チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった 作:水性さん
どんな力も悪用は厳禁。
推しと話せて満足そうなノエルと、嫉妬をして目のハイライトが抜けている様子のレイゼルは武器屋から出ると、金属と油が組み合わさったの匂いが嫌いで、店に入らず適当にそこらを散歩し終えたニョッキが出迎えた。
「にゅ」
「お待たせニョッキ」
「……」
先程からずっとレイゼルは何も言わずにノエルにくっついたまま嫉妬に暮れていると、そろそろヤバいと思ったのか、ノエルはレイゼルの頭を撫でる。その様子は、まるで彼女と喧嘩してどうにか機嫌を取ろうとする愚かな男のよう。
普段ならそれで機嫌はすぐに治るのだが、今回ばかりは話は別だ。それで機嫌が治る訳がなく、むしろ逆効果だ。やった後に気づいたが、気づいたところで遅過ぎる。
「……なんで浮気したんだよ」
決して大きくは無い声ではあるが、そんなレイゼルの声にノエルはビクッとした。どうやら後ろめたくはあったようである。
「し、してませんが……?」
「してただろ、俺の目の前で」
普段であればノエルにかけることは決して無い、一切抑揚の無い酷く冷たい声でプレッシャーをかけていく。
「男に比べたらまだマシだけどさ……俺の言いたいこと、分かるよな」
語尾にはてなマークが無い事にノエルの心臓がキュッと縮こまる。冷や汗がダラダラと頬を伝った。
「ファッション雑誌とかテレビに映った女優とかアイドルを見て「可愛い」って言うのは分かるけどさ……。でもノエルはそういうの全然興味無いのに、有名人でも友達でも無い、ただの前に会ったことあるだけの女の子相手に、何であんなに可愛いとか言ってベタベタできる訳?
しかもただパッと見て可愛いっていう感想を言ってるだけじゃないよな。ちょっと思い入れとか特別な意味みたいなの入ってるよな、何で?」
「そ、それは……ファンだからで」
ノエルの言い訳は確かに事実だ。だが、ここはリアル。リアルでの推しは、レイゼルの言う通り有名人でもなんでもない。言い訳としては、随分とおかしい事を言っているのだ。
だがレイゼルが聞きたいのはそうでは無い。そういう言い訳ではない。
「あのさぁ、前世の推しだからってあんなにベタベタしてる所をまざまざと目の前で見せつけられるの、マジで無理なんだけど」
「……ごめんね」
「だからぁ、そういう言葉が聞きたいんじゃねーんだよ」
では一体どういう言葉が聞きたいのか。ノエルの鋭い勘はすぐに分かった。
「……私はレイゼルが世界で一番大好きだよ」
「で? ノエルはどうやってそれを証明してくれる? ノエルは悪者になりたくなくて、自分が傷つきたくなくてすぐその場の状況に合った嘘とか言葉を言っちゃうからさ。
なぁ、ノエル。本当に俺の事が一番好きなんだよな?」
その問いの答えはもう、言葉を聞くよりも先に分かっている。レイゼルはもう、直接その心を覗き込んでしまえるのだから。
「好きだよ。
……じゃあ、私のフローレちゃんに対する気持ちが今この瞬間になくなったら、レイゼルは安心できる?」
ノエルがそう言うと、レイゼルは普段通りの笑顔を見せた。
「できる!」
「お願い」
「……分かった♡」
そしてノエルは感情の神としての力を行使したレイゼルによってフローレンスへの感情の一切を、文字通り握りつぶされた。
それから後日、正確には3日が経った。
「ジェームズさん、こんにちは! また来ちゃいまし──って、ジェームズさん!? どうかしたんですか!? 涙で顔がグチャグチャですよ!?」
「フローレンスちゃんが、行方不明になったんでござるぅぅぅぅう!!」
「あ、そうなんですか……。早く見つかるといいですね、とりあえずまた今度来ます」
ジェームズが話せる状態では無い為、ノエルは武器屋を出て外で喧嘩しながら待っていたレイゼルとニョッキの元へ行く。
「おかえり! なんか戻ってくんの超早かったけど、どーかした?」
「……何も?」
ノエルは武器屋に来て特に話す事やする事は無かったのだが、気になったのである。本当にフローレンスに対する感情は消えているのかどうか。
3日後に来たのは感情を消した時はまだ実感が湧かなかったのと、レイゼルの怒りを落ち着かせる為。そしてたまたま近くを通ったからだ。
訪ねてみた結果は、ノエルの様子から見てわかる通り。何も、感じなかった。
「そっかー、じゃあ俺も挨拶してこよー!」
そう言いレイゼルが店に入る中、ノエルは初めての剣技・魔法大会を終えて、意識を取り戻した後の事を思い出していた。
~・~・~・~
『……えっと、つまりレイゼルは意図せずに最初から不正をしちゃってたと』
『らしーよ、お義父さんによるとさ』
レイゼルはノエルにくっつきながら言うと、ノエルはため息をつく。
『まさか本当は今頃、レイゼルよりも凄く強くなってて俺TUEEEEとか学園で最も強いと書いて学園最強みたいなのできてたとは……』
『正直俺も神としての力、使ってるつもり無かったし』
『まぁそもそも聖力自体が願う事で使える物だし……。無意識で使っちゃう事もあると思うよ、ただ……納得いかない!! あの日あの時、私は絶対にレイゼルから勝ち星を掴む筈だったのにぃ!!』
病室の白いベッドの上でとても悔しそうにするノエルを見て、レイゼルはやはり考えていた事をノエルに言う事にした。
『たぶん、俺は無意識であれ故意であれ、これからもそういう事をすると思う。だから俺もう自由形に出るのやめる!』
ノエルはまた来年の春にリベンジするつもりだった。その上、普段のレイゼルなら自らそんな事を言う筈が無いので、ノエルは大層驚いた。何を言っているんだこいつは、という顔をしてレイゼルを見上げる。
『いや、だってさぁ……ノエル納得できないだろ』
『そうだけども! 勝ち逃げされたみたいで、それはそれで納得できない』
レイゼルはベッドに座って布団に入ると、ノエルにくっつく。
『んでさ、また無意識に俺が力を使わないように練習しようかと思ってんだよな』
『練習ね、具体的にはどうするの?』
『へへ……秘密♡』
『(またろくでもないことを考えてるな……)』
~・~・~・~
「ノエル、次は何処行く?」
レイゼルはノエルにベッタリとくっつきながら聞くと、ノエルは普段よりテンションが上がった様子で答える。
「これからノイ兄の学校に行くんだ!」
従兄弟とはいえ、自分以外の男に会うのにテンションが上がっている事にレイゼルは嫉妬心を覚えるが、笑顔でそう言われたので「今日も俺のノエルは可愛い」と、つい感じて許してしまう。まぁこれが従兄弟でなければマジ切れ&流血沙汰不可避だったが。
「いや、でもさ」
「大丈夫、ちゃんと学校に学校の見学するってアポ取ったから!」
「(……こういう時は計画的だなー)」
レイゼルはそう思いながらノエルと一緒に学校に行くと、着いた校門にてチラチラと視線が向けられる事に気がついた。まぁ、仕方ないのだが。
「とりあえずノイ兄は……こっちかな」
ノエルが自分の勘を頼りに進み、レイゼルはノエルにくっついて歩く。そして着いた教室の前では……。
大勢の男子・女子大生達がたむろしていた。
「……人、多いね」
「(まぁ皇族の人気っぷりを考えればなぁー)」
非常に通りづらい、というか通るのが若干申し訳無い感を元日本人のノエルは感じ、部屋に入るのを躊躇してしまう。しかしここでいつまでも突っ立っていられないので、ノエルは勇気を出して話しかける事にした。
「……あの、すみません。ちょっと通してください」
「あ、どうぞ──…………」
そして話しかけた結果、相手は場所を譲った後でしっかりとノエルを見た瞬間に固まった。まるで
次々とドアに囲んでいた大勢はシーン……となって固まる。そしてノエルはノイルの後ろに立つと話しかける。
「ノイ兄、会いに来たよ」
「……」
「……ノイ兄?」
「聞こえてないんじゃね?」
ノイルはマスク型のアーティファクトを魔法で組み立て、それからアーティファクトがアーティファクトになる為に一番重要なエンチャントをしていた。
「じゃあ別の所で本読んで待ってようかな」
「またあいつに借りた本?」
不満そうなレイゼルの声にノエルは「死神くんから借りたラノベは全部外れが無いの」と言いながら、まだ固まっている人達の間を通って談話室に移動し、バッグからラノベを取り出して読み始めた。
「なーなーノエル、本なんか読んでないでさぁ? 俺に構った方がいいと思うんだけど。その方が有意義な時間を過ごせると思うんだけど??」
「具体的には?」
ノエルは本から目を離さずに聞くと、まさか聞かれるとは思っていなかったのか、レイゼルは一瞬考える。
「んー……イチャイチャするとか?」
「もっと具体的には?」
「セッ──」
「その続き言ったら無視するから」
「じゃあキス」
「やだ」
してくれたら嬉しい事は全部NOだった為、レイゼルはノエルにくっついて文句を言う。
「キスならいいじゃんか、最近全然ノエルの方からしてくれないしさー」
「今度ね」
「えー……」
「……これでどう?」
仕方なくノエルはレイゼルの膝の上にちょこんと座ると、腕を自分のお腹に回させる。
「ちょっと良くなったと思う!」
「そう」
ノエルは本を持つ手とは反対の手でレイゼルを撫で、でっかい柴犬の機嫌を取っていた。
「んへへぇ~♡」
レイゼルの脚が痺れ、ノイルがアーティファクトを作り終えているであろう頃、ノエルはあまり揺らさないようにして降りると……急に血流が良くなってビリビリ来ている脚にレイゼルは悶えていた。
「あッ……はぁ、んッ♡」
「レイゼル大丈夫?」
「らい、じょーぶ……♡♡ノエルに電流責めされてるみたいで気持ちーから……♡♡♡」
「えぇー……って、何処とは言わないけど外で勃たせるなバカ」
痺れが無くなった後にノエルはまたノイルが居た教室に向かうと、さっきよりもドア付近に居たギャラリーが増えている事に気がついた。この事にノエルは「まぁノイ兄は顔が良い上に可愛いからね、仕方ないね」と思いながらまた、今度はノエルにすぐに気がついたギャラリー達にじっと見られつつも教室に入った。
そこにはエンチャントが終わったらしく、空気中の魔力を溜めておく蓄電池のようなアーティファクトに、マスク型のアーティファクトを繋げて一瞬で充魔をしていた。
コードを外し自分の口に着けると、横に付いているホイールで調整をする。
「〘あー、あー……よし、キャンセリングはできているな。後はどれ程持つか……〙」
そしてノイルから発せられたイケボにギャラリー達は全員倒れた。ノエルも初めて聞いたノイルの声に「!??」となって、脳内がバグり散らかしていた。そして冷静になって一言。
「ノイ兄、もし声優になったら一生推すよ」
「〘……ノエル? ノエル!〙」
ノイルは声が聞こえた方を向くと、マリエッタの趣味であろうフリルとレースの付いた母親とお揃いの髪型と髪飾り、そしてフェリラでは着る事ができないケープ、シャツ、スカート、ブーツを身に付けたノエルが目に映る。……それと横に居た、レイゼルも。
「〘……お前も居たのか〙」
「ノエルの隣が俺の居場所だから、居ない筈が無いんだよなー」
「〘何故お前のような品性も釣り合いも無い奴が……〙」
明らかに不満そうな声と顔をするノイルにレイゼルはマウントを取る。
「ノエルは俺の幼馴染で恋人で運命共同体だし? 必然っていうか?? いつもノエルといっぱい喋ってるし??? いつも一緒だし???? 当然だと思うけどなー」
オマケにくっついてスリスリする始末。そんなレイゼルの様子にノイルは大層、イラァッとした。なので調子に乗っているデカイ柴犬にノイルは格の違いを見せてやる事にした。
「〘ノエル〙」
ちょっと腕を広げて名前を呼んでみると、ノエルは反応して反射的にノイルの方に行って抱き締めた。
「えっ……ノエル??」
「いや、つい。でも考えるまでも無いよね」
「〘……ふっ〙」
「ドヤ顔すんなし!! ずるい!!! 俺もノエルにギュッてされたい!!!!」
形勢逆転したレイゼルはキャンキャン喚いていると、ノエルはノイルに聞き出した。
「ノイ兄」
「〘どうした? お小遣いならある、美味しい沢山お菓子を買って一緒に話しながら帰ろう〙」
「凄くいいと思うけど、そうじゃなくてね? ……その、どう? 変じゃない?」
ノエルはちょっと離れてから期待した眼差しをノイルに向けた。そんな様子に何を言って欲しいのかを察したノイルは笑って答えた。まさにリアルファンタジー世界の皇子様である。とてもゴツイマスクをしているが。
「〘今日は一段と可愛い、よく似合っている〙」
「ノイ兄っ!」
100点中120点の回答にノエルは喜んでノイルを再び抱き締めた。まるで恋人同士がやりそうなやり取りにレイゼルはジェラシーを燃やし、段々と目のハイライトを無くしていく。
「ノエル?? そういうやり取りって、恋人である俺とするべきだと思うんだけど????」
「は?? もうやったよね、というか朝の事まだちょっと根に持ってるから」
ノエルが言っているのは、今のロリータ服を着た時のレイゼルの感想の事であり、ノエルはノイルに聞いた時とほとんど同じような聞き方をした。そしてレイゼルが言った台詞が──。
『すっげー可愛い!! でさ、ちょっと脱がしていい?』
である。これには二つの意味があり「何だこの天使、可愛過ぎりゅう……♡あ、勃ってきた……♡♡」という分かりやすい意味と、似合っているし可愛いのだが、母親とはいえオシャレする時は自分が用意した物でなるべく可愛くなって欲しかったのだ。まぁつまり、ただの独占欲である。
ハロウィンやクリスマスなどのイベントでは、あのモンスターペアレンツが服を用意するので用意する機会が無いのだが……いや、だからこそ普段ちょっとしたお出かけの時に着る服は丹精込めてひと針ひと針、ノエルの事を思って仕立てた服を着て欲しかったのだ。ちなみにそんな服が何着もある。
服も良いと思うし、凄く可愛い。それで提案があって、実はノエルの為にヒエリカに来たら着て欲しい服がある。フェリラじゃロリコンの変態共に群がられて着れない服だから、ちょっと見て、試着してみて気に入ったらその服で出かけに行こう。
……というふうに、あくまでノエルにこういうのもあるよ、と提案する形で用意した服を着せればよかったのである。もしこの日は着て出かけることがなくても、明日か明後日などの近日にその服を着てくれていただろう。
まぁ「可愛い」はいいとして「ちょっと脱がしていい?」などという台詞は、常人であれば考えなくても言ってはいけない台詞である事くらいは分かるが。
案の定ノエルは怒ってレイゼルにビンタし、変態という名の勇者はビクンビクンして喜んでいた。普段のノエルなら他の意図にも気づけそうなものだが、7割くらい性欲が混じっていたのと日頃の行いと発言のせいだ。根に持つのも仕方ない。
「ノイ兄聞いてよ、このレイゼルとかいう勇者、オシャレをしてる私を見た時の感想が「脱がしていい?」だったんだよ」
「〘今すぐに別れるか、今回を機に教育をして女の子に対する接し方を一からサボテンでも分かるように教えた方がいい〙」
「……確かに」
「ノエル? それ、どっちの意味で言ってんの?? どっちの!??」
わりと本気で心配して言っているノイルに、ノエルは今更ながらに決めたのだった。
「これからはちゃんと、この大きい子供の育成を頑張るよ」
「〘その意気だ、頑張れ〙」
「えっ、俺って子供だと思われてんの……?」
「……それにしてもノイ兄がこんなにもイケボだったとは思わなかったよ」
「〘普通だと思うが……〙」
こてん、と頭を傾げる可愛いの塊でしかない19歳のイケメン大学生にノエルは「私の従兄は世界一可愛いな……一生推す」と心の中で誓った。それはそれとして、ノエルは「待ってこれは本当にやばい、従兄に耳を孕ませられる……」と、謎の危機感を覚えていた。
そして一緒に帰った後、ノイルはノエルにこんな提案をした。
「〘ノエル、一緒にゲームをしよう〙」
「ゲーム!? やりたい!」
「俺もやるー!」
「〘お前には言ってない。それで配信するが、いいか?〙」
「えっ!? ノイ兄ってゲーム配信者だったの!?」
「〘ただ気が向いた時に配信するだけだ〙」
「あ、配信者っていうほど本格的にやってる訳じゃ無いんだね」
そしてノイルはコントローラーを出し、ノエルに渡した。
「(異世界でもゲームのコントローラーの形って共通なんだね……手によく馴染む)それで、何のゲームするの?」
「〘あぁ、それは──〙」
「俺の分のコントローラーは?」
「〘すまないな、このゲームは2人までなんだ。お前は大人しく後ろから見ていろ〙」
「何だよ、その某青狸が出てくる腰巾着みたいな台詞は」
そして家に帰った後、某元花札屋のゲーム会社が作ったゲーム機にそっくりなゲーム機を出した。
「(……Swi○chにしか見えない)ところで、どんなゲームをやるの?」
「〘胞子のニャッキというゲームだ〙」
「(どこかで聞いた事あるなぁ……)」
「〘とあるキノコを元に作られたゲームらしい。ニャッキは敵を食べると、その能力をコピーできるんだ。その能力でマッシュスターを悪から守るのがこのゲームのストーリーだ〙」
「(知らないゲームの筈なのに知ってるような気がするなぁ……)」
ノイルはゲームの電源を入れ、動画配信を始めると可愛いキノコのキャラクターが雲に乗って現れる。そして仲間達を雲に乗せていき、旅に出るという映像が流れていた。そのタイトルオープニングとニャッキを見て、そしてBGMを聴きながら思う。
「……これ完全に某ピンクボールの類似作品では? というかこのキノコのキャラクター、ほぼニョッキなんですけど!?」
「だよな、これ主人公がソテーになっただけで完全に星のカー」
「〘何だそれは、これは胞子のニャッキだ〙」
そしてノイルは新しいセーブデータを選び、ゲームを始めるのであった。ストーリーのオープニングが始まり、ノエルはとんでもない既視感を感じながらも「グラフィック綺麗……」と、自然と感想が声に出た。
ストーリーのあらすじはこうである。
食いしん坊なニャッキが魔獣の魔力をチューチュー吸い、仲間達はそれぞれ遊んでいると、空から別の宇宙に移動出来るゲートが現れ、そこから大きな船が墜落してきた。
ニャッキ達は船に乗ってみると、そこには船を一人で操縦していたローブを着た異世界の者だった。どうやら彼は船に乗って旅をしていた途中、ドラゴンに攻撃されてしまったらしい。
しかも船のパーツは各地にバラバラに落ちて壊れてしまった。
ニャッキは報酬のご飯につられて異世界人の乗っていた宇宙を旅する船のパーツを集める事になり、ニャッキとその仲間達は旅に出る。
「これほぼW○iデラックスだよな」
「それ私も思った……後々裏切るんだろうなぁ、ローブの子」
「〘W○iデラックス……??〙」
「こっちの話だから気にしないでノイ兄」
「ってか、それならこれ4人までプレイできるんじゃ──」
「〘2人までだ〙」
妹と遊ぶのに、邪魔をしてくる男は要らないのである。
「心狭ぁ……」
「〘お前が言うな〙」
操作のチュートリアルとも言える1の1ステージが始まり、ノエルは黄色のニャッキ(2Pカラー)でプレイする。
「……すごい、操作感がまるで同じ。というかボタン仕様とかコマンドも全部一致してる」
「やっぱこれカー○ィじゃね??」
「〘お前は黙って見ていろ〙」
すると道中で剣を持った敵が現れ、早速ノエルはその敵をコピーさせた。
「あ、ソードカー──ソードニョッキだ。あ、違う。ソードニャッキだ、紛らわしいな……」
「にゅ?」
するとノエルに名前を呼ばれたので魔法で転移してやってきたニョッキは「何か用?」とばかりに近づいてノエルにくっつく。
「あっ、ニョッキ。特に用はないんだよ、ごめんね」
「にゅ~…………にゅ!」
仕方ないな、という様子でニョッキはノエルの膝の上に乗ると、自分にそっくりなキャラクターが映るクソデカモニターを見ていた。
「ソテー、そこは俺の場所だぞ。ノエルの膝は俺がおギャる為にあるんだぞ」
「やめろ、あのお題部屋時代の黒歴史を思い出させんな!! 特にあの時の事は!!」
「〘お題部屋……??〙」
「ノイ兄は知らなくていいからね」
いとこ同士で仲良くゲームをして、時々レイゼルが要らない発言をしつつも主に2人が楽しんでいる中、コメント欄では一体どうなっていたのかと言うと──。
〘学校乙〙
〘ノイル様こんばんはー!〙
〘こんばんは!〙
〘珍しく2人プレイだな〙
〘今日も声が良い……〙
〘誰とやってんだ?〙
『〘ノエル、早速コメントが来たぞ〙』
『ちょっ、ネットで本名言うのはアウトだよ!?』
〘ノエル様!?〙
〘ノエル様だ!!〙
〘神回確定〙
〘まぁノエル様の意見は間違い無い〙
〘けどなぁ……アレだからな〙
〘せやな、アレだし〙
『えっと……なんて書いてあるの?』
『〘僕の声は良いらしい〙』
〘誤魔化したッ!!〙
〘でもまぁ確かに書いてあるな〙
〘嘘は言ってないね〙
『そうだよ、ノイ兄の声は良いんだよ。ヒーリング効果がある。腰痛と肩こりと美白に効果あるよ』
『〘……そうなのか?〙』
『そうだよ、でも必要以上に摂取したら尊死する』
『〘死ぬのか……!?〙』
〘確かに死ぬなぁ〙
〘耳が死ぬ〙
〘私も尊死する自信しかない〙
〘通知来たからとりあえず見たけど、これ……ひょっとして天国?〙
〘間違いない〙
〘俺より喋ってない筈なのになんで掠れた声じゃないんだ……??〙
~15分後~
『あっ、ボス戦だ。やっぱり最初のステージだからサクサクだね』
『〘僕とノエルが進めているからな、当然だ〙』
〘これRTAしてる?〙
〘してる(してない)〙
『なぁ~、そろそろ俺も混ぜてくれよぉ~……』
『〘お前にやらせるゲームは無い〙』
〘扱いが雑ゥ!〙
〘俺もノイル様に雑に扱われたい〙
〘羨ましいぞ勇者!!〙
レイゼルに対して羨ましがる声が多数だった。
褒め言葉はシンプルでいいんだよ、シンプルで。
おまけが特に思い浮かばなかったので、今回は無し。