見下していたニクスに敗北し、全治一ヶ月以上の重傷を負い、さらに心に傷を負ったエリナはヴァンス領の自室にて怯えていた。
ニクスに敗北してから“火”がトラウマになった彼女は、“焚き火”や小さな“篝火”を見ただけで震え上がり、部屋に引きこもってしまうようになったのだ。
そのあまりの変貌ぶりに城の者達は驚いていたが、そんな妹の変わりように一番驚き、心配していた人物がいる。
「エリナ……。」
カーテンの閉まったエリナの部屋を遠くから眺めるのは、エリナの腹違いの
彼女は正室の子ではない平民出の母から生まれたため、ヴァンス家の継承権は第三位である。平民出の母を早くに亡くし、父・ヴァンス伯爵からは娘というよりは家臣として育てられた。
女王直轄領との国境の長城に駐屯しており、最前線で軍務をこなしており、指揮能力の高さに加え、剣技も大陸随一の腕前である。
そんな彼女の実力と相まって、雷光をまとった魔法剣は鬼神の如き強さを発揮する“サンダークラップ”は彼女の身の丈以上ある“ツーハンデット・ソード”であり、将軍として前戦に立ち続け得た彼女の強靭な筋肉と技術があって初めて扱う事が出来、電神の加護を帯びていることから非常に扱いづらいが、同時に雷の魔力を無効化することができる。
またその剣を使用することから人々から"雷雲の将"と畏怖の念と共に呼ばれるようになった。
そんな彼女もクイーンズブレイドに参戦しており、参加理由は、伯爵の命によりエリナでは次女レイナ捕縛が難しいと判断し、クローデットにもその任務を与えたためだ。
しかしクローデットは継承権第一位でありながら、無責任に家を飛び出したレイナに対しては憎悪に似た感情を抱いているが、本来はエリナと同じくらい大事な妹だと思っている。
しかし、エリナに対しては病的なシスコンであり、彼女のことになると、彼女のことを溺愛し過ぎている為に周りが見えなくなってしまう。
そんな彼女が大きな火傷を負わされ、以前とは全く違うと言えるほどに怯えてしまったエリナを見て、大切な妹に傷を負わせた相手に対して、強い怒りを覚えていた。
「ニクス……。エリナをこのようにした事、必ず後悔させてくれる。見つけ出し、罪を償わせる。」
クローデットはそう呟くと、サンダークラップを手に城を出たのであったが、その目には強い憎しみと怒りが宿っていた……。
◆◆◆
マルスはナナエルと天界を堕とした後、領地を拡げながら旅をしている。
ナナエル、及び天界の天使たちと天使長達はマルスの調教によって堕ちはしたが、翼などは白いままであり、男達と交わる時も何処か恥ずかしそうにする彼女らに男達は強い興奮を覚えた。
ナナエルに至っては淫は夢のような国である。男達に好きなだけ求めて貰える上に、出来る範囲の仕事をすれば文句を言われないので、気に入っている。
ちなみに天界には特殊な“農場”を造り、そこで造られる野菜はどれも貴族が食べるものよりも質が良い物ばかりであった。
そんな中、マルスはニクス、バーヴァン・シーとともに新たな
「貴族は基本的に民を見てません。
貴族は自分達がそれで良し、民のことなんて見てません。」
「へぇ〜?
「人によって統治の仕方に違いはあるがな。
しかし、あの様子は……酷いものだ。」
マルス達はここに来るまでに民達の暮らしを見ていた。
貴族達が煌びやかな暮らしをしている中で、民達の身体は痩せこけていたり、飢えに苦しみながら泣いていた。
その光景はかつて、マルスが統治する前の中華に酷似しており、民達の目からは生きる希望が消え掛けていた。
「(この大陸もなんか色々とゴタゴタしてるみたいだな。)ん?」
マルス達が食事をしていると、そこに大剣サンダークラップを携えた赤毛の女性、クローデットが近付いてくる。
「貴様がニクスだな?」
「あんたは、クローデット……!?」
「知り合い?」
「この大陸では有名な将よ。“雷雲の将”って呼ばれてるの。」
バーヴァン・シーは興味なさげにクローデットを見る。
実力はバーゲストより下くらいだが、
「な、なによ?言いたいことがあるなら言いなさいよ!」
「……こんな奴にエリナは傷つけられたのか。
一体どんな手を使ったのかは知らんが、許せるものではない。」
「へ?」
クローデットはニクスに向かって言い放った。
「ニクス、貴様にクイーンズブレイドを申し込む。」
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