いつもの仕事部屋で待ち、ドアを開けて入って来たその男。
髪はボサつき、前髪は目元を隠し、服もダボついた部屋着のような物を着て、全体的にだらしの無いその男に、アナスタシアは内心で首を傾げた。
はて、このような方、今までお店にいらしてたでしょうか、と。
アナスタシアは、彼女の主神たるイシュタルが公言している通り、通常の手段では買うことは愚か、お目にかかることすら難しい存在だ。
高いお金を積み、そこらの娼婦に金を撒き、それでも尚有り余る財力を持つ者にのみ許される最上級の高級娼婦。
それがアナスタシアという娼婦であり、それ故に彼女が相手をする客は少なからずお店の常連となり、あまり外を出歩かないアナスタシアでも耳にする程度には、ファミリアの間で噂になる。
容姿が優れていたか、種族はなんなのか、髪の色は何色だったのかと、そういう大まかな情報くらいは耳にする。
しかし、その中で彼に該当するような、陰気だとか、暗い感じとか、清潔感に欠けるとか、そういう類の話はここ最近では一切聞かなかった。それ故の疑問。
だがそれも、開口一番に彼が発した言葉で、あっさりと氷解した。
「お前が齎す、俺の酒をも上回る極上の快楽。俺の眷属を溺れ、心酔させた甘美な密とやらを、この身で味わってみたい」
なんだ、イシュタル様の取引相手か、なら存分におもてなしをせねば、と。
冷めた目のまま、にたり♡ と三日月に歪め、男の身体を舐めるように見据える。
けれど、それも一瞬。碌に目を合わす気がないのか、目の前の極上の女に心底興味が無さそうに下を向く男には、決して気付きようもない僅かな時間。
それが過ぎれば、アナスタシアは再びいつもの柔和な笑みを浮かべ、ゆるりと話を進める。
「眷属の方、でございますか? ・・・・・・もしや、度々いらっしゃられる、細身で眼鏡を掛けた・・・」
「ザニスだ」
あー、そうそう、確かそんな名前だったな、と。
その名前で脳内を駆け巡った、中年のヒョロいおっさんが汚い嬌声を上げてイキ散らかす汚物のような映像を努めて抹消し、笑顔のまま心の中で相槌を打つ。
相槌を打ちながら、今、目の前に居る男の正体に、アナスタシアは当たりを付ける。
それは、何かと問題行動が多いと聞くファミリアの主神ソーマ。そして何より、彼を語る上で特筆すべきことは、彼が神の力を使わず、人間と同じ技術一つで神酒を作り上げた生粋の変態だと言うこと。
たった一口で、そのあまりの美味しさに心奪われ、虜にしてしまうと言われる神酒。それを、件のザニスとやらは、イシュタル・ファミリアへと献上していたのだ。他ならぬ、アナスタシアに相手をしてもらう、その代金として。
元々、ソーマ・ファミリアの団長は、ここの常連だった。悪党みたいな顔で、虫唾が走るような下衆で、アッチの方も小さくて下手くそで全く気持ち良くないし、自分勝手で乱暴的だと、お店の子達からの評判も最悪だった男だ。
そんな彼はアナスタシアの噂を聞き付け、最初はお金を。暫くして、アナスタシアが相手をするようになってからは、お金の代わりにその神酒とやらを献上するようになり・・・それを聞き付けた主神様が、事の真意を確かめに来た、というのが今回の神ソーマの行動原理だ。
「畏まりました。しかし、ただご体験されるだけではツマらないでしょう。どうです、ここは一つゲームでも」
「ゲーム・・・?」
呼び鈴を鳴らせば、扉の外で控えていた少女が入室し、その手に握られた徳利がテーブルに置かれる。
打ち合わせもなく、初めからこうするつもりだったとでも言いたげな準備の良さに、呼び鈴を鳴らしたアナスタシア自身も少し驚くが。
恐らく、彼女がこうすることを神イシュタルは見越していたのだろう。骨の髄までしゃぶり尽くし、徹底的にへし折ってやれ、と。その神意を察したアナスタシアの目が、一瞬だけ薄く細められた。
「えぇ。まず初めに、えっと、貴方様が・・・」
「ソーマだ」
「失礼しました。ソーマ様が、お知りになりたがっていた快楽(もの)を受けて頂きます。しかし、それは本当の快楽が享受出来る直前まで。そのタイミングで、私がこの神酒を一口だけ飲みます。そして、その後に。私がもう一度、このお酒を飲んだら・・・」
「俺の酒の勝ち、という訳か」
「はい。私が、貴方様への御奉仕を優先するか、それとも己が使命を投げ出して、お酒の快楽に溺れてしまうか。・・・その方が、貴方様のお酒と私の快楽、どちらの方がより優れているのか、分かりやすく優劣が付きますでしょう?」
そして、勝者の報酬は、何でも一つだけ、相手に言う事を聞かせる権利。
一見、対等な条件かのように話してみたアナスタシアだが、実を言うとこれは彼女が一方的に不利な条件であった。
なんせ、この勝負に関して、ソーマの状態は一切考慮せず、例え、ソーマが快楽に溺れ、自身の酒の方が下だと認めたとしても、アナスタシアが酒に溺れてしまえば、その時点でソーマの勝利となるのだから。
それを知ってか知らずか。ソーマは余程、特に質問をすることも無く、了承した。
「どうせ時間の無駄、さっさとやれ」
「ふふ、そう焦らずに。よいしょ。・・・まずはこちらに腰掛けて下さいますか?」
「・・・・・・ふん」
枕元に深く座り、おおよそ淑女がすべきではない幅まで広げた足の間へと、アナスタシアはソーマを手招く。
それを、本当にどうでも良さそうに。
下界の人間に何一つとして期待していないソーマは、言われた通りにベッドへ上がり、四つん這いで近付いて股の間まで来ると、ここからどうすればいい、とでも言いたげな目線をアナスタシアへと送った。
「そのまま、後ろを向いて下さいますか?」
「ん・・・」
「えぇ、そうです。それから、腕を後ろの方に・・・はい、少しそのまま・・・」
「・・・・・・おい?」
「・・・・・・はい、準備が出来ました」
「? ・・・・・・!?」
さっさと終わらせたい、という感がヒシヒシと伝わるソーマは、アナスタシアの指示に非常に従順だった。
言われた通り、アナスタシアの股の間にすっぽりと収まり、よく分からないまま腕を後ろ手に組まされて、いつまでこうしていればいいのかと、そう問おうとした時、異変に気付いた。
動かない。後ろ手に組んだ腕が、前に戻せない。
その事実に。やる気が全くなくて、ここへ来る前から常に気怠げだったソーマの思考は、ここで漸く危機感を・・・。
「なんのつもりだ」
「下準備でございます。今から行う行為は少し特殊でございまして。私の初めてのお客様には、みな、こうして暴れられないように、一時的ですが縛らさていただいております。どうかご容赦を」
「必要ならいい。さっさと終わらせろ」
危機感を、全く抱かなかった。
自分が今どういう状況なのかも理解せず、神故の傲慢さで、アナスタシアの胸に背を預ける。
ふわりと、羽毛のように包み込む柔らかなマシュマロが二つ。後頭部だけでは無く、側頭部まで包まれたことと、その居心地の良さに僅かに目を見開くソーマであったが、すぐにいつもの気怠げな雰囲気に戻り、身体を沈める。
なるほど、まぁ確かに、俺の酒に溺れる程度の子供たちには、確かに極上のものかもな、と。
「それでは、失礼します」
「っ・・・」
擽ったい。
最初に感じたのは、そんなシンプルな感情だった。
身体を這う、しなやかな指先。腕から肩へ。膝から太腿へ。腰からお腹へ。
性感帯、一般的に人が性的な興奮を覚える場所への接触は一切無く、高価な調度品を吟味するかのような手付きで、いつまで経っても始まりそうにない焦れったさに、ソーマは苛立ちが募る。
「っ・・・おいっ、いつまで、そうしてる。早くしろ」
「? ・・・どうかなさいましたか?」
「恍(とぼ)けるな。こんな、ものが・・・ふはっ、神酒以上の、快楽だとッ・・・。子供、騙しも、大概にしろっ・・・!」
振り返り、キッ、と睨んで来るソーマに。
アナスタシアは目をパチクりと
こんなにおっ勃てる癖に、一体何を仰っているのだろうか、と。
擽られただけで、ギンギンの。それはもうダボ着いた服の上からでも分かるくらいには、かなりのご立派なモノが、そこでは存在感を主張していた。
しかしまぁ、こういう手合いは初めてという訳でも無い。
折角、多額の金を積んで、一体どれ程の天国がそこにはあるのかと股間を踊らせていれば、待っていたのは子供の児戯とも言えるようなお遊びばかり。
金を返せと怒鳴るものが居た。巫山戯るなと激高した者が居た。さっさと触らせろ、抱かせろ、犯させろ、と迫った者達も居た。
「ふふ、まだ夜は始まったばかり。そう焦らずとも、しっかりと極楽の海へと誘ってあげますよ」
けれど、その醜い欲望が満たされた者は誰一人として居なかった。
腕の立つ冒険者、巨万の富を築いた権力者。そして、かつては全知全能を誇った天界の男神たちでさえも。
誰もが、支払った対価に対して、過剰とも言える快楽の波に呑まれ、その身をズブズブに溺れさせられた。
もう、他の女では満足出来ないほどに。もう、普通のセックスでは満足出来ないほどに。
だから、貢いだ。
その身が朽ちるまで。築いて来たモノを、綺麗さっぱり削り取るまで。また、あの快楽に溺れるために。
それが、善意で舗装された破滅への道だと分かっていながらも。やめることなど出来なかった、やめようという意思すら抱けなかった。
夜はまだ始まったばかり。
不肖不肖と言った様子で、鬱陶しそうに目を瞑り、背を預ける愚かで可愛い神の頭上で、淫猥な三日月が弧を描いた。
◇
ファミリアの運営を任せている団長、ザニス・ルストラの様子がおかしいと気付いたのは、ただの偶然だった。
己が作り出す神酒に心酔し、活動資金のため興したソーマ・ファミリアを私物化し、利益を独占するような、けれどきちんと他者から絞れる物は絞り取る狡猾さと下劣さを併せ持つ人間。
それでも、その神酒を悪用し、一つの組織体制を作り上げた手腕は見事だと思うし、それで酒造りのためのお金が湯水の如く湧き上がるのだから、ソーマとしては願ったり叶ったりだった。
所詮は神酒に酔い潰れた有象無象と同じ。金を生み出す道具以上の価値を見い出せぬ、そこそこ便利な下界の子ども。
だから気にかけていたという訳では無いが、何かと自分の周辺をうろちょろしていた男が夜中に一人、神酒を持ってコソコソと出掛けて行けば、流石の趣味神と言えど気になるというもの。
そうして、酒を餌にザニスから聞き出したのは、イシュタル・ファミリアの一人の娼婦の話。その娼婦を買うために、神酒を対価に受け渡していたのだと。
それを聞いてソーマの胸の内に怒りは無かった。代わりにあったのは、その娼婦に対する興味のみ。
神酒と言えど、何度も飲めばいずれ慣れ、耐性が付いていく。しかし、それでも神酒だ。神のお酒だ。慣れたといえど、それを売り渡すほどの何かを、一介の娼婦如きが与えられるとは思えない。
思えないが・・・実際に、ザニスは対価として神酒を売り渡していた。弱味を握られていた訳でも、魔法やスキルで洗脳されていた訳でもない。
自分の意思で、神酒を手放した。
その事実が、ソーマにとって何よりも衝撃的だった。
だから、何も考えず、手ぶらでイシュタル・ファミリアへと赴いて、対価が無いのであれば出直して来いと門前払いをくらい、今度は神酒を片手に再び訪問すると、館の地下まで通された。
人払いが成された、薄暗い廊下。
その先にある変哲の無い扉を開けば・・・なるほど、あの女神が大事にしてる訳だ、と納得に足る美女がそこでは待っていた。
柔和な笑みを浮かべ、聞くものを蕩けさせる甘い声の持ち主だった。見てるだけで他者の欲情を煽り、一種の到達点とも言える完成された肉体の持ち主だった。
・・・しかし、それだけだった。
美しい容姿、豊潤な肉体美、脳を燻る甘い香り。
それらを見て、感じて、嗅ぎ取って。
その上で敢えて言おう。
で、だからなに? と。
そんなもの、他ならぬ彼女の主神たる女神イシュタルが、あるいは神フレイヤが、当たり前のように標準装備している武器だ。
唯一、その身体だけは、かの神たちを上回り、豊穣の女神であるデメテルすらも超えるかもしれないが。
その程度で他者を溺れさせられるのなら、かの美神たちは美の女神などと呼ばれてはおらず、ソーマが作った酒もまた、神酒とは呼ばれていない。
無駄足だったな、と。児戯にも等しい擽りをその身に受けながらも、ソーマは失望していた。
ほんの僅かではあるが、もしかしたら、本当に己の酒を上回る何かがあるのかもしれない、と期待さえしていたのだ。
だが結果は見ての通り。欠伸が出そうな程に詰まらない行為を前に、これならそこらの娼婦を抱いた方がまだマシだと思える程に、退屈を感じていた。
こうして女のお遊びに付き合ってあげてるのは、こちらが渡した神酒分の代金くらいは返してもらおうと思ってのこと。
こんなものに溺れたザニスは破門にするか、と背中の柔らかな感触に身を預けながら。
早く夜が明けることを願って、ソーマは己が身を襲う擽りから逃れるように目を閉じた。
◇
それから、どれほどの時間が経っただろうか。
異変に気付いたのは、自身が履いていた下着がやたらと湿っていると感じた取った時。
アナスタシアがやっているのは、変わらず擽りに似た愛撫だけ。実際、ソーマも擽ったさは感じており、今も漏れ出そうになる笑い声をなんとか押し殺していた。
にも関わらず、パンツを湿らせるトロリとした液体。
それが我慢汁であることは流石のソーマとて知っており、またそれが出てくる条件も知っていた。
(感じてる・・・? いや、そんな筈は・・・)
「さて、そろそろ下を脱ぎましょうか」
「ぅ、くぅ・・・は? お、おい、ちょっと待っ・・・!」
抵抗しようとして、腕が動かせないことに気付き、非力なソーマは簡単にズボンを脱がされた。
上はそのままに、下はテントを張って染みを作った白いブリーフのみ。
いくら趣味に傾倒している神と言えど、こんな無様を晒されれば羞恥を覚える程度の恥はある。
足を閉じ、身をかがめ、必死に隠そうとするソーマを。しかし、アナスタシアは全く気にすることなく、体の隙間から腕を差し込んで秘部の周りを撫で付けた。
「ふふ、どうしたました? 何か見られたくないものでも、ございましたか?」
「ぅ、うる、さいッ・・・」
「あらあら、必死に我慢なされて、辛そうですね。少し、強めに責めて差し上げましょうか」
かりっ♡
「ッ!?♡ ぁあ゛ッ・・・♡」
丸めていた身体が、仰け反るように起き上がった。
ツンと勃っていたソーマの乳首、服越しに爪で掻かれたのだ。
思わず飛び出た嬌声に、顔を赤らめる。
その様を、後ろからアナスタシアがニコニコしながら見詰め、さらに追い打ちをかける。
かりっ・・・♡ かりっ・・・♡
「ぁ゛ッ・・・♡ ぐぅ・・・♡」
今度は、強く歯を食いしばって耐えるが、漏れ出る吐息に艶やかさが混じって来た。
それでも、趣味神として極めて来たプライドが、こんなものに負けてたまるかと燃えて、必死に抑え込む。
かりっ・・・♡ すりすり♡ くいっ♡ くいっ♡
「はぅぁっ♡」
「あら、すごい声♡ これが好きなんですね♡」
引っ掻いて、摘んで、押し潰して。
中指と薬指で、優しくすり潰すように こねこね♡ すると、じゅわぁ♡ とした甘い痺れが、胸から背筋へと染み渡る。
「ば、ばかっ・・・♡ それ、や、やめっ、ろっ・・・♡」
「ふふ、そう仰らずに。ほら、おちんちんも喜んでいますよ♡」
いつの間にか、快楽に流されて開きかけていた足の間に、先程よりも倍以上に湿らせ、染み込みすぎて滴っているような染みが浮かび始めているパンツがあった。
慌てて閉じようとも既に手遅れ。
胸の愛撫をしていたアナスタシアの手が離され、それに少しだけ寂しさを感じてしまった自分に首を振りつつも、スイッチが入ってしまったソーマの身体は、足を開こうとするアナスタシアの両手に逆らえない。
無理矢理開かされて、今度は太腿を撫でられて。
徐々に、足の付け根へと滑らせ、するりとパンツの中に入った。
「っッ゛!!?♡♡」
ゾクりと、背筋が反応した。
秘部には、相変わらず触れてはいない。
ずっと、おちんちんの周辺。鼠径部や、下腹部を撫でられるばかりで、けれどそれだけなのにソーマの身体はビクビクとどうしようも無く反応してしまう。
「凄いですね♡ パンツの中、とても熱い・・・♡ それに湿ってて、おちんちんも窮屈そうですから、これも脱いじゃいましょうか」
「ぁ、待・・・♡」
難なくと、それはそれはあっさりとパンツを脱がされ、ベッドの外へと投げ捨てられた。
散々焦らされ、ぶるんっ、と飛び出たおちんちんは、元のサイズもさることながら、血管が浮き出るほどにギンギンに反り勃っており、先の方からはドロドロと透明な液体が涎のように溢れ出していた。
「ゃ、ぁぁ・・・♡」
「はぁい、ダメですよぉ♡ 閉じたら気持ち良くなれませんよぉ♡」
全身をただ撫でられて、その上乳首でここまで感じるなど、男として恥以外の何物でもない。
さっきまでとは比べ物にならない羞恥に、けれど今度は足を閉じることも、身をかがめることも許されず。
M字開脚のように広げたアナスタシアの足が、ソーマの足を上から絡めるように強引に広げ、非力な身体を縫い止めるように抱き締める。
「見る、なぁ・・・♡」
「随分とまぁ可愛らしい声を上げるようになって♡ もう少し粘られると思ったんですがね♡」
抱き締めた両手を交差させ、こちらも負けず劣らずビンビンになった乳首を、服の上から かりかり♡ 引っ掻く。
その度に、ビクンっ♡ とおちんちんが跳ねて、我慢汁がベッドに飛び散っていく。
かりっ・・・♡ かりっ・・・♡ かりかり♡
「ひぃッ゛♡ あぁ゛ッ・・・♡」
速度をあげるほど、おちんちんが休まる暇は無くなり、常に全力の勃起状態を維持し始める。
ガチガチに固まり、赤く充血し、まるで空イキでもしてるかのように、びく、びく、と痙攣を繰り返す。
あぁ、あぁ♡
シゴきたい、シコシコしたい♡
焦れったい、こんなのじゃイけない♡
射精感が募るばかりで、最後のひと押しが足りない。
何もかも押し流してしまう程の、強い情動が。
足りない、イキたい、イかせろ♡
しかし、腕を縛られ、足を拘束され、身動きを封じられた状態では満足に自分を慰めることもできない。
だから、頼むしかなかった。プライドとか、そういうのは今はどうでもいい。とにかく今はただイきたかった。
だから、消え入りそうな声で、ボソリと。
「イか、せて・・・くれ・・・」
「はい・・・?」
「頼む、もう・・・限界だ、イかせくれ・・・」
んー、と考えるように首を傾げ、それでも指は変わらずソーマの乳首をかりかり♡ し続け。
アナスタシアは、何も答えることなく、黙って愛撫を続けた。
「ぉ、ぉいっ・・・♡ 聞こえて、いるンッ゛・・・♡ だろぉ・・・♡ 無視、するなぁ・・・♡ おぃ、ぉいってばぁ・・・♡」
「・・・お忘れですか?」
「ふぁ、ぁ・・・? な、何を・・・」
「ソーマ様は、ご自身のお酒を超えるモノを味わいたくて、こちらにいらしたのでしょう? であれば、今この時、その身に燻る快楽を弾けさせても、貴方の望む物は得られないと、他ならぬ貴方様自身がお分かりなのでは?」
「そ、そんなもの、もうどうでもいいッ・・・!」
どうせ、越えられないのだから。
だから早く、楽にしてくれ。
そんな思いを込めて叫ぶソーマだが、その願いが叶え入れられることは無い。
アナスタシアとて、何も善意で相手をしている訳では無いのだ。神イシュタルの意向に従い、目の前の神を堕落させなければならない。
だから、微笑を絶やさず、かりかり♡ と責め続ける。
「ぁ゛♡ はぁッ゛♡ はぁ゛・・・♡」
そうして、どれ程の時が経ったのか。
時間を気にしてる余裕すら無かったソーマには分からなかったが、初心な娼婦ですら簡単に満足させてしまえそうな程に出来上がった男神を前にして、アナスタシアはそろそろかと笑みを浮かべる。
「それでは、仕上げに・・・」
ギューっ♡
乳首を摘まれて、ジュワぁぁ♡ とした快楽が襲う。
女性で言う所の軽イキ。それを男の身で体験し、射精しないまでも、びりびり♡ とした快楽がおちんちんを襲う。
続けて、摘んだままの乳首を すりすり♡
「ぁうァ゛、ァ゛〜・・・♡」
じゅくじゅく♡ と痺れるような刺激。
イッたような、けれど全然満足出来ない焦れったい快楽。
変わりに出るのはドロドロの我慢汁ばかりで、滴る液体がベッドに大きな染みを作っていた。
「イかせ、て・・・イかせ、て・・・♡」
一度だけ。おちんちんを上下にひとコキすれば、それだけで果てられる。
それ程までに焦らしに焦らされたおちんちんは、けれど勃起したまま宙でビクビクと痙攣するばかり。
唯一、その苦しみから解放出来るアナスタシアも、ソーマから離れ、ベッドから降りる。
まだイくことが出来ない。その事実に絶望しかけたソーマだが、彼女が手にしたソレを見て、目の色を変えた。
「さて、そろそろ頃合い。お待ちかねの勝負を、始めましょうか」
神酒、飲んだ者を堕落させ、溺れさせる神のお酒。
それを用いて行われるは、勝者に命令権を与える、勝負とは名ばかりの出来レース。
やった、イける。これで、勝負に勝って、命令すればいい。イかせろ、と。ただ一言、それでもうこの苦しみから開放される。
そう信じてやまないソーマに、お猪口へ注いだ神酒を手に、徳利を付近のテーブルへ置き、アナスタシアは言葉を紡ぐ。
「そう言えば、まだ何を命令するか決めていませんでしたね」
「は、早くっ・・・どうでも、いい・・・! 早く、飲めッ・・・!」
「あらあら、そう慌てずに。・・・そうですね、私からは今後もご贔屓にして下さる、それを報酬としましょうか」
「分かった・・・! 分かったから! 早く、飲んでっ、俺を、イかせろ・・・!」
負けることなど微塵も考えていない、その傲慢のように見えて、頼み事が滑稽過ぎるソーマを見て、目を細めるアナスタシアは、お猪口を口へ持って行く。
縁を口に着け、お猪口を傾け、酒を呷る。
ゆっくりと、堪能するように喉を鳴らし、飲み終えて、ほぅ・・・♡ と熱い吐息を一つ。
顔を赤らめ、瞳を僅かに潤ませて。見る者を魅了する、扇情的な雰囲気をこれでもかと溢れ出すアナスタシアを前に、ソーマは声を上げた。
「さ、さぁ・・・! 早く、早く! イかせて、射精したい、イかせてくれ! イきたいんだ、だから、頼む、頼む・・・!」
「・・・・・・」
その声が聞こえていないのか。
テーブルに置かれた徳利を再び手に取ると、それをソーマの方へ突き出し、そして━━━手放した。
「・・・・・・え?」
パリーン、と。乾いた金属音が木霊する。
床に落ち、割れた徳利。その破片の隙間を埋めるようにぶち撒けられた残りのお酒。
その音で、我に返ったソーマは、二口目を欲しがれば負け、という条件を思い出して、顔から血の気が引いていく。
「大変美味しゅうございました。神のお酒。なるほど、噂に違わぬ至高の一品でございました」
「ぁ・・・」
堕ちることも、溺れた様子も無く、ただ美味しい酒を飲んで満足した顔で、淡々と感想を言うアナスタシアに。
声らしい声も出せず、空気が漏れ出たような音がソーマから溢れる。
それに構わず、再びベッドへ乗り、ソーマの背後に回って、乳首を虐め始める。
「ですが、所詮はお酒。どれ程強く、どれ程美味しく、そしてどれ程溺れようとも、いつかは酔いが覚めてしまうもの」
「ぁ、ぁぁ・・・♡」
かり、かり♡
変わらぬ愛撫で、けれど耳を擽る甘く、蕩けるような囁き声が、ソーマの折れた心をズブズブに溶かし始める。
「いくらそれを極め、至高の頂きへ辿り着いたとしても、胸の内に潜む、原初の欲望に勝ることは決してないのですから」
「ぁぁ゛・・・♡ やだ、やだ・・・イか、せて・・・♡ お願い、します・・・♡」
もう、何も考えられない。
ただ何も考えず、心の奥底で燻り続けている欲望に従って、ソーマは譫言のように繰り返し、それを申し訳なさそうにアナスタシアは眉を下げた。
「・・・さて、貴方様の願いは確か、イかせて欲しい、でしたか。私としても出来ることならそうしたいのですが、ただのお遊びと言えど勝負は勝負。敗者に報酬を与えては、勝負をした意味がございません。こんな無様を晒しているとは言え、曲がりなりにも神を名乗る貴方様が、約束を違えるのは本意ではないでしょう?」
「イか、せて・・・♡ そんなの・・・どう、でも・・・♡」
「ですから、こういうのはどうでしょうか?」
「はぅぁ゛ッ・・・!?♡」
ピンッ♡ と弾かれた。
デコピンが両乳首に。一瞬で脳が弾けたような、視界が明滅する快楽が電流のように全身を流れ。
限界を迎えたおちんちんの先端からは、どぷり・・・♡ と。おちんちんの大きさにしては、あまりに少ない量の子種を湧き出した。
「ッ゛っッ〜〜〜っ゛〜〜ッっ゛・・・♡♡ ぁ゛アッ゛〜〜っぁ゛〜〜っッ゛・・・♡♡」
射精しようと何度も脈動を繰り返すが、子種はそれっきり。だと言うのに、おちんちんはずっとイキ続け、尿道からキンタマ、果ては膀胱に至るまで。
熱く、熱く、燃えるような快楽がソーマを襲い、次第に遠のいて行く意識の中、少しでもこれを享受し続けようと踏ん張ろうとするが・・・。
実に呆気なく、ソーマは意識を手放した。
◇◇◇
薄暗く、怪しい光が照らす部屋の中、テーブルに向かい合った美女が、グラスに注がれたお酒を楽しんでいた。
「随分と手酷くやったようだな」
片や褐色肌の、局部だけを隠した僅かな布面積の衣服を纏い、美を極めたその肢体を惜しげも無く晒した美女、神イシュタルが愉快そうに頬を歪める。
そこらの男であれば、心を握られ、思わず膝まづいてしまいそうになるその笑みを受けて、正面に座るアナスタシアは少し拗ねたように頬を膨らませた。
「人聞きが悪いですよ、イシュタル様。それではまるで、私が悪女のようでは無いですか」
「男を堕落させ、いくつものファミリアを壊滅させた娼婦が、よく言うわ」
過去にやり過ぎてイシュタル直々にお叱りを受けたことのある身としては、それを言われると言い返せないのか。
拗ねたようにそっぽを向くアナスタシアに、イシュタルは可笑しそうにクスクスと声を上げた。
「それで、本当に奴を堕とすことは出来たんだろうな」
「あぁ、それですが・・・」
お酒美味しいなぁ、と呑気なことを考えながら、イシュタルの問いに嘘偽り無くアナスタシアは答える。
「流石の私でも、一晩で堕とすことは出来ません。それが、娯楽を求めて地上に舞い降りてきた神様であれば尚のこと。もう少し時間が必要です」
「・・・・・・」
淡々と、そう言ってのける眷属に、イシュタルは目を細める。
確かに、神どもはその全能故に天界でも暇を持て余していた。
だから、その暇を解消するために、最も簡単で効果的な性の快楽に身を堕とすのは、全く不思議なことでは無いし、実際にイシュタルも殆どの神と交わったことがある。
それが今や鳴りを潜め、あからさまに性に堕落した神が居ないのは、単に飽きたからに他ならない。
マンネリ化とも言うそれは、少し身を置いた程度では解消されず、だからこそ神は暇を持て余し、長い時を経て、遂に地上へと舞い降りた。
「それで? だから無理でした、とそう言いたいのか?」
「ふふ、まさか」
相手が強敵でした、なので目的を果たせませんでした、がそう易々と通るイシュタル・ファミリアでは無い。
しかし、神威が滲む神イシュタルの睨みを前にしても、全く動じることなく、アナスタシアは楽しそうに喉を鳴らした。
「一度で無理ならば二度、三度とやればいいのです。ご安心を、あの方はまた来ます。今度はより明確な、強い意志を持って、私を買おうとします。そうなるように調整しましたから♡ ・・・ですので、ちょっとやそっと吹っ掛けても、なんら問題無く首を縦に降ると思いますよ」
「・・・恐ろしい
「ふふ、さぁ、誰でしょう」
堕としてはいない。
だが、そうなるのも時間の問題であり、それを他ならぬ本人が望み、自ら堕ちていく。
自神とは違った方法で、神すらも手篭めにしてしまうその手腕に思う所が無いと言えど、それ以上に良い拾い物をしたと、柄にも無く嬉しさが勝ってしまう。
「所で・・・神酒って、こんなものでしたっけ?」
「こいつは失敗作の方だ。勝利の美酒に、アレは強烈過ぎて相応しくない」
「あぁ、なるほど。それで・・・」
勝負の時に飲んだお酒、それと同じものを口にして、ずっと疑問に思っていたことを解消出来て、スッキリしたと同時に、アナスタシアに同情の念が生まれる。
つまる所、あの時、ソーマの前でアナスタシアが飲み、床にぶち撒けた神酒は、神酒とは名ばかりの失敗作。
それを本物と誤認し、敗北を受け入れてしまったのだから、哀れなことこの上ない。
「本物は、一応ここにあるが・・・どうだ、飲んでみるか?」
「・・・えぇ、一口だけ」
グラスに注ぎ、その香りだけでクラりと来そうなお酒に、涎が出て来る。
それを一気に煽り、喉を鳴らすと同時に、得も言えぬ衝撃が、アナスタシアを襲った。
「・・・ッ!?」
口を離し、大きく一息。それを何度か繰り返し、頬は赤く染まり、潤んだ瞳はテーブルに置かれた徳利に釘付け。
久しぶりとは言え、あの時飲んでいれば、流石にヤバかったと、そう思えるくらいには強烈なお酒を口にして、息を荒らげるアナスタシアに。
神イシュタルでさえも、思わずドキリとしてしまうその様に。
舌なめずりをして立ち上がり、アナスタシアが座る椅子の肘置きに身を乗り出した。
「妬けるな。神酒とは言え、私の目の前で、私以外のモノに夢中になるのは。なんだ、誘ってるのか?」
「・・・えぇ、そうかもしれません」
悪戯心で出た言葉に対してのまさかの返しに、思わず黙り込む。
そのまま無言で唇を重ねると、ジュルジュルッ♡ という卑猥な水音が部屋に響き渡った。
「ん、ちゅ、じゅるっ・・・♡」
「ん、あっ、んんっ・・・♡」
舌が口内を蹂躙し、されるがままのアナスタシアは、舌技だけで他者を感じさせるイシュタルの技量に驚きながらも、もどかしそうに足を擦り合わせる。
そして、漸く離された唇。イシュタルでさえ舌を巻く技量で男たちを陥落させているにも関わらず、舌だけで既に出来上がってしまった可愛い
「本当に、可愛い奴だ。こんな姿、アイツが見たらどう思うだろうな♡」
「もう、あの子の話はしないで下さい♡ 私と違って、誇り高くて、高潔なエルフなんですから。こんな姿を見られたら、きっと、幻滅されてしまいます・・・」
「ふふ、そう言ってやるな。全く、お前のような者に引っ掛かってしまったアレも、中々に哀れよな・・・♡」
「・・・えぇ、本当に。私なんかと出会わなければ、幸せな未来があったでしょうに・・・」
心からそう思っている目の前の雌に、本当に哀れだな、と。
イシュタルは、今もきっと、いつものようにダンジョンへと潜り、モンスターを狩る一人のエルフを思い浮かべ、本気で同情しながらも、極上の料理を前にそんな思いはすぐに消し飛んでいく。
「さて、夜もそう長くは無い。この私を嫉妬させた罰として、今夜は気の行くまま堪能させてもらうぞ♡」
「ふふ、お手柔らかにお願いします♡」
「それはお前次第だ。精々、可愛らしく鳴いて、私を楽しませてくれ♡」
その夜、イシュタル・ファミリアの本拠地、その一室にて。
誰に知られることも無く行われた宴を、こっそりと覗いていたイシュタル・ファミリアの副団長のタンムズは。
その日初めて、ノーハンドでの射精に成功したのだった。
次回、金髪エルフ(オリキャラ)。