「今日の依頼は大変でした。」
「そうですね。早く帰ってお風呂に入りたい「おじしゃん、おかわり!!」あら?」
駒王学園での部活を終えた朱乃と小猫が淫に帰ろうとしていたら、近くのおでん屋の屋台から女性の声が聞こえ、思わず二人はそちらへ向く。
そこには銀の長髪のスーツ姿の美女が、屋台で何やら飲んだくれていた。
「わらしだって真剣にやっれるのに、何れよ〜〜!?ゴキュゴキュっ!ぷはぁ!」
「荒れていますね。」
「ふぇ?」
その美女を一目見て何を思ったか朱乃は美女に気遣うように話しかける。
「どうかなさったのですか?お話聞きますよ。」
「ありがとうごじゃいましゅ……じつはわらし、左遷されちゃったんれす〜!うわ~~ん!」
泣きじゃくる銀髪の美女は泣きながらも酒を煽る。
話を聞けば、彼女はロスヴァイセというアースガルズから来た戦乙女との事。上司である主神から地上見てこいと言われていたが、実質左遷させられたのであった。
ロスヴァイセは自棄酒を繰り返し、天界での努力の日々をつらつらと叫んでいった。
「なら私がどうにかしましょうか?」
「ろうにか?なにを?」
隣で仕事の愚痴に付き合っていた朱乃は、とある提案をした。
「私のお知り合いに偉い方がいますの。その方に頼めば仕事も住居にも困りません。きっとロスヴァイセさんも気に入りますわ!」
「うわぁ、満面の笑顔。」
どう見ても善意だけの提案じゃない。淫という沼に沈める気満々だと小猫の目には映っていた。
「わ〜い!じゃあ行きま〜す!」
「うふふ……おじさん、代金をお支払いしますわ。」
「へ、へい!まいど!」
勘定を済ませた朱乃は、酔っているロスヴァイセを背負った小猫と共に淫と直接繋がっている拠点の屋敷へと向かい。そこから経由して淫へと戻っていった。
「それで?彼女をこの国で働かせて欲しいと?」
「はい。一目見て素質はあると確信しまして。素材も見た通り上質ですよ?」
「一目で見抜けるその目利きはなんなんだ?まあ勧誘した以上、こちらもしっかり対応するが……」
「うぷっ……飲み過ぎて、気持ぢ悪い……」
「はぁ……詠、すまないが厠に連れて行ってくれ。あと薬を頼む。」
「汚物まみれにされたら堪ったもんじゃないしね。了解したわ。」
吐きそうになっているロスヴァイセを見て、詠はやれやれと呆れてトイレに連れて行った。
その後、回復したロスヴァイセと面接をしようとした時、マルスの顔を見たロスヴァイセはガチガチと歯を鳴らしながら震え始め、床に尻もちをついてしまう。
「?おい、どうした?」
「っ!!!!!?いやぁ~!!!来ないで〜〜!!!」
ドオーーーーーーンッ!!
ロスヴァイセはマルスに向かって魔法を放ち、その後ろに飛び退く。
「来ないで!!来ないで!!来ないで〜!!?」
「ふんっ!」
「お前、死ね。」
泣きべそを搔きながら致死量の魔法を放ち続けるロスヴァイセ、そんな彼女を思春が押さえつけ、気絶させる。そしてその頭に向かって戟を振り下ろそうとした恋。そこに怒りしかなく、朱乃たちも戸惑うばかりだ。
「恋、殺すな。」
「何で?こいつ、マルスを傷付けた。さすがに許せない。」
「マルス様、私も恋に同意見です。この女は即刻処分するべきかと。」
「それはロスヴァイセの記憶を見て判断する。処分を決めるのはその後だ」
そもそもマルスからしたらあの程度の攻撃はまったくダメージはない。それに自分を見て攻撃してきた理由が気になったマルスは、ロスヴァイセの頭に手を乗せて彼女の記憶を探った。
その中で見た光景はマルス、華琳、恋によって蹂躙され、崩壊寸前まで追い込まれた天界だった。その時の恐怖とトラウマが幼かったロスヴァイセに刻み込まれ、それから幼い頃からずっと死に物狂いで鍛えている光景が続いていた。
「なるほど、大体分かった……彼女を部屋に運べ。目が覚めたらそのまま面接の再開だ。」
「よろしいのですか?」
「あぁ、逆に朱乃と小猫が連れてきてくれてよかった……。天界への通路が再び開けそうだからな。」
先程の事をまったく気にせずに、準備を進めるマルスの様子に恋はちょっぴり不満顔で拗ねたのだった。
◆◆◆
「うぅぅん……ここ、は……?」
「目が覚めたか。」
「え?………!!?」
マルスの呼びかけに、ロスヴァイセは幼い頃のトラウマを思い出す。暴走防止の拘束で逃げられないことに気付いて絶望に震えるロスヴァイセにマルスは優しく話し掛ける。
「落ち着け、俺は何もしない。今日は面接をするためにいるんだ。」
「ほ、本当に……?本当に殺さない?」
「あぁ、殺さない。」
マルスはロスヴァイセの拘束を解き、ベッドに座らせてから、紅茶の入ったカップを渡して飲ませて落ち着かせた。
面接自体は簡単なものであり、淫にて働く際にピンク産業がメインである事を伝えれば、ロスヴァイセは頬を赤くして俯く。どうやら生娘らしいが、それにしては嫌そうな反応は見せていない。
「あ、あの……私、初めてで、その、ぴ、ピンク産業の中に上手く入れるか分からないです……。」
「(まともな経緯で入った)新人にいきなり無茶をさせるつもりはない。まずは見学からだ。この国で過ごしてから後々決めてもらう。」
「は、はい!」
ロスヴァイセの淫の国の新生活が始まったのであった……。
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