チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった 作:水性さん
追記 申し訳ねぇ、間違えてpixivで書いてた別作品をこっちにコピペして載せてしまった。のでそれは消した、通知来て飛んできた人、申し訳ない。
とうとう、やってきたぜ!
(※今回とてもメタ的なネタが出てきます。ファンタジーな世界観を楽しみたい人は、見た瞬間にその記憶を3秒で頭の中から抹消してください。作者、M○THER3大好きだから……メタいネタもやりたくなっちゃうのよオホホ)
実は三人称視点の進行では、ナレーターちゃんという本編には登場しない、メタ的なキャラクターが説明してくれているのであります。
あとゲームに出てくるウィンドウメッセージ風にする時は《》を出してくれるのもナレーターちゃんの仕事である。
「腹立つ!!」
やぁ、彼氏・彼女が居ない(偏見)から、暇を持て余してて「彼氏・彼女欲しい~」とか言ってるけどその為の努力をしないし、当たったら宝くじとか当選の景品みたいな感じで欲しいけど、ぶっちゃけ本音はそんなに欲しい訳でもないし、いざデート行くとなるとつまらないし、お金と好意が離れていくからその存在だけは欲しいとただ言ってるし、周りにその存在ができたら嫉妬してるだけ(ど偏見)のめんどくさくて哀れな非モテのみんな、何故か変態と変な人しか周りに居ないノエルです。
ただいま文武学祭前日にて、打ち込みでレイゼルにボッコボコにされていました。……正確には背中を取られたり、何回か寸止めされたり。でも実戦だったら死んでる訳で、ボッコボコだよ。
まぁ条件付けてレイゼルにやる気出して本気出してやってもらってる訳だから、ボッコボコなのは仕方ない。……ただ、ただ!!
「これで今日はノエルとセックスの時以外で30分間キスできる!!」
「うるさい!! 分かってると思うけど、興奮しても絶対にその後でシないから」
「分かってるって~!」
そう言っていつもそうなってるんだけどね!!
(※実は作者が前に描いた、ちゅっちゅしてる1ページ漫画がその最中です)
「(……負けた、完膚なきまでに。これ勇者というか主人公補正? 主人公補正なの?? ……いや、ただ単に私の方がスペックが低いだけだ。私は約2ヶ月くらい鍛えてるだけだけど、レイゼルは今日までに何年も体を鍛えてる。だからそもそも、スタートラインが違う。
だけど私はそれを理由にしたくない、だって負けた事は本当だし……ただ私が弱かっただけの事だし。それを甘んじて許容し続けたら、私は先に進めなくなる。
絶対に明日は勝つから!! 絶対に!!)」
「ノエル~♡ いっぱいちゅーしてイチャイチャしような~♡♡」
これは次の日の朝の出来事。
「……!? あ、朝から何して……っ♡」
「ノエルっ……あのさ、後で一緒に学祭周ろ? 学園祭デートすんの……♡ 」
ヒエリカでの朝でバレた(自分でバラしたのだが)からか、開き直っているのか、それとも交渉の為なのか。昨夜もノエルと濃厚で濃密な一時を楽しんでいたというのに、朝っぱらからレイゼルは玉の汗を流しながら、パジャマのボタンを全て開けてはだけさせ、下半身だけ何も着ていない状態でノエルの中で気持ちよさそうにしながら腰を振り、デートのお誘いをする。
「な、一緒に行こ?」
「っは、あっ……ん♡ やめろバカっ……♡ 3日目に備えるから、行かな──あっ♡♡」
しかしノエルは正直、文武学祭自体にそこまで興味がある訳では無かった。メインは剣技・魔法大会に出場し、今自分がどれほどの強さを持っているのかを把握する事、サイドに開発部の作品を見に行くぐらいしか興味がない。
なので初日と2日目はまたヒエリカで魔獣を狩ろうかと思っていた。
「はー♡ そういう頑張り屋なとこ好き♡ でも、初めての学園祭だからさ? ノエルといっぱい思い出作りたいな~♡ ずっと……夢だったからさ♡」
「あ゙っ♡ はぁ、はぁっ♡ ……んっ♡ んんっ♡」
しかし甘えるようにして自分よりも大きくて筋肉のあるしっかりとした体に抱き締められ、キスもされながら奥を突かれる。いわゆるキスハメの状態になり、強くお互いの事を感じることが出来る状態になった。
その状態で1番ノエルが感じる速度とタイミングで腰を振り続け、何がなんでも要求を通そうとする。こういう時のレイゼルはとにかく頑固だ。というのも、前世では病院の外から出られない状態で、よく学園モノに出てくる創作物では文化祭などで必ず出てくる重要なイベントは一生無縁だったからだ。
ある筈だった青春を、一切享受する事が出来ずに過去の自分は生を終えた。
たった一年とちょっとだけの期間。ただ趣味や世間話の話をするだけの関係だった、前世の頃に好きだった人から聞かされた文化祭の思い出を聞いた時、前世の自分は病室からほとんど離れられない体を酷く憎んだ。
だが……もし体が丈夫で同じ学校に行っていたとしたら。きっと性格も当時とは全くの別物で、そもそも好きになる事は無かったかもしれない。……そう思って少し安堵して、自己嫌悪に駆られた。
まぁ出会った頃はほぼ一目惚れに近かったので、そういうifの世界でもストーキングをしていたのだろうが。
「ノエル、行こ?」
「い、いくっ……♡」
「じゃあ約束! いっぱい俺と屋台周って遊ぼうな♡ でも、その前に……いっぱいセックスしよ♡ ノエルっ♡♡」
「あっ……はぁっ♡ んんっ♡ 」
「ノエル、俺の事……好き?」
結局ノエルは快楽で流されてしまったとはいえ、行くと言った。それに行くと言ったのなら行かないとノエルの気が済まない。
……ので、休日の朝のルーティンへと化した、愛の営みを終えた後で行く事になった。
本日は文武学祭当日、ワールブルク学園の生徒達がこぞって自分達の腕を見せつける絶好の機会。
パンフレットをチラッと見ただけでも中々面白い出し物もあるし、レイゼルはとても楽しみにしていたので、方法はアレだったがノエルが行くと言ったので、凄くテンションは高くなっていた。
ニョッキが起きないよう眠り魔法をかけてノエルをパクパクイチャイチャして、終わった後は一緒にお風呂に入り、行く事になった甲斐が有るというもの。
(ちなみにこれはプランBであり、Aはニョッキを火薬入りの頑丈な箱に閉じ込めて爆散させるつもりだった。ノエルに嫌われるので、できなかったが。キノコ愛護団体があったらブチ切れ問題である)
そしてこの日の為にノエルに用意し、ノエルの事をひと針ひと針思って拵えた趣味全開のお手製ロリータ服を着せ、レイゼル自身は犬をイメージした耳付きの地雷臭がする服……に、チョーカーだと思いたい、大型犬が着ける首輪によく似た物を装備していた。ロリータ服を着せられたノエル本人は普段着ないような服なので、とてもソワソワしていたが。
(ぽまえら、ロリータをすこれ。別作品のオリキャラ混じってるけど、描きたくなっただけ。気にすんな)
「……変じゃない?」
「しゅき!」
「質問の答えになってない」
「可愛すぎてこのままセックスしたい!! AVみたいな全部脱がすヤツじゃなくて、ボタンが外れてちっぱいと乳首が見えて触れる程度な感じで!!!」
「朝シただろうが!!」
「あはんッ♡」
いつものようにレイゼルはノエルに引っぱたかれて喜び、ハァハァしながらさりげなくノエルにとある物を握らせた。
「……で、この紐は?」
「今日はこの状態でずっと
それはどう見ても犬用のリードであり、チョーカーかもしれない首輪に付いていた。本人の様子はお察しである。
「はぁ、はぁ……♡ イイ、これすっげーイイっ♡♡ 俺の人権も命も全部全部、ノエルの物みたいでしゃいこぉ……♡♡♡」
「気持ち悪いからやめて……ニョッキもそう思うよね」
「にゅ!」
それからレイゼルは恍惚と至福の表情を浮かべながら、ニョッキを抱えたノエルと歩いていた。
「しゅき、しゅき……♡ ふへ、ふへへへへ、えへへ……♡ 俺の事、そのままずっと離さないでくれよ? 俺も一生ノエルだけ愛してるから♡♡ じゃないとノエルを殺して俺も死ぬ事になるからな!」
「はいはい……」
……クソ重い言葉を吐きながら。
「アンタそんな趣味あったんだな」
「私は違うからね!? レイゼルにこれを持たされてるだけで!! ……って」
するとノエルの横から急に話しかけられ、ノエルは横を向くとそこには黒い猫のクオーターインキュバスが居た。
「ネロ……なんだか、久しぶりだね」
「それは読者目線の話で、俺達は裏でほぼ毎日顔を合わせてるから久しぶりでもなんでもないんだけど」
「16話ぶりだから……8話分くらい出てないな、そのまま読者と作者から存在を忘れ去られて、一生出てこなければ良かったのに」
なんだかメタい事を言っているが、読者の暇人な皆は気にしないでくれ。
でもやっぱりここはエロファンタジーな世界観崩れるからカットに……え、面白そうだからダメ? そもそもパロディネタ多いからいいだろ、って……まぁ神様からカット判定出てないから出すか。
……ゴホン。
レイゼルは殺気を向けながらネロを睨みつけるが、ネロはその視線を受けてもなんでもない様子でノエルの傍に寄っていた。そんなネロにレイゼルは、ノエルを抱き締めながら出刃包丁を持って向ける。
「俺のノエルに近寄んな!!」
「だったら朝から盛らなければいいだろ」
それはそう。というのも、ノエルのフェロモンと精気はインキュバスにとっては高級ブランドの香水と高級料理のようなもので、大好物だからだ(本人談)
そしてネロはノエルに良いって言うまで襲わないという約束をしているので、ノエルがレイゼルとイチャイチャした後でなければネロはノエルに近づく事ができない。
なのでネロ避けをしたいのなら、レイゼルは自分の性欲を抑えて我慢しないといけない。しかしレイゼルはノエルに対する好感度ゲージ37本分によるもので、ノエルでなければ興奮しない体になっており、更に毎日の行為でノエルを前にするとムラムラが止まらない体にもなっていた(元々ではあるが、酷くなった)
その為、ノエルの生理が終わるまで目が充血するほど全力で我慢し、終わった後は全力で抱き潰す。レイゼルにとって我慢は死活問題である。一日でもかなりキツイものがあった。
「は? 超絶可愛いエンジェルなノエルに我慢できるわけないだろ、というかむしろ我慢できるとか……それただお前のチンコが不能なだけじゃねーの」
「アンタが性欲の化身なだけだろ」
「お前が言うな!!」
「声うるさ……」
すっかり雰囲気が険悪ムードになり、レイゼルはネロに殺意を向けながら出刃包丁をブンブンと振り回した。
「とりあえずレイゼル、危ないから出刃包丁しまって」
「……わかった」
ムスッとした表情でレイゼルはノエルの言う通りにすると、絶対に渡さないとばかりにキツく抱き締めくっついていた。一方でネロは全く気にした様子もなく、レイゼルの存在を意識から排除してノエルに話しかける。
「そういえば、アンタがここに来るなんてどういう風の吹き回しな訳? こういうのってあんまり興味無いタイプじゃないの」
「まぁ……レイゼルに誘われて」
そう答えるノエルにネロは納得し「どうせ無理やり付き合わされたんだろ」と察していたが。
(この最中もレイゼルは絶賛威嚇中である)
「元々今日は何をする予定だった訳?」
「ヒエリカで魔獣を狩って、3日目の剣技・魔法大会に出る為に備えようかと……」
「ふーん……やっぱりアンタも出るんだな」
「も、って事は……」
「俺も自由形に出場する」
どうやらネロも出るらしい。それを聞いてノエルは「そういえば魔法使用許可免許持ってたから、当然か……」と思いながらも、内心では燃え上がっていた。
「じゃあトーナメントによっては途中で戦り合うのかな」
「お前だけは絶対にぶっとばす、右ストレートでぶっ飛ばす……真っ直ぐいってぶっ飛ばす……というか殺す」
反則どころか殺人行動をしかねないレイゼルは置いておき、ノエルは少し気になっていた事を聞いた。
「そういえばネロはどうして魔法の免許持ってるの? ネロの性格上、面倒くさがって取らなさそうだし。アーティファクトを使う事はあっても、普通は街の中とかで魔法を使う機会なんて無いのに。それに出場するって……」
「……家族」
ネロは一言だけそう言うと、きっとネロの両親は見栄っ張りなのか、それとも過干渉してくるタイプのどっちか……あるいは何か目的があるんだろう、とノエルは考えた。
「それで、何が目的でどこ向かってる訳?」
「は? 何、俺達に着いてくる気かよ。うざ……」
嫌悪感をむき出しにするレイゼルにノエルはリードをグイッと引っ張ると、レイゼルは「はぅんっ♡」という歓喜の声を上げ、幸せそうにしていた。
「開発部門の武器・防具が売られてる所で、良い武器あったら買おうかなって」
「えっ、ノエルまた武器買うの?」
「この前、鞭は買ったけど、あれって対人戦では向かないし、攻撃速度は速いけどレイゼルをボッコボコにするには攻撃をするまでのタイムラグが発生するし、重いから私が使ってて疲れるし……そもそも、攻撃力がそんなに無いんだよね。普通の人だったら、ちょっと腫れるくらいの威力だし。
それにダガーとかのナイフだと軽いけどリーチが無いし……」
「むしろ俺が当たりに行きたいから鞭でいいけどなー……それよりお前は着いてくんな?」
「そういえばアンタ、まだ朝食べてないだろ。良い出店教えてやろうか」
そしてレイゼルはネロに対してずっと威嚇し、ネロはそれをスルーしつつ、3人は開発部門の出し物が出ているエリアに着いた。
「にゅ……」
「鉄と油くさ……」
「獣人族でもあるから辛そうだね、ニョッキは……元々自然物には無い物だから、合わないのかな」
「ノエル? 俺以外の男に何で心配してんの?? なぁ、なぁなぁ???」
鼻をつまみながらも着いてくるネロに出刃包丁が横からチラチラ、ハイライトが消え失せた湿度の高い視線がノエルにじっと突き刺さる。ノエルは冷や汗をかきながらも、もぅまじむりつらはきそう状態のニョッキに回復の魔法をかけながら、それをなるべく気にしないようにした。
「軽くて引くか当たるかでスパッと切れる鋭い剣、無いかな……私、攻撃力はあるけどそこまで筋力が無いし」
「そうなると刀みたいな武器が良いよな、それにノエルの戦い方って魔法はゴリ押しできるけど物理的だと力で押すっていうより、テクニックタイプだし。ただそうなると……頑丈さに欠けるし、片手だけじゃ使えないし……うーん」
ノエルとレイゼルは何にしようかと悩みながらも、歩きながら流し見をしていた。しかしワークブルク学園のあるフェリラ国はまさに西洋ファンタジーな世界を元にしており、ヒエリカは元日本人が国を動かしているからか全体的に常に最先端で、西洋的なファンタジー要素がちょいちょい追加されているものの、日本人にとっては家や服もかなり馴染み深い。
(例えるなら渋谷や新宿のような感じだ)
なので国ごとに武器がそれぞれ個性が出ており、江戸時代前後あたりの日本を舞台とした国、ランセンでは主に弓や槍、それから刀などを使う。国によっても戦い方などは様々なので、当然フェリラで刀などは、ランセン出身の生徒でなければ作られる事など無い物だ。
だからか、先程から見て回ってはいるものの、刀の形をした剣は一つも無い。
「だったら魔法剣にすればいいだろ」
そんな時、ネロが横から助け舟を出した。
「魔法剣は持ち主自身の魔力、魔法によって切れ味や属性が変わる。刀身はムーンライトクリスタル……通称ゴーストクリスタル*1でできてるからな、とはいえそもそも一介の生徒が作れる代物じゃない。ここじゃない所で買えば?」
「じゃあつまり、結局ここだと収穫無し? ……うーん、おばあちゃんに相談してみようかな。でも一応全部回ってみよう……」
そう思い、ノエルは開発部門の作品達を流し見していると、前方から見覚えのある人物が歩いてきていた。
「おや、あなた達は確かゲイル先生の生徒と……」
「……経営科2年」
「あぁ、なるほど……交友関係の幅が広いんですね」
2年とはいえ、別の学科ではやはり関わることが無いからか、ネロは開発部門の教師に認知されていなかった。無愛想にネロは答え、それからメガネの挑発三つ編みで優しそうな見た目だけの14話振りなヴェルドは「探し物ですか? 何か気に入った作品があると良いのですが」と、先程から悩ませていたノエルに聴き込んだ。
「あ……えっと、軽くて斬れ味のいいリーチのある剣が欲しいんです。あとはヒエリカの魔獣が倒せるくらいの頑丈さも欲しいです」
「ふむ……貴女のような方には大体レイピアなどの低重心で軽い剣を勧めるのですが、話を聞く限りでは魔獣も倒す用途になる場合……魔法剣しかありませんね。魔法剣は上級生ですら作る事が困難で、今回の文武学祭では作られていないのですよ」
「そうですか……」
「やっぱお義父さんかお義祖母ちゃんに聞いた方が一番だし、今日の夜会いに行く?」
そのレイゼルの言葉に「そうしようかな、でもどっちに聞こうかな……2人とも忙しいだろうし」とノエルは答え、また再び考え始める。
「よければ、私が作りましょうか? 私はこの国で数少ない魔法剣を作れる人間なので、その分値段は高いですけれど」
するとヴェルドはビジネスチャンスとばかりにそんな提案をするが、ノエルは頭を振る。
「あ……お気持ちだけ受け取っておきます」
「それはどうしてでしょうか?」
断られるとは思っていなかったヴェルドは、その理由が気になり聞いてみると、ノエルは「えっと……はっきり言ってもいいのなら言います」と事前に聞き「構いませんよ」という確認をとった。
「私には貴族のおばあちゃんが居るので。たぶん先生が作る物より良いものを用意してくれると思います、なので結構です」
「……おや」
ノエルはとても失礼な事を言うものの、ノエル本人の勘がそう訴えていたからだ。何となく守銭奴っぽいからたぶんぼったくられるだろうし、おばあちゃんならもっと良い物を用意してくれる筈。というふうな感じで。
実際にその通りであった。
しかし鍛治職人としてはそう言われてしまったら、かなりプライドを傷つけられるものだった。ヴェルドは自分の腕前に自信を持っていたので。
「ですが何故そう思ったのかお聞きしても?」
「あっ、実は私のおばあちゃんはヒエリカでビーストハンターをしてまして。武器とかに凄く詳しいのと、そのツテがあるので。
(あと前、調教術を直伝されたけど、その時にフローレちゃんの作った鞭が凄く良い物だって褒めてたし、武器とかに困ったら相談してって言われたし。お父さんとおばあちゃんって、お世辞とかは絶対に言わないし、基本的に本心しか言わないから……)
それに剣は持ち主の命を守る物でもあるので、自分に合った物が欲しいんです。やっぱりその為には色んな剣を試してみないと分からないので」
そう答えたノエルにヴェルドは納得し、ノエル達3人はこうして開発部門の展示されているエリアを抜け、食べ物などが売っている普通部門の方へ向かい……その様子を見ている内に段々と懐かしい……今の自分があるキッカケとなった記憶が蘇った。
~・~・~
『……エンチャントの質が足りない。重心の位置も若干悪い、砥ぎも甘い。それからこれはただ魔法耐性があり耐久性のあるミスリルを溶かし、削っただけの刃を鍛えていないミスリルの棒。一番致命的なのは、見た目だけ凝っていて肝心な性能や剣の個性が全く伴っていない。
魔力を込めると刀身に電流を発生させ、それを纏う剣なら正確に込めた分だけ発生させるようにしなければならない。
だがこれは型の凹凸によってできた装飾を際立たせ、誤魔化す為だけのオプションだ。わざわざ許容魔力以上の量は逃がすように魔力の回路が組まれている所、そしてミスリルが鍛えられていない所を見るに……。
ミスリルを加工する技術がまだ足りて無い上に、それ以上の負荷をかけられると剣自体が熱や激しい魔力で壊れるからなんだろう。
ミスリルはその硬度から加工をするのがとても難しい希少な鉱物だ、だから自分の未熟な腕を誤魔化す為に、それと同じように難しいと言われる、得意なエンチャントで攻撃力もカバーした。他の作品も全てエンチャントされているのがその証拠だ。ミスリルを使い、細かな作業ができるという所を腕の良い職人に評価してもらう為の点数稼ぎ。そこそこの冒険者なら、喜んで買うだろうな。
俺は微塵も買う気は無いが』
見事に言い当てられ、とても辛すぎるコメントをされてしまったヴェルドは、普段の優しそうな笑顔をしている裏……カウンターで隠れて見えない所で拳を強く握り締め、ゲイルはあわあわしていた。
『だがその年齢でまだ未熟とはいえ、ミスリルを扱えた事は事実。俺の故郷であるヒエリカで学べば更に鍛治の腕が上がり、いい職人になれるだろう』
こんな事を言っていたが、当時のヴェルドは16歳。そして辛辣過ぎるコメントを言い、常にゲイル15歳を侍らせていた(?)ノルトは12歳。ヴェルドにとって、煽りでしかなかった。
とはいえ、あれ程にボロカスに言われてしまい、職人魂が燃え上がり、それから腕も成績も伸びたのは紛れも無い事実であった。言っていた本人はただ、感想を述べただけなのだが。
ノルトも例外無く含めた皇族達にこぞって「推しに自分が作った武器で戦って欲しい!!」という、オタク根性溢れるヒエリカの民達からのプレゼントであるファンレター付きのぬいぐるみ……ではなく、ガチモンの武器が手紙と一緒に皇族が住む皇居へ毎日何本も送られてくるのだから。
それを大量に見ていると、物の良し悪しが段々と分かってしまう。
(時々在庫処分的な感じで、ノエリアやその息子・娘達があまり質が良くないものを大量に持ち運び、それを戦闘などに普通に使って大量に破損させているが)
そしてヒエリカでは空気中の魔力濃度が高い為によくムーンライトクリスタルが採れたのと、皇族自体の戦闘スタイルが奇跡的にも魔法剣と相性が良かった為、皇族ガチ勢の激烈熱烈ハッスルファイヤーな鍛治職人は最上級の献上品として、魔法剣を
(ヒエリカで誰かの下で技術を磨こうとすると、もれなく弟子入りをする為の試験が行われる。その内容は本物の皇族オタクかどうかの抜き打ちテストであり、まずは簡単な推しに関する知識をどれほど知っているか、推しは誰か、どれほどの熱意、皇族に対する理解と解釈があるかを確認される。
もし全部答える事ができなければ「p○xiv百科辞典を見て推しの事を理解してると思った気になる野郎だなテメェ、殺すぞ!!」と、似たような感じのセリフを言われて追い出される。
何とかそのテストを乗り越えられても推し語りが始まる上に、その刀鍛冶の知識と腕は推しの為だけにあるので、サボるとバチくそに怒られ、どれ程までに推しが尊いかを語り聞かせられるのだ。なんという地獄。
まぁ要するに、結局ヴェルドには無理な話なのだが)
そしてノルトが剣技・魔法大会で使っていた魔法剣も、そのガチ勢からの最高に良い贈り物を選んで使っているのである。
もちろんノエルへのプレゼントも他の皇族程ではないが、実はノエルガチ勢が魔法剣を作って、現在ではノエリアが皇居にて保管しており、良いものを残していつか渡す予定の物が30刀もある事を、本人はまだ知らないのである。
それを知ることになるのは……また次回?
~・~・~
「それにしてもお前、いつまで着いてくんだよ。自分の存在が邪魔だって事分かってんだろ?」
「俺は特に何も思わない、第一俺はノエルの"友人"として、この学祭を思う存分楽しむ為に会いに来たんだぜ? そう邪険にする方がどうかしてる。アンタこそ、その楽しい雰囲気を壊してるって事を自覚した方がいいんじゃないの」
ヴェルド先生のお誘いを断った後、私達は昼食……というかブランチを食べる為に屋台の食べ物を買いに来たんだけど、早くこの空気終わってくれ……。ニョッキ、君だけが私の癒しだよ。
「にゅー! もぐもぐ……」
そのニョッキは今、串焼きのお肉(調味料として、私の魔力を沢山込めた)に夢中だけど。
「それとも……そんなに俺が怖い訳? 本当に余裕無いんだな」
するとそう言ったネロの言葉に、ずっと喧嘩腰だったレイゼルが恐ろしいくらいに大人しくなった。
「(……だったらなんなんだよ)」
そしてただ私にくっついていて、図星だったのか……ひたすらに殺気を向けながら私からのあーんを不機嫌そうにもぐもぐと食べていた。
ネロはそんなレイゼルをやっぱり無視しながら、私に沢山話しかけていたけれど。
「そういえば、少し前……この国出身らしいヒエリカの皇女サマが、ヒエリカで初めて倒した魔獣が大物だったって、隣国では今もお祭り状態らしいぜ?」
「えっ、そうなの?」
「しかも丁度、アンタ達がヒエリカに行ったってた時だ。偶然もあるんだな?」
「……えっと、ネロ? なんでそんな意味深な感じで笑ってるの? まぁ、会ってみたかったとは思うけど……」
「へぇ……奇遇だな、俺も是非とも会ってみたいもんだ」
「……お前、分かってて言ってるだろ」
「(何が……? あっ、待って凄くなんかモヤッてした!!)」
大気や光など、月の魔力が集まりやすい特別な場所でしか採れない貴重な鉱石だ。魔力の籠った月明かりで照らされるか、自身の魔力に反応しなければ目視することができない。角度によって変わる青や黄緑色の輝きは、コレクターな魔物達の間でもかなり有名な物。
強大な自然のエネルギーによって作られた宝石のような鉱石は恐ろしく硬く、刃こぼれする事も無い。加工しようにも硬すぎる以前に、発掘する側でも自ら材料を取る高度な鍛冶職人としての技術を持つドワーフや竜人族でもなければ、原石を掘ることもままならない。つまり、人間が作るにはほぼ不可能と言ってもいい代物。
ムーンライトクリスタルで作られた魔法剣は魔法ですらキズ1つ付かないような武器だが、切れ味も高いという訳ではない。魔法剣らしく持ち主の魔力、込める量によって切れ味と威力が変わるというもの。それ故に魔法剣は使う人によって最強の武器にもなりかねないとても高額な武器。
久々のおまけ
「意外とレイゼルとネロって似てるよね……」
「何処が?? ノエル、俺とこいつのどの辺を見て似てるって思った???」
「……それは俺も同感だ、何で五月蝿い奴と似てるのか理解できないんだけど」
「食の好みとか、趣味……とか?」
「いや、全然違うだろ!!」
「……? ……あぁ、なるほどな」