マルスがクイーンズブレイドの世界を見聞してから数日が経った頃、高翔と妻である凪(楽進)は豊の食堂で昼飯を食べていた。
凪は辛い物が好きなので痺れるほどに辛いエビチリ定食、高翔も凪の影響なのか辛い物が得意になってきたので辛いラーメンを食べている。
ここだけの話、豊の造る辛い料理はとても辛い。
匂いだけで涙が出るほどに辛いのだが、2人が平然と食べているのを見て、周囲は若干引いている。
「はむっ……ん〜っ♪海老がプリップリッでいて、その身と合う様に造られた辛いソースがたまりません♪」
「ずるるるっ!ん…ん……。はぁ、この拉麺もだよ。
確かに辛いんだが、ただ辛いんじゃなくて味がしっかりしてる。たまんない。」
とても幸せそうに笑顔で食事をする2人の姿は、まさに真剣そのものである。
「「「「(いやこっちは辛い刺激と雰囲気の甘さで吐きそうなんだが!!?)」」」」
周囲はその甘々な関係に嫉妬で血涙を零しそうになっていた……。
◆♡◆
食事を終え、2人は警邏に戻るとそれぞれの担当の区画を見て回っていた。
平和になったからといって油断してはいけない。
世の中には淫で造られた道具や食べ物、衣服、さらには女を売り飛ばさんとする不届き者が多くいる。
何日か前にも淫の娼婦を攫い、売り飛ばそうとした不届き者がいたが、凪の活躍によって食い止められた。
「不審者……。不審者……。うん、この辺りにはいないみたい。」
凪は辺りを見渡しながら、進んでいく。
しかし、その時である。彼女の見聞色に女性が攫われる光景が映り、凪はその場所へと向かって走る。
その日から凪が姿を消したのであった……。
◆◆◆
「
どう思う、華琳?」
クイーンズブレイドの世界から戻ったマルスは、戸惑うように報告書を渡してきた警備隊の兵士から書類を受け取り、内容を確認する。
その内容にマルスは首を傾げながら、華琳に尋ねると華琳はそれを否定した。
「ありえないわ、マルス。凪は真面目な娘よ。
警備隊の仕事に誇りを持ってるし、責任感も強い。
消えるなんてありえないわ。」
「俺もそれは分かってる。彼女の性格上、仕事を放っていなくなるのはあり得ない。……いったい何が?
『だぁん!!』ん……?高翔か。」
扉を勢いよく乱暴に開けて入ってきたのは、凪が居なくなってから不安になって焦りだし、町、いや大陸全土を見聞色で捜し回って、倒れた高翔であった。
「マルス様、凪を捜すのを手伝わせて下さい。」
「高翔。今は休んでろ、今から町に降りて手掛かりを探す。」
「俺も同行させて下さいっ……!!!
凪は俺にとって大切な存在なんです!!
……お願いします!!」ダンッ!!
高翔は床に頭を叩きつけるほどに深い土下座をし、それを見たマルスは、玉座から立ち上がると高翔の前に立つ。
「頭を上げろ、高翔。……、そんなに来たいのなら付いて来い。凪の担当区画を教えてくれ。」
「っ!は、はい!」
マルスと高翔と共に玉座の部屋を出ると、高翔は焦ったように走っていき、マルスはその後に着いていった。
その中でマルスは高翔に連れられて、凪が担当していた区画に訪れると、そこで凪の捜索を行う。
しかし、凪の足取りは掴めず、流石に悄気そうになった高翔だったが、マルスは何やら一軒の“空き家”を見ていた。
「マルス様、どうかしましたか?」
「……高翔、付いて来い。」
「え?は、はい……!」
マルスのいつもと違う雰囲気に頷くと、高翔はマルスの後に続いて空き家に入っていくと、その壁に触れた瞬間にマルスは壁へ魔力を流す。
すると、マルスの魔力に反応したのか薄っすらと魔法陣が浮き出した。
「こ、これは!?」
「転移型の魔法陣……簡単に言えば魔術だな。
誰かがコレを使ったようだ……行くぞ。
恐らくこの先に凪がいる。」
「っ!!はい!!」
マルスと高翔は魔法陣を通して、その先へと入っていき、しばらく歩いて魔法陣の奥に通じていた先は、豪勢な屋敷であった。
そして、マルスはその瞬間に“
「マルス様、ここは?」
「……悪趣味な屋敷だな。高翔、凪の気配はこの奥からだ。」
「っ!!?本当ですか!?」
「行って来い、あまり余裕はなさそうだ。
俺はやる事がある。」
「は、はい!!」
高翔は凪が奥にいる事を聞くと、一目散に駆け出し、マルスは屋敷の地下へと向かった……。
◆◆◆
高翔Side
「(凪、頼むから無事でいてくれよ!!)」
俺は、マルス様から凪の気配を感じたと言われ、奥の部屋に進んで行っている。
幾つもの扉をぶち開ける感覚で、奥へと進んでいくと、最後に待っていたのは分厚い鉄の扉であった。
「(何だ、この鉄の扉……?それよりも……!)はあぁっ!!」
ダアアァンッ!!
扉をぶち破ると、その先で見たのは虚ろな眼をして鎖で吊り上げられている、ボロボロに傷付いた凪であった。
「は……?な、凪?凪!!!!」
鎖を砕いて凪を横抱きにして声を掛ける。
すると、凪はゆっくりとこちらに視線を移してきた。
「こ、う……翔、さ……ん……。」
「良かった……!でも、なんでこんな所に……!?」
「あぁ?おいおい、何だてめぇは!?」
「……あ?」
ダミ声のした方を見ると、そこには小さな醜い生き物がいた。
その手には鞭があり、威圧的にこちらを見ているが……それよりも、こいつに聴かないといけない。
「お前が、この屋敷の主か……。
お前、彼女に何をした……?」
「ああ?もしかしてその“傷女”の事か?
お前、そいつの男か?そんな傷だらけの醜い女が好みとはなぁ!!げひゃげひゃげひゃげひゃ!!!」
こいつ、何笑ってんだ?
というか、傷女……だと?まさか凪の事か?
「……まれ。」
「げひゃげひゃげひゃげひゃ!!あ~おかしいぜ!
んで〜?何か「黙れって、言ってんだよ!!!!」『ドゴオオオォッ!!!』げばああぁっ!!?」
俺は怒りのあまり、奴を武装色を纏った拳でぶん殴った。
何か砕ける感触と肉が切れる音がしたが、俺にはどうでも良かった。
「おい、お前……さっき、なんて言った?
傷女……?それってまさか……凪の事か?彼女の事を言ったのかぁ!!!!!」
「っ!!?」
覇気が漏れて、屋敷中を軋ませており、奴の顔には恐怖が滲み出ており、身体を震わせている。
「こ、この化物が!!?ぶ、ブランウェン!!
ブランウェン、早く来い!!!」
「……。」
こいつの声に反応して現れたのは、現れたのは茶髪の女だったがその手には錆びた剣と盾、足には鉄球が付いていた。
「ブランウェン!!!こ、こいつを殺せ!!!
出来るだけ、む、むむ、無惨にだ!!!
この俺様の顔を殴ったこのバカ野郎を殺せ!!!」
「くっ……。」
ブランウェンとかいう女は剣を構えると、こちらを警戒しているのか構えたまま動かない。
「……本当は、女を相手にするなんて気が進まねぇが、やるのなら相手してやるよ。
今は……腹の虫がおさまらないんだ!!
来い、“
「なっ!!?」
「なんだぁ、あれはぁぁぁ!!!?」
奴らには見えたみたいだな……俺がマルス様から頂いた“力の化身”が。
俺がマルス様から頂いたのは……。
・あらゆる徒手格闘の技
・見聞色と武装色の覇気
・専用の手甲と足甲
そして、“戦輝神ゼルドナーグ”という存在であった。
こいつの力は凪から学んだ氣術の精度を高め、さらに拳や足、頭の天辺まで氣を巡らせる事で鉄の扉すら破壊できる。
さらに青い氣を拳や足に纏わせて打ち込むと、相手の内臓にまで衝撃を浸透させて破壊できるのだ。
「ブランウェン、とか言ったな?
悪いが……手加減しないぞ。」
「黙れ!!はあぁぁっ!!」
「
「っ!!?『ダアアアンッ!!』がはっ……!?」
ブランウェンは吹き飛び、壁に叩きつけられ、それから動かなくなった。
「ぶ、ブランウェン…?おい、起きろよ?何寝てんだよ……?お、起きろって「おい。」ひいぃっ!!!?」
今まで強気に命じていた癖に、ブランウェンが動かなくなったのを見て、震えていた。
あとは、こいつを殺して終わりだ。
「ま、まま、待てよ!?お、お前はあの傷女が欲しいのか!?な、なら、あんな傷だらけの女なら銀貨1枚「おい。」へっ?」
バキッ!!!
「〜〜っ!!?ぐぎゃあああああああっ!!?」
あまりに巫山戯た事を抜かしたので、コイツの両腕を圧し折った。
「お前、いくつか勘違いしてるぞ。
まず、彼女は“傷女”じゃなくて“楽進”って名前があるんだ。
それにあの傷は大切な証なんだよ、馬鹿にするな。
あとな?“銀貨”だあ?……?
彼女は俺の嫁だ……モノ扱いするんじゃねぇよ!!!」
「ひいいぃいいいっ!!?
ま、まま、待てよ!!俺を、このドグラ様にこんな真似して!!?ま、魔女様が黙ってねぇぞ!!?」
「上等だよ。」
「へ……?」
「魔女だか何だか知らないが、お前みたいな寄生虫が着く程度の奴なんて怖くも何ともない。」
「〜〜っ!!?く、くく、来るなあぁぁっ!!?」
俺の覇気に怯えて、小便を漏らした奴……ドグラは一目散に逃げていったが……逃がす気はサラサラ無い。
「逃がすかよ……“
ダアァアアンッ!!
「ガペッ!!?」
放たれた拳の一撃にドグラの頭を潰し、ドグラは物言わない肉塊になった。
「ざまあみろ、クソ野郎。」
「随分暴れたようだな?」
「マルス様?今までどちらに?」
「下にいた奴隷達を助けながら、邪魔しに来た傭兵とかを潰してたら遅くなった。
それより、凪を治療して帰るぞ。
……そこに倒れている女も含めてな。」
「はい。」
マルス様が凪の治療をしてくれた後に、ブランウェンを連れて俺達は淫に帰った……。
リクエストなどあれば待ってます。
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