クローバーは爛れてる 作:コモヤモ
見られているな、というのはすぐに気付いた。
マギニア市街地の酒場でのことである。
時刻は夕暮れ。傾いた日差しがオレンジ色に店内を染めている。テーブルは6割ほどが埋まっていて、客層は冒険者とマギニア市民とが半々くらい。賑やかに酒を飲む客もいれば家族連れで夕食を食べている客もいる。
そんながやがやと騒がしい酒場で、自分はといえば、壁際のテーブルでひとり夕食を楽しんでいたところだった。二人掛けのテーブルの上にはパイナップルと獣肉の煮込み料理が置かれている。この手のパイナップル料理が最近のマギニアの流行らしい。酒場の店員曰く、なんでも
「……いや、確かに食べられるパイナップルも生えてはいたが」
実際に第五迷宮を探索している人間としては、そんな話を聞くと思わず渋い顔を浮かべてしまう。
なにしろ第五迷宮こと【真南ノ霊堂】の探索においては、
「酒場で出てくるのが普通のパイナップルで良かったよ、まったく……」
小さくため息を吐き、テーブルの料理にナイフを入れる。
パイナップルの果肉と一緒に煮込まれた獣肉は繊維が柔らかくほぐれていて、ほとんど抵抗なくナイフで切り分けることができた。一口大に切った肉を口に運ぶと、舌の上にふわりと肉の味が広がった。酸味のある果実の風味が
美味い。そう素直に思える料理だった。
飛行都市であるマギニアは、絶海の孤島であるレムリアに着陸してからというもの、外部からの補給が途絶えた状況にある。そうなると当然、日々の食材の調達は島の各地の樹海に頼るところが大きくなる。それゆえ、街で提供される料理も毎日決まったメニューを出せるとは限らない。
特にこの酒場は迷宮由来の素材を積極的に料理に取り込むことでマギニアでも有名で、日によってはとんでもないゲテモノがメニューに並ぶこともあるのだが……どうやら今日は『当たり』の日だったようだ。
「……」
視線を感じたのはちょうどそのタイミングだった。
酒場の人ごみに紛れて、あからさまにこちらを意識している誰かがいる。その気配を認識して、何食わぬ顔で食事を続けながら、そっと酒場の出入り口を盗み見た。なにかあると真っ先に退路を確認しようとするのは職業病のようなものだ。
案の定というべきか、酒場のドアの傍らに見知った顔が立っていた。白い髪をショートボブにしたファランクスの女だ。どこか疲れたような表情で店内を見回している。空いたテーブルに座るでもなく玄関付近をうろうろとしているが、待ち合わせ相手を探しているという風情でもない。意識の先が常に出入り口に向いていて、明らかに
「あの、そちらに相席してもよろしいでしょうか?」
ふとテーブルを挟んだ正面から鈴を転がすような声で話しかけられた。
視線を向けると、そこにはやはり予想通りの顔があった。ふわふわの金髪を繊細なティアラでまとめたプリンセスの少女が、あどけなさの残る顔で可愛らしくはにかんでいる。
キティという名を覚えていた。以前、ファランクスの女と一緒に迷宮を探索していた少女だ。
「……ああ、構わない」
「ありがとうございます。そ、それでは失礼しますねっ」
椅子に座ったままで頷くと、キティはぱぁっと花のように笑顔を浮かべた。
てっきりテーブルを挟んだ向こう側に座るのかと思っていたのだが、彼女はトコトコとテーブルを回り込んでこちらに近づき、ほんのりと頬を染めながらこちらの真横に腰掛けてきた。
距離が近い。少女の小柄な身体がすぐ隣にある。上品な白いドレスが夕日に映えて目に眩しい。香水だろうか、ほんのりと甘く柔らかい香りが鼻をくすぐった。
「お久しぶりです、フクロウさま。私のことを覚えておいでですか?」
「覚えてる。久しぶりだな、プリンセス・キティ」
「……えへへ、はい、キティです。あの日のこと、フクロウさまも忘れずにいてくれたのですね」
「…………」
可愛い。キティはこちらより頭一つ低いところから上目遣いに嬉しそうに微笑んでいる。
と同時に、酒場の入り口のほうから矢のような視線が飛んでくるのを感じた。さりげなく横目で観察すると、ファランクスの女が「なにやってんですか」と言わんばかりのジト目でこちらを見据えていた。どうやらキティの大胆な接近は相棒にとっても想定外のことだったらしい。
遠くから突き刺さる視線の冷たさに少し冷静になる。
彼女たちと出会った日の夜、自分はキティを押し倒した。結果的に挿入までは至らなかったのだが、抱きしめて、愛撫して、噛まれながら、イかせるところまではやった。やってしまった。
改めて考えるまでもなく、怪しいクスリを飲まされて弱った女性に手を出すというのは、男の風上にも置けない行為といえる。というかケースによっては普通に犯罪だ。
確かに、最初に誘ったのはキティの方からだったかもしれないが、それも盛られたクスリのせいで混乱していたためのこと。ひとたびクスリが抜けて冷静になってしまえば、自分の身体を弄んだ男に文句の一つや二つ言いたくなってもおかしくはないだろう。
相棒らしきファランクスが逃走経路を塞いでいるのも気にかかる。ひょっとしなくても、痛烈にひっぱたかれるくらいは覚悟しておいたほうがいいのかも……。
「あの夜のことは……そうだな、すまなかった。軽率だった。改めて非礼を詫びよう」
「……? あの、なぜフクロウさまが謝るのですか?」
「クスリで弱っている君に手を出してしまった」
「そうするようにお願いしたのは私です」
「だが、それもクスリのせいで正常な判断では――」
「待って。……待ってください」
キティの細くて白い指に服の裾を掴まれた。
頬を膨らませた彼女はいかにも「怒ってます」という表情を作っている。
「そんな風に謝って欲しくて声を掛けたのではありません。そもそもあの日、危ないところを救ってくださったフクロウさまを部屋まで誘ったのも私なのですし」
「それは別に、例の小箱で暴漢の被害に遭った冒険者を安全な場所に送り届けるのも仕事のうちだったというだけで……」
「いいえ、違いますよね。そこまではフクロウさまの仕事ではなかったはず」
むっとした表情のまま、キティがこちらの目を覗き込んできた。
「フクロウさまが依頼されたのは、迷宮の小箱を監視して、悪漢を捕縛するところまで。私たちを街まで送り届けてくださったのはあなたの善意に他なりません。違いますか?」
彼女の口調は確信に満ちている。
その透き通った青い目を見つめながら、密かに彼女に対する評価を修正した。
あの依頼は仲介者を通していたとはいえ、おおもとはマギニアの衛兵隊から冒険者に向けてオーダーされたものだ。冒険者同士の戦闘も想定される都合上、依頼そのものは表立ったものではないが、衛兵隊に公的な記録が残るため、調べようとすれば詳細を知ることはできる。
ただそのためには、そもそも依頼の内容に疑問を持ち、その疑問を正しい手続きに従って衛兵隊に問い合わせなければならない。そこに時間と手間が多少なりともかかる。
つまり、キティは、偶然にこちらの姿を見かけて衝動的に声を掛けてきたわけではない、ということ。可愛い顔をして、意外と周到だ。もちろん、無計画よりかはそちらのほうが好ましい。
「善意かどうかはともかくとして、仕事の内容については……そうだな、否定はしない」
「でしたら、フクロウさまの立場なら、むしろ私たちの窮地を救ったことにつけこんでもっと強引に私に迫ることもできたはず。けれども、あなたは高潔にもそれを良しとしなかった」
「……あまり持ち上げないでほしい。別に深く考えての行動じゃないんだ」
「はい、その自然体の行動に私たちは助けられました。むしろ、弱みをチラつかせてあなたを誘ったのは私のほうです。ですから、どうか気に病んで謝ったりなんかしないでください」
キティの言葉には不思議な威厳があった。噂に聞く王家の血統の力が声に重みを持たせているのかもしれない。こちらに非はないと堂々と言い切られ、優しい表情で微笑まれてしまうと、困ったことにそれ以上なにも言い返すことができなかった。
「わかった」と軽く肩を竦めると、キティは鷹揚に頷き、ふっと雰囲気を緩ませた。
彼女はまとっていた威厳を霧散させて、頬を赤らめながらもじもじとこちらにすり寄ってきた。彼女の柔らかい金の髪が肩に触れる。ほとんど密着するくらいに接近した彼女は、さきほどとは打って変わって、あどけない少女の表情で恥ずかしそうに口を開いた。
「そ、それに……その、可愛いって言ってくれましたよね?」
「え?」
「私のこと、可愛いって、こ、行為の最中に、耳元で……」
「あ、ああ。言った、と思うが」
ずい、と少女の顔が迫ってくる。彼女がぐっと右手を握りしめるのが視界の端に見えた。
「つ、つまり、最初のきっかけはどうあれ、フクロウさまが手を出してしまったのは、わ、私がそれだけ魅力的だったから……なのですねっ」
「それは……そう、だな」
「き、今日はどうでしょうか? こう、がばっと、欲情して、衝動的に、押し倒したりとか、襲いたくなったりしませんか?」
「言い方」
湯気が出そうなほど真っ赤になりながらキティは前のめりになって顔を近づけてくる。
ぐいぐい来るな、この娘。
「あのですね、実はですね、今日、こうして声を掛けさせていただいたのは、フクロウさまさえよろしければ……そのぅ、あの夜の続きをしたかったり……なんて」
「……どうしてそこまで俺にこだわる?」
純粋にそこは疑問だった。
危ないところを助けたのは事実だが、冒険者同士の助け合いなんて別に珍しくもなんともない。言葉を交わしたのも数回だけだし、互いの素性だってろくにわかっていない間柄だ。
それなのに、彼女は、なんというか積極的に過ぎるような気がするのだ。
しかし、こちらからの問いかけに、どういうわけか彼女は耳まで真っ赤になってしまった。
想定外にオーバーなリアクションにこちらも困惑する。
目を泳がせ、ぷるぷると震えながら口を開け閉めしていた彼女は、やがて観念したかのようにぽつりと言葉を零した。
「か」
「か?」
「噛み心地が、すごく、よくって。……忘れられなくて」
「…………」
「…………」
「そ、そうか」
突然の性癖(?)の暴露に返事が追い付かなかった。
無意識に自分の肩を撫でる。確か、噛みつかれたのはこの辺りだ。
同時に、余裕がなくなっていっぱいいっぱいなっているキティの姿が脳裏に蘇った。
かぷかぷと必死になって噛みついてくるあの姿には、そう、間違いなく妖しくて抗いがたい魅力があったと思う。
「あの! もちろんそれだけじゃなくてですね! さりげなく人助けをしてそれを誇らないところも素敵だと思いますし、それからそれから、お顔も好みですし……、う、うなじもすごいセクシィで、今だって思わずむしゃぶりつきたくなるくらい…………」
「わかった。わかったから少し口を閉じよう。な?」
勢い込んだ彼女の声は、酒場の喧騒の中でも特に目立ってしまっていた。周囲のテーブルから「なんだなんだ」と視線が集まってきている。
振り回されているという自覚はあった。しかし、それを煩わしいと思うことができない。キティにはそういう類の魅力がある。
どうどうと彼女を落ち着かせると、彼女ははっとした様子で両手で口を覆った。真っ赤になって俯いてしまった彼女は、しかしちらちらと期待を宿した瞳でときたまこちらの顔を窺っている。
その小動物じみた可愛さは、男の理性を溶かすのに十分な破壊力を備えていた。
「しようか」
「……?」
「続き」
「っ、はい♡」
言った瞬間、キティが腕に抱き着いてきた。柔らかい胸の感触がドレス越しに伝わってくる。
彼女はテーブルの下でもぞもぞと股を擦り合わせている。放っておくと掴まれた腕をそこに導かれそうな気がしたので、抗議の意を込めて彼女を軽く睨みつけた。
「まだ日も落ちてない」
「時間の問題ですか?」
「場所の問題だ」
酒場の上階に休憩所があった。酔っぱらいを休ませたり、あるいは
「私は酔っていませんよ?」
「素面であんなことを言うのも大概だがな」
腕を絡ませて密着したまま階段を昇り、受付で預かった鍵を使って部屋に入る。
狭い部屋だ。ベッドの他に目立つ家具もない。窓の外で太陽が沈みかけていた。壁に備え付けられたランプを灯すと薄暗かった部屋がぼんやりと明るくなる。
扉を閉め、鍵を掛ける。階下から聞こえていた酒場の喧騒が遠ざかる。
しんと静かになった部屋で、どちらからともなく相手を抱き寄せた。
ちょうど顎のあたりにキティのおでこがある。ふわふわの髪が顔に触れて、少しこそばゆい。
くすぐるような髪の香りがした。鎖骨のあたりにキティの吐息が掛かるのを感じる。
「すぅ……んっ、フクロウさまの匂いがします……」
などと囁かれると、さすがに少し気恥ずかしい。
背中に回した腕に力を入れて抱き締めると、彼女はすりすりと顔を胸板に擦り付けてきた。
無警戒に甘えるその様子に、自分の中の欲望がむくむくと膨れ上がってくるのがわかる。
彼女の体は羽のように軽い。二人で抱き合ったまま、もつれるようにベッドの縁に腰掛けた。
こちらの膝の上に彼女のお尻が乗る。それでちょうど目線の高さが合った。
触れそうなほどに顔が近い。互いの吐息が唇に触れている。
焦がれて潤んだキティの瞳が、すべてを委ねるように瞼を閉じた。
彼女の肩を抱き、期待に震えるその顔を引き寄せる。
「んっ」
唇と唇が触れるか触れないかの小さな接触。
それを二度、三度と繰り返す。
キティの腕が背中に回ってきた。
その温かさを意識しつつ、四度目で強く彼女に口づけた。
「はむっ……ん……」
首に腕を回して強めに抱きしめる。
キティが抵抗する素振りはない。
そのまま舌先で唇を軽くノックすると、ゆっくりと彼女の唇に隙間が開いた。
すかさず自身の舌をその隙間に捻じ込み、彼女の熱い舌とで絡め合う。
「ん、っちゅ、むぅ……はぅ……ちゅ……んんぅ……♡」
二人の唾液が混じり合う。それが蜜のように甘い。
呼吸さえ忘れたかのように、互いの舌を貪り合った。
舌を絡める水音と興奮した鼻息が小さな部屋に響いている。
舌と舌とを優しく絡める。
求めるように唇を強く吸う。
溢れる唾液を舌で掬い、途切れ途切れの呼吸を感じ合う。
「ふぅ…ふぅ……ちゅっ……ちゅる……ふぅ…………ぷはぁっ」
長い長い唇の触れ合いが終わったとき、キティの目はとろりと蕩けていた。
ふにゃりと力の抜けた華奢な身体が、こちらの胸にしなだれかかってくる。
ふわふわの髪が彼女の背中に広がる。それを梳いてあげると、腕の中のキティが気持ち良さそうに喉を鳴らした。まるで子猫のようだ。
「はふぅ……髪を撫でてもらうの、気持ちいいです」
骨抜きの声を漏らしたキティは、こちらの胸にぎゅっと抱き着いて頬を擦り付けている。
そのさらさらの髪の向こうに白いうなじが見えた。
髪を梳いた指をそのまま襟から背中へと差し入れる。
指先で背筋をすっと撫でると、腕の中のキティがぴくんと反応した。
「あっ、ん……や、くすぐったいです……」
もじもじと身を捩ろうとする彼女の反応を楽しみながら、さわさわと背中を愛撫する。
その流れでドレスの背中側の留め金をひとつずつ外していった。
襟から腰にかけてのラインが開き、彼女の白い背中が露わになる。
日焼けはしていないが、健康的できめ細かな肌が目に眩しい。
「綺麗だな」
「んっ……ありがとう、っ、ございます……」
素肌を晒したのを自覚したのか、キティの吐息が荒くなる。
固く抱きしめられながら背中を撫でられる彼女は、いつしか自分の股をこちらの脚に擦り付けだしていた。もしかすると無意識の行動なのかもしれない。こちらの太ももを挟んで深く腰掛けた彼女は、呼吸に合わせてゆっくりと腰を前後に動かしている。
「んぅ……ん……ぁ……ぁ……」
「もう我慢できない?」
「……ふぇ?」
「いや、答えなくていい。俺ももう我慢できないから」
少女が潤んだ瞳でこちらを見上げた瞬間、
己の分身がガチガチに硬くなっていることを自覚した。
キティの腰を掴み、前後をひっくり返してベッドの上に押し倒す。
ドレスからはだけて剥き出しの背中が目の前に広がった。
すぐさま彼女を後ろから抱きすくめ、その背筋に舌を這わせる。
「ひゃうっ」と可愛らしく鳴いた彼女の胸と股間に手を伸ばし、敏感な場所をドレスの上から愛撫し始める。
「あっ、あっ、フクロウさまの指が、私に触れて……ひんっ♡」
「乳首がもう硬くなってるな。下の方もずいぶん濡れてるみたいだ」
「だってだって、キスのときから、ずっとずぅっと、気持ちが良いのが続いてて……♡」
ドレスをまさぐり、柔らかな胸を揉みしだく。
硬くなった乳首を探し当て、優しく触れて、軽く摘まむ。
跳ねそうになった彼女の身体を背中から体重で押さえ込んだ。
気づいたときにはケモノのように彼女を組み伏せていた。
膝を立ててお尻を持ち上げた彼女に後ろからのしかかっている形だ。
ズボンの中で硬くなった息子がドレスの上から少女のお尻に当たっている。
「あっ♡ フクロウさまのも……えへへ、おっきくなってますね♡」
身体の下からキティの嬉しそうな声が聞こえてきた。
蠱惑的に誘うその甘い声に、下半身がはち切れんばかりに反応している。
衝動的にドレスのスカートをめくり上げた。
白い肌、白いお尻に、白い下着。
迷うことなく下着をずり降ろすと、その中心からとろりと糸が引いた。
濡れそぼった秘裂が物欲しそうにひくひくと動いている。
以前見たときと同じく、毛も生えていないそこに、そっと指を這わせた。
「きゃんっ♡」
「びしょびしょだ。そんなに良かったのか」
「は、はい……、フクロウさまの指が優しくて、触られるたびに身体が溶かされていくみたいで、キティは、キティはもう……っ♡」
彼女の声の切ない響きを聞いたときには、もうズボンのベルトを解き放っていた。
硬くいきり立った逸物が、濡れに濡れた彼女の秘所にぴたりと触れる。
お互いが、火傷しそうなほどに熱い。
そのまま割れ目に沿って腰を前後させ、じわじわと彼女に受け入れの準備を促していく。
「は……はふぅ…ふぅ……んぅ、これ、気持ちいいけど、ぁぅ、切ないです……ぅぅ」
「そうだな。俺もキティに挿れたい。ひとつになりたい。いいか?」
「っ、はいっ、はいっ! キティも、フクロウさまとひとつになりたいですっ♡」
本当はきちんと服を脱いで事に至るべきなのだろう。
しかし、プリンセスのドレスを手間暇かけて脱がせているだけの余裕は、自分にもキティにも残ってなどいなかった。
後背位の姿勢のまま、彼女の腰を引き寄せ、その入り口にペニスをあてがう。
ぬるりと湿ったヴァギナは、微かな抵抗だけでペニスの先端を受け入れた。
熱くて硬い逸物が、ゆっくりと、少しずつ、キティの奥へと呑まれていく。
「あ、あ、あぁぁ……、フクロウさまの熱いのが、挿入ってきて……ぁぁあ……♡」
キティの膣は狭くて、熱くて、きゅんきゅんとうねっている。
だが、挿し入れた肉棒は浅い場所ですぐに止まってしまった。
先端に突っかかりがあり、それ以上の侵入を阻まれている。
処女膜だった。
やはり、というべきか、キティは男を知らない乙女だったのだ。
「キティ」
「は、ぃ……」
「君の、奥まで、挿れたい」
「~~っ♡ わた、しも、フクロウさまに、はじめてをもらってほしい、です♡」
「怖くないか?」
「……ほんとは、少しだけ。あの、フクロウさま」
「ああ」
「腕を、あなたの腕を、どうかキティに噛ませてくださいませ……」
体位が後背位なので彼女の顔は見えない。
しかし、期待と快感に震える声が、キティの状態をはっきりと示している。
彼女の懇願に首を振る理由は、どこにもなかった。
肉棒を浅く挿入したまま、彼女の腰を低くして、寝バックに近い姿勢へと持っていく。
そうして後ろから彼女に覆いかぶさり、伸ばした片腕を彼女の首に回して反対の肩を掴んだ。
ちょうど二の腕がキティの口元に当たる格好だ。
ほどなくして、かぷりと歯の当たる感触が腕から伝わってくる。
とろとろの涎がしたたるのを感じながら、俺は掴んだ彼女の肩を強く引き寄せた。
「ふっ、う、ぐぅ、うぅ"ぅ"ぅ"っ!」
うつぶせに寝そべったキティと覆いかぶさった自分との距離がゼロになる。
ぶち、と肉棒が処女膜を貫通する感触があった。
それと同時に、キティがくぐもった叫びを漏らしながら、二の腕に強く噛みついてくる。
「ぐっ」
「ふぅ、ふぅ、ふぅぅ!」
腕の痛みを意識しながら、彼女を固く抱きしめ、じっと落ち着くのを待つ。
キティの荒い呼吸がはっきりと腕に感じられる。だらだらと流れる唾液が腕を伝ってベッドを濡らしている。組み伏せた身体の下で、少女の小さな手がぎゅっとシーツを握っているのが見えた。
破瓜の痛みに耐えながら小さく震えるその姿が愛おしくて、無意識に彼女の髪を撫でていた。
腕には深く歯が食い込んでいるのだが、その痛みも気にならないくらい、胸の奥から温かさが溢れてくる。
「はっ、はっ、は、ぁぁ……」
「……いい子だ」
そうしたまましばらくすると、食い込んだ歯の感触がふっと消えた。
脱力したキティがさっきまで噛んでいた腕を枕にして頭を預けてくる。
くてん、と倒れ伏して肩で息をする彼女の様子に、その顔を見たみたいという衝動が湧いてしまった。腰を動かさないように注意しながら、彼女の頬に触れ、うつ伏せになっていた顔を横に向かせる。
「フクロウ、さま……ひとつに、なれましたね♡」
頬を上気させ、涙目になりながら、それでも幸せそうな微笑みがそこにあった。
指で涙を拭うと、彼女は恥ずかしそうにはにかむ。
それを目にした瞬間、無意識に頬に口づけていた。
くすぐったそうにするキティが可愛くて、何度も繰り返しキスを降らせてしまう。
「キティ、動いてもいいか?」
「はい……。キティの中で、気持ちよくなってくださいませ……♡」
その囁きが理性を溶かした。
彼女にぴったりと密着しながらゆっくりと腰を動かし始める。
男を知らない、彼女の狭い膣を、己の分身で征服していく。
彼女の内側をじわじわと肉棒で擦るたびに、身体の下で彼女が甘い鳴き声を漏らしている。
その響きの甘美さに背筋がゾクゾクする。
「はぅ……ぅぁ……ぁぁ……フクロウさまが、奥に、はいってきます……」
「キティ。君の中は、とても気持ちがいい」
「ほんと、ですか? うれしい、です♡」
はにかんだ彼女にまたキスをした。
小柄な身体を抱きしめて、奥の奥まで彼女を貫いていく。
激しい動きは必要なかった。お互いのカタチを確かめるように、じっくりと小さな抜き差しを繰り返しながら、少しずつ深いところを目指していく。
「んぅ……あっ♡」
そうして、ついに、彼女の膣が肉棒を根元まで吞み込んだ。
深い挿入感による痺れるような快感が腰からせり上がってくる。
彼女の奥がぎゅっと陰茎に絡みついている。
その心地良さに溜め息のような長い呼吸を吐き出して、またゆっくりと腰を動かしだした。
「あっ……あっ……奥、きもちい……あっ♡」
繊細なガラス細工を扱うように、優しく、丁寧に、腰を打ち付ける。
肉棒の先端で何度も彼女の奥をノックする。
そのたびに胸の下でキティの身体がぴくぴくと震えている。
抱き締めたキティの口の前に二の腕を差し出すと、かぷりと甘噛みの感触が返ってきた。
それと同時に膣の締め付けがさらに強くなる。
男の精気を搾り取るようなその絡みつきに、自身の限界が近いことを悟った。
「キティ、もう出そうだ……」
「はむ……ふ、ぅ♡ フクロウ、さまぁ、私も、私も一緒に……っ♡」
「ああ、一緒に……っ」
ひときわ強く彼女の中がうねる。
それに合わせて、半ばまで引き抜いた逸物を、一息に彼女の最奥へと押し付けた。
腰の奥からたまらない射精感が昇ってくる。
その快感に逆らわず、ぐいぐいと彼女の奥を刺激しながら、彼女の中に精を吐き出した。
「出る……!」
「ん、ぅぁっ……う、ん"ん"ん"ぅぅうっ♡」
射精した瞬間、吐き出した精の熱さにキティが絶頂した。
膣をきゅんきゅんと締め付けながら、彼女は全身をびくんと痙攣させる。
手足をぴんと伸ばしてぴくぴくと震える彼女を抱きしめると、膣だけが別の生き物のように蠢き、最後の一滴まで搾り取ろうと肉棒をきつく締め付けてきた。その誘惑に流されるまま、彼女の中をドロドロの欲望で真っ白に染めていく。
「う……はぁ……」
「はぅぅ……♡」
二人でぴったりと密着して、お互いの体温を心行くまで感じ合う。
絶頂の余韻に浸りながら、指を絡ませ、ぼんやりと手のひらを握り合う。
たった一度の交わりで、自分も彼女も息絶え絶えになっていた。
童貞というわけでもないのだが、一度の性交でこれほど消耗したのは久しぶりかもしれない。
それくらい気持ちのいいセックスだった。
「…………えへへ」
充足感に包まれながら、繋がったままでキティに口づける。
幸せそうにはにかむ彼女の顔がはっきりと記憶に焼き付いた。
それからたっぷり10分ほど繋がってから、名残を惜しむように肉棒を彼女から引き抜いた。
どろりと膣から垂れた精液を手早く拭き取り、同じ階に併設された簡易な水場で汗と汚れを清める。窓の外はもう真っ暗だったが、階下の酒場からはまだ賑やかな声が聞こえてきていた。その騒がしさも、水場から部屋に戻るとぴたりと遠ざかっていった。
キティにはネイピア商店謹製の避妊薬を飲んでもらった。
その手の薬を携帯しておくのは、冒険者の男の義務とされている。もし子供ができてしまっても、現役の冒険者はそう簡単に親の務めを果たすことができない。その自覚は自分にもあった。
部屋に戻って、ひとつのベッドにふたりで横になる。
心地の良い気怠さを感じながら、布団の中で互いに抱きしめ合った。
くっつけた胸から聞こえる相手の心音。そのリズムが穏やかな安心感を運んでくる。
「フクロウさま、お慕い申しております」
抱きしめた腕の中から、上目遣いのキティが囁いた。
その真っ直ぐな好意に、一瞬だけ思考が空転する。過去に抱いた恩義、
そうしてから目を開いて、彼女の青い瞳をしっかりと見つめ返す。
「気持ちは嬉しい。しかし、俺はまだ、冒険者をやめることはできない」
「はい、わかっています」
胸板に頬を当てたキティがくすりと微笑んだ。
拍子抜けの反応に虚を突かれて、思わずきょとんと眼をしばたいてしまう。
「だって、レムリアの古代文明についてなんらかの成果を得られない限り、マギニアが再び空を舞ってこの地を離れることはないのでは? そのときまでは、私もフクロウさまも、レムリアの世界樹と迷宮に囚われているようなもの。国に戻るとか……そのぅ……け、結婚とかは、今考えても仕方のないことですし……」
「……そうか。確かに、そうだな」
「ですから、今はただ、お傍に置いていただければ、それだけでキティは幸せです」
キティの細い指がきゅっとこちらの服を掴んだ。
頬を赤くしながら身体を寄せた彼女が、猫のように甘えた声で囁いた。
「フクロウさまの返事は、いずれ、この地を離れるときに、聞かせてくださいませ……」
キティ
金髪・白いドレスのプリンセス。
甘え上手で噛み癖のある小国の姫で、少女らしい純真さと王家の血統らしい周到さを併せ持つ。
伴侶の候補として目を付けたフクロウの退路を塞ぐべく、日夜あれこれと画策しているらしい。
【挿絵表示】
ファランクス
主君たるキティの護衛を担う女騎士。
実は一晩中酒場で待機していた。朝帰りで階下に降りてきたキティにちくちくと文句を言ったものの、内心では主君が伴侶候補と距離を縮めたことを喜んでいる。
パイナップル
物理属性でトドメを刺すとパーティ全体を麻痺にしてくる危険な魔物。
第五迷宮のエンカウントで事故が発生する重大な原因。(1敗)
その強化版みたいなFOEまでそこら中を徘徊している。(さらに1敗)