チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった 作:水性さん
かなり、すっ飛ばしちゃったな……。
そしてとうとう変態がやらかします。
3年が経ちました!!
ニョッキの朝は早い。
「にゅ」
まぁ精霊で元々魔者の一種な為、ほとんど寝るという行為は人間が甘い物を食べる事と同じようなもので、何か特別な何かが起こったり、特別何か良い影響が出たりするという訳でも無いが。
とにかく、ニョッキの朝は早いのである。
何故なら昨日の夜ではあんなにも主人の体を獣のように好き放題しておきながら起きてすぐに臨戦状態にさせて、ヨダレを垂らしながらハァハァと荒い息をして「のえりゅ可愛い、しゅきぃ……♡」と言いながらかれこれ30分くらい観察し、勝手にキスをしては文字通り主人の体全身を舐め回しかねないレイゼルという名の盛り犬が活動を始めるからだ。
「にゅっ、にゅ、にゅっ」
原木の上でキノコくさいぷにぷにボディを伸ばしてストレッチをすると、ニョッキはレイゼルがいつ起きてもいいように隠れてスタンバイ。
「んー……あー……今何時……5時……あ、ノエル…………なんだ天使か……」
まだ寝ぼけているレイゼルはそんな事を言いながらぼーっと隣でノエルを観察。普段通りである。
「えへへぇ……♡」
なんともだらしない顔をしてデレデレして見ているので、もしレイゼルの事を知らない人間が「実はこいつ、こんな顔してるが……れっきとした勇者なんだぜ」と言われても信じて貰えないだろう。
するとレイゼルは段々息を荒くしていくと布団をめくり、ノエルの裸を観察し始めたのでニョッキはレイゼルを止めに入った。
「にゅーっ!!」
「ちくしょー忘れてたッ!! ソテーてめぇ!! 離せぇぇぇ!!」
「んん……??」
そしてレイゼルはニョッキに捕まって伸びる傘にぐるぐる巻きにされ、ノエルが起きるまでずっとそのままの状態になっていた。ノエル以外に縛られるのは嫌なレイゼルは全力で抵抗するものの、3年間にわたる毎日の阻止でニョッキはレベルアップし、前は最後まで止められなかったものの、現在はレイゼルをがっちりと拘束できるようになっていた。
「にゅ!」
「ニョッキおはよう、あといつもこの駄犬から守ってくれてありがとう」
レイゼルを完璧に止められるようになるのにかなりトレーニングをしたものだが、主人に頭ナデナデされてご褒美のカルパスを貰えるのでニョッキは頑張れるのだ。
「ノエル、おはよ!」
「あぁ、うん……」
「何でソテーには言って、俺にはおはよう言ってくれねーの?? ……まさかこれが倦怠期!?? 嘘だぁぁぁ!!!!」
「五月蝿いから叫ばないで」
「ノエルが冷たいぃぃぃぃぃ!!!!」
「はいはい、分かったから。ニョッキ離していいよ」
「にゅ!」
ニョッキはご褒美にカルパスを貰ってむちゃむちゃと食べ、口の中に広がる塩分と肉の味に満足しながらレイゼルを離すと、レイゼルはすぐさまにノエルを抱き締めた。
「ノエルぅ~……」
「本当に入学当初から身長以外は全く変わってないね……おはようレイゼル」
仕方ないと言わんばかりだが、ノエルの表情は嬉しそうな顔を隠しきれていなかった。とても分かりやすい。レイゼルの胸に顔を押し付けているので、レイゼルに顔を見られることは無いからか仕方なく抱き締めさせてやっているという装った体を守れていた。
170cmをつい最近超えたレイゼルの頭をノエルは撫でると、分かりやすくレイゼルは喜ぶ。
「んへへぇ……♡」
「で、他に何か言う事があると思うんだけど」
「んー?」
「ほら、あるでしょ」
「何が?」
「分かってる癖に分からないフリするな馬鹿」
「えへへぇ……ノエル、誕生日おめでと!」
本日はノエルの誕生日である5月8日。ノエルは16歳を迎えた。この世界では16歳が成人と呼ばれる歳であり(ヒエリカのみ18歳)お酒が飲める歳でもあり(ヒエリカでは20歳)そして最も子供が出来やすい歳である。
普段はモテないフツメンの男子が、お持ち帰りという技を使えるようになったからだろう。その事で後悔する男が多数出てくるが(たまに喜ぶ男もいる)避妊をし忘れる、又は避妊魔法が使える知識と技量を持っていないならお持ち帰りするなという話である。
遊ぶのにもちゃんと節度やマナー、知識が必要なのだ。
「そういえばさ、ノエル16歳になったじゃん? 学校終わったら早速酒飲も~!」
「……一気に飲んだりしないでよ」
誕生日が3月20日でノエルよりも先に誕生日を迎えたレイゼルは、早速16歳になった誕生日の日に初めてお酒を飲んだのだが……。酒で釣られる父親に似たのか、飲んですぐにレイゼルもお酒が好きになったのである。
まぁそんなにお酒に強い訳ではないので、沢山ノエルに甘えたかと思えば泣いてすぐに寝るが。
この勇者は酒を飲んでもめんどくさいのである。
「仕方ないから付き合ってあげるけど、絶対に発泡酒は飲まないからね。前みたいに酔って私に飲ませようとした瞬間にはっ倒すから」
「分かってるって!」
本当にこの勇者、わかっているのだろうか。
そんな疑いの目と顔をノエルとニョッキはレイゼルに向けた。ノエルは特に。
前にレイゼルが酔っ払ってノエルにサワー系のお酒を顔面にぶっかけてしまったのだが、その拍子にノエルがお酒を飲んで酔ってしまい、服がびちゃびちゃになったので脱ぎ始めてしまったのである。
後の展開はお察しの通り、めちゃくちゃセックスした。ニョッキは炭酸のガスでバタンキューしていた為、レイゼルを止める事ができなかった。
次の日の朝、レイゼルはその時の記憶が飛んでおり、ノエルはバッチリ覚えていた。そして小さい頃からノルトに言われてきていた事を思い出したのである。
『いいか、ノエル。絶対に炭酸飲料を飲むな』
『えっ、どうして……?』
『あれは俺達が飲むと、自ら思考を放棄し愚かな行動をする馬鹿な生き物に成り下がってしまう劇物だ。いや、炭酸飲料だけではない、発泡酒も絶対にだ。絶対に飲むな、炭酸ガスなどが含まれていなければいくらアルコール度数の高い酒を飲んでも構わない』
『でもお母さん普通に前飲んでたよ?』
『
そしてその理由が分かった。
父親の方の家系は魔力が感知できたり、魔法の扱いが上手いなど少し普通とは違う特殊な体質なのだと前から少し思っていたが……。
どうやら炭酸で酔ってしまう特殊な体質だったのである。それも、炭酸にとても弱い体質。
まぁその炭酸に弱い体質は、初代皇帝の体を改造したアルダの影響なのだが。アルダは毒が効かない体質であるのに炭酸にめっぽう弱い父親に遺伝したのか、毒は効かないのにとてつもなく炭酸には弱い体質であった。そのため、皇族も炭酸に弱い体質なのだ。
そんなこともあり、ノエルはニョッキ以上に疑いの眼差しを向けていた。
「あ、そーだ。昨日の夜、風呂入るの忘れてたし一緒に入ろ~♡」
「何で一緒なの」
「ほら、朝は時間ねーから一人ずつだと時間かかるだろ?」
「二人の方が余計に時間かかりそうな感じするけど??」
「…………」
「黙るな」
「いーじゃん、いつもセックスした後一緒に入ってるし! ノ~エ~ルぅ~!!」
「あー、分かったから絶対に手を出さないでよ」
ノエルの経験則だとここで頭を縦に振らなければずっと言い続けそうなので、ノエルは仕方なく一緒に風呂に入ってやる事にした。
「やったー! じゃあノエル、一緒に俺と洗いっこしような~♡」
「手ぇ出すなって言っただろうが」
「えー、そういう意味?」
「当たり前でしょ」
「じゃあ風呂入ってる時、ノエルの身体見ながらオナってていい?」
「は??」
「ダメか~」
「逆に何でいいよって言うと思った??」
それから一緒に入った時、レイゼルはじっとノエルの胸を見て「(この3年でAAAからAに)成長したな……」と呟き、意味を察したノエルに全力のビンタをされた。三つのAが一つのAになったところで、成長したと言われても嬉しくないのである。Bになったなら少しは喜べるかもしれないが。
というか、毎日見ているのに幼馴染の長期的な些細過ぎる変化に気づけるレイゼルはやはり変態だ。
風呂から上がった後は3年前より伸びた髪を魔法ですぐに乾かし、朝食を済ませて教室に向かった。
「ノ~エ~ル~~~~っ♡」
「ぐへっ!?」
その途中、無駄に広くて長い廊下を歩いていると3年前より背も胸も成長した170cm代のレイネルが走ってくると、ノエルにくっついていたレイゼルの頭をドロップキックして無理やりノエルから剥がすかのようにぶっ飛ばした。
ドゴオッ!! という音が鳴っているので、相当な威力がある事が見なくとも分かる。
レイゼルをぶっ飛ばした後は、ノエルにハートを大量に飛ばしながら抱き締め、頬擦りをしてクンカクンカ、スーハースーハーと薔薇のような甘いノエルの匂いを堪能していた。
「はぁ、はぁ……♡おはようございますぅっ♡♡今日も良い匂い──じゃねぇ、今日も世界一可愛いですねっ♡♡♡」
「あ、う、うん……おはようレイネル……それより出会い頭にレイゼルをドロップキックするのはやめた方がいいと思うな。一応私の彼氏だし、レイネルにとっては血の繋がった弟だし……」
「私には弟なんて居ませんよ?」
「(居なかった事にしてるッ!?)」
「…………」
「ま、待ってレイゼル、髪の毛咥えながら無言で出刃包丁出さないで!! 気持ちは理解出来るけど、その一線だけは超えちゃダメだから!!」
「オレ、コイツコロス……」
「とりあえずレイゼルは知能低いモンスターみたいなセリフ言いながら出刃包丁を人に向けるのやめようか!?」
「はっ! 模擬試合でオレに勝ったことねぇテメェがオレに勝てると思ってんのか雑魚が!!」
「レイネルも煽るの禁止!! というかちょっと離れようね!?」
ノエルは多少乱暴気味にレイネルを剥がすと、剥がされた方は「あんッ♡」と喜んでいた。やはり変態姉弟だからか、多少手荒に扱われる方が好きらしい。
ノエルは嫉妬深いレイゼルの機嫌を直す為、仕方なく腕を広げるとレイゼルはすぐさま飛び込んできた。
「ノエルぅ~~!!」
「はいはい、本当に仕方ない勇者様には私が特別に頭撫でてあげるから、これで機嫌直して。…………直った?」
「…………えへ、へへ……♡あっ、まだ直ってない!! まだだからな! ……ふへへぇ♡ノエルしゅきぃ~♡♡……ま、まだ! まだだぞ! 俺はまだ機嫌直ってないからなっ!」
「ソウダネ、とりあえずほら……出刃包丁は
……あっ」
つい、ノエルは小さい妹弟を持つお姉ちゃんの部分が出してしまい素でそれをして、された方のレイゼルは「しゅき、俺今すぐに白くて長い髪の翠眼美少女と結婚したい」と真顔で言っていた。いつもの事である。
そしていつの間にかニッチャリとした顔で原稿用紙にGペンを走らせる王女が隣に居る事もいつも通りである。
「記憶から消去して、3秒以内に」
「ごめん、俺ノエルの言葉は永久保存 (はぁと)してるから……」
「1、2のポカンで忘れて」
「無理!」
あまりにも元気に笑顔でそう言うのだから、ノエルはレイゼルの頭を乱暴にわしゃわしゃすると、
「もしかしてノエルって、世界一可愛すぎる天使だった……!?」
「にゅう……」
ニョッキは皺を寄せた。
~・~・~・~
どうもこんにちは、恥ずかしくて教室に逃げてしまったノエルです。最近は(数ヶ月前から)一週間に2~3回くらいビデオ通話で私の可愛いリトルツインズ、ルトゥとマーくん(3さい)を見る為に寮に戻ったらスマホを取り出して即刻ビデオ通話かけてます。
というか、なんなら時々転移魔法で会いに行ってる。その時にお母さんのご飯を食べたり、なでなでしてもらったり、ルトゥとマーくんとペット達の写真を撮って帰る。
お父さんはテロ犯の相手で年々仕事が忙しくなって、今では夜勤とか、残業を余儀なくされている。休日出勤も増えたらしいし……お父さんの心労が増えた。主に家族に会う時間が減った事が1番のストレスだとか。
あと、テロが増えて治安が悪くなったせいなのか、人々の心の余裕が無くなったからなのかはよく分からないけれど……。家にペットがまた増えた。白いスピッツ犬のロロ。なんか、拾ってあげてくださいって書かれたダンボールの箱に入れられてたらしい。
ブチギレながら土で汚れて毛玉だらけの成犬手前の子犬(おそらくはブラッシングが大変という理由で捨てられた)を連れて帰ってきては、すぐにお風呂で洗って綺麗にして、ご飯あげてエルも一緒にナデナデしていたらしい。
想像するとちょっと面白い。とにかくブラックだ、将来私は公務員には絶対になりたくない。というかなったら最後、あのボンレスハムに接触を図られそう。
だからか、家に一時的に帰っても中々会えない。ちくしょうめぇ!! あのボンレスハム、私のお父さんを仕事から帰せ、お父さんに会わせろ!!
えっ、無断外出? バレなければいいんだよ、バレなければ。それに寮の門限守れば無断外出扱いにはならないし。
……だからなのか、ついレイゼルに2人の時の対応というか、言葉遣いをしてしまった。普通に恥ずかしい、恥ずかしくて死にそう。
「独りとは、珍しいなルシファー」
「おはよう死神くん、それにしても目の隈すごいね……」
教室のドアを開けると、今にも死にそうな表情をした男子が私の事を今日も痛いあだ名で呼んでくる。
「……どうやら集中のあまり暗黒の刻が終焉を告げた事に気づかず、聖陽が闇を蒼空に照らす刻を迎えてしまったようだ。そろそろ……俺の真の力を解放するとしよう」
今日も一番登校が早い死神くんこと、アグネスくんは今日も今日とて痛々しい。けれど、今日はどうやら昨日の下校時間からずっとここに居たみたい。
ところで、しっかりとこのくだらない小説を読んでいる暇人の皆は本来なら違うクラスの死神くんと、どうして同じ教室なのかと気になった人も居るかもしれない。
これにはしっかりとした理由がある。
一年生の頃の夏、学校側はとにかく焦っていた。何故ならレイゼルが一向に、クラスの女の子達に興味を示さないから。私にしか矢印(クソデカい)を向けていなかったから、これはヤバいと焦っていたんだとか。あぁ、クレア先生曰くね。
それで学校側はあからさまに私とレイゼルを物理的に離れさせるよう、授業に日替わりのチームで共同作業をする魔法薬の調合をする授業を積極的に取り入れたり、保健(実技)の授業では学校側が相手を選んで、お題部屋に無理矢理2人きりにさせたり、とうとう部屋を別々、クラスも別にさせるという暴挙に出た。
私は死神くんと同じ、戦闘部門の人達のクラスに移って、やっとマトモな授業を受けられる事に逆に感動した。まぁ、レイゼルの事が気にならないという訳でもなくて、凄く色々な意味で不安だったし、嫌な予感がしたけれど。
その結果、一日も待たずにレイゼルの性欲と我慢と寂しさと嫉妬の限界を迎えて、四時間目の時に聖力を使って無理矢理お題部屋を破壊して脱出すると、魔法で私の目の前に転移しては盛大に泣きついてきた。
あの時の泣きっぷりは酷かった。
私の予感は当たっていて、レイゼルは「ノエル以外とセックスするくらいなら死んでやるぅぅぅ!! 次こんな事したら学校も木っ端微塵にしてやるぅぅぅぅ!!」と泣きながら私にくっついて授業の邪魔をしていた。
でも私には分かった。レイゼルのその言葉は、
そんな訳で学校側はクラスと今までの授業内容を変えざるを得ない状況になった。もう勇者に取り入れる見込みも、可能性も想像も無い状況となった今、あのクラスの令嬢達にはなんのメリットも無いどころかデメリットしかないクラスとなった。
せっかく名門校に通えるのに、レイゼルの為だけに用意されたクラスと授業を出され、更にレイゼルが令嬢たちに微塵も興味が無いと来たら、折角のチャンスを棒に振る事になる。
家柄関係無く、とにかく顔と体を第一に選んだクラスだから、中には名家の娘も含まれていたりする。それは国としてもあまりいいことでは無いから、クラスを解散させ本来の戦闘部門のクラスに移動になった。
……寮室も結局一緒に戻った。
まぁ、入学してから3ヶ月経っても令嬢達の名前を誰一人として覚えてない(というか村の人達の名前すら覚えてない節がある)レイゼルには、最初から全部無駄だった訳だったんだけど。
つまり浮気とかNTRを心配するだけ、無駄だったんだよね。
というか普通に考えて、もしレイゼルが私に興味を無くしたなら……それはもう、凄くわかりやすいだろうし。レイゼルは本当に興味が無い人間に対しては認識をしないから。
状況にもよるけど、話しかけられるまで隣に今誰かが隣に座っているという事にも気づかない時あるし。
「いつもテストの前はそう言ってるよね」
「ルシファー」
「何?」
「輪舞曲が開演する刻まででいい、時が来るまで我が闇の眷属として叡智を──」
「つまり簡潔に言うと?」
オタクなので言っている意味は分かる、分かるけど……脳が勝手にすぐ理解できてしまうのが癪なので聞いてみる。
「……魔法化学の理論も定理も魔法陣の回路の書き方も全く分からない、教えてくれ」
「じゃあテスト終わったら今回は購買で話題のバニラジェラート奢ってね、最近暑いから」
「ふっ……いいだろう、契約成立だ」
「死神くん、いつもテストの時はギリギリだよね。それで、どこ分からないの?」
「あぁ、それは……」
「それは?」
「全てだ」
「キメ顔で言っても駄目だから」
そうやってカッコつけても、全然カッコよくないからね。
「死神くん、もし公式が分からなくなったら自分で作る方が早いんだよ」
「……それは、天才しか使えない禁じ手じゃないか」
「まぁ冗談だけど。これ、うちのお父さんがやってたチートみたいな方法なんだ。そんな芸当は普通の人じゃ当然できないし、文系の中の文系な死神くんにできる訳が無いし。だから私がやるのは……テストに出そうな部分を勘で集めた問題を即興で作って解いて、覚えてもらう方法。
やった所、たぶんテストにそのまま出るから死ぬ気で覚えてね?」
そして私が即興で問題書いて、死神くんが解いている間にレイゼルがやって来て「ノエルが!! 他の男と近い距離で!! 話してる!! 勉強教えてるッ!! 浮気だぁッ!!!!」と騒ぎ立てられ、邪魔をされながらも、ジェラートの為に頑張って教えたのでした。
ちなみに後日、死神くんの魔法の筆記テストの結果は50点代。死神くんは生粋の文系だから、理系とは相容れないのは仕方ないね。でも短時間のほぼ丸暗記で苦手分野をこれぐらい取れるのは凄いと思うよ。
これでもし教えなかったら、最悪の場合は一桁だったかもしれない。ちょっと控えめに言って、終わってる。名門校だから、これからどんどん内容難しくなるのに……本当に終わってる。
「ノエルが浮気したぁ……」
「……浮気の判定が広すぎない? 某魚竜種の亜空間タックルくらい酷いよそれ」
テストが終わり、私は死神くんに奢ってもらったジェラートを食べながら、死神くんの分厚過ぎるノートに魔力を込めるだけで発動する魔法陣をペンで書き込む。本人の要望で、かなり見た目にも凝っていて、ちゃんと威力の出るヤツをね。
でもまぁ、実際に戦闘で使おうとしても私の許可と、許可を得た人物じゃないと使えないし本を開けない上に、持ち主以外が悪意を持って使おうとにしたら攻撃するし、私の意思一つで絶対に魔法が発動しないようセーフティーロックがかかるようにしておいたけど。
だってもし第三者に使われたら、あまりにも危なすぎるし。
お父さんにエンチャントのやり方を教えてもらって、持ち主には無断でアーティファクトにしちゃったんだけれど……。
何故か死神くん、物凄く喜んでた。それはもう、目を凄くキラキラさせて……正直、ちょっと可愛かった。なんか誕生日プレゼントを貰って喜んでる純粋な少年って感じで。
死神くんは根がかなり良い子だし、悪用はこれから先しないだろうから特に懸念は無いけれど……。
「それよりも、俺じゃなくてあの厨二病の為にノエルがわざわざ時間割いて何かしてるっていうのが嫌なんだけど??」
「だからオススメのラノベ借りて、最近はレパートリー無くなってきたからお高いお菓子も貰ってるでしょ? ヒエリカの皇帝様も気に入ってるっていう美味しいチョコ。あと魔物語も教えて貰ってるし」
まぁ、そのチョコは前におばあちゃんがやって来て「これすっごく美味しいのよ~! エルきゅんも食べてみて!」って言われて食べさせられたから、実は前に食べた事あるんだけどね。本当に美味しいから、また食べられて結構嬉しかったりする。
……ただ、高級チョコだから死神くんのポケットマネーにかなりのダメージ入れてると思うんだけど、何故かいつも死神くんは高いヒエリカのお菓子を用意してくれるんだよね。なんでだろ?
まさかタダで貰ってたりとか……?
でも高級のお菓子だから、流石に何度もタダで貰える訳無いだろうけれど。偉い人……例えば皇帝に献上するとかならまだしも。
「ふーん……」
面白くなさそうにレイゼルは私を抱き締めたまま聞いていて、我慢の限界がそろそろやってきたのか、体を丸めてスリスリしてくる。
「ノエルぅ~」
「はいはい、もうちょっとだからいい子にして待ってて。終わったら一緒に学校内を散歩してあげるから」
「って事は……デート!? やったー! じゃあ待つ!」
「(……犬扱いしての発言だったんだけど、伝わってないなこれ)」
元気になったレイゼルはイマジナリー尻尾をブンブンしながら待っていた。それから私はジェラートを食べ終わるのと書き終わるのが同時に終わって、背伸びをした後で私が自分で言ったとおりに散歩をする事にした。
学校に通ってるのに正直学校内を全部回った事ないし、何がどこにあるかも知らないから、探検みたいな感じで実はちょっと楽しい。学科が全く違うと場所すら関わりとか本当に無いからね。
「……レイゼル、本当にコレ好きだね」
「好き! なんかノエルに主導権と人権を握られてるみたいでしゅき!」
レイゼルのチョーカーだと思いたい首輪にリードを着けて散歩をするのにも、そして周りからの視線にもなんだか段々慣れてきてしまった。あと何故か気がつくといつの間にか鞭を装備してしまっている自分、そして何故か鞭が手によく馴染む事に驚かなくなった自分に……。
これが……遺伝の力か。前からなんとなく思ってたけど、結構私って父親の血が強過ぎない?
「というか、本当にただの散歩だけどレイゼルは楽しいの?」
「俺はノエルが居る場所なら、火の中水の中草の中森の中土の中雲の中でも全然へーき。ぶっちゃけ散歩に楽しいとかつまらないとかさ、関係無いんだよな。ただ傍に居てノエルにかまってもらえれば、俺はそれでいい。
……閉鎖的な場所でただ一人で居るより、よっぽど」
「ならいいけど」
「だからさ、俺今が一番幸せ!」
「……ふーん」
だ、駄目だ……笑うな、堪えろ私の顔……し、しかし……。
顔が笑いそうなのを我慢して歩いていると、ふとどこからか視線を感じた。
「……今、誰かが隠れて私を見てた気がする」
「気のせいだろ」
「だ、だよね」
レイゼルならまだしも、私を
「もしかしたらどこかの親切な人が、私の忘れ物とかを拾ったんだけれど、レイゼルが常にガルガルしてて近づけないとか?」
「それは絶対違う。毎日ノエルをエロい目で見てる俺だから分かる、それは絶対ノエルを舐め回すようにして見てた。本当に物を無くしたとしても、それは近づく為の口実で実際は盗んだやつを返しに来ただけだって」
「さっきの私のときめきを返せ??」
「それより俺とのデートに集中して欲しいんだけどなー」
「ただの散歩でしょ」
それからしばらくレイゼルと夜の校内の散歩をして寮に戻ると、レイゼルは「あ」と言い出した。
「やべぇ、散歩ついでにカ○ピスモドキのジュース買ってくんの忘れてた。うーわ、めんどくせ~……」
「国全体でアーティファクトの導入が進んで自動販売機も置かれるようになったけど学校は広いし、まだ数も少ないもんね。行ってらっしゃい」
「行ってくる!」
そう言ってレイゼルは私を抱き締めてキスをすると、歩いて行った。けれど私を離した後、一瞬見えたレイゼルの横顔はとても凍り付いているかのようだった。
「……ジュースを買いに行く、ね。なんて分かりやすい嘘」
~・~・~・~
「制服を着てないって事はお前学校の生徒じゃないよな、で? 何でノエルを監視してた訳? 10秒以内に吐いたら命だけは取らないでおくけど……嘘は俺に通じないから、よーく考えて吐けよ?」
「化け物めッ……!!」
レイゼルは聖力で魔法を相手が使えないようにしてから、散歩中のノエルに視線を向けていた男の首筋に出刃包丁を当てる。若干刃が当たっているのか、少し血が出ていた。
「じゅー、きゅー、はーち」
「こ、このような事をして、タダで済むと思っているのか!! 俺には──」
「残念、俺人類救うなら何してもいいってフェリラの王様に言われてんだよな。わざわざ法律まで変えてさぁ……つまりさ、お前を殺しても俺のは合法ってワケ。まぁ、その代わり勇者って存在は生粋の人間じゃないから最初から人権無いけどさ。……えっと、何秒だっけ?
ごー、よーん、さーん」
「い、言うっ!! 言うからっ……!!」
「にー、いー」
「ある方が、あの少女の様子を見るようにとっ……」
「それ絶対オリバスかあの王様とかだろ、あとは……王女様か」
そう言った瞬間に男が反応したのをレイゼルは見逃さなかった。
「おっけ、全員か。じゃ、さよなら」
「ま、待て!! 今言っ──」
男が言いかけている中、レイゼルは聖力で跡形もなく男を消し飛ばす。
「(やっぱ聖力って便利だな、血が飛び散らねーし。というか俺、ちゃんと何で付きまとってたかの理由を10秒以内に
ジュース買いに行こ~! ノエルの分も買っとこ、ピーチネ○ターモドキなら喜んでくれるよな!」
「ノエル、ただいま! ノエルの分のジュースも買ってきたぞ!」
「あ、ネ○ターモドキだ。ありがとう」
「んへ、えへへぇ……♡♡」
どうも、最近職場のおじさんに気に入られて奢られるようになった水性です。人のお金で食べるご飯っておいしいね。
我氏は趣味で小説書いてる事を公言してるんですが、そのおじさんに今度見せて的な事を言われたので、焦るというよりやめた方がいいと言いました。
……え、レイゼルという名の変態は我氏のやりたい事を代わりにやって貰ってるんだが……??
永遠のロリ体型なツンヤンデレ白髪美少女にあんな事やこんな事をしたいという我氏の欲望を全部やってもらっているだけのあほみたいな小説を……??
読みたいと申すか……??
絶対にやめた方がいい、頭おかしくなるから。
おまけ1
「……よし、エンチャントが終わったぞ」
「うふふ、ありがとうあなた♡」
ノルトはエマに丸メガネをかけると、その下に着けていたアイマスクを外す。ノルトは部屋に明かりをつけて「もう開けていいぞ」と言うと、ゆっくりとエマは目を開けた。
「明るさは丁度いいか? 眩しくはないか」
「今回もバッチリだから大丈夫よ」
最近買った甘ロリ服に似合うNEW度無しオシャレ丸メガネの調整を夫にしてもらい、エマはルンルンで鏡を見る。
「(……可愛いな)」
今日も今日とて、この夫婦は爆発していた。
おまけ2
「わんっ! はっはっはっ」
「……誰だここに薄汚い毛玉を捨てた馬鹿は」
(帰宅後)
「わんっ!」
「あら……あなた、その子どうしたの?」
「その子? 俺はただ、何故か「わん」と吠える薄汚い毛玉を拾っただけだ。それより、風呂に入るから食事は後でいいか」
(お風呂後)
「わん!」
「……思ったよりも白い毛玉だな、薄い茶色かと思っていたんだが」
「シャーっ!!(私という飼い猫が居るのに何よ、その白い毛玉!!)」
(食事中)
「わん!」
「ヴヴヴゥゥ……」
「エル、威嚇をするな。お前の代わりは世界中の何処を探しても居ない、毛玉に威嚇するだけ時間の無駄だ」
「にゃーん♡」
「わう?」
(次の日)
「ノルちゃーん! 遊びに来たわよーっ! ……あら!? あらあらあらあら♡」
「わんっ!」
「きゃーっ! 可愛い~♡ わたあめみたーい♡」
「はっはっは! わんっ!」
「名前はロロだ」
「あら(いつの間にか名前を考えてたのね)」