ロンドンからセントラルへ ハガレン ×刀剣×まほよめ 作:木桜 春雨
何故、貴様が、長身の男を鬼は睨みつけた。
「実休光忠(じっきゅうみつただ)、おまえ」
何故、ここに現れた、いや、来ることができたのだと聞きたげだ、そして部屋の中を見回す、金髪の男、そして開いたドアから入ってきた刀剣、そして初老の男性と黒髪の女。
かすかに刀の気配、いや、匂いが、だが、違う、この者たちではない、扉を開け、刀剣を呼ぶまでの力はない筈だ。
だとすると、こんなことができるのは限られている。
「審神者かっ」
青年の表情は変わらない、ただわずかに口元を緩め、微笑んだ。
「ここは、おまえ達の居場所はない、関係ない筈だ、なのに、我らの邪魔をするのか」
「邪魔、僕が、ここに来たのは主の命、いや、頼みだ」
その言葉に鬼は視線を動かすと顔のない女を見た、審神者は皆、顔を隠している、だが、この女は違う、それは皆が知っている、鬼も、刀剣もだ、だから殺すのだ。
こちら側に引きずり、仲間にできるなら、それにこしたとことはない、だが、そうしようとして失敗した。
「審神者といえど人ということか、女の為に」
「侮辱も愚弄も許さない」
青年が刀を抜く、鬼も構えた。
何度か打ち合う、最初のうちこそ互角に見えた、青年は敵の攻撃をかわしているが、それもぎりぎりのところでだ。
このままではと不安になったのはマルコーだ、だが、それは彼だけではないようだ。
「何を喰らった」
青年の言葉に鬼は笑った、ようやく、わかったかと言いたげにそして刀で指した、金髪の男を。
「刀剣よ、倒せるか、今の我、を」
青年は気づいた、鬼の声がほんの少し前とは違うと。
「その男の生気を喰らった、だが、それだけではない」
そのとき。
「みつただ」
名前を呼ばれた青年は視線をゆっくりと視線を向けた、彼女に微笑んだ。
「戻って、ほしい」
女の言葉に返事はない、部屋の中はしんとなった。
「本丸へ戻って、この鬼は」
ほうっと鬼は視線を刀剣から別の敵となる相手へと向けた、それら応えるように鬼は笑った。
「止める、できるのか」
部屋の中の空気が冷たいと感じたのはベッドの中で寝ている金髪の男だ。
どうすればいいと思いながらも体を動かすことができないのだ。
鬼と呼ばれるあの異形は自分の命を奪ったと思っていた、だが、それだけはない。
だからこそ生きているのだ、自分は。
「刀剣、分かっているか、この状況、何が起こっているのか」
鬼の言葉に青年は、このとき初めて戸惑いの表情を浮かべた。
「狙いは彼女、本丸、いや、復活か」
「さあな、どちらにしても時間は限られている、見ろ、」
そのとき自分の体が消えかけていることに気づいた
「実体を保っていられるのもわずか、これが芝居なら貴様は退場だ」
鬼は笑った。
部屋の中は静か、いや、すぎるくらいだ。
「さあ、おまえの残りを喰らおう」
鬼は金髪の男に笑いかけた、口を大きく開けて、だが、何を思ったのか、首を傾けると部屋の中をぐるりと見回した。
「おまえ、そう女、この男と同じ、匂いがする」
その言葉にラストは鋭い目付きで鬼を睨み付けた。
「お父様、大丈夫です、私は」
美女の手から爪が長く伸びた。
「援護、頼めるかしら、ドクター」
えっ、驚いたマルコーだが、返事をする前にラストは相手に向かっていく。
金属、鋼のぶつかる音が一度、二度、だが、長くは続かない。
「ふはははっっ」
楽しそうな笑い声、だが、その声がぴたりとやんだ。
青白い光のせいだ。
「なんだ、それは」
マルコーが発動させた錬金術に鬼は眺めていた、刀をふるうこともせずにだ。
錬金術が効かない、のか。
相手が身動きしないことに違和感を感じたマルコーはラストに声をかけた、右腕を肩の部分から切り落とされた彼女は痛みは感じないのだろう、だが顔色はよくない。
「女、貴様を喰うのは、あとだ、それに」
鬼はマルコーを見た。
「おもしろい、強くなれそうだ、おまえ、おっっ」
鬼の声は続かなかった、何かを感じたのかもしれない、異変を。
刀剣、実休光忠の姿が完全に消えた。
黒髪の女と初老の男、二人が自分に攻撃を仕掛けようとしてきた、見たことのない自分の知らない力でだ、だが、通用しなかった。
勝ち、自分の勝利を確信した鬼は笑った、無敵だと思った、なのに感じたのた、異変を。
だが、それは突然に壊れた。
部屋の中、床、壁からいきなり何かが飛び出し、伸びてきた、それはツル、植物の茎だ、部屋の中にだ。
マルコーは驚いた、植物が部屋の中に生えてきたのだ。
長い緑のツルと葉は、信じられないスピードと速さで大きくなっていく。
鬼は驚いた様に声を漏らした、枝やつるを刀で切り払おうとした、だが、意思を持っているかのような動きだ。
切ることができない。
「さっ、審神者、ではない」
その声が僅かに、震え、いや、驚きと同時に畏怖を漂わせていたなど気づかなかった。
なんだ、これは、おに、鬼ではない、突然、眼の前に現れた存在が、なんなのか、聞かずにはいられなかった。
人ではないことは、その姿からわかる、異形だ。
「お前は、何者だ」
「答える必要があるのでしょうか」
丁寧な口調だ、まるで鬼の存在だと気にする様子もない、かといって無視しているわけでもない。
異形は顔を隠した女に近づくと、大きく両手を広げた。
突然現れた異形、実は最近、呪術廻戦が気になって、出てきたのは呪霊です。