※この作品はR-18です。

気持ちが通じ合った公爵令嬢と田舎貴族は契りを交わすそうです   作:品☆美

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第118.75章 Dancer seducing Husband●

『生物は捕食される際に発生した脳内物質によって恍惚のまま息絶える』

 

 そのような学説を見聞きしたのは果たして何時だったか、記憶が曖昧だ。

 耐え難い苦痛から逃れようとする肉体が無意識に反応して、いつの間にか気絶したり感覚が麻痺する事例は珍しくない。

 私も己の出産を思い出そうとしても記憶が曖昧だ、夫は戦争中に手酷い傷を負ったが戦友に指摘されるまで全く痛みを感じなかった時があったと聞いている。

 神が創りたもうた生物の思わぬ欠陥か、或いは死にゆく者へ与えられた慈悲かは定かではない。

 ただ私達が生きる世界には己の体を我が子に食べさせる虫や魚が実在する。

 それら生物達は腹を痛めて産んだ子供達に我が身を貪られて痛みを感じないまま逝くのだろうか?

 何千何万世代に渡り連綿と続いてきた習性、或いは限り無い母の献身かを問う術を私は持たない。

 

「…………ぅあ」

「……ん、もう飲まないのか?」

「ぇう」

「何を言ってるのか分からんぞ、ディラン」

「おぉあ」

 

 別の生物という観点を見れば人間の赤子も獣と然したる差は無いのかもしれない。

 奇妙な思索に耽ってしまったのはディランが私の乳房へ吸い付いて母乳を貪るように飲んでいたせいだろう。

 喉を鳴らしながら乳首を噛むような吸い付きは、時に痛みさえ感じる程だ。

 赤子の握力も存外に強く、乳房にはディランが絶対に離すまいと掴んだ箇所が赤く痕を遺している。

 

「乳母が居てもディランは私が離れると不機嫌になるのはいただけないな」

「う~、あぅ~」

「そろそろ離乳食の時期が訪れるのに仕事が覚束なくて困ってしまうぞ」

「あぃ?」

「そうやってとぼける仕草は本当にリオンに似ているから叱れないだろう、まったく」

 

 ディランへ授乳しながら会話を行い体を撫でてやった。

 母乳は乳児の成長に必要不可欠な栄養が豊富であり、授乳中に母子の触れ合いを行えば感受性に育つと巷では語られている。

 高位貴族の母ともなれば子育ては乳母や教育係に任せ、家政や社交へ速やかに復帰するのが通例だ。

 こうして毎日のように自ら我が子へ授乳する伯爵夫人など滅多に存在しない、居たとしても子を産む事だけを求められた側室や後妻ぐらいであろう。

 公爵家の娘として生まれ育ち、伯爵家夫人として領内で積極的に働きつつ自ら授乳を行う女など私の知る限り自分だけだ。

 

 これもバルトファルト家が平民同然の困窮した経済的事情を抱える男爵家だった頃の名残だろう。

 何しろ領主自ら畑仕事を熟さなければ明日の食料さえ怪しかったと聞いている。

 先々代までは貴族として認められない準男爵家、先代の妻は平民同然に育てられた騎士の娘で貧乏子沢山の典型例だ。

 乳母を雇う余裕などある筈も無く、学園に通わせるまで当主自ら読み書き計算を教えていたと聞いている。

 そんあバルトファルト家に貴族の通例を求めても仕方がない、伯爵家として遜色ない経済規模になった現在でも嘗ての気風は健在だった。

 

「……ふぁぅ」

「腹が膨れたら次は睡眠か、自由気ままで羨ましいぞ」

「……」

「やれやれ」

 

 現と夢の間を彷徨うディランを優しく抱えて軽く揺らすとすぐに寝息を立て始める。

 出産直後はあれだけ弱々しい存在だったのに、今では首が座り歯も生えつつある、毎日接しているからこそ我が子の成長を直に感じられるのは親としてこの上ない幸せだ。

 生まれて半年足らずの我が子と触れ合う機会を設けると、己の中が幸福感で満ちてゆくのを感じる。

 貴族の育児方針の観点からは間違っているのかもしれない、しかし生物として正しいのは寧ろ此方の方だろう。

 そもそも私は領地経営を夫に任せきりにして、内輪の社交にだけ精を出すような暇を持て余した御夫人方の数倍は働いている。

 休息も兼ねて我が子らと戯れる時間を心から堪能する資格程度は持ち合わせている筈だ。

 

 そんな言い訳をしながら着衣の乱れを整え、呼び鈴を鳴らし室外で控えている使用人を呼ぶ。

 穏やかな寝顔のディランを預けると仕事の続きを再開し始める。

 机の上に置かれているのは国外の商人から納められた数々の試供品だった。

 

 リオンが叙爵されこの浮島を拝領して既に十数年、レッドグレイブ公爵家からの融資を受け本格的な開拓が始まってから十年が経過している。

 ホルファート王国内からは温泉がある辺境の保養地として知られ、徐々に国外からの観光客も増えてきた。

 外貨を得られる土地はとても貴重だ、バルトファルト領が他国と良好な関係維持に必要と他の貴族に認められたなら新興貴族として侮られる事も減るだろう。

 何事も無くこのまま発展すれば新たな交易拠点として更なる発展も望めかもしれない。

 そうなると目端の利く商人達は勇猛果敢に雲海を越え、この地を治める私達へ商談を持ち掛けてくる。

 蒼穹は世界の何処までも繋がっていて、力ある者が望めば御心のままに遥か彼方に在る異国の地まで届く。

 未知の土地に向かって果敢に挑む姿はホルファート王国の民が憧れる冒険者にも似ているが、別の観点を持つと強欲な拝金主義者という印象も与えてくる。

 

 今回の商談相手は遠方のオシアス王国の商人だった。

 ホルファート王国から遠く離れた彼の国は砂漠地帯が多い土地で農作物の生産量は少ない。

 それ故に国民が必要とする食糧の大部分を国外からの輸入に依存しており、発展途上の新興領ながらも観光と耕作に力を注ぐバルトファルト領に今のうちから目を付けていたのだろう。

 我々としても取引相手が増える事は喜ばしい限り、しかし関わる人間が増えれば相応に問題もまた増えるのが世の常だ。

 特にホルファート王国内に於いて法規制されてるが他国では問題なく取り扱われる商品。

 或いはその逆で他国では違法だがホルファート王国では流通している商品も存在しているだろう。

 利益を優先する余り違法な取り引きに手を出し犯罪を誘発し、問題が発覚すた後に財産没収の上に取り潰された貴族は数年に一件の頻度で社交界の話題になる。

 そうならない為にも綿密な調査と取り扱い品の審査は厳正に行われ、国の認可が下りて漸く商談が成立するという長い道のりだ。

 

 机の上に置かれているのはそうした取り扱う品々の試供品であり、関係者に対する付け届けでもある。

 内容は衣類、香料、工芸品、織物、鉱物など多種多様で見ているだけで異国の情緒が伝わり心が湧き立つ。

 思い返すとディランを出産して既に半年が経過している、母胎が危険な産褥期を無事に経過しそろそろ外出を増やしたい頃合いだ。

 事務仕事や領内の会合に加えて育児が全くつまらない訳ではないが、社交の為に他領に赴けないのは少し気が滅入ってしまう。

 何か目新しい物が無いものかとぼんやり机の上を物色すると赤い何かが視界に映る。

 オシアス王国で制作された衣装が幾つか置かれている、その中でも一際目立っているの赤い衣装があった。

 貴族は身に纏うのは基本的に材料から縫製に至るまで専門職人に作らされた特注品である。

 衣服の試供品はあくまでも生地の肌触りや完成図を連想させる程度の物に過ぎない。

 赤い布時が私の目を惹いたのは安物とは言え装飾に金属の細工や安物の宝石が使われているからだ。

 一応は確認しておくか、そう考えて手に取るとあまりに破廉恥な服が目の前に現れた。

 

「こ、これは…」

 

 薄い布地は肌触りこそ良いが体を覆うには明らかに面積が足りていない、これでは局所をどうにか隠せる程度では無いか。

 下品と受け取られかねない淫猥さを辛うじて避けているのは装飾の存在がせいだ。

 もしそれらが無ければ露骨に男を魅了する為だけの布の切れ端を見れば娼婦すら恥じらうに決まっている。

 こんな品を試供品に加えるなど商人達は一体何を考えている?

 私やリオンが破廉恥な服を贈られて喜ぶと考えたのなら交易する相手として見縊られている事実に激怒しても止むを得ないぞ。

 親切心なら余計なお世話だと不興を買うのが精々だ。

 

 其処まで考えて、ふと夫であるリオンを思い浮かべた。

 ディランを無事に産んでから、いや出産する少し前から夫婦の交わりが途絶えている。

 厳密に言えば口や手や胸を使った性奉仕こそ偶にしているが、性器同士を繋げた交わりは絶えて久しい。

 リオンが出産した私を慮ってくれたのは間違いないだろう。

 私としても出産した直後は体調の問題もあるし、生まれたばかりのディランに集中してそんな気分にはなれなかった。

 出産から数カ月が経つとリオンは性的な奉仕を求めてくれた、しかし体の交わりまでは求めていない。

 おそらく私の方から求めくれるのを待っているのだろう、リオンは粗野に見えても私の嫌がる事は極力避けてくれる。

 

 ならばそろそろ本格的な性行為を再開しても良いのでは?

 授乳の問題もあって食事に気を使い、出産で疲弊した体力を温泉に癒し、適度な運動と医師の診療でほぼ妊娠前の体型まで戻せた。

 私とリオンもまだ三十代前、体の繋がりを求めないほど枯れた夫婦ではない。

 そこまで考えると顔が火照ってしまう、何よりむず痒い熱が腹の奥に生まれてつい内股になってしまう。

 結局、私は昼過ぎからの執務で些細な失敗を繰り返し周囲を殊更心配させてしまった。

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

 照明を調整し香を焚きしめると寝室は一気に艶めかしい雰囲気を醸し出す。

 今夜の為に使った練り物の香はオシアス王国の商人からの試供品だ、独特な香りだが嫌ではない。

 匂いが残らない程度に留めておき、例の服を身に纏うとベッドの上で待機する。

 こうしてリオンの到着を待ちわびているだけで胸が高鳴ってしまう、まるで悪戯を仕掛けて誰かが通り掛かるのを待つ子供のようだ。

 半年以上も性交を我慢させられたリオンは獣のように私の体を貪ろうとするだろう。

 しかし私とて為す術も無いまま翻弄されるつもりは毛頭無い、むしろ今日の私はリオンを堕とす側へ積極的に回ってやろう。

 

 そんな妄想を愉しんでいると寝室の扉が開く、待ち人の来訪に私の期待は更に膨らむ。

 いつもの寝室と何か違う事を察したリオンが訝しげに周囲を見渡した、その姿は警戒心が強い獣を思わせる。

 リオンがあのような行動に映るのも仕方ない、何しろ今夜の事について私は何も口にしていないのだから。

 

「……アンジェ?」

「どうした、リオン」

 

 主人の機嫌を伺う犬や猫のようにリオンが首を傾げた、顔に大きな傷痕を残している武骨な男を可愛らしいと思える己が何処かおかしく感じられる。

 だが仕方あるまい、私は初対面の相手から見ても明らかなぐらいリオンに惚れ抜いているのだから。

 薄暗い室内ではベッドで横たわる私の姿を捉えるのは難しい、距離を詰めたリオンがベッドに腰掛けると漸く私が身に纏う服装に気付いたらしい。

 驚くリオンの表情を眺めるのは随分と愉快だ、これだけで淫猥な服を身に纏った価値はあった。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「間抜けな顔をするな、それでも領主か」

「……いや、誰だってこうなるだろ」

「精進が足らん、不測の事態でも動揺を見せるなと普段からあれほど言っている筈だ」

「何だよ、その恰好」

「この夜着の何処がおかしい?」

「いや、だってさ」

 

 明らかにリオンは動揺を隠せていない、服装について何とか言及しようとするが私の機嫌を損ねるのが恐ろしいのだろう。

 何しろ数カ月ぶりの性交を行う絶好の機会が無造作に置かれている、そのまま飛び掛かって折角のご馳走を取り上げられては堪らないと考えてるのがありありと分かる。

 それでも彼は私から目が離せない、顔を反らしてこそいるが視線は情熱的に私の体を犯したい情欲に満ちていた。

 本人は隠しているつもりだろうが、私を見つめる視線がいやらしくなっている事を気付かれていないと思っているのはリオンだけだ。

 私の胸元や尻に視線を移した瞬間は明らかに不自然な首の傾げ方や視線の方向転換をしている。

 そんな彼を煽るようにわざとらしく体の向きを変えて胸を寄せて見た、またしてもリオンの視線が情熱的な物へと変化してゆく。

 今夜の私はかなり大胆だ、こんな娼婦じみた服を身に纏っているせいだろう。

 もっとリオンを動揺させてみたいという欲求を止められそうになかった。

 

「商談で持ち込まれた服があってな、試しに着てみたのだが似合っているか?」

「……そりゃもう似合ってるよ」

「うむ、リオンの反応を見ればよく分かるな」

「だからもう、いつもの寝巻を着てくれ。今の俺には目に毒過ぎるから」

「脱いでいいのか?久しぶりに私もお前との情事を愉しもうとしたのだが」

「ちょッ、ちょ、ちょっ、ちょっと待てって!」

「まぁ構わないか。仕方ないが性交は後日に回そう」

「だから待ってくれよ!」

 

 必死に私を止めるリオンの表情を見ていると嗜虐心を煽られてしまう、同時に愛されている充足感で愛おしさも湧いてくる。

 あまり意地悪をして機嫌を損ねても不味い、何より私自身が久しぶりに情事を行うと考えるだけで理性が利きそうにない。

 招くように手を差し伸べるとリオンはすぐさま脱衣を始める、下着まで脱ぎ捨てるとまだ完全に勃起していない陰茎が零れ出た。

 十年以上も夫婦関係を続けていれば相手がどうすれば悦ぶかは凡そ察しが付くように成長する。

 結婚した当初は頻繁に私を無理やり押し倒すような真似をしていたリオンだが、今では私の体調や雰囲気に配慮できる程度になってくれた。

 まずはお互いの体温を愉しむ優しい抱擁から始めるのが私達が好む始め方だ。

 今日の抱擁は背後から覆い被さる体勢を選んだらしい、リオンの体躯が私を包み込み布団のように変わる。

 

 裸になったリオンと極端に布面積が少ない服を纏った私の体が密着すると体温や鼓動は熱烈な愛撫と同じ効果を齎す。

 何百回と交わった経験はこれから行われる性交を予感させ、体は自然に興奮状態へ移行していく。

 それでも今はこうして愛情に満ちた抱擁を存分に愉しんでいたい、何しろ久々の性交であるが故に私の体はあらゆる行為に飢えていた。

 

「どうした?抱いているだけで満足か」

「う~ん、もうちょっとこうしていたいな。何せ久しぶりアンジェを抱くんだし」

「他所で他の女と交わってきたかと思ったぞ」

「俺がそんな気持ちを持ってないのを知ってるくせに」

 

 リオンが言葉を呟くと同時に腕に力を込めて体を引き寄せると更に互いの体が密着してしまう。

 彼の体温はちょうど良い温かさから汗ばみそうな熱さに変わっていく。

 鍛えられたリオンの筋肉に強く抱かれると脂肪が多い私の体は簡単に形を変えてしまう。

 十代の頃はもう少し痩せていた筈なのに、子供を産む度に少しずつ体型が崩れ太っていくような錯覚に襲われる。

 三十歳を控えた今の醜い体が原因で愛想を尽かされては堪らない。

 出来る限り運動や栄養管理を心掛けて医師の診断を受けているのだが、それでも若い頃の体型との明確な違いを感じてしまう。

 淫猥な服を着込んだのもそうした部分をリオンに気付かれたくないという女心の顕れだった。

 

「相変わらずアンジェの体は気持ち良いなぁ、ずっと抱いていられるぞ」

「私を抱き枕にして毎晩寝ているだろうが」

「睡眠欲で抱くのと性欲で抱くのは全然違うんだって」

「そんな事をいつつ優しく撫で擦るな」

「俺はアンジェを触れて気持ち良い、アンジェは俺に触られて気持ち良い。どっちも得しかないだろ」

 

 リオンの掌が私の体を撫で回し始めた、今までの愛情を確かめ合う愛撫から情欲を込められた熱烈な愛撫に変わったと体が警告する。

 数ヶ月ぶりの愛撫は綿が水を吸い込むように愛情に渇いている体を潤してゆく。

 単純に腹や太腿を撫で回されるのがこれほど心地好い物だとは思いも寄らなかった。

 性感帯を避けているのに撫でられた箇所が熱と快感を埋め込まれたようで気持ち良いて堪らない。

 嬌声こそ出さなかったが自分の呼吸が徐々に荒くなってゆく、このまま愛撫を続けられたなら呼吸さえ心地好くなってしまう。

 

「んっ…」

「アンジェがこんな格好してまで俺を求めてくれるなんてな」

「大した意味など無い、商談に持ち込まれた品の中に偶然この服が紛れていただけだ」

「でも俺の為に着てくれたんでしょ」

「それはまぁ、否定はしないが」

「でも顔の布だけは邪魔だと思うぞ。アンジェの綺麗な顔が見れないじゃん」

「私の気持ちを無碍にするなら今夜はもう終わりにするつもりだが」

「……ごめんなさい、とってもアンジェに似合ってるから脱がないでください」

「宜しい、取り敢えずはリオンが満足するするまで好きにしろ」

「じゃあアンジェに感謝の気持ちを込めてもっと気持ち良くしてあげようか」

「あッ!こらっ!」

 

 そう呟いた次の瞬間にはリオンの掌が乳房を揉み始めた。

 今までが心地好く体に沿う撫で方なら、これは私の乳房を荒々しく指で変形させる程の力が込められている。

 出産して母乳を蓄えた乳房は通常時よりも一際大きく膨らんでいる、そんな状態の乳房を大胆に揉まれたら堪らない。

 赤子が授乳を強請って母親の乳房を揉む時に似た刺激を受けた乳首が肌触りの良い布地の裏で硬度を増して膨んでいく。

 武骨な太い指に乳首を弄ばれると先端に熱と湿り気が宿ってこのままで母乳が出てしまうではないか。

 必死に体を捩ってリオンを両手を軽く叩くも、特に気にした様子も無いまま乳房を揉まれ続けるのは腹立たしい。

 しかも的確に私が快感を得られる場所と力具合で丁寧に愛撫され続けたら乳房だけでなく股間にまで熱が宿るのは当然の流れだ。

 

「この手触りと重さ、また胸が大きくなっただろ?」

「……ディランに授乳する為だ、仕方あるまい」

「俺のお陰で立派なオッパイがなったのに、いつも俺だけ味わえないのは酷いと思う」

「リオンのお陰(・・)ではなく、リオンのせい(・・)の間違いだろう。妊娠する度に胸と腹が膨れるし出産は命がけ。産後は体型を戻す為に私がどれだけ時間と労力を掛けているのか、お前は真剣に考えた事があるのか?」

「え~と、あんまりありません」

「だから三十代前に子沢山な家系だと揶揄されているんだ。少しぐらい反省しろ」

「それ俺が原因なの?」

「違うと言いたげだな」

「だってさ、ほら」

 

くちゅっ

 

「ひぃあッ!?」

 

 不意にリオンの指が私の女陰を撫でた、その瞬間に生じた快感に思わず驚きの声が口から漏れた。

 薄く滑らかな生地は刺激をそのまま素通りさせてしまう、既に熱く潤んでいた女陰を数ヶ月ぶりに触られる快感は堪らない。

 太くゴツゴツと節だった指を器用に動かし股布の結び目を解く、更に陰核を摘んで擦り合わせられ愛液が股を濡らすのがはっきりと感じられた。

 ついに情け容赦無く指をゆっくり挿れられてしまう、それが陰茎ではなく指だと分かっていながらも私の女陰は悦んで締め付け始める。

 

「あッ、リオンっ、こらっ、指を動かすな」

「アンジェの方が股間を押し付けてるだけど」

「う、嘘を吐くなッ」

「こうやって涎を垂らしながら指を締め付けて、素直におねだりするアンジェのここは可愛いのに」

「止めろと言っているっ!」

「いやらしい格好して俺を待ってたくせにその言い草はないだろ」

「~~~ッ」

 

 明らかにリオンは調子に乗っている。

 私とて期待していない訳ではなかったが、こうも一方的に責め続けられるのは業腹だ。

 出産後に行われるリオンとの初性交をより良き物にしたかったが、其方がその積もりなら私にも考えがある。

 性的快楽で麻痺しかけた手足に力を込め、力の限り動かすとリオンの拘束は徐々に緩んでいく。

 これまでの愛撫も私の体に対して配慮は欠かしてはいない、一方的な責めではあったが私に怒られる事をリオンは最も恐れていた。

 私達の体は一旦離れるが向き直って身を屈める、視線の先には勃起しているリオンの陰茎が在った。

 

「えっと、ごめん。怒った?」

「あぁ、怒ったぞ」

「出来れば殴るぐらい許して、ずっとお預けされてたのにここで終わりは勘弁願いたいんだけど」

「そうだな、お前が責めるのは確かに終わるだろう」

「ごめんアンジェ、もうしないから許して」

「許さんぞ、今から私がお前を責めてやる」

 

 そう告げるとリオンの股間へ顔を埋める、鼻先にある陰茎からは空気すら犯す淫熱が伝わってきた。

 既に包皮は完全に剥けて脈動する赤黒い亀頭が目の前に晒され、その迫力は見ている私を威嚇してるようにすら感じてしまう。

 恐る恐る陰茎を握りしめると筋肉とは違う硬さと熱が掌から伝わり、私の股は興奮による愛液で更に濡れていくのを感じた。

 労わるような弱い力加減で握りつつゆっくりと掌を上下に動かす、何度も擦る獣じみた男の呻き声を出しながら体を震わせる。

 妊娠中も出産後もこうして求められる度にこうして手淫をしてきた、私だってリオンの何処が気持ち良くなれるか熟知しているんだぞ。

 

 こうして普段と全く違う服装で性行為を行うとまるで自分が別人になった錯覚に陥ってしまう。

 クローゼット奥の隠し棚には明らかに情事にしか使えないほど卑猥な衣装が数多く納められていた。

 破廉恥な服装を身に纏う私が情事に誘った時のリオンはひどく興奮して抱き潰すぐらい激しく求めてくる。

 何度も強姦じみた性交で孕まされては女としての矜持を傷付けられるような物だ、リオンが調子に乗らないよう厳しく仕付けるのも止むを得ない。

 

 手淫を何度も繰り返して陰茎を完全に勃起させたら、顔布を翻してリオンの股間を覆う。

 これでリオンからは私がどのように陰茎を弄り回しているのか判別できない。

 無論、私も視覚による確認は不可能だが手の触角と鼻の嗅覚に加え舌の味覚がある。

 口を開けて舌を伸ばして動かすと篤い何かが当たった、それが勃起した陰茎なのは明白だ。

 陰茎に舌を這わせつつ顔を動かすと舌触りと湿度が明らかに変わる、ついに先端の亀頭へ到達したのだろう。

 次は亀頭の周辺を丹念に舐めしゃぶる、雁首や鈴口を舌で汚れを刮ぎ取るようにしつこく情熱的に。

 これまで私がしてきた口淫の記憶を塗り替えるぐらい苛烈に責めると、溢れ出た先走り汁が舌に絡みついた。

 生臭く苦しょっぱい味なのに嫌な気分は全くしなかった、寧ろもっと寄越せと言わんばかりにしゃぶっているとリオンが苦悶の声を出す。

 

「さ、流石にやり過ぎじゃない?」

「これはお前への仕置きだ、黙って受け入れろ」

「口答えのお仕置きにしては激し過ぎだろ」

「違う、私の風評を貶めた事に対する仕置きだと考えろ」

「俺がアンジェの評判を落とすような事をしたっけ」

「いつもこの凶暴な男性器で私を責め孕ませいるぞ。お陰で私まで荒淫な女と思われかねない」

「それ俺のせい!?」

「うるさい、黙れ、不満を漏らすな」

 

 リオンの抗議を黙殺して今度は陰茎を咥える、唾液と先走り汁に塗れ硬く膨らんだ陰茎を呑み込むのはかなりの苦労だ。

 どうにか口中に収めて頭を全体を上下と前後に動かす、両手はリオンの太腿に触れて抑え込む。

 許さん、絶対に許さんから覚悟しろ。

 私の純潔を穢し、毎晩毎夜に渡って激しく犯し続け、何度も精を注ぎ込んで孕ませた小憎たらしい節操無しの男性器め。

 結婚して僅か十年で子供を六人も産ませるなど前代未聞だ。

 仲睦まじい夫婦と見做されているから許してるだけだ、子供達が愛おしいからリオンの振る舞いを看過してるに過ぎないんだぞ。

 絶倫なお前が浮気して非嫡出子を作らないよう妊娠中も出産後も求めらたら断らないだろう。

 それなのに私の温情に付け込んで好き放題を続ける酷い男だと自覚しろ。

 この報いは節操無しで我が儘な男性器へ相応の仕置きで理解させてやるからな。

 

 痛くならない程度に歯を立て陰茎を噛む、舌を這わせて刺激するのも忘れずに。

 頭を動かしつつもわざと下品な音を出しながら舐めしゃぶり続けていると股間から新たな愛液が漏れて始めてしまう。

 顔布で表情を見られなくて本当に良かった、きっと今の私は娼婦すら恥じらうぐらい下品な顔をしている筈だ。

 口を窄めて男性器を啜る姿は元公爵令嬢でも伯爵夫人でもない、人間の女どころか獣の雌を思わせる位に理性が機能していない。

 更に膨れた男性器は呑み込むのが困難だ、喉奥まで咥え込んだ次は顔を傾けて頬の内側で刺激し続けた。

 口内へ呑み込むだけでは芸が無い、幾度から陰茎を吐き出して顔を沈める、その先にあるのは膨らんだ二つの睾丸。

 陰嚢の皺にまで舌を沿わせて丹念に舐めていく、性臭と汗の入り混じった独特の匂いに頭が蕩けそうだ。

 いつもこんなに膨らませるから私を孕ませようとして自制が利かなくなるんだ、反省を促すよう今度は陰嚢を口に含む。

 動きこそ激しいが睾丸は男性にとって重要な臓器の一つだ、手荒に扱う訳がない。

 逆に愛おしさを込めて込めて口内で温めるように優しくしつつ、舌と歯で刺激するのを忘れず実行する。

 後から後から淫靡な想像が湧き出して実行するの楽しくて堪らない。

 何時しか腰が動き出して陰唇から愛液が止め処無く溢れている、腹の奥にある内臓が火照って理性が利かず自分を止められなかった。

 

「ふんッ!」

「う゛ぇっ!?」

 

 突如、喉奥を思い切り突かれ反射的に陰茎を吐き出してしまった。

 感覚が麻痺しかけた口内は抗議すら出来ず呻き声を漏らすに留まる。

 抗議の視線をリオンに送ろうとして視界を遮るのは先程よりも隆々と逞しく勃起した陰茎。

 塗された唾液が蒸発しそうなぐらいの熱気を陰茎は放ちながら少しずつ近づいてくる、それはリオンが私に近付いているという事実に他ならなかった。

 視線を陰茎からリオンの顔へ移す、何の感情も抱いてない無表情な顔は怒っている訳ではない。

 滾る性欲を必死に我慢しているせいで顔の表情を司る筋肉が働いていないだけだ。

 だがそれは彼が私を強引に抱こうとする前兆だ、ここままでは気を失うまで抱き潰されてしまう。

 

 リオンに貪られる恐怖に後退りしようとするも今までの性行為のせいで足に力が入らない。

 四肢を闇雲に動かす姿は捕食者から逃げ惑う小動物にしか見えなかっただろう。

 ベッドから床へ落ちるように飛び移るが立つのさえ精一杯、なのにリオンは聳え立つように確かな足取りのまま私に近付て来た。

 ついには壁際まで追い詰められ逃げ場を失った私は拒むように手を突き出すも無造作に払われる、リオンの左手が私の腰を掴むと続いて右手に右の太腿を掴まれた。

 そのまま強い腕力で右足を持ち上げられると大股開きにされ、濡れそぼった陰唇が外気に晒されてしまう。

 強引な開脚姿勢を取らされると、陰唇はまるで釣り上げられた魚のように開閉して蠢き続ける。

 理性で制御できない体の動きが何を求めているかは明白だ、私の期待に応えるかのようにリオンが腰を突き出すと亀頭と陰唇が触れ合って途轍もない快感が生じた。

 濡れた性器同士を擦り合わせる、今までの経験から私達の性器は互いが歯車のようにぴったりと噛み合うようになっている。

 リオンの男性器は一刻も早く挿入したいと熱を放ち、私の女性器は数カ月ぶりのご馳走をお預けされ苛立つ。

 もう我慢する必要は無い、前戯すらろくにしないままリオンは腰を大きく突き出した。

 

し゛ゅ゛に゛ゅ゛う゛ぅ゛ぅ゛

 

「お゛っ あっ あ゛っ」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 亀頭が音を立てて陰唇を圧し広げ、膣内に熱した鉄の棒を捩じ込まれたような衝撃で眩暈すら覚える。

 獣じみた咆哮が自分の嬌声だと分かったのは辛うじて意識が戻った後、私は挿入されただけで絶頂してしまった。

 待ち焦がれた愛しき相手の来訪に膣は喜びに震えて愛液を滴らせた、だが明らかに膣が勝手に分泌した愛液の量よりも股を濡らしている液体が多過ぎる。

 もしや失禁したか?

 今まで行ってきた性交の際にあまりの快感に下半身が麻痺して尿を漏らした経験がある。

 数ヶ月ぶりの性交と絶頂に我慢できず漏らしたしまったかと身じろぐ、だが膣内を濡らす感触は愛液とも尿とも違う。

 暫し呆けていると生臭い匂いが周囲に漂い始める、憶えがあるその匂いは精液の物だ。

 リオンもまた私の膣に挿入したと同時に射精してしまったらしい。

 

「……おい」

「……ごめん」

「無理やり挿入してすぐ射精するとはどんな了見だ?」

「えっと、アンジェの膣内(なか)が気持ち良過ぎたと言いますか」

「何の断りも無いまま射精(だ)す愚か者が何処にいる」

「ごめん、我慢できなかった」

「また大量に射精(だ)したものだ。この早漏め」

「流石にそれは俺の繊細な心が傷付くから止めてくれ」

「喧しい、好き勝手に私の体を弄り回したくせに」

「むしろアンジェの方が積極的だったじゃん」

「何か言ったか?」

「いえ、何も」

 

 互いに絶頂した後は急速に理性が戻ってきた、照れ隠しもあって詰るような言葉遣いになってしまう。

 挿入前の睦み合いがほぼ行われていないせいなのか、性行為による心身の満足感や性器の抽挿による快感が足りず不完全燃焼だ。

 久々の夫婦の営みでありながら結末がこれでは味気ない、きっとリオンも同じ気持ちの筈だろう。

 

 繋がったまま立ち続けていると徐々に性感が戻り始め、体が高ぶり性交の再開を促してくる。

 だが久々の性交があまりに呆気なかった結末に終わったせいでこのまま続ける事に躊躇いが生じてしまう。

 リオンは私の腰と足に手を添えたまま、私も股を開き片足立ちという不安定な体勢のまま。

 取り敢えず離れようとして体を動かすと股間から得も言われぬ快感が昇ってきた。

 性器同士が繋がった部分から生じてる物に間違いない、私の膣は意思に反しリオンと離れたくないと訴えるように陰茎を締め付け続けている。

 

 私と同じようリオンも快感に浸っていた、細かく体を揺すり性器への快感を得ようとしてる事は明らかだ。

 普段の性交と比べて余りに穏やか、しかしディランを出産して漸く再開した夫婦の交わりをこのまま終わらせるのは惜しい。

 リオンは私の乳房や股間に手で触れようとしない、ただ腹部や太腿を撫で擦るに留めている。

 それのどかしさが却って私の性感じを高ぶらせてゆく。

 何時しか乳首からは溜まっていた母乳は噴き出して衣装を濡らし、腹を撫でられる度に腹の奥に在る子宮が甘く疼いた。

 最早これは緩慢な性交と言って差し支えない、私の体調を慮った愛情たっぷりの愛撫だと体は想っている。

 そして理性は徐々に役割を放棄し始め、私は性欲のまま喘ぐ獣に成り果てようとしていた。

 

「あっ んっ ふぉ」

「アンジェ」

「な、なんだ?」

「その布、取ってくれないか」

「…嫌か?」

「恥ずかしいから嫌だッ」

「でもこのままだとキスできないし。アンジェの顔も見れないよ」

「私は見られたくない、きっと淫らな顔をしてるぞ」

「じゃあ見せてもらえるようにしますか」

 

 リオンがそう呟いてまた体を動かし始める、だが今度は男性器の責めが中心だ。

 膣内に陰茎を押し付け亀頭で襞の一枚一枚を嬲るように抉る、憎たらしい事にリオンは私の体を私以上に理解している。

 こうして責められつつお願いされると私は簡単に彼を許して意のままに従ってしまう。

 その結果が三十代を目前にして四回の出産と六人の子供を産むという結果なのに。

 ついに顔を覆っていた布を外して床に落とす、私の隙を逃すまいとリオンが唇を重ねると同時に腰を突き入れる。

 口と股間が同時に繋がった事で私の体から更に力が抜けていく、するとリオンは腹を撫でていた左手で私の左足を持ち上げた。

 母が赤子を抱えるように私達は向き合う体勢へ移る、重力によって体が下方へ引っ張られより深く性器が繋がっていく。

 どうにかリオンに足を巻き付けて体勢を整えたいが足に力が入らない上に掴まれたままだ。

 たった数歩の距離を歩く間に私の膣は隙間が無いぐらいリオンを陰茎を奥深くまで迎え入れる。

 彼がベッドに腰掛けた時にはすっかり身も心も蕩かされてしまった。

 

「リオンの鬼畜め」

「ごめんってば。でも気持ち良かっただろ?」

「お前は無責任に射精(だ)して終わりなのが羨ましい。私は子供を十月も腹に宿し、出産の激痛を味わって、元の体に戻るまで涙ぐましい努力を重ねているのに」

「それは俺一人のせいかよ」

「当たり前だ」

「だってほら、アンジェの膣内(ここ)はさ」

 

 またリオンが腹を撫で回すと自然に内臓に温かくなってしまう。

 愛する男に四度も孕まされた子宮が喜びに蠢き、膣が精液を搾り取ろうと収縮を始める。

 忌々しいほど私の体をよく知った男の責めだった。

 抗議とばかりにリオンの体に体重を寄せて膣内を締め付け、己が快楽を貪り雄を責めたてようとする淫らな雌の反撃。

 再び唇を重ね舌を絡め合う、性交が出来なかった時間を埋め合わせるように互いの体を貪る。

 綿が水を吸収するように、私達は体を繋げて互いの存在で渇きを潤そうと必死だった。

 

「んッ、また射精(で)そうだな」

「また私を孕ませるつもりか」

「アンジェが嫌なら抜くつもりさ」

「ここでお預けは許さんぞ、子作りに対する意見の相違は立派な離婚事項だ」

「言ってる事が矛盾してるぞ」

「お前が七人目が産まれても養える器量を持てば良い話だ」

「……善処します」

 

 そのままリオンの陰茎はゆっくり脈動を開始する。

 激しい抽挿も無く互いの体を貪りながらも優しく溶け合う交わりをひたすら堪能する。

 腹の奥に存在する子宮が愛する男の精を欲して口を緩めていくのを感じた。

 出産から既に半年を経て月経は再開している、流石に孕みやすい周期は避けていたがこのまま膣内に射精されて子を孕む可能性は僅かながら存在している。

 それでも膣内射精の快感に私達は抗えなかった。

 

と゛く゛っ゛

 と゛っ゛ふ゜ッ゛

  ふ゛ひ゜ぃ゛ひ゛ゅ゛う゛ぅ゛ぅ゛

 

 滾々と噴き出す精液が再び膣内を穢していく。

 いや、私の女性器は既に清廉潔白な乙女の物とは違い過ぎる。

 リオンに純潔を奪われ、幾度も精液を注がれ、六人もの子を産んだ時点で淫蕩な娼婦すら目を背けるほど卑猥だろう。

 その事実を恥じる所か誇らしいとさえ感じる自分が確かに存在している。

 精を注がれた充足感に浸りながらリオンに体を預けると、ゆっくりと彼は仰向けに寝転んだ。

 久しぶりの性交で体力を使い果たした私達はベッドの上で互いの体を布団に代わりにして体を休める。

 

「体は大丈夫?」

「膣内(なか)に射精(だ)した後で聞くのかお前は」

「仕方ないだろ、それだけずっと我慢してたんだぞ」

「いつも口や手でしている筈だが」

「膣内射精(なかだし)とは全然違うの」

「その割に今日は早かったように感じたな」

「仕方ないじゃん、久しぶりでアンジェが綺麗だったんだから」

「……少し張り切り過ぎた、暫く性交は控えよう」

「え~?俺はこれから毎日抱くつもりなのに」

「私の身が持たない、十日に一度にしてくれないか」

「二日ごとにして!」

「ならば五日周期ならばどうだ?」

「三日ごと!これ以上は譲歩しない!」

「……まぁ、それぐらいなら妥協しよう」

「よしッ!」

 

 何とも現金な男だ、私を抱くのがそんなに好きだとは。

 まぁ、私もこうしてリオンに抱かれる事は嫌いではない。

 これはもう相性と言う他なかった、まさか公爵令嬢に相応しいが平民同然に育った下位貴族の次男とは運命とは時に皮肉な結果を齎す。

 

「それじゃ、続きを始めるか」

「……私は疲労困憊だぞ」

「ちゃんとアンジェを気遣うから安心しろよ」

「まったく、お前という男は」

 

 先程までリオンを運命の相手と思っていた己を呪いたい。

 舌の根も乾かぬ内にリオンの陰茎は再び怒張して私の膣を温め始める。

 明日は仕事どころかディランに授乳さえ覚束なくなりそうだ。

 ぼんやりした頭で導き出した私の予想は見事に的中する事となる。




「あの乙女ゲーは俺たちに厳しい世界です」コミカライズ完結記念の成人向けSSになります。(涙
以前から構想していたプロットをこの機会に放出しました。
個人的に福原蓮士先生は絵柄の好きな漫画家なので非常に残念です。
己のメンタルケアの為に書きましたが、思いの外ダメージが大きく執筆は悪戦苦闘。
「あのせか」の小説の続刊を切に願います。

追記:今章の挿絵イラストは依頼主様のリクエストにより埋理郷様、なぬにゃ様にイラストを描いていただきました。
本当にありがとうございます。

埋理郷様 https://www.pixiv.net/artworks/127145811(成人向け注意
なぬにゃ様 https://www.pixiv.net/artworks/122483005(成人向け注意

ご意見・ご感想を戴ければ今後の励みにしたいと思います。
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