※この作品はR-18です。

もし、あのとき、あのあと少女たちの身に悲劇が√   作:クラーク・マッケンジー

36 / 37
原作「Re:ゼロから始める異世界生活(なろう版、アニメ3rd season)」


35 もし、レグルスに性欲があったら√

 嫌味なくらい高い天井と、そこそこの見られた装飾がされた空間。ベッドの上で、まあまあの品質の毛皮のーーしかしながら、ベッドに眠る僕の花嫁には似つかわしくないーータオルケットに包まれた彼女を見つめる。

 

「素晴らしい。長らく待った甲斐が、本当にあった」

 

 愛すべき人に出会えた。無欲な僕の、ささやかな願いが叶い感無量だ。仰向けに眠る僕の花嫁エミリアーーいや、七十九番は氷像の様に静かに寝息をたてている。

 

「僕の愛が君にきちんと伝わればいいんだけど。言葉だけで思いが十全に伝わるなんて驕った考えを持ってはいけないよね。いくら僕と君が運命の二人だとしても、だからこそ思いをきちんと行動で示すことは大切だ。だから、きちんと君に僕の愛が伝わる様に行動するよ。僕はそれができる人間だから」

「……ぅん、……」

 

 七十九番が擽られたように身を捻る。その拍子にタオルケットがずれて、白い肩と滑らかな首筋が姿を見せた。

 

「うん、でも君が目覚めた後にどれほど言葉を尽くそうと、行動に移そうと、それはとても嘘くさい行為になってしまうよね。ただ性欲を満たしたいが為に愛を囁くそこらの低俗な男と同じだと君に思われるのなんて、僕は耐えられない。君はそんなことを思わない、僕の愛をちゃんと分かってくれるって信じているけれども、一抹でもそんな誤解が君の頭によぎること自体が、いくら我慢強い僕でも耐えられない」

 

 僕は彼女の頰に触れる。柔らかくてスベスベで、なのに押すとモチモチ。僕はもうすっかり彼女に夢中だった。

 

「だからね、僕は君が眠っている間に、愛を伝えるんだ。君が例え反応を返してくれなくても、行動できるんだって証明になるからね。見返りがなくても相手を思い行動できることが『本当の愛』だと僕は思うんだ」

「……ぅ、ん……」

「君のあの紫色の瞳が僕で満たされたところが見られないのは、とても残念だけど、きちんと愛を伝える為だから仕方がないよね」

 

 額に散った銀髪を払い、七十九番の顔をよく見る。長いまつ毛が微かに震えていて、ああ人形のように美しい顔立ちも夢見心地でどこか現実味がない。

 

「大丈夫。これまで何人にも愛を伝えてきた経験が僕にはあるからね。君に与えるのはとびきりの愛だ。だから、きっと目を覚ませば君も分かるはずさ。どれだけ自分が僕に愛されているかってことがね」

 

 そううっとりと呟くと、七十九番は困った様に眉根を下げた。「う、ぅ……」と曖昧な音が薄く開いた唇から漏れて出る。

 僕は髪を払っていた指を彼女の顎に添えるとそっと持ち上げて、その薄い唇に自分の唇を近づけていく。

 

「……ぅ……ん……」

 

 顔を更に近づければ互いの鼻先が触れ合った。七十九番から漏れ出す吐息が僕にあたるのを感じながら、僕は彼女に唇を寄せーー

 

「ーーんっ」

 

 柔らかい唇。触れ合うだけの口づけ。

 

「ふふ、可愛いね。本当に君は可愛いよ」

 

 上気した頬。潤んだ瞳。それが自分に向けられると思うと愛おしさで胸が一杯になる。僕は彼女の唇に何度も啄むように口付けるが、七十九番はそれでも目覚めない。

 

「もう少し、深くしても大丈夫かな?」

 

 僕は彼女の唇を舌先でなぞる。「ん、ぅ……」と七十九番が擽ったそうに身動ぎした。

 

「大丈夫。怖くないよ」

 

 そう囁いてから僕は彼女の唇の間に舌を差し込んだ。歯列をなぞり、奥に縮こまっていた舌に僕のそれを絡める。柔らかくて、熱くて、甘い。

 

「んっ……ふ……っ」

「はぁ……っ、可愛いね……」

 

 重力に引かれた唾液が七十九番の口端からポタポタと溢れていく。それを舐め取りながら、僕は口付けを深くする。彼女の後頭部に手をやり、頭を固定して何度も何度も舌を絡ませた。

 

「ふふ……っ」

 

 彼女を味わい尽くしてから口を離すと、間に銀糸が引かれていく。僕はそれをペロリと舐めると「んー……」と少し唸った後に再び口を開いた。

 

「大丈夫? 息は苦しくないかい?」

「ん……ぅ……」

「そう? なら良かった。じゃあ続きをしようか」

 

 いよいよ、タオルケット越しに優しく彼女の胸に触れる。その感触は柔らかく、そして温かい。

 

「僕は愛を伝えたいだけだからね。君の中に挿れて終わりじゃ意味がない。目覚めてからも感じられる様に、僕は君に僕の愛を刻み込みたいんだ」

 

 七十九番の胸をタオルケット越しに優しく揉みながら僕は言う。「ぅ……ん……」と七十九番が身動ぎした。

 

「大丈夫、安心して僕に身を任せてね」

「ん、ぅ……っ」

 

 彼女の首筋に顔を埋めて、そこに強く吸い付く。赤いキスマークが白い肌によく映える。その痕を舌でなぞってから、またそこに吸い付いた。

 

「はぁ……っ、可愛い……」

 

 鬱血痕だらけになった彼女の首筋を見てうっそりと笑う。キスマークは僕の想いの証だ。七十九番に、この強い愛の証を残せてとても嬉しい。

 

「本当に可愛いね」

 

 僕は七十九番の首筋に何度も口付ける。そしてそのまま彼女の鎖骨に唇を這わせた。「んっ……」と微かに彼女が身動ぎする。その拍子にタオルケットがズレて、彼女の肩と白い乳房が顕になる。

 

「ふふ……っ。顔だけじゃなく身体まで可愛いね」

 

 僕は七十九番の首に、喉に、鎖骨に幾度も口付けて赤い痕を残す。そして彼女何度も舌先で彼女を愛でながら、僕はようやくその豊満な胸を揉みしだく。

 

「はぁ……っ、柔らかい……気持ちいいよ……」

 

 初めて触れる胸の柔らかさに思わず溜息が漏れた。直接触れて分かったけれど、彼女の乳房はとても形がいい。張りがあって、柔らかい。この胸が今まで僕以外の輩に服越しとはいえ視姦されていたかと思うと、そいつらが犯してきた分、身体を分割してやりたい衝動に駆られる。しかし今はそれは僕の手の中だ。僕はその感触を楽しむ様に、やんわりと力を込める。

 

「うん……っ」

 

 七十九番が身動ぎする。その拍子に彼女の胸の頂にある薄桃色の突起が僕の目に入る。

 

「ああ、ここもちゃんと愛してあげないとね」

 

 そう言って僕は七十九番の胸を揉みながらその先端を口に含む。そしてそのまま舌先でそれを転がした。

 

「ぁぅ……っ、んっ……」

「ふふ、可愛いね。ゆっくり愛してあげるからね」

 

 僕は七十九番の胸を揉みながらその先端を舐めて、そして唇でそれを挟んだり軽く吸ったりする。舌を小刻みに動かして舐めたり弾いたりすると七十九番はそのたびに甘い声をあげた。

 

「はぁ……っ、ぁぅ……っ」

「うん、ちゃんと僕の愛が伝わっているみたいで何よりだよ」

 

 彼女の反応に気を良くして、僕はもう片方の胸の先にも吸い付く。そしてそれを同じように可愛がった。

 

「あっ……ぅ……」

 

 七十九番の甘い声を聞いていると、下半身に熱が集まってくるのが分かる。

 僕は彼女の手を取ると、すっかり彼女の魅力に首っ丈な自分のそれに触らせた。

 

「どうかな。君の魅力が僕をこんな風にしてるんだ」

 

 僕は彼女の手に自分の手を重ねて、それを上下させた。彼女の美しい指に僕の先走りがついたのを見て、得も言われぬ感情が湧き上がってくる。ああ、これだ。これこそが愛だーー僕はその衝動のままに七十九番の手を更に動かすと、グッと腰を押し付ける様にして体を震わせた。

 

「はぁ……っ、まったく君はとんでもない子だね……。眠っているのに僕の愛をこんなにも引き出してしまうだなんて……」

 

 僕の愛ですっかりドロドロになった彼女の掌。そこからひとかけら掬い取るとそっと彼女の口元に持っていった。

 

「ほら、君が搾り出した僕の愛だよ。しっかりと味わってね」

 

 七十九番の微かに開かれた唇の間に、僕の指先から一滴、二滴と愛の証が落ちていく。七十九番はそれを無意識に舌で受け止めると、少ししてこくんとそれを飲み込んだ。

 

「ふふ、いい子だね」

 

 僕は七十九番の頭を撫でながらその唇にそっと口付ける。

 

「ーーん……」

「じゃあ、いよいよ君の中に僕の愛を刻もうか。大丈夫、ちゃんと準備はしてあるからね」

 

 僕は七十九番を仰向けに寝かせると、彼女の足を割り開く様にしてその間に体を入れた。

 

「ふふ……っ、可愛いね」

 

 雪原の様に余計な物が一つもない彼女の体。その足の付け根に咲く、薄桃色の割れ目を僕は指でそっとなぞった。

 

「はぁ……っ、本当にっ」

 

 そのまま指を滑らせて、肉芽と花弁の間ーーそこに隠れた穴に触れる。そしてそこを優しく撫でたり軽く押したりしながら、七十九番の耳元に唇を寄せる。

 

「大丈夫。ちゃんと痛くない様にしっかりと準備するからね」

 

 僕はまずは一本、ゆっくりと指を入れる。きゅうきゅうと痛いほどに締め付ける彼女のなか。指越しに彼女の体温を感じ、思わず口角が上がった。

 

「はぁ……っ、温かい……」

 

 たまらず彼女に口付ける。軽く歯列をなぞる様にしてから舌を絡ませると、彼女は無意識だろうがそれに応答する様に舌を動かした。僕は愛おしさがこみ上げてきて彼女へのキスを深める。そして飲み込ませた唾液を、七十九番がコクリと喉を鳴らして飲み込んだ。ああもう、なんて可愛いんだ! 

 

「はぁ……っ」

 

 十分に待った僕は指をもう一本増やすと彼女の中にそれを差し入れて、ゆっくりと動かす。

 

「はぁ、ぁ……っ」

「うん、大丈夫そうだね」

 

「ん、ぁ……」と七十九番が身動ぎしたのを僕は口付けて制した。

 

「見てごらん。こんなになって……。君も僕の愛が待ちきれないんだね」

「ぁ、ぅ……」

 

 僕は七十九番の秘部に三本目を入れる。そしてそのままバラバラに動かすと、彼女はまたも「ぁ、あ」と身動いだ。

 

「可愛いね……。辛抱強い僕でも、もう我慢できないよ」

 

 僕は彼女の中から指を引き抜くと、自分のそれを取り出す。七十九番の痴態ですっかり硬くなったそれを、僕は彼女の秘部に押し当てた。

 

「はぁ……っ、やっと君に僕の愛を伝えられるんだね……」

 

 真っ赤に膨らんだ自慢のモノを彼女の柔らかな秘部に押し当てて、そのままグッと腰を沈めた。

 

「ぁ……っ!」

 

 その瞬間、七十九番が悲鳴の様な声が上がる。しかし、彼女は目覚めない。よほど吸わせた薬と相性がいいのだろう。

 

「ああ、たまらないっ……!」

 

 僕はグッと更に腰を進めた。温かい肉壁が僕をまるで拒む様に締め付けてくる。その気持ち良さに思わず深く息を吐いた。

 

「はぁ……っ」

 

「ぁぅ……」と七十九番の苦しそうな声。でも顔は上気して紅潮していて、僕を誘っている様だ。

 

「ん……っ、はぁ……っ、んっ……」

「はは……っ、気持ちいいね……」

「ん、ぁ……っ、ぁぅ……っ」

「はぁ……っ。可愛いよ。僕の愛をこんなにたくさん受け止めて……。ああもう、本当に君は可愛いね……」

「ぁ……、ん……」

 

 と七十九番が身動ぐ。その反応が可愛くて、僕は思わず彼女に口付けた。そしてそのまま腰の動きを早くするーー、

 

「あっ! 大事なことを確認し忘れていたよ」

 

 前に一度、彼女の中から自分のモノを抜いた。そして、僕は七十九番の可憐な花園と自分のモノを確認する。

 

「良かった。まあ、こんなに僕に尽くしてくれているから、そうだとは思っていたけど、ちゃんと処女だったんだね」

 

 七十九番の秘部は、僕のモノを抜いた途端に可哀想なほどにピッタリと閉じられていた。慎ましくて美しい。その縦に閉じた僕と愛を交わす為の穴からゆっくりと赤い筋が伝い流れる。

 

「うん、間違いないね。君は初めてだ」

 

 それが彼女の破瓜の証を確認すると改めて、僕は七十九番の花弁に自分のモノを充てがう。

 

「はぁ……っ、じゃあ、いくね」

 

 そして、僕はゆっくりと腰を進めた。

 

「……ぁ……ぅ……」

「ん……」

「ぁ、あ……っ」

 

 七十九番の唇から苦しそうな声が漏れる。彼女の秘部は僕を拒む様に締め付けてくるが、それこそ彼女が僕に人生で一度きりの『処女』を捧げた証左だ。僕は七十九番の頰に手を添え、優しく撫でる。

 

「辛いよね? でも、後少しだよ。苦しいと思うけど、もう少し力を抜いてね」

 

 僕は七十九番にそう微笑むと彼女の額や目元にキスを落とす。しかし彼女の体は強張っていてなかなか力が抜けない。しかし、七十九番の誘惑に僕の腰は僕の意思とは関係なく勝手に奥へと進んでいく。

 

「んっ、ぁ……っ」

「大丈夫だよ、そんなに怖がらなくても。僕はただ君に僕の愛を伝えたいだけなんだ」

「ぁ、ぅ……っ!」

 

 七十九番の体の強張りを解く様にまた口付けをする。そして彼女の瞼、鼻筋と顔中に唇を降らせると、最後に薄桃色に染まった耳朶を食むと「はぁ……」と熱い吐息を吹きかけた。

 

「ん……っ」

「可愛いね。僕の愛でもっと乱れてよ」

「んっ、はぁ……っ」

 

 耳元で囁いてから耳の穴に舌を差し入れる。そしてそのまま七十九番の聴覚まで僕の愛で満たす為に「じゅるり」と唾液を啜る音を聴かせた。

 

「ねぇ、今僕と君は今一つになってるんだよ? これって究極の愛の形だよね? 全く違うところでバラバラに生まれた僕たちがこうして、肌を重ねて一つになってる。これが運命じゃなかったらなんだって言うんだい」

「ぅ、ん……」

 

 ゆっくりと腰を前後に動かす。彼女の中は酷く狭いがその温かさが酷く気持ちいい。

 

「んぁ……っ! ぁ、んっ……」

「ふふ……っ。最高だよ」

 

 結合部が合わさる卑猥な音。薄桃色の花弁を散らして彼女の可憐な穴に収まることが定められた僕のモノ。七十九番の甘い嬌声と、愛らしい反応。全てが僕の五感を刺激して、僕を高みへと誘う。

 

「はぁ……っ、そろそろ限界だ……っ」

 

 もうこれ以上は我慢できない。僕は七十九番の腰を掴むと、自分の腰を強く打ち付けた。そしてそのまま彼女の中に僕のモノを深く深く押し込んで、

 

「はぁ……っ、出る……っ」

 

 僕は七十九番の一番深いところに自分の愛を吐き出した。

 

「ぁ……っ! ぁ……っ!」

 

 七十九番がビクビクと体を震わせる。その体を抱きしめて、最後の一滴まで彼女の中に出しきると僕はゆっくりと自分のそれを引き抜く前に、僕の権能を行使した。

 

「はぁ……っ」

「ぁ、あ……」

 

 彼女の秘部からは一滴も僕の愛は溢れてこない。僕の権能によって全てが彼女の中で僕の愛は永遠になったのだ。

 

「ふふっ流石に君も少し疲れたよね。もう少し愛を伝えたいけど、君自身に無理をさせるには僕の本意じゃないからね」

 

 僕は七十九番の額に一つ口付けると、彼女の隣に横になる。そしてそのまま七十九番を抱きしめて、その柔らかな体を堪能した。

 

「ふふ、僕の愛は十分君に伝わったし、君の思いもしっかりと受け止めたよ」

「ん……、ぁ……っ」

 

 七十九番は僕の腕の中で小さく身動ぎする。その反応が可愛くて、僕は彼女の額にまた一つ口付けた。

 

「それじゃ、きちんとそれが誰にでもわかる様に式を上げようじゃないか」

 

 そう言って、僕は眠り姫の瞼に口付けた。

 

「おやすみ、僕の可愛い花嫁。そしてどうか良い夢を」

 

 そう言って僕は部屋を後にする。

 扉を出ると僕の花嫁の一人である268番が、僕を待っていた。

 

「ああ、268番何か問題でも起きたのかな?」

「いいえ、旦那様。何も問題はありません」

「そう。じゃあ七十九番の身体を清めておいてね。僕も色々と準備があるから」

「かしこまりました」

 

 268番がそう言って一礼し、僕の前を去っていく。

 

「268番。今晩は部屋の扉を開けておくといい。きっと良いことがことがあるよ」

「……かしこまりました。今晩は早く床につきたいと思います」

 

 268番はそう淡々とした声で答えると、そのまま再び歩き出した。

 

「うん、それがいい。きっと良い夢が見られるよ」

 

 僕は268番が去っていくのを見届けると、自分の部屋へと足を向けるのだった。

 

 ◇◆◇◆◇

 

 身体のうちからジクジクと炙られるような感覚を覚えながら、ゆっくりと意識は現実に回帰していく。

 早く目覚めよと何かが急かすように私の瞼は弾かれたようにパチンと開かれた。長い睫毛が震えて、紫紺の瞳がぼんやりとした世界を視認する。

 

 高い天井と、見知らぬ装飾がされた空間。自分の体がベッドの上で、質のいい毛皮を使ったタオルケットに包まれているのがわかった。

 そしてそんな自分の傍らに座る人物が、濡らした布巾で顔を拭いてくれていたことにも。

 

「あなたは……?」

 

「――――」

 

 瞼を開いたこちらを見下ろすのは、白い顔をした美しい女性だった。

 いっそ病的なほど血の気の薄れた顔は、人形めいた美しい無表情が張り付いている。笑えばさぞや周囲を華やがせるだろう美貌は、能面のように硬直したままだ。

 そして、何よりもその瞳の暗さに私はとっさに飲まれそれ以上声が出せなかった。

 黒いドレスをまとう女性はそのまま立ち上がると、長い赤髪を揺らしながらさっさと部屋を出ていってしまう。

 

「──ょっと、待ってっ!」

 

 私の声を無視して、赤髪の女性は扉を閉める。

 私は彼女を追いかけようと、急いで体を起こす。

 

「ぃ──っ」

 

 途端に足の付根の辺りから、身体を引き裂くような痛みを感じた。

 その痛みが、意識を失う前のことを次々と呼び起こしていく。

 

「そうだ。私、広場で変な人と戦ってて……。そのまま気絶しちゃったんだ。でも、生きてる」

 

 まずは、身体に残る痛みを回復魔法で癒そうとして、エミリアは今更自分の身体のことに気が付く。

 

「私、裸だ」

 

 一際痛むお腹や鼠径部の辺りに手を当てたとき、布きれ一枚も身につけていないことに気付いた。エミリアは首を傾げると、ジワリと熱が太腿に伝う。

 

「……? 何かしら? 白い……汗?」

 

 謎の液体に困惑しているエミリア。そこへ──、

 

「ああ、目覚めたみたいだね。よかったよかった」

 

 声がかけられ、エミリアは顔を上げた。

 すると、開かれた扉から一人の青年が姿を現していた。エミリアを見つめて微笑んでいるのは、白髪の年若い青年だ。

 彼は人当たりのいい笑みを浮かべながら、気安い調子でこちらへやってくる。

 

「せっかくの二人の記念すべき時間を、こんな見窄らしい場所で消費するなんてもったいないね。でも、そんなありふれた瞬間が、振り返って特別な一瞬だったと思い出せるようになるはずさ。そう考えれば悪いことでもない。なんでもない日々も愛する人と一緒なら何にも代えがたい時間になる。君もきっとそう思ってくれるよね、エミリア」

 

「私、あなたに名乗った覚えがないけど……それで、あなたは?」

 

「おっと、ごめんよ。気持ちが盛り上がってしまうと、ついつい周りが見えなくなるのが僕の悪い癖なんだ。こればかりは、愛情深い自分の性が憎いときもあるよ。君があまりに僕を夢中にさせすぎるからかもしれない。と、名前だったね」

 

 実に迂遠な遠回りをして、ようやく本題に辿り着く青年。

 彼に感じる、蜂蜜を垂らしたようなねっとりと肌を這うような悍ましさを感じながらも、エミリアは青年の挙動から目を離さない。

 

「僕の名前はレグルス・コルニアス。とある集団の幹部みたいな立場にあるけど、そんなことは君にとっては重要じゃない。君にとって大事なことは一つ。僕は君の旦那様で、君は僕の七十九番目の妻ということさ」

 

「……え?」

 

 異様なまでの圧力に、エミリアは息を呑んで無言。

 そのエミリアの態度を了承と受け取ったのか、レグルスは微笑んだ。

 微笑んで、言った。

 

「エミリア──いや、七十九番。愛しているよ」

 

 微笑んで、そう言った。

 

今回のような続き物の投稿はどのようになっていると見やすい?

  • このまま、他の話に混ぜて投稿
  • 続きものは並び替えて前後になるように投稿
  • 他の小説と分けて、別作品として投稿
  • その他(コメント・メッセージでどうぞ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。