チュートリアル用のチョロイン幼馴染に転生してしまった 作:水性さん
今回はご飯に関する話。
あと作者、ファンボックスを始めたんだけど、あとがきにファンボックスについての説明書いた。
ある日、レイゼルは思った。
「ノエルと一日中、イチャラブセックスしてぇよぉ……ずっとチンコハメて、好きな時にノエルの中にびゅーびゅーして子宮の中を俺の精子で常にいっぱいにしてんのに、いつも通りそうに過ごして隠してるノエルと、ノエルに近寄って来た奴ら全員に見せつけながらイチャイチャしてぇよぉ……」
なんとも酷い煩悩まみれな脳内である。
まぁそんな事を考えているから、せっかくお互いに休日が重なったのだからと娘大好きパパにノエルを取られ、レイゼルはヴェリカ家で留守番をする事になるのだろうが。普段ならこっそり後ろから着いていくが、あのノルト様が気づかない筈が無い上に許す筈もなかった。
学園の門の前で女子生徒達にキャーキャー騒がれながらも堂々とノエルを待ち、やって来たノエルを抱きしめてノルトはレイゼルに言った。
『着けてきたらお前のコレクションを全部燃やした上で、この世のありとあらゆる苦痛を受けてもらう。これは確定事項だ』
「あ゙ーーーーッ!!!! ざびじぃぃぃぃぃいいいッ!!!! うぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
レイゼルはベッドの上でのたうち回り、全力でノエルを恋しがって大泣きしていた。とても情けない。メンヘラ勇者にとって留守番するというのは、自殺行為に等しい。しかし着いていくのも自殺行為。どっちを取っても死。そしてレイゼルは物理的な死を避けて精神的な死を選んだのであった。レイゼルのコレクションにはとても父親には見せられないような物ばかりなので、もし見られたら殺される自信があった。
「えっぐ、えっぐ……の゙えるぅ…………」
レイゼルは秘密裏に作っていたノエルぬいぐるみを出すと、それを抱き締めてノエルの代わりにする。
「ざびじぐでじぬよぉ……はやぐがえっでぎでぐれよぉ…………」
『汚いから早く顔拭いて』
そして寂しさのあまりにレイゼルは脳内でイマジナリーノエルを召喚し、聖力でそのままぬいぐるみに憑依させた。一応この変態、神なのでこういう事もできる……というか、できるようにした。
「エルぬいがふいで……」
『それくらい自分でやってよ……まぁいいけど』
ノエルぬいぐるみ、略してエルぬいにレイゼルは涙と鼻水できったねぇ顔を優しく拭いてもらい、レイゼルはちょっとだけ機嫌を直した。
「エルぬいはさー、ノエルはいつ帰ってくると思う……?」
『晩御飯までには帰るって言ってたでしょ、普通に夕方になったら帰ってくるから』
「無理ぃ……その前に寂しくて死ぬぅ……」
『人間そんなことで死んだりしないから大丈夫だよ、それより16歳になって一人で留守番できないのは流石に危機感持った方がいいと思う』
「エルぬいが正論パンチしてきたぁぁぁぁぁあああ!!!! 冷たいぃぃぃ!!!!」
『せっかく私が拭いてあげたのにまたぐちゃぐちゃにして……次はやらないから、もう泣くのは止めてよ?』
また再びレイゼルはエルぬいに拭いてもらい、エルぬいは使ったティッシュをゴミ箱にポイッとした。するとレイゼルの腹の方から「ぐごごごごご」という音が鳴る。
『お腹減ったの?』
「腹減った……」
『じゃあ作ってあげるから待ってて』
「待つ!」
するとエルぬいはレイゼルの腕から離れると、ぽふぽふという軽い効果音を鳴らしながら歩く。歩くスピードは普通だが、中々キッチンの方にまでたどり着けない。
『……キッチンってこんなに遠かったっけ』
「エルぬいがちっちぇーんだよ」
『うるさい』
エルぬいは寝室を出てなんとかキッチンに着くと、見上げた。
『キッチンって、こんなに高かったっけ……』
「エルぬいがちっちぇーんだよ」
『黙れクソ勇者』
ノエルに言われたならレイゼルも喜んだが、これはあくまでノエルでは無い為、特にハァハァする事なくレイゼルはエルぬいを持ち上げてキッチンに乗せる。
『じゃあ作るから、ちょっと手伝って』
「いーけど何で?」
『この体で食材取れる訳無いでしょ、ほらブロッコリーとニンジン、ジャガイモにタマネギ、ソーセージと鍋とボウル出して。ボウルは切った野菜用と、ジャガイモを水にさらす用だから、3つ出してひとつは水入れて。あと包丁とまな板』
「あー、確かに」
そう答えると、レイゼルはエルぬいの指示通りに食材と道具を出す。
「エルぬい、ちっちぇーから皿とかも出せないもんな」
『それ以上はもう喋んな。いいから早く包丁渡して』
レイゼルはエルぬいに包丁を渡すと、エルぬいの腕にズシッとした重みがかかる。
「エルぬい?」
『……ぐ、…………むぐぐ』
《エルぬいは包丁をゆっくりと置いた!》
『ふう……ぬいぐるみの体には包丁が重すぎて持てない事が、たった今理解できたよ』
「えー、力ねーなエルぬい」
《エルぬいは包丁を持ってレイゼルに振り回した!》
「あっぶね!? エルぬい何やってんだよ、あぶねーだろ!? しかも持ててんじゃんか!!」
『は? かすり傷さえできない防御力の癖にぬいぐるみの攻撃に何ビビってんだよ、というか何喋ってんだよ殺すぞ』
本物のノエルと違ってちょっとバイオレンスなエルぬいに、レイゼルは「やばぁ……」とか思いつつも、エルぬいから包丁を没収して、よく切れる果物ナイフを持たせた。
《エルぬいは果物ナイフを装備した!》
『あっ、これなら私でも持てる! いい? 早く終わらせるよ』
こうして料理という名のバトルは幕を開けた。
大きさ的に大剣を持っているかのようなエルぬいは、最初のターンで人間にとってはとても強い敵と書いて強敵と読むタマネギ達に攻撃を仕掛ける。やっぱりボスを最初に倒せば、その他の小物など余裕なので。エルぬいは強敵のタマネギの装甲を剥がしてから333ダメージを入れると、綺麗にみじん切りにして切った。ゆーうぃん!
《エルぬいは33の料理経験値を手に入れた!》
《エルぬいはタマネギ達との戦闘を得て、果物ナイフの使い方をマスターした!》
《エルぬいは連続切りと超・薄切りを覚えた!》
……しかし! タマネギは自爆技を持っていた為、生身のレイゼルの目に自爆のダメージが入る。
「あーーーーッ!! 目がーーッ!!!!」
『防御力が高くても、タマネギには弱かったんだね』
レイゼルは戦闘不能になり、使え……戦えないレイゼルの代わりに、倒されて挽肉のようになったタマネギをボウルに入れてから他の小物達との戦闘を始める。
ニンジン達には何度か攻撃をくらわせ、そして必殺技の連続切りをお見舞いし、これもみじん切りにしてボウルに素材を収集。本物のノエルが事前に魔法で綺麗にしておいたジャガイモには弱点の芽を抉りスキルポイントを消費して極・薄切りで装甲を剥いでやると、無防備となったジャガイモ達に何度か攻撃を浴びせて、必殺技ゲージが溜まった所で連続切りをした。こちらはみじん切りにせず水の入ったボウルに収集。
こうすることで、ジャガイモのあくという名の毒属性が抜けて、より上位な料理を完成させることができるのだ。
ブロッコリーには丁度いい絶妙な大きさに剪定すると、やはりボウルにストック。そしてエルぬいはとうとうラスボスと対面した。
『下手に近づけないっ……!!』
なんというお料理レベルの高い食材だろうか! ソーセージのオイルコーティング・極によりエルぬいはソーセージに近づいてキャットザハンドの構えをして攻撃することができず、エルぬいのグランドメーヌ流派でソーセージを切る事が出来ない!
『ここはアレでいくしか……!!』
そしてエルぬいは禁断の技、邪道・スーッ切りを解放する事にしたのだった。
『えいっ!』
《エルぬいは果物ナイフでソーセージを押さえることなく、ギコギコした!》
《ソーセージを倒し、エルぬいは33料理経験値を得た!》
『なんとか汚れることなく全部切れた……けど』
《エルぬいはキャットザハンドの構えを取らなかった事に、メーヌに対してちょっと罪悪感を覚えた!》
『メーヌさん、ごめんなさい……』
《エルぬいの料理という名の戦いは終わった!》
……かのように思えたが、実はこれはただ切るという戦いにおいてのボスを倒しただけだった。そう、物語のボスの他には裏ボスが存在するものだ。そして料理という戦いには必ず2がある、これ常識。
《真のボスは他に居るようだ!》
「エルぬい~……目が痛てぇよぉ……」
変わらずレイゼルは全く使え──いや、戦闘不能状態になっており、このままではやり 込み要素を全て回収しなければ復活しなさそうである。
『そんなに痛いなら洗面台で洗ってくれば?』
「……そしたらタマネギに負けた気がする」
『何言ってるんだろうこの勇者……』
エルぬいは今度はやり込み要素のニルに取りかかると、今まで倒してきた野菜という名の敵達を果物ナイフで刺してひとつずつ鍋の上に乗せる。
『……時間かかるな』
しかしエルぬいはこうするしか無いのである。エルぬいは途方も無いやり込み要素に止めたくなるが、止めたらレイゼルが腹減ったと騒ぐ為、なんとかやりきった。
その頃になるとレイゼルは復活し、ようやくプレイアブルキャラクター化する。
『レイゼル、火を付けて』
「分かった! トオン!」
炎魔法でレイゼルは火をつけると、エルぬいはそれからコンソメとコショウを入れようとする。身長が足りない為、レイゼルがエルぬい用の丁度よさそうな台代わりに近くに置いてあった普通のサイズのブルーベリージャムと大きな苺ジャムの瓶を出した。階段のように並べられた瓶の上にエルぬいは乗ると2つの調味料を入れ、それから放置タイムがやって来た。
エルぬいはレイゼルが用意したジャムの瓶の上でじっと鍋を見つめる。
「エルぬい、暇」
『本でも読んでみれば?』
「えー、つまんねーよぉ」
『そう、私は火と鍋見るのに忙しいから邪魔しないでね』
「……じゃあ俺エルぬい見てる」
『やめて』
そして宣言通りにエルぬいはその間レイゼルにじっと見られ続け、時々レイゼルがツンツンして邪魔しては、エルぬいは鬱陶しそうに指を叩いた。そのしつこさは小蠅並である。
『執拗い!!』
「んへへぇ、可愛い~♡」
『ぶち殺すぞてめぇ』
「どーやって?」
完全に舐めきっているレイゼルにエルぬいはプルプルして、それから拗ねた。
『もう知らん!!』
「ごめんって、エルぬいが可愛くてついやっちゃうんだよぉ」
プンスコしたエルぬいは瓶の台を降りると、そのまま歩いて行こうとする。……が、レイゼルがエルぬいを捕まえてスリスリする。
「なぁエルぬい~~許してくれよぉ~……」
『うぜぇ離せ、そんな謝り方で許されると思ってんのか!!』
「うん」
『死ね』
「だってノエルは許してくれるし、絶対にノエルは俺の事嫌いになんねーもん……」
『だからって何してもいい訳ねぇだろうがクソ勇者』
そしてレイゼルはエルぬいを抱き締めた。
「だってノエルに愛されてるってすげー実感できるし……」
『……あっそ』
エルぬいはレイゼルに抱き締められ、かまちょされながらも鍋が吹きこぼれて火事にならないようにして見ていた。そして時間が経過し、やり込み要素のニルを倒したのだった。野菜嫌いなレイゼルの為にみじん切りをしてスープに野菜を溶け込ませやすくしておいたので、数少ないレイゼルが食べられる野菜の一つのジャガイモ以外は全部原型が無くなっていた。
エルぬいはレイゼルに両手で掴まれながらも小さなスプーンを取り、スープをすくって味見用にレイゼルに飲ませた。
『どう?』
「……んー、なんか違う」
『!?!?』
そして感想はご覧の通り。とても自信のあったエルぬいにガーン、という低音のピアノの効果音が鳴り、見るからにしょんぼりした。
「あっ、ちゃんと美味いから! 美味いけど……やっぱ、ばあちゃんとノエルが作るのとは味がなんか違うなって思ってさ。でも……」
レイゼルはエルぬいの持っていたスプーンを取り、皿を用意するとおたまでエルぬい作のポトフをよそった。
「確かによく考えたらさ、俺そういえばばあちゃんの作るスープのレシピ、知らねーなって」
そしてスプーンをポトフの入った皿に入れると、エルぬいと一緒にテーブルへ運んだ。
「当たり前だけどさ、エルぬいはノエルじゃないもんな。俺が作ったんだから、俺が知らないならエルぬいも知らないよなぁ」
『……うん』
幼い頃は危ないからとくっつく事を止められ、レイゼルはずっと料理が終わるまではメーヌを見ていた事があった。さながら、主人が用意するドッグフード待ちの子柴のように。しかし見ていたのはメーヌの後ろ姿と顔であり、作っている物に目を向ける事は全く無かったのである。
そしてノエルをストーカーし始めてからは夕飯ができる頃に帰るようになり、ますます見る機会が減った。メーヌが亡くなった後、寮生活でノエルが作るようになったが、くっつこうとするとやはり怒られるのと、ノエルしか見ていないのでやはり知らなかったのである。
メーヌから料理を教わった事はあるが、それは本格的な物ではなく初心者向けのメーヌが書いた料理本を見ながらであり、今回エルぬいが作ったのは、料理本に書かれていた通りのレイゼルでも食べられるようにしてあるポトフなのだ。
(ブロッコリーの栄養面を考えると、溶かすのはとても勿体ないが)
「でもありがとな」
レイゼルはエルぬいをナデナデすると、エルぬいは照れているのかプイッとそっぽを向いた。
「照れてる~」
『うるさい』
~・~・~・~
「ゲイル、最近はどうだ」
「学校が凄く快適になったよ。最近ゆっくり寝れるようになったからか、仕事の効率が上がって残業時間もちょっと減ったかな」
「その証拠に先生、授業中に笑顔が増えましたよね」
「そうかな?」
「良い傾向だ」
ノエルは久しぶりにノルトと変態共が蔓延るフェリラの城下町に着ており、プラスでゲイルも一緒に着ていたのだった。親子は魔法で人の目を引くオパールのように輝く白髪を黒く見せており、ノルトはその上で久しぶりに伊達メガネをかけた状態で手を繋いで歩いていた。
ゲイルがフルタ村にやって来た後、数日後にどういう訳かどこかの変態ドS鬼畜メガネの教師は急に学園から去る事になり、ゲイルは驚いた。
一体どんな方法を使ったのか聞こうとしたが、その話題をしようとするとノルトは「知る必要は無い、あの二流の事は忘れろ」と言い、どうしたのかについては一切言わなかった。一応ノエルに何か知っている事はないかそれとなく聞こうとして近づくと、勘で察したノエルは「先生、私……この世の中には知らない方が幸せな事っていっぱいあると思うんですよね。私はついこの前までそれを痛感するとは思ってなかったんですけれども……」と、先回りされてしまった。
ノエルは何を知ったのか、そして一体その原因は誰エッタの仕業なのだろうか……。全ては謎と土の中に埋まっている。ただゲイルにとっては、ノエルの勘が良過ぎるのもこの時ばかりは困り所であった。
だがいくら聞こうとしたところで、この親子の意思は硬いもので。ゲイルは聞くのを諦め、今回のお出かけを楽しむ事にしたのであった。……まぁ、どうして自分がついて行く事になったのか、という疑問は残るが。
「それでね、2人とも……僕、凄くお腹減っちゃったんだけれど、何処かで食べに行かないかな……?」
「あぁ、だから今向かっているんだろう」
「先生、あとちょっとの辛抱だよ!」
ヴェリカ家親子はそう言い、ゲイルはヨロヨロになりながらもなんとか2人に着いていく。そして着いた先は……。
「レディース&ジェントルメン! 今年も始まりました、第33回目フェリラ大食い大会! この大会は参加登録と費用の支払い済みであれば参加可能な大会です!」
「お、大食い大会……?」
とても大規模な大食い大会の開場であった。なんだか訳が分からないゲイルにノルトはゼッケンを着せる。
「ノッ、ノルトくん!?」
「ゲイル、お前はこれに参加しろ。絶対に優勝を逃すな、でなければ俺はお前と絶交する」
「えぇっ!?」
「先生頑張って!」
ノルトからは圧をかけられ、ノエルからは応援されるゲイル。なんだかよく分からないまま、ゲイルは会場の選手席に座らされていた。ゲイル以外の出場選手はとても体格が大きい者が多く、ムチムチな人も居ればプニプニな人も居た。見るからに沢山食べそうな人達が沢山だ。
あわわ、はわわ……。
ゲイルは落ち着きなくキョロキョロと見回していると「なんと、この大会では優勝者に豪華景品が与えられます!」という司会の声と共に布で覆っていた景品達は姿を現す。宝石やブランド物のバッグ、武器などがあり、その中でもかなり毛色が異なる物があった。それを見た瞬間、ゲイルは察したのだ。
「先生ーっ! 頑張ってください!」
「ゲイル、絶対に勝て」
「あ……うん」
その景品は明らかにマリエッタの好みのど真ん中を突いたロリータ服であり、ノルトはなんとしてでも妻の為にその服をプレゼントする為に自分を大会に出させたのだろうと。いや、だとしてもゲイルは疑問に思った。
ノルトも結構食べるのだ。ゲイル程ではないにしても、一般人の何倍も食べるのだが……普通に自分が出れば良かったのでは? ノルトの性格を考えると、そういったものは自分で勝ち取るタイプだ。ならば自分を使う必要は無い。
と、いうことは……。
「今回、食べてもらう物は……なんと! 牛肉だぁ!」
「「「おーーっ!!」」」
「ただーし! 景品にコストをかけすぎてしまった為、牛肉は訳ありの物を使っています! 中には牛肉ではない肉も! どんな肉が使われているかは食べてからのお楽しみです!」
「(一体どんなお肉が使われているの……!?)」
なんだか危なさそうな雰囲気が出ている大会にゲイルは冷や汗を流し、納得した。確かに正体不明の肉は食べたくない訳である。とはいえ、それを友人に食べさせるとは……。なんという男なのか。
そしてゲイルや出場者の前には焼いた大きな肉の塊が用意された。
「制限時間は2時間! という訳で、はいスタート」
「……えっ、そんな急に始まるの!?」
ツッコミを入れたせいで若干ゲイルは出遅れながらも、急いでゲイルは得体の知れない牛(?)肉をナイフで切り、フォークに刺して口に運ぶ。
「おにくおいひぃなぁ……」
「お父さん、あのお肉って本当に食べても大丈夫なの?」
「ゲイルは健啖家だからな、基本的になんでも食う」
「本当に大丈夫なの?」
「……一応害は無いが、知るべきではない」
どうやら友人の体を心配してどんな肉を使っているのか調べてあったらしいが、ノルトはそう言った。まぁとりあえずお肉食べて全てがどうでもよくなって幸せそうなゲイルを親子揃って観察し、癒される。
「先生、お肉食べれて幸せそう」
「そうだな」
「先生をいつも授業中に見てると思うけれど、やっぱり可愛いよね」
「……そうだな」
「小動物みたいにね」
「小動物のようにな」
親子二人は揃って言い、まるでハムスターかのように口の中に常に食べ物を入れ、わんこそばのようにやって来た大きな肉の塊を瞬時に食べている幸せそうなゲイルを見ていた。
「……それにしても、どこかで……もぐもぐ。食べた事があるような味だなぁ……もぐもぐ」
ゲイルは次々と肉を胃袋の中にしまっていき、そして100分が過ぎた頃。
「……あっ、思い出した! 出てきたお肉、アビスフロッグとデビルスネーク、デスマウスだ! どうりで美味しいと思ったよ」
その瞬間、他の参加者は全員吐いて失格した。
「お父さん、先生みたいな人が食文化を発展させていくんだね……」
「……そうだな」
そしてゲイルは「まだ食べていたかったな……」と言いながらも一人勝ちし、その結果景品は全部独り占めとなった。もちろん大会には出禁になった。親子は要らない景品をとりあえず村にある、村人が要らない物を譲る為の家に転移させ、目的の服や服に合いそうなアクセサリー類、道具を持って村に帰るのだった。
~・~・~・~
ある日、レイゼルはトイレに行ってノエルの部屋に入ってベッドでエルぬいとゴロゴロしている時。何かを察知した。
「ノエルが俺以外の男を可愛いって言っだぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!! 俺の方が可愛いのにぃぃぃい!!!!」
『は? お前の目は腐り落ちてんのか?? てか離せクソ勇者が』
「エルぬいぃぃぃい!! ノエルが浮気したぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!! うぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!」
レイゼルはエルぬいをぎゅうぎゅうと抱き締めて再び泣き叫んでいた。無駄に良く綺麗な顔は涙と鼻水で、万人がきったねぇという感想が出るであろう状態になっていた。
『うぜぇ、する訳ねぇだろうが。殺すぞ死ね』
「うっ、うっ……も、もうっ……あいでのおどごをごろずじが……ぞじだらノエルをごろじでおれもじぬぅぅぅ……」
『やめろカス、てめぇだけ死ね』
「エルぬいがづめだぃぃぃぃぃいい!! ノエルはそんなづめだいごどいわないのにぃ……」
『は? お前が一番分かってんだろ、これが本物が見せていないだけの内面だって』
「……そーだっだ」
人間の感情は実に多彩だ。例えどんな理性的な人間だろうと、内に秘めた感情が暴走してしまえば、欲に魂が穢れる。そして人間には色んな内面を秘めている。
エルぬいが怒ると本物よりもバイオレンスなのは、怒りによってノエルの精神そっくりに作ったエルぬいの暴力性が現れているのだ。
そして感情の神に作られたエルぬいは感情のままに動き、喋る。
『まぁレイゼルが知らない事は私も分からないけれど……』
「エルぬい~……ふいで」
『……はいはい』
エルぬいは仕方なくまたレイゼルの顔を拭き、もう次は拭かないと心に決めた。
「……はぁ、ノエルに会いたい」
『あぁそう』
「ノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエルノエル……」
『うぜぇうるせぇ、黙って待ってろクソが』
嫉妬して泣いたかと思えば激病みモードになるレイゼルにエルぬいはキレ気味にそう言うと、レイゼルはまた泣き始めた。
「あ゙ーーーーーーっ!! エルぬいが!!!! づめだい!!!!!!」
『何度も泣かれる側の事も考えろ殺すぞ』
レイゼルはギャン泣きで超絶情けねぇクソデカボイスで泣き喚く。すると勢いよくドアが開いた。それはもう、ドアがガンッという音を出すくらいに。
「ねぇ五月蝿いんだけど!! ちょっとは静かにしたら!?」
「オイうるせぇんだよッ!! お前の顔面擦りおろすぞ!!」
ドアの向こうには双子が居た。どうやらドアが完全には閉まっておらず、少し開いていたのか聞こえていたらしい。聖力で部屋を防音にしたとはいえ、その効力はドアをしっかりと閉じている時だ。一応開いていてもある程度防音はされるが、それ以上にレイゼルの声の大きさが上回ったのである。
「えっぐ、えっぐ……エルぬいぃ……双子が俺の事いぢめるぅ…………」
『は?? 私のツインエンジェルズがレイゼルを虐めるわけないでしょ??』
「そんなに会いてぇならさっさと逝ってこいよ、家から出してやるからありがたく思えよカスが」
「待ってルト! 今、姉さんの声がしなかった!?」
ルトはレイゼルの服を掴んでズルズルと引き摺ってベッドの上からずり降ろし、家から追い出そうとしている中、シスコンのエルマーはキョロキョロと大好きな姉の声が聞こえたのでノエルの部屋を見渡す。すると、レイゼルがノエルにそっくりなぬいぐるみを抱きしめているのが分かった。
そして引いた。
ルトは急に手を離したので、ガンッとレイゼルは重力の法則に従い頭を強打する。0ダメージだが。
「えっ、何それ姉さんに似てる……寂しいからって普通、恋人そっくりなぬいぐるみ作る? 成人した大人が? しかもそれ……はぁ??」
「……何で姉の身体の一部が入ってんだよ、マジモンの呪物作ってんじゃねぇよキショいな」
双子がドン引きしている理由。それは何故なのかと言うと、エルぬいはビニール袋に入れたノエルの髪が体の中にこれでもかと入っているからだ。ちゃんとモフモフ感を出す為に綿も入っているが、それでも髪の方が多い。
双子はアイコンタクトを取り、同時にエルぬいの腕を引っ張ってレイゼルからエルぬいを取り上げた。
「あーーッ!! エルぬい!! 俺のエルぬいを返せ!!」
「このかわ……恐ろしいぬいぐるみは僕達が監視しておくから。怒った拍子に誰かを傷つけて問題が起こるかもしれないし」
「ありがたく思えよカス」
「いや、完全にエルぬいを自分達の物にしようとしてんじゃねーか!! 俺のエルぬい返せよ!!」
「は? どうせこの子にウザ絡みしてた癖に何言ってるの?? 頭大丈夫?」
「……姉ぬい、どっちがいい」
『考えるまでもないよ』
エルぬいは双子に胴体を優しく掴まれながら両腕を組んでうんうんと頷き、そしてサムズアップ(概念)をした。
『マイリトルエンジェルズのルトゥとマーくんに決まってるよね!』
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああッ!!!! NTRだぁぁぁぁあああ!!!!」
「……えっ、何この状況」
帰ってきたノエルはとても困惑した。
本当はエルぬい、変態がノエルの代わりとして召喚したからノエルが帰ってきたら消えちゃう予定だったぜ。でも動いてるの想像したら可愛くて消せなくなっちゃったから、双子のぬいぐるみとしてわちゃわちゃしてもらう事にしたよ。
それでねぇ……今日は前書きにどんな内容かは伝えたけど、お知らせがあるんだなぁ~(前話のあとがき伝えようと思ったけど忘れてた)
実はファンボックス始めたのだ。まぁ、まだどこにも発表してない時にプラン作ったから、ほぼ日記みたいな感じになってるけど。
今あるのは500円のプランで、そこには小説の進捗や作者のどーでもいい気まぐれ日記、キャラクターの裏設定の公開、小説の最新話を先行して読めるようにする予定。
それともうひとつプランを作る予定なんだけど、それが3000円のプラン。なんで3000円なのかというと、決してぼったくりという訳ではなく……。
なんと!いつも線画を提供してくれているちゅぷ氏が描いてくれた、まだ読者の暇人の皆に見せてないチューチョロの絵をそこで限定公開する為に3000円なんですな。
中には我氏が色を塗った作品もあるのと、あとキャラがフリッフリなロリータ衣装を着てたりちゅぷ氏の絵は作画コストとクオリティが高い&ファンアートとはいえこっちは絵を使ってる側なので。
えー、ちなみにそっちのプランではちゅぷ氏が描いたノエルさんのエッ……な絵が出る事もあります。
更に更に、そのプランはちゅぷ氏のファンアート含む作品集なので、ちゅぷ氏のオリジナル漫画作品も登場……する、かもしれません。
自分で作品出せばいいのでは?と思う方も居るとは思います。
では一体何故かと申しますとですね……ちゅぷ氏、過去に起きた心無い誹謗中傷でトラウマになってしまい、SNSに自分の作品出すのがクッソ苦手なのと、ネットですら発症しちゃう重度のコミュ障なんですよ……。
なのでXもほぼ見るのに使っていて、一応ファンアート作品は出しているもののリプ欄も閉じております。
収入が欲しいのもあって漫画を編集者に持ち込みたいものの、コミュ障過ぎる上に、もし作品が売れたらアンチが付きます。どんなに良い作品でも絶対にアンチが付きます。しかもネットを触っていたら絶対にそれが目に入る訳でして……オタクにとってネットを閉鎖するのは死を意味する上、ネットと関わらないようにするのは現代ではとても難しい事です。
それとちゅぷ氏の作品やストーリー知ってる側からすると、めちゃくちゃ勿体ないので!!めっちゃ良い作品なのに世に出ないのは勿体なさすぎる!!
チューチョロが好きな人はまぁまぁな確率で好きそうな世界観と設定だしッ!!……あと、ノエルさんの容姿を元にした子もおります。スーパーエッ……できゃわわな子です。
という訳で3000円というお高めプランなら、そもそも入る人は限られるのと、ちゅぷ氏がプランに入ったり我氏が作品に付いたコメントを見せない限りコメントは届きません。
あ、もし良いコメントがあったら本人にLINEとかで見せておきます。
諸々の理由があり、そっちのプランではちょっとお高め。
(その収入は後日、作者とちゅぷ氏がメガネを交えてデートをする時にご飯代、カジュアルロリータ服の購入、水族館や好きな作品の展示会などの入場チケット代などに使われます)
まだプランについては話し合いの段階なので、話し合いが終わって正式に決まった後作品の準備をしてからプランを作る予定です。
そしたらまたあとがきにて報告します。
https://suiseisan-world.fanbox.cc/
↑ファンボックスの我氏のマイページ