珍しく仕事帰りに玲音と一緒に家路を歩きながら、純は、今夜こそ玲音と今後の事についてちゃんと話してみようと思っていた。
まったり落ち着いてしまったら決心が鈍りそうだし、酒の勢いも借りたくない…
家に入るなり切り出した。
「玲音、俺、話したい事があるんだ…」
「奇遇だな。俺も、話したい事があるって思ってた」
「な、何?」
「実は俺たちの共同生活について、考え直したいんだ」
「そ、それって、まさか、もう一緒に暮らしたくない、とか…?」
「ま、まさか!そうじゃなくて、最初に取り決めした時、ルームシェアのイメージだったろ?
今は、龍介が言ったみたいな、結婚?を前提にした同棲がしたいって思ってるんだ…
でも、なし崩し的に仲を深めるんじゃなくて、ちゃんと純の了解をとってからにしたいんだよ!」
よかった、玲音も同じように思ってくれてたんだ…
純はホッと安堵した。でも、ある事を思い出して、はっとする。
「お、俺も、玲音と進展したいって思ってる、でも…セ、SEXは無理、だ…ごめん!」
思わず、俯いて、目をギュっと閉じてしまう。
玲音に嫌われたらどうしよう…できないなら、女の子と付き合うって言われたら…
玲音の大きな手が頬に伸びてきて、上を向かされる。
目を上げると、玲音の優しい笑顔があった。
俺の太陽…
「何で謝るの?純ができない事は俺だってできないよ?俺達は男同士だし、無理なものは無理で仕方ないよ」
「それでいいの?」
「当たり前だよ!でも、それ以外は、純の心も体も欲しいんだ」
「玲音…」
「この前の温泉でも、逃げちゃったろ?逃げないで、純の全てを俺にちょうだい」
玲音が艶っぽい目で純を見つめる。
「俺も、ずっと、玲音が俺を求めてくれるの待ってた。最近何もしてくれないから、一人で悶々としてたんだ」
「だって、勢いやその場の雰囲気で純の気持ちを確認せずに一線を越えるのは良くないと思って、必死に我慢してたんだよ!最近また忙しくて時間無かったし…こんなに、純が欲しいと思ってるのに、気が付か無かった?」
「そ、そうだったんだ…俺はてっきり…」
「てっきり、何?」
「あの時は陸樹へのあてつけで迫ったけど、やっぱり男とは嫌だとか思ってるんじゃないかって…」
「・・・ふーん」急に玲音の声が低くなる。
「へ?」
「俺がこんなに我慢してたのに、そんな風に思ってたんだ」
「え?いや、だって…」れ、玲音?怒ってる?
「じゃあ、今から、どれだけ純を愛してるか証明するから、覚悟して」
「ま、待って、今から?証明?って、玲音?」
拗ねた時の玲音はこわい…
憮然とした顔で玲音がぐっと距離を詰めてきた。
思わず後退ってしまい、純の背中が壁についた。玲音の腕と壁に囲われて、いわゆる壁ドン、みたいな状況になっている。
(俺の方が背が高いのに、何で見下ろされてるんだっ?!)
玲音は、急に甘く色っぽい表情を浮かべて、純の耳に口を寄せてエアリーボイスで囁いた。
「俺と結婚してくれる?」
その意味がわかって、途端に心臓がバクバクしてくる。恥ずかしくて死にそうだが、つい強気な態度を取ってしまう。
「ホントに俺でいいんだな?後悔しても知らないからなっ、もう離してやんないぞ!」
「プッ、せっかくいいムードだったのにww」
玲音が笑いだす。
「だ、だって!恥ずかしい事聞くからだろ!」
いつもの優しい玲音の目の奥に、いつにない熱っぽさを感じて胸がキュンとなる
「純、愛してる、後悔なんてしないから、お願い…」
玲音がもう一度甘く囁く。
もう、抵抗できない…
「玲音、愛してる、俺と結婚して…」
純の言葉を合図に玲音が噛み付くようにキスを降らせる。
食べられちゃいそうだ…
玲音は、その勢いで純の耳を甘噛みしながら舌を這わせていく。
「わっ!バカ!んぅ」
ゾクゾクして変な声が出る。身をよじらせて逃げようとするが、しっかり抱きすくめられて逃げられない。
「今日は我慢しないで、もっと声聞かせて…」
そんな事言われても、キスだけで目が回りそうだ…
「ま、待って!ベ、ベッドへ…」
「純って、大胆〜」
「バカ!また暴れて怒られても知らないぞっ!」
寅年の2人はじゃれあうと危険なのだ。以前に玲音のアパートで大家さんに大目玉を食らったことがある。
「それは困るww さすがに、純をお姫様抱っこはできないけど」
玲音は、よっ、とはずみをつけると純を肩に担ぎ上げた。
「わ?!」
「頭ぶつけないようにねww」
玲音は寝室まで純を運んでベッドにおろすと、上着を脱ぎ捨てた。
玲音の厚い胸板に惚れ惚れしてしまうが、心臓が口から出そうだ…
キスをしながら、玲音の長い指が純の服を器用に脱がせていく。
初めて肌を触れ合わせて愛し合う夜…
純は、玲音からたっぷり愛を証明してもらい、それまでの悶々を完全に払拭できたのだった。
END