2杯カウンターに置きその後にトースターがチンっと音をたてた。

 

 

(はぁ、、)

 

 

前を歩くグランテピエを見ていたらため息が溢れた。グランテピエは文武両道でありお洒落で可愛くて。その一方で僕はなんの取り柄もない『ざ・一般人』。完璧人間に近いグランテピエと何故バイブスとキラーズが繋がったのか謎だ。

 

 

「どうしたの?せっかく旅行に行くんだから浮かない顔はダメ、だぞ」

 

「ごめんね、ちょっと考え事しててさ」

 

「お姉さんが相談に乗るよ?どんな事で悩んでるのかな?」

 

 

真剣な顔で僕の悩みを聞いてくれようとするグランテピエにそんな事言えるはずもなく、頑張って誤魔化しながら足を進め日が落ちる前には旅館へとたどり着く事ができていた。

 

 

「マスター君は先にお風呂にしたい?それともご飯が食べたいかな?」

 

「んー先にお風呂に入りたいかな?」

 

「じゃあ、、二時間後に部屋に戻る様にお風呂だね」

 

 

部屋にかけられている時計を見るとグランテピエは内線電話でフロントへと電話をし要件を伝え玄関へと歩んでゆく。

 

 

「はい、マスター君の浴衣だよ」

 

「ありがとうね」

 

 

ロッカーから浴衣とタオルを出し渡してくれた。

 

 

「ここの温泉は少し熱めだから長湯をしたらのぼせない様にね?それとお風呂から出たらちゃんとお茶を飲むんだぞ」

 

「大丈夫だよ。じゃあゆっくりしよっか」

 

 

青と赤ののれんの前でグランテピエと分かれ温泉へと。脱衣所で適当なロッカーに脱いだ服を詰め込み温泉へと。

 

 

(おぉー)

 

 

パンフレットで見たよりも実物の岩で固められた温泉は広く心が躍る。はやる気持ちを抑えかけ湯でしっかりと身体を流し湯船へと。

 

 

「あちっ」

 

 

グランテピエが言っていた通りに温泉のお湯は浸けた足に噛みつく様に熱い。徐々に慣らしながら膝から腰へ、お腹から胸。順番に浸かりようやく肩までお湯に浸かった。

 

 

「あぁ〜」

 

 

きっと人類はお湯に肩まで浸かるとあぁ〜って言う様にできている。僕も例外では無く肩まで浸かるとあぁ〜っと声をだしながら足と手を伸ばしていた。

 

 

(ん?)

 

 

リラックスしながら温泉を見渡すと何人かのお客の姿が見える。その多くは腰にタオルを巻いていたり頭に乗せていたり。だが、1人だけ自宅の湯船でくつろぐ様に振る舞う頭に帽子を被る男が居た。

 

ファッションなのかその人の個性なのかは分からないが癖が強い人なのは間違いない。なるべく関わらない様にしようとよそへと顔を向け温泉を楽しんでいた。

 

 

「おい、そこの青年」

 

「は、はい、な、なんでしょうか、、?」

 

 

だが、僕の願い虚しくその男に声をかけられ恐る恐る返事をした。

 

 

「そこは温泉の入り口だ。湯に浸かるのなら別の場所にするんだ」

 

「はい、すいません」

 

 

もっともな事を言われどこに行こうか悩んでいると男に手招きをされ、嫌な気持ちを顔に出さないように男の側へと行く。

 

 

「ただ湯に浸かっているのは退屈でね。しばし俺の話し相手をしてくれないか」

 

「は、、はい」

 

「俺はカルコフェの街でバーを営むしがないマスターだ。お前は、、奏官の様だが」

 

「そうだけど、どうして分かったの?」

 

「ふふふ、お前は良いバイブスを持っている。今はまだ半人前だが自分の才能に気付けば名を馳せるだろう」

 

「おじさんは何者ですか、、?」

 

「言っただろう、しがないバーのマスターだと」

 

 

会話になっている様でなっていない様な。

 

 

「おじさんはどうして温泉でも帽子をかぶっているの?」

 

「俺のトレードマークでね。コイツがないと落ち着かないのさ」

 

 

笑いながらお湯をかく左手薬指に指輪が付いているのが見えた。こんな癖強おじさんでも結婚する事ができるのだと感心すると同時にどんな人が奥さんなのか興味が湧く。

 

 

「おじさんは奥さんと来てるの?」

 

「嫁、か。嫁というよりも雇い主だな。この指輪は俺を繋ぎ止める鎖だ」

 

「ドユコト?」

 

「昔ゲームに負けてね。思えば分の悪い賭けだったよ」

 

 

手のひらで湯をすくうと顔に浴びていた。その顔は言葉とは違いニヤリとしている。

 

 

「さて、俺は先に上がろう。良い時間潰しになったよ」

 

 

そう言って男は立ち上がり笑いながら出て行った。座っていたから分からなかったがこの男、かなりデカい。身長は190はあるであろうし、その肉体は筋肉で締まる。

 

その点、僕の身長は平均だしムキっとはしていない。名前も知らない男の後ろ姿を羨ましいと思いながら見つめ、湯に沈んでゆく。

 

 

しばらく湯に浸かった後、僕は身体を洗い温泉を出ていた。グランテピエに渡してもらった浴衣に着替え待合所でほてった身体を涼めながらグランテピエが来るのを待つ。

 

 

「お待たせ。良い温泉だったね♪」

 

 

しばらくしてグランテピエが来てくれた。暑そうに手で顔を仰ぎ浴衣の帯は緩く締まり浴衣の隙間から下着がちらりと見えた。

 

 

「今出たところだよ。気持ち良くて長湯しちゃった」

 

「私も。それと昔の仲間に偶然会って話し込んじゃった♪さっ、お部屋でご飯食べよっか」

 

 

立ち上がりグランテピエの後ろに付いて歩いてゆく。

 

 

部屋に付き少しのんびりとしているとドアがノックされすかさずグランテピエは返事を。すると料理の乗ったお盆を待った仲居さんがテーブルへと料理を並べてゆく。

 

 

「美味しそうだね♪食べよっか」

 

「うん、いただきます」

 

 

ひさびさにグランテピエが作った料理以外を食べるのだけどグランテピエが作る料理の方が美味しいと思う。それは僕の個人的な意見でこの料理も美味しいのだと思う。

 

 

「たまには旅行もいいね。非日常って気になれるしさ」

 

「確かにね。時間を見つけてまた行こっか♪」

 

 

そんなこんなでご飯を食べ終えグランテピエが内線をならすと仲居さんが食器を片付け部屋に布団を敷いてくれた。その時、僕はようやく気が付いた。この部屋でグランテピエと2人で寝るのだと。

 

 

「ベッドも良いけど布団も良いね。自然な感じで寝れそう」

 

「そ、ソウデスネ、、」

 

 

掛け布団の上に寝転がるグランテピエは浴衣がはだけ太ももが下着が見えそうになっている。しかし本人は僕の視線に気付いていない様でなんとも悩ましい光景を見せてくれている。

 

 

「そうだ。今日も仲良くなれるおまじない、しよっか」

 

「はひぃ!」

 

 

情けない返事をするとグランテピエは寝転がったまま両手を広げていた。

 

 

「ほら、おいで♪」

 

「・・・・し、シツレイシマス、、、」

 

 

恐る恐るグランテピエの元へとゆくと肩に手が伸ばされ引き寄せられ、僕の口はグランテピエの口へと導かれた。

 

 

(ながい!ながいって!!!)

 

 

唇を密着させたまま手は腰を引きグランテピエに覆い被さる様に引っ張られ浴衣越しに上半身が密着する様に。

 

キスの時点で完全に硬くなっているブツが当たらない様に必死に腰を引きながら蕩けてしまいそうな理性を繋げハグが終わるのを待っていた。

 

 

「ふふ、いつもと違う場所だから大胆になっちゃった♪」

 

 

ようやく手を離され身体を離しグランテピエを見ると浴衣の羽織りが崩れ下着ががっつりと見える。それに顔を少し赤らめながらの笑顔。

 

 

「どうしたのマスター君?」

 

「・・・あぁ、、えっと、、ありがとうございます!」

 

「なんのお礼?じゃあもっとお礼を言う様にやっちゃうぞ♪」

 

 

にやりと笑うと身体を起こし四つん這いで這い寄り、両肩を掴むと体重を掛け布団へと押し倒された。

 

僕がパニックになる寸前に赤らんだ顔が見え唇が近づき、ちゅっと触れた。

 

 

「あはは♪顔真っ赤、だぞ」

 

 

お腹の上に腰を下ろしにっこりと笑う顔に顔から火が出そうな程熱くなるのを感じていた。

 

 

「よし、そろそろ寝よっか。明日も休みだけど生活リズムは崩さない様にしないとね」

 

 

おでこにキスをするとグランテピエはお腹から降りて部屋の電気をオレンジ色に変え、自分の布団へと潜り込んだ。

 

 

「おやすみマスター君」

 

「おやすみなさい、。、」

 

 

挨拶をして数分で横からグランテピエの寝息が聞こえてきたのだが僕はムラムラしすぎて全く眠気がこず寝れないままで『致そうか』と悶々としていた。

 

しかし、隣にグランテピエがいるし、致す最中に起きたら、気付かれたら。そう思うと怖くて触らない。

 

 

(そうだ、トイレでしよう)

 

 

そう思い布団から抜け出そうとするとグランテピエがモゾモゾと動き布団を跳ね除け僕の肩へと顔を乗せた。

 

 

「ぐ、、グランテピエさん、、?」

 

 

起きているのだろうか?そう思い名を呼んだけど聞こえてくるのは返事ではなく寝息。肩を枕にされ起き上がる事ができず致す事ができず。結局僕はムラムラ思考を消す為に今日温泉で見たムキムキのおっさんを思い浮かべるという暴挙に出た。

 

 

「ふぅ、、、ん、、、、」

 

 

が、僕を抱き枕にし胸を惜しみなく押し付けるグランテピエさんにより頭の中のおっさんは消え去り眠れない夜となった。

 

 

どれだけ眠れなくても朝は必ずやってくる。僕がようやく眠くなってきた時には太陽が登り始め窓を塞ぐ障子から日差しが差し始めた頃、その頃にはグランテピエは寝方を変え自分の布団へと寝転がり戻って行っていた。

 

後三時間は寝れる。そう思いながらグランテピエの方を見ると浴衣が捲れ上がり下着に包まれるお尻と背中が見えていた。

 

それは見間違いではない。黒いレースが付いた下着が日が登るにつれてはっきりと見え、目を凝らすと下着に膨らみが見える。

 

なんともいやらしく想像を掻き立てる光景に収まっていたはずの興奮は高まりモノに血が集まり硬く勃つ。

 

 

「ん、、まぶしっ、、」

 

 

寝言と共に布団を引き顔を日差しから隠し寝返りを打ち仰向けとなった。その為、お尻は隠れてしまったが恥骨に膨らむ下着が露わとなる。

 

もう理性がどうにかなってしまいそうだ。何度も無防備な姿を無自覚に見せられ我慢は限界。欲求のまま下着に触れようと身体を起こしそっと這い寄る。

 

 

まだ微かに残る理性がそんな事をして嫌われる可能性を叫び、僕の指は下着に触れる寸前で止まった。

 

 

(はぁ、、、)

 

 

心の中でため息を吐き自分の布団へと戻り覚めてしまった眠気が来るのを待つ事に。

 

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

「おはよーマスター君♪」

 

「おはよー、、、」

 

「どうしたの、かな?昨日眠れなかった?」

 

「うん、、自分の枕じゃないから眠れなかったのかも、、」

 

 

次の日の午前8時ごろに目を覚ましたグランテピエと朝の挨拶をしていた。昨晩眠れなかった僕の顔にはクマができていた様で僕を無自覚に寝不足へと追い込んだ主は心配そうに僕を見てくれている。

 

 

「次に旅行に来る時には枕持ってこないとね」

 

「いえ、無防備なあなたが悪いのです」

 

 

なんて言える訳もなく乾いた笑いが溢れた。

 

 

「でもちょっと眠いだけだから大丈夫だよ」

 

「ほんと?無理したらダメだよ」

 

「うん、大丈夫」

 

 

そんなわけで布団をたたみ軽く部屋を片付け朝食をいただく。

 

 

「夏の旅行はラグーナ島なんてどう、かな?」

 

「常夏のビーチだっけ?」

 

「そうそう。マスター君がよかったら妹とあの子も誘ってさ」

 

「そうだね。僕もあの人に会いたいし、何月にしよう?」

 

 

そんな話をしながら朝食を食べていた。グランテピエの提案には賛成なのだが、水着のグランテピエ一日中見ていて僕の理性は大丈夫なのかという懸念が湧く。むしろ水着のグランテピエを想像しただけでイケナイ妄想が広がってゆくのだが。

 

 

「どうしたのマスター君?寝不足でボーっとしちゃってる?」

 

「あぁ、、いや、、朝ごはんを、噛み締めておりました」

 

「なら良いけど、、無理はダメ、だぞ?」

 

 

心配そうなグランテピエに言われたのだけども、原因はあんただよと言える訳もなく苦笑い。

 

それから旅館でコーヒーをいただき少しのんびりしてから家に帰る事に。旅館をお昼前に出て夕方には家に着くと段取りを立てゆっくりと歩いてゆく。

 

 

「旅行なら教会で馬を借りれば良かったね」

 

「馬借りれるんだ?」

 

「うん、任務で借りる時は無料だけど私用で使う時はお金がかかるからさ」

 

「でも馬の方が早いけどこうやってのんびりと歩く事はできないし良いんじゃないかな?」

 

 

歩く草原は風がそよぎ草が鳴り、太陽が心地良く日差しを届け、目を向ければ自然を感じる事ができる。

 

 

「それもそうだね♪こんな事なら売店でご飯買っておけば良かった」

 

「ピクニック気分だね。そう言えば・・」

 

 

僕が話しかけた時グランテピエは立ち止まり左手を横に上げた。この合図を受け僕はその場に立ち止まった。

 

 

「魔獣、、」

 

 

そう小さく呟くと槍を召喚し右手で握り締める。グランテピエの背後から覗くと少し離れた所に魔獣、バイコーンの姿が見える。それも一頭ではなく群れを成し此方へと向かってくる。このまま逃げればバイコーンの群れは旅館がある街へとゆくだろう。

 

 

「グランテピエ、、」

 

「大丈夫だよ。敵はたくさん居るけど私がマスター君の事は絶対のぜーったい守るからね♪」

 

 

そう明るく言うのだが声色は震え不安が見える。グランテピエは大きく息を吸い込むと大きく吐き出した。

 

 

(私は先駆者グランテピエ。大丈夫、絶対のぜーったい大丈夫)

 

 

震えを誤魔化す様に呟き気合を入れると目を輝かせ、直前に迫る群れへと駆け出した。

 

 

「!!」

 

 

大きく振り抜いた槍は先頭を走るバイコーンをまとめて薙ぎ払い勢い付いた遠心力で身体ごと回しさらに大振りに槍を振るう。

 

この攻撃により前列のバイコーンは壊滅し中列もほぼ壊滅となる。

 

しかし、後列のバイコーンは怖気付くどころか身を寄せ合い猪突猛進を仕掛ける。

 

 

このバイコーン達は槍の弱点を知っている。槍による攻撃は穂先で叩かなければ意味は無い。穂先以外はただの棒であると。

 

もちろん、槍使いであるグランテピエがその弱点を知らないはずは無く柄を短く持ち一頭ずつ的確に仕留めてゆく。

 

 

「あぐ!」

 

 

グランテピエの奮闘も長くは続かなかった。一頭のバイコーンに槍の尻手を押さえられ槍を振る事ができなくなっていた。柄を短く持つという事は後ろに柄が長く伸びるという事。テコの原理の働きにより動きが封じられ前方から迫ったバイコーンの突進を受け、グランテピエの悲痛な悲鳴が戦場に響く。

 

 

「グランテピエっ!!」

 

「逃げて!マスター君は生きて!」

 

 

突進を受けよろめきながらも槍を振いグランテピエが逃げろと叫ぶ。

 

 

「そんなの嫌だよ!グランテピエも!」

 

「私は大丈夫だから、ね」

 

 

今、僕の目の前で起きている光景は何処かで見た事がある。あの時、夢で見た光景が今、目の前に広がっている。

 

 

そうだ、あの時、僕はお姉ちゃんに助けられてこう言われたんだ。だけど。

 

 

「僕は逃げない。君の名を呼ぶよ!戦う覚悟が僕にはある!」

 

 

『グランテピエ!獣刻・バハムート!!大いなる竜の力を今!!』

 

 

この瞬間、僕とグランテピエのバイブスとキラーズが大きく適合した。以前よりも強くバイブスとキラーズが結び付きより強固なものとなる。

 

 

「私を解き放ってくれてありがとう。ようやく元の力で戦えるよ」

 

 

明るい声が聞こえると同時にグランテピエに寄って集っていたバイコーンが怖気付き数歩後ろへと下がる。

 

 

「さぁて、久しぶりに本気で戦っちゃうぞ」

 

 

槍を構え直したグランテピエの瞳はルビーの様に燃えるよう輝き、その姿を見たバイコーンは蜘蛛の子を散らす様に逃げ去ろうとする。

 

 

『御前様!』

 

「あぁ、分かっている!」

 

 

逃げ去るバイコーンを追おうとした時、光の弾と目に見えない何かが飛来しバイコーンを駆逐し、バイコーンの群れは壊滅。草原にようやく沈黙が訪れた。

 

 

「私達が追っていた魔獣を倒してくれてありがとう。礼を言わせてもらうわ」

 

「そんな、此方こそ助けてくれてありがと」

 

「今傷の手当てをしよう。そこの奏官は大丈夫か」

 

「僕は大丈夫。グランテピエが守ってくれたから」

 

 

そこで僕は昨日温泉であったおじさんと再会していた。それともう1人、小さいのにやたらと態度がデカい少女も。

 

2人は地上世界からバイコーンの群れを追って来ていたようで。たまたまあの旅館に泊まっていたらしい。

 

 

「倒した分の報酬は教会に払うよう伝えておくわ。そこのお前」

 

「はい?」

 

「良い顔をしているわね。お前なら私には及ばないけれど強く輝けるわ。精々己を磨く事ね」

 

「ど、どうも、、」

 

「さて、俺たちはカコルフェの街へと戻らせてもらおうか。青年には伝えたが俺は街でバーを営んでいる。討伐の礼代わりでは無いが一杯奢らせてはくれないか」

 

「じゃあ遠慮なくいただこっかな?また時間を見つけてそっちに行くよ」

 

 

それから少し話してお互い帰路につく事に。

 

 

「あの人がグランテピエが言ってた昔の仲間?」

 

「そうだよ、あの子はフェイルノート。少し気難しいけど頼りになる子なんだ。それと一緒に居たのはキラーメイルのガンバンテインだよ」

 

「あーね?昨日あの人と温泉で会ったよ。お風呂でも帽子を被っててさ」

 

「あはは。そうだ、今日は買い食いでも良いかな?少し疲れちゃってさ」

 

「うん、良いよ?帰りに売店に寄ろっか」

 

 

そんな話をしながら帰り道を歩んでゆく。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

「はい、マスター君」

 

「つめたっ」

 

 

家に帰りご飯を食べシャワーを浴び終え椅子に座りお茶を飲んでいるとシャワーを終えたグランテピエが僕の頬に冷たい何かを当てた。

 

 

「なに?これ」

 

「お酒だよ。マスター君にって売店で買ったんだ」

 

 

ことん、っとテーブルに置かれたのは『ほろ酔う』と書かれた缶チューハイのレモン味。

 

 

「こないだまだダメって言ってたじゃん」

 

「そうだけどマスター君は私の中ではもう立派な大人になったから。でもたくさん飲んだらダメ、だぞ」

 

 

笑いながら僕の前に座ると持っていた缶チューハイのプルタブを起こし、それにならい僕もプルタブをぷしゅりと。

 

 

「「乾杯」」

 

 

缶を合わせ乾杯し口に運ぶと前飲んだ時と同じ味が口の中に広がる。

 

 

「ねぇグランテピエ」

 

「どうしたの、かな?」

 

「僕が奏官になった理由、分かったよ。僕は君に出会うために奏官になったんだ」

 

 

そう言うと目を見開き、柔らかい笑顔を浮かべてくれた。

 

 

「思い出したんだね。違う時間軸で私と出会った事を」

 

「違う時間軸?」

 

「あはは、そこまでは分からないよね。今私たちが居る世界は過去に一度終焉を迎えているんだ」

 

「終焉?どういうこと?」

 

「この世界は一度終わっている。今の世界は世界が『一巡』した世界なんだ」

 

「ごめん、ちょっと理解ができない」

 

「理由しなくても大丈夫。マスター君が私と強く繋がった事分かるよね?」

 

「それは分かるよ」

 

「私のキラーズは今のマスター君と『過去』のマスター君と繋がっていたんだ。だから私は本来の力を出せていなかったの。だけど、マスター君が過去の事を思い出したから、、」

 

「バイブスとキラーズ、本来の繋がりになれたって事?」

 

「そういう事♪私は終焉の直前に過去のマスター君と繋がったからちょっとややこしくて、完全に繋がれる事は諦めてたんだけど、ね」

 

 

だから戦闘前に不安そうにしてたのだと納得した。

 

 

「えっと、、改めてよろしくねグランテピエ」

 

「うん、今の私たちならどんな任務でも大丈夫だよ♪」

 

 

にこにこと笑うグランテピエを見ていると胸が高鳴る。これはバイブスとキラーズが繋がる前兆とよく似た高鳴り。

 

 

「じゃあ今夜も仲良くなれるおまじない、しよっか」

 

 

そう言って缶を高く傾け飲み干すとまだ椅子に座る僕の元へと来た。そして、僕が手に持っている缶をテーブルに置けと言う。言われた通りにテーブルの上に置くと椅子が45°回され僕とグランテピエは対面する形となった。

 

 

「膝の上失礼するね」

 

 

僕の手を掴み僕の膝をまたぎ腰を下ろすと湯上がりで少し高い体温とふんわりと香るシャンプーの匂いに包まれて、背中に両手が回され胸が密着すると体温と匂いは濃く鼻をくすぐる。

 

 

「私ね、ずっと怖かったの。バイブスとキラーズの繋がりが不完全なまま戦って大丈夫なのかなって。このまま繋がらなかったらどうしようって。でも、マスター君はちゃんと私と繋がってくれたね。ありがとう」

 

「僕の方こそありがとう。過去の僕を助けてくれて、また僕と出会ってくれて」

 

 

やっと僕はグランテピエの背に手を回し抱きしめ返した。いつもなら恥ずかしくてできなかったけど。過去の姉に甘えるように抱きしめ、肩に顔を預けていた。

 

 

「喉乾いちゃった。酎ハイ取ってよ」

 

 

でも緊張の為か喉が渇く。喉を潤す為にテーブルの上の缶を取ろうとしても手は届かず。

 

 

「私が飲ませてあげるよ♪」

 

 

その言葉を不思議に思っているとグランテピエは缶を手に取り口へと運び缶を傾けた。その様子を不思議に見ていると目が笑う少し頬が膨らんだグランテピエの顔が。

 

 

「!?」

 

 

有無を言わさずキスをされ唇を開くと冷たくてぬるい酎ハイがグランテピエの口から僕の口の中へと流れ込み。驚きながらも酎ハイを飲み込んでゆくと僕の口に尖った舌が入り込み僕の舌をつつく。他人の舌が口の中に入って来た事に驚き身をよじると逃げないでと言わんばかりに頭を優しく何度も撫でる。

 

 

「んっ、、んんっ、、」

 

 

合わされた口からグランテピエの吐息が聞こえた。その声に、絡み付く舌に僕の理性はどろどろに溶けアルコールで頭がぼーっとする。今、グランテピエとキスをしている事が夢心地のよう。しかし、口内から伝わる感触が、激るモノから伝わる股の熱が現実だと伝える。

 

 

「ふふっ。嬉しくて我慢できなくなっちゃった♡」

 

 

ようやく顔を離したグランテピエの顔はいつかのようにエッチな表情を浮かべ口周りに付いた唾液をぺろりと舐め取った。

 

 

「じゃあそろそろ寝よっか。今日はたくさん歩いたし、長旅だったもんね」

 

「えっ、、、」

 

 

思わぬ言葉に情けない声が出た。ここまでしておいて終わり?昂った感情を1人で鎮めろと?捨てられ去ってゆく飼い主を見つめる犬の様な視線は自室のドアを開けるグランテピエへと注ぐ。

 

 

「ねぇマスター君」

 

「ど、どうしたの、、?」

 

「仲良くなれるおまじないの続き、したい?」

 

 

思わぬ言葉に思考がフリーズし脳内が最適解の答えを出そうとフル回転する。そこに恥ずかしさやためらいは無く一つ息を吐いた後に僕は頷きしたいと答えた。

 

 

「私の部屋においで」

 

 

グランテピエの手で大きく開かれたドアへ向かい椅子から立ち上がると部屋に向かい歩いてゆく。

 

 

「お邪魔します、、」

 

 

初めて入るグランテピエの部屋は整理整頓が行き届いておりゴミ一つ落ちていなくて家具は同じ系統で統一されているが、そんな事はどうでも良い。少し部屋を見渡した目線はベッドに座るグランテピエに向いた。

 

 

「あはは、オオカミさんみたいな顔してるぞ。ほら、隣おいで」

 

 

小さく頷きまたしても油の切れたロボットの様にぎこちなくベッドまで歩きグランテピエの右隣に腰を下ろした。

 

 

「ふふ、緊張してる?」

 

「うん、凄くしてる、、」

 

「本当だ。心臓の鼓動が凄く伝わるよ」

 

 

そっと伸ばされた右手が胸に置かれ脈を測る。その手が心臓の鼓動に合わせて動いてしまいそうな程鼓動する。

 

 

「私に任せてリラックス、だぞ♡」

 

 

グランテピエの左手が僕の頭を数回優しく撫で、手は右肩へと置かれぎゅっと体重が乗りベッドへと押し倒されてゆく。見上げるとそこにははにかむグランテピエの顔。

 

 

「ずっと硬いままだね。一回出しちゃおっか♡」

 

 

ズボンの上からモノが撫でられ腰がびくんと跳ねる。そんな様子を見て笑いながらグランテピエは腰に手をかけズボンとパンツを下ろそうとし、腰を少し上げるとするりと抜き去られた。

 

 

「こんなに我慢汁垂らしてずっと我慢してたんだね」

 

 

隠す物が無くなり勃起するソレはグランテピエの目に晒される。でも、恥ずかしさは今から行われる行為への期待にかき消された。

 

 

「マスター君のおちんちんすっごく硬い♡じゃあ楽になろうね♡」

 

 

グランテピエの手は僕のモノを包む様に握ると上下に動き出す。その動きは少し物足りないけどグランテピエにされているという事実がやたらと興奮を掻き立てる。

 

 

「手の中でぴくぴくしてるぞ♡それに凄くぬるぬるしてきた♡」

 

 

手が上下に動く度に溢れ出した我慢汁がぬめりくちゅくちゅと水音を立てる。それはとても恥ずかしいのに興奮へと変わる。まだ手でされて5分も経っていないのに射精感が押し寄せてくる。

 

 

「どう?私の手気持ち良い、かな?」

 

「うん、、もう出ちゃいそう、、」

 

(射精ちゃって良いんだよ?びゅ♡だぞ♡)

 

 

そう耳元で囁かれた瞬間、一気に射精感が押し寄せ腰が跳ねる。でもこのまま出しだら服にかかる。と、謎の心配が脳裏をよぎる。

 

 

「うわっ」

 

 

するりとグランテピエは下へと下がるとモノへと顔を近づけ鈴口を咥えた。そして手の動きを早め射精を催促する。

 

 

「出ちゃう、、」

 

 

鈴口を吸われるという未知の快感を味わいながら僕はグランテピエの口の中へと精液を吐精した。射精の脈動と共に吐き出される精液はじゅじゅりと吸い出され腰が砕けてしまいそうな快感。

 

 

「はぁぁ、、」

 

 

思わずため息が出てしまう余韻に浸っているとこくこくと喉を鳴らす音が聞こえ目を向けると笑顔のグランテピエ。

 

 

「ふふ♡いっぱい射精だね♡えらいえらい♡」

 

 

ベッドの棚に置かれていたお茶を一口飲むと僕の頭を撫でてくれた。

 

 

「マスター君のおちんちんはまだ元気だけど、どうしよっか?」

 

 

普段なら一度射精をすると萎えるモノはまだ硬く滾り興奮は収まらずグランテピエを見上げる。

 

 

「慌てないの♡まだ時間はたくさんあるんだから、ね♡」

 

 

まだ硬いモノを撫でながらグランテピエは淫らに笑う。

 

 

「マスター君これ取れるかな?」

 

 

パジャマの上を脱ぎ下着姿となったグランテピエが背を向けるとそこにはブラジャーの紐が。僕は紐に手を伸ばしホックを外そうとするのだが高まる興奮に手がおぼつかずホックが外れたのは少し時間が経ってから。

 

背の左右にブラジャーの紐が垂れるとグランテピエは肩からブラジャーを抜きベッドの足元へと落とし僕の方へと体を向けた。

 

 

「どう、かな?」

 

「す、凄く綺麗、、」

 

 

薄暗い部屋に水色の長髪の隙間から見え隠れするおっぱいが見える。普段服越しにしか見えないおっぱいはとても柔らかそうで。しかし髪に隠れているのがもどかしく髪を肩にかけようと手を伸ばした。

 

 

「まだだよマスター君♪マスター君も脱ごっか♪」

 

 

そう言われパジャマに手をかけベッドの上で裸になった。僕が脱いでいる間にグランテピエもズボンを脱ぎ身に付けているのは下着だけとなっていた。

 

 

「グランテピエは全部脱がないの?」

 

「お楽しみは後からって言うでしょ?ほら、お待ちかねのおっぱい、だよ♡」

 

 

ベッドへと寝転がり胸にかかる髪の毛を左右にどかすとそこには何にも隠れる事がないおっぱいが。それは重力に逆らい形を保ち頂点につんっと乳首が二つ。

 

僕はグランテピエの上に乗りおっぱいへと手を伸ばし、触れた。

 

 

「強く握ったらだめだよ?優しく、だぞ」

 

 

恐る恐る伸ばした指先はもっちりとした弾力に触れ、次に包み込むように優しく手のひらで包むと手のひらを受け止めてくれるような柔らかさ。

 

 

「そうそう♡乳首も摘んで良いんだよ?」

 

「もう少し揉みたい、、」

 

 

そう言うとくすくすと笑い声が聞こえちょっと恥ずかしくてなったけど夢中におっぱいを揉んでいた。

 

 

「んっ、、もっと、、♡」

 

 

微かに聞こえた囁きに我慢ができずさっきよりつんっとしている乳首に吸い付きちゅちゅっと吸った。

 

 

「ん、、上手♡気持ちいいよ♡」

 

 

頭を撫でられながら乳首を吸うという甘やかされた状態にまた興奮は高まり更なる欲求が湧き上がる。

 

 

「ふふっじゃあそろそろ脱いじゃおっかな♪」

 

 

グランテピエの身体から退くと両手が腰へと伸び下着のふちに親指を差し込み僕に見せ付ける様に両脚を上げながら下着を抜き取り、下着があった場所に右手を置きながらM字に脚を開き微笑む。

 

 

「見たい?」

 

「・・見たい」

 

「じゃあ、、マスター君が手を退けて?」

 

 

両脚の間へ寝転がりグランテピエの右手を握り顔を見ると恥ずかしそうに微笑む顔。一瞬、息を飲み少し手に力を入れると右手は抵抗する事なくそこから離れグランテピエの秘部が視界に入り込む。

 

旅館で見る事ができなかった秘部はとろりと愛液が滲み淡い桃色がぴったりと閉じクリトリスが見え女の匂いがほんのりと香る。視覚と嗅覚は完全に釘付けになっていた。

 

 

「マスター君見過ぎだよ?恥ずかしい、、」

 

「もう少しだけ、、」

 

 

僕が見ている間にも秘部は愛液を垂らす。思わず手を伸ばし指先です秘部を開くとねっとりと愛液が糸を引きながら膣口は開いた。

 

 

「夢中になりすぎだよ♡そんなに見たかったんだ?」

 

「うん、、」

 

 

アダルトな本やDVDでしか見た事がなかった秘部が目の前に、しかも無修正で。もう感動は通り越しモノは痛い程に硬くなっている。

 

 

「慌てないよ?じゃあ指を入れてみよっか♡」

 

「どうすれば良いかな、、?」

 

「愛液を指に付けてゆっくり入れてみて?」

 

 

言われた通りに膣口から垂れる愛液を指に付け入り口を探す様に指先でまさぐるとぬるりと指が入り込んだ。

 

 

「っ、、♡そこだよ♡ゆっくり、だぞ♡」

 

 

膣内に入れた指は膣壁にきつきつと締められながらも進み指の根本まで入り込んだ。

 

グランテピエの膣内はぬるぬるとしていて温かく締まり不思議な感じがする。

 

 

「グランテピエ、、」

 

「どうしたの、かな?」

 

「もう我慢できない、、」

 

 

自分の欲求を素直に伝えるとくすくすと笑う声が聞こえた。

 

 

 

「マスター君はもう我慢できないんだ?うん、おいで♡」

 

 

ゆっくりと指を引き抜きついさっきまで指が入っていた秘部にそそるモノを挿入ようと押し付けるのだけどぬるぬると滑るだけでなかなか入らない。

 

 

「少し下、、もう少し上、だよ。焦らないで良いからね?」

 

 

グランテピエに言われながら手でモノを支え膣口を探す。ぬるぬると滑るたびに鈴口が擦れ愛液がくちゅりと音をたて興奮と期待は高まってゆく。

 

 

「んっ♡そこだよ♡」

 

 

ようやく鈴口は膣口を見つけ出し見上げると微笑むグランテピエ。

 

 

「じゃあ童貞じゃなくなっちゃおうか♡」

 

 

腰に両脚が巻き付きぐぐっと引き寄せられ僕のモノはグランテピエの膣内へと飲み込まれてゆく。

 

 

(童貞卒業おめでとうマスター君♡)

 

 

根本まで入り込むと引き寄せられ頭を撫でながら囁かれ脳みそが溶けるほどに興奮した。

 

 

「どう、かな?おまんこ気持ちいい?」

 

「気持ち良くて、、ちょっと動いただけで出ちゃいそう、、」

 

 

こうして喋っている間にも膣内はきゅうきゅうと絡み付き射精欲を込み上げさせる。

 

 

「ふぅーん?そんな事言うとイジワルしたくなっちゃうよ♡」

 

 

抱き付いたままグランテピエは身体を起こすとそのまま僕をベッドへと押し倒す。突然視界が変わり驚きながら見上げるとにやりと笑うグランテピエの顔。

 

 

「ゆっくり動くからね、、、♡」

 

 

僕の腰を跨ぐ様に座り僕の顔を見つめながらゆっくりと腰が上がり抜けそうになるとゆっくりと腰が下ろされてゆく。

 

 

「もぅ、、出ちゃう、、」

 

 

自分の手と比べ物にならない快感に、締め付ける膣内に射精欲が高まり見上げるといたずらに笑う顔が。

 

 

「だめだよ?コンドーム付けてないし、まだ我慢、だぞ♡」

 

「っ!腰、腰とめてっ!!」

 

 

限界を伝えてもグランテピエは楽しむように腰を振り淫らな顔で僕を見下ろす。

 

 

「あっ、、出っ、、」

 

「ふふっ♡まだ、だぞ♡」

 

 

吐精する瞬間にグランテピエは腰の動きを止め射精欲を鎮める。

 

 

「出ちゃ、、、」

 

「我慢だぞ♡」

 

 

何度も寸止めをされ理性は蕩け射精をする事しか考えられなくなる。

 

 

 

「もう、、無理、、お願い、、」

 

「射精たいんだ?」

 

「うん、、」

 

「私の中にびゅ♡って♡」

 

「うん、、、」

 

「いいよ♡中出し、しちゃおっか♡」

 

 

そう言うと止めていた腰を動かし僕を見下ろし囁く。

 

 

(びゅ♡だぞ♡)

 

 

囁かれたと同時に堰を切ったように鈴口から精液が飛び出しグランテピエの膣内へと注ぎ込まれてゆく。

 

吐精の度に小刻みに腰がゆすられ2回目の射精とは思えない量と快感に腰が何度も跳ねる。

 

 

「いっぱい射精せたね♡えらいえらい♡」

 

 

射精の余韻に浸る僕の頭を何度も撫でてくれて。この射精は人生で一番気持ち良くて満足できたと思う。

 

が、天にも昇るような心地よさに浸っている時に中出しした事を思い出し顔が青ざめる。

 

 

「グランテピエ、、早く抜いて、、」

 

「あはは♪大丈夫だよ、私はキル姫だから、ね?でも次はちゃんとコンドーム付けるんだぞ♪」

 

 

にっこりと笑う笑顔に少し悲しむような顔をして一つキスをしてくれた。

 

 

「もう少ししたらシャワー浴びに行こっか」

 

「うん」

 

 

繋がったまま抱き合い何度もキスをして。微睡むような時間が過ぎてゆく。

 

 

「じゃあ、、抜くね」

 

 

ゆっくりと腰を上げると柔らかくなったモノがぬるんと抜け落ち力無く垂れた。

 

 

「あは♡出てきた♡」

 

 

その後、とろりと吐き出した精液が膣口から垂れてゆき、それをずっと見ていた。

 

 

「シャワー浴びに行こっか」

 

 

ティッシュを何枚か取り拭くとグランテピエはにっこりと微笑んだ。

 

 

それから僕たちはシャワーを浴びていた。一つしかないシャワーノズルから出るお湯を抱き合いながら浴びていて。

 

 

「ふふ、もう元気になってる♡」

 

 

2回射精をしたのにグランテピエと抱き合っているとまた興奮が滾りグランテピエのお腹にモノが当たりいたずらな笑顔を向けられる。

 

 

「ベッドまで我慢、だぞ♡」

 

 

結局身体を流している間僕のモノは勃ちっぱなしでグランテピエはそれを見てずっとにやにやとしていた。

 

 

「ほら、おいで」

 

 

シャワーを浴び身体を拭き服を着る事なくグランテピエの部屋へと行きベッドの上へと誘われていた。

 

 

「ふふ、まだ我慢だぞ?私も気持ち良くなりたいから、ね?」

 

「どうしたらいいかな、、?」

 

「じゃあ、、クリ触ってもらおっかな♪」

 

 

横に抱き付くようにしていると右手が握られ下へと導かれる。

 

 

「指だして?」

 

 

一本の指を出すと指は膣口へと触れ指先は膣口をなぞり愛液を付けながら少し上へと行き、少し硬いものに触れた。

 

 

「これがクリだよ♡ゆっくり指先でなぞるように触るんだぞ♡」

 

「やってみるね、、」

 

 

クリトリスに指先が触れるとグランテピエの手は離れにんまりと僕を見て身体を預け少し閉じていた両脚を触りやすいように開いてくれた。

 

 

「触るね、、」

 

 

初めて触るクリトリスは豆粒みたいな大きさで弾力がある。言われた通りに指先でなぞるように触れてゆくとグランテピエの太ももがびくびくと震える。反応を見ながら少しだけ指先に力を入れて押しつぶすように撫でると閉じられたグランテピエの口から甘い吐息が溢れた。

 

 

「そう、、♡そのままもっと、、♡」

 

 

耳元で喘がれ溶けそうになる理性をグッと堪え反応してくれた場所を執拗に撫でると腰が震え太ももがきゅっと閉じる。

 

 

(あぁ、、イクっ、、いくっ、、♡)

 

 

耳元で囁きながら腰を跳ねさせクリトリスを弄る手をぎゅっと挟み身体を硬直させ、やがて力が抜け一息吐くと照れながら僕を見た。

 

 

「いっちゃった、、、♡上手だったよ、えらいえらい♡」

 

 

顔を赤らめながら僕の頭を撫でてくれて。

 

 

「こっちにも欲しくなっちゃった、、♡マスター君はそのままでいてね♡」

 

 

ルビーのように瞳を輝かせながら腰に跨るとモノを握り膣口へと誘導してゆく。

 

 

「挿入るからね・・♡」

 

「ちょ、、!コンドームっ!」

 

「今は手元にないから、、じゃあマスター君は挿入ないで我慢できる、かな?」

 

 

そう言いながら膣口に鈴口を擦りながら淫らな瞳で僕を見下ろす。

 

そんな誘惑をされ断れるはずも無く頷くとモノはゆっくりとグランテピエの膣内へと飲み込まれていった。

 

 

「私がイクまで我慢、だぞ♡」

 

 

この言葉にぞくぞくと心が震えた。

 

 

「あぁっ、、♡気持ちいいっ、、♡」

 

 

さっきとは違う完全に快感を得るための腰使い。モノを意識するとこりこりとした所に擦り付けるように腰を動かし、見上げれば目を閉じ快楽に口元を歪ませうっとりとしたグランテピエの顔。

 

 

「マスター君のおちんちん、、好き、、♡すっごく良いところに当たるっ、、♡」

 

 

文武両道でしっかり者で頼れるお姉さんのグランテピエが僕に跨り快楽に酔い乱れる姿は普段の振る舞いから想像もできない程に淫らで。

 

 

「やばっ、、イッちゃいそ、、♡いくいくいくっ♡」

 

 

派手に水音を立てながら腰を跳ねさせ膣内がぎゅっと締まり快楽の海に溺れたグランテピエはだらしなく口を半開きにして荒く息を吐いていた。

 

 

「・・すごくエッチだった、、」

 

「あはは、、そう言われると恥ずかしいな、、マスター君はまだだよね?体位変えよっか♡」

 

 

ぐっと顔が近づき一度キスをしてくれて、微笑むとゆっくりと腰を上げモノを引き抜き僕の横へと寝転がった。

 

 

「ほーら♡」

 

 

僕は股の間に腰を下ろし愛液でぬるぬると濡れたモノを握りグランテピエの膣内へとゆっくりと挿入してゆく。

 

 

「好きに動いて良いからね♡」

 

「うん、、」

 

 

グランテピエの腰を掴みながらゆっくりとピストンをしてゆく。さっきより余裕があるのか膣内の感触が楽しむ事ができる。

 

奥へと挿入る時はゆるゆると締まり抜く時はきつきつと締まる。

 

 

「ねぇマスター君?」

 

「どうしたの?」

 

「挿入しながらクリ触って欲しいの、、」

 

「やってみるね、、」

 

 

恥ずかしがりながら微笑むグランテピエのお願いに応える為に右手を伸ばしモノに付く愛液を指先に付け結合部の少し上を弄る。

 

 

「んんっ♡そこ、そこ気持ちいいっ、、♡」

 

 

クリトリスを弄る度に膣内はきゅうっと締まりグランテピエは淫らな声を吐き出す。

 

 

「クリ好きなんだ?」

 

「うん、。弄られながら突かれるの好き、、なの、、♡」

 

 

それならばと指先でクリトリスを弄りながら腰を動かすと言っていた通りにグランテピエは淫らに乱れて。

 

 

「それ気持ちいいっ♡いっ、、ちゃ、、ぁ♡」

 

「僕も、、出るっ、、」

 

 

絶頂に達した締まりに、乱れる姿に興奮はピークを超え気が付けば根本まで挿入し膣奥深くに精液を注ぎ込んでいた。

 

 

「あはは♡マスター君にイカされちゃった♡」

 

「気持ち良くなってくれた?」

 

「うん、大満足、だぞ♡えらいえらい♡」

 

「良かった、、」

 

 

頭を撫でられ抱き寄せられてグランテピエの首元で行為の終わりの余韻に浸り僕もグランテピエの頭を撫でていた。

 

 

「ありがと」

 

「ふふ、私こそありがとう♡あ、もう朝なんだ」

 

 

言われて窓を見るとカーテンから遮られた日光が。

 

 

「今日は、、任務サボっちゃおっか♡」

 

 

 

いたずらに、可愛らしく笑うグランテピエの口にキスをした。

 

 

 

 





ここまで目を通してもらいありがとうございました!

今回は新ディスラプターズのリーダーでありアルマスの姉であるグランテピエの登場でした。

このグランテピエですが僕はあまり好きではありませんでした。レーヴァテインの位置であったディスラプターズのリーダーポジションを取りマルチでは散々酷い目に遭わされて、、。

しかしこのSSを書く為に残した画面収録を見ているとあれ?可愛いっと笑

姉キャラを全面に押し出し甘えさせてくれるグランテピエを感じてもらえれば幸いです。



〜おまけ〜


「御前様、いや、お前。お前は一体どれだけの赤字を垂れ流せば気が済むのかしら」

「はて、なんのことかな」

「お前のバーの事よ。先月も先々月もその前もずっと赤字じゃない。いい加減にしなさいよ」

「ふふふ、俺は儲ける為に店を営んではいなくてね。酒は友だ。酒を肴に客と下らない話をするのが好きなのさ」

「はぁ」

「そんなに怒っては可愛い顔が台無しだぜお嬢」

「お前のせいよ!まぁ良いわ。カミュのオン・ザ・ロックを出しなさい」

「少し待ちな」


振り返り棚に並ぶ酒瓶を選ぶ姿を満足そうに眺めた。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。