気持ちが通じ合った公爵令嬢と田舎貴族は契りを交わすそうです 作:品☆美
「本当にごめん、怒らせる気は無かったんだ」
口では何とでも言える、私が欲しいのは謝罪の言葉ではない。
「久々だから、つい加減を誤っちゃったというか」
貴様、いつもそんな言い訳をしていないか。
「アンジェのあそこは処女の時から変わらず綺麗なピンクです。俺が保証します」
「次にその言葉を言ったら命綱無しで浮遊島から蹴り落とす。大地と熱烈なキスをしろ」
ついには称賛かセクハラかも分からない事を呟き始めた。
褒め言葉として品性が欠片も無さ過ぎる。
リオンは私を膝の上に乗せると後ろから抱き締める。
あれほど隆々としていた陰茎は今では見る影も無い程に萎えている。つくづく男性器という存在は主を裏切り心中を如実に示してくれる。
必死で私へのご機嫌取りに徹するリオンから敢えて顔を背ける。もっとも抱きしめられている上に身重の体なので顔を背ける程度しか出来ないのだが。
「リオンは私を辱めるのが楽しいのか?」
「好きな子につい意地悪しちゃうだけです」
「もうすぐ父親になるから控えろ」
私達の諍いは基本的に彼が私を怒らせた後に平謝りする。
どうにもリオンは余計な一言を口にする悪癖があり、領主を務めるには早急に矯正を求められる部分だ。
私も私で怒るとなかなか感情の制御が上手くいかないという欠点があるので上手く噛み合っている内に直したい。
「アンジェは堂々としてるからちょっと揶揄っていろんな表情させたいんだ」
「……そんなに普段の私は表情が乏しい?」
このバルトファルト領の実質的な支配者は嫁いで来た公爵令嬢などと陰口を叩かれてるのは把握している。
実際、私という存在によってレッドグレイブ家から様々な便宜が行われているのも事実。
だが支配者扱い、或いは女領主扱いは何とも居心地が悪い。
私が悪女という風評は生涯に渡って付き纏うと思うと些か気が重い。
「アンジェの可愛い所は俺だけが知っていれば良い」
そう言うとリオンは私を抱く腕に力を込める。
「俺以外の男にアンジェが愛想よく振る舞うとムカつく」
「私はリオン一筋だぞ」
「嫌なもんは嫌なの」
何とも子供じみて困った独占欲だ。
領主としての威厳は欠片も無いが、これがリオンの素顔だと思えば可愛らしくもある。
「私がリオンを愛してる事は伝わってると思っていたのだが」
「じゃあ、言葉にしてもらおうか」
リオンがゆっくりと私の腹を撫でる。
それが何を意味するか?
私達の愛の結晶と言える我が子の前で両親の愛を証明するに他ならない。
「胎教が両親の惚気話とはな」
「俺達が幸せなら子供も喜ぶと思ってさ」
「あまり甘やかし過ぎるのも不味い。只でさえリオンは過干渉すぎる」
私の懐妊が判明してからリオンはよく私の腹を撫で話しかけるようになった。
それ自体は良い。良い筈なのだが時間さえ有れば嬉しそうに赤ちゃん言葉で腹に話しかける夫という存在には妻として辟易してしまう。
妊娠直後は心細くて私の方からリオンに甘えていた。
それなのに時間が経つと私より我が子への愛情が勝ってるリオンについつい冷たく対応してしまうのは女としての習性なのか、それとも単に私が嫉妬深いだけなのか。
「ほら、アンジェが俺をどれぐらい愛しているか言ってみて」
私の首筋に口付けながらリオンが囁く。
その心地良さに唇が触れた箇所が熱を持ったように疼く。
だが快楽で私を蕩かそうとするリオンの魂胆が見え透いているのが気に食わない。
「我が子よ、お前の父は性欲の権化で公爵令嬢だった私を手籠めにした変態だ」
「それ、ひどくない?」
「大きい胸が好みで妻を孕ませたいと願い、身重の女性に発情する生粋の性倒錯者だから絶対に似るな」
「ごめんなさい、さっきまでの事は勘弁して」
私へ愛撫する手が漸く止まる。
しつこい程に私をねちっこく責めるのが閨でのリオンだ。
まるで高価な陶磁器でも扱いように私を慎重かつ丁寧に触って来るから始末に負えない、
拒めない私も大概なのだが。
「それじゃあリオンの番だ。どれだけ私を愛しているか言葉にしろ」
そう言って顔を捻りリオンの顔を見る。若干照れてるのか顔が赤い。
「え~と、パパがママと婚約したのは政治的な理由です。正直結婚するとは思っていませんでした」
どうやら私達の馴れ初めから話すらしい。なんとも律儀な旦那様だ。
「初めて会った時は吃驚したよ。こんな綺麗な女の子が実在するんだって」
「あまり派手な格好をしたつもりは無かったんだがな」
「けど怖かった。俺に怒っているのか、それとも他の何かに怒ってるのか分からなくて」
「婚約破棄されてからずっとそんな調子だったな。でも、私だってリオンが正直怖かったぞ」
「そうなの?度胸があるお嬢様だと思ったんだけど」
思い返せば初対面時の私達は互いに良い第一印象を持っていなかった筈。
それが紆余曲折を経て愛し合う夫婦になるのだから人の縁とは不可思議な物だ。
「リオンはいつ私を好きになったの?」
「よく覚えてない。でも一緒に暮らすようになってからだと思う」
「我ながら随分と強引に同棲したものだな。結婚前の婚約者が二人だけでひとつ屋根の下など」
「家事が下手で狼狽えるアンジェは可愛かった」
「…まさか其処が惚れた理由か?」
「傲慢だけど完璧なお嬢様じゃなくて普通に苦手な事もあると思って安心した」
「そんなに私は傲慢だったか?」
まだリオンと出会って二年も経っていない、以前の私はどれほどひどかったのか?
「少しずつアンジェが好きになって、でもいつかは此処から居なくなると思ってた」
「婚約しているのに?」
「子爵なんて公爵家の胸三寸でどんな命令でも従わなきゃならないし。俺を派閥に引き込みたいから評判の悪かった娘と仮婚約させたと思ってた」
「確かに父上達はこの婚約が上手くいくとは端から思っていないな」
「だから用が済んだら解消されるもんだと考えてた。
「……その、すまない」
「何が?」
「確かに出会う前はリオンを利用するつもりだった。私が復讐する為の踏み台と思ってた」
「いいよ、とっくに許してるから」
思い返せば確かに褒められた動機ではなかった。
己の愚かさに腹が立つ、時間を戻せたら当時の私をぶん殴ってやりたい。
「わ、私の方はリオンを高く評価していたぞ」
「そうなの?」
「軍の実績だけではなく領主として務めをきちんと果たそうと努力していた。単なる成り上がり者は堕落しやすいからな」
「その割に俺が叱られてばっかだと思うんですが」
「それはリオンが愚痴ばかり言うのが悪い。あと自己評価が低過ぎて及び腰になるからだ」
能力面は優秀なのに卑下して己の才能を燻らせているのは彼の悪い癖だ。
結果的に私が尻を叩く事になるだけで決してリオンを尻に敷こうとは思っていない。
「まぁ、だから俺と結婚してくれて本当に嬉しい。ありがとうアンジェ」
リオンが照れくさそうに感謝の言葉を口にされる。私自身も面映ゆいが嫌な気は全くしない。
もし腹の子が言葉の意味を理解出来たら両親の惚気に呆れるだろう。
「じゃあ次は今度はアンジェの番」
「私は既に言った筈だが?」
「悪口じゃん。俺はきちんと愛してるって言ったもん」
そうしてリオンは私の体を撫で始める。
今までの夫婦としての愛情を込めたスキンシップではなく雄と雌としての本能を刺激する愛撫だ。
彼の両手が懐妊してからサイズが増し張った胸を揉むと刺激によって乳首が湿り気を帯び母乳が噴き出してゆく。
股間に熱い何かが突き付けられた。今まで幾度も体験した感触からそれがリオンの陰茎だと察する。
陰核や膣口を擦るように押し付けられた陰茎が孕んだ腹によって見えないのが逆に卑猥さを増す。
齎される快感に漏れる嬌声を封じる為に口を両手で塞ぐ。今の私はリオンの上で身悶えする事しか出来ない。
私が口を押えた瞬間を狙ったのがリオンの両手が私の腹を覆っていたストールを剥ぎ取った。
「なッ!?」
衣一枚とはいえ今まで隠されていたから夫婦の甘い睦言に惚気られていた。
それが剥ぎ取られ孕んで膨らんだ腹が存在を主張するように目の前に現れた。
我が子に夫婦の情事を盗み見られたような錯覚に陥り羞恥心が身を焦がす。
「何をするリオン!?恥ずかしいだろ!」
「いいから。触ってあげようよ」
そう告げると彼は私の手を取り腹へ誘導する。
触れた腹は限界まで空気を入れ膨らんだ風船のように張りつめていた。
懐妊する前と後では本当に同じ自分の体とは思えない異物感。
しかし、不思議と不快感は感じない。むしろ愛しさを感じていた。
今では暇な時についつい腹を愛情を込めて撫でるのが習慣になっている。
愛しい我が子が夫婦の情事に突如として現れた事に戸惑いを隠せない。
それでも腹を撫で続けると自然に愛しさが勝ってゆく。悪女と誹られる私でも母性という物が一応はあるらしい。
腹を撫でる私の手にリオンの手が覆いかぶさる。
私と子を護るように添えられた手に安心感を感じ体から力が抜ける。
同時に心の中にある理性が融けて恋慕と性欲に支配される悦びに体が震えてゆく。
「アンジェは俺が好き?」
「好き」
「じゃあ言葉にして」
「うん」
有無を言わせない口調に被虐的な嬉しさを感じてしまう。
欲望に屈しつつある私は腹を撫でながら愛を告げ始めた。
「赤ちゃん、母様は父様が大好きなんだ」
「うん」
「赤ちゃんを一番愛してるけど、同じぐらい父様も愛してる」
「それで?」
「父様と赤ちゃんがいるだけで母様は幸せ」
私の手に触れていたリオンの手が離れ腹を撫でる。
私と同じように触れている筈なのに沸き上がるのは愛情ではなく情欲だ。
その手が腹の中心部へ移動するとつつくように臍を刺激した。
「ふあぁぁん」
突如として湧き上がる刺激に蕩けた声を上げてしまう。
臍は腹部で最も皮膚や筋肉が薄い箇所である。さらに妊娠し膨れた子宮との距離が最も近づいているのが今だ。
まるで子宮を手で直接愛撫されたような快感に絶頂寸前まで追い詰められる。
「ダメ、リオン、それダメ」
「気持ち良さそうなのに?」
「すぐ
押し寄せる快感を止めてもらう為になけなしの理性で頼み込む。
快楽を恐れる自分、快楽を貪りたい自分。どちらが本当の自分なのか判別できない。
私の興奮が伝わったのかリオンの愛撫が激しさを増してゆく。
口は舌を絡め、右手は胸を揉み、左手は臍を撫で、陰茎は秘裂と陰核を刺激する。
私は口から涎と嬌声を、胸からは母乳を、秘裂から愛液を垂れ流して快感に耽溺する。
許容値を超えた快楽は瞬く間に私を絶頂へ誘う。
「ウンンッッ!!?」
前後不覚になるほどの絶頂、そして絶頂後の心地良い脱力感。
浅ましい程に乱れた私は私を抱き締めるリオンの温もりを感じながら意識を失った。
※
腹を撫でられるが感触に徐々に意識が覚醒してゆく。
絶頂で長時間も意識を失ったように感じたが実際はそれほど時間は経ってないらしい。
このまま心地良い倦怠感に身を任せながら眠れたらどれほど幸せだろう。
瞼を開くと愛しい人が其処にいる。
「大丈夫か、少しやり過ぎた」
私を心配するリオンはいつも通り優しくて、その事実が狂おしい程に胸を焦がす。
今度は私から唇を重ねる。彼に対する感謝と親愛を込めて。
私の体を撫でる手に情欲は感じない、代わりに労りと庇護欲を感じる。
ただ一点、私の秘裂に触れる彼の陰茎が相変わらずそそり勃っていた。
上半身は相手に対する愛を伝え合っているのに下半身は本能に支配され淫猥な動きを止められない。
性器を擦り合わせて分泌された互いの体液が泡だっているのに最後の一線を超えられない。
「いい?」
リオンは私を抱く時に必ず了承を得る。
その誠実さは愛しいが私の機嫌を伺う姿勢を無粋と感じる時もある。
私がリオンを拒む事などほぼ在りえないのに。
言葉ではなく接吻で答えを告げる。
ゆっくりと彼の陰茎が私の秘所を侵してゆく。
全くの無抵抗と感じる程に私の膣はあっけなく陰茎の呑み込んだ。
体の隙間を埋められ完全な形になったような充足感。どうして彼との交わりはこれ程までに心と体が満たされるのか。
「ヴう゛んッ!?」
挿入されてた直後、獣じみた呻き声と共に膣内に熱い何かが弾けたのを感じる。
失禁したか?それとも出産時期より早いが破水したか?
慌てて体を起こそうとするとリオンがビクビクと体を震わせている。
呻き声は私ではなく彼が発した物だった。
そうして漸く理解する。
膣内に感じた熱さはリオンが
思い返せば今夜の情交が始まってから私は幾度も絶頂していたのにリオンは一度として達していない。
さらに前の性行為から半月も経っている。
性欲が溜まりきったリオンは膣内の僅かな刺激で絶頂してしまった。
膣内で陰茎の熱が引き硬さを失い萎えていくのを感じる。
私と共に絶頂したかっただろうリオンは気まずそうに顔を背ける。
普段は凛々しいのに今の少年じみた表情と膣内で縮こまる陰茎の感触が逆に私を興奮させる。
性交で私を責めるのを好むリオンが意気消沈しているのは稀だ。
この機会を堪能しよう、好きな相手を手玉にとりたいという淫らな本能が目覚め始める。
「ごめん…、すぐ
「気にするな。久々だから仕方ない」
わざと気遣うような応対をする。恥ずかし気に赤く顔を染めたリオンは年下の男子のようで幼く見える。
「そんなに私の
挑発するような口調だが今までリオンに言葉で嬲られた過去を鑑みれば悪口の内に入らない。
「なんか感触がいつも違った。キツくないけど緩くもない。アンジェの
「そ、そうか」
「たぶん子供が産まれるから変わってきてるんだと思う。熱くて柔らかくてトロトロ」
「それは褒めているのか?」
「ますますアンジェから離れなくなる。
膣内で陰茎が蠢き熱と硬さを取り戻しつつあるのを感じる。
孕んだ腹を避けるように手を伸ばし秘所に触れてみた。
ドロリとした感触に驚き引っ込めると掌に大量の液体が付着している。
漂う性臭は紛れもなくリオンの精液だった。
もし懐妊していなければこの射精で孕ませられたかもしれない。いや、懐妊していても更に孕ませられるのでは?
そんな馬鹿げた事を想像させるような量で背筋が寒くなる。
「こんなのを幾度も
「アンジェは妊娠するのが嫌?」
私と対照的に呑気な口調で尋ねるリオン。
「男と違って女は出産で命を懸けるんだ。好き嫌いの問題ではない」
「なら子供は何人ぐらい欲しい?」
今後の家族計画について私の意思を確認するリオン。
思い返せば結婚してすぐ懐妊したので忙しさにかまけてその手の話題をした記憶が無い。
「男子を二人、女子を二人。合計で四人」
「四人?」
多かったか?流石にバルトファルト家ほどの子沢山になるとは思わない。
「その、三人なら…」
「三人かぁ」
まだ多いか。後継者問題を考えるとこの辺りが妥当なのだが。
「最低でも二人…」
「なんで減らすんだよ」
どうも私とリオンの会話が噛み合っていない。
「じゃあリオンは何人欲しい?」
「倍の八人」
「はちっ!?」
いくらなんでも多過ぎる、とても妻が一人で産む数ではない。
「リオンは側室を娶る気なのか」
「アンジェ以外の女を娶るつもりは無いなぁ」
「妊婦にしか興奮しない特殊性癖の可能性は?」
「むしろアンジェが妊娠してから回数は減ってるじゃん」
「じゃあ、どうして子供がたくさん欲しい?」
率直にリオンへ疑問を投げかけると幾分悩んだ様子で言葉を搾り出した。
「時々不安になる。今の幸せがいつか無くなるんじゃないかって」
「だから子供が多い方が良いのか」
「俺が生きた証が欲しい。もちろんアンジェや子供を愛してるのも嘘じゃない。あと貧しい頃は皆で助け合ってたから単純に家族が多い方が落ち着く」
リオンの将来に対する不安、父親になる事への怯え、領主としての責任感が入り混じった結果らしい。
少し可愛らしいと思う私は相当リオンに入れ込んでるのを自覚してしまう。
「幸せは子供の数に比例しないぞ」
「そういうもんかな」
今一つ納得しないリオンを母が子を教育するように優しく説き伏せる。
「私はリオンを愛し続ける、この想いだけは変わる事がないと誓う」
「そっか、なんか安心した」
「だから八人も私に産ませるようとするな」
「じゃあ間を取って六人」
「もう少し妥協しろ」
傍から見れば馬鹿げた会話だが不思議と心が落ち着き悪くない気分だ。
「一人産んだら最低一年は期間を空けて欲しい。母胎に負担がかかるし子育てに支障が出る」
「末っ子が産まれる頃に隠居できたら良いなって思ったんだけど」
「本当に八人産むなら早くても十五年後だぞ。三十歳半ばに隠居は早すぎる」
「俺は十代で子爵にされたんだけど?」
「戦功による叙爵はあくまで特例に過ぎない。平時の比較対象にするには不適格だ」
「やっぱダメかぁ」
我が子に嫌な領地経営を押し付けるな。子供達はお前の身代わりじゃない。
「その、私はリオンの子を産むのが嫌という訳ではないぞ」
会話している最中も膣内でリオンの陰茎が回復しつつあるのを感じる。
同時に私の体も興奮し始めている。
「リオンと私は体の相性が良過ぎる。計画的にしないと大変な事になると思う」
「それってアンジェもまた孕みたいって思ってる?」
体が羞恥と快感に震える。私の胎内に埋め込まれた肉槍は既に元の猛々しさを取り戻していた。
「きっとリオンが求めてきたら拒みきれない。手加減してくれるとありがたい」
「もちろん、優しくする」
そうして私達は体の交わりを再開する。
先程まではお腹に負担がかからないように背面座位。次も負担が少ない後背位。
ゆっくりと体を前に倒し、懐妊して大きくなった臀部を高く上げる。
尻の穴すら夫に晒すこの体位はひどく羞恥心を煽られる。
以前のリオンは臀部に叩きつけるように激しい抽挿をしていたが、今は優しくゆっくりとした動きで私を責め立てる。
だが懐妊して体の勝手が違うのか一緒に絶頂するのが困難だ。
胎内の我が子を気遣って動きを緩める必要がある上に以前と感覚が違う為にあと一歩の所でズレが生じる。
お互いを狂おしいほど求めているのに却って飢えが募ってゆく。
「うあぁぁ…!」
私が達してもリオンの陰茎は膣内で硬いままだった。
体が絶頂の余韻に震える。それでも足りない、何かが足りない。
呆けていた次の瞬間、胎内で動く存在を感じた。
「あっ……」
「どうしたアンジェ?」
「赤ちゃんが動いてる」
これまで幾度も胎動は感じている。リオンが私の腹に手を当て胎動に一喜一憂するのも最近の日常だった。
ただ深夜にこれほど動くのは初めてだ。
「その、俺たちがうるさくて起きちゃったか?」
「さっさと寝ろと怒ってるのかも?」
「………」
「………」
「「どうしよう………」」
何とも言えない気まずい空気が漂い始める。
流石に妊娠中に幾度も性交するのは母胎の負担が大きいからそろそろ控えた方が良いだろう。
同時にリオンに気持ち良くなって欲しいという想いも確かにある。
「じゃあ、あと一回だけする?」
「そうだな…」
そうして私はベッドの上に仰向けになる。
身重の体には些か息苦しいもののこれが私の一番好きな体位なのだ。
「アンジェはこれが好きだな」
「うん、初めての時と同じだから」
治まりつつあるが胎動はまだ続いている。我が子を宥めるように優しくお腹を撫でる。
再び陰茎が秘裂を割って私の膣を貫いた瞬間、背筋に快感が走り震えた。
「あァッ!?」
「うぅッ」
先程までとは違う鮮烈な快感。私だけかと思っていたが同時リオンも呻き声を上げる。
陰茎が私の最も敏感な箇所を抉る。その刺激で締まる膣が陰茎に更なる刺激を与えている。
「この先に当たってるの子宮か?」
「ヒァぁん!?」
ゆっくりと陰茎を進められただけなのに目の前がチカチカするほどの快感が体を侵す。
間違いない、亀頭と子宮口の世界一淫らな接吻。私が最も強く快感を感じてしまう行為。
それが胎内で行われている。
「もしかして胎動のせいか?」
「そうかも…」
子宮の内と外を同時に刺激される快感。こんな途轍もない快楽を味わってしまったら元に戻れなくなってしまう。
再び味わいたくなったまた子宮が孕む事を望んでしまいそうだ。
膣内からこれまで以上に愛液で濡れ始めほんの少しの距離を陰茎が往復する度に全てが蕩けてしまう。
呼吸する事さえ途方もなく心地良い。
「ダメ、こんなの知らない、無理、耐えられない」
「落ち着け、一旦止めるから」
「止めちゃダメぇ!」
腰を引こうとするリオンに足を絡ませる。
逃がさない、もっと愛して欲しい。私の中の獣が更なる快楽を求めている。
突如、確信めいた実感が湧きあがる。
これほどまでに私がリオンを求めてしまうのは何故か?
運命の相手や真実の愛など陳腐な表現だとずっと思っていたのに、リオンと共にいる事をまるで当然のように感じる。
きっと私達は出会い、恋に落ち、夫婦となり、子を為すのが宿命なのだ。
「ごめんなさい、孕んでるから赤ちゃん出来ない、たくさん赤ちゃん産んじゃう」
「そんなに気持ち良いのかよ」
「リオンが好きぃ、リオンの赤ちゃん欲しいィ、気持ち良過ぎて孕みたくなっちゃうゥ」
もう思い付いた単語を口にするしか出来ない。
言葉の意味を理解し興奮したリオンの陰茎がこれまで以上に大きくなった。
限界が近い事を察知した膣が収縮を始める。
「
「
「アンジェ!愛してる!」
「私も!リオン!愛してる!」
言葉の意味を理解したのと同時にその瞬間が訪れる。
心と体を同時に満たされ自分の意識さえ霧散するような深い絶頂。
「ヴぐゥゥゥゥ!」
「ア゛アぁぁぁ!」
私達は獣じみた咆哮を放ち命を消耗するような絶頂を味わう。
リオンの体が痙攣する度に注がれる精を感じまた達する。
睾丸に詰まった精を一滴も残らず注いだと思われた瞬間に私達の体が離れる。
漸く性交を終えた私達は力尽きてその場から動く事すら出来なかった。
※
寒さに震える動物が身を寄せ合うように私達は抱き合っていた。
服は依然として脱いだままだ。
衣一枚の隔たりが途方もない距離に思えてしまうから。
激しく乱れて交わった筈なのに思い返しても不思議と羞恥心は湧かなかった。
お互いに確信めいた物を感じていた。
私達はどうしようもないほど惹かれ合い共に歩む宿命だと。
きっと互いの存在が傍に居るだけで満足してしまうほどに。
だから見えない明日に怯える必要は無い。
私達は分け難いほど一つなのだから。
だから安心して眠りに落ちる。
嘘のように幸福な現実を生きる為に。
夢のように幸福な未来に生きる為に。
妊娠エッチ本番シーン。
くどい位にボテ腹を強調したのは私の趣味です。
成年女性向け小説では行為中のピロートークも重要なのでそちらにも力を注ぎました。
妊娠中エッチで気まずい雰囲気になるのは妊婦さんあるある。
次回のエピローグで完結予定です。
最後までお付き合いお願いいたします。
追記:今章のファンアートをGenmon様に描いて頂きました、本当にありがとうございました。
https://www.pixiv.net/artworks/108218277