「やぁ、やぁ、可愛い子供たち、最近調子どう? 上手くやれてるかな?」
ヘラヘラと笑う軽薄な男の声に、その場に集まった者達は僅かに顔を顰める。
別に、目の前の神が眷属たる自分たちを振り回すのはいつもの事。しかし、それを全く悪びれもせず、突然の召集に急いで来たにも関わらずこの態度。
少しくらいはお灸を据えてもバチは当たらないだろうか、とヘルメス・ファミリアの団長であるアスフィ・アル・アンドロメダは、ファミリアを代表して額に血管を浮かばせながら、にこやかな笑顔で問い掛けた。
「それで、一体なんの御用ですかヘルメス様。こっちは、貴方様が知らぬ間にあちこちから受けた依頼やら、何処ぞの女を引っ掛けて起きた問題やら、理由を語られる事もなく集めさせられている情報やらで、暇では無いのですが。出来ることなら手短に、そして面倒事でなければ大変助かるのですがその辺どうなんでしょうかヘルメス様ァ?」
「あ、アスフィ・・・? どうしたんだい、目が笑ってないぞ、はははは。ま、そんな事はどうでもいい。みんな、これを見てくれ!」
少しはこっちの気苦労を、と期待した自分が馬鹿だったと本気で握り拳を握り始めた団長を必死に抑える団員達。そんな彼らへと、全く悪びれもしないヘルメスはその手に持った物を見せる。
あまり馴染みの無い、珍しい形状の箱のようなものだった。
はて、何かの
レンズのようなものがある事から、何かを覗く物。特殊な望遠鏡か何かと当たりを付けたが、その答えは他ならぬヘルメスによっていち早く齎された。
「これはカメラと言って、このレンズに映る景色を保存することが出来る。試しにやってみようか」
パシャリ、と。
近くに居たアスフィに向けて光が放たれる。
咄嗟に顔を庇ったアスフィだが、それ以外に何かが起こる訳でも無く、恐る恐る腕を下ろした彼女の目に、カメラと呼ばれる魔道具の下の部分から出てくる一枚の紙が写った。
「ほら、こんなもんさ」
それを取り出し、アスフィ達に向けると、そこには先程両手で顔を庇ったアスフィの姿が映っていた。
みんなが覗き込むようにして集まり、おぉ、と感嘆の声を漏らす。実演も好感触なようで、少し得意気なヘルメスは、本来の目的を話す。
「今回集まってもらったのは他でもない。
いつもの悪巧みとの落差が酷い所為か、そのなんてことの無い頼みに思わず溜め息を吐くアスフィ。
他の団員たちと顔を見合せ、まぁ、その程度でしたら、とそれぞれが手早く身なりを整え始めた。
「お、分かってくれたみたいで良かったよ。じゃあ、取り敢えず一人ずつ撮っていくから。まずはアスフィから」
「えぇ!? 私ですか!?」
「当然だろ? 団長なんだから」
「い、いやしかし、私は先程撮られたばかりと言うか・・・」
「なーに寝惚けたこと言ってんのさ。顔が思いっ切り隠れてたじゃないか。ほら、恥ずかしがってないで、笑って笑ってー」
そうして、撮られた写真。可愛い子供たちの写真を、各々が物珍しそうに見ている中で、ただ一人。
彼らを見守るヘルメスだけは、暗い笑みを浮かべて、ズボンのお股の部分を僅かに濡らしていた。
◇
いつもの仕事部屋。薄暗い部屋の中でアナスタシアは椅子に腰かけ、グラスに注がれた果実酒を嗜み、今日のお客を待っていた。
ただのお客ではなく、神イシュタルの取引相手。だから、より一層気を引き締めねばならないのだが、しかしその相手が誰なのか知っていれば話は別。
初めてのお客ではなく、常連の男神。すでに骨の髄までグズグズに溶かした後の絞りカスなのだから、最早気負うことなど何もありはしなかった。
「・・・どうぞ」
ノックが響き、返事を返せば、ゆっくりと扉が開き、奥から美男子が顔を覗かせた。
名をヘルメス。常に携える軽薄な笑みも、美女美少女を前にした時のような軽やかな口も今は鳴りを潜め、立つことも難しいのか、内股のまま身体を屈めて、扉に寄り掛かるようにして部屋の中へと入って来た。
「お久しぶりですね、神ヘルメス」
「あ、うん・・・久しぶり、だね・・・」
「さ、こちらへ。上等な果実酒を用意しておりますので、ご一緒にいかがです?」
「えっと・・・じゃ、じゃあ・・・頂こう、かな・・・はは」
何か言いたげなヘルメスに、アナスタシアは笑顔を絶やさずに席を促す。
席に座り、机に置いてあったグラスを僅かに震える手で持つヘルメスに、アナスタシアはボトルを傾け、半透明の液体が注がれていく。
「さて、それで今日はどんな楽しいお話を聞かせてくださるのでしょうか。オラリオの流行? 美味しい食べ物? それとも前に聞かせて下さった、オラリオで起きた大事件の続きでしょうか」
「あれは、その・・・ちょっと纏めるには起きた事が多過ぎて、また今度で。それより、今日はこれを」
「まぁ、これは・・・」
机に置かれた物がカメラであると、異界の知識を有してるが故に理解したアナスタシアは、それを手に取り、まじまじと観察した。
原動力は異なるが、その仕組みは凡(おおよそ)そ同じ。
「ほー・・・」
「・・・・・・っ」
「ふむ、これはこれは・・・」
「ううっ・・・!」
モゾモゾして、物欲しそうな視線を向けるヘルメスをあからさまに無視して、暫くカメラの観察を続けるアナスタシア。
しかし、そんな見え見えの焦らしをさせられて我慢出来なくなったのか、試しに一枚撮ってみようかと、そう思ってカメラを構えたアナスタシアの足に、ヘルメスが縋り着いた。
「た、頼む・・・もう、限界なんだ。あ、あげる・・・それはあげるから・・・」
「・・・・・・」
「だから、早く・・・んひょ゛ッ♡!?」
大胆に晒すアナスタシアの生足をコアラのように抱え、媚びるような顔で見上げるヘルメスの股間に、鈍い衝撃が走った。
それは、アナスタシアがヘルメスの股間を蹴った衝撃。大した力を込めず、当たる直前に勢いを殺してるから痛みはそこまでではないが、それでも男の急所であることに変わりはなく、その一撃はヘルメスの理性を刈り取るには十分過ぎたようで。
ズボン越しに密着している足の甲へと、ヘルメスはヘコヘコとキンタマを擦り付け始めた。
「ぁ、はぁ゛っ♡ ぁぁ゛ッ・・・♡」
「・・・・・・」
離すまいと両手で足を抱え、太腿へと頬擦りをする様に、神の威厳など欠片も無い。
そんな無様な姿を、アナスタシアは変わらず笑みを浮かべ、しかしその瞳は何処までも冷酷に見下し、ヘルメスの痴態に向けてカメラを構えた。
「ぅア゛ッ・・・♡ ぁ゛♡ あぁ゛ッ・・・♡」
パシャリ、と。シャッターが切られ、ヘルメスの痴態がカメラから吐き出される。
その事に気付かない訳が無いヘルメスだったが、行為を中断することなく、寧ろさらに頬を蒸気させ、腰を早く振り出した。
「・・・・・・」
写真と、ヘルメスを交互に見て、冷ややかな視線に晒されたヘルメスはさらに腰を早くする。
擦り付けるキンタマと裏筋に、ぐにぐにと足を押し当てられ、快楽がさらに大きくなってくる。
「ホント、浅ましい・・・」
「ぅ、ぁぁ゛・・・♡ ぁぁ゛ッ♡ い、くっ、いくっ・・・♡」
ボソリと呟かれた一言が鼓膜を揺らし、ヘルメスを果てさせた。ギューっと足に強くしがみつき、襲い来る快楽に腰をガクガクとさせながら耐える。
自身の痴態を取り繕う余裕すら無い快楽に晒され、悦びを全身で表現するヘルメスだったが、しかしその様に反して、半勃ちの情けないちんぽから出たのは、雀の涙ほどの子種だけ。
パンツに阻まれ、ズボンすら濡らせない我慢汁のような射精は、けれどもヘルメスに動けなくなる程の快楽を今も尚、与え続けていた。
「や、ぁ・・・♡」
キュンキュン♡と軽イキを繰り返すキンタマに、カメラを脇に置いて果実酒を嗜んでいたアナスタシアが適当に足を押し付けていた。
こちらを見ようともせず、サッカーのボールを足で弄ぶかのように。
そんな神に対してあまりにも不敬な行為は、しかし他ならぬ神が値千金な情報と引き換えに望んだご褒美。
脚を開いて自ら腰を押し付ける様は変態以外の何者でも無く、身体が完全に屈服して逃げる事が出来ないヘルメスは、情けない声で、やまない快楽に対してせめてもの抵抗を試みた。
「ダメッ・・・イッて、るからぁ・・・♡」
「ん? ・・・あぁ、すみません。気付きませんでした」
「ぁ・・・♡」
喉を鳴らし、極上な果実酒を飲み干したアナスタシアはグラスを置くと、変態に捕まえられた足を軽く引く。
神の力を使えぬとは言え、それでも普通の成人男性の力はあるヘルメスを相手に意図も容易く足を動かせるのは、一重にヘルメスが彼女の動きを阻害させる気が全く無いから。
足を引いて、次に何が来るか悟ったヘルメスは・・・。
期待と怯えがごちゃ混ぜにになった感情が表に出たかのように、足を限界まで開き、腰を浮かせるという中途半端でみっともないポーズとなり、そこへ躊躇なくアナスタシアの蹴りが叩き込まれた。
「ん゛ッふぉ゛おォ゛っ♡♡♡♡」
膝から下を振り子のようにして振るった鋭い蹴りが、ヘルメスのタマキンを蹴り上げる。
所詮はレベル1のステータスしか持たぬ女の蹴りとは言え、急所への完璧な一撃。
爪先立ちになるまで身体を浮かせた姿勢で硬直し、アナスタシアがゆっくりと足を引くと、ガクりとその場に崩れ落ちた。
そして、お尻を突き出した体勢で、じょわぁぁぉ♡ とお股から染みが広がり始めた。
「ぁ゛・・・♡ は、ぁぁ゛・・・♡」
「・・・・・・」
その様をもう一枚パシャリ。
ばら撒かれでもすれば、神と言えど、もう二度と外には出れない程のスクープ写真。
これ一つでヘルメス・・・ファミリアを向こう何十年、何百年と脅し続けられるであろう代物を。
アナスタシアは興味無さそうに机に置くと、床に転がる汚物の頭をグリグリと踏み付けながら、新しく開けたボトルの味を堪能するのだった。
◇
どちゅ、どちゅ♡
暗い部屋の中で、静かな水音が響く。
「ぅぁ・・・♡ ぁぁ・・・?」
気を取り戻したヘルメスは、自分の状況が分からず、辺りを見渡す。
全裸のまま、両手を壁から生えた鎖に繋がれ、ベッドの上に座らせられていた。少なくともレベル1や2程度の力ではビクともしない鎖だった。
そして極めつけは、お尻の奥から全身に響き渡る鈍く思重い衝撃。何かに突かれ、その度に意識が飛びそうになる程の快楽が頭をぶん殴って来る。
半ば気絶仕掛けながらも、後ろ見てみれば至近距離に神すら息を呑む美貌のハイエルフの姿が。
訳が分からず、声を出そうとするヘルメスだが、しかしその声はお尻に襲う衝撃で上手く出せない。
その変わり、ヘルメスが起きたことに気付いた彼女、アナスタシアがヘルメスのお尻を掘りながら、なんて事の無い風に声を掛けた。
「あぁ、お目覚めですか。貴方様が気を失っている間に解しておいたのですが、調子は、どうです・・・かッ?」
「んほぉ゛ッ!?♡♡」
「ふふ、よろしいようですね♡ 良かった良かった♡」
甘く、蕩けるような囁き声が、脳に響く。
ただでさえ今も尚続くお尻の衝撃がヘルメスを狂わせるというのに、そのような事をされれば、最早とうの昔に堕ちているヘルメスは何もかもがどうでもよくなる。
取り敢えず、今は気持ち良いことに集中しようと、全ての雑念を取り払って、ただお尻に挿入された棒のようなものにだけ意識を傾ける。
どちゅ・・・♡ どちゅ・・・♡
「んぉ゛ ・・・♡ ふぉ・・・♡」
「ふふ、驚きました? ペニスバンド、というものです♡ 試作品ではありますが、中々悪く無いでしょう?」
そう言って、鎖によって横に両手を広げられ、無防備になった乳首へと靱やかな指が這い寄る。
期待と快楽で震える腰に応えるように、ペニバンの打ち付けと共に男らしさの欠けらも無いピンク色の乳首が、きゅむっ♡ と摘まれた。
「ふぎゅぅ゛っ〜〜っ・・・♡♡」
「あら、良い反応♡ 女の子みたい♡」
最近ではフル勃起すら出来なくなったおちんぽが、半勃ちのままトロトロと我慢汁を溢れ出す。
このままもう一度、自分の中の雄がぶっ壊れそうな絶頂を今か今かと待ち侘びるヘルメスだったが、そこでふと、足元に何か紙切れのようなものが置かれていることに気付いた。
「あ、漸く気付きましたね♡ ふふふふ♡ ほぉら、腰、止めてあげますから、ちゃんと見て下さいね♡」
長方形の手の平くらいの大きさの紙が、複数枚。
それがなんなのか、形だけで察してしまったヘルメスだったが、どうしてか目を背けることが出来ない。
恐る恐る顎を引いて、下を向いた彼の瞳に映った物。
それは、ベッドの上に並べられた、自身の可愛い眷属達が写った写真だった。
「ぁ・・・」
「ふふ、ふふふふ♡ 貴方様の服装を脱がせている時に見付け、まさかとは思いましたが、やはりそうでしたか♡ この写真は、貴方の眷属(子供たち)の物でしたか♡」
「や、やめ・・・て・・・」
「おや、おやおやおや♡ ふふ、ふふふふ♡ えぇ、えぇ、ご心配なさらずとも分かっていますよ♡ 態々こんな所に持って来たのですからね♡ えぇ、えぇ、分かっていますとも♡ ふふ♡」
嫌だと叫ぶ理性が、意図も容易く性欲に塗り潰されていくのを感じた。
こちらをジッと見詰める可愛い眷属(子供たち)に、ヘルメスは怯えるように身を引こうとするが、しかしその先にあるのはアナルにミッチリと入ったディルドのみ。
その事実に気付いて、彼はもう・・・。
「ぁ、ぁぁ゛・・・っ♡」
「ふふ、ふふふふ♡ 自ら腰を振り始めますか♡ ふふ、貴方を慕う眷属が、不憫でなりませんね♡」
目尻に溜まった涙が、ボロボロと溢れ出す。
快楽、後悔、快楽、罪悪感、快楽、快楽。
心の中は最早グチャグチャになって。泣きながら、快楽に染まった顔で、ヘルメスは狂ったように腰を振り始める。
「あぁ゛ッ・・・♡ は、ははっ゛♡ き、気持ち良いッ゛♡ もっと、もっと突いてぇ゛ッ♡♡」
「欲に溺れた豚風情が甘えないで下さいな♡ 自分の腰で、自分のちんぽで、汚物にも劣る穢らわしいモノで、ご自身の大切なご家族を汚しなさい♡」
快楽に堕ち切ることは許されず、またそれを誰かの所為にするのも許されず。
今から自分がする蛮行を、しっかりと脳裏に刻まれる。
あぁ、あぁ、逃げることは出来ない。
他ならぬ、自分の意思で、今から可愛い
そう思えば、ヘルメスの身体は益々興奮してしまい、端正な顔がさらに崩れていく。
「いや゛ッ、あぁ゛・・・♡ ごめ、なさいっ゛・・・♡ ネリーッ・・・! セインッ゛・・・! ローリエッ゛・・・! メリルッ゛・・・! ルルネッ゛・・・! ファルガーッ・・・! ぁぁ゛、あぁ゛・・・アスフィィ゛ッィ゛ッ゛・・・♡♡♡」
ピュ〜〜ッ♡ ピュ〜〜ッ♡
細く、サラサラな子種が飛び散った。
おおよそ、雌を孕ませることは出来なさそうな、我慢汁のような子種だった。
けれども、それらはヘルメスの浅ましい欲望を示すがの如く飛び散り、そしてそこに置かれた団員の写真全てに掛かった。
かつて無い程の快楽、そして背徳感。
やはり想像通りの、いやそれ以上の快楽を前にヘルメスは放心状態であり、虚ろな瞳で天井を見詰めている。すると、そんな彼をアナスタシアが鎖を外し、ベッドの汚れてない部分にうつ伏せで倒した。
「はぁ〜い♡ よく出来ましたァ♡ 家族の写真に汚い汁撒き散らして、気持ちよくなっちゃってる変態さんに、私からご褒美をあげちゃいまぁ〜す♡」
「ふぉ゛・・・!? ォぉ゛、ぉおぉッ゛ぉぉッ゛〜〜っ・・・♡♡」
抜けたディルドを再び挿入し、互いの腰がミッチリと密着するまで一気に根元までねじ込む。
そして、アナスタシアがヘルメスの上に覆い被さるようにして倒れ、ヘルメスの両手を顔の横で、両足はガニ股になるように両手足で押さえ付けた。
「ご褒美は、女の子になることです♡ ふふ、ふふふ♡ お尻を掘られて、家族に子種を撒き散らした悪いおちんちんなんかいりませんよね♡ だから、もう二度と勃たなくなるくらい、たぁ〜くさん女の子の気持ちを味わってもらいます♡」
「ふ、ぉ゛、ほ・・・♡」
その後の端末は、全てが終えた後に、ベッドで潰れたカエルのように床に伏せるヘルメスの姿が如実に物語っていた。
声を出すことすら許されず、枕に顔を埋めて、必死に意識を繋ぎ止めた刺激的な一夜。
うつ伏せで、グズグズに解かされ、耕かされたアナルをポッカリ開けた状態のまま痙攣するヘルメスは。
気絶しているかすらも定かでは無い意識の中、遂には勃起すらしなくなったおちんちんから我慢汁を垂らし、パシャリと聞こえるシャッター音を最後に意識を手放した。
◇
変わった、変えられた。
エルフの、それも王族の娼婦が居ると聞き付け、イシュタル・ファミリアに探りを入れて早数年。
数々の後ろ暗い取り引きを経て、下(しも)の話にダラしない男神らしく振る舞い、気付かれること無く、彼女の存在を知る事が出来た。
成果はあった。囚われた女神の如き美貌のハイエルフに、そんな彼女を人質を取られ、従うしかない可憐なエルフの騎士。
救いたいと、思った。
別に、正義の味方を演じる訳でも、ダークヒーローとして悪を滅するつもりも無い。
それなりに汚いことに手を染めて来た。自分が善神だ等と思ったことは一度もない。
だがそれでも、例えどんな悪神だろうと、気に入らないことの一つや二つはある。そして、そのような障害が目の前にあれば、鬱陶しいからと排除しようとする。
神なんて、所詮はそんなもの。状況次第で善にも悪にもなる、お気楽で脳天気な、暇を持て余した娯楽好きのトラブルメーカー。
ヘルメスが行おうとしている次代の英雄探しも、混沌に満ちる下界を救うためなどではなく、言ってしまえば、ただ英雄が見たかったらだけに他ならない。
だから、見誤った。
暗闇に輝く火の明かりに吸い寄せられた羽虫の如く、誘き寄せられたヘルメスは、まんまとその罠に掛かった。
『お前の事だ。きっと、そのヘラヘラと貼り付けた笑みの下で、また何か面倒な事を企んでいるのだろうさ』
ほんの少し。一夜だけの過ちが招いた悲劇。
似合わぬ使命感と同時に、ほんのちょっぴりだけ噂の快楽とやらを味わってみたいと思った、神としてのどうしようも無い好奇心が全てを変えた。
『別に、それが私にとっての脅威になるとは毛程も思っちゃいないが、それでも身の回りでぷんぷん飛び回られると存外鬱陶しいものでね』
力を失ったとは言え、これでも神であるし、なんなら美の女神と謳われた美神とだって交わったことはある。・・・まぁ、抱くというより抱かれる形になったのは男として情けない部分ではあるが。
それに、噂というものは得てして尾ひれが付くもの。碌に情報が出回らないのであれば尚のこと。
だから、どれだけ言い繕っても所詮は下界の子ども。神である自分が墜とされる筈が無いのだと高を括っていたのが運の尽き。
『だから、こうして首輪を着けさせてもらった。・・・と言っても、お前が自ら撒いた種だ。アレの快感を欲するというのなら、精々、私のためにキリキリ働け。そうすれば、お零れくらいはくれてやる』
神の御業と言うには、少し違う。
あれはヒトの、下界の子どもだからこそ辿り着ける、
神に寿命は無いから、いずれはそれにも慣れる時が来るだろう。
だが果たして、それは一体何年、何十年、何百年後の話になるだろうか。
「ヘルメス様」
「ッ゛〜!?♡」
背後から掛けられた声に、無意識にお尻がキューッ♡ と締め付けられた。
ここは大通り。そんな状態になっていい筈が無い場所で、しかしヘルメスは疼く体を止められない。
「ヘルメス様? どうかされましたか?」
何も知らず、声を掛けて来た可愛い眷属。
団長であるアスフィが、返事をしない己に怪訝な表情のまま、再度こちらへ声を掛ける。
「い、いや、なんでもない・・・」
いつもならよく回る口が、怪しさ満点の生返事しか返せなかった。
つい先日、その顔に汚い欲望をぶつけてしまった光景が脳裏に過ぎるから。それに反応して、またお尻の奥がキューッ♡と疼く。
「? ・・・そうですか。ならいいのですが」
可愛らしく首を傾げる彼女に、すまない、と心の中で謝っても、身体の疼きが止むことは無い。
あぁ、堕ちる所まで堕ちてしまったのだと、そう悟ったヘルメスは、けれどそれすらも快楽に感じてしまい。
人知れず、トロトロとした透明の液体をオムツの中に垂れ流していた。
次回はふたなり金髪エルフちゃんのちょっとした深掘り回(意味深じゃないよ)。