※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

40 / 44
オティヌス・暴走

 

木枯らしが吹き始めた山中を俺は一人登っていた。目的は村へと降り畑を荒らす害獣、猪の駆除、及び食糧調達。

 

枯葉積もる獣道を足音を殺し気配を殺しながら進んでゆくと見つけた。木々と同じ体毛をし落ち葉に紛れる猪の群れだ。幸いこちらは風下に居り匂いで気づかれる事はないが、音を殺し背に掛ける矢立から一本の矢を引き抜き静かに弓に乗せ絃を引き矢尻を猪へ向ける。

 

 

(そこっ!)

 

 

張り詰める弦を離すと矢は風の様に飛び狙い通り猪の前脚の少し後ろに刺さり断末魔の悲鳴をあげのたうち回りやがて動かなくなった。

 

残りの猪は仲間の異変を察し山奥へと逃げ込んだが深追いはせず仕留めた猪の元へと向かい未だ痙攣する猪を見下ろした時、俺はフォルダーからナイフを取り構えると後ろへと飛び木々へと姿を隠した。

 

 

「誰だ!」

 

 

俺が放った矢は確かに狙い通りの場所へと刺さっていたが、横たわる猪にはもう一本の矢が刺さっていた。その矢は脳天に刺さっており致命傷になったのは明らかだった。

 

この付近に矢を持つ者が居る。

 

同じ狩人なら姿を見せているはずだ。ならこの森に潜む者は敵意がある者、若しくは異族。

 

異族、人類の天敵であり人間を捕食する異形の者。知能は高く剣や槍といった武器を扱う事ができる。なら矢を携える異族が居ても不思議では無い。

 

 

ナイフをフォルダーへとしまい矢を取り出し弓へとつがえ周囲を見渡すと風切り音と共に矢が飛来し身を隠す木に突き刺さった。

 

 

「そこか!」

 

 

突き刺さる矢の向きから敵の位置を割り出し反撃の矢を放ち別の木へと姿を隠した。

 

 

「あっはははは〜〜〜っ良く気がついたね♪」

 

 

しばらくすると甲高い笑い声が聞こえ一人が姿を見せた。そいつは俺の居場所が分かるかの様に俺が隠れている木へと視線を向けるその顔はニンマリと笑っていた。

 

 

「女ぁ?」

 

 

思わず声が出た。こんな山奥で俺に向かい矢を放つ犯人は淡い茶色の髪を腰まで伸ばし赤と黒のワンピースを着る女だったからだ。

 

 

「確かにあたしは女だけど女って名前じゃないよ。オティヌス。これがあたしの名前」

 

「あっどうも」

 

「あっ!何その返事!人がせっかく名乗っているっていうのにさ」

 

「・・・」

 

 

この山はラグナ大陸の農民区クレナイにある山。そんな辺鄙な土地に居る女がまともなはずは無い。見たところ若く顔立ちは良いが何処か顔に影を落とす。どうせ男に捨てられ自殺でもしようとしていたのだろう。

 

 

「んっ」

 

「何それ?いきなり指なんて刺して」

 

「こっちに向かって行けばサフランに行けるから。ここで死なれたら異族を呼ぶ原因になる」

 

「そんな事しないって!」

 

 

なんだかよく分からんがめんどくさそうな奴だ。だが、警戒は怠らず木の裏から半身を出しそいつを観察する。

 

 

「利き手は右で扱う武器は弓。矢立に残る矢は、、残り6本だね。それとナイフを腰に一つ」

 

 

オティヌスに言われ矢立を触ると奴の言う通り残りの矢は弓に携えた分を合わせ6本。ナイフの場所も数も合っている。鋭い観察力に木の影に再び身を隠した。

 

 

「別に取って食ったりしないよ。あたしはちょっと暇を持て余しててね、だからあたしの暇つぶしの相手になってもらおっかなーなんて」

 

「俺はお前の相手をする程暇じゃ無いんだよ。さっさと故郷に帰りな」

 

 

めんどくさくなり木に隠れるのをやめ仕留めた猪の元へと行くと脚をロープで縛り背負う様に担ぎ山を下ってゆくと当然の様にオティヌスは着いてきた。

 

 

「へぇーこんな所に川なんてあったんだ」

 

 

しばらく歩むと山の間を流れる小川へとたどり着くと猪を水に付け血抜きを行ってゆく。ナイフで首を切ると鮮血が水を赤く染めながら流れてゆく。

 

 

「んで、何の用だ?」

 

 

作業を退屈そうに眺めている姿に声をかけた。

 

 

「さっき言ったじゃん。暇つぶしだって」

 

「こんな泥臭い事眺めてるより街で遊んでいた方がよっぽど暇が潰せるだろ」

 

「それはそうだけどあたしが次に街に行く時は全てを終わらせる時だからさ」

 

 

都会の女は何を考えているのか全く分からん。こんな性格だから男に捨てられたのだろうと納得し猪へと視線を戻すと血は流れておらず次に腹を捌き臓物を引き摺り出す。

 

 

「慣れた手つきだねー」

 

「そりゃどうも」

 

 

臓物を抜いた腹の中を丁寧に洗い俺は振り返り背後に居るオティヌスを見た。

 

 

「俺は今から村に帰るがお前はどうするんだ」

 

「あたしも着いていくよ」

 

「いや、無理」

 

「えっなんで!?」

 

「そりゃ人様に向かって矢を放つ様な奴危なくて連れて行けるか。それにお前が危害を加えないという保証はどこにも無い」

 

 

最もな事を言うとオティヌスは悩んだ顔をしてやがて、ニンマリと笑った。

 

 

「じゃあ君に選択肢をあげるよ。一つはあたしを大人しく村に連れていく。もう一つは君を殺して村を襲いに行く。あたしの感だけどこの川を降て行けば君の村に辿り着くと思うからさ」

 

「・・・」

 

「図星のようだね♪さぁ、君はどっちを選ぶかな」

 

「難しい問題だな。だが、答えは決まっている!」

 

 

振り返りながら手に持つナイフでオティヌスへと斬りかかった。が、振り抜いたナイフは掠る事もなく空を切り一瞬の浮遊感を感じた後には背中に痛みが走り視界には晴々とした青空が浮かぶ。

 

 

「君は二つ目の選択肢を選んだ様だね。じゃあ、望む通りにしてあげるよ♪」

 

 

晴れ渡る空はニンマリと笑うオティヌスに塞がれ、手には俺が握っていたナイフが持たれ頭上へと振りかぶる。

 

 

「さっさと殺せよばーか」

 

「うーん、どーしよっかなー。君を殺したらあたしは退屈に逆戻り。それはちょっと嫌だからあたしの気が済むまで生かしといてあげるね」

 

 

そう言うと手を掴まれ引き起こされた。そして、右の手には逆刃に持たれ柄を向くナイフが。

 

 

「はいどうぞ」

 

「・・・」

 

 

不貞腐れながらナイフを取りフォルダーへとしまった。そして結局俺はオティヌスを村へと連れて帰る事に。

 

 

「やっぱり川の側にあるんだね」

 

 

川に猪を流しながら降って行くと川沿いにある村が見えてきた。すると俺の姿に気がついた子供達が駆け寄ってくる。

 

 

「ディンおかえりー」

 

「おかえりーその人だぁれ?」

 

 

一人で出て行った俺が誰かを連れて戻って来ている。当然の疑問だ。

 

 

「こいつはオティヌス。山で出会った人だよ」

 

「オティヌスだよっ♪よろしくね♪」

 

「・・・」

 

 

オティヌスが子供達に笑顔を向けると次第に子供達の顔はキラキラとした笑顔を浮かべオティヌスへと質問を始めた。この村の子供達は都会の生活や人を知らない。この村という限られた空間の事しか知らず外の世界に憧れを持っているからだ。

 

 

「そうだ。君たちに手品を見せてあげるよ♪」

 

 

そう言うとその辺に落ちている石を一つ拾い子供達へと見せる。

 

 

「ワン、ツー、スリー!」

 

 

オティヌスの掛け声と共に子供達から歓声が上がった。それはオティヌスが持っていた石が一瞬にして姿を消し、代わりに手には一輪の花が握られていた。

 

 

「おぉすげぇ!」

 

「ねぇねぇどうやってやったの!?」

 

「あははっ♪タネを教えたら手品じゃなくなっちゃうから教えてあげなーいよ♪」

 

 

オティヌスは一瞬にして子供達の心を掴んだ。こいつは本当に何を考え何を企んでいるのか。

 

 

「そろそろ猪運ぶぞ」

 

 

そう言うと子供達はロープを持ち村の中へと運んでゆく。もちろんオティヌスも付いてくる。

 

 

「ふぅーん?本当に村だね」

 

 

村を見渡し思った感想を口にしていた。家の数は数えるほどしか無く薪の煙が上がり牛舎から聞こえる牛の鳴き声を聞けばそう思うのは仕方ない事だと思う。

 

 

「おぉディン。よく戻った」

 

「無事戻りました。それと山で女を拾い連れ帰りました」

 

 

村長へと報告をすると白髪の間からオティヌスを眺め咳払いを一つ。

 

 

「そうかい。何も無い村だがゆっくりして来なさい。ディンよ、お前の客だ。面倒をしっかりとみよ」

 

「・・・分かりました」

 

「よろしくね村長さん」

 

 

笑顔のオティヌスに見送られながら村長は自宅へと戻って行った。その後、猪を小屋へと運び解体の作業が行われてゆく。

 

 

「へぇーやっぱり器用だね」

 

「慣れだよ慣れ」

 

 

猪の皮を剥ぎ肉は部位ごとに切り分け皿へと移す。二時間程の時間をかけ猪は骨に姿を変えた。

 

 

「んで、お前の目的はなんだ」

 

「目的なんてないよ。あたしはただ暇を潰しているだけだからさ」

 

「楽しいか?今」

 

「いや、全く楽しく無いね」

 

「ならさっさと帰れよ」

 

 

包丁を片手に振り返るとそこには椅子に脚を組みながら座りニンマリと笑う顔があり手には俺が握っていた包丁が握られていた。

 

 

「でもまぁ退屈しのぎにはなりそうだよ。君も、この村も楽しそうだしね♪」

 

 

そう言って包丁を投げた。それは切り分けた肉へと刺さった後、柄から一輪の花が咲いた。

 

 

「イッツイリュージョン♪」

 

 

この村には仕来りがいくつかありその内の一つに夕ご飯は集まり食べるというものがある。この村はサフランから離れたクレナイにあり異族の出没が絶えない土地。さらに熊や猪、毒蛇も多く存在し村から一歩でも外に出れば危険と隣り合わせとなる。村人同士集まり夕食を食べるという事は生存の確認も兼ねてだ。

 

俺は今日仕留め捌いた猪を持ち公民館へと来ていた。もちろんオティヌスと共に。

 

 

「へぇー人の数も少ないんだ」

 

 

すでに集まっている村人を眺めながらの一言。小規模の村であるこの村の人口は50人程でその内の殆どが老人。

 

 

「そんな村だよここは」

 

 

返事をしながら肉を調理をするおばちゃんへと渡して空いている場所に座ると俺の隣にオティヌスも座った。

 

 

「若い奴は外で事故に遭ったり嫁探しに街に出てったっきり戻って来なかったりするんだよ」

 

「ふうん?女の子なら居るじゃん」

 

 

オティヌスが指を刺す方には俺より年下の女の子達が何かを喋っている姿が。

 

 

「村人同士の結婚は禁じられてるんだよ。血が濃くなる事を恐れてな」

 

 

たまに駆け落ちする奴もいるが。

 

 

「先人の知恵ってやつだね。近親相姦と似た感じになるのかな」

 

「詳しくは知らんがこれが禁じられる前は酷い有様だったらしいぞ」

 

 

そんな事を話していると俺と同い年の奴が公民館へ入るやいなや俺を見つけ出し駆け足で走り寄って来た。

 

 

「お前っ!いつの間にそんな可愛い女捕まえたんだ!?」

 

「ちくしょぉ!街か?街へ行ったんだな!?」

 

「行ってねーよ。山に猪狩に行っただけだ」

 

「その『山』ってのが何かの隠語なんだろ!?教えてくれよぉ、、!」

 

「この人達は?」

 

「俺と同い年の奴」

 

「へぇーこんばんは。あたしはオティヌス。ディンとお付き合いをさせてもらってるよ♪」

 

 

オティヌスの一言により二人はこの世の終わりを迎える様な顔をし部屋の片隅へととぼとぼと歩き体操座りをしたまま動かなくなった。

 

 

「おい、、」

 

「ディンに彼女ができたって!?」

 

 

会話を聞いていた村人の一人が叫び騒ぎを聞き付けた村人があらよあらよと集まり始め俺は質問攻めの嵐に巻き込まれた。しばらく女っ気が無かった俺がどう見ても可愛い女を村に連れて帰ってくればそうはなるだろうと。

 

 

「オティヌス、お前もなんか言え」

 

「今ここでキスしたらもっとすごい事になりそうだね♪」

 

 

そうニンマリした笑顔で言われこの女は悪魔だと俺は悟った。

 

 

その後、村をあげてのどんちゃん騒ぎが始まり家に帰る事ができたのは日付が変わってからだった。

 

 

「あー疲れた」

 

「そうかな?あたしは楽しかったけどなー」

 

 

肌寒い夜道を歩き家にたどり着くとオティヌスは当然の様に俺について来ており我が家の外観を見渡していた。

 

 

「普通の家だね」

 

「やかましい。ってかなんでお前ついて来てるんだよ」

 

「そりゃああたしはディンの彼女だし。まさかあたしにこんな寒くて暗いところで寝ろって言うの?」

 

「それは・・」

 

 

俺よりも強いとはいえオティヌスは女に変わりはない。寒夜に女を家の外に放り出す程俺は薄情ではない。

 

 

「わーったよ」

 

「お先っ♪」

 

 

玄関を開けると同時に隙間から家の中へと入って行った。常識とかないんか?

 

 

「んーまぁ、見た目通りってところだね」

 

「古いからな。俺が産まれた時には既に建ってたし」

 

「へぇーそれでお風呂はどこにある?」

 

「やかましい」

 

 

玄関で靴を脱ぎお風呂と喚くオティヌスを無視しそのまま左にある扉を開け仏間へと。そして仏壇の前に座り目を瞑り手を合わせた。

 

 

「この人は?」

 

 

仏壇に飾られている2枚の写真を指差し聞かれた。

 

 

「俺の両親。数年前に異族に食われてさ」

 

「そっか」

 

 

軽い返事の後にオティヌスは俺の隣に座り同じ様に目を瞑り手を合わせた。

 

 

「この村はサフランから遠いから異族が現れてもすぐに助けは来ないんだよ。教会も見回りは出してくれているが毎日じゃない」

 

「ならこんな村さっさと出ていけば良いじゃん。向こうならお風呂だってボタンひとつだよ」

 

「うっせ。いろいろあるんだよ」

 

「どうせ伝統や習わしを守るとかそんなのでしょ」

 

 

それから風呂に入りたいとごねるオティヌスを風呂へと連れてゆき俺は外で薪を焚いていた。

 

 

「でもこのお風呂、なんだか良い感じかも。あたしはもうちょい熱い湯の方が好きだなー」

 

「へいへい」

 

 

窓越しに会話をしながら湯加減を調整。オティヌスに言われ薪を数個放り込み竹筒で息を吹き込むと炎が燃え上がる。

 

 

「おっ良い感じ♪極楽極楽〜♪」

 

 

こっちとら極寒の寒夜の中外で薪の番をしているというのにこの女は風呂に浸かりのんびりとしていやがる。

 

 

「ふぅさっぱりした♪ディンも入るなら火の番してあげるけど」

 

 

しばらくしてパジャマに着替えたオティヌスが顔を出し火の番を変わると言った。

 

 

「で、お前は何を目的にしているんだ」

 

「それ何度も聞いてるけどただの暇つぶしだって。目的なんてないよ」

 

「なんだそれ」

 

「退屈なんだ。毎日が」

 

「お前みたいな可愛い子なら構ってくれる男なんていくらでも居るだろ」

 

「別に。男遊びがしたいってわけじゃないよ。なんかこう、朝起きるのが楽しみになる様な。そんな生活がしたいだけ」

 

「へぇ、いいな暇な奴は。こっちは毎日を生きるのに必死だよ」

 

「ならあたしもそれを体験させてもらおっかな。良い暇つぶしになりそうだしさ♪」

 

 

こいつは人の生活をなんだと思っているんだ。まぁ、どうせ明日一日生活を体験すれば飽きたとか疲れたとか言って街に帰るだろう。そう思いながら風呂を後にしパジャマへと着替えていた。

 

 

「で、なんでお前が俺の布団に寝転がってるんだ」

 

「なんでって早い者勝ちでしょ?」

 

 

寝ようと部屋へと行くとそこには既にオティヌスの姿があり俺が使っている布団を我が物顔で占領する姿があった。

 

 

「いや、退けよ」

 

「寒いからいやだよ。ん、良い事思いついたよ」

 

「なんだよ」

 

「あたしが添い寝してあげるよ♪そうすれば二人とも布団に入れるでしょ?」

 

「頭おかしいんかお前は」

 

「えっなんでだよ。名案だと思ったんだけどなー」

 

 

布団はまだ両親が使っていたのが押し入れの中にある。しかし寒い中それを引っ張り出すのが非常にめんどくさい。しばらく悩んでいると隙間風が吹き結局俺はオティヌスの隣に背を向けて寝転がった。

 

 

「なんか良いねーこういうの。友達の家に泊まりに来たみたいで」

 

「そのうち慣れて飽きるだろ。今だけだよ」

 

「さぁどうだろうね。それと君にひとつ良い事を教えてあげよう」

 

「?」

 

「あたしがこの村に飽きて出てゆく時、その時はこの村を壊滅させて出ていくから。よろしくね♪」

 

 

この女ならやりかねない。いや、今宣言した事をこいつは必ず実行する。出会って間もないがそう思わせる狂気を言葉から感じ取り思わず全身に氷を晒した様に身震いが走る。

 

 

「後はディンの頑張り次第だね。君の言葉、行動次第ではいつだってあたしはこの村を壊せる。これは警告じゃないよ、宣言だからそのつもりでいてね」

 

「・・・」

 

「って言ってもまぁ気楽に過ごしててよ。友達、違うな。彼氏みたいな感じにさ♪」

 

 

この女が考えている事は全く分からん。きっと俺がどう頑張っても理解は不可能だろう。そしてこいつは言いたい事を言った後に安らかな寝息を立てていた。まるで俺に寝首を掻かれる事など想定していないように。

 

今、こいつに馬乗りになり首を絞め殺せば全ては丸く収まる。寝ているとはいえ気が付かないように身体をそっと起こしじろりと寝顔を眺め、俺はまた布団へと戻った。

 

 

「懸命な判断だったね。その事はとっくに想定していたからさ」

 

 

声が背中から聞こえ思わず振り返ると俺を見てニンマリと笑う顔があった。

 

 

「少し見させてもらったけどこの部屋に武器らしい物は無い。なら手っ取り早く首を絞めるって事になるよね。あたしを殺害未遂か。これは重罪だね。それか可愛いあたしの寝顔を見ようとしただけって可能性もあるけどなー」

 

 

楽しそうな声の中にはっきりと狂気が混ざる。身の毛がよ立つ言葉に返事ができずにいると何かが布団から出された。

 

それを横目で見ると闇に矢尻が輝く、一本の矢だった。

 

 

「護身用に一本だけ持ってたけどいらなかったみたいだね」

 

 

もし、オティヌスに跨り首を絞めていたら首に矢を突き立てられていただろう。

 

 

「君にあたしを殺す気があってもあたしは殺せないよ。あたしの気が済むまでは楽しませてもらうからね」

 

 

肩に重みがかかり見上げるとニンマリと笑いながら俺を見下ろし、その姿に俺は頷く事しかできなかった。

 

 

次の日、村の何処かで鳴く鶏の声で目を覚ますとそこにオティヌスの姿はなく不審に思っていると扉が開きオティヌスが姿を見せた。

 

 

「やっぱ外は冷えるね。おぉーさむい寒い」

 

「冷てっ。何すんだよ」

 

「何って寒いからディンで暖を取ろうとおもってさ」

 

 

そのままオティヌスは布団に入り込み俺に密着をしていた。すっかり冷えた手が服の中に入れられ思わず飛び上がりそうになる。

 

 

「んで、何してたんだよ」

 

「何って寒い外の空気を吸ってたんだよ。朝の凛と張る様な空気が好きなんだよね」

 

「気持ちは分かるが冷たいから俺に触るな」

 

 

オティヌスのせいですっかり眠気が冷めてしまい身支度を整え外へと出る事に。

 

 

「んでなにするのさ」

 

「朝飯の調達だよ」

 

 

家を出て少し歩くと鶏小屋がありそこには産みたての卵が数個あり四つほど拝借。その足で牛舎へと行き牝牛から乳を搾る。

 

 

「へぇー本当に田舎みたいな生活してるんだ」

 

「一言多いんだよ。持ってろ」

 

 

搾りたての牛乳をオティヌスに渡し次は畑へと行き野菜を収穫し家へと戻って来た。

 

 

「お前料理は?」

 

「できない事はないけど、あたしをもてなしてくれるんじゃないの?」

 

 

やんわりと拒否をされ仕方なしにキッチンへと行き竈門に火を灯し料理の準備を始める。

 

 

「今時ガスすらなくて良く文明保ててるよね」

 

「半分崩壊してるけどな」

 

 

米を洗いお釜で炊き、その間に適当なおかずを作ってゆく。

 

 

「この卵はなんに使うの?」

 

「卵かけご飯だよ。悪いが火加減見ててくれ」

 

「はーい」

 

「なるべく強火で頼むぞ」

 

 

米をオティヌスに任せて野菜と猪の肉を炒めてゆく。しばらくして食卓にはご飯が並んでいた。

 

 

「いただきまーす。んっ!このお米美味しい!」

 

「釜で炊いた方が美味しいんだよ。それにこの村の米はサフランに卸されてるから食った事はあるはずだ」

 

「この美味しさはジャーには真似できないなー。これに卵をかけちゃうの?」

 

「そうだ。採れたて産みたての卵だぜ」

 

 

ご飯に卵を落とすと白身は垂れていったが黄身はご飯の上に鎮座する。それを箸で混ぜるとご飯は黄金色に輝き醤油を少々垂らす。

 

 

「うーん卵かけご飯も乙なものですな♪」

 

 

対面して座るオティヌスは笑顔でご飯を食べていた。その時、乱暴に玄関が叩かれ食事を止め玄関へと行く事に。

 

 

「どした?」

 

「異族が出たんだ!数は少ないが村に向かってる!!」

 

「分かった。詳しい場所と位置を教えてくれ」

 

「場所は…」

 

 

そいつから異族の出現した場所を聞き俺は仏間に置いてある弓と矢を手に取り家を出ていった。

 

 

「異族が相手なんでしょ?人間の君が倒せる相手じゃないよ」

 

「本来ならな。だが、俺にはこの弓がある」

 

 

俺が仏間から持ち出した弓の名は『妖精弓スフィアボウ』うちに先祖代々伝わる妖精の加護を受けた弓。この弓があれば人間であっても異族を殺す事ができる。

 

 

「それって、、スフィアボウじゃん!なつかしいなー昔練習でよく使ってたよ」

 

「そうなのか?」

 

「うん、その弓だと超超遠距離の射撃ができるからさ」

 

「サフランにはこれがたくさんあるのか、、」

 

「そりゃもう捨てるほどにね」

 

 

うちに先祖代々伝わる弓はどうやら都会だとゴミみたいなものらしい。結構なショックを受けながらも異族の出現場所へとゆく。

 

 

「ってかなんでお前ついて来てるんだよ」

 

「そりゃあだって退屈だし?」

 

「お前、、マジで異族相手にそんな悠長な事を言ってると死ぬぞ。今からでも家に帰れ」

 

「大丈夫だいじょうぶ♪それよりも前を見た方が良いんじゃないかな?」

 

「あぁっ?」

 

 

オティヌスに言われ前を向くそこにはこちらへと向かい走る異族の姿があった。話し声で気付いたのだろう。

 

 

「ほんと、お前がいるとペースが乱れる!」

 

 

悪態を吐きながら弓を構え矢尻を異族へと向け、絃を引く手を離すと矢は風の様に走り異族の眉間を撃ち抜く。

 

 

「おぉーやるねぇー♪でもまだ来てるよ」

 

「うっせ」

 

 

続き放った矢も異族を打ち抜き村に現れた異族は討伐された。

 

 

「お疲れ様。よく人の身でその弓使えるよね」

 

「その為に鍛えてるんだよ。普通の人間ならこの弓を扱う事はできないから。これが俺がこの村を離れる事ができない理由だ」

 

「ふーん。さーって帰ってご飯の続きつづきっと♪」

 

 

討伐を終えるとオティヌスは何事もなかったかの様に家へと戻り食べかけの朝食を食べていた。

 

 

「ご馳走様でした♪それで、今からは何をするの?」

 

「薪割りと畑の草むしり、それが終われば鶏小屋と牛舎の掃除だ」

 

「おっけー♪じゃあ、行こっか」

 

 

ニンマリと笑うオティヌスと共に自宅の裏へと行き薪を割る為の手斧を渡した。

 

 

「ここに沢山あるのに薪割るんだ」

 

「乾燥させる為に割っておくんだよ。生木だと煙が出るし火の付きが悪いんだよ」

 

「ふーん?」

 

 

切り株の上に薪を置き繊維に添い斧で打ちちょうど良い大きさへと割ってゆく。

 

 

「けっこう楽しいねこれ♪」

 

「そう言ってられるのは最初だけだ。そのうち手に豆ができて斧握れなくなるぞ」

 

「大丈夫だって♪」

 

 

どうせすぐ根を上げる。そう思っていたのにオティヌスは薪が無くなるまで楽しそうに斧を振い続けていた。

 

 

「もう終わりかな?ようやく準備運動が終わったってところなのに」

 

「お前、手を見せてみろ」

 

「手ぇ?そういうフェチなの?」

 

「違うわ」

 

 

オティヌスの手を見るとそれは肉体労働なんてした事もないような女の子らしい手。あれだけ斧を振るっていたのに豆一つできていない。

 

 

「ジロジロ見過ぎだってば。やっぱりディンは手のひらがフェチなんだね」

 

「やかましい。次は畑の草むしりな」

 

「はーい」

 

 

朝に野菜を収穫した畑へと行き所々に生えている草をちまちまとむしってゆく。この畑は村の共同の畑なので近所の人が草をむしる姿があった。

 

 

「おや、あんたは」

 

「どーも」

 

「こんにちわおばあちゃん」

 

 

オティヌスはおばあちゃんと打ち解けずっとおしゃべりながら草をむしっていた。この女、社交性はかなり高く草をむしり終わる頃には自分の孫娘の様に可愛がられていた。

 

 

「お前すごいな」

 

「なにがー?」

 

「コミュ力?」

 

「あぁね♪喋るのって楽しいしああいう単純作業してる時は何かしながらやってた方が飽きないしさ♪」

 

「へぇーあっつ」

 

 

草むしりのお礼にともらった焼き芋を食べながら鶏小屋へと。次はここの掃除。

 

 

「けっこう汚れるんだね」

 

「好き放題にうんこするからな。ちゃんと綺麗にしてやらないと病気になるから」

 

 

地面に落ちている糞を箒で集めちりとりで取り掘った穴へと埋める。その間にオティヌスは水を変え鶏達にご飯をあげていた。

 

 

「あっはは♪見てみて♪」

 

 

そこには鶏に懐かれ両肩と頭に鶏を乗せる姿が。鶏小屋の掃除を終え次は牛舎へと来ていた。

 

 

「うわっ、、すごい臭い、、」

 

「こいつらのうんこはデカいからな。集めて向こうにある収集場へ持ってくぞ」

 

「はーい」

 

 

牛達の間に落ちている糞を集め一輪車へと乗せ収集場へと運び捨てる。俺が捨てに行っている間にオティヌスが糞を集めていたのだが戻って来る頃には糞が山の様になっていた。

 

 

「動物は良いね〜おーよしよし」

 

 

当然の様に牛達とも戯れオティヌスが通る度に牛は撫でろと頭を伸ばす。

 

 

「こんなにうんこ集めてどうするの?」

 

「畑の肥料にするんだよ。うんこだって使い道はあるんだ」

 

「へぇー面白いね♪」

 

 

田舎暮らしを体験してもオティヌスは嫌な顔一つせず楽しそうに笑う。本当に何を考えているのかが謎だ。

 

 

「んーーーっ♪働いた後のお風呂は格別だね♪もうちょい温度上げても良いよー」

 

「へいへい」

 

 

夕飯を食いに行く前に風呂に入りたいと言われまた俺は火の番をしていた。窓越しにオティヌスの指示と鼻歌を聞きながら。

 

 

「それで明日は何するの?」

 

「朝に魚釣りに行って飯の確保と矢を何本か作って漬物漬けて昼からは猪狩りかな」

 

「おっけー。向こうだとお金払えばご飯出て来るけどこうやって自給自足も楽しーね♪」

 

「本気で言ってるのかそれ」

 

「本気だよー?大自然に己一つで挑む。良いねー明日の朝起きるのが楽しみだよ」

 

 

本気かどうかは分からんがオティヌスの声色に嘘は感じられなかった。まぁどうせ不便さを楽しんでいるだけだろうと気には止めなかった。

 

しかし誰かがこうして家に居るのは良いと思える。例えそれが性格最悪の女だとしても。

 

 

「ふぅ〜さっぱりした♪じゃあ火の番変わるね」

 

「頼むわ」

 

 

オティヌスが好む少し熱い湯に肩まで浸かりオティヌスの事を考えていた。この女は何者なのだろうか?何故あんな山奥に居た?疑問は尽きないが聞けば解決するだろう。しかし、あの女が容易く話してくれる気がしない。どうせのらりくらりと話を逸らすだろう。

 

 

「まだ〜?あたしお腹すいたんだけど」

 

「俺にもゆっくり風呂ぐらい入らせろ」

 

「じゃあ今すぐに出たくなるようにしてあげるね♪」

 

 

何をするつもりだ?そう身構えたがオティヌスは壁を隔てた外に居る。何もする事はないと思っていたら湯の温度がどんどん上がってゆき俺は風呂から出ざるを得なかった。

 

 

「お前っ!!」

 

「あはは〜〜っ♪どう?出たくなったでしょ」

 

「じゃかましいわ!」

 

 

若干肌は赤くなってしまったが茹で上がるまでに風呂を上がることに。

 

 

「ねぇってばーそろそろ機嫌なおしてよー」

 

「うっせ。茹でられた俺の気持ち考えろよ」

 

「まだちょっとだったじゃん」

 

「次は俺がお前を茹でてやるからな」

 

「それはノーサンキューだなー」

 

 

その後、俺達は公民館へと行き飯ができるのを待っていた。そこでもオティヌスは色んな人と喋り仲を深めていた。

 

 

「へぇーいいなー今度あたしも連れてってね♪」

 

「そうだよねーこの寒い中食べる鍋料理は格別っていうか♪」

 

「芋掘り?うん良いよー?今度手伝うよ♪」

 

「あたしに嫁になれって?むりむり!そういうのはちゃんとお互いを理解してからだよ」

 

 

気が付けば村中の人に囲まれてお喋りをしていた。それは世間話から仕事を手伝って欲しいという話まで。年寄りの長い話にもオティヌスは嫌な顔一つせず笑顔で話を聞いていた。

 

 

「ご馳走様♪今日のご飯も美味しかったよ♪また明日ねー♪」

 

 

飯を食い終わり家に帰る事に。深っと凍てる様な寒夜の中を歩いてゆく。

 

 

「お前すごいな」

 

「えっなにがー?」

 

「コミュ力。まだ2日目なのにみんな友達みたいになってたろ」

 

「そりゃあ喋るのは楽しいし。でもこれはあたしのコミニケーション能力だけじゃ無理だよ。ディンがこの村の重要ポジションに居るからあたしにも良くしてくれているだけ」

 

「そうなのか」

 

「そうだよ。村を異族から守る英雄の彼女。そりゃ村も世継ぎが欲しいから逃すわけにもいかないしみんなであたしを囲っちゃうよね」

 

「お前けっこう現実みてるんだな」

 

「あたしはちやほやされたいとは思っていないけど仲良くしたいとは思っているからね。まっ、君があたしを飽きさせなければだけど」

 

 

そう言って俺に向かいニンマリとした笑顔を向けた。

 

 

「んで、それ俺の布団なんだけど」

 

「早いもの勝ちって昨日も言ったじゃん」

 

「だからって仏間からダッシュはないだろ」

 

 

両親への挨拶を済ませた瞬間、オティヌスは走り布団へと潜り込んでいた。

 

 

「いーじゃん。あたしはディンの彼女なんだから一緒に寝るぐらい」

 

「この時期は温かいからありがたいけどな」

 

 

なんだかんだ言いながらもオティヌスへ背を向け寝転がり眠くなるのを待っていた。

 

 

「冷てっ!!」

 

「あはは〜っ♪イタズラ大成功だね♪君はイタズラのしがいがあるから楽しいよ♪」」

 

「そんな事してないで寝ろ」

 

 

眠くなり始めた頃に首に冷えた手を当てられ眠気は吹き飛んだ。思わず振り返るとそこには楽しそうな顔をするオティヌスの顔が。

 

 

「じゃああたしは眠くなってきたから寝るね。おやすみー」

 

「お前、、」

 

 

人の眠気を吹き飛ばしたやつは人の気も知らず安らかに寝息を立て始め俺が寝る事ができたのはしばらくが経ってからだった。

 

 

 

次の日の朝、鶏の鳴き声に起こされ目を覚ますとオティヌスはまだ寝ていた。寝顔を覗き込むととち狂った奴とは思えないほど寝顔は可愛らしい。

 

 

「あたしが可愛いのは分かるけど見過ぎだって」

 

「それ自分で言ってて悲しくならんのか」

 

「じゃあディンはあたしの事可愛いと思う?」

 

「それは、、早く起きろ。魚釣りに行くぞ」

 

「はーい。その前に質問に答えてよね」

 

「後でな」

 

 

狸寝入りに引っかかりながらも着替えを済ませ家にある釣り竿を2本持って畑へと来ていた。

 

 

「ここに魚が居るの?どうみても畑なんだけど」

 

「餌を掘るんだよ。適当に掘ったらミミズが出てくるから、10匹は捕まえろよ」

 

 

釣り竿をその辺に立てかけ代わりにスコップを渡しミミズを掘り出してゆく。

 

 

「うへ〜うねうねしててきもちわるっ」

 

「釣り針に刺すと臭いも出すからな」

 

「あたし触りたくないんだけど、、」

 

「じゃあ飯抜きだな」

 

 

そんな話をしながらもミミズを掘り目標の数を集めたので近くにある川へと来ていた。

 

 

「うわ〜ぐねんぐねんし始めたんだけど。って臭っ!」

 

 

なんだかんだ言いながらもミミズを針に刺し湧き出た体液の匂いに顔をしかめる姿を見ながら仕掛けを川へと降り込み流れてゆくウキを見つめていると小さくウキが揺れた後に一気に水中へと引き摺り込まれた。

 

 

「おかずゲットだ」

 

 

釣り竿を煽ると抵抗の末に20センチほどの魚が水中から空中へと引き抜かれ水滴を飛ばしながら暴れる。

 

 

「やるね〜じゃああたしも釣らせてもらおうかな」

 

 

俺より下流に立ち流れの流心へと仕掛けを降り込みウキを眺めた。その横顔はけっこう真剣で時折顔にかかる髪をよけながら。

 

 

「んっ!きたよ!」

 

 

言葉にオティヌスを見ると釣り竿は弧を描き釣り糸が水面を縦横無尽に動き回り、辺りに水飛沫が飛んだ。

 

 

「えっへへ♪大物だね♪」

 

 

岸辺へと魚を寄せ暴れる魚を丘へと上げていた。その魚はゆうに40センチを超えているだろう。

 

 

「おぉーすげえな」

 

「まぁあたしにかかればこんなもんだよね♪ディン君の魚は随分と小さいみたいだけどー?」

 

「いまに見とけよ」

 

 

オティヌスに煽られ再び仕掛けを流心へと降り込みあたりを待つ。するとウキが一気に水中へと引き込まれ釣り竿を煽った。

 

 

「空振り、、」

 

 

しかし魚はかからず釣り針に付けてあった餌だけが無くなっていた。

 

 

「あっはは♪魚にご飯あげに来たのかな?」

 

「うっせ」

 

 

それから餌が無くなるまで釣りを続けたのだが俺は20センチほどの魚を3匹、オティヌスは大物を3匹釣り終始ドヤ顔を俺に向けていた。

 

 

「うーんっ釣りたてのお魚も良いものですなぁ♪」

 

 

釣った魚を家に持ち帰り下処理をした後に串に刺し塩焼きに。竈門の炎に炙られ香ばしい匂いが部屋に充満し食欲をそそりオティヌスは焼けるのを竈門の前で楽しそうに待っている。

 

 

「ねぇそろそろ裏返して良い?」

 

「あーっと、、そうだな」

 

「おっけーんっ!この焦げ目がニクいねぇ♪」

 

「魚は任せたからな」

 

「はーい♪」

 

 

オティヌスに魚を任せその間に他の料理の準備。しばらくして食卓には三品の料理が並んだ。

 

 

「自分で釣った魚って美味しいね♪いやぁー満足まんぞく♪」

 

「それは良かったよ」

 

「残ったお魚はどうするの?」

 

「燻製にしておくか。燻製にすれば保存が効くから」

 

「へぇー生活の知恵って奴だね」

 

「とりあえず片付けて矢作るか」

 

「おけー」

 

 

食器を片付けオティヌスと共に村の製鉄所へと来ていた。扉を開けた瞬間に肌を焼く様な熱気に出迎えられながらそこで働く奴を探す。

 

 

「なにここ暑っ!」

 

「製鉄所だからな。いたいた、おっす」

 

「おぉディン。彼女連れてここにデートか?」

 

「んなわけあるか。矢尻作りに来た」

 

「そっちの炉が空いてるよ」

 

「ん、ちょっと借りるぞ」

 

「ディンが矢尻作るんだ」

 

「そりゃーな。熱いから下がってろよ」

 

 

ポンプを使い炉へと空気を送り込むと炉の中が眩しい赤に輝きその中へと鉄の棒を差し込むとたちまち熱され赤く輝く。

 

 

「おぉ〜〜」

 

 

熱された鉄棒を取り出しハンマーで叩き形を整えてゆく。

 

 

「こうやって矢を作るんだ」

 

「まだ未完成だけどな」

 

 

オティヌスが見ている間にまた炉の中へと入れ熱し取り出しまた形を整えてゆく。

 

 

「見た事ある形になってきたね」

 

「後は冷却して完成だ」

 

 

何本か作った矢尻を水バケツの中に入れると熱を持つ矢尻がじゅうと音を立てた。

 

 

「へぇ〜あたしにもやらせてよ」

 

「危ないからダメだ」

 

「大丈夫だって。そこ変わってよ」

 

「火傷しても知らんからな」

 

 

オティヌスに場所を変わると同じ様にポンプを使い炉を温め鉄棒を炉の中へと入れた。

 

暑そうに長髪をお団子に纏める横顔は普段のちゃらけた様子は無く真剣そのものでやがて熱された鉄棒を取り出しハンマーで叩き始め鉄棒は矢尻の形へと姿を変えてゆく。

 

 

「よし、完成っと♪」

 

 

水バケツの中へと入れ冷した矢尻を見ると俺が作ったのと変わらない矢尻が。

 

 

「お前すごいな」

 

「ふふーん♪凄いでしょ?」

 

 

一度作っているところを見ただけでほぼ完璧に矢尻を作り上げドヤ顔で俺を見ていると肩が叩かれ振り返った。

 

 

「いちゃ付くなら家でやれ」

 

「う、うっす、、」

 

「あっはは♪」

 

 

その後、作った矢尻を持ち逃げる様に家へと帰ってゆく。

 

 

「こんな小さな村なのに製鉄所があるんだね」

 

「サフランに買いに行く事もできるがいざという時に困るからな。この村の農機具や包丁、ナイフもあそこで作ってるんだぜ」

 

「へぇー意外とやるねぇ♪んで、その矢尻をどうするのさ?」

 

「これに木の棒付けて羽を付ければ完成だよ」

 

 

矢尻に棒を固定し棒に切れ込みを入れ羽を取り付けると矢の完成。一つ作るとオティヌスも同じ様に矢を作ってゆく。

 

 

「ふーん?なんか良いね手作りの矢って」

 

「愛着湧くだろ?再利用すれば結構長く使えるんだぜ」

 

 

矢を作り終えた後に畑へと行き白菜を収穫。それを一枚一枚洗い塩漬けにしておく。

 

 

「キムチ?」

 

「いや、浅漬けだな。キムチだと唐辛子やニンニクとかいるからめんどいんだ」

 

「どうせならキムチも作ろうよ。自作のキムチとか美味しそうじゃん」

 

「うーん?」

 

 

交渉の結果浅漬けの中に唐辛子とニンニクを入れるという事で話は付いた。

 

 

「これはいつ食べれるの?」

 

「今日の夜には食えるかな?作ってから1週間は食べれるからおかずには困らないぜ」

 

「良いね、楽しみだよ」

 

 

白菜を漬けた樽の蓋に石を置き猪を狩に行く事に。弓と矢を携え山へと向かう。

 

 

「おぉ寒っ。風が強いと冷えるね」

 

「お前にも毛皮のジャンバー作るか?」

 

「毛皮のジャンバー?猪の?」

 

「そう。結構あったかいぞ」

 

「へぇーじゃあ一着作ってもらおっかな。あたしに合うサイズなら結構大きめの猪狩らないとね」

 

 

そんな事を話しながら山中を歩いていると猪を見つけた。距離は約500メートル程で向こうはまだこちらには気が付いておらず平和に鼻で地面を掘り返し餌を探している。

 

 

「風は、、追い風だね。障害物は多いけど君はどう獲物を狙うのかな」

 

「木々の隙間から狙うよ」

 

 

矢立から矢を取り出し弓へとつがえ弦を張り矢尻を獲物へと向ける。

 

 

「そこっ!」

 

 

背後から風が吹いた瞬間、張り詰める弦を離すと矢は風に乗り木々の隙間をすり抜け1匹の猪の胸部へと突き刺さり絶叫が山間部にこだまし、のたうち回る姿が。

 

 

「おぉーお見事だね♪」

 

「慣れだよ慣れ」

 

 

しばらくのたうち回った猪だが力尽き動かなくなるのを見てから近寄り喉元へとどめのナイフを一突き。

 

 

「結構血が出るんだね」

 

「まだ出るよ。しっかり血抜きしないと身が臭くなるからな」

 

 

オティヌスと共に川へと運び血抜きを行っていた。

 

 

「なんで猪を狩るの?」

 

「そりゃ山から降りてきて畑を荒らすし人も襲う。こっちも生活も守らなければならないし。その代わり余る事なく頂くよ」

 

「ふぅーん?かわいそうだとか思わないの?」

 

「どこでも同じ事は行われているよ。それが目に見えるか見えないかの差だ。サフランで出る肉だって同じ事がどこかで行われ食卓に出てるんだ。大事なのは生き物に対する感謝の気持ちだと俺は思う」

 

「良い回答だね。あたしはそういうの好きだよ」

 

 

俺に向けられたニンマリとした笑顔を見た後、腹を捌き臓物を引き摺り出し腹の中の血を洗い流してゆく。

 

 

「さて、帰るか」

 

「そうだねー今夜はこの猪ですき焼きなんてのもありだなー」

 

 

すでに夜飯の事を考えているオティヌスと共に川を下ってゆく。

 

 

「お前はここの生活が苦じゃないのか」

 

「あたし?んー別に苦って訳でもないし。不便な生活だけどその分退屈とは無縁だから結構あたしは好きかも。どうしてそんな事を聞くの?」

 

「この村に来た女は大体一日二日で嫌になって街に帰るんだよ。電気も無いガスも無い。あるのは自給自足の泥臭い生活。不便だの汚いってさ」

 

「たいていの女の人はそういうだろうね。あたしは、まぁ、世捨て人みたいなもんだから。雨風凌げてご飯が食べれれば何処でも良いっていうのか」

 

「変わってるなお前。俺と出会う前は何して・・・」

 

 

そこまで言いかけ言葉を止めた。それは風に混ざる煙の臭いを感じたから。

 

 

「どうしたの?」

 

「急ぐぞ」

 

「えぇっ!?ちょっと!猪どうするのさ!」

 

「んなもん後だ!」

 

 

猪を岸辺に引っ掛け岩肌の荒れた川道を飛ぶ様に走り村へと急ぐ。途中見上げた空には黒煙が立ち昇るのが見え更に足取りは早くなる。

 

川を下り村付近まで行くと川から村人が一列に並ぶ姿が見えた。

 

 

「おい!どうなっている!?」

 

「火事だディン!婆さん家が燃えてる!人が足りねぇお前達も並べ!」

 

「分かった!オティヌス!」

 

 

バケツをリレーし火元に水をかける様で先頭へと向かい走ってゆく。

 

そこで俺は燃える家を見るオティヌスの姿を見つけ手伝わせようと声をかけながら近づいてゆく。

 

 

「モエテル、、チガウ、アタシタチハチガウ、、シラナイ、、ホントダヨ、、シンジテ、、」

 

 

俺の言葉に返事はなく目の前に立ち顔を見ると目の焦点は合わず虚で涙を流しながら何かを呟き続け、やがてその場にうずくまり頭を抑えた。ただ事では無い様子に思わずしゃがみ背を撫でる。

 

 

「オティヌス!しっかりしろ!」

 

「ディン、、違うよね、あたし達が犯人じゃ無いよね、違うって言って!お願い!!!」

 

「あぁ違う。お前の潔白は俺がする」

 

「そう、、だよね、、違う、よね、、」

 

「お前は向こうで休んでろ。俺たちでなんとかするから」

 

 

手を引き立ち上がらせると火事から離れた方へと連れて行き座らせた後バケツリレーに混ざり運ばれて来るバケツの水を火元に掛け空のバケツを送り返す。

 

 

「あたしも手伝うよ」

 

 

しばらくするとオティヌスも参加し。それでも火が消し止められたのは辺りが暗くなる頃だった。

 

出火の原因は家の裏でしていた焚き火の炎が風に乗り自宅へと燃え移ったらしく婆さんが死にそうな顔をしながらみんなに謝っていた。

 

 

「じゃあ次は燃えない家を建てないとな!」

 

 

そんな婆さんと違い村の連中は婆さんの家を建て直す事を話し建築士はすでに図面を引き木こりは切る木の数を数え大工は段取りを考え。次第に婆さんの顔には笑顔が見え始め一人一人にお礼を言っていた。

 

 

「ごめんねオティヌスちゃん。村に来たばかりだというのに面倒をかけました」

 

「そんな、、あたしは途中からしか手伝って無いし、、」

 

「それでもありがとう」

 

「う、うん、、ディン。あたし先に家に戻ってるね」

 

「分かった。もう少し話したら帰るから」

 

 

村の住民である俺も工事は手伝う事になり段取りの話を聞き家に帰ったのはそれからしばらくが経ってからだった。

 

家に帰り仏間へと行った後自室へと行くと敷かれた布団が膨らんでおりオティヌスが寝ていると思い風呂に入ろうとドアを閉めた。

 

 

「ディン」

 

「ん、どした?」

 

 

そんな時オティヌスの声が聞こえ閉めたドアを開け直しオティヌスの元へ。

 

 

「何処行くの」

 

「風呂だけど」

 

「そんなの良いから一緒に寝てよ。一人だと寝れないから」

 

「ちょっと待ってろ」

 

 

そう言って引き出しから服を引っ張り出し着替えだけをして布団の中へと入り込んだ。するとオティヌスは身体にしがみ付く様に身を寄せた。

 

 

「寒いか?」

 

「うんん、大丈夫」

 

 

そう言ったが身体は小さく震えたまま。きっと火事にトラウマがあり今日の火事で恐怖心が蘇ったのだろう。そう思いオティヌスの背中を寝るまで撫で続けていた。

 

 

次の日の朝にいつも通り村の何処かで鳴く鶏の声で目を覚まし起きあがろうとすると身体が引き寄せられ再び布団の中へと潜り込んだ。

 

 

「何処行くのさ」

 

「何処って飯の準備だよ。お前も起きろ」

 

「もう少しだけ、少しだけで良いから、、」

 

 

そう言われしばらくオティヌスは俺にしがみ付いていた。

 

 

「ありがと、もう大丈夫だから。それで今日は何を朝ごはんにするのかなー?」

 

「昨日燻製にし損ねた魚焼いてそれと白菜の漬物とご飯だ」

 

「さいっこうだね♪あたしお腹空いてるから早く行こっ」

 

 

そう言ってオティヌスは勢いよく布団から飛び出し台所へと向かって行った。まるで何かを振り切るかのように。

 

 

「うーーーーんっ。なんかただ辛いニンニク味の白菜って感じ」

 

「キムチってのは他にも材料がいるんだよ。エビとか魚とか」

 

「なるほどね。でも良い経験になったしこれはちゃんと食べ切るからね」

 

「それはもちろん」

 

「ねーあたしお風呂入りたいんだけど」

 

「あーっと、飯食ったら婆さん家の解体があるから風呂入ってもまた汚れるぞ」

 

「まじかーならどーしよっかなーでも女の子としてお風呂に入らないわけにもいかないから火の番よろしくね♪」

 

「お、おう」

 

 

そう言われ俺は早朝の寒さに身を震わせながら火を起こし風呂のお湯を温めていた。周囲を見ると生える草の葉に霜が下り余計に寒さを感じるが、火にあたっている事が唯一の救い。

 

 

「湯加減良い感じだね♪あたしの好みが分かってきたみたいで嬉しいよ♪」

 

「そりゃどーも」

 

 

窓越しの嬉しそうな声に返事を返し火に当たってない背中を火に当てていた。

 

 

「うわー良い感じに真っ黒になってる」

 

 

オティヌスが風呂から出た後に俺たちは燃えた婆さんの家へと来ていた。木造の平家は火災でほぼ全焼しており数本の黒焦げた柱が残っているのみで家具も燃えてしまっていた。

 

 

「命があっただけ良いと思わないとな。死んでなければ何度でもやり直せるし」

 

「そう、だね」

 

 

二人で家を見ているとぞろぞろと村の連中が集まり始め解体の作業が始まった。

 

燃え灰になった木材を集め燃え切っていない木材と分け燃え残る木材は広場に集めもう一度火を付け灰にする。

 

 

「また燃やすんだ」

 

「灰にして畑に撒くと肥料になるんだよ。使える物は使わないとな」

 

「なら火を消さずに焼き切っちゃえばよかったのに」

 

「消さない訳にはいかないだろ人として」

 

 

作業が終わりかけたころ、俺とオティヌスは昨日捨てた猪を回収する為に川を登っていたのだが岸辺に捨てた猪はすでに他の野生動物に食われ無惨な姿となっていた。

 

 

「一日置いとくだけでこんなんになっちゃうんだ」

 

「この時期の貴重な食糧だし努力せず食える飯だからな。可哀想だが後は自然に帰ってもらおう」

 

 

亡骸へと手を合わせ来た道を引き返してゆく。

 

 

その日の夕食の時間は賑やかなものだった。全員が婆さん家の建て直しの話しをし会話は途切れる事は無く木こりへの注文、大工への要望、製鉄所へ金物が注文されそれぞれの段取りが組まれていて。

 

 

「ディンは木を切りに山へ行ってくれ」

 

「分かった。オティヌスはどうする?」

 

「あたしは製鉄所で金物作るよ。前矢尻作った時結構楽しかったしさ」

 

「分かったよ。明日は別々だが無理せずやってくれ」

 

「じゃあ俺も金物作るぜ!」

 

「俺も俺も!」

 

「お前らは山に木切りにいくぞ」

 

 

オティヌスは人気者だ。見てくれは良く親しみやすく話しやすいと。今まで村に居ないタイプの人間でありそれも女。人気が出ない方がおかしいだろう。

 

 

「あたしも頑張るから君たちも頑張りたまえ♪」

 

「サー!イエッサー!」

 

 

楽しそうにはしゃぐオティヌス達を何処かぼんやりと眺めていた。

 

 

次の日から婆さん家再建が始まりオティヌスとは朝食を食べた後に離れ行動をしていた。それでも夕飯の時間には合流するし寝るのも一緒の場所なのだがやかましい奴が居ないだけで妙な寂しさを感じる。

 

 

「後は木を村に運んで加工するか」

 

「うっす」

 

 

三日のほど時間をかけ必要な木を切り後は村に運ぶだけとなった。その三日間オティヌスと離れている間俺はほとんどオティヌスの事を考えていた。

 

 

「なにぼーっとしてんだよ。運ぶぞ」

 

「あぁ悪い。気合い入れて運ぶか」

 

 

ここまで仕事が手に付かないのは両親が異族に食われた時以来か。脳裏に浮かぶオティヌスのニンマリとした笑顔を振り切る様に頭を振り切り出した木を村へと運んでゆく。

 

 

それから一ヶ月が過ぎた頃婆さんの家の再建は終わり焼けた家の跡には立派な平家の家が経っていた。

 

 

「家ってみんなで建てれるんだね」

 

「意外となんとかなるだろ?みんなで力合わせればなんとかなるんだよ」

 

 

オティヌスと共に新築の家と申し訳なさそうで嬉しそうな婆さんの姿を見ていた。

 

この一ヶ月斧や鋸を使い続け俺の手の中は豆だらけとなりオティヌスも製鉄所で働き髪が焦げていたり腕には火傷の痕を作っていたりと苦労が見える。

 

 

「製鉄所の人も最初は女の子扱いしてくれたのに慣れてくると男みたいな扱いしたんだよ。こんなに可愛いのに」

 

「職人なんてそんなもんだろ。お前は筋が良いから教えるのが楽しかったんだろ」

 

「あたしは天才だからね♪でも楽しかったよ。沢山苦労もしたけどあれだけ喜んで笑顔が見れると嬉しいね」

 

「そうだな」

 

 

目線の先には婆さんの笑顔が。

 

 

「今夜は婆さんがご馳走作ってくれるから楽しみにしてようぜ」

 

「ほんと?なら心ゆくまで堪能しなきゃね♪」

 

 

楽しそうなオティヌスの声を聞きながら大きく身体を伸ばし一息吐いた時、俺の目は村へと向かう異族達を見つけた。

 

 

「異族が来る!!みんな逃げろ!!」

 

 

俺の声に村人は蜘蛛の子を散らす様に家へと逃げ込み俺は弓を取りに家へと直走った。

 

玄関を開け仏間へと走り飾ってある弓と矢を取り外へと飛び出す。

 

 

「異族の数が多い。お前も家に隠れてろ」

 

「いや、あたしも行くよ。あの数はディン一人じゃ無理だよ」

 

「お前に何ができるんだ!俺がなんとかするから隠れてろ」

 

 

オティヌスを家の中へと押し込み俺は一人異族の群れへと対峙する。その数は二十匹程だが負ける訳にはいかない。背の矢立から矢を引き抜き弓に番え弦を弾き矢を放つ。

 

 

「ギャッ!」

 

 

放った矢は異族の眉間を撃ち抜き断末魔と共に地に倒れ、それを見届けまた矢を番る。

 

 

「なっ!」

 

 

再び矢を向けた時、異族の行動に驚きの声が出た。俺がさっき撃ち殺した異族を拾い盾にし異族は侵攻をしていた。異族は高い知能を持つ事は知っていたがまさかここまでするとは思いもしなかった。

 

そして異族の盾は矢を防ぐのに抜群の効果を持つ。再び放った矢は異族の死体を貫通する事ができず後ろの異族に矢は届かなかった。

 

 

「くそっ!!」

 

 

盾を持たない異族を射るができた死体は盾として使われやがて異族の群れは村へと侵入し家屋の影に身を隠しながら俺へと迫る。

 

異族の持つ武器は剣。接近させれば俺も両親と同じ様に異族に殺され食われる。そんな結末が脳裏に浮かんだが想像を掻き消す様に頭を振り家と家の間を通る瞬間に撃ち抜くが健闘虚しく次第に追い詰められ焦りのあまり番えようとした矢を地面へと落とした。

 

 

「ギギギッ」

 

 

そんな俺を見て勝利を確信した様な笑い声をあげ獲物を捕食しようと俺へと迫る。

 

 

そんな時、甲高い笑い声が村中に響き俺どころか異族すらもその笑い声の方を向き、その主を刮目した。

 

 

「あははーっ♪あたしの力が必要みたいだね。良いよ。君の為、違うな。この村の為ならあたしは弓を引いてあげるよ」

 

 

その主は狐色の長髪を風に靡かせ、ニンマリとした狂喜の笑顔で俺を見据えていた。

 

 

「馬鹿!家に隠れてろ!」

 

「これを見てもまだそんな事が言えるかな?」

 

 

言葉と共にオティヌスは何かを放ちそれを受けた異族の頭部は消し飛び残った胴体だけが地に倒れていった。

 

オティヌスの手には弓が握られ左手は矢を番ていた。

 

 

「あたしはオティヌス。歓喜に誘われ堕ちたキル姫。さてと、共闘と行こうじゃないの」

 

 

風を切る音と共に放たれた矢は異族を容易く撃ち抜き道を作ると俺の元へと歩み、やがて俺の背中へ背を合わせた。

 

 

「どう?あたしじゃ不安?」

 

「今さっき不安は消し飛んだよっ!」

 

 

返事は返ってこなかったが背中で不敵にニンマリと笑うオティヌスの顔は容易に想像できた。

 

 

オティヌスの参戦により戦況は異族優勢からちゃぶ台の様にひっくり返り同時に放った矢が最後の異族の眉間を貫きようやく村に平穏が戻った。長時間の戦闘に張り詰めた集中が切れ俺はその場にへたり込む様に崩れ落ち晴々とした冬の青空を仰いだ。

 

 

「助かったよオティヌス。ありがと」

 

「あたしが居て良かったでしょ?」

 

「あぁ、そうだな」

 

 

青空からオティヌスへと視線を向けるとその顔はニンマリと笑っていた。

 

 

「あぁ〜〜疲れた」

 

「ほんと今日は疲れたよ」

 

 

異族の討伐を終えた後、オティヌスがキル姫だと知った村人達は歓喜に沸き婆さん家の新築祝いを兼ねてどんちゃん騒ぎとなり俺たちが家に帰って来れたのは日付が変わる頃だった。それから風呂に入りようやく寝床に寝転がっていた。

 

 

「あたしがキル姫だと知ってがっかりした?」

 

「いや、そんな事はないけど。ずっと頭のおかしい奴だとは思ってた」

 

「なにそれーずっと隠してたんだ。本当は言わない予定だったんだけど異族に襲われてたら助けない訳にもいかないよね」

 

「村を壊滅させる予定は何処いったんだよ」

 

「気が変わったから当分はその予定はないかなー?この村も村の人達も良い人だし、もちろん君の事もね」

 

「そりゃどーも」

 

「ディンはさ、あたしの事気に入ってる?」

 

「気に入ってる、まぁ、気に入ってる」

 

「なんかその言い方いやだなーもっとはっきり言ってよ」

 

「お前がそう聞いたんじゃないか」

 

「そうだけどさー。あたしの事心配して家に隠れてろって言われたのちょっと嬉しかったよ。ひさびさに女の子扱いされたってさ」

 

「キル姫だって知ってたら前線に引っ張って来てたよ。それにしても村に居てくれるだけでありがたいよ」

 

「あたしの気が変わるまではここに居てあげるからせいぜいあたしの機嫌を損ねない様に頑張りたまえ♪」

 

 

けらけらと笑う声を聞きながらどうやって機嫌をとろうかを考えていたのだけどめんどくさくなり考えるのをやめた。

 

 

「それで、オティヌスは俺の事どう思ってるんだ?」

 

「それ聞く?んーっとね。君の事は、、好きだよ♪」

 

 

ストレートな物言いに面くらい返す言葉が出なくなり胸の鼓動が早くなるのを感じた。

 

 

「あははっ♪もしかして照れちゃってたりー?」

 

「まぁ、、」

 

「素直で可愛いなー♪それで、君はあたしの事どう思ってるのかな?」

 

「・・好きだよ」

 

 

そう呟く様に言うとニンマリとした笑顔が暗がりに見えた。

 

 

「じゃあ、どうしよっか」

 

「?」

 

「全部あたしに言わせないでよ。あっ、もしかして童貞?」

 

「ちゃうわ」

 

「そう言う割には奥手だよね〜もしかしてあたしが可愛いから緊張しちゃってるんだ♪」

 

 

そこまで言われれば男が廃るというもの。俺を小馬鹿にする様にニンマリと笑う頭を抑え唇に唇を重ねた。

 

 

「ん、、良いじゃん。そう言う情熱的なの好きだよ」

 

 

唇を離すと逃がさないと言わんばかりにオティヌスの唇が唇へと触れ、そのまま上へと乗り貪る様に何度もキスを。

 

 

「ふふーん♪可愛いあたしにキスされればこうなるのは当然だよね♪」

 

「うっせ」

 

 

ようやく口を離したかと思えばズボンを押し上げる肉棒を撫でながらニンマリとした笑顔で俺を見下ろし、またキスをした。

 

 

「けっこう大きいかも?これはお脱がせるのが楽しみですなぁ〜♪」

 

「そう言うお前はどうなんだよ」

 

「あたし?んーどーだろー?」

 

「ムカつくから触る」

 

 

ズボンの隙間から手を入れ下着に触れるとそこは湿り気は感じられなかったが高い熱がこもり、上から指でなぞると可愛らしい声が聞こえた。

 

 

「声可愛いな」

 

「そう言われると恥ずかしいなぁ、、もう声だーさーなーい」

 

「ほんとかよ」

 

 

4本の指で下着の上をくすぐる様に触ると身体を震わせながら声を我慢する様に口を紡ぎ目を逸らした。

 

 

「直接触ってやろうか」

 

「まだ我慢できるも、、んんっ♡」

 

 

言いかけた言葉は途中で喘ぐ声に変わった。それは下着の間から滑り込んだ指が濡れる秘部に触れたから。

 

 

「ぐちょぐちょじゃん」

 

「だってぇ、、♡汚れちゃうから脱ぐね、、」

 

「俺も脱ぐわ」

 

 

ねっとりとした秘部から指を抜くとオティヌスは布団の中でズボンと下着を脱ぎ布団の外へ置かれ、その横には俺が脱いだ服が並んだ。

 

 

「うわー直接触ってもやっぱり大きい♡欲しくなっちゃうよ♡」

 

「もう挿入るのか?」

 

「んーまだ我慢しよっかな。君のテクニックもきになるしなー♪」

 

「へぇー?そういえば声我慢するって言ってたよな」

 

 

膣口を下から指でなぞりあげるとぴくんと反応し口はきゅっと紡がれた。

 

 

「いつまで我慢できるか楽しみだよ」

 

 

次は上から下へとなぞりまた指は上へとなぞる。なぞる指を少しずつ膣口へと深く入れながらなぞってゆき上へと到達した時、そこで硬くしこるクリトリスを触った時にオティヌスの口から少しの声が漏れた。

 

 

「〜〜〜♡」

 

「ここ好きなんだ」

 

 

そう言ってくるくると指先で軽く押し潰した後、指は再び下へと膣口を擦りながら下がってゆく。

 

 

「もぅ、、奥まで触ってよ、、」

 

 

指の第一関節の少し下まで膣内に指が入った頃、オティヌスが呟く様に言った。

 

 

「もう少しまってろ」

 

 

願いを一蹴りし上へと上がり抜けていった指先はその上にしこるクリトリスを弄る。親指と中指を使い開かれたクリトリスを人差し指で撫でるように。

 

 

「それっそこっ、、♡つぅ、、、きもちいいっ、、、♡」

 

 

ようやくまともに性感帯を弄られオティヌスは快感に夢中になり甘い声を囁く。それと同時に腰は跳ね両脚はぴくぴくと痙攣する。

 

 

「あぁっ、イクっ、、」

 

 

快感に達する声を聞いた瞬間、クリトリスを弄る指を止めオティヌスの顔を覗き込んだ。

 

 

「なんで、、イっちゃいそうだったのにぃ、、」

 

「そんなにイキたいんだ」

 

「うん、、」

 

「どーしよっかなー」

 

 

なんて事を言いながらクリトリスを指先で軽く弄ると少し涙目になった顔が見えた。

 

 

「やぁ、、もうイキたいの、、」

 

 

普段飄々とし自信たっぷりなオティヌスの弱々しくねだる言葉に加虐心が煽られ、これ以上焦らす余裕は無くなり指先の動く速度を上げた。

 

 

「それっ、♡きもちいいっ、、っ、、すぐイっちゃあぁぁぁっ♡♡」

 

大きな声で喘ぎ一瞬身体が固まったと思ったらびくんと跳ねすぐに身体に入った力が抜けた。

 

 

「やばっ♡またイクっぅぅぅ、、♡♡」

 

「イッたからっ♡ゆびっ、、とめっ、、て、、♡♡」

 

「だめだめだめっ!!キちゃう!凄いのキちゃうからぁ!!」

 

 

オティヌスが達した後も指を動かしクリトリスを弄ると半狂乱の声を上げよがり狂い何度か達した後に指の動きを止めるとオティヌスはぼんやりと天井を眺めていた。

 

 

「もぅイジワル」

 

「お前がイキたいって言ったんじゃん」

 

「そうだけどさ。ふふっ久しぶりに燃えて来たよ。今夜は、、朝までだね♪」

 

 

そう言ってニンマリと笑うとキスをしてくれた。

 

 

「やっぱ大きい♡お口に入りきらないよ♡」

 

 

キスの後、オティヌスは俺の股座の前でフェラチオをしてくれていた。一度肉棒を咥えた後、口から出し唾液にまみれた肉棒を扱いている姿を見ていた。

 

 

「太さもちょうど良いし、カリの張り具合とか最高だね♡早くおまんこに欲しくなっちゃう♡」

 

「まだ舐め始めたばっかりじゃん」

 

「ふふっ♪まだ我慢するよ♡こっちでも味わっておきたいからさ♡」

 

 

そう言って顔にかかる髪を左右に分け後ろに流すと肉棒へと口を近づけ一度鈴口にキスをした後にぱくっと咥えた。

 

 

「んっんっ♡じゅじゅじゅ〜〜〜♡ぢゅるるるるっ♡ぷはぁ、、♡」

 

 

喉奥まで咥え吸い上げたと思ったら口を離しまた扱き始めた。

 

 

「あ〜やばっ、、舐めてると疼いちゃう、、♡」

 

 

そう言うとまた肉棒を口に咥えた。

 

 

「んっ、、、♡ぢゅ、、じゅるるるっ、、んんんっ、、♡」

 

 

フェラチオの気持ち良さに目を細め見ていると腰が小刻みに揺れている事に気がついた。

 

 

「お前、何フェラしながらオナニーしてるんだよ」

 

「だってぇ、、こっちにも欲しいしフェラもしたいから自分でして我慢してるの♡それに、フェラで出すのもったいないでしょ?」

 

「まぁ、、だからってそれエロすぎ」

 

「ふふっ。あーん、、もう我慢できない、、」

 

 

そう言って鈴口にキスをすると布団から這い出し俺の上へと跨りニンマリとした笑顔で俺を見た。

 

 

「ほら、抵抗しないとこのまま食べちゃうぞ♡」

 

「ばーか」

 

 

少し腰を上げ鈴口を膣口に擦った後に腰を下ろし肉棒はオティヌスの膣内へ咥え込まれた。

 

 

「んっ〜〜っ♡やばっ、、♡めっちゃ硬いの奥まできてるっ♡」

 

 

根本まで飲み込み歓喜の声を上げ光悦するニンマリとした顔で俺を見下ろす。

 

 

「この感じ癖になっちゃうよ♡奥こりこりされてる♡」

 

「お前の締め付けも癖になりそうだよ」

 

 

根本まで咥え込む膣内は肉棒を締め付ける様に締まり中途半端なフェラチオで高められた快感と合わさり動いていなくても気持ち良いと思える。

 

のは良いのだがオティヌスは腰を下ろしたまま動かずニンマリと笑ったまま。

 

 

「どうした?」

 

「んー?今ね、ディンのちんこを馴染ませてるんだよ。知ってる?おまんこに入れて10秒動かずにいると膣内がちんこの形になる事」

 

 

そう言われてみれば挿入した時よりも馴染んでいる様な気がする。

 

 

「そろそろかな?あたしも我慢できないし、あたしがイクまで射精さないでよ〜♪」

 

 

俺の手を掴むとニンマリとした顔で見下ろしオティヌスは腰をゆっくりと引き抜き打ち下ろした。

 

 

「やばっ♡めっちゃ気持ちいいっ♡」

 

 

それを合図にする様にオティヌスは快感を求める様に腰を動かしていた。

 

 

「お前っ、、!」

 

「だって気持ち良いんだもん♡あは♪めっちゃエッチな音しちゃってる♡」

 

 

オティヌスが腰を動かす度に肉棒に掻き出された愛液が水音を立て、肉棒を伝い俺の腰まで滑りを感じる。

 

 

「お前濡らしすぎ」

 

「こんなに濡らしちゃう女の子嫌い?」

 

「嫌いな男いないだろ」

 

「だよね♡それにあたしも久しぶりだし♡んんーーっ♡」

 

 

手を伸ばしパジャマ越しに乳首を摘むと喜ぶ声を叫んだ。

 

 

「暑くなってきちゃった♪」

 

 

そう言ってオティヌスはパジャマのボタンを上から四つ外し胸元を開いた。

 

 

「おぉー脱ぐと寒いねっでもディンにも脱いでもらおっかな♪」

 

 

そう言いながら俺のパジャマのボタンも同じ数だけ外しべったりと身体を抱き合わせた。

 

 

「良い筋肉してるね♪なんだが安心しちゃう」

 

「お前エッチしてる事忘れてないか?」

 

「ちゃんと覚えてるよ!まだイってないし、ちょっときゅーけー♪」

 

 

残りのボタンを外し止めが無くなったパジャマを左右に開くと暗がりに乳房が見えその上にはニンマリとした顔。

 

 

「じゃあ、、ディンもだよ♪」

 

 

俺の残ったボタンも外し左右に開くと肌と肌を重ね合わせた。

 

 

「この感触好きなんだ。ちょっと汗ばんだ肌と肌が重なる感じ」

 

「それ分かるわ」

 

 

抱き付いてきたオティヌスを抱きしめ頭を撫でていると行為中なのに心が落ち着く。興奮は止まない妙な安心感。

 

 

「さてと、そろそろだね♪君はいつまで我慢できるかな?♡」

 

 

背にある手を退けオティヌスは身体を起こすと跨りながらつま先立ちとなりニンマリとした笑顔で俺を見下ろした。

 

 

「んっ♡んんっ♡んんっ♡やばっ♡腰とまんない♡」

 

 

腰に腰を打ち付け、ニンマリとした顔は快感に歪み目を閉じ少し開いた口は淫声を叫ぶ。そして膣内はキツく締まり肉棒に快感を与える。

 

 

「くっ、、出るから退け、、、」

 

 

呻めきながら伝えるとオティヌスは腰の速度を上げた。

 

 

「おいっ!」

 

「良いよ♡ディンの精子ちょうだい♡」

 

 

甘美な言葉に理性は蕩け止まらない腰の動きに射精感は限界を超える。

 

 

「出るっ、、!」

 

「あたしも、、♡イッくっ、、♡イッちゃう♡♡」

 

 

腰に腰を押し付け噴き上がる精液を子宮で受け止め最後の一滴まで搾り取る様に腰を揺らすと胸元へと抱き付いてきた。

 

 

「ふふっ♡いっぱい射精てたよ♡お腹の中いっぱいになっちゃった♡」

 

「最近してなかったし、、ってかデキたらどうするんだよ」

 

「そりゃあもちろんディンの赤ちゃん産んであげるよ♪」

 

「お前なぁ、、」

 

 

なんとも軽い返事に不安しかないがまだ少し荒く息を吐くオティヌスの頭を撫でていた。

 

 

「そう言う割には硬いままじゃん♡次はディンが動いてね♪」

 

 

身体を起こし垂れる長髪を背に回すと腰を上げ俺の隣へと寝転がりニンマリとした笑顔を向けた。

 

 

「分かったよ」

 

 

閉じられている両脚を開き剥き出しとなった膣口へ肉棒を押し当てると愛液と精液に濡れる膣内へと挿入ってゆく。

 

 

「んっ♡挿入ってきたぁあ♡」

 

 

根本まで挿入すると歓喜の声を上げ俺の頭を引き寄せた。

 

 

「ちゅ♡んんっ♡はぁ、、♡んんんっ♡あっ気持ち良い、、♡」

 

 

貪る様にキスをされ舌を伸ばしオティヌスの口内へと滑り込ますと待ち望んでいた様に舌を絡ませて口から水音が響く。

 

 

「こっちもすごい音してる」

 

 

軽くピストンをすると掻き回された膣口から水音が立ち部屋に響く。

 

 

「だって、、ディンが沢山射精すから、、♡んんんんっ♡♡」

 

 

パジャマを開きツンと立つ乳首を吸い上げ口内で転がすと艶のある声を吐いた。

 

 

「ほとんどお前の愛液だろ。感じすぎ」

 

「気持ち良いんだもん♡もっとしてっ♡」

 

 

再び乳首を吸い上げ左の乳首を指で摘みこりこりと弄ると艶やかな声を叫び身を震わせる。快感に歪む顔を見ていると下腹部に何かが触れ視線を向けるとそれはオティヌスの右手だった。

 

その右手は下へと伸びてゆき肉棒に指が何度も触れる。

 

 

何をしているのか見るとオティヌスは自らクリトリスを弄っていた。

 

 

「はずかし、、みないで、、♡」

 

「じゃあ見ててやるよ」

 

 

身体を起こしオティヌスの両脚を広げ見下ろすと結合部が何に隠れる事もなく曝け出され、クリトリスを弄る手が唯一の影。

 

 

「やっ、、♡でもとまんないっ、、♡♡」

 

 

見ている内にクリトリスを弄る指の動きは速くなってゆく。

 

 

「あ、、イクいくっ、、♡♡♡」

 

「・・・・」

 

 

 

俺に見られながらクリトリスを弄りオティヌスは絶頂を迎え身を震わせた。目の前で、行為中に行われた行動に興奮は再びピークへと。

 

 

「こっちでもイカせてやる!」

 

 

両膝を腰が浮くほど掴み上げ子宮に向かい乱暴に腰を打ち付ける様にピストンを。

 

 

「激しっ♡ダメっ、、♡すぐイッちゃう♡♡」

 

 

絶頂に膣内がぎゅっと締まるが構わずに射精へと向かい腰を打ち付ける。

 

 

「ダメっダメっ!また、またイクっ!」

 

「っ!」

 

 

オティヌスが二度目の絶頂を迎えた時、射精感はピークに達し膣内の奥深くへ向かい二度目の射精。脳天まで突き抜ける快感と征服感に苛まれながら放心しながら荒く息を吐くオティヌスの頭を撫でていると顔を上げキスをし枕へと頭を落とした。

 

 

「あーあ。これは君から離れなれないなー♪」

 

 

照れながらニンマリと笑うオティヌスに俺からもキスをした。

 

 

 

それからしばらくの時間が過ぎた頃、俺はサフランの街にあるラグナ教会を訪ねていた。その理由はオティヌスのマスターとなる為奏官証明書を取る為だ。

 

うちの村からも姿を見る事ができる大樹ユグドラシルの麓にあるラグナ教会へと行き必要な手続きを済ませ簡単な講習を受け、最後に祭司により俺が持つバイブスを覚醒してもらい頼まれた土産を買い再び故郷へと帰ってゆく。

 

 

「よっ♪君との繋がりがはっきりと分かるよ。じゃあこれからもよろしくねマスター♪」

 

「おう、頼むぜオティヌス」

 

 

突如俺の前に現れたキル姫オティヌス。俺はオティヌスの過去について何も知らないが俺から聞く事でもないだろうと思っている。いつか、話してくれるのをその時まで待つ事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





ここまで目を通してもらいありがとうございました!今回はオティヌス暴走の登場でした。

あえて暴走した過去は書かずオティヌスのみにフォーカスを当ててつらつらと書いてあります!

マイペースでイタズラ好きなオティヌスの可愛さを感じて貰えれば幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。