人によっては苦手なシチュエーションがあるかもしれないので注意してください。
「あれ?」
廊下に出て違和感に気づいた。体が熱い。
「何よこれ……」
体の熱はどんどん強くなる。汗が頬を伝う。吐く息が熱を帯びているのを感じた。
「あっ、叢雲ちゃん。お疲れ様」
前からの声に顔を上げると赤い目のもう1人の照月がいた。
「お疲れ様……」
「叢雲ちゃんがこの時間に執務室にいないって珍しいね。仕事は終わったの?」
「ちょっとアイツとトラブルがあったのよ……」
「何があったの?」
「えっと……」
こちらに向けゆっくりと歩いていてくる照月に答えようとして、何かがおかしいと自分の直感が告げた。体のことは言うまでもないし、このタイミングで照月が現れる事は不自然だ。この時間なら照月は響とゲームをやっているか、私が執務室にいないならアイツと話をしているはず。まさか……!
「効いてるみたいだね」
「なっ……ムグッ!」
照月の一言に抱いた疑問を口に出そうとしたら突然、目の前の照月に唇を奪われた。
元カレの司令官にしか許したことのない接吻。しかも、恋人同士がする様な軽い物ではなく濃厚なディープキス。
咄嗟に逃れようとしたけど照月が腰と背中に手を回した上で頭を固定されていて離してくれない。口内に入り込んできた照月の舌が私の口内を蹂躙する。
私は何を感じているの……? 頭の中に響く水音とともに経験したことのない未知の感触が私の脳内を支配した。何が何だか分からない。だけど、初めて感じる謎の感触に体の熱が強くなって全身の力が抜けていく。
頭が痺れていく感覚への恐怖の中、数分ほどして解放された。
「な、何すんのよ!」
倒れないように左手で壁に手を付きながら照月を睨みつけた。
「叢雲ちゃんを助けてあげようとおもって」
「アンタ何言って……ひゃん!」
突然、胸に電気が走った。なんなのよこれ……
「あれ? 服越しに触っただけで感じちゃうの? 叢雲ちゃんは不感症だって言ってたけど嘘だったのかな?」
「へ、変な事やるからビックリしただけよ!」
「嘘つき」
キッと睨んだつもりだったが、私の反応が面白いのか照月に嗜虐的な笑みが浮かぶ。
照月の手が私の腹を撫でた。何が起きるか分からないという嫌悪感と蜘蛛が這い回るような手つきに鳥肌が立つ。
「服の上から触っても感じちゃったのに直接触ったらどうなっちゃうかな?」
照月の手が下着に伸びるのを感じた。目標は私の胸だ。本能が警告を告げる。
「や……め……!」
抵抗しようと思ったけども、照月が何をしようとしているのか察したのか、体を支えていない自由な右手を抑えられてしまった。
ただでさえ、体に力が入らないのに私よりも力の強い照月に抑えられてしまったら対抗のしようがない。
「いーや」
「ひぁッ!」
電気が走るような感触を感じて口から熱い声が漏れ、体を支えきれなくなってドスンと尻もちをついた。
「ちょっと盛りすぎたかな?」
おかしい。体に力が全く入らない。照月にされるがまま。
「何やったのよ……?」
声を出すのがやっとだった。上半身は壁で支えられているけど全身が鉛のように重く、手はうなだれていて私自身も下を向いている。自分がまるで人形になったかのように感じた。
「私がいつも使っている媚薬と睡眠薬をスープに入れたの。ちょっと効きすぎちゃったみたいだけど叢雲ちゃんは暴れそうだし、丁度良かったかな」
「ふざけんじゃ……ないわよ……」
冗談じゃない。照月が何を考えているのかは分からないけどろくでもないことであることだけは確かだ。
「もう、素直じゃないなぁ」
視界に照月が映る。
「ムぐっ!」
次の瞬間、再び唇を奪われた。同時に照月の手が服の下に侵入して胸を直接撫で回す。
初めにやられたような口の中を滅茶苦茶にされるディープキスだったけど愛撫が加わった分、何かが来る感覚を強く感じた。1分ほどでキスは終わったけど終わる頃には、唾が口から垂れていた。
体に力は入らないのに体の反射的な反応はあるみたいで体がビクビクと震える。それを面白がるように照月の手が愛撫を続ける。
「あっ!」
体がビクンと一段と強く反応する場所があった。
「ふーん。ここが弱いんだ。いっぱい虐めてあげるね」
「や……め……あぁ!」
照月の手の動きが弱点を探るようなものから、明らかに私を攻めるいやらしいものへと変わった。意識が飛びそうになる中、照月が耳を舐めだした。
「耳……舐めないで……」
「耳で感じちゃうの? 叢雲ちゃんって変態なんだね」
「いやぁ……」
抗議したところで照月の愛撫は止まらない。それどころかむしろ強くなったぐらい。
照月の手が下に伸びた。
「そこは……!」
「あーあ、こんなに濡らしちゃって。イタズラしたくなっちゃう」
「や……やめ!」
照月の指がアソコの割れ目に沿うように動く。
「きゃぁぁぁぁ!」
全身にゾクゾクした感触が走って頭の中で火花が爆発した。
「えっ、何? もしかしてイッちゃったの?」
照月が呟いた。
何が起きたのか理解できない。息が切れて体が倦怠感のせいでグッタリしている。まるで倒れるまで全力疾走した直後みたい。
だけど、体の中の熱は収まらない。むしろ強くなったぐらいの気がする。
「イッちゃったみたいだね。叢雲ちゃん分かった? 今のが絶頂だよ」
「いま……のが……?」
絶頂。知識として知ってはいたけど、不感症の私が経験するのは初めてだった。
「気持ちよかった?」
「気持ちよく……なんか……ないわよ……!」
嘘をついた。本当は気持ちよかったけど、それを認めてしまうと後戻りできない気がしたし、照月の言いなりになるのが嫌だった。
「素直じゃないなぁ。その変なプライドが悪いんじゃないの?」
「違うって……言ってるでしょ!」
「はぁ……私に嫉妬してる癖によく言うよね」
「そんな事あるわけ……」
「私が提督とやった次の日に絶対に機嫌が悪いのは嫉妬じゃないの?」
「それは……」
バレてた。睡眠薬が効いていなかったら顔を歪めていたと思う。
「気持ちいいこと、もっと教えてあげるね」
「いやぁぁぁ!」
私の地獄は始まったばかりだった。
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照月の部屋に連れ込まれて、手足をロープでベッドに縛られた。衣服をハサミで切られ、その上で「遊んであげる」と照月に言われ、体の色々な所を弄り舐め回されて弄り回された。乳首を舐められたり、アソコに指を突っ込まれたりもした。
何回絶頂させられたのか分からない。照月の手が止まった時には全身が汗びっしょりで口から垂れた唾液がシーツに黒いシミを作っていた。
ドアが閉まる音でかろうじて意識を取り戻すことができた。逃げなければならない。だけど、相変わらず力がうまく入らない。そのうえ、手足を開く形でロープをベッドと手首足首に跡になりそうなぐらい強く縛り付けられていて引っ張ってもビクともしない。媚薬の影響も切れていなくて体は熱いままだ。
何か役に立つ物はないかと辺りを見回す。無駄の無い必要最低限の物ばかりの部屋にそれ以外の事に興味が無いと言わんばかりに拷問された深海棲艦の写真が貼られていたり、内臓のようなものが飾られていた。背筋がゾッとした。ここは狂人の部屋だ。
もしかして照月の対象が私に……?
嫌な汗が流れる。快楽殺人鬼の経歴で初めは動物の死体に興味を持ったり虐待する事から始まり、次第にそれが人間に向いて言った例がいくつかあった事を思い出した。
照月は深海棲艦への拷問と性的興奮を重ね合わせている。分別はついていると言っていたけどもそれが私に向いていたとしても不思議では無い。
照月を信頼しすぎた。相手が深海棲艦ならいいかと今まで見て見ぬふりをしていたけども無理にでも止めるべきだったのかもしれない。
もがこうと手足に力を込めた。だけど、縛られた手足が痛むだけでロープはビクともしない。
そうこうしてるうちにドアが開いた。立っていたのは照月とアイツだった。
一瞬、照月がアイツを連れてきたのを疑問に思ったけど答えはすぐに出た。私への復讐だ。
アイツと照月どちらが主導権を握っているのかは分からない。アイツが照月を手駒として差し向けたのかもしれないし、照月がどうせ私で遊ぶならとアイツを連れてきたのかもしれない。だけど、私にとって望ましくない展開である事だけは明白だった。
「提督、準備ができました」
「照月……ありがとう」
二人の会話に激しい嫌悪感を感じた。アイツは私を犯す気だ。
アイツに犯される? 冗談じゃない。アイツに犯されるぐらいなら殺された方がマシだ。
「卑怯者! 自分でできないからって照月を使って私を犯す気? 殺してやる!」
咄嗟に思いつく限りの罵声を浴びせた。
アイツに痴態を見られたという現実に羞恥心から顔から火が出そうだったけど今の私にできる精一杯の抵抗だった。私の罵声がきいたのかアイツが一瞬、怯んだのが見えた。
私の反応を見た照月が小さくため息をついてから、無言で近づいて戸棚から取り出したタオルを丸めて私の口に突っ込んだ。
「ぐむっ!」
ゴワゴワとした乾いた布の感触が口の中に広がる。
「すみません提督。叢雲ちゃんの口を塞ぐのを忘れてました。叢雲ちゃん、悪いけどちょっと黙っててね」
抗議の声を上げようとしたけどもムグムグと詰まったような音しか出ない。
「ねぇ、叢雲ちゃん。悪足掻きしているけどこうなったら、どうすればいいのか分かっているよね?」
抗うだけ無駄だし抵抗をやめて大人しく従え。照月は少しだけ遠回しにわたしにそう言っている。当然ながらそんな事を受け入れるはずがない。せめてもの抵抗と照月を睨みつけた。
「私を睨むのはいいけど自分への罰だって自覚してみたらどう? 今まで叢雲ちゃんが提督にやってきたことを覚えていないとは言わせないよ」
私への罰……たった一つの単語だけど、私の心の中の何かが折れた音がした。
そうだ。これは、全部私への罰なんだ。アイツからの復讐なんだ。私は今からアイツに犯される。私に拒否権は無い。私はまな板の上の鯉。
抵抗する権利なんて無い。私はそれだけの事をしたのだから。私はアイツを殴った。蹴り飛ばした。大切な物を壊した。馬鹿にした。そして最終的にアイツ自身を壊したのも私だ。
恨まれて当然だ。逆に恨まれない方がおかしい。自業自得。その一言が今の私にふさわしいだろう。
私の予想だけどアイツは私を犯した後に殺すか精神的に壊すつもりなのだろう。いくらお人好しのアイツでもこんな事をした以上、私をタダで返すわけが無い。もしかすると、照月もその時に欲求を発散するのかもしれない。
少なくとも私がアイツだったらそうする。二度とない仕返しのチャンスだし、アイツから見るとそれほど憎い相手なのだから。私にできることは結末が陵辱された上での死であったとしてもそれを受け入れる事しかできない。
避けられない結末を想像していたら、何もかもがどうでも良くなった。
(もういいわ。煮るなり焼くなり好きにしなさい)
心の中でそう呟いて私はそっぽを向いた。
「あれ? 提督、萎縮しちゃいましたか?」
照月の声が聞こえてきた。視線を向けると照月がアイツの小さい一物を見つめている。
「すまん……照月」
アイツが情けない声を出した。
(何なのよ……私を犯すんでしょ? 何グズグズしてんのよ。ここまでやっておいて今更私の罵声に怖気づいたとでも言うの? 本能の赴くままに好きにすればいいのになんでそれができないの? 私が憎いでしょ? レイプしたいんでしょ? 殴りたいんでしょ? 壊したいんでしょ? 殺したいんでしょ? それなら、グズグズしてないで早くやりなさいよ。なんで、そんな簡単な事ができないの?)
心の中でアイツを罵る言葉が浮かぶ。どこまでも肝の小さい人間だと思った。
希望的観測だけど、私は犯されずに済むのかもしれない。安堵感を感じるのと同時に本当に小さなよく分からない失望感を感じた。
「はぁ……しょうがないですね」
ため息をついた照月がアイツとキスをした。アイツは一瞬、戸惑った様子を見せたけどすぐに照月との行為に応じた。
水音が室内に響く舌と舌を絡み合わせる激しいキス。あいつの片手が照月の尻に伸びる。照月はピクリと反応してからお返しと言うようにアイツの物に手を伸ばしてゆっくりと擦る。興奮を感じたのかアイツの物が少しづつ大きくなっていくのが見えた。
他の人が見たら、官能的な光景なのかもしれない。
私はそれに興奮を感じないけど、心臓が少しだけ動くのを感じた。私に不感症という病気がなければ元彼の提督とあんな事ができたのだろうか? 愛し合う事ができたのだろうか?
悔しいけど、照月とアイツの関係が少しだけ羨ましいと思った。
どうしてこうなったの? 何が間違っていたの? 私だって照月みたいに愛されたかったし、愛したかった。元彼の司令官と結ばれたかった。
それなのに、この体のせいで……!
涙が頬を伝う。
願いが叶うならば彼にもう一度会いたかった。面と向かってあの時の事を謝りたかった。
だけど、私の願いは何も叶わない。私は今からアイツに犯されて、壊される。何もかも自分のせいで……
十分と思ったのか照月がアイツから口を離して手を止めた。
「薬、使いますか?」
「いや、いい……」
「アフターピルあるので好きにやっちゃって下さい」
アイツが気兼ねなく私を犯すための気遣いだろうか? 照月の声が聞こえた。どうせ殺す相手の事なんて考えなくていいのに体裁だけでも気にしたいのだろうか? それとも、私を性奴隷にでもするつもり?
照月の手が離れてアイツの勃起した物が見えた。サイズは目測だけど元彼の物と同じくらいだと思う。ゴムなんてつけられていない。そのままの物だった。
見ていられなくなって顔をそらす。
アイツが近づいてくる時間がとてつもなく長く感じた。アイツが私に覆いかぶさる。両手を私の横について、体を支えている。
アソコにアイツの物が触れるのを感じた。いよいよだ。恐怖心に怯えつつも覚悟を決めた。
「叢雲、すまない……」
(えっ……?)
アイツが私に呟いた一言を疑問に思う間もなく始まった。
硬くて熱い物が私の中へと入ってくる。一気に貫かれるかと思ったけど、意外にもアイツの動きは私が初めて経験したときのようにゆっくりとしたものだった。
照月に遊ばれていたのが良かったのか痛みは感じない。むしろ、中をこするビリビリとした感触を気持ちいいと思ったぐらい。
指で弄られるのとは異なる未知の感覚やお腹の圧迫感に声が出そうになったけど、乾いた布に遮られて詰まったような小さな濁音しか出てこない。だけど、私の声に対してアイツが興奮して、より酷い事をされるかもしれないと思うとかえって良かったのかもしれない。
全部入ったのかピストン運動が始まった。アイツが私を扱う態度はガラス細工を扱うかのように恐る恐るとしてゆっくりとした物だった。じれったいと思うぐらい。もっと、私を滅茶苦茶にするように壊すようにやられると思ってばかりいたから内心、少しだけホッとした。
だけど、性的な快感(だと思う)を感じている事には変わりないし、これが長く続く事が良い事だとは思えない。もどかしい感じもする。
「提督、横を向いて下さい」
「照月? グムッ!」
視界の端でアイツと照月がキスをするのが見えた。何をしているのかと目を向けると恋人同士でやるような甘いキスをしながら照月は、得意げな顔で私を見下ろしていた。
興奮したのかアイツの物が一段と大きくなった気がする。同時にアイツを照月に取られたような感じがして、嫉妬を感じた。
見たくない。だけど、目を逸らそうと思っても見てしまう。目を瞑っても想像してしまう。背筋がゾクゾクする。少しして2人が口を離した。
「提督、もっと激しくした方が良いです。叢雲ちゃんが物足りなさそうや顔をしてます」
「ウ゛ー! ウ゛ー!?(ちょっと! 照月!?)」
私の心を見透かしたかのような照月の言葉に思わず声が出た。
「普段、私にやるみたいに容赦なく欲望のままにやっちゃってあげて下さい」
「叢雲、激しくするぞ」
「モゴッ!」
急にアイツの動きが早くなった。奥を強く突かれて一瞬、意識を失いそうになった。
ベッドがギシギシと音を立てる。
熱くて硬い物。それで体の中を滅茶苦茶にされている。身体が仰け反り視界がフラッシュバックする。口からはくぐもった声が漏れていた。
私だって性行為の経験はある。元彼の司令官とやったから。
だけど、結果は悲惨なものだった。性行為は痛いだけのものだと思っていた。あの時と違うのは相手がアイツという事と私が痛みではなく性的な快感を感じている事。
アイツにレイプされていること、薬や照月の前戯のせいとはいえ感じさせられている事、何もかもが屈辱的に感じる。
「ン゛ー!」
右手で胸を鷲掴みにされた。
私の反応が面白かったのかアイツの口角が上がるのが見えた。私を見て笑みを浮かべている。アイツのこんな表情は初めて見たし、こんな表情ができるなんて知らなかった。アイツの笑みは目の前の雌を押し付けている嗜虐的な笑みだった。
アイツも興奮しているのかもしれない。普段照月とやってばかりいるアイツが貧相な私の体に興奮したのは意外に感じたけど男というのはそういう生き物なのかもしれない。
アイツにいいようにされているという現実を改めて実感した。
ストロークの間隔が短く激しくなっていく。それに比例するように私の中の物も爆発へのカウントダウンが縮まっていく。圧迫感がすごい。
「叢雲……出る!」
「ーーーーー!」
射精の寸前、アイツが私の首に噛み付いた。痛みを感じたけど私の感じている快感の前には些細なものだった。艦娘としての生涯で感じた最も強く暴力的な快感だった。
達したのは同時だったと思う。頭の中が真っ白になる。私の中に熱いものがドクドクと流れてくる。
体が宙に浮いたような感触から帰ってこれない様な感触がしばらく続いたけど、急に全身が地面に押し付けられる感触とともに強い脱力感が全身を襲った。未だに体は熱をもっているけど、激しい運動をした後みたいにグッタリとしている。
認めるのは癪だけど凄く良かった。本当にもしかしたらだけど、照月に口を塞がれていなかったら、ありがとうと言っていたかもしれないぐらいには。
だけど、これで終わりだ。私はアイツに殺される。今の状況で性的にも肉体的にも追い打ちをかけられたらすぐに壊されていたと思うけど、それをしないという事は殺されるという事。
やるなら一思いにやって欲しいけど、拷問好きの照月がいる以上はそうもいかないだろう。レイプされて拷問されて地獄の苦しみを味わった上での死。最悪の結末だけど、受け入れるしかない。私自身にも責任があるし、抵抗のしようがないから。
今のアイツはどんな顔をしているのだろうか? 生意気な小娘(アイツからは私がそう見えるはずだ)を好き勝手にしていい気味だとでも思っているのだろうか? どうでもいい。私は自分の運命を受け入れるために目を閉じた。
水滴が私の顔を濡らした。
(えっ……?)
目を開けるとアイツは私を見つめながら泣いていた。
「叢雲……本当にすまん……」
(なんで……なんでアンタが泣くのよ。私の事が憎いんでしょ? いけ好かない小娘を組み伏せれていい気分なんでしょ? 仕返しなんでしょ? なのにどうして……?)
口を塞いでいたタオルを照月に引き抜かれて呼吸が急に楽になった。慌てて酸素を求めて呼吸器官が動き出す。
「ハァ゛ーハァ゛ー……」
「叢雲ちゃん」
照月が私の上から私に声をかけた。
「提督は叢雲ちゃんを助けようとしているんだよ。元は響ちゃんの提案なんだけど不感症なのが悪いからそれを直せればいいって言われてね」
「何よそれ……」
耳を疑った。
そんな事のために……? とてもでは無いが信じられない。普通なら私に復讐するはずだ。こんな状態になった時点で私だってそれを覚悟していた。
もう一度アイツの方を見た。アイツの頭は私の真横にあって、アイツは布団に突っ伏して子供のように泣いている。
響にそそのかされた事を後悔しているのだろうか? それとも、自分の不甲斐無さを投げているのだろうか? それとも、先程の性行為で私を壊したとでも思っているのだろうか?
(馬鹿みたい)
朧気な意識の中でそう思った。
「私はさっきはあんな事を言ったけど提督も私も叢雲ちゃんを憎んでいないし、責める気は無い。だから……」
照月はそこで言葉を切った。照月が何を言いたいのかは分かっている。
素直になれ。
照月は私の心の中が分かっている。分かっているからこそ、その答えを探させるように言った。照月の言う通りなのかもしれない。
アイツがそれなりの事をしたなら、私も答えるべきだと思う。
「照月……」
「何?」
「縄を解いて」
照月が無言で手足のロープを解いた。手足が自由になる。睡眠薬の影響はもう消えている。拒もうと思えば拒めた。首を絞めて殺そうと思えば今この場でアイツの首を絞めて殺すこともできた。だけど……
「ねぇ……」
アイツの背中に両手を回して抱き締めた。
「叢雲……?」
「まだやれるわよね?」
アイツが無言で頷いた。
「もう少し……付き合いなさいよ」
自分の呟いた一言に顔から顔から火が出そうになる。今の私の行き場の無いやるせない気持ちを塗り潰して欲しかった。
「それは……」
「ここまでやったんだから責任を取りなさいよ」
「分かった……付き合うよ」
「お願い……」
アイツとキスをした。
初めてアイツの前で素直になれた。それが嬉しかった。