チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった 作:水性さん
この小説の元になった小説の主人公とヒロインがクリスマスの奇跡でやって来るだけの話。
でもかなり適当に話を書いてしまった、クソクオリティだけど今回は絵だけを楽しむ会ということで(色塗り忘れてる所もあるけど、大目に見てね)それにしては思ったより長くなったな……。立ち絵も描いてもらったけど、時間が無かったので小説用(?)挿絵よりも色塗りのクオリティはかなり下がってるぞ!
冬休みに入り、ただいま学校の課題として卒業作品で別の漫画を描いております。まだまだできるのは後になりそうだぜ……。本編じゃなくてゴメンネ。
ちなみに卒業作品はチョロインの話なので、卒業作品展示会が終わったらpixivとかに出す予定です。ちなみに先生いわく、展示会では我氏の本名が表記されてしまうらしい。
……もし同じ学校の人がこの小説の読者だった場合、これ丸分かりじゃねぇかちくしょう。まぁ、名前バレた所で無名だから痛くも痒くもないけど……。
そんな作者の本名は、自分でも「なんか漫画とか小説に出てきそうな名前だなー」と思っている感じの名前である。
追記
やべぇ、ノエルたその立ち絵のタイツの柄、非表示のまま画像として出力してたわ。
「ティアッ!」
今日もぷるぷるもちもちでサラサラふわふわの一頭身、ちゃまぁは今日も元気に大冒険をし終え、満足した! といった様子でまんじゅう語を喋っていた。
「(……まさか、ツッパリコブマグロマスに食われかけるとは)」
高燃費のまんじゅう、ちゃまぁの今日の冒険。
空腹のあまりに川で泳いでいた魚を取ろうとして、自分の体が水に浮く事を忘れてダイブ。そのまま川の流れに従ってどんぶらこしていき、リーゼントのようなコブを持ったマグロのような見た目をした肉食魚のマスに、危うくペロリとウェルカムランチにされかけた。当然その時、ちゃまぁはクソデカボイスで泣き叫んでいた。
某跳ねることしかできない赤い鯉の王のように、その行為に意味は全くなかったが。だが危うく食べられる寸前までいって怖い思いをしても、大冒険をやめようとはしないので本当に仕方の無いやつである。
今日も保護者(手下)として付き合っていたアレスは、もう絶対にちゃまぁを川には行かせないことを心に刻み込み、ケツイが漲った。
魔人族であるアレスは人に警戒されて攻撃をされかねない為、あまり村にある宿で寝泊まりする事は無い。なので今日も帰る先はテントの中だ。
「ぜぇはぁ……ぜぇぜぇ」
体力が雑魚なちゃまぁがぴょんぴょん移動をして、今日でn何回の体力全ロスト。アレスはそんなまんじゅうを抱えると、また離せと暴れる前に走って帰る事にした。
キャンプ地へ近づくにつれ、食欲を誘ういい匂いが段々と強くなっていき、アレスの走る速度が遅くなっていく。つまり……空腹である。ちゃまぁが潰れないようにして前からばたりと倒れ、その状態でキャンプ地に着くと、ちゃまぁはキャンプ地に居た母親(?)に一目散にぴょんぴょんしながら近づいた。
そんなちゃまぁと立ち位置が入れ替わるようにして、ホワイトドラゴンのナッツがアレスに近づいて「きゅ? (大丈夫?)」と鳴いていた。
「ティアッ! ティアッ!」
「おかえり、ちゃまぁ。勇者クンとの大冒険は楽しかった?」
「ティア~ッ!」
「楽しかったんだ、良かったねぇ」
ちゃまぁを抱えてナデナデしながら、いつものようにシチューを作っていた"ティア"はアレスに近づくと、ロリータ服が汚れるのも気にせずにしゃがみ込む。
「勇者クン、こんな所でもう寝るの? 珍しいねぇ、もしかして今日の夕食は要らないのかな?」
「……空腹で動けないだけだ、それと夕食は山盛りで頼む」
周りに聞こえる程、アレスのお腹の方から大きな音を出してそう言うと、ティアは倒れたままのアレスの頭を撫でる。
「じゃあ早く椅子に座ろうか」
「分かっている……分かってはいるが、立てないんだ」
「キミ、お腹減ってる時は本当に何も出来ないよねぇ。仕方ないなぁ、優しいご主人様を持って良かったね、勇者クン」
そう言いながらティアは一度ちゃまぁを下ろすと、アレスを立たせる事をせず、今度はアレスを抱えた。
……お姫様抱っこの状態で。
「ティア、離してくれ」
「えぇー、そしたら勇者クン、体を重力で地面に叩きつけられちゃうよ? キミは後天的に吸血鬼になったんだから、痛覚だってあるんだし」
そうは言っているが、どう見てもティアの顔はからかっている時の表情だ。相手は1600歳以上で自分はいくら吸血鬼や魔者換算だと、数日前に産まれた赤ん坊くらいだとはいえ……。いたずらっ子な女の子相手にこうして平然とお姫様抱っこをされて運ばれるのは、男としての意地やプライドが傷つけられる。……まぁ、父親の血筋のせいで背が低い時点で元々かなり傷ついてはいるが。
この世界だと成人は16歳で、アレスは15歳。もう来年で成人なのに身長が140ピッタリ……かなり精神的に来る数値だ。
「んふふ、キミは女の子みたいに軽いね」
「ティアは配慮というものを覚えた方がいい」
そんな話をしながら主人は眷属に大きなガーデンテーブルの上にある物を見せた。
七面鳥やローストチキン・ビーフ、フライドチキン、ピザ、そしてビーフシチューにクリスマスリースを模したサラダ。そしてデザートにブッシュ・ド・ノエル。美味しそうなご馳走ばかりが並んでいた。
じっとティアはアレスの様子を伺い「勇者クン、どうかな? ニンゲンのクリスマスって、こういうのを食べるんでしょ? ボク達魔者は種族にも寄るけれど、基本的にヘルシーな物が好きだから、鶏肉はいつもサラダチキンとかにするんだ。だからフライドチキンを作るのは大変だったよ~、キミは優しいボクに感謝するべきだね」と、興奮しているのか若干早口でそう言った。
が、ティアの予想よりもアレスの反応は随分とあっさりしたものだった。
「……あぁ、そういえば今日はクリスマスだったな」
というのも村の外に出てからずっと、広い平原をただ歩いたり、魔獣と遭遇した時に戦ったり、ちゃまぁの冒険に付き合ったりしてきたが……。休んでいる時間はあまりなく、一日があっという間に過ぎて今日が何日なのか、何の日かも忘れていたからだ。
「え~、勇者クンってば本当につまらないリアクションするなぁー……そこはもうちょっと、驚いたりとか喜んで欲しかったのに」
あの日、村が襲われていなければ、今頃家族全員で食卓を囲って居たのだろう。ワンシーズンに約1~2回であまり家に帰ってこない寡黙な父親が帰ってくるので、毎年クリスマスでは多少気まずいが……。まぁそれでもクリスマスは楽しいのである。
だから家族以外とのクリスマスはアレスにとって初めての事だった。去年のクリスマスを思い出している最中にティアはアレスをガーデンチェアに下ろした。
すると、アレスはテーブルの上に一枚の封筒が置いてあるのを発見した。
「(ティアからのメッセージカードか……?)」
普段のアレスであればいつも食欲の方が勝つのだが、何故か今回は好奇心と何故だか分からないが「自分はこれを読まなければならない」という謎の使命感のようなものが勝った。
アレスは首元のブローチからレターナイフを出すと、シーリングワックスで封をされた封筒を切って手紙を出した。
「勇者クン、それ何?」
「ティアが書いた物ではないのか?」
「知らないよそんな手紙。それにボクが持ってるレターセットは全部最高級だから、こんな安っぽい紙じゃないしね」
「それもそうだな」
「ティアッ! ティアッ!」
「きゅー? (それなんて書いてあるのー?)」
2人して手紙の質をディスりながらも、ご飯ちょうだいアピールをしているちゃまぁを放って読んでいた。ナッツはアレスが見ている手紙が気になるのか、頭を近づける。
ドラゴンなので一般的な生き物に比べてとても賢いため、とてもむつかしい内容でなければ文字を読む事ができる。ただナッツは幼体とはいえ大きいので、近づかれると読みづらいが。
《なんか友達がまた絵の線画を描いてくれたんだけれども、その絵がなんとノエルたそとティアちゃまが一緒に描かれたクリスマス絵だったんだよね。という訳で、辻褄を無理やり合わせる為におまいらをチョロインの世界に強制異世界トリップさせるぞ。やったぜ! いえい、いえい! あ、読み終わった1秒後に転移して"クリスマス仕様になってもらう"からよろしく》
「は?」
読み終えたその瞬間、手紙が何故か謎の発光をし始める。
「くっ……!! 作者の都合によって送られてきた手紙に発生した、正体不明の光が!」
「勇者クン、説明口調だね」
「ティアッ!?」
「きゅ────っ!?」
~・~・~・~
「エルきゅ────ん!! メリークリスマース! 」
ロングスカートのサンタ衣装を着たノエリアは力強くノエルを抱き締めると、そのまま抱き抱えてスリスリ攻撃をする。なお、訪問して10秒も経っていない。その様子をレイゼルはじっと見ており、次ノエルを抱き締めるのはは俺の番だと言わんばかりに後ろに立って待っていた。
「メ、メリクリ……おばあちゃん、今日はいつも以上に元気だね」
「だって、また魔獣が湧いてこないんだもの! 今日はずっと一緒に居られるんだから、元気にならない筈が無いわ!」
そんなテンションの高いノエリアを、とても冷めた目で見ているのがノルトだ。気づいているのか、気づいていないのか、ノルトに話しかける。
「あら、もしかしてノルちゃん……エルきゅんにばかり構ってるから、ヤキモチ妬いちゃったのね?」
「断じて違うが」
どうやら気づいていなかったようだ。
「……母上、もういい大人だろう。あと2年で50代になるというのに──」
「ノルちゃん、あたしは永遠の20歳っていつも言ってるでしょう?」
「年相応という物を覚えてくれ」
それからノエリアはノエルを離し、近くに居たレイゼルを抱き締める。その次にノルトの方に抱きつき、その次にマリエッタ、ルトとエルマー。最後にエルをぷにぷにモフモフした。ノエリアはいつもテンションが高い時、身内には大体こうして抱きしめるのである。
ハロウィンの時は周りに国民達が居たのでやらなかったが、居ない時はこうだ。
すると、ノエリアよりも遅れてやって来たノエルのもう一人の祖母と親戚達……叔父ーズがやって来ると、沢山の荷物を持ってやって来た。
「母上、いくら楽しみだったとはいえ、一人で抜け駆けしないでもらいたいものだな」
「メリークリスマス、弟と義妹、そして姪達よ。これは俺からの餞別だ、受け取れ今すぐに」
「皆さん、メリークリスマス。今日は沢山楽しみましょう」
「お邪魔します。ノルトさん、エマさんにノエルさん、今年のクリスマスプレゼントは何が良いですか?」
「ルトさんとエルマーさん、また少し大きくなりましたね」
「……」
(ププピーピーピープピーピーピーピープピーピーププピープピープピーピープピーププピーピーププピーピープププピープププププピーピーピーピーププピーププピーププピーププピープピープピープピーピーピーピーププピーピーププピープピーピープピープププピーププププピーピーピープピーププピーピーププピーププピープププピーピープピーピーププププピーピープピーピーピープピーピーピーププププピープピープププピープププピーププププピーププピーププププピープピーピーピーピープピーピープピーピーププピープププピープピープピーピーピーピーププピーププピープピープププピープピーピーピーピーピーププピーププププププピープピープピープピーププププピープピープピープピープピーピープピーピープピープピーピーピープピーププピーピープピープピーププピー)
「ノイル皇──お坊ちゃまは、今日開かれる村の人達全員も楽しめる自由参加型のビンゴ大会に、ノエルお嬢様と一緒に楽しみたいと申しております」
ヒエリカの皇族達が全員集合し、各々好き勝手に息子・弟(兄)家族の家に上がり込む。次男ノーディスはプレゼントを押し付け、長男ノクターンは先に行ってしまった母を諌め、四男ノールスは丁寧に挨拶をし、母スクイナはクリスマスプレゼントの希望を聞き、末子ノルーアはベビーベッドの上のルトとエルマー達を見ていた。見事に全員サンタコスであり、何故かセバスチャンだけやけにリアルなトナカイのマスクをしていた。
「……一応、ここはエマの家なんだが」
遠慮なく入ってきた全員にノルトはそう言うが、全く家族は気にした様子も無く、好き勝手に家の中をクリスマス仕様に飾り付け、ヴェリカ家の愛猫、エルとニョッキにピッタリサイズのサンタ・トナカイコスを着せていく。ちなみにこれはアポ無しであり、ビンゴ大会も事前に考えていた物ではない即興で考えたもの催し物で、その景品も無駄に用意が迅速だった。
……用意したのはクリスマスでテンションの高い推し達を見てニッコリしていたセバスチャンである。
「にゃ~」
「にゅ!」
「きゃ──っ! 可愛い~~♡」
「エルさん、とっても可愛らしいですよ♡」
「にゃんちゅーる要ります?」
女性(?)陣達はきゃいきゃいとエルとニョッキに群がり激写、男性陣達はノルトの両脇に移動してガッシリと腕を掴む。
「……兄上達、その手は何だ。離せ」
「弟よ、俺達は兄弟ひとりを除け者にしたくは無い」
「という訳で、お前もこれを着ろ」
「きっと似合いますよ、兄様」
「ノールスもその手に持っている浮かれた服を下げろ。そんな事に俺を巻き込むな、今すぐに止めろ。おい、離──」
「あっ……お父さんが連行されちゃった」
リビングから隣の部屋に連れて行かれた父親を、レイゼルにスリスリクンカクンカされながらノエルはじっと見ていた。
「エルきゅんのサンタ衣装もあるから、楽しみにしててね♡ レイきゅんにもちゃんと衣装用意してあるから」
「俺にもあんの!? やったー!」
ヴェリカ家のクリスマスは、田舎な村の人達の風習に合わせたものなので毎年わりと普通だ。しかし今回はちゃんとしたパーティである。初めての知り合いだけしか居ない大きなクリスマスパーティ、そしてクリスマス仕様の仮装にレイゼルはとても喜んでいた。
「早速着替えていらっしゃい、エルきゅんの衣装はエマちゃんとお揃いで可愛いの用意したから!」
「う、うん……」
そう言い、ノエリアは息子達が持ってきたサンタ衣装を押し付けるようにして渡し、ノエルは若干押され気味になりながらも、丁寧に畳んである衣装を受け取る。そしてレイゼルも衣装を受け取り、ノエルとは明らかに違う衣装の色に、目を輝かせる。
「……このカラーって事は、まさか!!」
「レイきゅんはトナカイよ」
「つまり俺はノエルの足になれて、ノエルは俺の背中に乗ってくれるって事?!」
「サンタが乗るのは橇でしょ、何言ってるの」
「そ、それで今日はノエルが俺の上に乗ってくれる(意味深)って事だよな……♡ クリスマスは性なる日っていうし……♡♡ 今日はホワイト(意味深)クリスマスを楽しんで、中にいっぱいプレゼント(意味深)あげないと……♡♡♡」
「連想ゲームが過ぎんだよ、変態勇者が!!」
それから変態の嬌声と鈍い音が家の中に響き渡り、変態は真っ白に汚れた下着を替え、ついでに風呂場で着替えに行った。ノエルは普通に自分の部屋に行くと、ため息をつきながらもサンタ衣装に着替えようとしていた。
「全く……あの変態は」
そうは言いながらも、なんだかんだで期待しているノエルもノエルで、むっつりドスケベである。ワンピースになっているらしいサンタ衣装を広げ、それを着ようとした所で──。
「……ん? 何これ、手紙?」
ポトリと、どうやら一緒に畳まれていたらしい手紙が落ちる。とりあえず気になるのでノエルはそれをビリビリと音を立てて開けると、下着だけの状態で読み始めた。周りから見ると「着替えてから読めよ」と言われそうだが、今は1人なのでノー問題だ。
《えー、手紙の内容……そのまま同じ事書くの面倒なので省略します》
「何この手紙、おばあちゃんの字はもっと綺麗だから違うとして……一体誰から──」
その瞬間、手紙が光り始めry
「うわあぁぁぁぁッ!!! 目がぁぁぁぁ!!!!!」
随分と適当な展開で、前にも一度あった反応である。その時、ノエルの声に駆けつけた変態は「ノエルなんかあった!? Gでも見つけた!?? うわ眩しッ!!」と言いながらドアを開け、同じく目を焼かれていた。
光が収まった頃、レイゼルは急いでリビングに向かった。ドタドタと階段を降りていくと、リビングには丁度無理やり着替えさせられていたノルトが不機嫌な表情をありありと浮かべ、ノエリアやマリエッタがパシャパシャと撮影し、伯父ーズ達はニヤニヤしながら不機嫌ノルちゃんを見ている。
「お、お義父様とお義祖母様ぁぁッ!!!」
慌てた様子で降りてきた赤い付け鼻のトナカイレイゼルに全員がそちらを向く。
「レイきゅん、さっきエルきゅんの悲鳴が聞こえたのだけれど……何かあったのかしら?」
「ノエルが変な光に包まれて消えた!!」
「エルきゅん、宇宙人に拉致されちゃったの!? うそ、部屋には絶対に牛なんて居るはず無いし……!!」
ノエリアはそう言いながら、元ネタが緑の勇者が主人公のゲームに出てくる、子供のトラウマ"オバケ退治"に出てくるオバケを想像するが、それは絶対に違う。
「一応聞くけれど、他の部屋には居なかったのよね?」
「居たら今頃俺、ノエルが着替えてる所を網膜に焼き付けてるところ」
「エルきゅん!!!」
ノエリアは家の中から風を切るようにして飛び出していき、村の外へ出る。
「何処なの!!!!!!!!」
「母上、落ち着いてくれ。それでは見つかるものも見つからない」
「それにノエルさんの事ですし、きっと一人で帰って来れますよ」
息子と妻にそう言われ、ピタリと止まって振り向く。
「確かに……そうね」
「ノエルぅううぅぅぅぅううううう!!!」
急に冷静になるノエリアと、ノエルが着る筈だったサンタコスとビデオカメラを持って泣き叫ぶ変態。今日は特に仕事をする事も無い皇族達は、急に一人消えてしまった事に驚きつつも、大した問題ではないと考えて、その内帰ってくるであろうノエルを家の中で待つ事にした。
ノエリアが家の中に帰ろうとした、その時である。
急にカッ!! と村の外で強い光が輝き、そこから謎の人物と生き物、それから一緒に転移してきたらしいガーデンテーブルとガーデンチェアが現れた。
「……何処だ、ここは」
「きゅ……」
背の低い少年(?)は謎の現象に「また何かのトラブルに巻き込まれたか」と呟いて、家屋が立ち並ぶ村をキョロキョロと見回す。その少年の後ろにはドラゴンの幼体がビクビクと震えていて、竜としての威厳を微塵も感じない。……クルミを彷彿とさせるビビり加減だ。
光に包まれてやってきた少年に、変態は「ノエルじゃなぃぃぃぃいいいい!!!」と、泣き叫んでいるがスルーだ。
「坊や、お名前は?」
レイゼルからの報告でノエルが変な光に包まれて消えたという事もあり、たった今出てきた少年に対してノエリアは若干警戒しながらも尋ねた。名前を聞かれたアレスは長身の男……女? に話しかけられ、通っていた学校の教師、シルちゃんの事を思い出した。
「……アレス・ロイダンツです。それと僕は来年で16になるので、その呼び方はやめて頂きたいのですが」
そう言ったアレスにノエリアは「あぁ、成人手前の子だったの。エルきゅんと同じくらいの背の男の子で、15歳って実際に居るのね……」と思いながらも、更に尋ねる。
「そう? ごめんなさいね、それでアレスちゃん……とりあえずここに来る前に何があったのかを教えてくれる?」
「簡潔に話すと、謎の手紙を読んだ後に気が付けばこの状況になりました」
「あら、驚く程簡潔だわ……」
つまり何が起こったのかよく分からないまま、来てしまったということ。アレスの様子から察していたので予想通りだったが、情報は得られず。
「やっぱりこのまま待っていようかしら」
心配ではあるものの、自分の孫だから大丈夫でしょ! という思考の元、考えるのを止めた。
「とりあえず、アレスちゃんも中に入りなさい。寒いでしょう?」
「いえ……大丈夫です、寒さに耐性があるので。それに僕と一緒に転移してきた食べ物がありますから」
その場で食事をする気満々なアレスは、ここでふと重大な事に気が付く。
変な手紙のせいで急に転移してしまった為、今自分が人間に擬態していなかったということ、そして自分の姿が2頭身に変化していない事に。
「(このまま吸血鬼だと気づかれなければいいだけだ。それに見た所、僕の耳を見ても特に反応が無かった。このまま魔人族であるという体にしておこう、今更擬態して物理的に目の色を変えた所で怪しまれかねない……それに僕の姿が変わっていないということは、1キロ以内にはティアが居るということ。
気になるのは、ちゃまぁの鳴き声が聞こえて来ない事だが……)」
「それにしてもあたし、生の吸血鬼なんて初めて見たわ~! やっぱり吸血鬼にはゴスロリに長い牙、赤い目がセオリーよね~!」
「!?」
秒でバレていて、しかも全く敵意や嫌悪を感じない事にアレスは驚きながらも、席に座って一人でちょっと冷めてきたご馳走を食べ始めた。アレスの体が限界を迎えたからである、アレスにとってエネルギー不足は死活問題だ。
「あ、そういえば! ご飯食べた後、ここの村の人達全員を呼んでビンゴ大会を開くの。興味があったら、アレスちゃんも参加してちょうだいね。こういうのは人数が一人でも多い方が楽しいわ」
「……はい、ありがとうございます」
礼を言いながらアレスは一人でモグムシャと食べ始め、ノエリアはじっとその様子を見ていた。隣のガーデンチェアに座ってアレスをじっと見つめ、しばらくしてアレスがその視線に耐えきれなくなり、途中で動きを止める。
「……食べづらいのですが」
「あらそう? じゃあ、あたしが食べさせてあげるわね!」
「いえ、そうではなく……」
若干話を聞かない、というか好き勝手にする所が若干主人を彷彿とさせる。ノエリアはアレスに次々と口の中に食べ物をつっこんでいき、アレスは普通にそれをモグモグと咀嚼する。食欲には勝てない。
「あたしよく食べる子、大好きなのよ~! 冷めない内にいっぱいお食べ♡ ……あたしが作った訳じゃないけれど」
急に現れた初対面のアレスにノエリアはひたすら食べさせていき、そんな母親(♂)の様子を家の中から見ていた息子達は「また食べさせてるな」と思いながらも、急に現れたアレスを少し警戒しながらも見ていた。ドラゴンの方はプルプルしていて、クルミと似たビビりさが見て取れるので放っておいた。
ここでひとつノエリアの趣味を公開しておこう。実はノエリアは誰かが沢山食べ物を食べている所を見るのが好きで、食べさせる事も好きなのである。
なので時々、魔獣を狩ってヒエリカで一儲けしようとにやってきたものの、魔獣が強くて倒せないから結局金欠の冒険者や他国の傭兵を見つけては、時間がある時にしっかりと変装をして、口調もちゃんと男らしいものに変えて別人になりきり、わざわざ奢る程だ。
まぁ趣味の為だけではなく、その冒険者から国民達の噂や状況を聞いたり、今の生活に不満が無いかを確認して、しっかりと皇帝らしく情報収集も兼ねているのだが。
おばあちゃんはとんでもないコミュ強陽キャのイベント好きな皇帝様であった。
「アレスちゃん、もう食べ終わったの~! そんなにお腹が減ってたのね、まだ食べられる? お腹一杯?」
「まだ足りません」
「じゃあ中に入って入って! 」
「お邪魔します」
「ノエルぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!」
おばあちゃんはそう言って家の中に引っ張っていき、腹ぺこ勇者はご飯と聞いてご馳走してもらうことにした。食欲には勝てないのである、チョロい勇者だ。でも何処かの変態勇者と違って、一応はちゃんと勇者しているのでマシである。……世界征服の後棒を担がされているが。
その時、空からアレスやレイゼルにとって見覚えのある光が輝き始める。そして……。
「何!? 何が起こっ、いや何で私空から落ちてるの!?? トリップもの夢小説でよくある適当な導入ですか!?? 高ぇ!! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! 死ぬぅぅぅ!!!! って、流石にちょっと落ちてるから寒──何この格好!!? いや、裸よりマシだけど!!!」
「んふふ、よく分からないけれど、面白そうな子見つけちゃった」
「ティア──────ッ!!!」
「ちゃまぁ、大丈夫? それからキミも」
ティアは落下中だというのに平然と何故かハイレグサンタ衣装になっているノエルを抱き寄せ、ノエルと自分の間に居るちゃまぁをお腹で挟んで地面を見下ろす。すると男……女? に引っ張られる眷属を発見して手を振る。
挿絵イラスト
ノエル 衣装
ティア 衣装
「ゆ──ーしゃク────ン!」
「ティア──────────────ッ!!!」
「何だこの美少女、どちら様!? いやでっっっか、何だその谷間、でっか!! って、Y○uTubeでよく見るまんじゅうだ!! てかこのまんじゅううるさっ!? 寒ッ!??」
色々と騒がしく、色気のいの字もないノエルは叫びながらも落下し、未来の魔王様は笑顔でこの状況に楽しんでいた。
「ティア!?」
「エルきゅん!!」
「ノエルぅぅぅぅぅぅぅううう!!!」
すたっ! という効果音が付きそうな感じで地面に落ちると、ノエリアとレイゼルはノエルに駆け寄り、ティアはアレスに走っていく。
「ティア、その格好で走らないでくれ」
「んふふ、気になっちゃう? 見たいなら見ていいよ?」
「わざわざスカートをたくし上げないでいい」
手紙に書かれていた通り、いつものゴスロリがクリスマスらしい格好になっているが、ミニスカートのサンタ衣装なので……中身が見えるのである。というか、ちらっと見えた。よりによって、何故黒いほぼ紐みたいな物なのか。
アレスは目を閉じた上でしっかりと手で目を覆う。何処かの変態と違って、とっても紳士である。
「し、死ぬかと、思った……」
「エルきゅん、大丈夫? ケガない?」
「ノエルぅぅぅうう!! 心配したし寂しかった!!! ……寂しかったから、今日はそのドスケベ衣装で慰めックスして♡」
ノエルがレイゼルを拳で沈めた後、ノエリアはノエルを抱きしめて、それからじっとノエルの格好を見る。
「……エルきゅん、その格好寒くないかしら?」
「流石に寒い……寒いのもあるけど、ハイレグとか……恥ずかし過ぎる、恥ずか死んで凍死する!! って、そういえばレイゼル、衣装持ってきてる」
「ノエルがパンイチで寒いだろうから、俺の目の前で着てもらおうと思って……」
動悸はあまりにも不純だが、それでもタイミングとしては十分だ。ワンピースを上から着れば、ハイレグなので問題は無い。それに二重に着る事で寒さもその分凌げるようにはなる。
ノエルは「早くそれ渡して」と言わんばかりに手を差し出し、それを見たレイゼルがワンピースをぎゅっと抱き締めた。
「やだ!!」
「何で? やだじゃないでしょ、寒いんだけど」
「だって! だってさぁ!? この衣装も可愛いけど、俺は今のドスケベなハイレグのサンタコスのままでいいと思う!!! いいと思う!!!! だから絶対に返さない!!」
「さっさと返せ!! こっちは本当に寒いの!! 今日なんかマイナス1度だよ!? 私に風邪ひかせる気!?」
「やだぁぁぁああ!!! そんなに寒いなら、俺が体の奥まで温めるから!! それでヌクヌクしてヌキヌキパンパンするんだぁぁぁぁぁああ!!!」
「一回黙れクソ勇者!!!」
ゴッ
「あひんっ♡♡」
「エルきゅん、愛のムチを振るのが本当に上手くなったわね! あたしの孫として鼻が高いわ」
その後はお察し、レイゼルはビクンビクンして色々な体液を出して喜んでいた。そんな様子をちょっと見ていたアレスは「同じ作者から産まれた主人公と勇者でも、こうも違うとは……」と、非常にメタい事を思っていたのだった。
3つ子の兄、ハイドと似たような物を感じたが、流石にハイドでもそこまでのやべぇ変態ではない。可愛い感じの、年相応なスケベである。しかしこれは……ハイド、将来はあんな感じの勇者にはならないでくれ。アレスはそう心の中で願った。
「(苦労も多いだろうな……)」
「勇者クン、一人で先にご飯食べたでしょ、しかも全部食べて。ご主人様の分をちゃんと残しておかないなんて、奴隷としては本当にダメだねキミ。……ねぇ聞いてるのかなぁ?」
「ティアッ! ティアッ!!」
「きゅ、きゅう……」
全く怒っていない様子で何故かぎゅむぎゅむと抱きしめ、顔に2つの山を押し付けてくるティアと、ご飯が無くてプンスコ怒っているちゃまぁ。そしてビビり散らかすナッツ。場はカオスである。
そんな様子を見ていたノルトパパ含む皇族の人達は、一体いつになったら家の中に戻ってくるのだろうかと思いながらもクリスマスパーティの準備をしていたのだった。
知らん猫が出てきただろうけど、本編でちゃんと出す予定だから……順番逆になっちゃったけど。
おまけ
「同じ髪が白っぽいヒロイン同士なのに、どうしてこんなに発育の差があるの!?? どうして!?? この世は不平等だ!!」
「んふふ、元気だねぇキミ。ボクは可愛くていいと思うけどなぁ」