※この作品はR-18です。

チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった   作:水性さん

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実は我氏、今月の1日から10月にオープンした新しい施設に応援に行ってるんですがね……。マジでその施設が終わってた。

ほとんど応援しかおらん……。その施設の元々の従業員が5人しかおらん……ナースも1人含めて5人だし。しかも1人辞めるって?

なのに入居者の募集止めないと?

これからどんどん増えてくと??


もう既に元の施設のところに帰りたいでござる。





身に覚えが無いんですが!!

 

 

「離せぇぇぇッ!!!!」

 

「にゅ」(暴れるなの意)

 

 

 ソテーが俺の体を頭の傘でぐるぐる巻きにして邪魔をしている内に、ノエルは俺を放ってカジノに向かう。普通恋人と幼女を置いてカジノ行くか!? 

 

 今回は許さねー!! ノエルの方から謝っても許さねー!! 頭撫でられても無視してやる! キスされても絆されないからなっ!! 

 

 全裸土下座されたって許さないんだからなっ!! 俺が女の子になって子作りラブラブセックスをするか、俺のアナル処女でノエルが童貞を卒業するまでは!! 

 

 俺はソテーに捕まっている中、何とか抜け出そうとしていると、幼女は俺の方をずっと見ている事に気が付いた。

 

 なんか、めっちゃこっち見てくんだけど……何? しかもなんか、なんとなく人間っぽくねーな。よーく見るとって言うより、なんかそう感じるっていうか……。

 

 それにしても……なんか、既視感を感じる。

 

 

「……お主」

 

「え、何?」

 

 

「妾を見て、何か思う事は無いか」

 

「……ノエルとは越えられない壁があるけど、まぁ可愛いとは思う! それがどーかした?」

 

 

 俺はそう言うと、その幼女は俯いたまま「……そうか」ってなんか呟くように言った。

 

 

「お主は今、幸せか?」

 

「今? 超幸せ! 

 

 さっきのイケメン、本当は世界一可愛い女の子で俺の恋人なんだけどさー、マジ天使! いつか結婚して、ずっと一緒に居るんだ~♡」

 

 

「お主は今、幸せか。そうか、良かった……」

 

 

 幼女は心の底からそう思っているようで、なんだかその感情がこっちに流れてくるような気がする。ただ、なんか……これ、初対面に向けるような感情じゃない。まるで俺を知ってるみたいな言い方だし。

 

 それにさっきから俺は、この幼女に初めて会った気がしない。

 

 俺には友達なんか居ないし、作ったこともねーし(前世のあの子は初めてあったときから好きだったから、友達としてカウントはしてない)作る予定もねーし、こんな経験もねーけど……なんか久しぶりに会った友達と話してるみたいだ。

 

 

「……なぁ、どっかで会ったことある?」

 

「2つ前のお主には会ったぞ」

 

 

 2つ前のって事は……つまり前の──俺が日本人として生きてた時よりも前の人生って事か。じゃあ覚えてなくても仕方ないな。

 

 

「……お主、本当に覚えておらぬのか?」

 

「んー、俺前世より前は全然覚えてねーぞ! 今の人生で初めて俺が勇者だって事も知ったし」

 

 

 そう言うと幼女は「やはりそうか、でも知らぬ事の方が幸せじゃろう」と言って俺の手を握ってくる。……かと思えば、急に手を離した。

 

 

「え、何?」

 

「あ、いやすまぬな。なんだか変な感じがしてのう……何か変じゃな、変な事は分かるんじゃが……うむぅ。分からぬ! とりあえず……。

 

 お主の恋人が戻ってくるまで、妾とデートせい!」

 

 

「あー、ごめん。俺ノエル以外とのデートは基本的にNGだから……」

 

「その恋人は妾とデートをする約束をしておるぞ?」

 

 

 は?? 何それ俺聞いてないんだけど。

 

 

「お主の恋人が帰ってきた後、夕飯を食べるじゃろ? その後に服を買いに行くのじゃ! ……でも行かないなら仕方ないのー、2人っきりでデートを楽しむかのう」

「行く」

 

 

「そうか! じゃあ3人でデートじゃな! お主とデートをするのはいつぶりじゃ? 400年ぶりじゃな! 楽しみじゃのー!」

 

 

 そう言いながら幼女はルンルン気分で俺にくっついて来る。なんだこの幼女、めっちゃ距離近ぇ。というかこの様子だと……この幼女、誰かと出かける事をデートって言うタイプだな。

 

 

「なぁなぁズッ友、お主最近風邪は引いておらぬか? 困ったこととかも無いか? 元気か?」

 

 

 うわ、更に距離近くなったんだけど。何で俺に好意的な女子ってこう、距離近いんだろーな。ヘレンも俺とノエルの話を興奮してめっちゃ距離詰めて聞いてくるし。

 

 てかズッ友って……でも、なんでだろうな。全然違和感を感じない。呼ばれ慣れ親しんだ感じがする。

 

 

「元気かって聞かれたら、俺は超元気!」

 

「そうかそうか! ズッ友、お主恋人とは上手くいっておるか?」

 

 

「すっげー上手くいってる! もう毎日ラブラブって感じでさー!」

 

「それは良かったのー! ……本当に、良かったのう」

 

 

 幼女からは本当に、心の底から良かったと思っている感情が伝わってくる。何でかは分かんねーけど、俺もそう言えて良かったと思い始めてくる。

 

 

「今のズッ友は昔の事を覚えておらぬから知らぬ事じゃが……。

 

 昔のズッ友は若い女子(おなご)でやせ細っていてな、固形物だと吐き戻してしまうから汁物しか食えんかった。それで……常に泣いておったよ。人間との関わりを徹底的に拒絶し、見ているこちらが泣いてしまう程に哀れじゃった。本当に、哀れとしか言いようがなかった」

 

「……」

 

 

 今じゃノエルが居ない想像とかは想像したくもねーから、想像つかないけどさ……。きっと昔の俺は前世を取り戻す前の俺みたいに、ずっと家の中でモノクロな世界で閉じこもって生きていたんだろーな。

 

 

「じゃからの、妾は今のズッ友であるお主を見てとても安心しているのじゃ。ズッ友の恋人は凄い女子じゃよ、あんなに心を閉ざしていたお主をメロメロにしてしもうたのじゃからな!」

 

「まぁノエルは俺の天使だからな~!」

 

 

 けど、ノエルに見つけてもらってから、俺は色のついた幸せと生きる喜びを知った。もうノエルが居ないあの頃には戻れねーし、戻りたくない。

 

 

「ところでズッ友の恋人はどんな人間じゃ?」

 

「話してもいーけどさ、多分ノエルが戻ってくるまでには話しきれねーぞ?」

 

 

「それは楽しみじゃな!」

 

 

 ~・~・~・~

 

 

「……やけに、静かですね」

 

「ヘレン様、本当にここで合っているのでしょうか? 見張りも居ませんし……確かに雰囲気はありますが、ここらはああいう地下への入口は珍しくありませんよ」

 

 

 とある城下町の路地にて。王女ヘレンは兵士たちを引連れており、兵士達は懐疑的な様子でヘレンに視線を向けていた。

 

 

「いえ、絶対にここです。間違いありません。お父様(クソッタレ)に流れている裏金と、最近また増えた奴隷(少女)達の出処はあの地下の入口にある筈です。そしてこれは確かな情報ではありませんが、フェリラと同盟を結んでいるあの隣国の魔獣も扱っているそうですよ」

 

「それって国際問題では……!?」

 

「だとしたら、奴らを取り押さえれば同盟が──」

 

 

「だからといって、このまま野放しにしておいて良いと言うのですか?」

 

 

 問題を先送りにする。それは最もやってはいけない悪手。

 

 現代でも問題はよく後回しにされ、目先の事にしか考えが及ばないという場面が多い。だがそれは、下手に触ったら時限爆弾を起爆させるかもしれないからと怯えて、爆弾の処理をしないという選択を取っているだけに過ぎないのだ。

 

 

「このまま見て見ぬふりをして後々それが隣国に伝われば、これ以上に取り返しのつかないことになります。でしたら、まだ傷が致命傷である内に私達で暴くしかないでしょう」

 

「ですがその結果、フェリラにもたらされていたヒエリカの恩恵が途絶えてしまうかもしれません!! 今やほとんどの人類は赤子の頃に打たれるワクチンで感染病にかからずに済んでいますが、それはヒエリカから多くのワクチンを買っているからです!! 

 

 もし今後我が国にワクチンの流通を止めてしまったら、次世代は性病に悩まされ、感染病による死者が出てしまいますよ!?」

 

「あの国は国民達を感情的に守りはしても、他国に対してはとても合理的に物を判断します! 有益だと思わせなければ、すぐに手を切ってしまいます!!」

 

「そうならないかもしれないでしょう? なったとしても、信用を取り戻せばいい事です」

 

「ですが、今以上に影響力の強いヒエリカからの信用が落ちてしまえば、他国との外交に影響が──」

 

 

「ですから、そうやって何もせずに問題を先送りにすれば、取り返しのつかないことになると私は言っているのです!!!!」

 

「王女様、声が大きいです!」

 

「もし奴らが居たとして、声が聞こえたら──」

 

 

 その瞬間、地下から大きな爆発音と爆風の余波と熱気が流れ込んできた。思わず頬を撫でる熱に一行は顔を庇う。

 

 

「ば、爆発!?」

 

「ヘ、ヘレン王女、おおおおお下がりください!!」

 

「貴方が下がってどうするんです!? このまま突撃しましょう!!」

 

 

 警戒しながらも一行は地下への出入口に向かおうとすると、階段を上る足音が聞こえてくる。

 

 

「な、何者かが上がって来ます!!」

 

「それぐらい分かります! というか、兵士ならもう少し落ち着きなさい!!」

 

 

 すると地下の暗闇の中から翠色の丸い目が光って見え、驚いた兵士達が何故かヘレンの後ろに隠れる。その時、最近ではよく聞くようになった、親しげな美声が聞こえてくる。

 

 

「あっ! やっぱりヘレンちゃんだ! ヘレンちゃんも来てたんだね。も、もしかしてヘレンちゃんもカジノしに来たの?」

 

 

 そして声の主が近づく事に、暗闇から出てくる事で見えてくるダサTと白い髪にヘレンは驚愕した。

 

 

「おっ、推し様!? ……こほん、ノエル様? ど、どうしてここにいらっしゃるのですか!?」

 

「お金欲しいから勘を頼りにカジノに来たんだけど……。そっ、それより!! どうしようヘレンちゃん!! 私、前科付いちゃう!! 

 

 ここが闇カジノだって知らずにカジノで大勝したら変な所に連れて行かれて、魔獣の1000体抜きしたら黒服の人達に「生きて帰すな」って言われて命狙われたから、みんな倒してそこに来てた人もわかってて来てた悪い人だろうと思って皆縛り上げちゃったよ!! けど私もやってる事犯罪者だよ!! でも本当に知らなかったの!! どうしようヘレンちゃん!! お父さんとお母さんとおばあちゃん達と叔父ーズとマイリトルツインズとラブリーモフモフペット達と先生達とか学校、死神くんとレイネル、ついでにギャン泣きしそうなレイゼルになんて説明をすれば!!」

 

 

「な、なんとなく状況は分かりましたが、まずは落ち着いてください! ……兵士達、何をぼーっとしているのですか! 既に中は制圧されています、確保しなさい!」

 

 

 そしてかくかくしかじか、色々な事を実際に地下に入って説明した。

 

 

「なるほど、ノエル様の勘も鋭過ぎるのは困りものですね……ん? ですがその勘でこのカジノが裏世界のカジノだと気づけたのでは?」

 

「……ごめんなさい、行く前にレイゼルからカ〇ジ……いや「もしかしたらカジノで何かに巻き込まれるかもしれないから、やめた方がいい」って言われてたんだけど……あの、大丈夫って言っちゃったから私のスキルにあるフラグ一級建築士っていうのが発動しちゃって……」

 

 

 それを聞いた瞬間、ヘレンは思い出し、納得した。そうだ、この子勘はいいけど盛大にフラグを回収する子だったわ……と。

 

 

「ど、どうしよう……」

 

「大丈夫です、いい方法がありますから」

 

 

「本当!?」

 

「はい!」

 

「……ところで王女様、この方とはお知り合いのようですが、拘束しなくてもよろしいのですか?」

 

 

 兵士達の隊長はヘレンに聞くと、ヘレンはキリッとした顔でハッキリとこたえた。

 

 

「全て、私の計画通りです」

 

「で、ですが」

 

 

「計画通りです」

 

 

「突入する前、確かに王女様は「どうしてここにいらっしゃるのですか」と、言ってませんでし」

 

「もしかしたら突然敵が現れ、実は潜伏させていた事に気づかれてしまうかもしれないでしょう?! 敵を騙すには味方から!! 全ては私(わたくし)の計画通りです!!」

 

 

 嘘八百もいいところである。ヘレンはこうして無理やりそう言い、通したのであった。

 

 そしてノエルは色々と面倒な事はヘレンに任せ、急いでレイゼルと幼女の元に着いた時には既に夜の10時。

 

 流石にこの時間は外食したくても、飲食店でなくてもどこの店もやっていないので、仕方なく、ヒエリカが海外進出を果たしてやってきた、出来たてホヤホヤのコンビニエンスストアで、カップラーメンを幼女と一緒に食べていた。

 

 

「……罪の味がする」

 

「俺カップ麺初めて食った! うま~!」

 

「これは中々美味じゃな!」

 

 

 それから幼女と一時間だけ夜の城下町を話しながら散歩し、なんだかんだ幼女は満足して家に帰ったのであった。……そしてその日の夜。

 

 

「ふふふふふ……」

 

 

 草木も寝静まる夜、幼馴染2人は何も服を着ていない状態で、すやすやと寝ていた。レイゼルはノエルを抱き締めながら幸せそうに眠っており、寝ながらというもののスリスリスリスリしていた。

 

 

「うへへ……ノエルぅ~♡」

 

 

 レイゼルにノエルは寝ながらもうざったそうにしており、レイゼルの顔を手で押し退けていた。

 

 

「うーん……」

 

 

 その2人に、忍び寄る一つの影。

 

 窓をするりとすり抜けて部屋の中に入ると、パタパタと羽を動かしながら浮いた状態で笑いながらゆっくり近づく。そしてレイゼルに顔を近づけると、額にコツンと自分の額をくっつけた。

 

 

 

 

 

「──ゼル、レイゼル」

 

「ん……」

 

 

 気がつけば朝になっており、目を覚ませばそこには幼馴染の姿があった。

 

 

「あれ……」

 

「今日は"デート"の日でしょ、早く起きて」

 

 

「えっ」

 

「まさか忘れたとか言わないでよ?」

 

 

「そうじゃなくてさ」

 

 

 レイゼルはそう続きを言おうとするものの「ほら、デートの時間短くなるから準備」と腕を引っ張られ、普通に着替えやら何やらをされる。

 

 ひと通りそれが終わると、すぐに魔法で瞬間移動をして街へ着いた。

 

 

「はい、じゃあ今日は楽しもうか」

 

「何で……??」

 

 

 レイゼルは困惑した表情でそう言うものの、腕をまた引かれて「つべこべ言わずに楽しむよ」と、幼馴染に言われてそのまま引き摺られて行った。

 

 

 一緒にアイスやらクレープを食べ歩いて、可愛い物が売ってある雑貨店とか服屋に行ってみたり、お昼ご飯を食べたりなんかして、まさに多くの人が思い描くお手本のようなデートである。

 

 しかしそんなデート中、レイゼルは終始困惑していたのだった。

 

 

「なんかレイゼル、今日変だよ? どうかした?」

 

「いや、変も何も……さっきからずっと言おうと思ってたんだけどさぁ…………。

 

 

 

 誰?」

 

 

 レイゼルはそう質問すると、レイゼルの愛してやまない幼馴染はすぐに「はぁ?」と訳が分からないといった表情をしていた。

 

 

「幼馴染の顔を忘れた訳?」

 

「俺がノエルの顔忘れる訳無いんだけどさ……似せるなら、もっと上手くやって欲しかったなー。顔はまぁまぁ似てるけど、体は全然だし、なんか覚えのないデートさせられるしでずっと驚いてたんだけど。

 

 というかさぁ、ノエルのちっぱいはもうちょいあるし、腕とか足だって細いけどもうちょい筋肉あるし、耳の形も唇の色も、匂いも魔力も全ッ然、違うぞ。それでもう一回聞くけどさ、誰?」

 

 

 レイゼルはそう言うと、急に場所が変わり、ノエルにそっくりな女は姿を消していた。

 

 

「……どうなってんだここ」

 

 

 そしてレイゼルは何故か素っ裸で、ムーディーな雰囲気の部屋に居た。一言でハッキリと言えば、ラブホの一室。まぁまぁ高そうなお部屋である。寮室とはまた違う雰囲気のラブホだ。

 

 とはいえレイゼルは前世も今もラブホには泊まった事がないので、実際の相場は分からないが。

 

 ……ホテルにはヒエリカで泊まったな、あれ何ソールしたんだろ。てかここどこだよ、何でいつの間に、さっきまで俺とノエルとその子供達と一緒に暮らしていた筈!! 

 

 そう考えて頭にハテナマークを浮かべていた、そんな時だった。後ろから感じる暖かい体温、そして柔らかい感触、抱き締められる体。

 

 ……ノエルじゃないな、だってノエル俺のこと抱きしめてくれないし。それに……この背中に感じる感触はノエルのじゃない。

 

 だってノエルのはちっぱいだから!! 

 

 って、いってぇ!? なんか殴られた!? あっ、これノエルの感触!! ノエルの拳だ!! そう思うと段々気持ちよくなってきた……♡

 

 そんな風にハァハァするものの、本物のノエルには未だ会えず。

 

 

「でもノエルは居ないしな~……うーん」

 

「こんばんは、坊や」

 

 

「どうせだったらノエルと一緒にラブホの部屋を決めて……」

 

「幸せな夢を見せてあげるわ」

 

 

「それで……うへへぇ……♡」

 

「今夜は沢山、気持ちいい事をしましょう? 気絶するほど、沢山射精させてあげるわ」

 

 

 レイゼルは脳内で妄想を繰り広げていると、急に顔にムニッとした感触を感じていた。チラッと横を見てみると、メロンくらいの脂肪の塊があるのを見つけた。

 

 そこでやっと「そういえばさっきまで後ろに誰か居たんだった」と思い出していた。

 

 

「……えっと、誰?」

 

「誰だっていいじゃない」

 

 

「ここ、何処?」

 

「何処でもいいじゃない」

 

 

 謎の黒髪美女にそう言われて顎をすくい上げられるようにして上を向かせられる。そんな美女を前にして──。

 

 

「あっ、これもしかして夢か? 夢だな! じゃあ寝よ、もしかしたら起きるかもだし……いや待てよ? 夢ってことは、さっきのはノエルの夢で、見放題ってことだよな!? そしたら、結婚して……いっぱいイチャイチャして、子作りセックス……♡

 

 よーし、夢の中のノエル出てこい! 俺はもうチンコの準備万端だぞー! ノーエールー!」

 

 

 夢だと気づき、ノエルを全力で夢の中に召喚しようとしていた。だがしかし、いくらノエルの事を考えてみても、一向に来る気配が無い。

 

 

「あれ……ノエル? 何でだ……俺の妄想は完璧の筈!! だって!! 今俺の頭の中では猫耳ドスケベコスプレ衣装を着たノエルがベッドの上に居る筈なんだぞ!? 今頃ノエルがにゃんにゃんして俺に甘えてる所なのに!!! リアルじゃ絶ッッッ対やってくれないけどな!!! 

 

 ……つまり、今俺1人?」

 

「私の事忘れてない?」

 

 

《レイゼルは完全に美女の存在も夢だと勘違いしている!》

 

 

「あぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁあぁぁああ!!!!! ノエルぅぅぅぅぅぅぅうううう!!!! さびじぃ──!!!!!!」

 

「……なんなのこの人間」

 

 

 その日の夜、絶対に寝取ると評判だったサキュバスは、初めての敗北を味わい……男を前にして何も出来ずに帰っていった。

 

 

 ~・~・~・~

 

 

 そして次の日。公休日の朝刊を見ていたノルトは、毎日のルーティンである、ブラックのホットコーヒーと、一般的な朝食、それからデザートとして出されるには過剰過ぎる糖分(ケーキ)をホールで摂っていた。その時の一言である。

 

 

「……なんだこれは」

 

 

 

 

 

 〘ヘレン王女、闇カジノに光の矢を射る!! 〙

 

 〘暴かれる、あの全国最低の我が国王による関与!! 〙

 

 〘逮捕したのはまたしても国民たちの英雄、イケメン宮廷魔法士!! 〙

 

 

「どういう事でしょうか、これは」

 

「……どうやって入ってきたのですか、ノルト様」

 

 

 家の階級が高い生徒が集められたクラスにて、ノルトはヘレンに読んでいた朝刊を突きつけていた。

 

 キャーキャーと騒ぐ女子生徒達の声をBGMにして。

 

 

「今日、英雄(・・)である私は戦闘部門の特別臨時講師として勇者を指導したいと学校側に進言したら、快く許可を頂けました」

 

「……そうですか」

 

 

 やけに綺麗にニッコリと笑っているので、ヘレンは「怒っている推しも尊いわね」と思いながらも、黒いオーラを放っているノルトを見て頬から冷や汗が流れ出る。

 

 

「それで、これはどういう事でしょうか」

 

「まずは場所を変えませんか?」

 

 

「必要ありません」

 

 

 するとノルトは何処からか鞭を取り出すと、ピシィッと床に叩き付ける。

 

 

「……静かにして頂けますか、お嬢様方」

 

「「「はいッ♡♡♡」」」

 

 

 これで静かになったな、さぁ説明してもらうぞ。と言わんばかりにノルトはヘレンの隣に座り、ヘレンの前に新聞を置いて見せつける。

 

 

「まず、理由を話して頂いても? 私は構わなかったのですが……何故ですか?」

 

 

 それはつまり「昨日俺があのカジノに行っても良かったが、何故ノエルが行かなくてはならなかったのか? 立場的にも、俺が一番適任で自然、そして当たり前の事だった筈だ」ということだ。

 

 人前なので、ここまで言葉を少なくしなければならなかったが、ヘレンにはしっかりとその意図が伝わった。

 

 

「……アレに知らずの内に巻き込まれた彼女を救うには、これしかありませんでした」

 

 ヘレンはノルトにそう言うと、それで事の経緯全てを察したノルトが「全く……意外と厄介な事に巻き込まれていく体質はどうにかならないものか」と呟き、席を立つ。

 

 

「どうやら私は貴女に誤解をしていたようです、大変申し訳ございませんでした。そしてあの子を救っていただき、ありがとうございます」

 

「いいえ、貴方が救ったのですよ。あ、お昼の時間、折角ですし一緒に食べませんか? 普段ノエル様と一緒に食べているのですよ」

 

 

 

「願ってもないことです。この国の宝に、まさかお誘いを頂けるとは」

 

「何を仰るのですか、私が誘うのはこれで22回目──」

 

 

 そう言いかけてヘレンはハッとする。

 

 大勢の前でそんな事を言ってしまったら、周りに居る沢山のお嬢様達に詰め寄られ、何とかあのイケメンとデートの約束を取り付けて欲しいと頼まれてしまうではないか。

 

 だからノルトはあえてこれが初めてであるかのように言ったのだ。……気づいた所でそれももう、後の祭りだが。

 

 

「……次からはお気をつけください」

 

「はい……」

 

 

 そしてやってきた昼休みの時間。

 

 

「あ、あばばばばばば……どどどどどdddっ、どうしてここにお父さんがいらっしゃるんです!??」

 

「ノエル、昨日はよく眠れたか? お前に会いたくて、許可を貰ってここに来たんだ」

 

 

 ヒィィィッ!! 

 

 そんな声が出そうでノエルの喉からは出なかった。

 

 

「それより、随分とやんちゃをしたようだが……お母さんが心配していたぞ? もし大事になっていたら、また監禁していたかもしれないくらいにはな」

 

「えッ」

 

 

「気を付けないと、また家出をした時のようになるぞ」

 

「……気を付けます」

 

 

 ノエルはそう言われ、昔の事を思い出す。あの時は三ヶ月以上外に出れなかったな……と思いながら。

 

 

「それから、母上も心配していた」

 

「なんて言ってたの?」

 

 

「ノエルの想像の通りだ」

 

「あ、うん……(凄く、騒がしかったんだろうな……)

 

 

 ところで死神くん、何で……そんな遠い所に居るの?」

 

 

 ノエルは何故か顔を手で押さえながら離れているアグネスの方を向く。

 

 

「……友達か」

 

「変わってるけど、レイゼルとは真反対で凄く純粋でいい子だよ」

 

 

「ふむ……魔力が高いな、そしてこの魔力の感じと様子は……ヒエリカの出身か?」

 

「うん。いつもは元気なのに……どうしたんだろう、おーい! 死神くん、もっとこっちに来ていいんだよ?」

 

 

 ノエルはアグネスにそう言うものの、アグネスは顔を隠したまま頭を横に振る。

 

 

「……何で顔隠してるの?」

 

「違う、二つの意味で見えないようにしているんだっ!!」

 

 

「(あれ、なんかいつもの痛々しさが無い……)」

 

 

 実はアグネスくん、理想の嫁に認知はされたいが、最推しに顔を見られて認知されたくない&推しのご尊顔を直接見たら死ぬタイプのオタクであった。だがドSのノルト様はそんなアグネスくんの腕を掴んで無理やり手を退けさせると「なんだ、見ないのか? この俺の顔がここまで近い所にあるというのに」と言って、アグネスくんをからかっていた。

 

 当然アグネスくんは死んだ。心が。

 

 

「……それで、やけにそれとよく似ているのが一人、ノエルにくっついているが」

 

「お義父さん、未来の婿にそれ呼びするのってよくないと思うんだけど」

 

「初めまして♡ノエルの大事な親友、レイネル・ハワードです♡一応これのお姉さんなんですよ~♡これから末永くよろしくお願いしますね、お義父様♡」

 

「は? 末永くとか、何?? 俺に喧嘩売ってんの????」

 

 

「(……やはり姉弟だな、揃って無駄に図太い)」

 

 

 そして昼食後。

 

 

「今日、特別講師として、今までぬるま湯に浸かった結果、腑抜けた顔をした貴様らというガキ共を徹底的に絞り上げる事になったノルト・ヴェリカだ。親しみと尊敬の念を込め、気軽にノルト様と呼んでも構わん。いや、呼べ」

 

「あ、あはは……絶好調だね、ノルト君。えっと、随分前に一度話した事があるかもしれないけれど、僕の友達のノルト君だよ! すっごく強いから、きっと今回の授業は凄くためになると思うんだ。じゃあ皆、今日も頑張ろう!」

 

 

 そうゲイルに言われるものの、ノエルとレイゼルはなんとなくこの授業がとんでもねぇ内容になるであろうという事が予想出来た。予想して「あ、これ最後まで頑張れないやつだ」と思った。

 

 

「まず、貴様らは今まで守られてきた為、実戦においての死への恐怖と緊張感を知らん。どうせ実戦訓練でも、絶対にケガをする事の無いように守られていたんだろう。

 

 その為、これから貴様らがどれほど自然界において虫けらにも劣る最下層の生物かを認識してもらう。着いてこい虫けらにも劣る塵共」

 

 

 そしてノルトが戦闘部門の生徒達を魔法で連れていった先は──。

 

 

「あ、あのっ、ここは……?」

 

「どこの平原ですか?」

 

「ヒエリカだ塵共、貴様らにはこれから魔獣と戦って一度死にかけてもらう」

 

「「「!??」」」

 

 

「それからノエル、レイゼル、アグネス、レイネルは例外として俺が直接相手になってやろう」

 

 

「「えっ」」

 

 

 そう反応したのはやはり幼馴染二人である。アグネスくんは未だに心が放心状態(ログアウト中)だ。こうして、ノルト様の地獄の授業が始まったのであった。

 

 







実はアグネスくん、パッパのファンクラブに入ってます。

それから次回、エマッマの過去編します。元々パッパに日常的に媚薬混ぜるドマゾ変態女ですが、エマッマは実はもっとヤバい女です。

楽しみに待っておけ……。

あとそれから、実はレイゼルくん、ノエルさんが聖力の(薬で変わった姿を留めておく)効果で元の姿に戻ってなかったって事に気づいてました。

聖力感知できるからね。レイゼルくんは男の子になったノエルさんとのセッを楽しみたかったんだ……結局させてくれなかったからできなかったけど。

それからサキュバスさんがレイゼルくんの夢の中に入ってくる前、何でレイゼルくんとノエルさんが裸だったのかというと、日付変わって元に戻った瞬間にレイゼルくんが今まで限界突破して溜まってた性欲が爆発しまして……。

(実は前に書いてたTSのIFみたいに寝込みを襲ってペロペロはしてたけど……この変態、初めては大事にしたいめんどくさい奴である。元の姿のノエルさんには睡姦する癖にな……なので自分から童貞を奪う事はしない。オナニーして頑張って耐えてたんじゃ……わりと、というかこの勇者、例え元々ノエルさんがTS転生してても関係なく好きになってたから、ノエルさんの性別ってぶっちゃけどっちでもいいんよな)

そんで、なんだかんだ性欲強かったノエルさんも我慢してたのもあって、セッしてました。その日は中々に盛り上がりました。

けど帰ってきたの元々夜遅くだし、0時だったから不完全燃焼だった訳で……夢の中でもレイゼルくんはノエルさんとセッをして幸せな家庭を築いていたら、サキュバスにしか感じられない、欲求不満の男が出す匂いと濃い精液の匂いと、強過ぎる精力につられてサキュバスさんがやってきたって訳です。

そんで何もできませんでした。

お前はどうしようもないヤンデレ変態ドMストーカー地雷系勇者に負けた、敗北者じゃけぇ。




~~おまけ~~


「ちょっ、お義父さん!?なんか俺の時だけ威力の加減強過ぎる気が済んだけど!??」


「気のせいだ、黙って集中しろ駄犬」


(ドゴォッ!!)


「やっぱ絶対強いって!!」

「気のせいだ」


(ガンッ!!!!)



「絶対わざとだ!!!!」

「集中しろ!!」


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