"玲音の彼女"になれればいいのに
純は、玲音の実家へ行ってからここの所、ずっと考えていた。
玲音ともっと深く愛し合いたい。絆を強くしたい。
ある夜、とうとう勇気を振り絞って一大決心で言った。
「俺、玲音と繋がりたい」
でも、玲音の反応は予想外のものだった。
玲音は眉をギュっと寄せて、何かに耐えるように口を引き結んでいる。
(な、何でそんな顔するんだ?)
見たことがないような辛そうな顔に、胸の奥がギュっと掴まれて苦しくなる。
「玲音?」
「純は本当にそれでいいの?無理してない?本音を言えば、俺だって今すぐにでも純と繋がってみたいよ…でも、純が女性に対するコンプレックスでそんな風に思ってるんだとしたら、嫌なんだ…純と繋がれなくたって、俺は純を愛してるんだよ!」
堪えるように言葉を吐き出す玲音の目に涙が浮かんでいるのを見て、純はハッとした。
(玲音も苦しんでたんだ、俺が言った言葉で…俺のために、玲音が泣くなんて・・・)
純が想像していた以上に玲音が悩んでいた事に気付き、頭を殴られたような強い衝撃を受けた。
「玲音、ごめん・・・俺は、玲音の気持ちを信じてるつもりで、信じきれてなかった…俺が玲音を好きにならなかったら、玲音は普通に女性と付き合って幸せになれたんじゃないかって、頭の片隅にずっとあった…」
「純が女の子なら楽だったのに、って思ったことはあるよ…でも、それは、そういう意味じゃないんだ!俺はどこかの女性じゃなくて、純を好きになったんだ…だから、純が男でも女でもいいけど、純じゃなきゃダメなんだよ!」
純の目から涙が堰を切ったように溢れ出した。
「玲音、ありのままの俺を好きになってくれて、ありがとう…」しゃくりあげながら、やっと言葉にできた。
心のどこかでずっと感じていたわだかまりが、胸のつかえが、とれた瞬間だった。
玲音に対して、自分が女の子じゃない事にどこか負い目を感じていた。玲音がそれを真っ向から打ち砕いてくれた。
「俺、俺は、本当に心から、玲音を愛してる…これからも、ずっと俺を愛してくれる?」
「愛してるよ!だから、今度こそ、俺の気持ちを信じてくれる?」
「うん、信じるよ…玲音をちゃんと信じる!だから、いっぱい愛して!」
純と玲音の顔に笑顔が戻った。涙でグシャグシャだが、最高の笑顔だ。
"俺の太陽"
純は玲音の笑顔にいつもの言葉を想いながら、深くキスを交わした。
俺達の関係は世間では受け入れてもらえにくいもので、世の中に絶対変わらないものなんて無いってわかってるけど
ただ、真っ直ぐに信じよう
俺は、玲音の"恋人"なんだから、胸を張って生きればいいんだ
彼女になれなくていい
END