※この作品はR-18です。

最果ての鎮守府で   作:黒猫クル

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 主人公の頭を抑え付け続けてきた叢雲の過去が明らかになります。
 照月が冷淡に見えるかもしれませんが作者としては1つの考え方だと思います。


過去と現実

 叢雲が部屋を飛び出して数分後、照月が執務室を訪れた。赤い目のもう一人の照月だ。

 

「提督、荒れていたみたいですが何かあったんですか?」

「叢雲と喧嘩した」

「詳しくお願いできますか?」

 

 叢雲の様子がおかしかった為、大まかな説明しかできなかったが照月は理解してくれた。

 

「うーん……今回は、流石に叢雲ちゃんには同情できませんね……」

「照月はそう思うか?」

「叢雲ちゃんがやりたかったことは分からなくもないんですけど、今まで提督にやってきたことを考えると流石に虫が良すぎる気がするんですよね。今回の件に関しては、本来の私も同意見みたいです。叢雲ちゃんを一回も止めなかった照月が言うのも変な話かもしれませんけど」

「照月は叢雲が何を言いたかったのか分かるのか?」

「なんとなくですけどね……。ですが、私が提督だとしたら叢雲ちゃんの気持ちを知ったとしても許せないと思います。場合によっては、弱みにつけ込んでそのまま精神的に壊しちゃうかなぁ……」

「えんぎでもないことを言わないでくれよ。そこまでやる気は無いぞ」

 

 今の段階では叢雲への復讐は考えていない。過去に何があったのかは今の僕にとってどうでもいいことだし、叢雲が絶対に受け入れられない事を言うから反論していたら相手が勝手に折れただけだ。

 

「提督は優しいですね。私としては少しぐらいやってもバチは当たらないと思います。それに、今はへこんでいますけどこのままだと叢雲ちゃんに本当にクビにされちゃいますよ」

「それはそうだな……」

「復讐するしないは自由ですけど何かしらの手は打った方が良いと思います。監視員の明石さんも消えましたしやるなら、今がチャンスなんじゃないですかね?」

 

 照月の言うことは分かる。今は大人しくしているが少ししたら、叢雲は僕を間違いなく辞めさせに来るだろう。今回は向こうも上げた拳を下ろす事は無いだろうし、僕自身も命乞いをする気がない。

 加えて都合の良い事に監視員であった明石も今は鎮守府にいない。照月の過去について独断で動いた事を大本営から怒られたらしく、鎮守府にいられなくなったと僕に文句を言っていた。連絡先だけ交換できたが……

 

「具体的に何をすれば良いのかは分からないが……やらなきゃいけないな」

「今なら、何もかもお前のせいだとでも言えば何でも言う事は聞くと思いますよ。それを上手く利用すれば……」

 

 ガチャ

 

 執務室のドアが開く音に目を向けると響が立っていた。

 

「提督、ちょっといいかい?」

「響かどうしたんだ?」

「響ちゃん?」

「廊下で泣いてる叢雲とすれ違ってね。何があったのか聞いてもいいかな?」

 

 話を響は落ち着いた様子で話を聞いていた。

 

「成程ね……」

「叢雲が何を言いたかったのか理解できなかったが響は分かるか?」

「分かるよ。提督も叢雲の過去を聞けば理解できるんじゃないかな?」

「響ちゃん、本当に話す気?」

 

 照月が少し驚いた様子で呟いた。

 

「逆に話さない選択肢があるのかい?」

「それはそうだけど……そんなことしたら、叢雲ちゃんに怒られない?」

「覚悟のうちさ」

「響ちゃんがそう言うならいいけど……私を巻き込まないでね」

「分かっているよ。提督は聞きたいかい?」

「聞きたいとは思うが……でも、なんで話そうと思ったんだ? 前は叢雲に殺されるなんて言ってたじゃないか」

「叢雲がいないと鎮守府が回らないから。それに、いつかは提督に話すつもりだった。今がその時だと思う」

「たしかに叢雲無しとなると自信が無いな……それで、響は叢雲を擁護するつもりなのか?」

「いや と言えば嘘になるかな」

「悪いが何を言われても謝りに行く気は無いぞ」

 

 叢雲がなんで泣き出したのか未だに理解ができていない。言ってることは滅茶苦茶だったし、彼女がこれまでにない程に動揺していたことだけは分かる。

 だけど、自分の何が叢雲をそうさせたのかが分からないと謝りようが無いし、仮に僕に落ち度があったとしても、今まで僕を虐めてきた叢雲の落ち度の方が明らかに大きいはずだ。

 

「それは話を聞いてからにしてよ」

 

 響は1歩も引く気がない様子で言った。叢雲の過去に僕を納得させるだけの何かがあるのだろうか? それに、叢雲の過去は個人としても気になる。ひとまず聞いてみる事にした。

 

「分かった。話を聞こう」

「ありがとう。まず初めに言っておくけど、叢雲が提督を嫌う根本的な理由は提督が叢雲の過去の提督に似てるからなんだ」

「叢雲の過去の提督となると今の横須賀の提督か?」

「そうだね。その上で聞いてね」

 

 

ー--------------------

 

 

 響の話は叢雲の悲惨な過去の事だった。彼女は現在の横須賀の提督の初期艦だった。今でこそ、横須賀の提督であるが若き日の彼は僕のように頼りなく容量も悪かったらしい。

 当初、叢雲はハズレくじを引いたと思っていたが彼は正義感が強く提督を続けていくだけの才能はあり、叢雲の面倒見の良い性格もあって少しずつ成長していく。叢雲も彼の事を認め、秘書艦として彼を支えていった。

 

 やがて2人は恋仲になる。告白は提督からで叢雲もそれを受け入れたらしい。

 しかし、叢雲が不感症の為、何度か行為にまで及ぶことはあっても、叢雲が感じる事なく次第に2人の関係はギクシャクしていく。

 

 そして、提督に気があった別の艦娘が叢雲から提督を寝取る事件(艦娘の方から押し倒された形だったらしいが)が起きる。現場を目撃してしまった叢雲は該当の艦娘を即座に殺し、提督が意識を失うまで殴って半殺しにした。

 

 軍事裁判にかけられた叢雲は一切自己弁護をせず、死を望んだらしい。しかし、提督はそれを望んでおらず、理由が理由のため生き延びる事になった。

 だけど、罰を与えないわけにはいかないという形で、問題のある艦娘の掃き溜め場所として新設される最果ての鎮守府に送られる事になった。

 叢雲は提督が寝取られた事は提督が襲われる形の不可抗力であったことを叢雲は裁判の場で知った。しかし、今も謝ることができずにいる。

 

 最果ての鎮守府最初のメンバーは叢雲と照月。あまりにも規格外の照月や最果ての何相応しい何も無い現状に当初はどうするのか戸惑っていた叢雲だが、艦娘と鎮守府のリーダーとしての立ち位置をする事になる。

 鎮守府の事実上のトップとして振る舞う内に、鎮守府を管理し問題児を更生して別の鎮守府に送り出す事が今の自分のやるべき事だと気づく。送られてくる艦娘の一人一人に向き合い、寄り添いまともな鎮守府に送り出した。照月と響はこの鎮守府の居心地が良いから残っているらしいが……

 

 問題のある艦娘の掃き溜め場所なのだから送られてくる提督には素行の悪い人間ばかり(響や照月の記憶だと自分が1番マシらしい)だった。大本営からしたら問題行動を起こした艦娘が送られる場所なのだから人間も同じ扱いなのだろう。

 着任した提督を無能と判断した場合、排除するために彼女は何でもした。過去の横須賀の提督との繋がり(今でも連絡する手段があるらしい)を使うこともあったし、照月をぶつけたりもした。この鎮守府では、提督という人間は彼女にとって敵だった。

 

 しかし、叢雲は希望を捨てきれなかった。執務室が常に綺麗なのは、仕事をする場だからという理由もあったけどいつか提督として相応しい人間を迎え入れたいと思っているから。新しい提督がやってくる度に彼女は勝手に期待して勝手に裏切られる日々を送っている。

 

 僕が着任した時、彼女は僕が過去の提督に似ていることに激しい苛立ちを覚えたらしい。

 はっきりいって叢雲が僕にしていたことは八つ当たりだ。適当な理由をつけて僕を殴り、罵声を浴びせた。

 彼女は僕の心を折ろうとしていた。僕の手で提督を辞めさせようとしていた。ただ、彼女自身の手で提督としての提督としての僕の首を切るのは嫌だった。過去の提督を自分の手で殺すことを意味するのだから。

 

 罪悪感を薄める為(加えて罪悪感を植え付けて支配する為に)に僕への虐めに臆病な夕立を巻き込んだ。だけど、僕は絶対に折れることが無かった。照月の為ならと頑張る僕が嫌だった。照月に嫉妬した。

 僕が照月の全てを知った日、心を折る最大のチャンスと彼女は意気込んでいたらしい。だけど、僕の逆ギレに対して、振り上げた拳を下ろす場所を失う。仕方なく、響を買収して僕の思考を操り叢雲優位の形で話を終わらせた。

 叢雲は僕が自殺しようとしていたことを知らなかった。

 

 しばらくして、僕が照月に強く依存しているという事実を突きつけられた時、彼女は激しい後悔をする事になる。叢雲は僕を辞めさせたいが人間として壊したいわけじゃないからだ。

 彼女は本気で僕の為に照月と別れさせようとしていた。だけど、僕は聞く耳を持たず、照月と別れることを拒否した。その結果があの時の動揺だ。

 

 現在、彼女は2つの選択肢を迫られている。提督としての僕を殺すのか照月との関係を容認して狂っていく僕を受け入れるのか。

 照月が指摘していたように、叢雲は恐らく、提督としての僕を殺す選択肢に出るだろう。今更、振り上げた拳を下ろせないし、僕が狂っていく光景を見る方が嫌だと判断すると思われる。

 その為なら僕に死ぬ程恨まれることも覚悟するだろうし、殺される事も覚悟するだろう。いずれにしても叢雲を止められるのは今このタイミングしかない。

 

 

ー--------------------

 

 

「話は終わりだよ」

 

 響が話の終わりを告げた。

 

「僕は一体何を……!」

「そんなに気にする程のことですか?」

 

 自分の行いを後悔する僕に照月が呟いた。

 

「歪んだ愛情だったとはいえ、叢雲ちゃんは、提督を殴ったり蹴り飛ばしたりしてましたよね?  提督の人格を全面的に否定しましたよね? 提督が大切にしていた物を目の前で壊しましたよね? 今丁度、弱みを握りましたし、仕返しをしてもいいと思いますよ」

「僕はそうは思えないが……」

「あくまでも私が提督だったらの話です。私個人としては、叢雲ちゃんには日々、世話になってますし感謝しています。だけど、私が提督だとしたらそう考えるという話です」

「相変わらず照月はドライだね」

 

 響がため息をついた。

 

「だって、結局は何もかもが叢雲ちゃんの自業自得でしょ? それに、今まで自分を虐めてきた相手に仕返しできるチャンスだよ。逃すわけないじゃん」

「照月……すまないがしばらく黙っていてくれないか?」

 

 照月は復讐という言葉が好きなのかもしれない。基本的に彼女の意見は尊重したいし、好意的に捉えたい。それに、彼女も悪気があって言っているわけではないのだろう。

 だけど、今回だけは彼女の意見を聞く気にはなれない。彼女には黙っていてもらう事にした

 

「分かりました」

 

 照月が少し不満そうな顔をした。

 

「その上で改めて言うけど、叢雲は汚い事もやっている。提督を殴った時に他人を巻き込もうとしたのは自分の罪悪感を薄めた上で巻き込んだ他者を共犯者にしたいからだし、提督が自暴自棄になっていた時は、何を言っても辞めないだろうと足元を見た上で土下座までさせている。私は寛容だから、許してあげましょう と言わんばかりの茶番に私を付き合わせてね。しかも、私に都合の悪い事は黙ってたし」

 

 響は無表情を装っていたけども顔の小さな皺に表情に苛立ちが見て取れた。

 

「あの時に響が、付き合ったのはどうしてだ?」

「一度は自業自得だと言って断わったよ。だけど前にも言ったように提督が辞めたら困る事を言われると受けるしかなかった。高いウォッカも奢ってもらったしね。それに、提督が死のうとしていたのは想定外だったし、写真の件も知らなかった。知ってたから絶対に断っていたよ」

 

 響に自殺を止められてから少しして彼女に酒飲みに誘われた事を思い出した。あの時のウォッカは叢雲に買わせたものなのかもしれない。そうなると僕に飲ませたのは響なりの罪滅ぼしなのだろう。

 

「私も叢雲の他人を共犯者にしようとする所や嫌な相手に対して優位を取りたがる所は嫌いだよ。だけど、叢雲には叢雲なりの傷がある。だから、叢雲が1人で提督を殴ったり暴言を吐いたりするのは止めなかった。他人を巻き込むのは見苦しいから止めたけどね」

「そうか……」

「それで提督は、どうするの?」

 

 沈黙が流れる。

 思考がまとまらない。僕は何をしたいのだろうか? 照月と一緒にいたい。それは疑いようの無い事実なのだと思う。

 だけど、それを成立させるには叢雲を否定する必要がある。彼女の行動を否定し、逆らえないようにしたければならない。放置なんて中途半端な動きは絶対にダメだ。それこそ誰も得をしない展開となる。

 だけど、僕は彼女を否定できるのだろうか? 響が言ったように叢雲には叢雲の傷がある。僕に対しての行動は八つ当たりと言って良いものだったけど彼女の気持ちを考えるとしょうがない気がしないわけでもない。

 

「叢雲を……助けたいと思う」

 

 気づいたら小さな声が出ていた。

 

「すみません。喋ってもいいですか?」

 

 照月が手を挙げた。

 

「照月、どうした?」

「本気で言っているんですか? 叢雲ちゃんは提督にあれだけのことをしたんですよ。仕返しはしないとしても……通報しないようにだけして放っておけばいいじゃないですか」

 

 どう説明すれば良いだろうか? 頭の中で整理してみたら2つの理由が思い浮かんだ。

 

「理由はいくつかあるが……まず、響が言ったように叢雲が居ないと鎮守府が回らない。これは分かるな?」

 

 この鎮守府は運営を叢雲にかなり依存している。僕が来たばかりの時のハードスケジュールの中でも叢雲は仕事について愚痴を1つも言わなかったし、遅い就寝と早起きを当たり前としていた。この鎮守府での彼女の立ち位置は秘書艦というよりかは提督に近い。彼女無しでは鎮守府を回していくのは困難だろう。

 

「確かに私や響ちゃんと提督だけで回していくのは大変だとは思いますが、私としては夕立ちゃんにも手伝って貰えれば何とかなると思います。提督も日々、成長していますしそこまで重要な問題ではないのでは?」

「私は嫌なんだけど」

 

 響が照月を睨んだ。

 

「そんな事言ったって叢雲ちゃんが潰れたらしょうがないじゃん」

「それが嫌だから何とかしようとしてるんだけど?」

「響ちゃんは叢雲ちゃんや提督に甘えすぎじゃない? 少しぐらいはやってもいいと思うよ」

「小難しい書類仕事は嫌い。それに、私は出撃という艦娘としての義務は果たしている」

 

 照月が不満そうな顔をした。

 

「仮にも軍隊なんだし、わがまま言わないでくれるかな? 仕事だよ」

「仕事だからって嫌なものは嫌」

 

 段々と口調が強くなっていく2人に喧嘩のような雰囲気を感じた。プライベートでは自分を抑えきれない照月だけど、艦娘としては叢雲と同じで非常に真面目なのかもしれない。響はその逆だが。

 

「すまん。2人とも、その話は後でしてくれないか? あと、少し落ち着いて欲しい」

「分かりました」

「ごめん。少し興奮してた」

「話を戻そう」

 

 話を戻す前に一息ついた。

 

「叢雲を助けたいもう1つの理由は人が困っているなら助けたいと思うからだ。叢雲の心情を読み取れずにこんな状態にしてしまったのも僕だしな」

「叢雲の態度を尊重するって事?」

「そうだな」

 

 叢雲を助けたい。それが僕の本心だ。元々提督になった理由が誰かを助けたいのが理由だったし、僕自身の責任もある。

 

「じゃあ、照月と別れるの?」

「それは嫌だ」

「わがままだね」

 

 響の言うように、たしかに傍から見ればわがままなのかもしれない。叢雲を助けるには、照月と別れることが一番良い解決策であるのに、照月と一緒にいたいという思いを捨てることはできない。

 

「理解できないですね。なんで、叢雲ちゃんを助けようとするのですか? 嫌な相手に今までの仕返しをするチャンスじゃないですか。冷たいかもしれませんが鎮守府を回す件は叢雲ちゃんを脅して無理矢理やらせればいいと思いますよ。罰とか罪とか色々な理由をつければ従ってくれると思います」

「却下だ。照月、悪いが君の復讐という意見にはどうしても賛同できない」

「はぁ……分かりました……」

 

 照月がため息をついた。

 

「改めて聞くけど提督は叢雲を助けたい。それでいいね?」

「そうだな」

「分かった。でもそれで、どうする気だい? 助けると言っても話に行くだけだと面会拒否で終わると思うよ」

「それは……」

 

 響の言う通りだ。叢雲の性格から彼女の行動を推測すると恐らく、彼女は僕と話す事を拒絶するだろう。だからといって叢雲の言い分を一方的に聞くわけには行かない。どうすれば……?

 

「荒治療に近い方法だけし、叢雲に殺されるかもしれないけど1つあるよ」

「何だ?」

「提督が叢雲とヤれけばいい」

 

 響の思わぬ提案に気まずい雰囲気が流れる。

 

「響ちゃんがそんな事を言うのは意外だね……」

 

 少しして、照月が戸惑いを隠さぬ様子で呟いた。

 

「これが一番手っ取り早いと思ったからね」

「そんなことで解決するのか……?」

「そもそもの問題として叢雲が不感症だから悪いんだ。それさえ何とかできればね……」

「なるほどな……」

 

 響の言いたいことは分かった。叢雲のコンプレックスの材料を無理矢理にでも取り除いてやればいいという事なのだろう。とはいえ、方法が犯罪と言ってもいい物だし、僕自身が殺されかねない物なのだが……

 

「でも、どうやるんですか? 不感症の人間の治療は大変だと思いますよ」

 

 照月との行為の時にいつも使っている薬の事を思い出した。

 

「照月、いつも使ってる薬はあるか?」

「ありますけど……もしかして叢雲ちゃん相手に使うつもりですか? 薬を渡す分にはいいですけど今回の件に直接関わるのは嫌ですよ」

「まぁそうだよな……直接的な協力はしなくてもいいから渡すだけ渡してくれないか?」

「分かりました」

 

 照月がポケットから3錠分の錠剤を取り出し、僕に渡した。

 

「何かあるの?」

「この薬を照月が行為の飲ませてくるんだがそれが効くかもしれないと思ってな……」

「うーん……人間にはよく効くんですけど艦娘相手には効くのか効かないのかよく分からないんですよね……。明石さんは効くと言ってたんですけど私が飲んでみてもあまり効きませんでした」

「そうか……」

 

 あまり宛にできないのだろうか? 照月以外の誰かで実験できればいいが……

 

「私が飲んでみようか?」

「響ちゃん?」

「いいのか?」

「物は試しだよ。照月は性体験や普段感じてる物が多すぎて鈍感になってるのかもしれない。だから私で試せばいいと思う」

「悪いがお願いしたい」

 

 願ってもない話だ。生体実験の類かもしれないけど日々の提案に乗ることにした。

 

「念の為言っておくけど襲ったりはしないでくれよ」

「当たり前だろ」

「響ちゃん、FF9の続きやろーよー。もうすぐラスボスなんでしょ?」

「いいけどやるなら照月の部屋か執務室でやって欲しいな。いざと言う時に私の逃げる場所が無くなるから」

 

 

ー--------------------

 

 

「ここってどう進むの?」

「えっと……ここが通れる……から……」

 

 薬を飲んでから数分後、照月とゲームをする響の額には汗が浮かんでいた。息を切らし、顔を赤くして何かを我慢しているようにも見える。

 

「響、大丈夫か?」

 

 不安になって声をかけた。

 

「響ちゃん?」

 

 響の不穏な雰囲気を感じたのかゲームを中断して照月が響の方を振り向いた。

 

「これ……ヤバいかも……、照月……この薬……どれぐらい続くの?」

「えっと……2時間ぐらいかなぁ……? 提督はいつもそれぐらいの時間で気絶してるし……」

 

 響が息を切らしながら立ち上がった。

 

「悪いけど失礼する……薬の効き目は確かだよ。叢雲にも効くと思う」

「かなり効いてたみたいだな……」

「響ちゃんがあんなに乱れた顔、初めてみました」

 

 照月が呟いた。

 

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