※この作品はR-18です。

チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった   作:水性さん

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皆さん、幼女には貢ぎ、ショタには旅をさせ、美女とイケメンは目の保養にしましょう。ロリは触らないようにして守るのです。




幼女には貢ぐのが世の理なんだよなぁ!!

 

 

「あ……」

 

 

 ノエルは冷蔵庫の中を開けると、そこにはすっからかんの冷えた箱の中が見えた。

 

 

「ノエルー、腹減ったー!」

 

「にゅー!」

 

 

 するとノエルの後ろでイマジナリー尻尾をブンブンと振っているレイゼルとキノコ臭い使い魔は後ろからじっと見ているが、ノエルしか見ていないようで冷蔵庫の中身は全く見えていないようだ。

 

 

「ごめん、買い出しするの忘れてた……」

 

「え゙っ」

 

「にゅっ!?」

 

 

 心苦しく思いながらもノエルはレイゼルとニョッキに伝えると、でっかい柴犬の尻尾の動きがピタリと止まる。

 

 

「マジか……俺、聖力使ったから超腹減ってんのに……。ノエルぅ、セックスしよ?」

 

「買い出しに行ってくる」

 

 

「ノエル待って、置いてかないで!! マジで俺、今体動かねーから!! HPごっそり持ってかれてるから!! 一人にしないでくれよぉ!!」

 

「でも動けないんでしょ、大人しく待ってて」

 

「いやだぁ!!」

 

 

「……いい子にして待ってて、お願いだから」

 

 

 ノエルはレイゼルを撫でてからそう言うと、ニョッキがレイゼルの動きを止めている間に財布を持って城下町へと買い出しに魔法で転移した。

 

 着いた先は夜の城下町の市場。朝や昼でもこの国の住人はお構い無しに盛っているが、夜は特に盛り上がりを見せる。

 

 どこからともなく、隠す気の無い嬌声やら野太い声やら卑猥な言葉やら肌のぶつかる音やらが聞こえてくる程に。今日も今日とて城下町はお元気だ。

 

 ノエルは溜息をつきたくなりつつも、市場へと向かう。そこなら少し距離があるのでこの音や声も聞こえづらい上、食材も買えるからだ。

 

 

「(今日の晩御飯、何にしようかな。とりあえず安くて新鮮なお肉と野菜を片っ端から買って、それから決めよう……)」

 

 

 そう思いながらノエルは勘を頼りに市場で安そうな食材がある場所へ向かい、タイムセールの品をお得に沢山買う。性転換してからというものの、とにかく腹が空くようになったのと、成長期なレイゼルがよく食べるので沢山買い込む必要があるのだ。

 

 

「(よし、これで全部かな。買った食材は全部冷蔵庫に転移させたし、買い忘れもないはずだから早く帰らないと。レイゼルが泣き喚──)」

 

「お兄様~~っ!!」

 

 

 すると突然、ノエルの後ろから何かが飛んでくるかのような勢いで抱き締められる。

 

 

「うっ!?」

 

「来るなら前もって言えばいいのに! そうだ、お母様とお父様はいつ──…………あっ」

 

 

 ノエルを抱き締めてきたのは、男体化したノエルの半分の身長も無い、お触り厳禁の可愛らしいゴスロリ幼女である。キラキラと輝く銀髪と、赤い眼、そして縦にとんがった耳と、口から覗く鋭く長い八重歯。幼女はノエルをじっと見て、恥ずかしそうにしていた。

 

 

「(魔人族の子……? いや、だとしても目の色は普通の人間と同じだし……私の勘が違うって言ってる。でも髪の色が普通の人と違うっていうのは私も同じだし。それにしても、なんだかこの特徴、まるで吸血鬼みたい……いや、でもこの世界にはたったの一体しか吸血鬼は存在しないし、その一体だけの吸血鬼は魔王だし。

 

  ……そもそもこんな人が行き交う場所で出会う訳無いよね)」

 

 

 フラグである。

 

 

「えっと……その」

 

「まっ、魔者違い!! 魔者違いじゃ!! 魔力が似ておるからつい──わ、忘れてたもれ!! (そうだ、お兄様はこんなに背が高くなかった!! 私とした事が……!)」

 

 

「魔物違い……?」

 

「あっ!? えっと、人違いの事じゃ!」

 

 

 なんだか不思議なのじゃロリっ娘だな……。

 

 ノエルはそう思いながらも、変態ばかりのこの世界、しかもロリコン国王の居る国でゴスロリ美幼女が夜の城下町に居る事に危機感を覚える。

 

 

「えっと……お名前は?」

 

「ティアラじゃ!」

 

 

「可愛い名前だね、ティアラちゃんはお父さんかお母さんと一緒かな?」

 

「父上と、母上…………」

 

 

 ノエルは当然の質問をすると、ティアラは急に涙を溜め始める。

 

 

「えっ」

 

「お゙とうざまーーッ!! お゙があざまーーーーッ!!」

 

 

「(な、泣かせてしまった……!!)」

 

 

 ノエルはオロオロしながらも、とりあえず抱き上げて優しく頭をナデナデする。普段のノエルであれば、事案になってしまうので初対面の幼女にいきなりそんな事は絶対にしないのだが……。

 

 

「だ、大丈夫だよ! 大丈夫だからね~!!」

 

 

 不思議な事に、ティアラに対してノエルはまるでルトとエルマーに接しているかのような感覚と気持ちになったのだ。若干ヤケクソ気味にとにかく頭を撫でたり、背中をトントンしたり揺らしたりする。

 

 若干泣き止ませ方が合っていない気がするが仕方ない。大体レイゼルのせいで、頭を撫でておけば泣き止むとノエルの頭は勝手にインプットされてしまっているし、まだ妹と弟はティアラよりも小さい。だから幼女の泣き止ませ方など知らないのである。

 

 だが、ノエルの鋭い勘はティアラに何を言えばいいのかをしっかりとわかっていた。

 

 

「きっとまた会えるよ、だから大丈夫」

 

「ほんとう……?」

 

 

「そうだよ、ティアラちゃんのお父さんとお母さんもティアラちゃんのことが大好きだから。絶対に会いに来てくれる」

 

 

「いつ……?」

 

「え、えっと……9年後、くらいかな」

 

 

「9年……」

 

「(や、やっぱり長いよね!? 9年なんて幼女には長過ぎる!! けど私の勘がそう言ってるし……!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なーんじゃ、すぐに会えるではないか!」

 

「えっ」

 

 

 急に元気になったティアラにノエルは困惑しながらも、泣き止んだ事に安心する。その時の事だ。

 

 

「のう、ところでお主、何故聖力を受けておる?」

 

「……聖力?」

 

 

 ティアラにそう言われ、ノエルは何の事か分からず、頭の中はハテナマークに埋め尽くされる。

 

 

「なんじゃ、聞いておらぬのか? ……まぁよい。その姿、聖力によって元に戻れずにおるぞ」

 

「えっ……な、何で知って──」

 

 

「この世に起こる現象において、妾に分からぬ事など無い!」

 

 

 ドヤ顔をしているティアラにノエルは「可愛い……」と思いながら見つめる。

 

 

「……せっかく会えた事じゃし、妾が元に戻してやろう!」

 

「い、いいの!? というか、できるの? って、それより服!! 元に戻ったら服が──」

 

 

「何、心配入らぬ。何故なら妾はスゴイから!」

 

「(その自信は一体どこから……!?)」

 

 

 ドヤ顔をする幼女にノエルはやはり何故かルトとエルマーと接しているかのような感覚になり、疑問に思いつつもティアラに対して可愛いと感じてしまう。

 

 

「ただ……そうじゃな、その前に──胸を触っても良いか?」

 

「む、胸?」

 

 

 なんだか前世ぶりに聞いた事があるような要求をされ、ノエルは困惑する。前はとある男子相手だったが、今回はまさかの幼女。恥ずかしさとか怒りではなく、困惑でしかない。

 

 

「正確に言うと、胸と言うよりも心臓に近い場所……谷間の方じゃな。その方がやりやすい」

 

「そ、そう、なんだ??」

 

 

 疑問が頭に浮かぶが、ノエルの勘は別に何か変なことをしようとしている訳では無いと告げていた。

 

 

「ほれ、早う屈むのじゃ」

 

「う、うん……」

 

 

 するとティアラはノエルの服をガバッとめくると、服の中に潜り込んでぎゅっと抱き締める。

 

 

「(……あれ、ひょっとしてこの絵面、かなりアウトでは??)」

 

 

 しかも人が多い場所でやっているのだから、当然人の目を引く。

 

 

「あら……兄妹で仲がイイのね」

 

「ったく、市場でおっぱじめやがって……」

 

「あの子妹……? 兄妹でしかもあんな小さい子と?」

 

「何あのイケメン……ワンナイトできないかしら」

 

 

「えっ、ちょっ、ティアラちゃん、一旦離れて!! お願い、色々とアウトだから!! 変な勘違いされてるから!!」

 

「騒ぐでない! あ、こら! 動くな!」

 

 

 それからノエルはしばらくティアラにそのままの状態でくっつかれる事となり、ようやく離した頃には逃げるように市場から離れて行った。

 

 

「えっと……ところでティアラちゃん、いつ私は戻れるのかな? あと、お家は何処なのかな」

 

「体は明日の朝に戻る。家は魔法を使って1人で帰れるから平気じゃ、それより妾が家に帰るまで妾の暇つぶしに付き合え!」

 

 

「じゃあ、散歩する?」

 

「それはもう飽きた」

 

 

 ノエルは頭を抱えそうになる。一体どうすれば、このワガママモード発動中の幼女を満足させればいいのだろう。遊ぶのにもお金は必要だ。

 

 

「……えっと、ショッピングとかは?」

 

「する!!」

 

 

「何を見て回りたい?」

 

「服!」

 

 

「(絶対ゴスロリの高くて可愛い服を買ってあげよう……)」

 

 

 ロリータ服は可愛いが、本格的な物だと上下で千ソルを超える。今着ている服もよく見ると、布の素材がかなり上質だ。並の物はお気に召さないだろう。というか、ノエルが安物を買い与える事に良しとしなかった。本来なら何もそこまでしなくてもいいが、やはり妹と弟が重なって見えるので仕方ない。

 

 

「……ちょっと待ってね」

 

 

 ノエルはペンと紙を出すと、紙に何かを書いて魔法で寮室に転移させる。すると数秒後、レイゼルとニョッキが魔法で転移をしてくると、レイゼルはすぐにノエルを抱き締めた。

 

 

「ノエルっ! 今日は外食って本当ー!? なぁなぁ、何食べる?」

 

 

 目を輝かせながらレイゼルはノエルに聞くと、ノエルは「その前に、お金稼ぐからレイゼルはこの子の面倒を見てて」と、レイゼルにとっては死の宣告をした。

 

 

「じゃあちょっとカジノ行ってくるね」

 

「えっ、何でカジノ?」

 

 

「その子に安いご飯とお洋服を出す訳にはいかないでしょ」

 

「ノエル、初対面だよな??」

 

 

「そうだよ? って事で、行ってくるね」

 

「いやいやいや!! だからってカジノはヤバいって!! 最悪カ○ジみたいになるって!!」

 

 

「大丈夫、ルーレットでちょっと一稼ぎしてくるだけだから」

 

「どこも大丈夫じゃないだろ!! 俺を置いて行かないでくれよぉ!! おいソテー!! 離せぇ~~ッ!!」

 

 

 3ターン以内にノエルをなんとか引き留めようとするが、ニョッキに邪魔されてレイゼルは行動不能状態に。その間、ノエルの方は勘でカジノがありそうな場所にさっさと向かう事にした。

 

 これから何が起こるかも知らずに……。

 

 

 ~・~・~・~

 

 

 どうも、社会の歯車の皆さん、そして歯車の錆として生きているニートの皆さん、こんばんは。カジノを探しにありそうな場所をフラフラと1人で歩いているノエルです。

 

 

「(……何処にあるんだろう)」

 

 

 私の勘を持ってすれば、雑草を刈ってお金を得る方法よりもあっという間に荒稼ぎできるからね。

 

 私は勘を頼りに歩いていくと、どんどん人気の無い場所に行っていく。というか、なんだかガラが悪い人が多い。

 

 本当にこっちで大丈夫かな……。

 

 でも私の勘が外れた事はほとんどないから、不安になりながらもその通りに私は足を動かす。

 

 すると、やけに煌びやかな服を着ている男女、黒いマントを羽織った人、ガラの悪い人達がある地下への入口へ入っていくのが見える。入口には門番のような人が居て、いかにも強そうだ。

 

 多分あそこが目的地、カジノがある場所。きっとそうに違いない、それにしても……。

 

 注意深く、何となく隠れながら私は見ていると、門番に突っぱねられている人などが居た。

 

 

「(会員制なのかな)」

 

 

 きっと会員の人と会員では無い人には何かの違いがあるんだろう。私はよく見て観察していると、私は門番の人が魔人族である事に気がついた。

 

 なるほど、つまり魔力が感知できるという事は、きっと特定の誰かの魔力が篭った何かを持った人を入れているのに違い無い。この距離からだと、魔力が小さいからか分からないけれど。

 

 そう思いながら、会員になる為に勘を頼りに歩いていく。

 

 

「(そうだ、髪の色、今のままだと目立つから変えておこう。カジノで顔を覚えられて、なんだが変な噂されそうだし。あと知り合いが居たら嫌だ……)」

 

 

 移動中に私は魔法で髪の色が黒く見えるようにすると、その先で着いたのはバーで、なんとも大人な雰囲気が出ていた。この世界では16歳が成人だけど、まだまだ精神面が子供な私にはなんだかちょっとドキドキする。

 

 お店の名前はGorn・nobar……。

 

 

「(剣が由来なのかな)」

 

 

 お店の中に入ると、バーのカウンターに座る。そこでも私は勘を頼りに注文した。

 

 

「トロピカルドリームをボールアイスのみでお願いします」

 

 

 するとマスターは無言でアイスを出すと、魔法で丸く仕上げていく。そしてオシャレなグラスを出すと、仕上げた氷を入れて私の前に差し出してくる。

 

 みるみる氷はあっという間に溶けて、私はただの水を飲み干すとお店を出た。

 

 

「(さっきの水、マスターの魔力が込められてたな……)」

 

 

 急いで私はカジノの入口へ向かうと、門番はじっと私を見てそれから入口に通した。結構入るの簡単だな……。

 

 地下を降りて行った先は煌びやかで、どこもかしこも黄金に輝いていて目に悪そうな場所が広がっていた。

 

 

「(カジノって感じだなぁ、ゴージャス……)」

 

 

 私は早速換金所に行き、所持金をチップに換金してもらいに行く。着いた場所はやっぱり豪華、そして私は換金所に着いて、思わず目を逸らした。

 

 

「(なんだこのジト目な受付のお姉さん……どうして逆バニーなんですか!? 目のやり場に困るんですけど!??)

 

「チ、チップへの換金をお願いします」

 

「……申し訳ございませんがお客様、所持金が足りておりません。当店では1チップ10000ソルとなっております。冷やかしは困るんですよね……ホント」

 

 

「えっ……そうなんですか、50ソルしか持ってない……」

 

「当店ではチップを借りる事もできますので、心配ありません。早く借金でも作ったらどうですか」

 

 

「じゃあ10000チップお願いします」

 

「……随分と強気ですね、童貞の割にゲームには自信があるご様子」

 

 

「まぁ……(一応私、客だよね? なんだこのお姉さん……色々と)」

 

 

 クレーム来そうだな、大丈夫かなこの人。……それにしても周りからの視線が凄い気がする、特に男性からの視線。まるで射殺さんばかりに見てくるよ。

 

 

「ではここにサインと住所を」

 

 

 あっ、サイン? まぁそうだよね、一応借金な訳だし。……なんか怖いから、Noel・Velicaって書こう。綴りが違うのは、この姿に合わせた結果です。もし法外な酷い利子とか付けられたら怖いし。

 

 

「ではこれが借用書となります。無事に勝って返済出来たら、この借用書をお渡し致しますのでご心配なく」

 

 

 一瞬にして私はセクシーの域を超えた気だるげお姉さんから1千万ソルの借金を負いながらも、10000チップを持ってルーレットのあるテーブルに向かうと、ディーラーに見えるようにしてテーブルにチップを置いた。

 

 

「レッドにオールベット」

 

 

 

「分かりました、では皆様……そろそろボールを投下致します」

 

 

 ディーラーが落としたボールはクルクルと回るウィールの上を転がっていて、賭けた人達は全員がじっと盤(ウィール)を見ている。

 

 そしてボールが入った。

 

 

「レッドの29です」

 

「クソッ!!」

 

「よし! 当たったぞ!!」

 

「あ、あ゙ぁぁぁぁぁあああああッ!!」

 

 

 ディーラーは無慈悲に運命の神様から見放された人のチップを回収し、買った人へ配っていく。その内のほとんどが私に配られて「それは俺の金だぞ」と言わんばかりに睨みつけてくるおじさん、そして何故か黒服の人に連れていかれるおじさんを私は見なかったことにした。

 

 あれ、もしかしてここ、ひょっとしてヤバい所なのでは……?

 

 そ、そんな訳ないよね!

 

 ……ま、まぁ、借金を返せるだけのチップは手に入った。まぁ1(0000ソルの)チップ一枚からでも別に大丈夫だけど、所持金が多いに越したことはないよね。

 

 借金をいつまでも作っていたくない私はすぐにまた換金所へ向かうと、逆バニーのお姉さんに10000チップを渡す。

 

 

「このチップと私の借用書を交換して頂けますか?」

 

「勝ったんですね、おめでとうございます。てっきり、それで地獄を見るバカかと思っていました」

 

 

 そう言いながらお姉さんは借用書を出して返済済みの判子を押して私に渡す。

 

 

「……えっと、さっきから少し思っていたんですけれど、正直ですね」

 

「よく言われます、まぁ……それで時々罵って欲しいと仰るお客様も出てくるんですよね。うち、そういう場所じゃ無いんですけど……本当に迷惑というか、気持ち悪くて仕方ないですよ」

 

 

 その気持ち、分かる。急に知らない変態から罵って欲しいと言われた時の気持ち。本当に気持ち悪いよね。

 

 

「ではそろそろ行ってきます、視線も凄いので……」

 

「そうしてください、彼氏面する変態共の視線が気持ち悪いので」

 

 

「……お疲れ様です」

 

 

 私はさっきのルーレットの場所に戻ると、私が抜けた後に行われたゲームが終わっていたらしく、新しいゲームが始まっていた。

 

 

「それでは次のゲームを始める前にチップを賭けてください」

 

「(確かルーレットって、色より数字一つにかけた方が配当倍金が高いんだよね……。早く帰りたいし、もう直接賭けちゃおう)」

 

 

 私はチップをブラックの8にオールベットすると、またボールは私の勘通りに賭けたポケットに入った。

 

 

「おめでとうございます! では360000チップをどうぞ!」

 

「ありがとうございます」

 

 

 さて、もう充分ではあるけれど……。どうせなら将来の夢の貯蓄の為に稼いでいようかな。

 

 実は家族には言ってない、というか聞かれた事が無いし、あんまり言いたくないから言ったことが無いんだけれど……。実は前世からずっと叶えたい夢があって。それが子供の為の施設を作って、不幸な子を少しでも減らす事だったりするんだよね。

 

 ……え? 「今までそんな夢があるなんて話してなかった」「その設定要らない」って?

 

 建前は世界平和の為、本心は……旅の途中、レイゼルの荷物にならず、傍に居る事。その為に強くなる事で必死だから、夢を語る機会がなかっただけだよ。それにこの夢はきっと叶わない、だからお父さんとお母さんにも、レイゼルにも言ったことが無い。誰にも。あと幼少期はレイゼルから距離を取る事で必死だったし……傷つきたくなかったから。

 

 夢を叶えるにはまず、世界の平和が不可欠。手段と目標と目的は違うって、よく言うのかは知らないけど、言うでしょ? たぶん。

 

 まぁ、何でそんな夢を持ったのかっていう根本を聞かれたら、褒められた事じゃないけれど。純粋な気持ちで誰かに奉仕したいと言うより、自分の為に行動を起こそうとしてるというか……。

 

 言ってしまえばコンプレックス解消の為に行動を起こす、偽善者としか言いようがない。そんな不純な動機、恥ずかしくて言える訳ない。それで色々あってまぁまぁ家庭関係とか人間関係で苦労はしたし、今はこの世界に転生して、この世界特有の問題を解決したいとは思ってる。

 

 心の底から助けたいと思っているかと聞かれれば、頭を横に振ってしまうだろうけど。

 

 この世界はあまりにも精力に溢れ過ぎているその裏で、行為をしたその結果、意図せずに子供ができてしまう事が多い。親がその子供を売って労働力、又は愛玩用の奴隷にさせてしまう事や、虐待をする事がある。

 

 ……中には、あのボンレスハム国王に売る親も居たりする。

 

 だから私はその子供を引き取り、匿って大人になるまで面倒を見るシェルター兼、孤児院を作りたい。そしたらきっと、ずっと重くのしかかる私の無価値感の根本、自己肯定感がちょっとでも高くなって軽くなる気がする。

 

 もちろんその為には沢山のお金、そして平和が必要だけどね。

 

 まぁ本当はそんな偽善活動をする前に、治したかったよ。でも……無理だった、お父さんとお母さんにどんなに褒められて大好きだって言われても、この性格だけは治らなかった。

 

 おかげで未だにレイゼルからの好意が信用しきれない。昔に比べたら、随分と良くなってきたけどね。勘ではちゃんと好きだって事は分かってるんだけど……うん、私の心の問題でやっぱり無理だ。

 

 もしかしたらこのガワを気に入っているだけで、他に気に入った女の子ができたらそっちに行ってしまうんじゃないかと心の中で常に思っている。

 

 

「レッドの27にオールベット」

 

 《ボールは予想通りにポケットの中へ入った!》

 

 《ノエルは19260000チップを手に入れた!》

 

 

 ……我ながら、なんて面倒くさい女だと思うよ。まぁそんな女を好きになった上に惚れさせたレイゼルの趣味が悪かったって事にしておこう。

 

 そういう事にしておかないと納得できない。

 

 私は別のテーブルに行って、時々わざと負けたりした。流石に何度も同じテーブルで勝ち続けたら、もしかしたら不正を疑われるかもしれないし。

 

 私はテーブルを転々としながら、何故かゲーム中に何回か叫び声が聞こえてきて気になりつつも順調に勝ち進め、なんと1000000000チップ以上を入手していた。

 

 

「おめでとうございます、ではこちら1348000000チップでございます。貴方は運命の神に愛されているのですね」

 

「(運命の神様からはそんなに好かれてないと思うけど……私の某幼馴染が一応半神だから、神様に愛されているという点では……。まぁ合ってはいるのかな、たぶん)」

 

 

 そう思っていると、 同じテーブルで賭けていて負けた人が急に「うわぁぁぁぁああ!!」と叫び始めて、何処からかやってきた黒服の人達に「嘘だぁぁぁぁああ!!!!」と絶叫しながらどこかへ連れてかれていく。

 

 ルーレットやってる時、ちょいちょいなんだか叫び声が聞こえるな、とは思ってたけどこれだったのか……。

 

 ……なんだか、カ○ジでありそうなシーンだな。別にカ○ジは履修している訳じゃないけれど、なんとなくそう思った。あの人、地下労働させられるのかな……。

 

 よし、そろそろ換金してレイゼル達の所に戻ろう。こんな目が悪くなりそうな所、さっさと戻るに限る。そう思ってチップを持とうとすると、黒服の人を連れた身なりの綺麗な中年が私の近くに来て話しかけて来る。

 

 

「初めまして、私はこのカジノの支配人を務めさせて頂いている、イーヴィルと申します」

 

「……初めまして?」

 

 

 支配人? 何でまた、カジノの運営をしている偉い人が私の所に? そう思っていると、支配人は私のチップを見てにっこりと笑う。……なんだか嫌な予感がするな。

 

 

「お客様は本日で初めてのご来店でございますか?」

 

「あ、はい」

 

 

「やはりそうでしたか、ここでのゲームは楽しんでいただけているでしょうか?」

 

「……そうですね、楽しいですよ(勘で簡単に大金が手に入るし)」

 

 

「楽しんでおられるようで、何よりです。実は、運の良い特別なお客様にだけご招待するゲームがあるのですが……もしよろしければ、参加してみませんか?」

 

「すみません、そろそろ帰ろうかと思っているのですが……」

 

 

「では景品を見て頂くだけでもいかがでしょう?」

 

「……景品?」

 

 

 そう聞き返すと、支配人の人は「きっと気に入って頂けると思いますよ」と言って私をエレベーターへ連れていく。エレベーターに乗って特殊なカードを出すと、スキャンした。

 

 きっと鍵のような物なんだろう。

 

 地下深くまで降りていった先、そこで私が目にしたのは──。

 

 

「(……何ここ)」

 

 

 沢山の人と生き物が居る牢獄だった。

 

 

「獣人族、森人族、魔人族、それから世界で珍しい奇病を患った者、そして珍しい猛獣やドラゴンまで。ゲームに勝てばお好きなように選んで頂くことができます」

 

 

 牢獄の中に居る子供達や生き物は酷く怯えていて、ろくに食べ物を貰えていないのか、痩せている。今にも死にかけている子や生き物がちらほら見える。

 

 たぶん100くらいかな。

 

 その中で体に花が生えていたり、宝石が生えていたりする子供が居た。奇病っていうのはそういう事で、きっとこのまま景品として売られた後の末路は……吐き気がする。

 

 

「気が変わりました、ゲームができる場所は何処ですか」

 

「……そう言っていただけると思っていましたよ」

 

 

 今から私がするのは、今日あった可愛い幼女の為でも将来の夢の為でもなく……ただ、私が不快で可哀想と思ったから取る行動。

 

 助けた後の事なんて何も考えてない、ただの無責任な行動だ。

 

 

 ~・~・~・~

 

 

 暇人の読者の皆さんはもうお気づきだろうが、ノエルが知らずに来てしまったこのカジノは普通のカジノではなく、裏世界の人達が集まる裏カジノだ。

 

 そしてノエルが連れていかれた先は闘技場。人身売買と、賭け事が複合されたゲーム会場なのだ。そう、このカジノで一番大きな規模のゲームであり、客はこれ目的でやって来るのだ。

 

 中央を囲うようにした客席とオリハルコンのフェンス。フェンスのその先にはリングがあり、人と魔獣(キマイラ)がそこに居た。

 

 

「(……あれ、あの人って、さっき黒服に連れて行かれた人じゃ──)」

 

「だ、誰かッ、助けてくれぇぇッ!!」

 

「グルルルルッ」

 

 

 絶対に勝つ見込みの無い戦いに、ノエルは支配人に尋ねた。

 

 

「今、どういうゲームをしているんですか」

 

「これはゲームではなく余興です。ゲームに負けた者の哀れな末路、というところですね。ここでは運が全て、運が無い者はああなります。ご存知でしょう?」

 

 

 その支配人の言う通りなら、ノエルがここに来てしまったのは運が無かったと言えるのかもしれない。それかもしくは、この支配人にとっての。

 

 

「このゲームは、誰が何連戦をしたかを賭けるゲームです。もし当たれば、先程の景品を貰えます。御希望でしたらあのリング上に行き、戦う事もできますよ。1ゲーム10回戦で、その戦いで勝ち残れば、先程の景品をお譲りする事になっております」

 

 

 

「あのリング、わた──僕も行く事ができますか」

 

「そう言っていただけると思いましたよ。貴方からは強者の風格と、その鍛えられた体を持っているようでしたからね。こう見えて、人を見る目は確かなんですよ」

 

 

「……武器の指定は?」

 

「手で持てる物であれば何でも構いません」

 

 

「分かりました、では早速次のゲームに出させてください。それとひとつ、お願いがあります」

 

「なんでしょう?」

 

 

「休憩時間は要らないので、僕が倒した瞬間に次の魔獣をリングに登場させてください。最初から10体でも構いません」

 

「余程自信がある御様子……分かりました、手配させましょう」

 

 

 その会話が終わった頃、リング上にたっていたのは魔獣(キマイラ)のみ。支配人はにこやかな笑顔を浮かべているその裏では「このまま死んで貰えればチップを換金されて赤字にならずに済む」と考えていた。この時は。

 

 

「(ここにいくら魔獣が居るのかは分からないけど、目指すのは1000体抜き……1分で10体くらい倒せばすぐかな、ただ……)」

 

「ガァァァァァァアアアッ!!」

 

「キシャーーーッ!!」

 

 

「(この魔獣達、何で魔力が強いの? これだとまるで──)」

 

 

 魔獣の魔力がより強くなり、ノエルは嫌な予感がしてその場を離れると、立っていた場所が一瞬にして凍りつく。

 

 

「(氷魔法(グロウ)!? やっぱりこの魔獣、ヒエリカの魔獣なの!? それって犯罪じゃ……まぁ今更か。今はこの魔獣が暴れて外に出たりレイゼル達を待たせ過ぎたりしないよう、なるべく早く終わらせないと)

 

  草魔法(エルズ)」

 

 

 魔法を唱えてノエルはエルローズの改良版を生やすと、意志を持っているかのようにエルローズは茨を伸ばして魔獣に突き刺す。そして魔力を吸収すると、魔獣はカラカラに干からびて再生できなくなった。時間にして20秒、予想していた時間の半分以上早い。

 

 

「次の魔獣をお願いします、時間が勿体無いので」

 

 

 こうして支配人は思い知る事となった。

 

 これから始まるゲームは、ノエルによるただの一方的な駆除であるということを。

 

 





次回、ノエルさんを待ってる間のレイゼルくんとティアラちゃまとニョッキのお話。

昨日の配信見に来てくれた暇人の人、ありがとうね。我氏は食事とトイレ休憩、お風呂による放置時間も含めて14時間35分くらいもお絵描きしてたよ。実際にお絵描きしてる時間はたぶん13時間半くらいかな。


次回は27と28の朝からぶっ通しでリアルマイフレンドが提供してくれたハロウィン絵を塗るぞ。休みの日だからね……。







~おまけ~


これはレイゼルが7歳の時の事。


「お義母さん!ノエルを俺の嫁にください!」


「じゃあレイゼルくん、この問題に全問正解したらノエルとの結婚を許可します」

「マジで!?じゃー頑張る!」


「では問題です。ノエルが知らない男に言い寄られていました、その時にレイゼルくんが取るべき行動はなんですか?」

「そいつを殺す!」


「凄いわ、正解よ!」

「やったー!」



「次の問題です、殺した後の死体はどうしますか?」

「はい!その死体を利用してノエルとのラブラブ新婚生活で必要な金を得ます!」


「大正解よ!」

「わーい!」


「うふふ、なら最終問題は答えられるかしら? 絶対に有り得ないけれど、もしもノエルが死んだらレイゼルくんは……?」

















「後を追って死ぬ!」


「パーフェクトよ!ノエルを想う気持ち、それが本物だってことがよく伝わったわ!結婚を許可します♡」

「やったー!!」



(数時間後)



「お義父さん!ノエルを俺にください!」

「……大人になったら考えてやる」


「ノエルとセックスしたら結婚していい……ってコト!?」

「は????」


その日からノルトパッパの変態に対する対応が悪くなった。

  1. 目次
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