※この作品はR-18です。

裏キル姫日記   作:やす、

42 / 44
エルキュール

 

ラグナ教会の講堂は騒めきに溢れていた。そこに集うは若年の男女二十名、今期の奏官証明書受理者である。

 

ある者は学院に通い、ある者は勉学に励み、苦節の日々を超え待ち侘びた証明書授与式に心は踊り思わず隣の席の人と喜びを分かち合う程。

 

飛び合う歓声は講堂の戸を開け姿を見せた祭司の姿を見て沈黙へと変わり視線は講堂最奥に置かれたテーブルへと歩む姿を追う。

 

 

「これより授与式を行うわ。一度立ってもらおうかしら」

 

 

テーブルの前へと立ったユグドラシルの言葉に受理者は立ち上がりユグドラシルへと向かい頭を下げた。受理者のお辞儀にお辞儀を返すと座る様にと声をかけ受理者は席へと座った。

 

 

「じゃあ名前を呼ぶから呼ばれた方は私の元へと来てね」

 

 

名簿にある名前を上から順に呼び受理者へと奏官証明書を手渡し一言ずつ声をかける。奏官になるという夢を叶え未来に希望を抱く受理者達へ。

 

証明書を受け取った受理者は深々と頭を下げ隣の部屋へと行き自身のバイブスに適合したキル姫と面会する。

 

 

あと少しで全員に証明書が行き渡るという時に講堂のドアがけたたましい音と共に乱暴に開けられ全員がドアへと視線を向けた。

 

視界の先には片田舎出身だと分かるような出立ちをする少年が居り、荒く息をしながら講堂を見渡し奏官証明書を渡すユグドラシルを見ると駆け寄りテーブルを叩いた。

 

 

「それを俺に寄越せ!」

 

 

渡さなければ力ずくにでも奪う。言葉は無いが少年の獣の様に輝く瞳はそうユグドラシルに訴えていた。

 

 

「あなたの名前を教えて?この名簿に名前が載っているのなら順番に渡してあげるわ」

 

「俺の名前はそこには無い。良いからそれを寄越せ!」

 

 

怒鳴り、喚き散らしユグドラシルへと当たるがユグドラシルはどこ吹く風。のらりくらりと少年を宥めようと声をかけ続けるが少年の手がテーブルに置かれた証明書に触れた時、目を見開き重圧を放った。

 

 

「その証明書はあなたのではありません。誰かの夢や希望そのもの。それに手をかけるというのなら私は止めなければなりません」

 

 

少年は重圧に負け置いた手は証明書を取る事なく放され、恨めしくユグドラシルを睨んだ。

 

 

「こっちですラグナロク様っ!!」

 

 

隣部屋で新人奏官へキル姫を会わせていたラグナロクが呼ばれ講堂へと入り騒ぎを起こす少年の元へと行くと迅速に腕を背へと回し確保。

 

 

「は、放せ!」

 

「どういう目的でここに来たかのかは別室で聞かせてもらうよ」

 

 

それでも駄々をこねる様に暴れる少年を抑えラグナロクは何処かへと連れ出してゆく。

 

 

そして、少年はラグナロクに連れられ別室へと連れて来られていた。そこで取り調べの為、椅子に座らされ対面しラグナロクも座っていた。

 

 

「それで、何が目的で証明書を奪おうとしたのかな」

 

「……………」

 

 

ラグナロクの問いかけに黙りを決め少年は何も話そうとしないまま時間だけが過ぎてゆく中、ラグナロクは目的を想像していた。

 

証明書の転売、又は偽装する為に入手しようとした。しかし証明書を持っていたところで適合するバイブスが無ければキル姫は扱う事ができない。あったところでユグドラシルによる洗礼を受けバイブスを開花させなければバイブスとキラーズの適合は不完全のまま。

 

 

「良いよ、君が黙りを続けるのならこちらは牢屋に放り込むだけだから。でも、私のはそんな事をしたいとは思わない。だから理由を聞かせて」

 

「俺は…」

 

 

ラグナロクの言葉に少年はぽつぽつと理由を話し始めた。少年の名前はケイ。ラグナ大陸最果ての地、冥花繁殖帯にあるログレスという村が出身の様で。

 

 

「3日前に俺の村が異族に襲われた」

 

 

声を震わせながらその時の事を話してゆく。

 

村人の30名の村は少年を残し全滅。偶々お使いを頼まれ村を出ていた少年のみが生き残ったと。

 

 

「見たんだ俺は。鳥籠の様な籠を持つ巨大な異族がみんなを食うのを…!」

 

「その異族は・・使徒ミノタウロスだね。…なら私は君に謝らないといけない。ごめんなさい」

 

「な、なんでお前が謝るんだ」

 

「教会から遠方の土地だけどそこに住む人々を守る使命が私達にはあるの。君には辛い思いをさせてしまったね」

 

 

椅子から立ち上がるとラグナロクは少年に向かい深々と頭を下げた。誠意のある謝罪に少年は迷い言葉を探した。

 

 

「今から司令書を作成してすぐに討伐の依頼を出すよ」

 

「違う!俺は討伐の依頼なんて望んで無い!俺が望むのはこの手で村を襲った異族を殺す事だ!」

 

「人間に異族は倒せないよ。それに君は教会で保護するから安心して」

 

「それは知っている!だから、俺にキル姫を寄越せ!」

 

 

そう叫んだ少年の言葉を聞きようやくラグナロクは合点がいった。少年の目的は証明書ではなくキル姫だと。

 

 

「悪いけど私には君が望む答えを出す事はできないよ。君に適合するバイブスがあるかも分からないし復讐の為に渡すキル姫は居ない。キル姫は武器なんかじゃない」

 

 

冷静に、冷酷に言い放ちラグナロクはノートに少年から聞いた情報を報告書にまとめ他の職員を呼ぶと討伐書を作るようにと伝えると返事をし職員は駆けて行った。

 

 

「まぁ、ここに居たのね。ラグナロク、この子はどうかしら」

 

 

出て行った職員と入れ替わる様にユグドラシルが部屋へと入りテーブルに頬杖を付き不貞腐れる少年を見つめた。

 

ラグナロクは少年から聞いた事をありのままにユグドラシルへと伝え返事を待った。

 

 

「そう、ならこうしましょう。この子が持つバイブスを私が目覚めさせてあげるわ」

 

「それはダメ。復讐の為にキル姫を番わせる訳にはいかない」

 

「あら、もう私はこの子のバイブスを目覚めさせたわ。そして、この子が持つバイブスに適合するキル姫も」

 

 

にっこりと笑うユグドラシルにラグナロクは思わず立ち眩みを起こしテーブルへと寄りかかった。

 

そんなラグナロクとは違い少年はユグドラシルへと頭を下げているのだが。

 

 

「それで、俺のキル姫は」

 

「あなたのキル姫は…」

 

 

ユグドラシルの言葉はノックされたドアの音により止まった。代わりに返事をするとドアが開き一人の少女が姿を見せた。

 

 

「失礼します。この子が…私のマスターなのですね」

 

 

入って来た少女の姿を見てラグナロクは目を見開いた。その少女はエンシェントキラーズの一人でありラグナロクの仲間。

 

エルキュールだったからだ。

 

 

淡い茶髪を腰まで伸ばし両耳のサイドに蝶のリボン、白いマントを羽織り。大人びた幼さ残る可愛らしい顔は得意気な表情で少年を見ていた。

 

 

「それはダメよ!なら、私がこの子に付いて行くわ!」

 

 

ラグナロクにとって過去に苦楽を共にした仲間を何処の馬の骨かも分からない少年に預ける事はできず復讐の為に仲間を使われたくなかった。

 

 

「大丈夫よラグナロク。これは仮契約だし、私はただエルキュールのキラーズにバイブスを合うようにしただけだから」

 

 

ユグドラシルが言うにはこの適合は仮のもの。完全にエルキュールが従う訳ではなく本人の意思を示せるという事。

 

 

「……………」

 

 

エルキュールの実力なら使徒ミノタウロスを倒せるだろう。しかし、ラグナロクはユグドラシルへと不満を伝えた。

 

 

「それに監査役も付けるわ。大丈夫よラグナロク」

 

「…分かったよ」

 

 

ユグドラシルの説得に渋々といった様子でラグナロクは返事をした。

 

 

「なら私は馬車の手配をしてくるからね」

 

 

心配そうな目でエルキュールを見つめた後、ラグナロクは部屋から出て行った。

 

 

「お願いねエルキュール。詳しい事はいどうしながらこの子に聞いてちょうだい」

 

「分かりました!大丈夫ですよ。この私が全力でサポートしますからね♪」

 

「あぁ、頼む」

 

 

少年はエルキュールの目を見ながら頭を下げた。

 

しばらくして三人は教会の前庭へと移動しラグナロクが用意した馬車の前に集まっていた。

 

 

「行ってらっしゃいエルキュール。何かあればすぐに連絡してね」

 

「はいっ!無事この任務を完了させ必ずここに戻って来ますからね♪」

 

 

フォローがかけられた馬車の荷台から手を振るエルキュールの姿が見えなくなるまで見送りラグナロクはため息を溢した。

 

 

「それで、監査役の人達は何処なの」

 

「あの馬車がそうよ」

 

 

ユグドラシルが指を指す方には荷台を付けた馬車が走り荷台から薄緑髪の女の子が手を振るのが見えた。

 

あの子達が監視役として付くのなら大丈夫だろうとラグナロクは安堵しスマホを取り出すと仲の良い奏官へとメッセージを打った。

 

 

「あの子ならきっと希望になれるはずだわ」

 

「そうだと良いけど…」

 

 

エルキュールは七元徳の一つ、希望を担うキル姫。彼女なら大丈夫だろう、きっと。そう思うラグナロクの目線は街並みに消えてゆく馬車を見送っていた。

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

ラグナ大陸中央にあるラグナ教会からラグナ大陸最果ての地、冥花繁殖帯まで馬車に乗り移動しても二日はかかる距離がある。しかしこの時間は馬を休めずに移動した場合の時間。適度に休息を取らせ移動した場合3日はかかるだろう。

 

 

「あの、少し飛ばし過ぎではないでしょうか、、?」

 

 

少年は教会を出た直後から馬に鞭を打ち走れと急かす。鞭を打たれた馬は鳴き声をあげ速度をあげサフランの街中を駆ける。日中で人通りの多い道を人々の間をすり抜けるように馬を走らせる。

 

 

「まだ街中ですよ!?ゆっくり行きましょうよ」

 

 

エルキュールが荷台から速度を落とすようにと言うが聞く耳は無く再び馬に鞭を打った。

 

 

「危ないですって!」

 

 

行き交う人と荷台がぶつかりそうになりエルキュールが叫ぶ。紙一重で事故は避けられ思わずエルキュールは馬を運転する少年へと詰め寄った。

 

 

「街中は危ないです。速度を落として下さい」

 

 

重みのある声で注意をするとようやく馬の速度が落とされた。

 

 

険悪に始まった旅の空気を引きずったまま馬車はサフランを抜けクレナイ地方へと出た。出発から三時間程時間が経ったのだが二人の間に会話は無くがたごとと揺れる馬車の音だけが響いていた。

 

エルキュール自身はマスターである少年と話をしたくて何度も話しかけていたのだが何を聞いても無愛想な返事が返ってくるばかりで会話を諦めたのだが。

 

会話を諦めたエルキュールは荷台から遠ざかってゆくサフランの街並みとユグドラシルを見つめていた。

 

 

それから一時間が経ち道中を半分程進んだ頃、休息を与えられず走らされていた馬が歩みを遅くししまいには止まってしまった。

 

 

「動け!走れよ!」

 

 

少年は鞭を打つが馬はその場から動く事はなかった。

 

 

「休憩にしましょう。無理をさせても良い事はありません」

 

「お前に何が分かるんだよ!俺は急いでいるんだ!」

 

 

鞭を振り上げ叩こうとした時、右手はエルキュールに掴まれ鞭が届く事はなかった。

 

 

「ダメです。馬が可哀想です」

 

 

左手で鞭を取り上げると労るように馬を撫でてゆく。

 

 

「力尽くでは言う事は聞いてくれません。休ませてあげましょう」

 

 

そう言って荷台にある水を馬に与え干し草を馬の前へと置くともしゃもしゃと食べ始めた。

 

 

「何を焦っているのですか?私に話して下さい」

 

「話す必要なんてない。お前は俺の言う事を聞いていれば良い」

 

「そんな事ありません!キル姫はあなたの道具ではないのです!こうして生きています。会話も、意思疎通だってできます!」

 

「そんな事は知らん。キル姫は戦う為の存在だろ」

 

「・・・!」

 

 

少年の身勝手な発言にエルキュールは憤怒し任務を放棄し帰ろうとした。だが、勝手な行動は教会に、ラグナロクの顔に泥を塗る事になると考え踏みとどまった。

 

 

「考えを改めて下さい」

 

 

そう言葉を残しエルキュールは荷台へと飛び乗り、しばらくし馬車は動き出した。

 

 

その日、日が落ちる前に二人は目的地である冥花繁殖帯へと辿り着き少年の故郷であるログレスへと辿り着いていた。異族に襲われ荒れ果てた故郷を見て少年は静かに頭を下げ復讐心を再燃させる。しかし、何も聞かされていないエルキュールにとってこの村はただの廃村に過ぎない。

 

 

「この村に一体何があったのですか?」

 

「教える必要はない」

 

「そうですか」

 

 

淡々と返された返事にエルキュールは蔑んだ瞳で少年を見下し、馬車の荷台へと飛び乗り少年が戻るのを待った。フォローの間から空を見上げ茜に染る空、闇に沈む空を眺め退屈を潰す。

 

 

「?」

 

 

その時、エルキュールは馬車の側で何かが動くのを見つけ目を凝らしそれを注視した。よく見るとそれは小さなお化けの兵隊の様な、この世の物ではない事が分かり攻撃態勢へと移ろうとする。

 

 

「あぁ、そうだったのですね」

 

 

その時、お化けは身振り手振りで意思を伝えお化けの主人の名を告げ敵ではない事を示した。

 

 

敵ではないと認識したエルキュールが呼ぶと兵隊は膝の上へと飛び乗りエルキュールの遊び相手となっていた。

 

 

「行くぞ」

 

「行くってどこに」

 

「跡を見つけた」

 

 

エルキュールが兵隊と遊んでいた頃、少年はミノタウスルが残した痕跡を見つけていた。ミノタウスルが残した痕跡とは地面に残る足跡。この跡を辿っていけばミノタウスルに辿り着けると確信し馬に飛び乗ると鞭を打った。

 

 

「何をするかは分かりませんがもう日が暮れます。明日にしましょう」

 

「ダメだ!お前は口答えをするんじゃない!」

 

「口答えではありません、当然の意見を述べたまでです。夜の探索は危険すぎます」

 

「うるさい黙れ!」

 

 

少年は馬から飛び乗りるとエルキュールの元へと行き荷台に居るエルキュールの頬を叩いた。乾いた音が響いた後、見下す様に頬を抑えるエルキュールを睨んだ。

 

 

「お前は俺の言う事を聞いていれば良いんだ!キル姫は道具だ!」

 

 

叫ぶ少年にエルキュールは沈黙しやがて立ち上がり頭の中に思い付いた反論の言葉を叫ぼうとする。それよりも早く少年は言葉を叫んだ。

 

 

「それ以上キル姫を貶める事を言うのならギャラル達が相手になるわ。もちろん覚悟はできているのでしょうね」

 

「君、ちょっと良い加減にしときなよ」

 

 

聞き慣れない声に顔を向けるとそこには薄緑髪をした少女とその横には男性の姿があった。夕焼けの残り光に照らされる二人の顔には確かな怒りが宿る。

 

 

「なんだお前達は」

 

「ギャラル達はお母さんにあなた達の追跡を依頼されて付いてきていたの。キル姫の事を武器としか思わないあなたの為に」

 

「そちらの会話は聞かせてもらってたよ。色々言いたい事はあるけど結論を言う。君のバイブスの回収とエルキュールの保護をさせてもらうよ」

 

「なっ、、!」

 

「キルオーダー第4条に則りバイブスの剥奪、及びキル姫の保護を行うわ。異議があるのならこちらも証拠としてあなたの発言、行動を教会へと伝えるわ」

 

「何故だ、どうしてだ!キル姫は奏官の道具なんだろ!?」

 

「その考えが間違っているんだよ。キル姫は道具なんかじゃない。逆に聞くけど人とキル姫の違いって何?」

 

「それは…」

 

「人もキル姫も同じだよ。嫌な事をする相手の言う事なんて聞きたくないし、何より心を開かなければ相手だって心を開いてくれないよ。バイブスとキラーズの適合は出会うきっかけに過ぎない」

 

 

二人に言われ少年はこの場から逃げたいという気持ちの表れか二歩後ずさった。

 

 

「マスター教えてください。あなたは一体何に焦っているのですか?」

 

「俺は…」

 

 

少年の真意を調べくエルキュールが話しかけると少年は少しの沈黙の後に話を始め、三人はただ、黙って話を聞いていた。

 

 

「この村は俺の故郷なんだ。それを異族にこんな姿にされて…」

 

 

少年の異族を憎む気持ちが憎悪となり心を閉じさせていた。そう判断するには十分な説明に三人は顔を見合わせ、エルキュールは村へと向かい頭を下げた。

 

 

「そう、それは辛い事を話させてしまったわね。でも、あなたのやろうとしている事は異族と変わらないわ。憎しみを抱いたまま戦えばきっと明るい未来はこないはずよ」

 

「そうだとしても俺は異族を許す事はできない。死ぬとしても何か報いを与えたいんだ」

 

「なら、一度出直そう。ユグドラシルは君にバイブスを与えエルキュールと出会わせてくれた。何か意味はあるんだよ」

 

「そうですよマスター。お互いを知り仲を深めれば私は必ずマスターの希望になります。その為の刃を私は持っています」

 

「俺は…」

 

 

沈黙の後、少年は流れる涙を拭き三人へと頭を下げていた。

 

 

「ごめん、ごめんなさい。俺が間違っていた」

 

 

謝罪の言葉を口にし頭を下げたままの少年をエルキュールは抱きしめ背中を何度も撫でていた。

 

 

「大丈夫ですよ。私を信じて下さい」

 

 

エルキュールの心強い言葉に再び少年は涙を流した。そんな二人を見て二人は目を合わせ頷き夜ご飯の準備をする事に。

 

 

「もう日が落ちるから今夜はここで一泊だね。準備するから待っててよ」

 

「美味しいご飯を作ってあげるから待っていなさい」

 

「ありがとうございます」

 

 

手際良く薪を起こし調理の準備を進める二人を見ていた。

 

 

「それで、何か見つかりましたか?」

 

「ミノタウスルの足跡を見つけた。足跡を辿ればきっと奴に会えるはずだ」

 

 

少年の目線は村の奥に残されていた足跡を指す。

 

 

「その任務ギャラル達も付いて行って良いかしら?まだあなたに不安はあるし仲間は多い方が確実に仕留められるわ」

 

「ありがたい。こちらこそお願いします」

 

 

二人に向かい深々と頭を下げる姿を見てエルキュールは微笑んでいた。その時、二人は火にかけられていたフライパンに食材を入れ炒め始め辺りに良い匂いが漂い少年のお腹が鳴った。

 

 

「お腹空いてるんですか?」

 

「うん、、ずっと何も食べてなかったから、、」

 

 

少年は村を出てから飲まず食わずだったようで。目線はずっと調理を行う二人を見ていた。

 

 

「美味しいご飯を食べて今日はゆっくりして下さい。私が見守りますからね」

 

「ありがとう、、」

 

「できたわ。しっかり食べるのよ」

 

 

しばらくして紙皿に盛られた料理が荷台の上へと置かれると少年は我先にと食事の前へと行き二人を見た。そんな少年を見て笑いながら夕食の時間が始まる。

 

 

「わぁ、すごい、、」

 

 

一人前の料理をペロリと平らげると皿を持ちおかわりはないのかと目線を送る。その目線に気が付きおかわりが盛られると少年は笑顔でご飯を食べてゆく。

 

少年は一人で三人分のご飯を食べ、食べ終わると座ったまま眠っていた。

 

 

「よほど疲れていたのね。寝かせてあげましょうか」

 

「荷台に置いてあげましょう」

 

 

エルキュールは少年を起こさないように持ち上げ荷台へと運び毛布をかけた。

 

 

「まだ幼そうだね。何歳なんだろ?」

 

「さぁ、、?私は全然マスターとお話しできなかったので」

 

「見た目は15才ぐらいね。この年で村を破壊されれば心も歪んでしまうわよね」

 

「そうだ、二人ともありがとうございました。私だけだったらもう任務を放棄して帰っているところでした」

 

「無理もないわ。あんな態度だったんだし」

 

「ちゃんと話してくれてたらね。でも良い子そうな気がするけど」

 

「怖い思いをしてお腹を空かせていればそうなってしまいますよね。きっと、ずっと一人で頑張ろうと思っていたんですよ」

 

 

残りのご飯を食べながらエルキュールは眠る少年へと目線を向けた。少年の心中は分からないが目的が果たされればきっと元に戻るだろうと思い。

 

 

「エルキュールも疲れているでしょ?片付けはしておくから先に寝なさい」

 

「いえ、大丈夫ですよ。お気遣いありがとうございます」

 

 

食べ終えた食器を袋にまとめて入れ大きく伸びをすると満点の星空を眺めた、

 

 

「それで、エルキュールはどうするの?」

 

「どうするのとはどういう意味でしょうか?」

 

「あの子の事。この任務終わったらどうするの?共鳴を解くのか続けるのか」

 

「あぁ、その事でしたか。…あの子のバイブスはユグドラシルに与えられたものなのでどうなるかは分かりません。今は、あの子の希望になれるよう努力するつもりです」

 

 

迷いなく言い切った言葉に二人は頷きエルキュールと同じように星空を眺めた。

 

 

「なれると良いわね。あの星の様な希望に」

 

 

ギャラルホルンの呟いた言葉が闇夜へと消えてゆく。

 

 

「さっ、そろそろ寝ましょうか。見張りは兵隊に任せれるからゆっくり寝れるわ」

 

 

ギャラルホルンが手に持つラッパを鳴らすと背後に扉が現れ中からこの世の物ではない兵士が姿を見せ2台の馬車を囲う様に整列した。

 

 

「へぇ、便利ですね」

 

「でしょ?もっとギャラルの事を褒めても良いのよ♪」

 

 

エルキュールはギャラルホルンに思い付く限りの賛美の言葉をかけるとギャラルホルンはてれてれと笑う。

 

 

「よし、じゃあ寝よっか」

 

 

頃合いを見て話は切り上げられ、三人は馬車の荷台へと行きしばしの休息を取る事に。

 

エルキュールも荷台へと行き、寝転がろうとしたのだがその前に少年の姿を見た。それは寝息も立たず深く眠る姿。余程疲れていたのだろうと思いエルキュールは荷台の壁際に少年の邪魔にならない様に寝転がり眠くなるのを待った。

 

 

 

次の日の朝。荷台にかけられたフォローの隙間から差し込む日差しを浴びエルキュールは目を覚ましていた。木板の硬い床で眠った為少し身体は痛むが身体を起こし大きく伸ばすと痛みは次第に消え隣を見るとまだ眠る少年の姿が見え、起こさない様にフォローを少し開けエルキュールは外へと出た。

 

 

「おはよ。よく眠れたかしら?」

 

「お陰で良く眠れました。ありがとうございます」

 

 

外へと出ると既に二人は起きており朝食の準備を進めていた。昨日の薪に再び火を付け燃える炎で湯を沸かし荷台には四つのカップが置かれている。

 

 

「コーヒーで良い?」

 

「はいっ。あの、お砂糖とミルク多めでお願いできますか?」

 

「ギャラルと一緒だね。了解」

 

 

カップにインスタントコーヒーを入れお湯を注ぐとコーヒーの香りが辺りに立ちのぼり鼻をくすぐる。コーヒーに2本のスティックシュガーとフレッシュを二つ注ぎ一混ぜするとエルキュールにカップが渡された。

 

カップを受け取ると頭を下げ、ふーふーと息で冷ましながら一口。

 

 

「あの子はまだ起きないのかしら」

 

「私が起きた時はまだ眠っていました。きっと疲れているのでしょう」

 

「もう少ししたら起こそうか。あの子に話を聞かないと動けないし」

 

「それまでのんびりとしましょ」

 

 

三人で朝食を食べしばらくした頃、荷台にかけられたフォローが開き少年が姿を見せた。奏官に手招きをされまだ少し寝惚けた表情で三人の元へと歩く。

 

 

「おはよ。パンとコーヒーで良いかな?」

 

「ありがとうございます、、」

 

 

寝惚けながら返事をし、近くにある岩の上へと腰掛け薪の炎を見ていた。

 

 

「それで、あなたはどうしたいのかしら?」

 

 

ギャラルホルンに言われ寝惚けた顔ははっきりとし、目的を伝え始めた。

 

 

「昨日ミノタウスルの足跡を見つけました。あの足跡を辿れば奴に辿り着けるはずです。俺はこの村を襲ったあいつを討伐したい」

 

 

三人を見渡しながら告げた言葉に三人は頷き行動を共にすると言う。

 

 

「ありがとうございます、、、!」

 

「朝ごはん食べたら動こうか」

 

 

言葉と共にコーヒーとパンを渡すと少年は詰め込むようにパンを口へと運びコーヒーで流し込む。

 

 

「行きましょう!」

 

 

忙しい様子に呆気なくとられた三人は立ち上がった少年を見て思い出したかのように立ち上がり少年の後をついてゆく。

 

 

「これです。これが昨日見つけた足跡です」

 

 

少年の後をついて行くと村の裏手に足跡が残されていた。人や異族とは違う大型の足跡は間違いなくミノタウスルが残した痕跡。

 

 

「なるほど。これを辿っていけばミノタウスルに会えると言うことだね」

 

「はい。どこに続いているか分かりませんがこの先に奴は必ず居ます!」

 

 

足跡は北へと向き地平の彼方まで続くのが見える。この場に馬車を置き冥界の兵に見張りを任せ一行は徒歩で足跡を辿って行く。

 

 

「そういえば君はエルキュールの使う武器を何か知ってるの?」

 

「武器?武器とは?」

 

「キル姫が扱う武器だよ。ギャラルはホルンと冥界の扉を扱うけどエルキュールは何を使うのか知ってる?」

 

「いえ、知らないです」

 

 

そう言って不安そうな瞳でエルキュールを見るとエルキュールは頷き右手に扱う武器を幻出させた。

 

 

「これが私の扱う武器です」

 

 

エルキュールの右手には自らの身長と変わらない一振りの斧が握られていた。柄と刃は白銀に輝き円形の刃は太陽の光を反射させる程に輝く。

 

 

「かっこいい、、」

 

 

不安な瞳は斧を携えるエルキュールを見て輝き尊敬の眼差しへと変わった。

 

 

それからしばらく足跡を辿り歩いた頃、一行の行手を阻むかのように山へと辿り着いた。その山には木々は生えず岩や土の荒れた肌が見える。しかしその山は見上げるほどに高い。

 

足跡は山を沿うように続いており足跡を辿りまた歩き出す。

 

 

「これは・・・」

 

 

山を沿い歩いて行くと足跡は左へと曲がる。曲がった先には山肌にぽっかりと穴が空きトンネルになっていた。入り口に残されている足跡はトンネルへと入った跡のみでミノタウスルが出た跡は無い。

 

 

「この中に居ます」

 

 

エルキュールの言葉に緊張が走り二人は手に武器を携え戦闘体制となり二人のマスターへと目線を向ける。

 

 

「突入って言いたいけどこの洞窟の中がどうなってるか分からないから迂闊に入るのは危険だね」

 

「ならどうするの?」

 

「中に居るなら燻し出せば良いんだよ」

 

 

不思議そうな顔でニヤリと笑う顔を見ると男はその辺りに落ちている枯れ枝と生草を拾い始めある程度の数の枯れ枝に生草を絡めるようにまとめ火を付けた。

 

 

「これをこの中に投げ込む!」

 

「なるほど。枯れ枝が着火剤になり生草が煙を出すという事ですね?」

 

「そういう事」

 

 

洞窟の中へと投げ込まれた松明は薄暗い洞窟内を僅かに照らす炎で燃える。僅かな炎であるが煙はもくもくと立ちのぼり洞窟の内部へと流れてゆく。

 

煙が洞窟内に立ちのぼりしばらくが過ぎた頃、洞窟の奥から重く響く咆哮が聞こえ二人は瞬時に戦闘体制をとり主が洞窟から這い出すのを待つ。

 

 

『ーーーーーーーーッ!!!』

 

 

主は洞窟の入り口を粉砕し姿を見せた。白昼に浮かぶのは牛の頭部の様な顔面に金色の角が右頭部のみに生え、左右に2本ずつ手を持ち斧を持つ巨体、使徒ミノタウスルの姿。少年が追い続けた村の破壊者の姿。

 

真紅に輝く双眸は寝床への襲撃者を見つけ出し確かな怒りを含む目線を向け咆哮をあげる。

 

その姿に少年は怖気付きジリジリと後ろへと下がった。

 

 

「ギャラルはエルキュールのサポートを頼む!しっかり指示出しなよ!」

 

「えぇ、ギャラルに任せて!そっちは頼んだわ!」

 

「はいっ!マスター!」

 

 

少年へと発破をかける言葉が叫ばれ少年の下がる足は止まった。そして、勇ましく斧を携えるエルキュールの姿に、ホルンを持ち背後に扉を幻出させるギャラルの姿に足は進み一歩大地を踏み締めた。

 

 

「二人共お願いします…!」

 

 

少年の指示の元、エルキュールは大地を駆けミノタウスル目掛け上段より斧を振り下ろす。向うミノタウスルも斧を振り上げ斧同士がぶつかり合い甲高い音と共に火花が散る。お互いが斧刃を打ち合ったまま一歩も動かず睨み合う。

 

 

「ギャラル!」

 

 

男が叫ぶよりも早くギャラルはホルンから魔弾を放ちミノタウスルを狙う。飛び出した魔弾はエルキュールを掠める様に飛びミノタウスルへと向うが、魔弾が当たる寸前に斧を振り上げエルキュールを弾くと飛び上がり魔弾を躱わす。

 

 

「浮いているなら…ッ!!」

 

 

飛び上がったミノタウスルの着地点を読み、その場へと行くと斧を構え迎撃の姿勢となる。それを見越しミノタウスルは斧刃を下へと向け応戦の構えを。

 

 

「逃げて!!」

 

 

少年が叫びエルキュールは大きく後ろへと下がる。それと同時にミノタウスルは振りかぶった斧と共に着地し地面へと斧を振り下ろした。斧が打ち付けられた地面は抉られ大きな穴が開いてしまっていた。エルキュールが着地を狙っていたらねじ伏せられていただろう。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

振り返る事なく告げられた言葉に言葉を返し少年はミノタウスルの動きを伺う。地面にめり込んだ斧を難なく担ぎ直し真紅の双眸はエルキュールを見る。

 

 

「ギャラルが隙をつくるわ!」

 

 

ギャラルの声と共にホルンから魔弾が放たれ魔弾はミノタウスルの足元の地面へと着弾し砂煙を巻き起こす。

 

見開いた双眸に砂が入り込み視界を潰されたミノタウスルは両目を抑えながら後ろへと仰け反った。

 

 

「せいッ!」」

 

 

砂煙へと飛び込みミノタウスル目掛け斧を一振り。確かな手応えを感じエルキュールはミノタウスルの元からギャラルの前へと飛んだ。

 

 

「〜〜〜〜〜!!!」

 

 

砂煙が晴れるとそこには2本ある左右の手が一本ずつ切断されたミノタウスルの姿が。その姿を見て一同は震え上がる。

 

ミノタウスルは手から流れる血で目を洗い砂を洗い流し、牛頭の様な顔は血に染まり悪魔の様な姿を見せる。

 

 

「ギャギャギャ!!」

 

 

その時、不快な鳴き声が聞こえ見ると異族達がこの場へと集まって来るのが見えた。ミノタウスルの咆哮と戦闘音を聞きこの場へと集まったのだろう。

 

 

「ギャラルは異族を頼む。そっちはいけるか?」

 

「大丈夫ですよ。必ず生きて帰りましょう!」

 

「えぇ、お互いの武運を祈るわ!」

 

 

ギャラルと男はミノタウスルから離れ異族へと向う。して、エルキュールと少年はミノタウスルと対峙する。

 

 

「エルキュール!」

 

「はいッ!私に任せてください!」

 

 

奮い立つエルキュールの前へとミノタウスルが立ち咆哮をあげ、立ちはだかる、斧を握り直し強く握りエルキュールは斧を振う。対するミノタウスルも同様に斧を振い斧刃同士がぶつかり合う。

 

重なる斧刃越しに両者睨み合い敵を押し潰す為に斧を握る手に、全身に力を込める。

 

 

「くっ、、くぅ、、!」

 

 

初手は同時だった力比べはエルキュールが劣勢となる。全身に力を込め左後ろへ下げた足は力に耐えきれず、ずるりと地面を滑った。それでも斧を押し返そうと力を込める。

 

 

「あっ」

 

 

その時、ミノタウスルは腕の力を抜いた。それによりエルキュールの力は余り身体は前へと踏み出した。その瞬間、ミノタウスルは身体を右へと躱し振り払うように斧を振るった。

 

 

「エルキュールっ!!!」

 

 

打ち払われたエルキュールは山肌へと叩きつけられ力無く首を落とし握っていた斧は手を滑り地面へと転がった。

 

 

「エルキュールっ!!起きてよエルキュール!希望になるって言ったじゃないか!!」

 

 

少年は叫ぶがエルキュールは目を閉じたまま。天敵を打ち倒したミノタウスルはエルキュールへと背を向け少年を捕食しようと迫る。

 

村を壊滅させた捕食者が自身へと迫り少年は足が震えその場から動く事なく迫る捕食者を見上げた。

 

 

「だとしても、、!だとしても、、!!」

 

 

少年はその場にしゃがむと石を拾いミノタウスルへと投げた。人が石を投げようとミノタウスルにとっては虫に刺されたにも劣る。それでも少年は諦める事なく石を投げ続けた。あと一投、あと一投で倒せる。叶うはずの無い希望を持ち少年は眼前にミノタウスルが迫るまで石を投げ続けた。

 

 

哀れな少年へと視線を向け、ミノタウスルは食いやすい大きさに切断しようと斧を振り上げた。

 

 

「まだです…!その子には、、マスターには手出しはさせませんッ!!」

 

 

斧を振り上げたまま顔を動かし視線を向けるとそこには斧を支えに立ち上がるエルキュールの姿が。外敵の姿にミノタウスルは振り向き迎撃の姿勢をとる。

 

 

「私は約束したんですッ!その子の希望になるとッ!!例えこの命が尽きようともこの信念は絶対に貫き通しますッ!!」

 

 

一度戦闘不能へ追い込まれた敵へ斧を向け宣戦布告を勇ましく叫ぶ。強敵に怖気付く事はなくエルキュールはミノタウスルへと向かい歩む。

 

エルキュールは気付いていた。この戦いは勝ち戦だと。その時、少年も勝ちを確信していた。何故ならエルキュールと深く繋がっている事を理解していたから。

 

 

ユグドラシルに与えられた仮初の繋がりではなくバイブスとキラーズが強化に繋がった事を無意識に理解していた。

 

この変化は相手取るミノタウスルも感じていた。この短時間の間に敵は本来の力を得ていると。

 

 

「もう私は負けません。絶対に勝ちますッ!!」

 

 

歩む足は大地を踏み締め加速し一直線に敵へと向う。そして、加速を付けた一振りを繰り出した。

 

対するミノタウスルも斧を振い応戦する。振り下ろした斧はエルキュールの振う斧と打ち合い睨み合う。

 

その視線の中エルキュールは大地を踏み締め渾身の力で力尽くにミノタウスルの振う斧を上へと押し上げた。

 

斧が浮き上がった瞬間、右手に持つ斧を離し左手に持ち替え腰を捻り遠心力を付けた一振りを繰り出す。

 

 

繰り出された刃はミノタウスルの腹部を切り裂き受けた傷にミノタウスルは二歩後ずさる。

 

 

「せいやぁぁぁぁッッッ!!!!」

 

 

勢いのまま回転し大地を踏み高く飛び上がると絶叫と共にミノタウスルの頭部へ斧刃を振り下ろした。渾身の一振りはミノタウスルを頭部から切り裂き二つに切り分け大地を抉り止まり、一呼吸置いた頃ミノタウスルの巨体は大地へと崩れ落ちた。

 

 

「あ、あぁ、、」

 

 

怨敵の死に様を見届け少年は声にならない言葉を漏らし斧を担ぎ直したエルキュールを見た。

 

 

「私は、マスターの希望になれたでしょうか?」

 

 

エルキュールの言葉に少年は溢れた涙を拭い深く頷いた。

 

 

エルキュールはミノタウスルを倒した同時刻にギャラル達も異族を討伐し終わり少年達の元へと戻りミノタウスルの亡骸を見た後少年へと視線を向けていた。少年はミノタウスルの亡骸の前に佇み両手の拳を震えるほどに握り締めていた。やがて、拳を解くと胸の前に手を合わせ亡骸へと向かい頭を下げて安寧を祈る。

 

 

「どうしてそのような事を?」

 

「こいつは確かに憎い。だけど村を襲ったミノタウスルは死にました。だから化けて出ないようにと」

 

 

大きなため息を吐き少年は振り返り三人へと深く頭を下げ今日の事へのお礼を叫ぶように伝えていた。

 

 

「ぬひひひひっ♪これで一件落着ね」

 

「そうだね。じゃあ帰ろっか」

 

 

少年に習い亡骸へと手を合わせると馬車を停めた方へと向かい歩む。それに続き二人も歩み始めた。

 

 

「じゃあまた何処かで会おうね」

 

「はい!ありがとうございました!」

 

 

男が馬に跨るとギャラルは荷台に飛び乗りフォローの間から手を振りながら笑顔を見せていた。

 

二人が乗る馬車が離れてゆくまで見送りようやく少年はエルキュールの方を向いた。

 

 

「ありがとうございましたエルキュールさん。これで村のみんなもきっと浮かばれます」

 

「そんな、、私は…そうですね。きっと浮かばれるはずです。さぁ、戻りましょうか」

 

「はいっ!」

 

 

馬車に乗ろうとした時、二人は廃村となった村へと向かい深く頭を下げ馬車へと乗り込み、行きとは違い穏やかに馬を操作する少年との間には会話があった。

 

がたがたと揺れる馬車の音に混ざりどちらかの笑い声があり会話は途切れる事はない。

 

 

「あっ、ねぇマスター。良かったらあそこで一泊してから帰りませんか?」

 

 

冥花繁殖帯を抜けクレナイへと入った頃、エルキュールが見つけ指を指す方には温泉と暖簾がかけられている宿。

 

 

「そうですね。急ぎの用もありませんし、、。でも俺お金持ってないです」

 

「それなら大丈夫ですよ。支給品の中に幾らかのお金はありますし」

 

 

物品が置かれている場所から小袋を取り出し振るとちゃりちゃりと音が。それを聞き少年は馬を宿の方へと向けた。

 

 

「いらっしゃい」

 

 

馬車を停め宿へと入ると古ぼけた店内とそれに似合う年齢の亭主の姿が。人数を告げ部屋を決めると部屋へと案内され部屋へと続く扉を開ける。

 

 

「良いお部屋ですね」

 

 

土壁の壁に黒い茶色となった木の柱が見え同じ様に天井に貼られている木板も黒ずむ。一面に畳が引かれ木製のテーブルが一つあり座布団が囲む。純和風な部屋をエルキュールは見渡していた。

 

 

「夕食のお時間を決めてもらえますか?」

 

「ならえっと、、どうしますマスター?」

 

「ん、、なら…」

 

 

迷う視線は部屋の上部に取り付けられている時計を見つけた。現在の時刻から考え一時間後に夕食を頼むと亭主は頷き部屋を出て行った。

 

 

「お風呂行きましょうか」

 

「そうですね。汗も沢山かきましたし」

 

 

荷物を部屋の片隅に置き二人は部屋を出て壁に貼られている案内通りに進み温泉の入り口へと。

 

 

「では、また後で」

 

「はい。ゆっくりしてきて下さいね」

 

 

温泉入り口前で別れ各自温泉を楽しむことに。

 

 

脱衣場で服を脱ぎ温泉へと行くと人はおらず貸し切りの様。先に身体を洗い少年は湯船へと身を沈め、沈みゆく太陽を見上げ今後の事を思いながら日没を見送り温泉を出る事に。

 

 

「待たせてすいません」

 

 

少年が出入り口へと行くと白い浴衣を着たエルキュールの姿があった。靡く髪はハーフアップに纏められ暑そうに手で顔を仰ぐ。

 

 

「いえ、私も今さっき出たところですよ。それよりも太陽が綺麗でしたね」

 

「俺も見入っていました。部屋、戻りましょうか」

 

 

部屋へと戻り火照る身体を涼める為に窓を開け外気を取り込む。外から入り込む風に身体が冷えかけた頃、戸を叩く音に返事をした。

 

 

「お待たせしました」

 

 

戸が開くと亭主の姿があり背後には女将の姿も。部屋へと上がると手際良く料理をテーブルの上へと並べ、配膳が終わると外へと下がって行った。

 

 

「美味しそうですね。食べましょうか」

 

 

座布団へと座ると手を合わせ料理を食べ始めた。

 

 

「「ご馳走様でした」」

 

 

腹八分目で少し物足りないお腹をお茶を飲みながら誤魔化す少年の前でエルキュールはドリンクが書かれたメニュー表を眺めていた。

 

 

「マスターも何か飲みますか?」

 

「俺もいただきます。エルキュールさんは何を飲むのですか?」

 

「私はこれを飲もうと思いまして」

 

 

エルキュールが指を指すのは林檎酒。それを見た後に少年も飲みたい物を決め呼び鈴を鳴らした。

 

 

「うわぁっ美味しそうです♪」

 

 

しばらくして部屋には林檎酒とコーラが届けられた。届けられた林檎酒を見てエルキュールは歓喜の声をあげる。

 

透明のグラスの中には半切りの林檎のシャーベットがリキュールの中に沈む。グラス内部には泡が付き外部は冷やされ汗をかく。

 

 

「乾杯しましょうマスター」

 

「はい、じゃあ、、乾杯」

 

 

グラスとグラスをぶつけ合った後にグラスを口へと運ぶ。すると程よい酸味と甘味が炭酸の刺激に溶けてゆきエルキュールは笑顔を浮かべた。

 

 

「美味しいです♪」

 

 

一口飲んだ後、林檎のシャーベットをスプーンで溶かし口に運びまた笑顔を見せた。エルキュールと対面して座る少年はコーラを一口飲んだ後沈黙をしている。

 

 

「どうしたのですか?」

 

「あの、エルキュールさん。俺の故郷を救ってもらいありがとうございました。そして、自分の事しか考えていなかった俺について来てくれてありがとうございます」

 

「あはは、、お礼はあの二人にもお願いします。私はマスターの乱暴さに呆れて帰ろうとしていましたから」

 

「サフランに戻りまた会えた時はまたお礼とお詫びをするつもりです。それと、もう一つあるのですが」

 

「はい、どうしましたか?」

 

「教会に戻ったらエルキュールさんとの共鳴を解除してもらいたいです」

 

「えっ、それはどうしてですか?」

 

 

少年の言葉に驚き思った事を口にすると少年は思い詰めた様に視線を下へと落とした後、エルキュールを見据えた。

 

 

「俺とエルキュールさんの共鳴は与えられたもので仮初のものです。俺にはエルキュールさんの様なキル姫には勿体無いんです。なので、俺は教会で学び奏官を目指します。俺が正規の奏官になった時、また、そのっ、、」

 

 

そこまで伝え少年は言葉を詰まらせた。それは自己中心的にエルキュールを故郷へと連れ回した過去の行いを振り返り己の行動を客観的に見たから。それでも視線を上げ、エルキュールの顔を見たのだが言葉は出ないまま視線が彷徨った。

 

 

「ふふっ。思っていたより良い子なんですね。私、見直しました」

 

 

彷徨った目が見たのはエルキュールの笑顔。

 

 

「一度共鳴をしたのでマスターが奏官になった時、また私と繋がる事ができると思います。その時はまたよろしくお願いしますね」

 

「ありがとうございます、、!」

 

「マスターは奏官になったら何がしたいですか?」

 

「そう、ですね、、。まだ具体的には考えていないのですが一つだけしたい事があります」

 

「それはどんな事ですか?」

 

「この世界には俺みたいな思いをする人はまだ沢山居ると思うんです。なのでその人達を助ける為にこの世界を旅したいです」

 

 

きっぱりと言い切った少年を見てエルキュールはまた笑顔を見せた。

 

 

「私もみんなの希望になりたいです。だから私と繋がる事ができたのですね」

 

「繋がる事に理由がいるのですか?」

 

「はい、奏官とキル姫が繋がるには理由があるのですよ。きっと私たちの相性は良いはずです」

 

 

そう言って林檎酒を飲み干すと店員を呼びもう一杯同じものを頼んだ。その笑顔はアルコールで赤みを帯びていた。

 

 

「顔赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「はいっ、まだまだ飲めますよ♪」

 

 

そう言いながら暑そうに浴衣の重ねを広げ手で仰ぎ風を首元へと送る。広げられた首元からは赤い肌に鎖骨が見え少年は思わず目を逸らした。

 

 

「どうしたのですか?」

 

「い、いえ。なんでもありません…」

 

 

恩人の肌を見ない様にするのだが男の性か少年の逸らした目は首元を見てしまう。

 

やがてエルキュールが頼んだ林檎酒が届き受ける取ると空になったグラスを渡そうと手を伸ばした。

 

 

「………」

 

 

その時、屈み緩んだ首元から胸元が見え、思わず覗き込むとその奥に薄い桃色のキャミソールが見えた。

 

 

「顔赤いですけど大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫ですっ!」

 

「もしかしたら風邪かもしれませんよ?ちょっと失礼しますね」

 

 

テーブルを超え身体を伸ばし少年のおでこに手を当て体温を測ろうとする。身体を、腕を伸ばす事により浴衣の胸元は開き胸を包むキャミソールが視界に入り動揺する少年とは裏腹にエルキュールの顔は真剣に熱を測り自身の体温と比べる様に手をおでこに当てた。

 

 

「熱はないみたいですね?でも顔は赤い。今日は早く休みましょうか」

 

 

心配そうなエルキュールをよそに少年は先ほど見えた胸元にまた顔を赤くしていた。

 

 

「だ、大丈夫です。本当に、大丈夫ですからっ!」

 

「無理はいけませんよ。お布団敷いてもらいますね」

 

 

呼び鈴を鳴らし店員を呼ぶと布団を敷いてもらう様に頼むと手際良く二組の布団が敷かれ店員は部屋を出て行った。

 

 

「戻るだけとはいえまだ距離はあるので無理はいけませんよ」

 

「・・・ありがとうございます。ですがエルキュールさんが飲み終わるまではここにいます」

 

「じゃあ早く飲まないといけませんね」

 

「いえっ!ゆっくりで良いですからっ!あっ、そうだ。俺もジュース頼みます!」

 

 

こうして部屋に新しいコーラが届けられ少年は口へと運んだ。氷が入り冷えたコーラを飲んでも目の前で暑そうに胸元を仰ぐエルキュールの姿に身体は火照ったまま。

 

 

「そんなに熱いですか?」

 

「久しぶりにお酒を飲むからでしょうか?でも酔ってはいませんからね」

 

 

そう言いながら林檎酒を飲むエルキュールに疑いの目線が向けられるが本人は気にする様子もなく林檎酒を飲み干し林檎のシャーベットを美味しそうに口へと運んでいた。

 

しばらくしてからんと乾いた音がグラスから響いた。

 

 

「そろそろ寝ましょうか」

 

「そうですね。遅くまで付き合ってくれてありがとうございます」

 

「いえ、そんな」

 

 

壁にかけられた時計を見ると時刻はもうすぐ23時になろうとしていた。それを見てあくびを一つすると二人は布団の中へと入ってゆく。

 

 

「おやすみなさい」

 

「おやすみなさいエルキュールさん」

 

 

そう言って照明が消され部屋は一瞬のうちに暗闇に包まれ、窓から差し込む月明かりに目が慣れてきた頃。エルキュールの声が聞こえた。

 

 

「あの、マスターは寂しくはないのですか?」

 

「寂しくはあります。俺の故郷は無くなり親も友達も…。でも俺にはエルキュールさんが居てくれるので寂しくは…無いです」

 

 

強がる声が聞こえた後に短い声が聞こえた。少年の左手をエルキュールの右手が握り顔を向けると暗闇に微笑む顔が。

 

 

「私が居ますからね。安心して下さい」

 

「ありがとうございます…」

 

「そうだ。手だけじゃ足りませんよね」

 

 

握った手が離されると布団が捲られ少年の隣にエルキュールが寝転び、あやす様に抱きしめた。

 

 

「え、エルキュールさんっ…」

 

「ふふっ、こっちを向いて下さい」

 

「でも…っ」

 

 

異性の抱擁に少年は深く緊張し恥ずかしみ身を強張らせる。それでもエルキュールの方を向くと微笑む顔が。

 

 

「やっとこっちを向いてくれましたね」

 

 

言葉と共に覆い被さる様に抱きしめられた。エルキュールの体温と匂いが密着した間から鼻を通り少年の脳を揺さぶる。それでも心から安心し安らげるのを感じながらエルキュールの抱擁に身を預けていた。

 

 

「安心しましたか?」

 

「はい、ありがとうございます…」

 

 

長い抱擁の後、顔を離したエルキュールはにっこりと微笑む。それでもまだ身体は抱きしめたまま。

 

 

「あのっ、、エルキュールさんっ、、そろそろ離れて下さいっ、、!」

 

「抱き付くの嫌でしたか?」

 

「いえ、そうではなくて…」

 

 

切羽詰まる少年に対しエルキュールは不思議そうな顔で少年を見ていた。そして、左足を少し動かした時に少年の言葉の意味を知った。

 

 

「あっ」

 

「………っ」

 

 

下へと動かした左足が硬い物に触れエルキュールが声を出すと少年は恥ずかしさに顔を晒す。

 

気不味い沈黙が流れ少しの時間が過ぎてゆく。

 

 

「あははっマスターも男の子なんですね」

 

「それはそうです…俺だって男です…」

 

「でも、こんなに硬くしてたら寝れませんよね?」

 

 

足で触れたものへと手を伸ばし浴衣越しに摩り始め不安そうな顔で少年を見つめる。目線の先の少年は恥ずかしさで顔を晒すが手を止める様子はなかった。

 

 

「大丈夫ですっ、、!ほっとけば治るので…っ!」

 

「なら、このまま我慢して眠れますか?」

 

「それは…」

 

「嫌だったら言って下さいねっ」

 

 

肉棒を摩っていた手は離れ浴衣を止める帯を解き被りを止める紐を解く。その時間に少年は嫌と言う事はなく身を任せ気付けば布団の中で浴衣は開かれていた。

 

 

「凄く硬いですよ♡」

 

 

膝下まで下着を下げ肉棒を握りながら囁く。言葉に行動に少年の理性は無くなり肉棒は張り詰め硬く膨張する。

 

 

「ピクピクしてますけどもう我慢できませんか?」

 

「我慢できませ…ん…俺、初めてなので…」

 

「初めてなんですね・・・♡」

 

 

返事をしようとした口はエルキュールの口に塞がれ言葉の代わりに少年は目を見開いていた。

 

 

「あはっ♡キスも初めてでしたか?」

 

「はいっ…」

 

「ならキスしながらしてあげますね♡」

 

 

右手は少年の頭を抱き唇を塞ぎ左手は肉棒を扱く。何度も重ねられた唇が開き少年の口内へと舌が侵入しエルキュールの舌が少年の舌に絡み付く。

 

濃厚な口付けと扱く手により少年の意識は朦朧となる。

 

 

「出ちゃいます…」

 

 

肉棒は既に溢れた我慢汁に濡れ何度も手の中で跳ね。込み上げる射精感を伝えるとようやく手の動きが止まった。

 

 

「もう我慢できませんよね…♡そうだ、お口でしてあげます♡」

 

 

肉棒を握る手を離すとエルキュールは布団の中へと潜り込む。布団に遮られ何をされるか分からず感覚が研ぎ澄まされ、ふと肉棒に吐息がかかり腰が跳ねた。

 

 

「可愛い♡」

 

 

少年の反応が可愛くて何度も息を吹きかけ遊び、しばらくがした頃。肉棒が握られ、すぐに温かい何かに包まれてた。

 

肉棒から伝わる熱に快感に、その正体を知るべく少年は布団を捲り上げた。

 

 

「それ、、ヤバいです、、」

 

 

そこには自らの肉棒を口いっぱいに咥えるエルキュールの姿があった。暗がりの中目を閉じ味わうかの様に口淫をする姿に思わず身震いが起こる。

 

 

「えへへ♡どうですか?気持ちいいですか?」

 

 

一言話すと返事を聞く間もなく肉棒を咥え込み薄らと瞳を開け少年へと流し目を送る。

 

その瞳と目が合った瞬間、口の中で肉棒が脈を打ち呻き声と為に口内へと精液を吐き出した。

 

 

「エルキュールさん……」

 

 

か細く呟く中、エルキュールは吐精が止むまで肉棒を咥え吐精が止むとようやく口を離し口内に溜まった精液を飲み込み笑顔を見せた。

 

 

「飲んじゃいました♡気持ちよかったですか?」

 

「はいっ……」

 

「ふぅ、、熱い…」

 

 

布団から這い出すと浴衣を止める帯を解き止める紐を解き浴衣を布団の上へと落とした。その姿を食い入る様に見る少年に見せ付ける様にキャミソールを脱ぎ、次に下着を脱ぐとまだいきり勃つ少年の肉棒へと視線を落とした。

 

 

「あんなに出したのにまだ硬いのですね♡次はどうしたいですか?」

 

「あのっ、、、!」

 

 

少年の願いを聞きエルキュールは布団の上へと寝転がるとすぐに少年はエルキュールの足元へと行った。

 

 

「恥ずかしいのであまり見ないで下さいね?」

 

 

言葉を聞いた後に少年は秘部を隠す両脚を開きすぐに視線をそこへと向けた。

 

 

「綺麗です……」

 

 

少年の目にはエルキュールの秘部が写る。やや盛り上がった恥丘の上に薄らと陰毛が生え、下は無毛で愛液に濡れる秘部が隠す事なく少年の視界に入る。

 

初めて見る秘部に感動と興奮をしながら見つめ続けていた。

 

 

「そんなに見られると恥ずかしいです…」

 

「ごめんなさい、、あと少しだけ…」

 

 

謝りまた視線を秘部へと戻し次は両脚の間へと顔を落とし見ていた。それは愛液を垂らしながらひくひくと少年を誘う様に恥肉が動く。

 

 

「あ、あのっ、、!な、舐めてみてもいいです、、か…?」

 

 

興奮が昂った少年は顔を上げエルキュールへと声をかけた。

 

 

「ふふっ♡良いですよ?」

 

 

返事と共にエルキュールは舐めやすい様にM字を書く様に脚を広げ少年を誘った。

 

少年は花に誘われる虫の様に吸い寄せられる様に秘部へと顔を近づけ恐る恐る愛液が滲む秘部へと舌を伸ばした。

 

 

秘部に触れた舌はねっとりとする愛液が絡み恥肉を押し除け舌は進む。無味無臭、強いて言うのなら少しの塩味。食事なら箸を止めてしまう味なのに少年は夢中に秘部を舐めていた。

 

 

「やん♡そこっ…♡」

 

 

舌が動くたびにエルキュールは敏感に反応し腰をくねらせ声を上げる。そんな反応を楽しむ様に舌は秘部の奥へと伸ばされた。

 

 

「んんん〜〜〜っ♡」

 

 

膣内へと伸ばされた舌を恥肉は包み込む様に締め付け快感の淫声が頭上から響く。そのため、少年は顔をべったりと秘部に押し付け少しでも奥を舐めようと舌を伸ばす。

 

 

「あぁっ、、♡キちゃいます・・・っ♡」

 

 

歓喜の声が聞こえると同時に少年の顔は太ももに強く挟まれ硬直する。硬直が解け顔を上げるとそこには紅潮したエルキュールの顔があった。

 

 

「初めてなのに上手でしたよ♡イカされちゃいました♡」

 

「じゃあエルキュールさんも気持ち良くなれたんですね?」

 

「はいっ♡でももっと奥まで欲しくなってしまったので…♡」

 

 

紅潮した顔の目線は硬く上を向く肉棒へと向けられていた。

 

 

「もう少し上ですよ。はいっそのまま…」

 

 

寝転がるエルキュールに覆い被さり少年は濡れる秘部へと挿入しようと肉棒を擦り付けていた。しかし何度挿入しようと愛液で滑るだけで秘部に入る事は無かった。

 

 

「焦らなくても良いですからね?」

 

「はいっ、、」

 

 

右手に肉棒を持ち挿入しようとする少年の姿をエルキュールは微笑みながら見守っていた。

 

何度も繰り返している内に鈴口が秘部へと辿り着き少年が見上げると頷く顔が見え腰を沈め、遂に根本まで這入り込んだ。

 

 

「あはっ♡マスターの初めて私が貰っちゃいましたね♡おまんこどうですか?」

 

「めっちゃ気持ちいいです……」

 

 

根本まで突き刺したまま動こうとしない少年をエルキュールは抱き寄せるとあやす様に頭を撫でていた。

 

 

「マスターのおちんちんが膣内でピクピクしちゃってるのが分かりますよ♡でもまだ我慢して下さいね♡」

 

「でも、、エルキュールさんの中が、、!」

 

 

挿入された肉棒を喜ぶかの様にエルキュールの膣内は挿入されてから肉棒に吸い付く様に締め付けていた。自身の手しか知らない少年には強すぎる刺激。

 

 

「我慢できないなら一回抜いちゃいますか?」

 

「それは嫌です、、」

 

「ふふっ♡じゃあ、、このまま出しちゃいましょうか♡」

 

 

少年の腰へ手を回すと腰をゆっくりとストロークさせる。

 

 

「エルキュールさん、、」

 

 

昂る射精感に腰が動くがエルキュールに抑えられ逃げる事はできず数回のストロークで少年の肉棒は吐精を行った。

 

 

「いっぱい出てましたよ♡気持ちよかったですか?」

 

「はいっ、、すごく気持ちよかったです…」

 

 

照れた表情を見せた後、それを隠す様にエルキュールの胸元へ顔を埋めた。その頭を優しく撫でていた。

 

 

「あの、、エルキュールさんは満足してませんよね、、?」

 

「私は・・大丈夫ですよ?マスターの初めてをもらえましたし気持ち良くなってもらえたので満足です♡」

 

 

胸元に埋める顔を上げると唇を重ね微笑んだ。

 

 

「でも、まだマスターのは硬いままですよ?もう寝ちゃいますか?それとも・・・♡」

 

「もう一回お願いします、、!」

 

「次は私が動きますからねっ♡」

 

 

下半身が繋がったままエルキュールは体を起こすとそのまま少年を布団へと寝かせ股座へと跨りじっとりと少年を眺めた。

 

 

「ゆっくり動きますからね・・・♡」

 

 

根本まで挿入されている肉棒からゆっくりと腰を引き上げ鈴口が抜けそうになるとまたゆっくりと腰を沈めてゆく。

 

 

「あは♡すごくピクピクしてます♡」

 

「くぅ、、」

 

 

肉棒から伝わる快感に耐える様に少年は両手で布団を握り締める。それに気が付いたエルキュールはそっと握る手を離していた。

 

 

「我慢しなくても良いですからね?」

 

「でも、、っ」

 

「じゃあ、、私のお手伝いをしてもらえませんか?」

 

 

少年の右手を取ると結合部へと導く。そして人差し指を出すと垂れる愛液と精液で指を濡らす。

 

 

「はいっ♡そこですよ♡」

 

 

少年の指はクリトリスを撫でる様に触っていた。指先が動く度にエルキュールは淫声をあげ膣内はきゅっと締まる。

 

 

「指を離さないでくださいねっ♡」

 

「はいっ、、」

 

 

腰をストロークさせる動きに追従する様に指は動き跳ねるエルキュールのクリトリスを弄り続ける。

 

 

「エルキュールさんっ、、」

 

「きもちいいっ、、♡もうすぐですからね、、♡」

 

 

快感を貪る様にストロークのスピードが上がり淫声に混ざり呻く声が聞こえた。

 

 

「キちゃう。。♡つぅ、、、♡♡」

 

 

そう叫ぶ様に言うと腰を深く下ろし身体を痙攣させ少年へ身体を預け深く呼吸をしていた。

 

 

「あはは♡気持ちよかったです、、♡」

 

「俺もです、、」

 

 

二つの呼吸は次第に収まりふと、少年は手を伸ばしエルキュールの髪に触れ撫で始めた。するとエルキュールは不思議そうに少年の顔を見つめた。

 

 

「ご、ごめんなさい、、エルキュールさんが可愛くて・・」

 

「いえ、人に頭を撫でられるなんて久しぶりで、、。なんだか心地良いですね♪」

 

 

それからエルキュールは少年に髪を撫でられながら快感の余韻に浸り、しばらくして力を失った肉棒がぬるりと秘部から抜け落ち蓋を失った膣内に出された精液がどろりと垂れ落ちる。

 

 

「垂れてきちゃいましたね、、」

 

「片付けましょうか」

 

 

手を伸ばしティッシュを箱ごと取ると束でティッシュを取り秘部を拭く。その横で少年も肉棒を拭く。お互いが服を着直し同じ布団に寝転んでいた。

 

 

「あの、ありがとうございました。忘れられない体験です」

 

「私の方こそありがとうございます。そう言ってもらえて嬉しいですよ♪」

 

 

お互いが身体を寄せ合い抱き合う様に眠りへと落ちてゆく。

 

 

 

 

 

 

………………………………………………………………

 

 

 

 

 

 

 

次の日の朝、二人は宿を出て教会を目指していた。爽快な青空の元を馬車が走りその日の午後には目的地である教会へと辿り着いていた。

 

 

少年はエルキュールと共にラグナロクの元へと行き深くお礼を言い要件を話すとラグナロクは笑顔を見せた。

 

 

「目的が果たせたみたいで良かったよ。なら、ユグドラシルの元へと案内するね」

 

 

二人はラグナロクに案内されユグドラシルの元へと。少年はまた深くお礼を言い要件を話していた。

 

 

「分かったわ。ここでエルキュールとの繋がりは消えてしまうけれどあなたならまたきっとエルキュールと繋がれるわ」

 

 

ユグドラシルへと深く頭を下げると室内に一陣の風が巻き起こる。全てを吹き流す様に風は窓から外へと流れてゆく。

 

 

「ありがとうございます。エルキュールさん。俺、頑張るんで待っていて下さい!」

 

「はいっ!待ってますよ、あなたの事を」

 

 

エルキュールへと頭を下げ、頭を上げるとそこには差し伸べられた右手があり少年は手を伸ばし硬く握手を交わした。

 

 

その後、少年はミノタウスル討伐の賃金を使いラグナロク学院へと入学し一から奏官を目指す為に勉学に励んでいた。それと足りなかったお金を稼ぐ為にバイトを始め苦楽の日々を送る。

 

きっとどんな困難が待ち受けようと少年の心が折れる事はないだろう。そこに希望があるから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






ここまで目を通してもらいありがとうございました!

今回はエンシェントキラーズの一人であるエルキュールの登場でした。

エルキュールといえば希望でありちょっとメンタルが弱かったり、なので自己中心なマスターと組ませてみました。

様々な人に諭され心を開いた二人の変化を感じてもらえれば幸いです。

もしかしたらエルキュールはまた追加を書くかもしれないのでその時はまた、よろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。