とある晴れた日の事、マルスは蔵の中を出入りしており、片付けをしていた。
「よし、これを運んだら終わりだな。」
「おや主。何をなさっているので?」
「星か。少し蔵の整理をしてるんだ。この荷物で最後なんだ。」
「ほほう?主の蔵ですか……中を拝見しても?」
「見てもいいが面白いのは入ってないぞ?使わずに貯めてる物ばかりだからな。」
そう言いながらマルスは蔵を片付けていく。中には宝石やら溢れんばかりの金貨、後は面白そうな置き物や武具などがあるだけであった。
「ふむ、主は金や宝石が好きなのですか?」
「ん?いや、コツコツ貯めてたら貯まってたんだ。換金するのも面倒だから放置しているんだ。欲しいのがあるのなら持ってけ。」
「ふむ、性欲はあるが物欲がないとは珍しいですな。ん?」
星は鮮やかな色合いの蝶の仮面を手に取ると、それをじっと見ていた。
「主、この仮面を頂いても宜しいですかな?」
「ん?あぁ、艶美蝶の仮面か。良いぞ持ってって。」
「ありがとうございます。……ふふふっ!」
マルスから仮面を貰った星は、くっくっくっと笑いながら帰っていった……。
「…………チョワアアアアア!!」
◆◆◆
マルスが蔵を整理してから数日後の事、彼は自室にて書簡の片付けを行っていた。
そんな時、愛紗が駆け込んできた。
「ご主人様!」
「何だ愛紗、駆け込んできて?何かあったか?」
「街で喧嘩が起こっており、今は牛金が止めているのですが、いつまで保つか分かりません。ご主人様にお止め願いたいのです。」
「分かった。今行く。」
街道に出ると、男2人が酔っぱらって喧嘩をしているのを、牛金と高翔が止めようとしていた。
「全く飲みすぎだろ。仕方ない、水ぶっ掛けて落ち着かせ」
「ハーーーハッハッハッ!!何たる混迷!如何に大陸を統治しようとも、人の心までは掌握出来ぬということであろうか。淫の王よ!」
謎の高笑いが聞こえてきて、周囲にいた愛紗達は警戒しながらも辺りを見廻す。
「ふざけたことを抜かすな!姿を見せろ!!」
「ヤーヤーヤー!遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!我こそは……華蝶仮面!」
そこにはマルスから貰った蝶の仮面を被り、白いビキニアーマーを着た星?の姿が。しかも、そのビキニアーマーは前貼りニプレスで後ろからは裸にしか見えないタイプの。デザインも蝶の形で施されていて、わざわざ誂えたのだと分かる。
「貴様何者だ!?そんなふざけた格好でご主人様を侮辱する気か!?」
「ふふんっ♪主の寵愛を求めるとは可愛らしい家臣をお持ちですな、淫の王よ♪」
「何をしてるんだせ「我が名は華蝶仮面!槍の名手であり、眉目秀麗な趙子龍とは赤の他人よ。」いや聞け。誰もそんな事は言ってない。」
「何が華蝶仮面だ!この露出狂が!その仮面、剥ぎ取ってくれる!」
激昂した愛紗が黒龍偃月刀を振るうが、その一撃を軽やかに躱されてしまう。その軽やかな動きによって生まれる、ほぼ全裸姿の華蝶仮面の胸や尻の躍動感に、一連の流れを見ていた周囲の男達は感嘆の声を上げた。
「なっ!?」
「なんと無粋な。刃ではなく女を磨いたほうが良いのではないか?関羽将軍。」
「このっ!?「愛紗、止めろ。」ご主人様!止めないで下さい!あの露出狂を始末しなければ!」
マルスは頭に血が上っている愛紗を止めるように得物を奪う。
「敵意がない相手を斬り殺すな。華蝶仮面だったな、要求は何だ?」
「いやなに、天下の皇帝を改めて見たいと思ったまでのこと。マルス殿は女性に優しいお方のようで良かった良かった。しかし、これではいつか刺されてしまうかもしれませんな。」
「刺されるのならそれも受け止めるだけだ。」
「それはそれは豪胆な。ですが、気に入りましたぞ。この華蝶仮面、いつかまたお会いする時があるでしょう。ではまたいつか。」
「この!逃がすな!探して捕まえるのだ!」
すれ違う度に男達の視線を集めて走り去っていった華蝶仮面のやっぱり裸にしか見えない後ろ姿に、マルスはやれやれとため息を吐くのであった……。
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