都内某所の広場
キンと空気が冷えてるが雲一つ無い快晴の朝
待ち合わせ場所に最初に到着したのは、陸樹だった。瑠美との約束の時間より30分以上前だ。今日は先に玲音と純に会う予定なのだ。
瑠美から遊びに行きたいと誘われた時、純に許可を取りたいと思ったが、まだ純と会えない状態が続いていた。玲音に相談すると、いい機会だから4人で会わないかと提案された。
瑠美はちょっと渋っていたが、普段の玲音と純をもっと見てみたいという誘惑に負けて承諾した。
純と会うのは、陸樹の片思いがバレて以来初めてなので緊張する。玲音の話では、どこかでバッタリ陸樹に会ったりしないように、翔の店に行かないだけでなく、家に引き込もっているという。玲音や瑠美もいる中で会う事にした方が気持ちが前向きになれるだろうという玲音の発案だった。
程なく、玲音の後ろに隠れるように純がやって来た。俯いて目を合わせようとしない純に、寂しさが募る。
おもむろに、玲音が純の手をギュッと握って、純に向かって満面の笑顔で
「大丈夫!愛してるよ」と囁いて素早くキスをした。
純は目を丸くして一瞬頬を赤らめると、ふぅっと息を吐き出した。そして、意を決したように、顔を上げると、陸樹の前に進み出た。
「今まで陸樹の気持ちに気が付かなくてゴメン。ずっと、俺のために心を砕いてくれて、応援してくれて、ありがとう。俺は、陸樹とこれからも親友でいたいと思ってる。許してくれる?」
純の声は少し震えていて、泣くのを堪えながら頑張って言葉を綴ってくれたのがわかる。
一生伝わらないと思ってた気持ちが伝わるのって、こんなに嬉しいものなんだな
陸樹は、今までの全てが報われた気がして、静かに心が満ち足りていくのを感じた。
「許すも何も…俺が勝手にJを好きになって、勝手にやってただけだから。でも、想いを受け取ってくれてありがとう。それだけで十分だよ。俺の方こそ、これからもJの親友でいさせて欲しい」
純が陸樹をそっとハグして囁いた。
「今までありがとう。これからも、よろしく」
陸樹は純の背中をポンポンと叩いて「これからもよろしく。親友として、愛してる」と応えた。
純は陸樹を離すと涙を腕で拭った。それから、空を仰いで、一度深呼吸をした。青空が目にしみる。顔を戻すと、陸樹をしっかり見て、にっこり笑った。
陸樹は、純の笑顔を見て、やっぱり好きだなと思ったが、それは、親友としての好きに昇華していた。
自然と陸樹も笑顔になった。玲音も太陽のように笑っている。
そんな和やかな空気も束の間、唐突に純が笑顔を消して、拗ねた子供のように言い放った。
「でも、瑠美の事は別問題だからな!俺はまだ認めてないぞ!親友だからって、大目に見てやらないからな!」
「え?!そこは、大目に見てあげてもいいんじゃない?」
「は?!いや、待て待て、だから、まだ何も無いって!」
急にいつもの調子に戻って瑠美の事で文句をつける純とそんな純をなだめようとする玲音に、必死に弁明する陸樹という普段の日常が復活していた。
3人でワチャワチャしてる所へ瑠美も到着した。
「ちょっとー!3人だけで仲良さそうにしててずるーい!仲間外れにしないで、私も混ぜてよ!」
4人の笑い声が春の訪れを予感させるように、煌めく日差しの中で明るい音楽を奏でていた。
END