※この作品はR-18です。

チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった   作:水性さん

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エマッマ、ご存知の通り倫理観は終わってるぜ。今回はエマッマの倫理観がどれくらい終わってるかという話。




その耐性はありません!!

 こんなつまらない小説を読んでいる暇人の皆さんこんにちは、それかもしくはこんばんは、ノエルです。

 

 突然ですが、母親が娘の目の前で殺人をして解体ショーをしているのを見せられた私の気持ちを答えてください。

 

 

「いい? ノエル、路地裏で乱暴な事をしようとしてくる、人の形をした物は全部肥料なのよ! だから、こうして小さくして持ち運びやすくするの!」

 

 

 正解は「……」でした、当たった人には私からの拍手を贈ろうと思います。心の中で。

 

 

「ノエルもやってみて!」

 

 

 何でそんなキラキラとした目でそんな事が言えるんだこの人。一体どうしてこうなったのか。お母さんが心配で、仕事の様子を後ろからこっそりと見ていたら、ここに至るという訳です。どうしてこうなった。誰か助けて。

 

 

「大丈夫よ、すぐに慣れるわ」

 

「………………」

 

 

 まさに絶句。これ程までにピッタリな状況を、他に私は言い表せる言葉を知らない。一体どうしてこうなったのか、私は時系列順にここまでの経緯(いきさつ)を暇人の読者のみんなに説明しようと思います。皆、心の中は元気だねとか、思っているかもしれないけれど、ここの部分書かないとセリフしか無いからね。何故か絶句している私の視点から書かれているから、私が心の中で喋らないとセリフしか書かれないから。鍵カッコがいっぱい陳列されちゃうから。台本形式の小説になっちゃうから。まるで夢小説を書き始めた小学生かのような文になっちゃうから。という訳で、改めて説明する事を私は宣言します。心の中で。

 

 

「うへ……えへへぇ♡」

 

 

 ……やっぱりこんな状況でも、いつも通りにセクハラという名のスキンシップをしてくる某恋人兼勇者を殴り飛ばした後にします。

 

 

 ~・~・~・~

 

 

「あ~……涼しい、快適ぃ……」

 

「涼しい部屋で食べるアイスって、美味いなぁ……」

 

 

 結局エアコンを直さず、一からお父さんがエアコン以外に体温を冷やすグッズとかを色々と設計して制作したから、随分と時間がかかった。けれども今では冷房機器という文明の力で、あんなに暑くてサウナかと思える程の熱気が籠った家は素晴らしい空間になった。

 

 私とレイゼルはそれぞれ好きなアイスを食べていて、私はお母さんの手作り濃厚抹茶アイスで、レイゼルはパリパリチョコバニラアイスバーを食べていた。

 

 今日からお父さんは仕事……なんだけれども、家を出る時は仕事に行くのがそれ程までに嫌だったのか、私を連れて仕事に行こうとしていた。

 

 

『ノエル、行くぞ』

 

『行かないよ? お父さんお仕事頑張ってね』

 

 

『何故だ』

 

『お仕事の守秘義務とかもあるでしょ』

 

 

『……』

 

『お、お父さん?』

 

 

 そしたら無言でお父さんは私を抱き締めて、猫吸いならぬ娘吸いをしてからギリギリまでやる気をチャージしてから仕事に行った。そんなに……行きたくなかったんだね、お父さん。

 

 それで行く直前、お父さんはこんな事を言った。

 

 

『エマ、最近全体的に増えているのもあるが、特にイマラ区の路地裏で強姦事件が相次いでいる。今日から近づかないように気をつけてくれ』

 

『えぇ、分かったわあなた!』

 

 

 その後お父さんとお母さんは行ってらっしゃいと行ってきますのちゅーをして、私は「今日のお仕事、大変じゃないといいね」って言おうと思ったけれど、いつもの鋭過ぎる勘のせいで今日は帰るのが遅くなる事を察してしまった。……ので、結局「今日は、頑張ってね」って言ったらどうやらお父さんは察してしまったらしく、大量の苦虫を噛み潰したかのような顔で仕事に行った。ごめんねお父さん、私の表情が正直すぎるあまりに……。

 

 さて、お父さんのお見送りしたし、バケーション期間限定の習慣をしますか。

 

 

「……」

 

「どうしたの、ねえさん」

 

「なに?」

 

 

「世界一可愛いマーくんとルトゥを見てるだけだよ……」

 

「ねえさんもせかいいちかわいいよ!」

 

「……あっそ」

 

 

 そう、私の可愛いリトルツインズの成長を網膜に焼きつけること!! やっぱりね、こういう癒しは大事だと思うんだよ。それとルトゥ、素っ気ない態度してるけどお姉ちゃんはそれが照れ隠しなのには気付いているんだよ。心の中で喜んじゃってるのも、私は勘で気づいているんだよ……可愛いね。

 

 

「ノエルぅ……構ってくれよぉ……」

 

 

 それから私は数十分くらい見つめ合った後、スマホのカメラを向けて撮った画像は2人の成長を記録しておく為のファイルにしまった。ちゃんと抜かりなくバックアップ済みだよ、もしデータが吹っ飛んだら私のSAN値がマイナスになって即発狂死しちゃうからね。

 

 写真を気の赴くままに撮った後、私は期待の眼差しを向けながら足元でしっぽをブンブン振っている、年中筋肉痛のロロに視線を向ける。

 

 

「はっはっはっはっはっ!」

 

「おさんぽ、行こうか」

 

 

「わんっ!」

 

 

 散歩という単語に反応したロロはテンションブチアゲMAX状態になり、更にしっぽを激しく振る。さて、着替えないと。ロロの散歩は散歩というよりランニングだから、汗かくんだよね。しかも途中でボール遊びも含めて1時間半以上ぶっ通し……ロロの散歩に休憩時間なんて概念は存在しないからね。でも私が運動する良い理由になるから、凄くありがたいけれど。

 

 待ちきれないのか、階段を上がる私にロロは着いてきて、部屋の中に入ろうとしてくる。あとレイゼルも。

 

 

「待て」

 

「……くぅーん」

 

 

「もうちょっと待っててね、いい子で待てる?」

 

 

 頭をナデナデしてからそう聞くと「わん!」といういつもの元気な返事をするロロ。ロロは世界一可愛いわんこだね……。レイゼルも何故か期待した目で見てくるけど、無視。あっ、やっぱり駄目だ。この勇者入ろうとしてきやがる。

 

 

「そこで待ってろ」

 

「扱いの格差!!」

 

 

 すぐに運動着に着替えて私は転移魔法でロロのリードやら、ボールに折りたたみ式水皿、それからうんちを入れる紙袋などの一式が入ったバッグを持ってくると、ロロの目はキラキラし始める。……何故かレイゼルは既に自分で、いつも着けているアクセサリーだと思いたい首輪にリードを付けていた。おい、渡してくるな。

 

 私は玄関を開ける前にロロの首輪に魔力を込めると、散歩の準備が整う。この首輪は抜け毛やノミやダニ、夏の気温や冬の寒さなどの対策をしてくれるという、とんでもない代物。夏の外は消費魔力が多いから、行く前はちゃんと魔力の補給をしないとね。

 

 嬉しそうにピッタリと着いてくる一匹と、何故か着いてくる一人を連れて、私は玄関を開ける。

 

 

「じゃあロロ、おさんぽ行こうね」

 

「わんっ!」

 

「んへへぇ、ノエルとデート……♡」

 

 

 散歩(マラソン)だって言ってんだろ。

 

 私は心の中でそうツッコミを入れた。でも言ったところで、これはレイゼルにとっては既にデート。経験則的にいくら言っても意味ないから言わないけど。

 

 

「じゃあ出発!」

 

「わん!」

 

 

 その合図と共にロロはミサイルかのように走り出す。獣医さんから「この子、毛が多くてふわふわでとても分かりにくいですが、一般的なスピッツと比べてすごく筋肉が発達してますね……。ドッグレースでもしてるんですか?」と言われる程の脚力で地面を蹴る。

 

 走るコースは森の中で、障害物競走みたいに森の中を疾走する。ロロは賢いから、狭い所やリードが引っかかって通れないような場所は絶対に通らない。……かちこいねぇ!!

 

 

「なぁなぁノエルぅ、何か会話しながら話そ」

 

「頭痛が痛いみたいに言うな。それで、何かって?」

 

 

「んー、次のデートプランの話し合いとか?」

 

「……私はどこでもいいけど、レイゼルは行きたい所とかある?」

 

 

「ノエルの隣!」

 

「じゃあ家で」

 

 

「やった!! 家の中でいちゃラブセッ」

 

 

 レイゼルが言い切る前に私は即出しスマッシュビンタをすると、レイゼルは「はんッ♡」とか言って喜んでいた。……画面外に吹っ飛びながら。それでもロロは止まらないので、ロロのリードを持っている私はレイゼルを置いて走る。

 

 

「あぁーー!! ノエルぅーーーーッ!!」

 

「先行ってるから」

 

「わんわんっ!」

 

 

 そしてレイゼルを置いて私はロロと森の中を駆ける。今日はいつもよりもうちょっと深い所まで走ってみると、開けた場所に着いた。

 

 

「わん!」

 

「ちょっと休憩しようか」

 

 

 折りたたみ式水皿を出して、その中を水魔法(アクタ)でいっぱいにしてロロに水分補給をさせる。この水皿、なんと水の中に含まれる魔力の波長と性質をただの空気に含まれた魔力と同じにしてしまうというスグレモノ。他人の魔力の無害化……素晴らしいね、これぞ文明の力。

 

 ロロの水を飲むぴちゃぴちゃ音(ASMR)を聞きながら、私も自分の魔法で作った水を飲む。新鮮で不純物の無い水は美味しいね。

 

 

「わわん!」

 

 

 水を飲み終わったロロは私をじっと見ていて、とても期待した眼差しを向けてくる。

 

 

「……ふっふっふ、これが欲しいんだね?」

 

「!」

 

 

 私はバッグからボールを出すと、ロロのしっぽはブンブン揺れる。あぁ、ロロのしっぽの付け根にある筋肉が悲鳴をたぶんあげているんだろうな……。今は興奮しててしっぽは痛くないんだろうけれど。

 

 

「じゃあその前に……お手!」

 

「「わん!」」

 

 

 ロロは自信満々に前足を出……そうとすると、追いついたらしいレイゼルがいつの間にか横からロロよりも早くゴツゴツとした私よりも大きな手を乗せて、それからにぎにぎしてくる。

 

 

「ゔ~っ……」

 

 

 嫌だったらしいロロはレイゼルの左前足(手)をガブガブして退かそうとするものの、レイゼルの圧倒的な防御力によりロロの噛みつき攻撃は0ダメージ。とても不機嫌そう。

 

 

「ちょっとレイゼル、私はレイゼルに言った訳じゃ無いんだけれど」

 

「だってノエルが俺の事置いてくし、外出る前俺の事構ってくんなかったし……」

 

「わんっ!! わんっ!!」

 

 

 レイゼルよりも、早く退け!! と言わんばかりに吠えるロロが可哀想になってきたので、私は反対の方の手をロロに差し出すと、ロロは不機嫌そうに完璧なお手をする。

 

 

「おかわり」

 

「「わん!」」

 

 

 だからレイゼルには言ってないって。

 

 両方の犬は右前足を私の手に乗せると、とてもキラキラとした目で見てくる。……特にでっかい柴犬の方。

 

 でっかい方は雑にわしゃわしゃと撫でておいて、モフモフな方は優しく撫でた。ロロは可愛いね。

 

 

「んへへ……♡」

 

「はっはっはっは!  わん!」

 

 

 私はボールを投げると、ロロは走ってボールを取りに行く。……んだけれど、レイゼルがロロよりも速く取って持ってきた。だからレイゼルにやったんじゃないって言ってんだろ。

 

 

「ゔーーっ……わんわんわんっ!!」

 

「レイゼル、ロロに謝って」

 

「やだっ!! だって俺の方が可愛いし、ずっと一緒に居るし、ノエルの為なら何でもするし、俺の方がノエルの事好きだし!!」

 

 

 子供かお前は。というか、ペットと張り合うな見苦しい。

 

 

「……夜に構ってあげるから」

 

「ロロ、ごめんな!」

 

「わんわんわんわんわんっ!! ゔーーっ」

 

 

 そしてなんて軽過ぎる謝罪、これにはロロもブチ切れ状態。ごめんねロロ……。仕方なくレイゼルのリードを持ちながら、ロロのボールを投げる。

 

 

「わんわんわんっ! はっはっはっはっ」

 

「ロロちゃんいい子だね、えらいね、可愛いね♡よちよちよちよち」

 

「ノエル、俺は?」

 

 

「年中発情期の犬」

 

「いやぁ、ノエルがエロいからチンコがつい……」

 

 

 即レイゼルにタイキックをお見舞いすると、レイゼルは「あッ♡♡」とか言って喜ぶ。私を言い訳の理由にすんな変態がよ。

 

 しばらくロロと遊んでいると、草むらからガサガサと草をかきわける音がしてきて、強い魔力を感じた。けれど、この魔力って……何処かで感じた事があるような。というか、今日感じた事がある気がする。誰だっけ……思い出せそうな感じがするけど、今日に限って思い出せない。

 

 

「魔獣かな……ここの森にも出るようになったんだね」

 

「まぁー、でも今まで産まれなかったのが変だったとは思うけどさ」

 

 

 草むらから出てきたのは、角の生えたうさちゃんだった。可愛いね……まぁ、見た目だけだけどね。それより魔力どうしたのうさちゃん。

 

 

「ア、アルミラージだ……」

 

「確か特定危険魔獣だっけ、人間の肉が好きだった気がする! ……あれ、でも絶滅したよーな」

 

 

 でもまぁ1匹だけなら……。

 

 そう思って私は常に持っている白薔薇の追憶を出して、ブローチの状態から剣に姿を変える。

 

 

 《ノエルは白薔薇の追憶を装備した!》

 

 

 いつでも反撃できるように剣を構えると、更にガサガサ音がしてきてアルミラージ達は姿を現す。……いや、それにしても多くない?

 

 

 《囲まれてしまった!》

 

 

「……これさ、ひょっとしてヤバい?」

 

「深く考えなくてもヤバいね」

 

「ゔーーっ……」

 

 

 ロロ……守ろうとしてくれてるんだね、ありがとう可愛いよ……。

 

 ツノの生えたうさ達は鼻をフスフスさせて、ジリジリと近づいてくる。けれど、一向に襲いかかる気配が無い。するとうさ達は急にビクッとして距離をとると、プルプルと震え始めて、キーキーと鳴き声? を出した。

 

 

「ど、どうしたんだろう……怖がってない?」

 

「なんか、命の危険感じてるレベルでビビってるっぽい」

 

「わんっ! わんっ!!」

 

 

「犬が苦手……って事は、無いよね」

 

「まぁこのうさぎ、クマより強いらしいしなー」

 

 

 それにしても、本当に尋常じゃない程のビビりっぷり……。一体どうしたんだろう、そう思っていると、早くも私達はその理由を察する事となった。

 

 

 ガサガサと草むらからまた掻き分ける音が聞こえて来て、そっちの方に視線を向ける。そして草むらからプルプル震えるうさ耳が見え……ゆっくりと顔を覗かせた。

 

 

「あっ…………スーッ、なるほど……今思い出した」

 

 

 他のうさ達よりも一回り大きいうさは、たぶんこの群れのボス……だけれども、明らかに自然じゃ絶対にならないような姿をしていた。

 

 

「すげー……色々と」

 

「キー、キー……」

 

「う、うさぎさん……大丈夫だから、絶対に言わないから……」

 

 

 なんとボスうさは、哀れにもフリッフリのフリル付きでピンク色をしたリボンを首に着けられていて、パニエでボリューム満点のスカート、そして可愛らしいヘッドドレスを着けていた。いや、正確には着せられていた。

 

 このフルタ村で、そういう趣味をした人なんて限られている。……というか、1人しか居ない。絶対に、ファーストネームの頭文字はM、ファミリーネームはVから始まるに違いない……。

 

 するとボスうさは、私の前でプルプルしながら横になった。その様子はまるで「襲おうとした罪は私の命で償うので、どうかこの事はあの方には秘密に……!!」と、言っているかのよう。まさに群れのボスの鏡……。

 

 

「うさぎさん、大丈夫だから!! お母さんには絶対に言わないから!!」

 

 

 そう言うと、ボスうさはつぶらな瞳で私をじっと見つめてくる。まるで「本当ですか……?」と、尋ねているかのように……。

 

 

「本当だよ、絶対に」

 

 

 するとボスうさと群れのうさ達は震えが止まった。……よかった、このままだとあまりにも可哀想過ぎるから、安心させられてよかった。

 

 ……そう思っていると、うさ達はレイゼルの方をじっと見る。あれ、なんかまたジリジリと近づいてない?

 

 

「う、うさぎさん達?」

 

「なぁ、何でこのうさぎ達、俺の事ギラギラした目で見てくんの?」

 

「わん!」

 

 

 そしてうさぎさん達は一斉にレイゼルに飛びかかると、噛み付いた。完全にレイゼルを食べる気だ!!

 

 

「う、うさぎさん!? その勇者、食べても美味しくないよ! お腹壊しちゃうよ!!」

 

「あーっ!! やめろぉっ!! 俺の服ビリッビリになるだろ!!」

 

 

 けれどもレイゼルは防御力がとんでもない為、うさぎさん達の歯は全く通らない。歯型はちょっと付いてるけど、血は一滴も出ていなかった。レイゼルは噛み付いて肉を食いちぎろうとしてくるうさ達を掴んでは投げ、何とか引き剥がす。

 

 

「しかも痕になってるしさぁー!? やめろマジで!! 歯型付いたじゃんか!!」

 

「モテモテだね」

 

 

「全然嬉しくねぇよぉ!! ノエルからだったら超嬉しいけど、うさぎに捕食されかけて付くとか!! 全ッ然、嬉しくねぇ!!」

 

 

 何とか帰った頃にはお昼になっていて、お母さんはお昼ご飯を作っていた。エルはマイリトルツインズにかまちょしていて、私に気が付くとやって来てはスリィ……ってしてくる。私の黒いズボンは一瞬で白い毛まみれとなった。全くどうしてくれるんだ、抜け毛まで可愛いラブリー猫ちゃんめ。後で吸ってやる。

 

 

「ただいま、お母さん」

 

「おかえりなさい、ノエル♡」

 

 

 お母さんは私見るやいなや、エプロンを脱いでから私をぎゅっと抱き締めると、匂いを嗅ぎ始める。

 

 

「ちょっ……お母さん私今汗かいてるんだけれど」

 

「大丈夫よ、いい匂いだから!」

 

 

 そういう問題じゃなくてね、乙女的に汗臭いのは嫌なんだよ。それにベタベタするだろうし。

 

 

「はぁ……ローズアロマの香り……」

 

「あー……すっげーチンコに来る匂い……」

 

「レイゼルまで嗅ぐな、止めろ」

 

 

 私はレイゼルの顔を押し退けながら、いつもの席に座る。せっかくの出来たてご飯、食べないと損だからね。お風呂入る前に食べよう。今日のお昼ご飯は、手作りのカルボナーラとサラダ。うーん、美味しそう……。

 

 

「いただきます」

 

「いただきまーす!」

 

「ところで、どうしてレイゼルくんは服がボロボロなの?」

 

 

「あー、これ森でうさ──」

 

「レイゼルがまた変な事言うから、ぶん殴ったら木に吹っ飛んで、服が枝に引っかかって破れちゃったの!! ね、ロロ!!」

 

「わ、わん!」

 

「あら、そうなのね」

 

 

 我ながら完璧な嘘をついた後、お母さんの食べるまでもなく美味しい事が分かるご飯を食べ、レイゼルに苦手なサラダを食べさせた後お風呂に入った。レイゼルは混浴しようとしてくるから、もちろん全力で拒否。でも結局入って来たから、窓の外にぶん投げてやった。……けど、それで喜ばれたのには腹が立ったね。罰どころかご褒美にしかならないし。

 

 お昼ご飯を食べ終わった後、お母さんは外出用の服(歩きやすくていつもよりは控えめな甘ロリ)に着替えてくると、今日のお仕事に行こうとしていた。

 

 

「じゃあノエル、行ってくるわね♡」

 

「うん、行ってらっしゃ……あっ」

 

 

 ここで、私はある事を思い出す。お父さんが仕事に行く直前、お母さんに話していた事を……。

 

 

『エマ、最近全体的に増えているのもあるが、特にイマラ区の路地裏で強姦事件が相次いでいる。今日から近づかないように気をつけてくれ』

 

 

『えぇ、分かったわあなた!』

 

 

 その後いつもの行ってきますのちゅーをしてから、お父さんはとても名残惜しそうに、嫌そうな顔をして仕事に行った。

 

 要するに私が何を言いたいのかと言うと……話の流れで、あと私の勘で何となく事件が起きそうな気がする!! そう思って、私はお母さんの仕事に後ろから着いて行く事にした。

 

 双子を置いて大丈夫なのか、と……心配できる心優しい暇人の読者の人達、安心して。我が家には番犬ならぬ番猫が居るから……。エルの猫パンチは、レイゼルをぶっ飛ばすくらい、強いし速いから。ブオンッて、風を薙ぎ払うかのような音が鳴るから。不審者が来ても安心だね。ロロは……勇敢だけど、足が細いし小さいからケガしないか心配。エルは今、見た目は小さいけど質量と体の丈夫さはそのままだから大丈夫。というか小さくなったから、むしろ機動力あるし。

 

 

「気をつけてね!」

 

「えぇ♡」

 

 

 お母さんは私を抱き締めてほっぺにちゅーをすると、にっこりと笑ってそれから魔法で転移した。

 

 

「……レイゼル、あと5分くらいしたら城下町で散歩しようか」

 

「分かった行く! デート超楽しみ!」

 

 

 ~・~・~・~

 

 

 

「あら、どうしたのノエル。もしかしてもう一度お手本が見たいの?でも自分でやらないと覚えられないだろうし……どうしましょう。このタイミングが一番だと思ったのだけれど……そろそろ夏休みも残り1週間とちょっとだけだし……」

 

 

 いや、まさかナンパ野郎に話しかけられながらもケーキを売ってるお母さんに、気配と視線でとっくに後ろから「はぁ!? 何あの男、お母さんにゲスな視線を向けて近寄ってるんだけど!? お母さんにはお父さんが居るのに!! ノルエマしか私は絶対に認めない、というかNTR男の存在そのものを認めない!! 何アイツぶん殴っていい!? 良いよね!!?」ってレイゼルに言いながら、着いてきてるのがバレてて、バレてるのにお母さんがケーキ売り終わった後で路地裏に入ったかと思えば、強姦野郎を娘の前で物理的に殺すとは思わなかったよね。ナイフで一突きするとは、思わなかったよね……。

 

 しかも死体の解体を手伝わせようとするとは、思わなかったよね。

 

 

「お、お母さん……大丈夫なの」

 

「えっ? あぁ、大丈夫よ! この服、汚れたり破れたりしてもすぐに元通りになるの!」

 

 

 いや、そうじゃなくてね? この状況的に捕まらないかどうかを私は心配しているのであってね?

 

 

「でもよく考えたらノエルの服は付いたら洗わないといけないわ……。慣れるのには良いと思ったけれど、こればっかりは仕方ないわね。やっぱり私がちゃんとやって見せるから、しっかり覚えてね♡」

 

 

 何を!? 私過度なグロ耐性無いよ!! というかレイゼル、グロいの無理じゃ……。

 

 

「んへへぇ~♡」

 

 

 あっ、レイゼル私しか見てない。じゃあ大丈夫……いや、この状況どこが大丈夫なんだ、ヤバ過ぎる。

 

 

「まず、持ち運びやすいように、よく切れるナイフとノコギリ、袋とロープを予め用意しておくの!」

 

 

 何で予め用意してるのお母さん。

 

 

「それで、関節の所を切っていくのよ! 慣れない内は大変だけれど、ちょっとコツを覚えれば、軟骨の所をこうやって……ほらできたわ!」

 

 

 ひぃぃぃぃッ!!

 

 私は心の中で悲鳴をあげながら、血の匂いと今目の前で起こっている出来事に吐きそうになる。待ってお母さん、無邪気に見せようとしないでッ!! 断面が!! 断面がッ!!

 

 

「この調子で、足と腕を全部パーツごとにバラバラにしていくの!」

 

 

 お母さんもうやめて、説明しなくていいからぁッ!! もう証拠隠滅して帰ろう!! バレなきゃ犯罪じゃないから!!!!

 

 そう言いたいけれど、私から出てくるのは「あ、う……あ」みたいな声しか出てこない。

 

 

「次は首! 骨が多いから、この小型ノコギリを使うの! とっても良く切れるのよ!」

 

「……」

 

 いやお母さん、配信者みたいな感じで見せなくていいから。

 

 

「じゃあギコギコしていくわね♡」

 

 

 待って!! しないでお願い、待って──うわぁぁぁぁぁああああッ!!

 

 私は耳を塞いで目を閉じ、ぐっちゃぐちゃ、ゴリゴリというグロすぎる物をシャットアウトした。私は何も見てない、見てないったら見てない!!

 

 そして数分して、お母さんは髪の毛の所を掴んで袋に入れていた。死んだ魚のような目と合っちゃったよ……私今日寝れないかもしれない、夢に出そう。というか晩御飯食べられない……。

 

 

「次は上半身と下半身を分けるわ!」

 

 

 お、お母さん?? そ、それってつまり、ぞ、臓物が出てくるやつでは?? お、お母さん、待って、も、もう……無理。

 

 

 ~・~・~・~

 

 

「あっ」

 

「あら?」

 

 

 口から魂が抜けたかのようにノエルは気絶すると、くっついていたレイゼルはノエルを抱える。

 

 

「……ノエルには刺激が強かったみたいね」

 

「え? 何が? ……って、うわ何だこれ」

 

 

「代々受け継ぐ伝統肥料の作り方を、いい機会だからそろそろ教えようと思ったのだけれど……。ノエルは肥料作りが苦手みたいね、大丈夫かしら……」

 

「それ俺にもできる?」

 

 

 レイゼルはどうやら肥料作りに興味があるようだ。キラキラとした目でマリエッタに聞くと、聞かれた方は困った表情をして答える。

 

 

「解体は誰でもできるけれど、これを肥料(供物)として神様に捧げる為には、その使徒じゃないといけないの。だからレイゼルくんには難しいかもしれないわ」

 

「そっかー……ん? じゃあ俺が解体して、ノエルが埋めればできるんじゃね?」

 

 

「それなら大丈夫だと思うわ! そもそもノエルにはノルトさんの血が流れているから、肥料の調達は無理だし……。せめて作り方だけでもって思っていたけれど、レイゼルくんがやるなら問題無いわ!伝統がこれで続けられるわね!」

 

「やっぱ将来の夫として、ノエルができない事は俺がやって助け合わないとな~♡」

 

 

 それを聞いたマリエッタはキャッキャしながら「流石レイゼルくんね! 結婚式が楽しみだわ♡でも……その前に、ノルトさんに認めてもらえるといいわね。頑張って♡」と、エールを送った。レイゼルの方は「あー……」と、とても微妙そうな顔をして。

 

 

「……たぶん、無理かもしんない。もしかしたら俺、ノエルを連れて駆け落ち──」

 

「それは駄目よ、2人の家はうちの隣じゃないと絶対に駄目。私の知らない場所に住むなんて、絶対に許さないわ」

 

 

 そう言ったマリエッタの目はどんな暗闇よりも暗いもので、今まで感じ取った感情の中で、最も恐ろしく感じたレイゼルは「ふぁい……」と、プルプル震え、イマジナリー犬耳と尻尾をペターンと倒した柴犬へと化していた。

 

 母は強しって、この事を言うんだな……と、レイゼルはそう思うのであった。意味は違うが。

 

 






クロスバイクが欲しい。あと応援長いぜ。最近、ちゃんと寝てるのに眠りが浅いんだけど、どゆ事?? 次来たら半年だぞおい。







うさぎさん達

実は純正のアルミラージではなく、マリエッタが普通のうさぎを改造して爆誕した、哀れな被害者。魔力を感知できるが、その能力はあまり強くない。結構近づかないと判別ができない。人間の言葉が理解でき、10歳くらいの知能がある。うさぎなので耳が良く、うっかり作戦を言葉で伝えるとバレる。某王国の兵士達が森に入り、村を襲う時の為の、もしもの保険として作られた。硬いお肉が好き(にさせられた)。防御力が高い人間の男が好き。歯ごたえと食べごたえがあるので、好き。マリエッタがちびりそうなくらい怖い。


ボスうさ

なんだこの邪魔くさいやつ、と思ってても命に関わるので頭に着けられた物を取れない。群れの為に我慢して、マリエッタに好き放題されているボスの鏡。マリエッタが怖すぎる。


エマッマ

やっぱりうさぎは可愛いわ!



~おまけ~


「うさぎさ~ん♡ご飯よ~♡」


マリエッタはプルプルと震えるうさぎ達の前に肥料の四肢を出すと、うさぎ達は目をキラキラと輝かせ、すぐさまかぶりつく。やはりおなかが減っているので、怖くても食欲には勝てないのである。


「最近、変わった事は無かった?」


うさぎ達は体が一瞬硬直したが、あくまでも何も無かったという風を装う。


「どうなの?」


マリエッタはボスうさぎを見ると、ボスうさぎは冷や汗をかきながら知らないと、ボディランゲージで伝える。


「あら、そうなの!」


どうやら信じたらしい。マリエッタにボスうさは抱き締められ、モフモフを堪能される。


「やっぱりうさぎって可愛いわ!私達ずーっと一緒に居ましょうね♡」

「キー!!」


「あら、今日は凄く元気ね!」




【挿絵表示】
 お風呂上がりのパッパを描きたくなったので描いたラクガキ(イケメンって描くのむつかしいね) 20250422


【挿絵表示】
 筋肉描く練習(もっと全身描けばよかったかな……顔を描きたい欲も出ちゃったからしゃーないね 20250422)(0423 追記 あっ、待って目の角度おかしい。ラクガキクオリティであっても練習だから、描き直そう。ちゃんと自分で直さんと練習にならん) 


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