1月某日、今日は翔の誕生日
玲音は秘かにサプライズパーティーを企画していた。
陸樹がビリヤード大会だと言って、店を貸し切りにしてもらい、純と龍介とで店内を飾り付けした。龍介には、ケーキも隠れて準備してもらった。甘党の龍介は美味しいケーキ屋さんをよく知ってる。
料理は、申し訳無いと思ったが、翔に用意してもらった。翔の店でやるパーティーなので致し方ない。
最近忙しくて会ってなかった駿も都合をつけて駆けつけてくれた。ちょっと遅れそうになって、慌てて駆け込んで来たところで、龍介が店内の灯りを消した。
「え、停電?!」翔と駿が驚いて慌て始めたところで、プロジェクターのスイッチを入れる。
ハッピーバースデーのBGMと共に翔の店の大きな壁に写し出された映像は…
「翔!誕生日おめでとう!」
「真琴?!」翔と駿が同時に大声を上げた瞬間、画面の向こうの真琴と玲音、陸樹、純がクラッカーを同時にパンっ!!と鳴らした。
龍介がケーキを運んできて
「ハッピーバースデー!翔!」とみんなで歌を歌った。
「久しぶり〜!ってそうでもないかww 玲音から連絡もらって、オンラインでパーティーに参加させてもらうことにしたから!」
実は、真琴も一緒にパーティーをするというのは、駿にナイショで、ダブルサプライズだった。
「え?!マジで?すげー嬉しい!!」照れながら、垂れ目を更に垂れ目に崩して、笑いながら翔がロウソクを吹き消して、パーティーが開幕した。
ビックリして、目をパチパチさせていた駿だが、え、すごいな、画面が大きいからそこにいるみたいで面白い!と大いに喜んでくれた。
「うまく行ってよかったね」純がニコニコと玲音に耳打ちした。プロジェクターやパソコンなどの機器は、純が準備した。
「みんなが協力してくれたおかげで、翔だけじゃなくて駿も真琴も喜んでるし、サプライズが成功してよかったよ」
中々日本に帰ってくる事ができない真琴も含めて、みんなでお祝いできないかと考えて思い付いたサプライズパーティーだった。いつも世話になってる翔を喜ばせたかった。
翔は自分がパーティーの主役とは思わず、料理の準備をしていたので、大笑いしていた。
「え?ビリヤード大会って、ウソだったの?龍介が妙にコソコソして、冷蔵庫に触らせないから、変だなとは思ってたけど、すっかり騙されたwww」
「真琴は、ちゃんとご飯食べてる?寂しくない?」
「彼女が来てくれたから、その辺は大丈夫!色々やる事が多くて大変だし、時々日本が恋しくはなるけどね。駿はライブが近いんだろ?仕上がりは順調?」
「うん。今、最終の詰めの段階だから忙しくて、ちょっとピリピリしてたけど、みんなに会えたら、癒やされて元気出てきた!ライブの映像を今度送るから見てよ」
「それは楽しみだなー。じゃあ、俺もストリートライブやる予定だから送るよ。あ、それより、ライブ配信とかできないかな?今日みたいな感じならできそうじゃない?個人でやってるだけだから、権利とかないしさ」
「そういう事なら、宣伝して、ちゃんと観客呼んで、オンラインライブにしちゃおうぜ!」翔は大乗り気だ。
「えー、だったら、俺も一緒にセッションとかしたいなー!個人だったら、ダメかな?事務所に聞いてみる!」
「面白そうだな!アメリカでのライブを中継するって事だろ?通訳が必要なら、やってやるけど?」
英語がペラペラな陸樹も乗り気で話に加わってきた。4人はどうやったら面白いライブになるかワイワイと盛り上がってアイデアを出し合った。
その横では、龍介が自分で選んだケーキに舌鼓を打っていた。至福の表情でケーキを頬張る龍介を純と玲音が世話を焼きながらニコニコと眺めていた。
翔のために1ピース切り分ける時も、包丁に気を付けるように注意したり、お皿を用意したり、本当は龍介1人でも問題無くできるはずだが、心配症の玲音と龍介を弟のように可愛いがっている純はほっておけず、横から口も手も出していた。
食べている時は、袖にクリームがつかないようにしてやったり、顔についたクリームを拭いてやったりしながら、この飾りも食べてみろとか、こっちのイチゴが美味しそうだとか、かいがいしく世話を焼く2人に嫌な顔一つせず、嬉しそうにケーキを食べる龍介は癒やしでしか無かった。
パーティーが終わる頃、翔が玲音のところにやってきて、肩を組みながら言った。
「今日のサプライズ考えたの、玲音だろ?真琴まで一緒にお祝いしてくれて、嬉しかったし、ビックリしたよ!ありがとな!」
「なんかライブやろうって、盛り上がってたな」
「あぁ、パソコンとかに強い純にも協力してもらえると助かる。なんか、みんなで作れるものがあると楽しいな!」
「何でも協力するから、言ってよ!楽しみだね」
翔の誕生日は仲間との絆を確認できた1日になった。玲音は純と帰りながら、幸せな気持ちでいっぱいだった。純も隣で嬉しそうに笑ってくれている。
やっぱり、仲間はいいなー
7人が揃う貴重な時間を作れたことに喜びと感謝を感じるのだった。
END